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COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)のパンデミック騒動で重要な役割を演じているビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団は2000年にビル・ゲイツとメリンダ・ゲイツによって創設された。 ビル・ゲイツは母親のコネでコンピューター業界の地位を築き、情報機関に協力することでビジネスを拡大してきた。未成年の男女を世界の有力者に提供し、寝室などでの行為を映像などで記録して脅しに使っていたジェフリー・エプスタインと親しいことでも知られている。繰り返しになるが、故エプスタインは妻のギスレイン・マクスウェル、あるいは義父のロバート・マクスウェルと同じように、イスラエル軍の情報機関(アマン)に所属していた。 エプスタインが逮捕されて間もない2019年7月31日、ニューヨーク・タイムズ紙は彼がニューメキシコの牧場で自分のDNAによって複数の女性を妊娠させる計画を持っていたと伝えた。ノーベル賞を受賞したような著名な科学者をエプスタインが招待していることから優生学的な実験を行おうとしていたのではないかとも言われている。ビル・ゲイツの父親は優生学にのめり込んでいた。 エプスタインの友人、ビル・ゲイツは長野県の別荘地、軽井沢町の千ヶ滝西区に敷地面積2万1969平方メートルという巨大な「個人の別荘」を建てたと言われている。2012年頃から話題になっていた。2015年頃には完成したようで、地上1階、地下3階だというが、実際のところは不明。アメリカやイスラエルでは本当の施設を隠すため、カムフラージュの建造物を造ることがある。軽井沢町役場も建設会社も秘密にしているので実態は不明だが、大規模な環境破壊があったことは間違いない。 軽井沢と関係の深い著名人の中にビル・ゲイツも加わったということだろうが、個人的な印象では堤家を忘れることはできない。堤家のビジネスは西武グループを中心に展開されているが、第2次世界大戦の直後に西武グループは竹田恒徳から土地を購入、「高輪プリンスホテル」を建てた。 竹田恒徳は昭和天皇のいとこにあたり、ジャーナリストのスターリング・シーグレーブとペギー・シーグレーブによると、1937年から敗戦まで秩父宮雍仁の下で組織的な財宝の略奪、いわゆる「金の百合」を指揮していた。戦前レジームと戦後レジームをつなぐキーパーソンとして本ブログで繰り返し言及してきたジョセフ・グルーと秩父宮や竹田恒徳は近い関係にあった。 竹田恒徳は1962年から69年にかけてJOCの会長を務めているが、息子の竹田恒和もJOC会長になっている。その間、1989年から90年にかけて会長を務めたのが西武グループの堤義明だ。堤の努力もあり、1998年2月に長野でオリンピックが開催されているが、その際にも「金の百合」が噂されていた。
2020.09.30
COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)対策だとして少なからぬ国がロックダウン(監禁政策)を実施、社会は収容所と化した。人びとの行動が厳しく制限され、監視システムが強化されつつある。囚人のような立場になったことからフラストレーションが高まり、飲酒や喫煙へ逃げ込む人が増え、失業、ホームレス、そして自殺の増加といった深刻な社会問題を引き起こした。そうした政策への反発が高まるのは当然。最近ではスペインでのロックダウンに反対する運動が話題だ。 日本では「自粛」に留められたが、それでも似たような問題が指摘されている。そうした収容所化政策を推進するように求めていた勢力に対する反発は弱くないだろう。多くの国ではそうした政策を推進した政府に怒りの矛先は向けられているだろうが、日本の場合は野党が収容所化を求めていた。これは社会システムを揺るがす政策であり、付け焼き刃の政策でごまかせるようなものではない。 本ブログでは繰り返し書いてきたように、アメリカを中心とした支配システムは1970年代から崩れ始めている。そこで導入されたのが金融マジックとも言うべき新自由主義だが、問題を解決することはできず、深刻な状態が2008年9月に表面化した。アメリカの大手投資会社リーマン・ブラザーズ・ホールディングズが連邦倒産法の適用を申請したのだが、これは金融資本を救済するために仕掛けられたショックだと考えられている。 そのショックを利用し、ジョージ・W・ブッシュ政権やバラク・オバマ政権は「大きすぎた潰せない」という口実で金融機関を救済、「大きすぎて罪に問えない」ということでその責任者を不問に付した。そうした政策で支配システムの腐敗はさらに進み、システムの維持は困難になりつつある。WEF(世界経済フォーラム)の創設者であるクラウス・シュワブは今年6月、「パンデミック」を利用して資本主義を大々的に「リセット」すると語っているが、そうせざるをえない状況に陥っているということだ。 パンデミックを利用したリセットは2010年の段階で考えていた人たちがいる。本ブログでは繰り返し書いてきたが、この年の5月、ロックフェラー財団とGBN(グローバル・ビジネス・ネットワーク)は「技術の未来と国際的発展のためのシナリオ」と題された報告書を発表、その中でパンデミックによる経済へのダメージも指摘されている。人や物資の国際的な移動が止まることから旅行業のような産業や販売網は特に大きなダメージを受けると見通されていたのだ。 パンデミックに対する対策も提示されている。社会的にはマスクの着用、公共施設やマーケットの入り口における体温の測定が強制され、そうした管理、監視体制はパンデミックが去った後も続くと想定しているのだが、それだけでなく、市民は安全と安定を求めて自らの主権やプライバシーを放棄、生体認証が義務づけられるとされている。経済システムの破綻で暴動、あるいは革命が起こる前に庶民を刑務所へ入れてしまおうということだろう。 2019年10月18日にはニューヨークでコロナウイルスが全世界で流行するというシミュレーションが行われている。イベント201だ。主催者はジョンズ・ホプキンス健康安全保障センターやビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団。イベント201が開催された日に中国の武漢で各国の軍人が集まって行われた競技大会が開幕、その翌月にCOVID-19の感染者が初めて見つかったとされている。 ところで、社会を収容所化しようという目論見が昔からあることも本ブログで書いてきた。例えば1968年にマーチン・ルーサー・キング牧師が暗殺された直後に2旅団が編成されたガーデン・プロット作戦、多くのアメリカ市民を拘束することを目的としたレックス84、戦争に反対する人びとの監視を含む治安作戦を定めたヒューストン計画などだ。 ヒューストン計画はリチャード・ニクソン政権の司法長官、ジョン・ミッチェルが強硬に反対したことなどから実現していないが、ジミー・カーター政権でFEMAとして再浮上、1980年代に始まるCOGに続く。このプロジェクトを実際に動かす切っ掛けになったのが2001年9月11日に引き起こされた世界貿易センターや国防総省本部庁舎(ペンタゴン)に対する攻撃だ。 今回、パンデミックを演出して危機感を煽り、ワクチンの強制的な接種を推進しようとしている勢力が存在する。そこで彼らは数値マジックを展開した。アメリカの場合、病院で死人が出ると検査をしないまま死亡診断書にCOVID-19と書き込むことが推奨されたことがスコット・ジャンセン上院議員や現場の医師や看護師から指摘されている。 また、標準的に使われているPCR検査(ポリメラーゼ連鎖反応)に問題があることも知られている。この検査は検体内のウイルスのゲノムの破片を検出しているだけなので、ウイルスの残骸があっても陽性になり、ウイルスそのものを見つけているわけではないからだ。風邪の原因であるベータ・コロナウイルスでも陽性になる可能性がある。 人間の免疫システムはCOVID-19に対して機能しているので、SARS-CoV-2が体内に入っても発病しないケースが少なくないはず。感染しても7割から8割は症状が出ないか軽く済むことは公的な機関も認めている。 この病気のイメージをマスコミはエボラ出血熱のようなウイルス性出血熱、ペスト、天然痘といった病気と同じであるかのように描き、人びとを脅したが、実際は違う。イギリス政府が3月19日にCOVID-19をHCID(重大感染症)から外したのもそのためだ。 どの国でも死亡した人の大半が高齢者で、心臓病、高血圧、脳卒中、糖尿病、悪性腫瘍(癌)、肝臓や腎臓の病気を複数抱えていることが大半だが、SARS-CoV-2に感染していると、死因に関係なく「新型コロナウイルスの患者が死亡した」と報道されている。
2020.09.29
アメリカの情報機関CIAは人間の心理、考え、行動などを制御する技術を開発するプロジェクト「ブルーバード」を1950年に開始、1953年には「MKウルトラ」へたどり着いた。研究の「材料」に使われたのは西ドイツや日本にあった秘密の刑務所に収容されていた囚人。例えば、1951年にCIAのチームは東京でソ連とのつながりが疑われた4名の日本人を尋問したが、その際にいくつかの薬物を試している。結局、尋問された4名はソ連との関係を白状。その後、いずれも射殺され、東京湾に沈められている。(Stephen Kinzer, “Poisoner in Chief,” Henry Holt, 2019) 1950年6月に朝鮮戦争が勃発、52年2月に朝鮮の外務大臣はアメリカ軍が細菌兵器を使用していると国連に対して強硬に抗議、中国の国営通信社である新華社は、アメリカ軍が第731部隊の元部隊長、石井四郎や北野政次、また同部隊と姉妹関係にあった第100部隊の元部隊長、若松和次郎らに協力させて生物兵器を使ったと伝えた。その際、捕虜となった約30名のアメリカ人パイロットが生物兵器を投下したと告白しているのだが、パイロットたちは帰国した後に政府から国家反逆罪に問うと脅され、告白を取り消している。(David Talbot, “The Devil’s Chessboard,” HarperCollins, 2015)その告白を否定するためにアメリカが使った用語が「洗脳」だが、そうした研究を進めていたのはアメリカだった。 人びとの考え方や行動に音楽や演劇が及ぼす影響は小さくない。心理戦の研究をしている情報機関が放置しておくはずのない分野だ。アメリカの映画業界にCIAやイスラエルのモサドが深く食い込んでいるのもそのためだと言える。 第2次世界大戦後、音楽を大きく変える人物が登場した。黒人音楽を白人の若者へ広めたエルビス・プレスリーだ。若者への影響力を懸念したFBIは監視を始める。そのプレスリーが大きく変化したのは徴兵で入隊し、西ドイツで過ごした1958年から60年にかけての時期だ。ジョン・レノンの言葉を借りると、兵役を終えた後のプレスリーは「生ける屍」だった。議会でMKウルトラの調査が進んでいた1977年にプレスリーはバスルームで急死している。 ジョン・レノンもCIAやFBIから危険視され、監視されていた。そうした中、育児という理由で1975年に表舞台から姿を消す。活動を再開したのは1980年だった。10月に「スターティング・オーバー」というシングル曲をまた、11月には「ダブル・ファンタジー」というアルバムを発表するが、12月に射殺された。 レノンが戦争に反対していたことは有名だが、それ以外にもローリング・ストーンズのミック・ジャガーやブライアン・ジョーンズ、ドアーズのジム・モリソン、そしてジミー・ヘンドリックスやジャニス・ジョプリンらがいる。ジョーンズはひとりで戦争反対を訴えていただけでなく、レノンやヘンドリックスにグループを結成しようと持ちかけていたとされている。 そのジョーンズは1969年7月にプールで死亡する。水泳が得意でイルカのように泳ぐと言われていた彼が溺死したとする説明に納得していない人は少なくない。実はジョーンズがプールで殺されるところを目撃したと証言した人物がいる。彼の親友で、ビールで有名なギネス家のニコラス・フィッツジェラルドとその友人だ。この証言は無視された。 ジョプリンは1970年10月に、モリソンは71年7月にそれぞれ死亡。ヘンドリックスは71年9月、マネージャーだった元MI6(イギリスの情報機関)のマイク・ジェフリーを解雇した翌日に死んでいる。 その後、音楽業界に対する締め付けが厳しくなったと言われている。ちなみに、イーグルスがスピリッツがなくなったと歌った「ホテル・カリフォルニア」がリリースされたのは1977年2月のことだ。 親イスラエルから親パレスチナへ軌道修正したイギリスの労働党を再び親イスラエルへ戻したトニー・ブレアのスポンサーとして有名なマイケル・レビは1973年にマグネット・レコードを設立、音楽業界で大きな影響力を持つようになる。ちなみに、ブレアがレビを紹介されたのは1994年、ロンドンのイスラエル大使館においてだ。
2020.09.28
東京琉球館で10月17日午後6時から「リセットの前に浮上した大金融スキャンダル」というテーマで話します。予約制とのことですので興味のある方は事前に下記まで連絡してください。東京琉球館住所:東京都豊島区駒込2-17-8電話:03-5974-1333http://dotouch.cocolog-nifty.com/ アメリカの次期大統領を決める選挙の投票日が近づいています。共和党で現職のドナルド・トランプ、民主党のジョー・バイデン前副大統領が争うと見られていますが、圧倒的な資産を持つ富豪に操られた2大政党の候補者から選ぶしかないわけで、選挙結果に何かを期待することはできないでしょう。 本ブログでは繰り返し書いてきたように、アメリカやイギリスの巨大金融資本を中心とする現在の支配システムは崩れ始めています。アメリカを唯一の超大国とする体制は実現しそうにありません。そうした中、台頭してきたのがロシアや中国を中心とする多極化した世界ですが、現在の支配者がそれを受け入れるはずはありません。 そこで西側の私的権力が言い始めているのがCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)を利用した「リセット」です。国というクッションを経由せず、強大な私的権力が直接支配する新しい世界秩序を築こうとしているようです。 ところが、その動きの中でJPモルガン、HSBC(旧社名は香港上海銀行)、スタンダード・チャータード銀行、ドイツ銀行、ニューヨーク・メロン銀行といった巨大金融機関によるマネーロンダリングなどの不正行為を明らかにする文書が明らかにされました。 内部告発を支援してきたウィキリークスのジュリアン・アッサンジは逮捕され、厳罰に処されようとしています。NSAの内部告発者であるエドワード・スノーデンもロシアから外へ出れば、アッサンジと同じ運命が待っています。 今回の文書を明らかにした人びとに対してアメリカやイギリスの当局が違った対応をしたなら、これは内部告発でなくリーク、支配階級で内部抗争が起こっていることを意味しているのでしょう。 こうした金融機関の不正行為を暴く文書の公表が何を意味しているのか、COVID-19後の世界はどうなるのか、といったことを今回は考えたいと思います。
2020.09.27
