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2013.11.27
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テーマ: コラム紹介(119)
カテゴリ: コラム紹介
20131127

【北國新聞 時鐘】

断じて、お世辞(せじ)でも皮肉(ひにく)でもない。ケネディ新駐日米大使の顔のしわに、飾(かざ)らない自然な美しさを覚(おぼ)える。

女性の化粧術(けしょうじゅつ)には不案内だが、巧みな「修復法(しゅうふくほう)」は山ほどあって、それに金を惜(お)しまぬセレブも結構いるそうな。だが、もとより、年齢を重ねてしわを刻(きざ)むことは、しくじりでも恥(はじ)でもない。隠さない方が自然だし、本物である。

しわを取り上げるなど、女性に対して失礼なのかもしれないが、大切な自然な美しさを教えてくれる人もいる。意志の強さを目尻に刻んだサッチャー英元首相のしわも、そうだった。

加賀藩3代藩主の前田利常(まえだとしつね)は「鼻毛(はなげ)の殿様(とのさま)」として有名である。鼻毛を伸ばして「バカ殿」を装(よそお)い、幕府(ばくふ)を油断(ゆだん)させたというが、本当だろうか。鼻毛の手入れを忘れるほど政務(せいむ)に励(はげ)んだ人、鼻毛ごときで百万石(ひゃくまんごく)の威信(いしん)は揺(ゆ)るがないという信念(しんねん)の人だったようにも思える。幕府にしても、鼻毛1本で警戒を解(と)くほど、甘いはずはない。

人目をはばからず化粧する女性の姿をよく見る。美しく装うつもりで、情けないことに逆のことをしている。新駐日米大使の目に止まらないことを願いたい。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

このごろは下火になったが名門ホテルや一流百貨店、或いはレストランでの食材偽装が話題となった。
件数の多さや法的に抵触しないこと、何より他の事故や事件が数多あり、意外なほどあっけない結末となった。すでに遠い過去の話である。
そのさなかにずっと思っていた事がある。

昨今流行のアンチエイジングやカツラも「偽装」ではないのだろうか。
四十五歳のご婦人が二十五、六に化けるの年齢詐称ではないのか。
年齢を重ねて薄くなった頭髪をカツラで覆うのは粉飾ではないのか。

愚にもならないとは思いつつも、そんなことを考えていた。
そんな折に時鐘氏はコラムで喝破してくれた。我が意得たりの気分で膝を打った次第だ。

『年齢を重ねてしわを刻むことは、しくじりでも恥でもない。隠さない方が自然だし、本物である。』

そうだ、その通り!
だから、

『ケネディ新駐日米大使の顔のしわに、飾らない自然な美しさを覚える。』



ときに彼女は着任早々の25日、東北の被災地を訪問したという。画像はその時の様子だ。
※Sankei Photoより
初日はグレーのスーツ、二日目は黒のスーツに身を包んでいた。そして「顔のしわ」である。
間違いなく多くの国民が彼女に好感を抱いたことであろう。

だがしかし、である。
そうなると話は別なのだ。(話題が変わります!)


「親分、ありゃぁ食ぇねぇアマですぜ!」
もしくは
「親分、あのアマぁ、ソウトウなもんですぜ!」

忘れてはならないのは、それは単なる「見た目」でり眼前の表層の一部にすぎないのだ。彼女の内側である人格や職務たる任務の内容について、我々はその本質を何も知らないのだ。
つまり、 我々はそう思い込んでいる 、ということなのだ。
別に彼女を疑っているわけではなく、現実と感想を分離したまでのことだ。

問題を最初に戻す。
これはレストランの食材偽装と同じではないのか。
有名な産地から直送した食材を使ったカタカナ名の料理は見目麗しい。だから我々は信じて疑わなかったはずである。
もう一度いう。 我々はそう思い込んでいる 、そういうわけだ。

大切なの事は、 今我々が目にしているものは本質とは限らない 、ということだ。
それから己が身を省みるとき明白になるはずだが、人は大いなる多面性をおびた生き物なのだ。
個人的な次元でもそうなのだから、そこに社会的な役割(仕事や立場など)が加われば、その多面的なことは言わずもがなである。
ある一面を見てすべてを判断することは、とても大きな危険をはらんでいるということを忘れてはならない。加えてその判断は、感想や思い込みに過ぎないということだ。

そしてもうひとつ。
これも忘却の彼方かもしれないが、彼の国による盗聴事件はつい先日の事である。
私は間諜の必要性を認めるし、国家の平和を維持していくためには盗聴は間諜における必要欠くべからざる戦術だと思っている。
故に私は彼の国に敬意を表し、それについて異を唱える方々を平和ボケと断じる。しかしながら、アメリカ合衆国がそれを粛々と実行する国家である、という事実も忘れることはない。
同盟国たる彼の国は、そういう国家だということなのだ。

さて、26日の産経新聞で目についた「タイトル」がある。

『憲法守って国滅ぶ』

これは核心をついた。本質である。

何はともあれ、食材偽装も駐日米大使も、その本質を見なければならないということだ。
それが見えないときは、感想や思い込みで判断するのは避けたほうがいい、そういうことである。

それにしても寒さが増して時鐘氏のペンは日々冴える。
冬場が強いのは北陸の面目躍如であろう。ますますのご活躍を期待したい。

20130124aisatsu





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最終更新日  2013.11.27 05:56:41
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