ゴーゴーリと命名されているのに、息子はいつになったらゴーゴリを読むんだろう、とお父さんのアショケは悩まなかったけれど、わたしはやきもきした。
ゴーゴーリとはあのロシアの作家、わけありで命名された。それも興味があったけれど、インド、ベンガル人もちょっとむかしはお見合い結婚だったんだ~とおもしろかった。
そのお父さんはインドからアメリカへ頭脳移民、ゴーゴリは二世だ。当然文化の違いがある。両親はうまく適合しているよう、けれども息子はその不思議な名前でつまずき、両親がかかわるインドの文化に違和感があり、アメリカにもなりきれず、自分が何者かも決らない、わからない。
作者ジュンパ・ラヒリもアメリカで育ちながらも、カルカッタ生まれベンガル人の両親なので、身をもってわたしは何者だろうと強烈に思ったのだろう。
しかし、そのへんはあっさりと描かれているように思え、よくあるくどいルーツ物でないのが好感。
あれなのか、これなのか?ここじゃない、ではどこなのか?わたしはここにいるべきなのか?どこに行くべきか?だれでもみんな本当は悩んでいる、普遍的課題。
おっかぶせて親子関係、夫婦関係、恋人関係に焦点が当ててあり、前作同様胸に響いた。作者独特の洞察力が共鳴をよぶ。
そう、短編集『停電の夜に』をさきに読んでとても感動、うまい作家だなーと思い、さっそく二作目(しかもこんどは長編)を一気に読了した。三作目も早く読みたいと思うほどだ!
ちなみにインド料理の描写の数々、生つばものだった。(『その名にちなんで』のほう)おまけに訳(小川高義)もいいと思う。
よみがえり 2023年12月21日
こういうエンタメが好き 2023年12月19日
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