イギリスやフランスで日々のCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)感染者数が9月24日に過去最大になったと伝えられている。いずれも感染の拡大を防止するためだとして、国単位でロックダウン(監禁策)をとった国だ。その期間はイギリスが3月23日から7月4日、フランスは3月17日から5月11日だった。 インフルエンザや風邪も気温が下がってくると患者が増える。秋から冬へ向かうにつれてCOVID-19の感染者数が増えても不思議ではないように思えるのだが、COVID-19には別の問題もある。本ブログでも繰り返し書いてきたように検査方法や死亡原因が信頼できないのだが、それだけでなく、発表されている「患者」や死者の数は過去に遡ってカウントされているという問題もある。 現在、感染の判定に使われているPCR検査(ポリメラーゼ連鎖反応)は検体内のウイルスのゲノムの破片を検出しているだけで、ウイルスの残骸があっても陽性になる。ウイルスそのものを見つけているわけではないのだ。 人間の免疫システムはCOVID-19に対して機能しているので、SARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)が体内に入っても発病しないケースが少なくないはずだ。感染しても7割から8割は症状が出ないか軽く済むことは公的な機関も認めている。 アメリカ政府の伝染病対策を指揮しているNIAID(国立アレルギー感染症研究所)のアンソニー・ファウチ所長でさえ、ほかの2名の研究者と共同で2月28日、ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディスンでCOVID-19の致死率は1%未満、つまり季節性インフルエンザ並みかもしれないと発表している。 そのファウチは3月11日にアメリカ下院の管理改革委員会でCOVID-19の致死性は季節性インフルエンザの10倍だと発言、その日にWHO(世界保健機関)はパンデミックを宣言した。この宣言を切っ掛けにしてCOVID-19は悪霊と化し、人びとは「安全と安心」を求めて自らの主権やプライバシーを放棄することになる。世界的な規模で収容所化が進み始めたのだ。 COVID-19を悪霊化するため、死亡者数も誇張されていた。COVID-19に感染していた死者とCOVID-19を原因とする死者を混同させ、国、自治体、有力メディアなどは恐怖を煽ってきた。日本では「リベラル」や「革新」を自称する人も宣伝隊に参加してきた。 実際に公表されてきた死者数はCOVID-19に感染していた人の数で、どの国でもその大半が高齢者。心臓病、高血圧、脳卒中、糖尿病、悪性腫瘍(癌)、肝臓や腎臓の病気を複数抱えている人が大多数だ。イタリアの場合、死亡した感染者の平均年齢は81歳を上回り、90%は70歳以上。純粋にCOVID-19が死因だと言える人は1%未満にすぎなかったという。 また、イタリア健康省の科学顧問を務めるウォルター・リッチアルディは、SARS-CoV-2が直接的な原因で死亡した人数は死者全体の12%だとしていた。またこのウイルスが原因で死亡したとされる患者の中で96.3%の死因はこのウイルスではないとビットリオ・スガルビ議員は主張している。 しかも、イギリスではCOVID-19に感染していたと類推できる人を過去にさかのぼって見つけ出し、その人数を付け加えるということも行っている。日々の数値には数週間前の感染者や死者が加えられていることもあるわけだ。しかも感染者や死者という判断は恣意的と言わざるをえない。 アメリカでは危機を演出するため、カネの力が利用されたことは本ブログでも紹介した。この実態を早い段階で指摘したのはアメリカ上院のスコット・ジャンセン議員。4月8日にFoxニュースの番組へ出て、病院では死人が出ると検査をしないまま、死亡診断書にCOVID-19と書き込んでいると話している。COVID-19へ感染していた場合、病院が受け取れる金額が多くなるからだ。人工呼吸器をつけるとその額は3倍になるため、器具が不適切な使われ方をして患者の病状を悪化させたり、病気を広めたしているとも言われている。 こうした状況になっていることは医療の現場からも告発されている。検査態勢が整っていない病院では検査せずに死因をCOVID-19と書き込んでいるという。その方が経営的には良いからだ。同じ理由で人工呼吸器をつけようとする。脳梗塞で倒れたような人を迅速に入院させるため、COVID-19に感染していることにすることもあるという話も伝えられていた。(例えばココやココ) 欧米にはCOVID-19を利用して「資本主義のリセット」しようと計画している人びとがいる。WEF(世界経済フォーラム)の創設者であるクラウス・シュワブはそうした計画を広報しただけのことだろう。国というクッションを経ず、私的権力が世界を直接統治するファシズム体制。世界のパレスチナ化であり、人類の家畜化とも言える。
2020.09.26
イギリスではジュリアン・アッサンジをアメリカへ引き渡す手続きが軍産複合体と緊密な関係にあるエマ・アーマスノット裁判長の下で続けられているが、アッサンジをアメリカが起訴した理由について、内部告発しようとしている人や発行者を脅すことにあったとレオン・パネッタはドイツのARDが制作した番組の中で語った。アッサンジが1917年スパイ活動法で起訴された理由はメディア関係者を脅すことにあったと言われている。なお、エドワード・スノーデンも同じ法律で起訴された。 アッサンジは2011年初め、アメリカで秘密裏に起訴された。民間情報会社ストラトフォーの内部でやりとりされた電子メールの中でその情報が書かれているのだが、その後、ケレン・ドワイアー検事補が裁判官へ書いた文書でも確認されている。 パネッタは2009年2月から11年6月までCIA長官、11年7月から13年2月まで国務長官を務めているので、アッサンジの起訴が決まった時にはCIA長官だったことになる。当時は「リベラル派」だとされているバラク・オバマが大統領だった。アメリカの「リベラル派」に期待することは犯罪的だと言える。 本ブログでも繰り返し書いてきたように、アッサンジが起訴された直接的な原因はイラクやアフガニスタンにおける戦争の実態を明らかにしたからだと見られている。そうした情報の中でも2010年4月に公開されたアメリカ軍のAH-64アパッチ・ヘリコプターによる非武装の一団に対する銃撃の映像が大きい。この銃撃は2007年7月にバグダッドで引き起こされたのだが、その際にロイターの特派員2名を含む非武装の十数名が殺されている。 パネッタが国防長官を辞めた3カ月後、スノーデンはNSAの不正行為を示す証拠を持ち出し、香港でグレン・グリーンワルドへ渡した。グリーンワルドは当時、ガーディアン紙で記事を書いていた。 アメリカと連携しているイギリスはグリーンワルドのパートナーでジャーナリストのデイビッド・ミランダをヒースロー空港で拘束して尋問、NSAとUKUSAを形成しているイギリスの電子情報機関GCHQに派遣された2名が監視する中、ガーディアン紙の編集者はスノーデンから受け取った情報が記録されたハード・ドライブを破壊している。それ以降、ガーディアン紙はイギリスやアメリカの支配者に逆らおうとしなくなった。同紙だけでなく、西側の主要メディアは全て同じ状態になる。 アッサンジに対する弾圧とは、アメリカの支配者にとって都合の悪い事実を明らかにする者は世界のどこにいても逮捕して厳罰に処すというメッセージにほかならない。その弾圧に沈黙しているということは、言論の自由を放棄したことを意味する。そうしたメディアに情報を頼ることも犯罪的だ。
2020.09.25
世界的に有名な金融機関がマネーロンダリングなど不正行為に手を染めていることを示す文書が公表された。その金融機関とはJPモルガン、HSBC(旧社名は香港上海銀行)、スタンダード・チャータード銀行、ドイツ銀行、ニューヨーク・メロン銀行。文書を作成したのはアメリカ財務省のFinCEN(金融犯罪捜査網)だが、これまで秘密にされていた。それをICIJ(調査ジャーナリスト国際協会)が公表、FinCENから犯罪行為だと非難されている。 JPモルガンは反ニューディール派のクーデターを目論んだことで知られる巨大銀行。1932年の大統領選挙で当選したフランクリン・ルーズベルトを失脚させ、ニューディール派をホワイトハウスから追い出す目的でウォール街の住人は1933年から34年にかけてクーデターを計画したことは本ブログでも繰り返し書いてきたが、そのクーデター計画の中心的な存在がJPモルガンだった。 JPモルガンの創設者はジョン・ピアポント・モルガン。その父親であるジュニアス・モルガンはジョージー・ピーボディーと銀行を経営していた。その銀行が19世紀の半ばに業績が悪化、ピーボディーが親しくしていたロスチャイルド一族の支援を受けている。そのロスチャイルド一族に見込まれたのがジョン・ピアポント・モルガンだ。 HSBCとスタンダード・チャータード銀行は19世紀の半ば、アヘン戦争の直後に創設されたイギリスの金融機関で、いずれも香港と密接な関係がある。イギリスに割譲されて以降、香港は犯罪組織やイギリスやアメリカの情報機関の資金を処理するための拠点になった。1953年にイギリスとアメリカの情報機関はイランのムハマド・モサデク政権をでクーデターで倒したが、その際に工作資金を動かし、後にロッキード事件でも名前が出てくるディーク社も香港を拠点にしていた。アメリカやイギリスが香港に執着している理由のひとつはこの辺にあるのだろう。 中国におけるアヘン取引を18世紀に始めたイギリス人はシェルバーン伯。東インド会社の商人や聖ヨハネ騎士団のメンバーと手を組んでのことだった。イギリスはインド産のアヘンを売っていた。アメリカ人も中国でのアヘン取引で大儲けしているが、そのアヘンの原産地はトルコだ。 イギリスの支配者は中国にアヘンを売りつけるだけでなく、植民地化して富を奪い尽くすつもりだった。当時の中国は満州族が支配する清の時代で、漢民族の不満を利用するため、イギリスを拠点とするイングランド・グランドロッジは清に秘密結社を作る。そのひとつが三合会だ。 アヘンの取り引きで中心的な存在だった会社がジャーディン・マセソン。中国での麻薬取引で大儲けしたこの会社は1859年にふたりのエージェントを日本へ送り込んだ。ひとりは長崎を拠点にしたトーマス・グラバーであり、もうひとりは横浜のウィリアム・ケズウィック。 日本に渡ってから武器商人としても活動するグラバーは歴史小説に登場するので有名だが、大物はケズウィック。ジャーディン・マセソンの創業者一族に属し、後に香港上海銀行の重役になる。現在、ジャーディン・マセソンはケズウィック一族が経営している。 イギリスの支配者は1970年代にロンドンを中心とするオフショア市場のネットワークを築き上げた。それまでの有名な税金避難地はスイス、ルクセンブルグ、オランダ、オーストリア、ベルギー、モナコなどだったが、秘密度はシティのシステムが圧倒的に高い。 イギリスのシステムはロンドンのシティが中心で、ジャージー島、ガーンジー島、マン島、ケイマン諸島、バミューダ、英領バージン諸島、タークス・アンド・カイコス諸島、ジブラルタル、バハマ、香港、シンガポール、ドバイ、アイルランドなど、かつで大英帝国を構成していた国や地域が結びついている。 ロンドンに対抗するため、アメリカは1981年にIBF(インターナショナル・バンキング・ファシリティー)を開設、これをモデルにして日本では86年にJOM(ジャパン・オフショア市場)をオープンさせたが、ここにきてアメリカが租税避難の主導権を握ったとされている。 そうした状況を象徴する出来事が2015年9月にあった。ロスチャイルド家の金融持株会社であるロスチャイルド社のアンドリュー・ペニーがサンフランシスコ湾を望む法律事務所で講演したのだが、そこで税金を払いたくない富豪は財産をアメリカへ移すように顧客へアドバイスするべきだと語ったという。 アメリカこそが最善のタックス・ヘイブンだというわけで、ロスチャイルドはネバダのレノへ移しているという。シティを中心としたオフショア市場からアメリカのネバダ、ワイオミング、サウスダコタなどへ富豪たちは口座を移動させたと言われている。 世界の富豪は資産を地下へ隠し、大多数の人びとはその実態を知ることができない。巨大金融機関はそうすた資産隠しもビジネスにしている。その一端が今回、明らかにされたわけだが、アメリカでは財務省だけでなく、公的な機関は富豪の不正を取り締まる意思はなさそうだ。内部告発を支援していたウィキリークスのジュリアン・アッサンジを厳罰に処そうとしているのもそのためである。
2020.09.24
アメリカは2018年5月、太平洋軍という名称をインド・太平洋軍へ変更した。太平洋からインド洋にかけての海域を一体のものとして扱おうというわけである。日本を太平洋側の拠点、インドを太平洋側の拠点にし、インドネシアが領海域をつなぐ構図になるという。 アングロ・サクソンにはユーラシア大陸の沿岸地域を支配し、内陸部を締め上げていくという長期戦略がある。その戦略をまとめ、1904年に発表したのが地政学の父とも呼ばれているイギリスの地理学者、ハルフォード・マッキンダーで、ジョージ・ケナンの「封じ込め政策」やズビグネフ・ブレジンスキーの「グランド・チェスボード」もその理論に基づいている。アメリカのインド・太平洋戦略はアングロ・サクソンの長期戦略と合致している。 太平洋からインド洋にかけての海域は、中国が進めている一帯一路(BRI/帯路構想)のうち「海のシルクロード」と重なる。この構想を習近平国家主席が北京で開かれたアジア太平洋経済協力首脳会議で提唱したのは2014年11月だが、始めて口にしたのは2013年の秋。これ以降、中国はアメリカとの関係を見直し、自立の道を歩み始めた。2019年3月にはイタリアがBRIに参加する。 本ブログでは繰り返し書いてきたように、2014年は国際関係を大きく変える出来事が引き起こされた。2月にバラク・オバマ政権のネオコン(シオニストの一派)はウクライナでネオ・ナチを使ったクーデターを成功させてビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒し、9月から12月にかけては香港で反中国運動、「佔領行動(雨傘運動)」を仕掛けた。ウクライナではイスラエル、香港ではイギリスと手を組んでいる。そうした出来事はロシアと中国を急接近させることになった。 2015年1月にロシアを中心とするEAEU(ユーラシア経済連合)が創設された。現在のメンバー国はアルメニア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギスタン、そしてロシア。同年5月にそのEAEUとBRIが連結すると宣言される。ロシアと中国が戦略的同盟関係に入ったことを象徴する出来事だ。 アメリカは新疆ウイグル自治区にジハード傭兵を侵入させ、アフガニスタンでは軍事介入を続けているが、その理由のひとつはBRI潰しだと見られている。ジハード傭兵の主力はサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団。ワッハーブ派はミャンマー、インドネシア、フィリピンなどでも活動している。 アメリカのインド・太平洋戦略は中国と同盟関係にあるロシアも刺激し、ロシアと中国をさらに接近させることになったが、この戦略は日本も無縁ではない。安倍晋三首相は2015年6月、赤坂にある赤坂飯店で開かれた懇親会で、「安保法制は、南シナ海の中国が相手なの」と口にしたという。その安倍が直前に会談したという中国の習近平国家主席は軍部に対し、南シナ海と台湾の監視を強め、戦争の準備をするように命じたと伝えられている。 中曽根康弘は首相に就任した直後の1983年1月にアメリカを訪問、その際にワシントン・ポスト紙のインタビューを受けた。