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2014.08.23
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カテゴリ: 読書案内
【勝海舟/第四巻・大政奉還】
20140823

◆海援隊の夢半ば、龍馬が逝く
私の友人の一人に、元保育士で現在は福祉関係の仕事に転職した友人がいる。
彼女は保育士をやっている時、よく言っていた。
「幼い子どもでも、やって良いことと悪いことはちゃんと判断して、叱ってあげなくちゃいけないの。子どもに媚びる保育士なんて、おかしいよ!」
私もなるほどと思った。
「でも現実は、子どもの親の顔もチラつくし、保育士同士のテリトリーもあるし、余計なことをやれば睨まれて、本当の保育なんてできない環境にあるんだよ」
そうなのだ、人と人とがいろんなしがらみに囚われて同じ空間に居合わせることは、生易しいものではない。
こちらが良かれと判断したことでも、他方では余計なお世話だとも捉えられかねない。
人それぞれに立場があり、利害が発生する。
すべての物事を穏便に、円満に収めようとすること自体、ムリな話なのかもしれない。


そこらじゅうで押し込み強盗が横行し、女、子どもは容赦なく乱暴を受けた。
通りには、誰の仕業とも知れない辻斬りの手にかかった死体がゴロゴロと横たわるという有り様。

一方、京では、勝の門下である坂本龍馬が刺客にやられてしまう。
油断もあったのであろう。
刀を身近なところに置いておかなかった龍馬は、抵抗する間もなく斬られ続けた。
最後は、脳漿が白く噴き出すほどの致命傷を負い、絶命したのである。
赤誠を信じ、天下の将来を夢見た男・坂本龍馬も、立場を異にする相手からは邪魔者に過ぎない。
出る杭は打たれるのだった。
世情は混乱を極めた。
毛唐人が虎視眈々と日本国の壊滅を待つ中、最後の将軍となる徳川慶喜は、勝海舟を呼び寄せる。
すでに表舞台から去っていたはずの勝に任された大役、それは、大政奉還であった。


それもこれも鎖国政策の失敗と言ってしまったらそれまでだが、島国民族による究極の閉鎖意識が、国全体に広がっていたのかもしれない。
万事、事なかれ主義が一時の平和をもたらすものだとして、その一方で、正しいことを正しいと言う者が詰め腹を切らされる世など、真の泰平とは言えない。
ならばどうすべきだったのか? どうしたら良かったのか?
それは、今となれば歴史から学ぶしかない。
多くの知識人、改革論を唱えた先人の死を無駄にしないためにも、私たちは日々努力し、一歩一歩、身近な問題をクリアしていかねばならない。

この世に、人が二人以上存在する限り、問題は続く。

『勝海舟』~第四巻・大政奉還~ 子母澤寛・著


☆次回(読書案内No.140)は子母沢寛の「勝海舟~第五巻・江戸開城~」を予定しています。


『勝海舟』~第一巻・黒船渡来~は
20140802
コチラ


『勝海舟』~第二巻・咸臨丸渡米~は
20140809
コチラ


『勝海舟』~第三巻・長州征伐~は
20140816
コチラ




コチラ から
★吟遊映人『読書案内』 第2弾は コチラ から



20130124aisatsu





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最終更新日  2014.08.23 11:25:27
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