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2013.08.19
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【男はつらいよ~奮闘篇~】
20130819

「あの娘ね、ここが少しおかしいねぇ」
「そうかい?!」
「分かんないかね? そりゃね、ちょいっと目には可愛い女の子でとおるけども、よく見てごらんよ、目もとなんざ変にこう間が抜けててさ。たぶんどっかの紡績工場から逃げ出したに違いないよ・・・うん、今人手不足だからね。工場の人事課長なんかが田舎へ行って、そいでまぁ変な娘だけども頭数だけ揃えておきゃあって引っ張って来たもんの、人並みに働けねぇ。しょっちゅう叱られてばかりで嫌になって逃げ出すってやつよ。そのうち悪い男に騙されて、バーだキャバレーだ、あげくにストリップなんかに売り飛ばされるんじゃねぇかなぁ・・・可哀そうに」


シリーズ7作目はこれまでの作風とちょっと毛色が違う。
これまでマドンナと言ったら、美人で気立てが良くて、どことなく薄幸な雰囲気を持っていたものだが、今回は知的障害者の少女がマドンナとして登場する。
この少女、太田花子役に扮するのは榊原るみだ。素朴ながらチャーミングで、寅さんが片時も放っておけなくなるようなあどけなさを、見事に演出している。
集団就職で東北から沼津の紡績工場に働きに来ていたというマドンナの設定も、何やら時代を感じさせてくれるものだ。
作品冒頭では、寅さんの母・キクが久しぶりに登場するのだが、演じているミヤコ蝶々がやっぱりいい!
芸者上がりとはいえ、今や立派な(?)ホテルの経営者としてとらやにハイヤーで乗りつける様子などは、かえって涙ぐましい。「帝国ホテルでございます」と、自分の滞在しているホテルの名前を誇らしげに2度もくり返すシーンなどは、やっぱり寅さんの母親だと思わず頷いてしまった。(笑)

さて、話はこうだ。
柴又のとらやに黒塗りのハイヤーが止まった。
中から出て来たのは寅さんの実母・キクであった。

結局、寅さんの結婚話はなかったことが分かり、それがもとでケンカ。
例によって寅さんはとらやを去る。
寅さんは静岡県は富士から沼津にかけて、行商の旅にあった。
ちょうど沼津でラーメンを食べている時に出会ったのが、太田花子という少女だった。

寅さんはすぐには気づかないのだが、ラーメン屋の店主が言うには、その少女は少しばかり頭が弱いとのこと。
それを聞いた寅さんは、無性に少女のことが可哀そうになるのだった。

見どころは何と言っても、人間国宝である5代目柳家小さんがラーメン屋の店主として登場するシーンであろう。
ほんのチョイ役なのに、これほどの存在感はスゴイ!
芝居じみていなくて、実際こういう店主はフツーにいると思える演技力なのだ。
これはやっぱり噺家としての“芸”なのだろうか?
お見事としかいいようがない。

津軽訛りが郷愁を誘い、何とも言えない切なさの残るストーリー展開となっている。
個人的にも大好きな作品だ。

1971年公開
【監督】山田洋次
【出演】渥美清、倍賞千恵子、榊原るみ

寅さんシリーズ『男はつらいよ』
20130707
コチラ


寅さんシリーズ『続・男はつらいよ』
20130714
コチラ


寅さんシリーズ『男はつらいよ フーテンの寅』
20130721
コチラ


寅さんシリーズ『新・男はつらいよ』
20130728
コチラ


寅さんシリーズ『男はつらいよ~望郷篇~』
20130804
コチラ


寅さんシリーズ『男はつらいよ~純情篇~』
20130811
コチラ


20130124aisatsu





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最終更新日  2013.08.19 05:53:12
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