その中で「日本列島をソ連の爆撃機の侵入を防ぐ巨大な防衛のとりでを備えた不沈空母とすべき」であり、「日本列島にある4つの海峡を全面的かつ完全に支配する」とし、「これによってソ連の潜水艦および海軍艦艇に海峡を通過させない」と語ったのである。中曽根は「不沈空母」でなく「巨大空母」と表現したとうが、本質的な差はない。 ソ連を想定しているので、日本を不沈空母(巨大空母)とした上で4海峡封鎖を中曽根は口にしたのだろうが、相手が中国になると、沖縄から台湾にかけての西南諸島が重要になる。 アメリカのドナルド・トランプ政権は8月にアレックス・アザー保健福祉長官を、また9月17日にはキース・クラッチ国務次官を台湾へ派遣、蔡英文総統と会談させているが、これは1979年にアメリカが台湾との関係を絶ってから初めてのことで、中国との関係を見直すシグナルと見られる行為だ。こうした訪問に中国は強く反発することは台湾も予想していただろう。これは沖縄におけるアメリカや日本の軍事的な動きと連動していると見られても仕方がない。 ところで、中曽根の訪米から3カ月後の1983年の4月から5月にかけて、アメリカ海軍は千島列島エトロフ島の沖にエンタープライズ、ミッドウェー、コーラル・シーを中心とする機動部隊群を終結させ、艦隊演習「フリーテックス83」を実施した。この大規模な演習を報道しなかった日本のマスコミは国外のメディアから嘲笑されている。演習では空母を飛び立った艦載機がエトロフ島に仮想攻撃をしかけ、志発島の上空に侵入して対地攻撃訓練を繰り返したとも伝えられている。 この艦隊演習から4カ月後、8月31日から9月1日にかけて大韓航空の007便がソ連の領空を侵犯している。NORAD(北米航空宇宙防衛司令部)が設定したアラスカの「緩衝空域」と「飛行禁止空域」を横切っているが、NORADは反応していない。航空機はアメリカ空軍の偵察機RC-135とランデブー飛行した後にカムチャツカを横切り、ソ連側の警告を無視して飛び続けてサハリンで再び領空を侵犯、モネロン島の上空で撃墜されたとされている。 その年の11月にアメリカ軍は戦術弾道ミサイルのパーシングIIを西ドイツへ配備、NATO軍は軍事演習「エイブル・アーチャー83」を計画していた。この演習では核攻撃のシミュレーションも行われることになっていたのだが、これをKGBは「偽装演習」だと疑う。ソ連へ全面核戦争を仕掛けてくるのではないかと警戒、ソ連側は応戦の準備を始めた。そこでNATOは演習を中止しているが、非常に危険な状況にあったことは間違いない。 そうした出来事があってから2年後の1985年8月12日、羽田空港から伊丹空港へ向かっていた日本航空123便が群馬県南西部の山岳地帯に墜落、乗員乗客524名のうち520名が死亡している。この墜落に自衛隊が関係している可能性は高いが、その当時、アメリカ軍も自衛隊もまだ軍事的な緊張は高かったはずだ。
2020.09.23
世界を収容所化する動きが鈍っている。COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)を悪霊のように思わされた人びとは安心感を得るために主権を放棄しようとした。その罠に人びとは気づき、支配者との対立が激しくなっている国もある。 西側では当初、ギリアド・サイエンシズのレムデシビルなる抗ウイルス薬が宣伝されたが、それ以上に宣伝されてきたのがワクチン。まるでワクチンが開発されないと人類は死に絶えるかのような話が広められてきたが、COVID-19の原因になるSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)に感染しても7割から8割は症状が出ないか軽く済むと言われている。 しかも、本ブログでも繰り返し書いてきたように、抗マラリア剤として知られているヒドロキシクロロキンを抗生物質のアジスロマイシンと一緒に処方すると効果があることは研究者や現場の少なからぬ医師が主張している。フランスの著名な微生物学者、ディジェ・ラウルを含むグループが3月の段階でこのコンビネーションが有効だと報告、アメリカ人医師のグループも同じように主張している。 また、ヒドロキシクロロキンからヒドロキシル基を取り去った構造をしているクロロキンがコロナウイルスに対して有効だとする論文も存在する。2005年8月22日、ウイルス・ジャーナルというNIH(国立衛生研究所)の公式刊行物に掲載された。アメリカで伝染病対策を動かしているアンソニー・ファウチが所長を務めるNIAID(国立アレルギー感染症研究所)はNIHの下部機関だ。 また、キューバで研究が進んでいるインターフェロン・アルファ2bもCOVID-19に有効だと言われている。キューバでは1981年にデング熱が流行したが、この病気に効果があったことから研究は本格化したようである。デング熱の流行はアメリカによる攻撃だったと見られている。この薬はリンパ球を刺激して免疫能力を高めると言われ、COVID-19にも効果があるわけだ。 インターフェロン・アルファ2bが有効だったひとつの理由は、人の免疫システムがCOVID-19に対して機能しているからだろう。カリフォルニアにあるラホヤ免疫研究所の研究員は、2年以内に通常の風邪を引いた人はCOVID-19に対して交差反応する免疫が作られたとも報告している。 こうしたCOVID-19を悪霊として描き、人びとを脅すことで欧米の一部支配者はワクチンを接種させる環境作りに執着している。その理由のひとつは体内にナノチップを入れ、5G技術を利用してひとりひとりを監視する仕組みを作りたいからだとも言われている。街頭のCCTVカメラやスマートフォンを利用した監視だけではないのだ。 現在、アメリカではmRNAを利用したワクチンの開発が進められている。DNAの遺伝情報がmRNAに転写され、その遺伝情報に従って特定のタンパク質が合成されるのだが、その仕組みの中に侵入して情報を書き換えることができるようになり、可能になった技術だ。 その技術を開発した人物がハーバード大学の准教授だったデリック・ロッシ。2010年にモデルナ・セラピューティクス(現在のモデルナ)を創設した。この技術は安全性に疑問があるとも言われているが、細胞の中にどのようなタンパク質でも発現させられるという問題もある。人間のDNAを書き換える技術とも言える。 アメリカにDARPA(国防高等研究計画局)という秘密兵器の開発機関が存在することは本ブログでも繰り返し書いてきた。電子技術を利用した個人の監視システムが開発、実用化されてきたことは本ブログや拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』でも書いたが、細菌兵器の開発も行ってきた。DARPAはDTRA(国防脅威削減局)と同様、2018年からコロナウイルスのコウモリからヒトへの感染に関する研究を進めている。 DARPAから資金を受け取っていたデューク大学の研究者は2010年、症状が出る前に人がウイルスに感染しているかどうかを遺伝子分析する道具を開発しているが、このデューク大学は中国の武漢大学と共同で昆山杜克大学を設立している。 2014年にDARPAはIVN(生体内ナノプラットフォーム)プログラムを開始した。皮膚の下にコンタクト・レンズのような形状のセンサーを注入、5Gネットワークを通じて、ひとりひとりを監視するシステムを作り上げようとしていると見られている。 2019年9月、欧州委員会とWHO(世界保健機構)は共同でグローバル・ワクチン接種サミットを開催し、22年にはワクチンを接種したかどうかを示すカード/パスポートを導入しようという方針を打ち出した。もしセンサーが「陽性」を示した場合、その人は外出が禁止され、それを無視すると逮捕されるという「新しい生活様式」が導入される可能性もある。これを「人類の家畜化」と呼ぶ人もいる。
2020.09.22
スウェーデンはヨーロッパの中で例外的にロックダウン(監禁政策)を採用しなかった国である。人びとの行動を止めることによる伝染の抑制効果と経済活動へのダメージを比較検討した結果だろう。スウェーデンにおける死亡者数はヨーロッパの中で高いとは言えず、4月中旬から大きく減少している。ロックダウンを採用した国では「第2波」なるものが警告されているが、スウェーデンでは「集団免疫」を獲得、そうした心配はいらないという見方が出ている。 ロックダウンは2010年の段階でパンデミック対策として推奨されていた。この年の5月にロックフェラー財団とGBN(グローバル・ビジネス・ネットワーク)が公表した「技術の未来と国際的発展のためのシナリオ」では2012年に新型インフルエンザのパンデミックが起こり、全人口の20%近くが感染、7カ月で800万人が死亡、その多くは健康な若者だとされている。このパンデミックで人や物資の国際的な移動が止まり、旅行業のような産業や販売網にダメージを与えるのだが、全ての市民を強制的に隔離した国はダメージが少ないとしているのだ。 パンデミック対策として、マスクの着用や公共施設やマーケットの入り口における体温の測定が強制され、そうした管理、監視体制はパンデミックが去った後も続くとしている。人びとの行動も制限されるが、市民は安全と安定を得るために自らの主権やプライバシーを放棄するとも見通し、さらに全ての市民に生体認証が義務づけられるともしている。 3月11日にWHOがパンデミックを宣言した後にロックダウンを採用した国ではフラストレーションから飲酒や喫煙へ逃げ込む人が増え、失業、ホームレス、そして自殺の増加といった深刻な社会問題を引き起こした。「自粛」に留めた日本でもそうした問題は指摘されている。 ロックダウンは主権やプライバシーを放棄させる政策だが、こうした政策は過去にも採られてきた。ある人数以上が集まること、あるいは社会生活を送る中で他人に近づくことを禁じ、貧困化を促進することなどは占領者が非占領者をコントロールするために採用されてきた手口でもあるのだ。 COVID-19を悪霊に仕立て、人びとを脅して主権やプライバシーを放棄させる政策を進めている勢力の中にWEF(世界経済フォーラム)も含まれている。その創設者であるクラウス・シュワブは今年6月、この伝染病を利用して資本主義の大々的に「リセット」すると語っている。リセットということはシステム自体に変化がないことを意味する。ただ、リセットされた世界では人びとに主権がなくなり、国家というクッションを経ずに私的権力が支配することになる。 そうした民主主義を破壊する政策を人びとに押しつけるために支配者が利用したのがCOVID-19。1960年代から80年代にかけてイタリアでは左翼勢力を弱体化し、治安体制を強化するために極左を装った爆弾テロが繰り返された。実行したのはNATOの秘密部隊とも言われるグラディオ。直接的にはイタリアの情報機関が指揮していたが、その背後にはアメリカやイギリスの情報機関がいた。緊張戦略と言われている手口だが、COVID-19も構造は同じだ。 人びとは怯えさせるため、COVID-19を西側の有力メディアが悪霊のように描いた。誇張して表現するだけでなく、作り話も伝えてきた。その一例がエクアドルでの話。COVID-19で多数の死者が出て埋葬が間に合わず、住民が道路で死体を焼いていると伝えたのだが、これは嘘だったのである。似たような話はいくつか伝えられていた。 アメリカでは危機を演出するため、カネの力が利用されたことは本ブログでも紹介した。この実態を早い段階で指摘したのはアメリカ上院のスコット・ジャンセン議員。4月8日にFoxニュースの番組へ出て、病院では死人が出ると検査をしないまま、死亡診断書にCOVID-19と書き込んでいると話している。COVID-19へ感染していた場合、病院が受け取れる金額が多くなるからだ。人工呼吸器をつけるとその額は3倍になるため、器具が不適切な使われ方をして患者の病状を悪化させたり、病気を広めたしているとも言われている。 こうした状況になっていることは医療の現場からも告発されている。検査態勢が整っていない病院では検査せずに死因をCOVID-19と書き込んでいるという。その方が経営的には良いからだ。同じ理由で人工呼吸器をつけようとする。脳梗塞で倒れたような人を迅速に入院させるため、COVID-19に感染していることにすることもあるという話も伝えられていた。(例えばココやココ) 標準的に使われているPCR検査(ポリメラーゼ連鎖反応)に問題があることも知られている。この検査は検体内のウイルスのゲノムの破片を検出しているだけなので、ウイルスの残骸があっても陽性になり、ウイルスそのものを見つけているわけではない。つまりウイルスの残骸や不活性ウイルスでも陽性になってしまう。風邪の原因であるベータ・コロナウイルスでも陽性になる可能性がある。 パンデミックをWHOが宣言した3月11日、NIAID(国立アレルギー感染症研究所)のアンソニー・ファウチ所長はアメリカ下院の管理改革委員会でCOVID-19の致死性は季節性インフルエンザの10倍だと発言しているが、ファウチを含む3名の研究者は2月28日にCOVID-19の致死率は1%未満かもしれないとニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディスンで発表している。つまり季節性インフルエンザ並みということだ。 どの国でも死亡した人の大半が高齢者だということは共通している。心臓病、高血圧、脳卒中、糖尿病、悪性腫瘍(癌)、肝臓や腎臓の病気を複数抱えていることが大半。SARS-CoV-2に感染していると、死因が何であれ、「新型コロナウイルスの患者が死亡した」と報道され、危機感を煽ってきたのだ。 テキサス州やフロリダ州でも状況は同じ。患者数を膨らませて見せるため、熱や頭痛があるとCOVID-19の患者と推定されるとされる。病床がCOVID-19の患者で満床で、陽性率は90%以上だと宣伝されたが、そうした事実はなかった。アメリカでは公的な医療体制が貧困で、病気の蔓延に対処できないことは事実だが、それは構造的な問題。そうした状況の中、SARS-CoV-2の感染が問題になっているのだが、医療現場の状況が極度に悪化しているわけではないようだ。
2020.09.21
ウィキリークスの中心的な存在だったジュリアン・アッサンジにアメリカは懲役175年を言い渡す可能性がある。そのアメリカへアッサンジを引き渡す法的な手続きがイギリスで進められている。その法廷で裁判長を務めているのがエマ・アーマスノット。この人物の素性が注目されている。本人が軍産複合体や情報機関と緊密な関係にあるだけでなく、夫のジェームズも戦争ビジネスにつながっているからだ。 アッサンジをアメリカの当局が秘密裏に起訴したのは2011年初めにだと言われている。ウィキリークスは内部告発を公表する支援活動をしてきたが、これはジャーナリズムの役割と重なる。 ウィキリークスが公表した情報の中でアメリカの支配者を最も怒らせたものはイラクへの先制攻撃や占領政策に関する情報だとも言われている。その中には2010年4月に公開されたアメリカ軍のAH-64アパッチ・ヘリコプターによる非武装の一団に対する銃撃が含まれているはずだ。これは2007年7月にバグダッドで引き起こされた出来事だが、その銃撃でロイターの特派員2名を含む非武装の十数名が殺されている。 日本ではさほど大きく取り上げられず、勘違いで銃撃したと「解説」するマスコミもあったが、実際に公表された映像を見たなら、そうした戯言は言えないはずだ。アメリカの本性と直視することができないのだろう。アングロ・サクソンの支配者がコントロールしている天皇制官僚システムという枠組みの中から踏み出したくないのだ。 ジャーナリストのむのたけじは1991年に開かれた「新聞・放送・出版・写真・広告の分野で働く800人の団体」が主催する講演会の冒頭、「ジャーナリズムはとうにくたばった」と発言(むのたけじ著『希望は絶望のど真ん中に』岩波新書、2011年)、マサチューセッツ工科大学のノーム・チョムスキーはそうしたマスコミを「プロパガンダ工場」と呼んだ。 全くその通りなのだが、チョムスキーはアメリカの支配システムの根幹を揺るがすような情報に切り込まない。例えばジョン・F・ケネディの暗殺や2001年9月11日の世界貿易センターや国防総省本部庁舎への攻撃。ケネディ暗殺はリー・ハーベイ・オズワルドの単独犯行であり、911はアル・カイダの犯行だという非科学的な話を受け入れている。こうした非科学的な話に納得せず、疑問を表明する人びとにつけられるタグが「謀略論者」だ。その一方、根拠や証拠を示すことなく、アメリカにとって都合の良い話を西側の有力メディアは流し続ける。 西側の支配者が人びとに信じさせたい偽情報を拡散させる仕組みが有力メディア。1970年代の後半から西側では気骨あるジャーナリストを排除し、メディア支配の規制を撤廃して寡占化を進められてきた。情報を操作、言論を統制する仕組みの強化だ。そうした情報操作、言論統制の仕組みを揺るがせたのがウィキリークスである。言論の自由に関心を持っていながらアッサンジの問題に関心を持たないということはありえない。
2020.09.21
シリアの北東部でパトロールしていたロシア軍の車列を2機のアメリカ軍のヘリコプターAH-64が接近して追尾、そうした挑発的な行為をロシア軍のヘリコプターMi-35とMi-8が止めさせるという出来事が9月16日にあった。 ドナルド・トランプ大統領はアメリカ軍をシリアから撤退させるかのような発言をしてきたが、実態は逆。例えば、イドリブでアル・カイダ系武装勢力が統合されてファスバトゥなる組織が編成され、資金や武器/兵器はNATOから提供されると言われている。またクルド勢力の統合を進めるため、PYNKなる組織が5月20日に作られた。 シオニストの一派であるネオコンは1980年代からイラクのサダム・フセイン体制を倒して親イスラエル政権を樹立、シリアとイランを分断して個別撃破するという計画を持っていた。 ところが、ジョージ・H・W・ブッシュやジェームズ・ベイカーを含む勢力はフセインをペルシャ湾岸産油国の用心棒と考えていたことからアメリカ支配層の内部で抗争が勃発する。そこで暴露合戦が始まり、イラン・コントラ事件やイラクゲート事件が浮上したわけだ。 アメリカ軍が主導する連合軍は1991年1月から2月にかけてイラクを攻撃したが、その際にブッシュ大統領はフセイン体制を倒さなかった。そこでネオコンは激怒、戦争が終わった直後、国防次官のポール・ウォルフォウィッツはイラク、イラン、シリアを殲滅すると口にしていたという。本ブログでは繰り返し書いてきたが、これはウェズリー・クラーク元欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)最高司令官の話である。(3月、10月) 1991年12月にソ連が消滅、翌月の2月に国防総省のDPGという形で世界制覇プランがネオコンのウォルフォウィッツ国防次官を中心に作成された。いわゆるウォルフォウィッツ・ドクトリンだ。新たなライバルの出現を阻止する一方、権力の基盤になるエネルギー資源を支配しようと考えたのだ。 アメリカが考えた潜在的ライバルには西ヨーロッパ、東アジア、旧ソ連圏、南西アジアなどが含まれるが、特に警戒したのは中国。そこから東アジア重視という政策が出てくる。産油国でアメリカに近いベネズエラが狙われるのも必然だ。 ウォルフォウィッツと同じようにネオコンの中心グループを形成していたリチャード・パールやダグラス・フェイスたちは1996年に「決別(A Clean Break: A New Strategy for Securing the Realm)」という文書を公表、その中でも、イスラエルはトルコやヨルダンと手を組んでシリアを包囲して弱体化、フセインを排除すべきだとネオコンは主張している。勿論、その先にはイランの体制転覆がある。 ウォルフォウィッツ・ドクトリンはロシアがアメリカの属国になったという前提で作成されたのだが、21世紀に入り、ロシアが曲がりなりにも再独立したことから揺らぐ。 それを修正しようとしたのか、ネオコンは2014年2月にウクライナでネオ・ナチを使ったクーデターを成功させ、その年の9月から12月まで香港で反中国の「佔領行動(雨傘運動)」を展開させたが、これが裏目に出る。ロシアと中国を接近させることになったのだ。 2014年にアメリカはシリアのダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)を売り出す。ダーイッシュもサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団を中心とする武装勢力だが、2012年8月の段階で、バラク・オバマ政権の政策はシリアの東部(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配地域を作ることになると警告していたマイケル・フリンDIA局長は2014年8月に退役させられている。 ダーイッシュの残虐性を演出してアメリカ軍の介入を容認する雰囲気を作り出す一方、2015年には2月に国防長官がチャック・ヘーゲルからアシュトン・カーターへ交代、9月には統合参謀本部議長がマーチン・デンプシーからジョセフ・ダンフォードへ交代した。 ヘーゲルは戦争に慎重だったが、カーターは2006年にハーバード大学で朝鮮空爆を主張した人物。シリアからバシャール・アル・アサド大統領を排除しようとしていたバラク・オバマ大統領とは違い、サラフィ主義者やムスリム同胞団を危険だと考えていたデンプシーはシリア政府と情報を交換していたと言われている。 統合参謀本部議長が交代になった時点でアメリカはシリアでもリビアと同じように空爆を始めると見る人は少なくなかったが、その直後、9月30日にロシアはシリア政府の要請を受けて軍事介入、ダーイッシュを敗走させる。アメリカは大規模な軍事介入できなくなった。そこで地上軍をこそこそと侵入させ、敗走したダーイッシュに替わり、クルドを使い始めた。 アメリカはバラク・オバマ政権もドナルド・トランプ政権も1980年代にネオコンが立てていた戦略に基づいて動いている。次の大統領選挙で誰が当選しても、この戦略から逃れることはできないのだろう。をこそこそと侵入させ、敗走したダーイッシュに替わり、クルドを使い始めた。 アメリカはバラク・オバマ政権もドナルド・トランプ政権も1980年代にネオコンが立てていた戦略に基づいて動いている。次の大統領選挙で誰が当選しても、この戦略から逃れることはできないのだろう。
2020.09.20
イランのナタンズにあるウラン濃縮施設が7月2日に爆破されて遠心分離機がダメージを受けたが、これはイランに核開発を止めさせるため、警告としてイスラエルが実行したとエルサレム・ポスト紙が伝えている。6月25日にテヘランの東で爆弾攻撃があってから十数カ所が破壊されたと見られているが、そのひとつだ。 ウラン濃縮施設での爆破について、クウェートの新聞はイスラエルによるサイバー攻撃だとしていたが、ニューヨーク・タイムズ紙は中東の情報機関幹部の話として、イスラエルが強力な爆弾を使って破壊したと伝えている。今回の記事はニューヨーク・タイムズ紙に近い。 そのニューヨーク・タイムズ紙の報道に関し、狂信的なユダヤ至上主義者と言われているアビグドル・リーバーマンは、その情報源としてイスラエルの情報機関モサドのヨシ・コーエン長官だとほのめかす発言をしている。 その後、8月4日にはレバノンの港で2度の大きな爆発があった。最初は午後6時過ぎで、数分後にはさらに大きな爆発。2番目はインターネット上に流れている映像には核爆発を思わせるキノコ雲や衝撃波が映っていて、核爆発を連想させるものだった。 最初の爆発はイスラエルが発射した対艦ミサイルガブリエル、2度目の爆発はF16が発射した核弾頭を搭載したデリラだとする話も伝えられている。ミサイルが写った映像は偽物だと宣伝されたが、いくつかの映像が残っていて、ミサイルによる攻撃だった可能性は小さくない。 爆発があったのは港の倉庫街。爆発後に撮影された写真には大きなクレーターが写っている。その破壊力から小型核爆弾、あるいはイスラエルの新兵器が使われたとする推測が語られている。しかも爆発があった当時、アメリカ軍のP-8A哨戒機やEP-3E電子偵察機、合計4機がレバノン沖を飛行していた。 レバノンで2005年2月にラフィク・ハリリが暗殺されたが、ハリリが乗っていた装甲車両に同乗、負傷してフランスの軍事病院で治療を受けたバッセル・フレイハンから濃縮ウランが検出されている。 2006年7月から9月にかけてイスラエル軍はレバノンに軍事侵攻、ヒズボラに敗北しているが、その直後に現地入りしたウルスター大学のクリストファー・バスビー教授は現場で濃縮ウランを見つけたという。 そのバスビー教授は2011年10月、イラクのファルージャで住民を調べた結果を明らかにしているが、その中で濃縮ウランが人の髪の毛や土の中から検出されたと語っている。劣化ウラン弾ではない何らかの核兵器が使われた可能性があると言うことだ。 言うまでもなく、中東には核兵器保有国が存在する。イスラエルだ。1986年10月にサンデー・タイムズ紙が掲載したモルデカイ・バヌヌの内部告発によると、その当時、イスラエルが保有していた核弾頭の数は150から200発。水素爆弾をすでに保有、中性子爆弾の製造も始めていたという。中性子爆弾は実戦で使う準備ができていたとしていた。使うチャンスがあれば使うということだ。 また、イツァク・シャミール首相の特別情報顧問を務めたアリ・ベンメナシェによると、1981年に時点でイスラエルがサイロの中に保有していた原爆の数は300発以上におよび、水爆の実験にも成功していた。(Seymour M. Hersh, "The Samson Option", Faber and Faber, 1991)ジミー・カーター元米大統領はイスラエルが保有する核兵器の数を150発だとしている。(BBC, May 26, 2008)
2020.09.19
中国の武漢へ60名の乗客を乗せた韓国のティーウェイ航空の旅客機が到着した。この航空会社は武漢と仁川を結ぶ週1回の定期便を復活させるという。中国は感染者の入国を警戒しているようで、乗客は搭乗前の72時間を指定のホテルで過ごし、到着後は検査の後、ホテルで2週間過ごすことになっている。 中国で感染の沈静化に成功したとなると、西側でCOVID-19(コロナウイルス感染症-2019)を使った脅しを続けることが難しい。この脅しで人びとに主権を放棄させ、社会を収容所化しているが、経済活動の麻痺に対する不満が高まり、中国の状況を見て、そのエネルギーが暴走する可能性もあるからだ。とりあえず中国に対して人びとが悪いイメージを持つようにする必要があるだろう。 言うまでもなく、SARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)に感染した人が初めて見つかったとされているのは武漢。昨年12月31日に武漢で原因不明の肺炎患者が見つかったと中国はWHOへ報告、その後、武漢がある湖北省で11月17日に患者が出ていると確認されている。 それがCOVID-19騒動の幕開けだったが、武漢は5G(第5世代移動通信システム)の実践の場。そこでCOVID-19の患者が見つかった意味は小さくない。ドイツのアンゲラ・メルケル首相は2019年9月6日に北京で習近平国家主席と会談しているが、その翌日に武漢を訪れたが、その理由もその辺にある。 武漢には細菌に関する研究をしていた施設も存在した。中国科学院の武漢病毒研究所だ。この研究所は米国テキサス大学のガルベストン・ナショナル研究所やカナダのNML(ナショナル細菌研究所)と共同で細菌に関する研究を実施、タミフルやレムデシビルを開発したギリアド・サイエンシズともつながる。 NMLは2019年3月に中国へ非常に毒性の強いウィルスを秘密裏に運びこみ、中国当局から抗議されたとも言われているが、この輸送をカナダ政府は容認していたともいう。そして7月には中国のウイルス学者がNMLから追い出された。 また武漢大学はアメリカのデューク大学と共同で昆山杜克大学を設立しているが、デューク大学はアメリカ軍の秘密兵器開発機関とも言われているDARPA(国防高等研究計画局)と結びついている。DARPAはDTRA(国防脅威削減局)と同様、2018年からコロナウイルスのコウモリからヒトへの感染に関する研究を進めていた。 2019年10月18日にはニューヨークで、コロナウイルスが全世界で流行するというシミュレーションが実施された。イベント201だが、その主催者はジョンズ・ホプキンス健康安全保障センター、WEF(世界経済フォーラム)、ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団。そのシナリオによると、ブラジルの農場で感染は始まり、急速に世界へ広がり、18カ月後には6500万人が死亡するとされている。 そのシミュレーションが行われた10月18日、各国の軍人による競技会が開幕した。27日まで大会は続く。アメリカも選手団を派遣した。アメリカ人競技者は172名だが、実際に中国入りした人数は369名だという。そして武漢でCOVID-19の感染者が発見された。
2020.09.18
ウィンストン・チャーチル1951年4月に自宅でニューヨーク・タイムズ紙のジェネラル・マネージャーだったジュリアス・アドラーに対し、ソ連に最後通牒を突きつけ、それを拒否したなら20から30発の原爆をソ連の都市に落とすと脅そうと考えていると話していたことを示す文書が発見されたという。1951年10月にチャーチルが首相へ返り咲く直前のことである。 第2次世界大戦の当時からチャーチルはソ連を敵視している。アドルフ・ヒトラーの側近だったルドルフ・ヘスが単身、飛行機でスコットランドへ渡った翌月の1941年6月、ドイツ軍は全兵力の4分の3がソ連へ攻め込んだが、その際にイギリスとアメリカが傍観したのもそのためだろう。そうした米英の姿勢をヒトラーも知っていたかのようだ。 米両国が動き始めるのはドイツ軍が43年2月にスターリングラードで降伏してから。その年の5月に慌てて両国の首脳は協議、7月にシチリア島上陸作戦を敢行した。その際、コミュニスト対策で手を組んだ相手がマフィアだ。 スターリングラードの戦いでドイツ軍が敗亡したことによって戦争のの帰趨は決したのだが、しばらく戦争は続く。そして1945年4月にフランクリン・ルーズベルト米大統領が急死して親ファシストのウォール街がホワイトハウスを奪還、5月にドイツは降伏する。 その直後にチャーチルはソ連に対する奇襲攻撃を目論んだ。そして作成されたのがアンシンカブル作戦。7月1日にアメリカ軍64師団、イギリス連邦軍35師団、ポーランド軍4師団、そしてドイツ軍10師団で「第3次世界大戦」を始めるというものだったが、参謀本部がこの計画を拒否したので実行されていない。 アメリカでは1945年7月16日にニューメキシコ州のトリニティ(三位一体)実験場でプルトニウム原爆の爆発実験を行って成功した。この日程はポツダム会談が始まる前日に行いたいというハリー・トルーマンの求めで決められた。 この成功を受けてトルーマンは原爆の投下を許可、26日にポツダム宣言が発表され、8月6日に広島へウラン型が投下された。長崎へプルトニウム型原爆が投下されたのはその3日後だ。 チャーチルは1945年7月26日に辞任するが、46年3月にアメリカのフルトンで「鉄のカーテン演説」を行って「冷戦」の開幕を宣言、その翌年にはアメリカのスタイルズ・ブリッジス上院議員に対し、ソ連を核攻撃するようハリー・トルーマン大統領を説得してほしいと求めている。その5年後、チャーチルのソ連を核攻撃したいという欲望はさらに膨らんだわけだ。 その欲望はアメリカの好戦派も共有、ソ連や中国に対する核攻撃計画を作成しはじめる。1950年代に沖縄の軍事基地化が進んだのはそのためだ。沖縄のアメリカ軍基地は攻撃のためのものであり、そこの部隊は「殴り込み」が目的だ。 アメリカの軍や情報機関の好戦派は1957年初頭にソ連を核攻撃する目的で「ドロップショット作戦」を作成、テキサス大学のジェームズ・ガルブレイス教授によると、攻撃は1963年後半に実行されることになっていた。1963年11月22日にソ連との平和共存を訴えていたジョン・F・ケネディ大統領が暗殺され、それを口実にしてソ連との戦争を始めようという動きがあったが、これは挫折している。
2020.09.17
COVID-19(コロナウイルス感染症-2019)の伝染が拡大しているとしてWHO(世界保健機関)が3月11日にパンデミック(感染爆発)を宣言、世界的な規模で人びとの行動が制限され、監視体制が強化されるようになったが、そうした政策に反発する人びとの抗議活動も始まる。 そうした中、5月25日にアメリカのミネソタ州ミネアポリスで警官に取り押さえられたジョージ・フロイドという男性が死亡するという事件が引き起こされた。マーケットで買い物をした際、フロイドから受け取った20ドル紙幣が偽札だと判断した店員は警察に通報、警官4名が駆けつけたのだ。 その事件を切っ掛けにして、アメリカ国内では暴動が始まる。その中心にいるのはBLM(黒人の命は大切)とアンティファ(反ファシスト)だが、名称で中身を判断することは危険だ。アメリカやイギリスの情報機関には、目的と逆の名称を持つ団体を使ってきた過去がある。 例えば、本ブログでも繰り返し書いてきたNATOの秘密部隊。イタリアではグラディオと呼ばれ、1960年代から80年代にかけて爆弾テロを実行、クーデターも計画した。その際、彼らは「極左」を装っている。その代表例がアルド・モロを1978年5月に誘拐し、殺したとされる「赤い旅団」だ。 この組織はトレント大学の学生が作った左翼グループで、1974年9月に主要な幹部は逮捕されている。残されていた幹部、マリオ・モレッティはCIAとの関係が疑われている人物。CIAとグラディオの連絡将校を務めていたオズワルド・ル・ウィンターによると、赤い旅団は西側の情報機関に深く潜入されていた。(Hugh O’Shaughnessy, “GLADIO Europe’s best kept secret,” Observer, 7 June 1992) かつてアメリカにはブラック・パンサーと呼ばれる団体が存在した。当初は警察の暴力から身を守るというアフリカ系住民の組織だったが、日系のリチャード・アオキなる人物によって武装闘争へと導かれていった。 支配グループに睨まれると、社会から抹殺される。場合によっては冤罪で刑務所に入れられ、殺される恐れさえあるのだが、アオキの場合、ブラック・パンサーが解散した後、教育者や大学のカウンセラーとして活動していたようだ。FBIやCIAは彼に対し、寛容である。サンフランシスコを拠点とする調査ジャーナリストのセス・ローゼンフェルドによると、アオキは「T-2」という暗号名で呼ばれていたFBIの情報屋だったという。 BLMとアンティファは連携している。BLMを始めたアリシア・ガーザ、パトリセ・カラス、オパル・トメティはFRSO(自由の道社会主義者機構)に関係、資金援助を受けていた。FRSOは1985年に設立された「マルクス-レーニン主義者の団体」だというのだが、その当時、アメリカに勢力として「マルクス-レーニン主義者」が存在していたようには思えない。1990年にあった湾岸戦争の際に反戦運動を行ったというのだが、視界に入ってこなかった。1992年のウォルフォウィッツ・ドクトリン以降に始まったアメリカの侵略戦争でも影響力はない。1980年以降、アメリカで大規模な反戦運動は行われていない。 そのFRSOの下にはいくつかの団体が存在、そのひとつはフォード財団、ジョージ・ソロスのオープン・ソサエティ財団、ケロッグ財団、ロックフェラー財団、ジョン・ケリー元国務長官の妻の一族が創設したハインツ基金、アイスクリームで有名なベン・アンド・ジェリー財団、ヒューレット財団などが名を連ねている。これだけの資金力があるので運動も広がったと言えるだろう。 人種だけでなく、さまざまな差別が存在する。女性差別やLGBTも大きく取り上げられてきた。日本では被差別部落や東アジア人に対するものも深刻である。徳川時代には東アジア諸国と友好的な関係を維持してきたにもかかわらず、イギリスを後ろ盾とする明治維新の後、東アジアの人びとを差別するようになるのは政府による「反東アジア教育」、つまり洗脳の結果だ。侵略して略奪するためには、国民をそのように洗脳する必要があったのだ。その洗脳は今も生きている。 そうした差別に反対すると主張された場合、その主張に反対する人は少ないだろう。それ自体に問題はないが、すべとの意識をそこへ集中させることは問題である。 アメリカにおける黒人差別との戦いには長い歴史がある。その象徴的な人物はマーチン・ルーサー・キング牧師で、いまでも牧師は公民権運動の指導者として紹介される。あたかも人種差別のみに関わっていたかのように言われるのだが、キング牧師は暗殺される直前、ベトナム戦争に反対すると声を上げていた。1967年4月4日にはニューヨークのリバーサイド教会で開かれた集会で「なぜ私はベトナムにおける戦争に反対するのか」という話をしている。 その集会は「ベトナムを憂慮する牧師と信徒」が開いたもので、主催者は「沈黙が背信である時が来ている」と主張、キング牧師はそれに賛意を示している。 キング牧師は大半のアメリカ国民はベトナム戦争の悲惨な現実から目をそらし、自分自身を欺いていると指摘、そうした偽りの中で生きることは精神的な奴隷状態で生きることを意味すると語った。 ロン・ポール元下院議員によると、キング牧師の顧問たちは牧師に対してベトナム戦争に焦点を当てないよう懇願していたという。そうした発言はベトナム戦争を本格化させたリンドン・ジョンソン大統領との関係を悪化させると判断したからだ。支配システムが設定した枠はそこにある。 しかし、キング牧師はそうしたアドバイスを無視。その結果、支配層の中で「リベラル派」とされる人々と対立することになる。リバーサイド教会での説教から1年後の1968年4月4日、キング牧師はテネシー州メンフィスのロレイン・モーテルで暗殺された。枠の外へ踏み出した結果だ。 戦争が軍需産業や金融機関のカネ儲けに結びついていることは確かであり、政治の延長という要素もあるだろうが、少なくともアングロ・サクソンの場合、戦争は世界を制圧して富を独占するという長期戦略に基づいている。アングロ・サクソンを中心に広がった資本主義は一部の人びとが富の大半を独占するシステム。その純化した形態が新自由主義にほかならない。そこには少数の支配者と大多数の被支配者が存在する。 そこに現代社会が抱える最大の問題があるのだが、西側ではそうした支配構造でなく、人種差別、女性差別、LGBTに人びとの目を向けさせようとする力が働いている。差別問題に集中している限り、安全だ。公民権運動から反戦へ足を踏み出した直後にキング牧師は殺されたのである。これを偶然と考えることはできない。
2020.09.17
ロシアの親米活動家、アレクセイ・ナワリヌイが昏睡状態になった出来事でマリーナ・ペブチフなる人物が注目されている。ナワリヌイのシベリア訪問に同行していた6名のひとりで、ロシアの警察による事情聴取要請をただひとり拒否、8月22日に出国した。彼女によると、自分は「マリーナ」ではなく「マリア」であり、マリア・ペブチフは事情聴取を求められなかったとしている。 ペブチフはイギリスの永住権を持っているが、生まれたのはロシア。1987年のことだ。ロシアでの報道によると、ナワリヌイの活動に合流したのは2009年で、その当時、イギリスの国会議員のアシスタントをしていた。 2010年にモスクワ・ロモノソフ大学を卒業、現在はイギリスやオーストラリアで書店チェーンを経営している。彼女は反ウラジミル・プーチンの富豪、ミハイル・ホドルコフスキーやイエブゲニー・チチバルキンと親しく、資金的な後ろ盾はしっかりしているのだろう。 ホドルコフスキーはボリス・エリツィン時代にクレムリンの腐敗勢力と手を組んで巨万の富を手にしたオリガルヒのひとり。ジャーナリストのマイケル・グロスによると、彼はソ連時代にコムソモール(全ソ連邦レーニン共産主義青年同盟)の指導者だったが、その時にリチャード・ヒューズなる人物とロシアの「モデル」をニューヨークへ送るビジネスを始めている。 通常ならソ連当局が認めないようなビジネスで、実際、当局は出国ビザを出し渋ったという。その問題を突破できたのはホドルコフスキーのKGB人脈だった。(Michael Gross “From Russia with Sex”, New York, August 10, 1998)ソ連はKGBの中枢を支配していた腐敗勢力とやはり腐敗していたCIA人脈によって潰されたのだが、ホドルコフスキーはその末端にいたと言えるだろう。 ちなみに、ナワリヌイの妻の父親、ボリス・アブロシモフはロンドンにおけるロシア人の財産を管理している銀行家で、元KGB。ロシアの富豪で元KGBのアレクサンダー・レベデフの同僚だという。 その後、ホドルコフスキーはメナテプ銀行を設立した。違法送金やマネーロンダリングが目的だったとみられている。そして1995年にエネルギー会社のユーコスを買収、中小の石油会社を呑み込んでいく。その一方で1996年にはモスクワ・タイムズやサンクトペテルブルグ・タイムズを出している会社の大株主になっている。 21世紀に入ってウラジミル・プーチンがロシアを再独立させると、ホドルコフスキーは2002年9月にジョージ・ソロスの「オープン・ソサエティ基金」をモデルにした「オープン・ロシア基金」をアメリカで創設、ヘンリー・キッシンジャーやジェイコブ・ロスチャイルドを雇い入れている。 ホドルコフスキーは2003年10月にノボシビルスクの空港で逮捕されるが、その当時、彼はユーコスの発行済み株式のうち25から40%をアメリカの巨大石油会社、エクソン・モービルとシェブロンへ売り渡そうとしていた。(Natylie Baldwin & Kermit Heartsong, “Ukraine,“ Next Revelation Press, 2015) ナワリヌイの事件にはこうした人脈がある。こうした人脈の影響下にある西側の有力メディアがプーチンを攻撃するのは当然だと言えるのだが、この事件が誰にとって利益になるかも話題になっている。ロシアでの支持率が2%に満たないナワリヌイに毒を盛る必然性がプーチン政権にないからだ。 この事件後、アメリカ政府はロシアからEUへ天然ガスを運ぶパイプライン、ノードストリーム2の建設を中止するように要求している。このパイプラインはロシアとEUを結びつけることになり、EUの自立を嫌うアメリカやイギリスの支配層は建設を止めようと必死だ。この建設において、EU側で中心的な役割を果たしてきたのがドイツ。そのドイツへナワリヌイへ運び込んだ意味は大きい。 そもそも毒を盛られたという主張の根拠は示されていない。ドイツ軍の研究機関がそう主張し、同国の病院も同じことを言い始めただけである。 西側は「ノビチョク(初心者)」なる神経ガスが使われたと主張している。その毒性は別の神経ガスVXの10倍だと宣伝されているが、そのVXガスの致死量は体重70キログラムの男性で10ミリグラム。ノビチョクは1ミリグラムということになる。「すごい」と思わせる数字だが、ナワリヌイは死ななかった。 ノビチョクという名前が広く知られるようになったのは2018年のことだろう。この年の3月、イギリスのソールズベリーでセルゲイ・スクリパリとユリア・スクリパリの親子に使われたと西側の政府や有力メディアは宣伝したのだが、この時も証拠は示されず、この親子は死ななかった。 ナワリヌイが昏睡状態になった直後に航空機は緊急着陸、オムスクの病院で治療を受けている。その病院の医師によると、昏睡状態になった原因は低血糖。彼は糖尿病を患っていることから、素直に考えれば糖尿病性ショックとも呼ばれる重度の低血糖が原因だ。
2020.09.16
2020年春の卒業者で内定が取り消された人は19年の約5倍で、解雇や雇い止めも増え続け、自殺者も増えていると伝えられている。COVID-19(コロナウイルス感染症-2019)の恐怖を煽っていたマスコミは、今春卒の影響は「限定的」と宣伝していたが、その深刻さを誤魔化しきれなくなってきたようだ。過去の例から考え、体を売らざるをえなくなっている女性も少なくないだろう。 本ブログでは繰り返し書いてきたが、COVID-19の恐怖はアメリカやイギリスの一部支配者が有力メディアを使って作り出した幻影にすぎない。自分たちにとって都合の良い体制を築くために恐怖やショックを利用するのは彼らの常套手段だ。 COVID-19の騒動は3月11日にWHO(世界保健機関)がパンデミック(感染爆発)を宣言したところから始まる。それを受け、3月13日にアメリカのドナルド・トランプ政権は国家緊急事態を表明、イギリスのボリス・ジョンソン首相は3月23日にロックダウン(監禁)を、そして4月7日に安倍晋三政権は緊急事態をそれぞれ宣言した。 恐怖を煽るため、患者数や死者数を膨らませている。例えばCOVID-19が話題になり始めた当初から、死亡者は深刻な複数の持病を抱えている人が多いと指摘されていた。ヨーロッパの中で早く感染が始まったイタリアの場合、死亡した感染者の平均年齢は81歳を上回り、80%以上は複数の慢性的な病気、例えば心臓病、糖尿病、癌などを抱えていた。COVID-19が死因だと言える人は1%未満にすぎなかったという。 本ブログでは以前にも書いたが、イタリア健康省の科学顧問を務めるウォルター・リッチアルディによると、COVID-19が直接的な原因で死亡した人数は死者全体の12%。またこのウイルスが原因で死亡したとされる患者の中で96.3%の死因はこのウイルスではないとビットリオ・スガルビ議員は主張している。 ドイツではCOVID-19の危険性は通常のレベルを超えていないとし、戒厳令的な政策を推進したことは間違いだとする内務省の報告書がリークされた。シュピーゲル誌によると、内務省はこの文書についてステファン・コーンという内務省の官僚が個人的に書いたものにすぎないと弁明しているが、実際は同省のKM4というチームが作成したとものだという。 アメリカの場合はヨーロッパより露骨。アメリカ上院のスコット・ジャンセン議員は4月8日にFOXニュースの番組で、病院は死人が出ると検査をしないまま死亡診断書にCOVID-19と書き込んでいると話していた。COVID-19の患者を治療すると病院が受け取れる金額が多くなり、人工呼吸器をつけるとその額は3倍になるからだという。 PCR検査(ポリメラーゼ連鎖反応)も人びとを脅す手段として利用されている。この検査は検体内のウイルスの遺伝子を対象にしたもので、ウイルスそのものを見つけられないことは本ブログでも繰り返し書いてきた。PCR検査の開発者で、1993年にノーベル化学賞を受賞したキャリー・マリスは、この手法をウイルスの検査に使ってはならないと繰り返していたと指摘されている。 このPCRを含む簡易検査で感染しているかどうかを判断しようとすると、実際には爆発的な感染などしていないにもかかわらずパンデミックを宣言することになりかねないのだが、そうしたことをアメリカの有力メディア、ニューヨーク・タイムズ紙も警告していた。 過去の経験からCOVID-19に対して有効な薬が存在すると言われているが、有力メディアはアメリカの医療利権にとって好ましくないものは否定している。そのひとつが抗マラリア剤として知られているヒドロキシクロロキン。抗生物質のアジスロマイシンと一緒に処方すると効果があることは研究者や現場の少なからぬ医師が主張している。フランスの著名な微生物学者、ディジェ・ラウルを含むグループが3月の段階でこのコンビネーションが有効だと報告、アメリカ人医師のグループも同じように主張している。 また、ヒドロキシクロロキンからヒドロキシル基を取り去った構造をしているクロロキンがコロナウイルスに対して有効だとする論文も存在する。2005年8月22日、ウイルス・ジャーナルというNIH(国立衛生研究所)の公式刊行物に掲載された。 また、インターフェロン・アルファ2bもCOVID-19に有効だと言われている。この薬はキューバで研究が進んでいるのだが、その切っ掛けは1981年に同国でデング熱が流行したことにある。この流行はアメリカによる攻撃だったと見られているが、その際に有効だったのだ。 この薬は病原体を攻撃するのではなく、リンパ球を刺激して免疫能力を高めるとされている。人間の免疫システムはCOVID-19の原因になるSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)に対しても機能しているが、そのシステムを高めるインターフェロン・アルファ2bも有効だという。免疫システムが機能しているのでSARS-CoV-2に感染しても7割から8割は症状が出ないか軽く済むのだろう。 COVID-19を悪霊として描いている人びとはワクチンを「魔法の薬」であるかのように宣伝してきた。ワクチンの有効性や危険性に人びとが関心を持つようになると、強制的にワクチンを接種させようとしはじめる。 それだけでなく、欧州委員会とWHO(世界保健機構)は2019年9月、共同でグローバル・ワクチン接種サミットを開催し、22年にはワクチンを接種したかどうかを示すカード/パスポートを導入しようという方針を打ち出している。ナノチップが開発され、5Gが実用化されたなら、ひとりひとりを一部の人間が監視できるようになる。 監視するのは支配者、つまり私的権力。COVID-19を利用して資本主義の大々的に「リセット」するとWEF(世界経済フォーラム)の創設者であるクラウス・シュワブは今年6月、語っているが、リセットされた世界では主権国家ではなく私的権力が支配することになるだろう。 こうした展開を「予測」していた人びとがいる。2010年5月、ロックフェラー財団とGBN(グローバル・ビジネス・ネットワーク)は「技術の未来と国際的発展のためのシナリオ」と題された報告書を発表、その中でパンデミックによる経済へのダメージが指摘されているのだ。ならば対策を考えれば良いようなものだが、そうしたことが行われたようには見えない。 そのシナリオによると、2012年に新型インフルエンザのパンデミックが起こり、全人口の20%近くが感染、7カ月で800万人が死亡、その多くは健康な若者になるとされている。経済活動へのダメージも想定され、人や物資の国際的な移動が止まることから旅行業のような産業や販売網は特に大きなダメージを受けると見通されていた。 また、社会的にはマスクの着用、公共施設やマーケットの入り口における体温の測定が強制され、そうした管理、監視体制はパンデミックが去った後も続くと想定。市民は安全と安定を求めて自らの主権やプライバシーを放棄、電子技術の基盤が整備されている先進国では全ての市民に生体認証が義務づけられるとされている。COVID-19後、世界は収容所になるということだ。収容所化しないと、庶民が反乱を起こす可能性がある。 COVID-19によって経済活動は麻痺したが、この伝染病が出現する前からアメリカを中心とする経済システムは崩れ初めている。富の集中が進み、大多数の人びとが貧困化した結果だ。怒りのエネルギーは高まり続けている。そのエネルギーをコントロールするための仕組みが教育やメディアだ。 こうした怒りが爆発しそうになったことがある。1999年11月末から12月の初めにかけてシアトルで行われた激しい抗議活動。その時、そこではWTOの会議が開かれていた。そうした新自由主義に対する抗議活動は2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎が攻撃されてから一気に衰退した。 この攻撃で「アル・カイダ」という実在しない悪霊が登場、アメリカはそれを利用して国外での侵略戦争と国内での収容所化を本格化させている。COVID-19はアル・カイダに次ぐ悪霊だ。
2020.09.16
COVID-19(コロナウイルス感染症-2019)の感染拡大を抑え込むという名目で始められた対策が世界の経済システムを麻痺させ、倒産企業や失業者を急増させている。その一方で一部の富豪は財産を増やし、そうした富豪が世界を直接統治する体制が築かれようとしている。富豪はこれを「資本主義のリセット」と呼んでいるが、富の再分配が行われるわけではない。富をさらに集中させるだけだ。 似たようなことは1991年12月にソ連が消滅した後にも引き起こされている。大多数の人びとは貧困化、街には犯罪者や売春婦があふれたのだが、その一方でボリス・エリツィン政権と結びついた一部の人間は巨万の富を手にしている。そして誕生したのがオリガルヒだ。オリガルヒの背後にはソ連時代の情報機関KGBの腐敗勢力やアメリカやイギリスの金融資本、いわゆるウォール街やシティが存在していた。 西側世界を支配している富豪が「資本主義のリセット」を望んでいるのは、現在のアメリカを中心にした資本主義システムが行き詰まり、立ち行かなくなっているからにほかならない。 アメリカが資本主義システムの中心に位置できたのはドルが基軸通貨として認められたからである。ドルを発行する特権を利用して商品を購入し、戦争を続けることが容易になった。 そのシステムを維持するためにドルを実世界から回収する仕組みが作られているが、そのひとつがペトロダラー。石油取引の決済をドルに限定させることで各国にドルを集めさせ、産油国に集まったドルをアメリカ国債や高額兵器を購入させるという形で還流させるという仕組みだ。単に産油国の余剰資金を意味しているわけではない。その代償として産油国の支配者は安全と富を保証されることになっていた。 金融規制の大幅な緩和で肥大化した投機市場もドルを実世界から吸い上げる役割を果たしているが、その吸引力を維持するためには投機市場を拡大させ続けなければならない。つまり相場を上昇させ続けなければならない。もし相場が下がり始めたならドルが実世界へ流れ出し、ドル体制は崩れ去る。勿論、富豪の資産は急速に減少、支配力を失う。 そこで、流れ出た資金を人為的に投機市場へ戻す必要がある。2008年9月にリーマン・ブラザーズ・ホールディングズが連邦倒産法の適用を申請した際、アメリカ政府が「大きすぎて潰せない」ということで金融機関全体を救済、「大きすぎて罪に問えない」ということでその責任者を不問に付したが、それもそのためだ。言うまでもなく、その付けは庶民に回された。 ドルを実世界から吸い出す仕組みが作られた理由は、アメリカの経済システムが行き詰まったからである。リチャード・ニクソン大統領が1971年8月にドルと金の交換を停止すると発表したのはそのためだ。ドルは金という裏付けをなくし、その価値を維持するためにペトロダラーの仕組みや巨大な投機市場が必要になった。 ペトロダラーの仕組みを作り上げる過程で石油価格が暴騰している。1962年から86年までサウジアラビアの石油鉱物資源大臣を務めたシェイク・アーメド・ザキ・ヤマニによると、1973年5月にスウェーデンで開かれた「ある秘密会議」でアメリカとイギリスの代表は400%の原油値上げを要求、認められたという。その要求の中心にはヘンリー・キッシンジャーがいたとも言われている。 その秘密会議とは、本ブログでもしばしば登場するビルダーバーグ・グループが開催したもの。その決定事項を実現させたのは1973年10月に勃発した第4次中東戦争だ。その直後にOPECは価格を4倍に引き上げている。 その会議が開かれる前の月にチリでサルバドール・アジェンデ政権を倒す軍事クーデターがあった。そのクーデターを率いていたのはオーグスト・ピノチェトだが、その背後にはCIAの秘密工作部門、そしてキッシンジャーが存在していた。このクーデター後、チリでは新自由主義が導入されたわけである。そして投機市場の肥大化につながる。 ドル体制を維持する柱のひとつがペトロダラーであり、産油国をアメリカがコントロールする必要がある。その産油国の中で最も重要な国がサウジアラビアだが、そのサウジアラビアがの体制が揺らいでいる。そうした事態を招いたのはた同国の皇太子で新自由主義を信奉しているモハンマド・ビン・サルマンの打ち出した政策。中でもダメージが大きかったと言われているのはイエメンへの軍事侵攻だ。この戦争は泥沼化して深刻な財政の悪化を招いた。 ペトロダラーを揺るがしている原因のひとつはドル決済から離れる産油国が出てきたことにある。そうした産油国のうちイラクやリビアは潰されたが、ロシアは容易に潰せない。そこでアメリカやサウジアラビアは石油相場を暴落させる。ソ連を消滅させる際に成功した手口だ。 WTI原油の場合、2014年5月には1バーレル当たり110ドルを超す水準にあったが、年明け直後には50ドルを切る水準まで下落、16年1月には40ドルを割り込んだ。値下がりが始まって間もない2014年9月11日にアメリカのジョン・ケリー国務長官とサウジアラビアのアブドラ国王は紅海の近くで会談、それから加速度的に下げ足を速めたことから原油相場を引き下げる謀議があったとも噂されている。 ところが、アメリカの目論見は外れる。石油相場と同じようにロシアの通貨ルーブルも値下がりしたことからルーブル決済では問題が軽微。アメリカ支配層が望んだような効果はなかった原油価格の下落はロシアでなくサウジアラビアやアメリカの経済にダメージを与えることになった。2014年にサウジアラビアは約390億ドルの財政赤字になり、15年には約980億ドルに膨らんだという。 2020年におけるサウジアラビアの財政赤字は500億ドルと予想されていたが、これは1バーレル当たり60ドル強という前提での話。COVID-19の影響で経済活動が急減速、その影響で石油相場は今年に入ってから急落し、4月の後半には14ドルを切るところまで落ち込んでしまった。その後持ち直したものの、また40ドルを割り込んでいる。サウジアラビアの財政赤字は深刻で、金融資産が底をつくとも見られている。 イエメンでの戦争はサウジアラビアの石油生産そのものを揺るがす事態にもなった。昨年9月14日にイエメンのフーシ派による攻撃でサウジアラビアの石油施設が大きなダメージを受けたのだ。 その2週間後、9月28日にはサルマン国王が最も信頼していた個人的な警護の責任者だったアブドル・アジズ・アル・ファガム少将が射殺されている。少将は皇太子の政策を危険だと考えていたようだ。 危機的な状況に陥ったサウジアラビアはイランとの関係を修復しようと考え、交渉を始めた。イラン側のメッセンジャーがガーセム・ソレイマーニー。イスラム革命防衛隊の特殊部隊とも言われているコッズ軍を指揮していた人物だが、今年(2020年)1月3日にイラクのバグダッド国際空港で暗殺された。イラクのアディル・アブドゥル-マフディ首相によると、緊張緩和に関するサウジアラビアからのメッセージに対するイランの返書をソレイマーニーは携えていたという。 アメリカ軍がUAV(無人機、ドローン)で攻撃したのだが、ソレイマーニーの動きに関する情報をイスラエルから得ていたと言われている。アメリカとイスラエルはサウジアラビアとイランの関係修復を望んでいないということだ。 こうした暴力的な政策に屈服する国もあるだろうが、反発も強める。実際、ソレイマーニーが暗殺された2日後、イラク議会はアメリカ軍に国外へ出て行くように求める決議を採択している。 そして8月4日、レバノンの首都ベイルートで大きな爆発があった。インターネット上に流れている映像には核爆発を思わせるキノコ雲や衝撃波が映っている。保管されていた硝酸アンモニウムが爆発したという話が流されたが、その一方でミサイルを目撃したとする証言もあった。 西側の有力メディアはミサイル説を偽情報だと一蹴したが、複数の映像が存在、最初の爆発はイスラエルが発射した対艦ミサイルガブリエル、2度目の爆発はF16が発射した核弾頭を搭載したデリラだとする説もある。爆発の様子やクレーターの存在などから小型核兵器、あるいは核物質を使った新型兵器だとも言われている。 中東で小型核兵器、あるいは核物質を使った新型兵器が使われた疑いのあるケースは今回以外にもある。2006年7月から9月にかけてのレバノン侵攻でイスラエル軍はヒズボラに敗北、その際にイスラエルが誇るメルカバ4戦車も破壊されたが、その直後にウルスター大学のクリストファー・バスビー教授はレバノンへ入り、残されたクレーターを調査、濃縮ウラニウムを見つけている。レバノンやガザを走っていた自動車のフィルターからもそうした物質が発見されたという。 バスビー教授はイラクの2011年10月にイラクのファルージャでも調査、そこで濃縮ウラニウムが人の髪の毛や土の中から検出されたと語っている。 アラブ首長国連邦とイスラエルが国交を「正常化」するとアメリカのドナルド・トランプ大統領が発表したのは、ベイルートで大きな爆発があってから9日後のことだ。
2020.09.15
アラブ首長国連邦に続き、バーレーンがイスラエルと国交を正常化すると伝えられている。アラブ首長国連邦とイスラエルの調印式は9月15日に行われる予定だ。 アラブ首長国連邦の場合、合意の条件としてイスラエルはヨルダン川西岸の併合を停止するとされているが、イスラエルはこの説明を否定、イスラエル駐在アメリカ大使のデイビッド・フリードマンは併合が永遠に行われないわけではないと語っている。イスラエルがヨルダン川西岸の併合を止めることはありそうもない。 アラブ首長国やバーレーンを含むペルシャ湾岸の産油国はイギリスやアメリカに従属しているわけで、米英両国の支配者に逆らうことは難しいが、一般市民はパレスチナ人を支援しているため、ある程度のカムフラージュは必要だということだろう。 イスラエルの建国が宣言されたのは1948年5月14日。そこには多くのアラブ系住民が住んでいたことから、追い出す必要があった。そこで1948年4月上旬には「ダーレット作戦」を始めている。これは1936年から39年にかけてシオニストがアラブ系住民を殲滅する作戦を展開した作戦の延長線上にあるとも見られている。 シオニストの軍隊、ハガナの副官だったイェシュルン・シフがエルサレムでイルグンのモルデチャイ・ラーナンとスターン・ギャングのヨシュア・ゼイトラーに会ったのは4月6日。イルグンもスターン・ギャングもシオニストのテロ組織だ。 その3日後にイルグンとスターン・ギャングはデイル・ヤシンという村を襲撃、住民を虐殺する。襲撃の直後に村へ入った国際赤十字の人物によると、254名が殺され、そのうち145名が女性で、そのうち35名は妊婦だった。イギリスの高等弁務官、アラン・カニンガムはパレスチナに駐留していたイギリス軍のゴードン・マクミラン司令官に殺戮を止めさせるように命じたが、拒否されている。少なくともこの司令官はシオニストの仲間だと言えるだろう。(Alan Hart, “Zionism Volume One”, World Focus Publishing, 2005) こうした虐殺に怯えた住民は逃げ出したが、シオニストは予定していた地域を全て占領することができなかったと言われている。約140万人いたアラブ系住民のうち、5月だけで42万人以上がガザやトランスヨルダン(現在のヨルダン)へ移住、その後1年間で難民は71万から73万人に達したと見られている。国際連合は1948年12月11日に難民の帰還を認めた194号決議を採択したが、現在に至るまで実現されていない。そしてイスラエルの建国が宣言された。 そして1967年6月5日に始まった第3次中東戦争。この年の3月から4月にかけてイスラエルはゴラン高原のシリア領にトラクターを入れて土を掘り起こし始めて挑発、シリアが威嚇射撃するとイスラエルは装甲板を取り付けたトラクターを持ち出し、シリアは迫撃砲や重火器を使うというようにエスカレートしていった。 しかし、この時にイスラエルはシリアに対し、イスラエルに敵対的な行動を起こさなければイスラエルとエジプトが戦争になってもイスラエルはシリアに対して軍事侵攻しないと約束していた。 軍事的な緊張が高まったことからエジプトは1967年5月15日に緊急事態を宣言、部隊をシナイ半島へ入れた。5月20日にはイスラエル軍の戦車がシナイ半島の前線地帯に現れたとする報道が流れ、エジプトは予備軍に動員令を出す。そして22日にナセル大統領はアカバ湾の封鎖を宣言した。 イスラエルはこの封鎖を「イスラエルに対する侵略行為」だと主張、イスラエルの情報機関モサドのメイール・アミート長官が5月30日にアメリカを訪問、リンドン・ジョンソン米大統領に開戦を承諾させた。そして6月5日にイスラエル軍はエジプトに対して空爆を開始、第3次中東戦争が勃発する。 この戦争で圧勝したイスラエル軍はガザ、ヨルダン川西岸、シナイ半島、ゴラン高原を占領している。ゴラン高原の西側3分の2は今でもイスラエルが不法占拠している。イスラエルはシリアとの約束を守らなかったのだ。 イスラエルが勝利した理由はいくつか指摘されている。ひとつはイスラエル軍の装備がアラブ諸国を圧倒していたこと。第2にアラブ諸国が分裂していたこと。第3にシリアとの秘密合意でイスラエルは北側を心配する必要がなかったこと。第4にアメリカが偵察のために上空から撮影した写真を提供し、政治的に支援していたこと。アメリカ空軍第26戦術偵察航空団は偵察機RF4Cをイスラエルへ派遣、そこで塗装をイスラエル軍の航空機のように塗り替えている。(Alan Hart, “Zionism Volume Three”, World Focus Publishing, 2005) 戦争が勃発した4日後にアメリカは情報収集船のリバティを地中海の東部、イスラエルの沖へ派遣するが、そのリバティをイスラエル軍は8日に攻撃している。偵察機を飛ばしてアメリカの艦船だということを確認した後の攻撃だった。ロケット弾やナパーム弾が使われているが、これは船の乗員を皆殺しにするつもりだったことを示している。 それに対し、リバティの通信兵は壊された設備を何とか修理、アメリカ海軍の第6艦隊に遭難信号を発信するが、それをイスラエル軍はジャミングで妨害している。 それでも空母サラトガは遭難信号を受信。この空母の甲板にはすぐ離陸できる4機のA1スカイホークがあった。艦長はその戦闘機を離陸させたが、その報告を聞いたロバート・マクナマラ国防長官は戦闘機をすぐに引き返させるように命令している。 その後、ホワイトハウス内でどのようなことが話し合われたかは不明だが、しばらくして空母サラトガと空母アメリカは8機の戦闘機をリバティに向けて発進させた。 ジョンソン政権で秘密工作を統括していた303委員会は1967年4月、リバティを潜水艦と一緒に地中海の東岸、イスラエル沖へ派遣するという作戦、フロントレット615を立てたと言われている。リバティを沈没させ、その責任をエジプト、あるいはソ連に押しつけて戦争を始めようとしたという見方もある。この話が事実なら、イスラエルはアメリカの弱みを握ったと言えるだろう。 その第3次中東戦争でも建国前に予定していた地域を支配できていない。しかもこの戦争で占領した地域の一部をイスラエルは手放さざるをえなくなる。が、彼らは諦めない。そしてガザやヨルダン川西岸を攻撃しているのだが、「国際世論」はこうしたイスラエルの行動に寛容だ。ユーフラテス川とナイル川に挟まれている地域を支配しようという大イスラエル構想をイスラエルは捨てていないだろう。
2020.09.14
安倍晋三首相が辞意を表明したことを受け、自民党では総裁選が告示され、石破茂元幹事長、菅義偉官房長官、岸田文雄政調会長が立候補したようだ。次の総裁は9月14日に選ばれる。 菅が最有力候補だとされている。嘘、言い訳、はぐらかしを繰り返してきたという声も聞こえてくる人物だが、安倍政権の官房長官を務めてきたということは、この人物が選ばれたなら「安倍政権」が続くことになるということ。かといって石破や岸田は具体的な政策が見えず、期待できそうにない。 政権交代という声もあるが、安倍政権という悪夢は鳩山由紀夫降ろしから始まったことを忘れてはならない。東シナ海を「友愛の海」と呼ぶ民主党の鳩山が総理大臣に就任したのは2009年9月のこと。この主張はアメリカを支配する人びとを刺激した。 ソ連が1991年12月に消滅すると、ネオコンはアメリカが唯一の超大国になったと考え、単独で行動しても文句を言える国はなくなったと判断、国連を無視するようになる。そこでネオコンは1992年2月に国防総省のDPG草案という形で世界制覇プランを作成した。いわゆるウォルフォウィッツ・ドクトリンだ。 ところが、日本側は国連中心主義から離れない。そこでマイケル・グリーンとパトリック・クローニンはカート・キャンベル国防次官補を説得してジョセイフ・ナイ国防次官補らに話を伝える。ナイは1995年2月に「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を発表。そこには在日米軍基地の機能を強化、その使用制限の緩和/撤廃が謳われていた。日本をアメリカの戦争マシーンに組み込む青写真だとも言えるだろう。 その当時、日本で怪事件が続いたことは本ブログで何度か指摘した。例えば、1994年6月に松本サリン事件、95年3月には地下鉄サリン事件、その直後には警察庁長官だった國松孝次が狙撃され、1995年8月にはアメリカ軍の準機関紙と言われるスターズ・アンド・ストライプ紙が日本航空123便に関する記事を掲載、その中で自衛隊の責任を示唆している。 1995年には大和銀行ニューヨーク支店で巨額損失が発覚、98年には長銀事件と続いて銀行界に激震が走り、証券会社のスキャンダルも発覚した。こうした問題には大蔵省(現在の財務省)が深く関与していたはずだ。 ナイ・レポートが発表された後、日本はアメリカの戦争マシーンに取り込まれていくが、その流れの前に立ち塞がったのが鳩山だった。その鳩山と近かった小沢一郎に対するスキャンダル攻勢は2006年から始まっている。週刊現代の6月3日号に「小沢一郎の“隠し資産6億円超”を暴く」という記事が掲載されたのだ。 2009年11月には小沢の資金管理団体である陸山会の04年における土地購入に関し、政治収支報告書に虚偽記載していると「市民団体」が小沢の秘書3名を告発、翌年の1月に秘書は逮捕されている。また「別の市民団体」が小沢本人を政治資金規正法違反容疑で告発、2月には秘書3人が起訴された。 裁判の過程で検察が「事実に反する内容の捜査報告書を作成」するなど不適切な取り調べを行ったことが判明、この告発は事実上の冤罪だということが明確になっているが、小沢潰しは成功した。そして鳩山は2010年6月に総理大事の座から引きずり下ろされたわけだ。 鳩山の後任になった菅直人は国民の声を無視、消費税の増税と法人税の減税という巨大企業を優遇する新自由主義的政策を打ち出した。首相就任の3カ月後には海上保安庁が尖閣諸島の付近で操業していた中国の漁船を「日中漁業協定」を無視する形で取り締まり、日本と中国との友好関係を破壊する動きが本格化する。その協定を無視した取り締まりの責任者が前原誠司だ。次の野田佳彦政権も民意を無視する政策を推進したうえで「自爆解散」、2012年12月の安倍政権の誕生につながる。 安部もネオコンと関係が深かった。特にハドソン研究所の上級副所長を務めるI・ルイス・リビー、通称スクーター・リビーだ。リビーはエール大学出身だが、そこでポール・ウォルフォウィッツの教えを受けている。ウォルフォウィッツ・ドクトリンを作成した際の中心人物だ。リビーの下にいるのがマイケル・グリーンやパトリック・クローニンである。日本における「報道」を見ると、数年前からネオコンは安倍に見切りをつけたようだが、当初は違ったということだ。 日本が「ファイブ・アイズ」と協力関係を結びことを望んでいると河野太郎防衛相が8月12日に語ったことは本ブログでも触れた。イギリスとアメリカの情報機関を中心とする英語圏5カ国の情報機関による連合体で、イギリスとアメリカから命令が出ている。この連合体は加盟国の政府を監視する役割もある。 そうした発言をした河野は9月9日にCSIS(戦略国際問題研究所)のオンライン・イベントにマイケル・グリーンと共に参加、10月に総選挙があるかもしれないと語っている。 現在、CSISはネオコンの巣窟になっているようだが、元々は1962年にジョージタウン大学の付属機関として設立されている。創設にレイ・クラインというCIAの幹部が関係するなどCIAとの関係が強かった。その事実が発覚したことから1987年に大学と研究所との関係は解消されたことになっている。日本のマスコミがこの研究所のメンバーを登場させる理由は言うまでもないだろう。
2020.09.13
9月11日には歴史の節目になる出来事が引き起こさている。 例えば、2001年にはニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎が攻撃された。そのショックを利用してアメリカ支配層の好戦派は国外での侵略戦争と国内での収容所化を加速させている。ステージをひとつ進めたとも言えるだろう。 もうひとつは1973年にチリであった軍事クーデター。サルバドール・アジェンデ政権を倒したクーデターはオーグスト・ピノチェトに率いられたのだが、その後ろ盾はCIAの秘密工作部門、その背後には国家安全保障補佐官だったヘンリー・キッシンジャーがいた。 ピノチェト体制はクーデター後、アメリカを拠点とする巨大資本のカネ儲けにとって邪魔な人々を殺害していく。邪魔者がいなくなった段階で導入したのが新自由主義だ。このシステムは強者総取りが基本で、大企業は税金と賃金を払わず、国民の資産を盗むことを認めている。労働者の権利は剥奪され、経済活動の仕組みは破壊されいくということでもある。 フランクリン・ルーズベルトは1938年、強大な私的権力が政府を所有している状態をファシズムと定義した。私的権力が民主的国家そのものより強大になることを人びとが許すなら民主主義は危機に陥ると警鐘を鳴らしたのだ。こうした状態を目指しているのが新自由主義にほかならない。 新自由主義はマーケットを絶対視、その正当性は議論しない。その理屈は循環論法で、理論とは言いがたい代物。信仰と言うべきだろう。 この信仰で教祖的な役割を果たしたのがシカゴ大学の教授だったミルトン・フリードマンであり、その先輩にあたる学者がフリードリッヒ・フォン・ハイエクだ。ハイエクの教え子にはデイビッド・ロックフェラーも含まれている。 新自由主義が庶民を疲弊させ、国力を衰えさせることは明かで、ニクソン大統領でさえ自国へ導入することをためらった。この信仰に基づく体制を最初に導入した国がチリだ。 欧米で初めて新自由主義を政策として取り入れたのはイギリスのマーガレット・サッチャー政権。サッチャーはハイエクと親しかった。日本へ新自由主義を導入したのは中曽根康弘であり、その政策をさらに進めたのが小泉純一郎、菅直人、野田佳彦。それを安倍晋三が引き継いだ。 ピノチェトと親交があったひとりにステファノ・デレ・キアイエなるイタリア人がいる。アメリカとイギリスの情報機関は第2次世界大戦の後、西ヨーロッパに秘密工作を実行するための部隊を編成した。その部隊をイタリアではグラディオと呼ぶ。このグラディオにデレ・キアイエも参加していたのだ。 グラディオなどは後にNATOの秘密部隊と呼ばれるようになるが、実際の命令はイギリスやアメリカの情報機関、つまりMI6やCIAから出ていた。ニューオリンズの地方検事だったジム・ギャリソンは1967年にクレイ・ショーなる人物をジョン・F・ケネディ暗殺に絡んで逮捕するが、このショーが理事を務めていたパーミンデックスも、そのネットワークの一部。 グラディオは1969年12月にミラノのフォンタナ広場にある国立農業銀行で極左を装った爆弾テロを実行している。その1年後にはバレリオ・ボルゲーゼを中心とするクーデターが試みられて失敗するが、それらにもデレ・キアイエは参加していた。 デレ・キアイエはクーデターに失敗した後、スペインへ逃げ込むのだが、その後もイタリアとスペインとの間を自由に行き来している。そして1973年、クーデター直後のチリを彼は訪問したのだ。
2020.09.12
国と国との関係を強化する上でエネルギー資源は重要ような役割を果たす。アメリカが中東から北アフリカにかけての地域を支配し、ベネズエラを再植民地化しようと必死な理由のひとつはそこにあると言えるだろう。 ロシアもエネルギー資源を世界戦略に利用している。中国やEUへ天然ガスを輸送するためにロシアがパイプラインを建設しているのもそのためだ。ロシアとEUを結びつけるパイプラインが通っているウクライナでアメリカがネオ・ナチを使ったクーデターを2014年に実行したのもエネルギーの輸送をアメリカが管理することにあった。 アメリカによる支配から脱するためにEUとロシアは2012年にバルト海を通るノードストリームを完成させたが、それと並行する形でノード・ストリーム2を建設中。この新パイプラインの建設をロシアやEUの会社が合意したのは、ウクライナでクーデターがあった翌年の2015年だ。 アメリカはノード・ストリーム2の建設を止めようと必死で、建設に携わる会社は「制裁」の対象にしている。こうしたアメリカの経済戦争に対し、EU諸国は主権の侵害だと批判してきた。 そうした中、ロシアでの支持率が2%にすぎないアレクセイ・ナワリヌイという反プーチン派の有名人が昏睡状態になる。ロシアの医師による治療で容体は安定したのだが、ナワリヌイ側はドイツへの搬送を強く要求、ドイツ軍の研究機関は証拠を示すことなく、軍事レベルの神経ガスが使われたと発表した。 本ブログでもすでに書いたが、ナワリヌイを治療したオムスクの病院の医師によると、昏睡状態になった原因は低血糖。彼は糖尿病を患っていることから、糖尿病性ショックとも呼ばれる重度の低血糖が原因だと見るのが常識的だ。 それに対し、ナワリヌイ側はドイツへの搬送を強く要求、ドイツ軍の研究機関は証拠を示すことなく、「ノビチョク(初心者)」なる神経ガスが使われたと発表した。2018年3月にイギリスのソールズベリーでセルゲイ・スクリパリとユリア・スクリパリの親子に対して使われたと言われたものと同じだ。 2013年当時、ノビチョクの毒性は別の神経ガスVXの10倍だと宣伝された。VXガスの致死量は体重70キログラムの男性で10ミリグラムと言われているので、単純に考えるとノビチョクは1ミリグラム。それだけの毒性があるというにもかかわらず、親子は死亡していない。勿論、ナワリヌイも死亡していない。スクリパリ親子のケースでも目的はノードストリーム2を止めることにあったと言われていた。ちなみに、この親子は外部との接触が断たれ、現在、行方不明である。 ノードストリーム2を完成させられない場合、EUはロシア以外からエネルギー資源を調達しなければならない。まずアメリカが想定されるのだが、シェール・ガスやシェール・オイルが中心になる。これらはコストが高い上、生産が可能な期間は長くない。アメリカがベネズエラの最植民地化に必死な理由のひとつはその辺にあるだろう。 ベネズエラのエネルギー資源を奪うことに成功すれば、それを売ることになるのだろうが、別の生産地もある。地中海の東側、リビア、エジプト、パレスチナ(ガザ)、イスラエル、レバノン、シリア、トルコ、ギリシャを含む地域で天然ガス田が発見され、開発作業が進んでいるのだ。 イスラエル北部で推定埋蔵量約4500億立方メートルの大規模なガス田を発見したとノーブル・エナジーが発表したのは2010年。USGS(アメリカ地質調査所)の推定によると、エジプトからギリシャにかけての海域には9兆8000億立方メートルの天然ガスと34億バーレルの原油が眠っている。ビル・クリントン元米大統領はノーブル・エナジーのロビイストだった。 ユーラシア大陸の西側、地中海に面した地域は2010年の終わりから暴動が展開される。バラク・オバマ政権は2010年8月、ムスリム同胞団を使って中東から北アフリカにかけての地域でアメリカ支配層にとって目障りな体制を転覆させようと考え、PSD(大統領研究指針)11を承認した。その3カ月ごにはイギリスとフランスはランカスター・ハウス条約を締結した。 その年の12月にはチュニジアで混乱が始まる。警官が街頭の物売りから手押し車を押収した後、その物売りは焼身自殺、この出来事をムスリム同胞団は職のない学生を女性の警官が平手打ちしたことが原因だと宣伝しはじめ、暴動へ発展したのだ。「アラブの春」の幕開けだ。 その後、エジプトでホスニ・ムバラク政権に対する抗議活動が始まるが、その中心的な存在だった「4月6日運動」のリーダーは約3年前からアメリカ政府と接触していたことがわかっている。その背後にもムスリム同胞団がいた。そしてリビアやシリアへ波及するのだが、これはネオコンが1980年代に考えていた戦略に合致する。 2001年9月にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎が攻撃された直後、アメリカの国防長官周辺ではイラク、シリア、イランのほか、レバノン、リビア、ソマリア、スーダンを攻撃予定国リストに載せた。このうちシリア、レバノン、リビアは天然ガス田と関係する。 現在、イスラエルはガザを激しく攻撃、レバノンを破壊する工作も進めている。リビアでは内戦で破綻国家となり、エジプトはアメリカの影響下にある。シリアが攻撃されている一因もここにあるだろう。最近ではトルコとギリシャとの間で軍事的な緊張が高まっているが、それにも天然ガスの開発と輸送が関係しているはずだ。
2020.09.11
2006年に設立されたウィキリークスの中心的な存在だったジュリアン・アッサンジをアメリカへ引き渡す法的な手続きがイギリスで進められている。支配者たちにとって都合の悪い情報を公表する活動をしてきたウィキリークスの象徴的な存在であるアッサンジを厳しく罰することで内部告発を止めようとしているのだろう。 2011年初めにアッサンジがアメリカで秘密裏に起訴されたという情報を含む民間情報会社ストラトフォーの内部でやりとりされた電子メールが存在するが、その電子メールが公開された後、ケレン・ドワイアー検事補が裁判官へ書いた文書でも確認されている。 起訴のタイミングから支配者を怒らせた情報はイラクにおけるアメリカ軍の実態に関するもの、特に2010年4月に公開されたアメリカ軍のAH-64アパッチ・ヘリコプターによる非武装の一団に対する銃撃だと推測する人は少なくない。2007年7月にバグダッドでの出来事だが、その銃撃でロイターの特派員2名を含む非武装の十数名が殺されている。 ウィキリークスへこの情報を渡したのはアメリカ軍のブラドレー・マニング(現在はチェルシー・マニングと名乗っている)特技兵。2010年5月に逮捕され、軍事法廷は懲役35年を言い渡された。 後に刑期は短縮されて2017年5月に釈放されたが、釈放後、アッサンジへの弾圧を正当化する証言をしろというアメリカ当局からの要求を拒否したことからマニングは2019年3月から20年3月まで収監されている。アッサンジを起訴した根拠が薄弱だとアメリカの当局は自覚しているのだろう。この裁判についてカフカが書いた小説のようだ、あるいはスターリン時代の裁判のようだと言われるのはそのためだ。 情報を有力メディアに頼る人は少なくないが、そうした情報の媒体が情報機関と緊密な関係にあることは以前から知られている。例えばワシントン・ポスト紙の記者としてウォーターゲート事件を取材したことで有名なカール・バーンスタインはリチャード・ニクソン大統領が辞任した3年後の1977年にワシントン・ポスト紙を辞め、「CIAとメディア」という記事をローリング・ストーン誌に書いている。 その記事によると、記事が出るまでの20年間にCIAの任務を秘密裏に実行していたジャーナリストは400名以上に達し、1950年から66年にかけてニューヨーク・タイムズ紙は少なくとも10名の工作員に架空の肩書きを提供したとCIAの高官は語ったという。(Carl Bernstein, “CIA and the Media”, Rolling Stone, October 20, 1977) また、ジャーナリストのデボラ・デイビスが書いた『キャサリン・ザ・グレート』(Deborah Davis, “Katharine the Great,” Harcourt Brace Jovanovich, 1979)もCIAによるメディア支配の一端を明らかにしている。モッキンバードという情報操作プロジェクトの名称はその中に出てくる。 CIAの工作はアメリカ以外の国にも及ぶ。フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング(FAZ)紙の編集者だったウド・ウルフコテは2014年2月、ドイツにおけるCIAとメディアとの関係をテーマにした本を出してその実態を明らかにした。 彼によると、ドイツだけでなく多くの国のジャーナリストがCIAに買収されていて、そうした工作が危険な状況を作り出していると告発している。人びとがロシアに敵意を持つように誘導するプロパガンダを展開し、人びとをロシアとの戦争へと導き、引き返すことのできないところまで来ているとしていた。そして2017年1月、56歳のときに心臓発作で彼は死亡する。 こうした有力メディアにとってウィキリークスは目障りな存在になっていく。偽情報で人びとを操っているアメリカやイギリスの支配者がこの団体を潰そうとするのは必然だった。「言論の自由」という看板を掲げながら、アメリカ中心の支配システムという型の中で成功しようとしている学者、編集者、記者などは触れたくない存在だろう。
2020.09.10
中国の新疆ウイグル自治区には約1000万人のイスラム教徒が住んでいる。その大半はテロリズムと無縁の生活をしているのだが、そこへサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団が入り込み、破壊活動を展開してきた。 そうした過激派が2008年に設立したTIP(トルキスタン・イスラム党)はシリアへ戦闘員を派遣、主要戦闘集団の一部に数えられていた。TIPを含め、まだ5000名程度のウイグル人が傭兵として政府軍と戦っているという。戦闘員の一部は新疆ウイグル自治区からカンボジアやインドネシアを経由、トルコの情報機関MITの手引きで戦闘員としてシリアへ入ったようだ。インドネシアはワッハーブ派の影響力が強い。 シリアに対する侵略戦争が始まったのは2011年3月のこと。侵略国にはアメリカ、イスラエル、サウジアラビアの3国同盟、フランスとイギリスのサイクス-ピコ協定コンビ、パイプラインの建設でシリアと対立したカタール、オスマントルコの復活を目論んでいたと言われるトルコが参加していた。 そうした国々が編成した戦闘集団はトルコにある米空軍インシルリク基地を拠点にしていたが、そこで戦闘員はアメリカの情報機関員や特殊部隊員、あるいはイギリスとフランスの特殊部隊員らから訓練を受けていたと言われている。その戦闘集団はFSA(自由シリア軍)と名づけられた。 その前月から同じように侵略されたリビアの場合、その年の10月にムアンマル・アル・カダフィ体制は崩壊、侵略勢力の戦闘員や兵器はシリアへ運ばれる。運搬にはNATOの航空機も利用されたが、輸送工作の中心はCIAで、アメリカの国務省が協力していた。 そうしたバラク・オバマ政権の工作が発覚すると、支援しているのは穏健派だと弁明するが、それを否定したのがアメリカ軍の情報機関であるDIA。2012年8月にDIAはアメリカ政府に対し、シリア情勢に関する報告書を提出。その中で、シリアで政府軍と戦っている武装勢力はサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団だと報告している。 戦闘集団の名称としてアル・ヌスラを挙げ、その実態はAQI、つまりイラクのアル・カイダだともDIAは指摘していた。アル・カイダ系武装集団の主力はサラフィ主義者やムスリム同胞団である。シリアにオバマ大統領が言うような穏健派は存在しないとDIAは報告しているのだ。 それだけでなく、DIAはオバマ政権の政策がシリアの東部(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配地域を作ることになるとも警告していた。その警告は2014年に入ってダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国などとも表記)という形で出現する。そうした中、2014年8月にフリンは解任された。 本ブログでは繰り返し書いてきたが、2014年にオバマ政権はウクライナでネオ・ナチを使ってクーデターを実行、香港では反中国を仕掛けた。その年を境にして中国とアメリカとの関係は悪化、同時に中国とロシアが接近して戦略的な同盟関係を結んだ。そして前面に押し出されたのが中国の一帯一路(または帯路構想)だ。 陸のシルクロードと海のシルクロードで交易を盛んにし、世界を安定化させようという計画だ。中国から見て海のシルクロードの出発点が東シナ海から南シナ海にかけての海域であり、陸のシルクロードは新疆ウイグル自治区からアフガニスタンの近くを通り、ヨーロッパへ向かう。中国が100万人以上のウイグル系住民を「再教育キャンプ」で拘束していると宣伝し始めた背景のひとつはここにある。その話の証拠は示されていない。 この話はアメリカ政府を後ろ盾とする中国人権擁護者ネットワークとキリスト教原理主義者のエイドリアン・ゼンズの主張に基づいている。センズは「神の導き」で反中国活動を行っていると公言していた人物で、彼がシニア・フェローだった「共産主義の犠牲者記念基金」は1993年にアメリカ政府が設立した組織。その前身はナショナル虜囚国委員会だ。この委員会で中心的な役割を果たした人物はレフ・ドビリアンスキーやヤロスラフ・ステツコというウクライナのファシスト。ふたりとも世界反共連盟につながっていた。
2020.09.10
アメリカを中心とする支配秩序は崩れつつある。そうした支配秩序のプロパガンダ機関である有力メディアはそうした事実を隠そうとしているが、隠しきれていない。欧米の一部支配者は現在、COVID-19(コロナウイルス感染症-2019)に対する人びとの恐怖を利用して世界秩序を「リセット」しようとしている。 そうした支配者が作り上げようとしている世界では、強大な私的権力が直接統治することになるのだろう。監視システムが張り巡らされ、強力な治安システムが存在し、人びとのつながりが厳しく制限される収容所のような世界だ。 第2次世界大戦でドイツが降伏する直前、1945年4月にアメリカ大統領だったフランクリン・ルーズベルトが急死、ホワイトハウスは親ファシストの金融資本が奪還、反ファシスト勢力を「赤狩り」という形で弾圧することになる。 そうした弾圧の中、1950年9月に「1950年国内治安法(マッカラン法)」が成立する。1950年代にアメリカの軍や情報機関では好戦派がソ連や中国への先制核攻撃を計画、その準備を始めている。沖縄の軍事基地化はその一環だった。 ベトナム戦争に反対する声を上げようと訴えていたマーチン・ルーサー・キング牧師は1968年4月に暗殺され、大規模な蜂起の引き金になる。そこでアメリカ軍は暴動鎮圧を目的とした2旅団(4800名)を編成した(ガーデン・プロット作戦)。 1970年には戦争に反対する人びとを取り締まるため、令状なしの盗聴、信書の開封、さまざまな監視、予防拘束などをFBIやCIAなどに許す法案が作成された。ヒューストン計画だが、これは司法長官のジョン・ミッチェルが拒否して実現していない。 ヒューストン計画は1979年にFEMA(連邦緊急事態管理庁)として現実化、1984年には「国家緊急事態」の際に多数の人びとを拘束するというRex 84が作成され、訓練も行われた。これはCOGにつながる。このCOGは当初、核戦争が想定されていたのだが、1988年に対象は「国家安全保障上の緊急事態」に拡大された。 1981年1月に始まったロナルド・レーガン政権はソ連に対する軍事的な圧力を強め、1983年11月には戦術弾道ミサイルのパーシングIIを西ドイツへ配備している。そうしたことが進行していた最中の1983年1月、中曽根康弘首相はアメリカを訪問、日本を「巨大空母」とワシントン・ポスト紙のインタビューで表現した。ワシントン・ポスト紙は「不沈空母」と書いたが、巨大空母も不沈空母もその意味に本質的な差はない。 そのワシントン・ポスト紙によると、「日本列島をソ連の爆撃機の侵入を防ぐ巨大な防衛のとりでを備えた不沈空母とすべき」であり、「日本列島にある4つの海峡を全面的かつ完全に支配する」とし、「これによってソ連の潜水艦および海軍艦艇に海峡を通過させない」と語ったのである。 ソ連に対する軍事的な挑発だが、それから間もない1983年4月から5月にかけてアメリカ海軍は千島列島エトロフ島の沖で大艦隊演習「フリーテックス83」を実施、3空母を集結させた。エンタープライズ、ミッドウェー、コーラルシーを中心とする機動部隊群が集まって挑発的な軍事演習を実行したのだ。この重大な出来事を日本のマスコミは報じなかった。 そして1983年8月31日から9月1日にかけて大韓航空007便がソ連の領空を侵犯するという事件が引き起こされる。この旅客機はアンカレッジを離陸して間もなく航路を逸脱、NORAD(北米航空宇宙防衛司令部)が設定したアラスカの「緩衝空域」と「飛行禁止空域」を横切ってソ連軍の重要基地の上を飛行、ソ連側の警告を無視して飛び続けた末にサハリン沖で撃墜されたとされている。航路を逸脱してソ連へ向かう旅客機にNORADは何も警告していない。この事件には不可解なことがいくつもあるのだが、今回は割愛する。 この事件を利用してアメリカ政府は大々的な反ソ連キャンペーンを展開、その年の11月にはNATO(北大西洋条約機構)軍が軍事演習「エイブル・アーチャー83」を計画、核攻撃のシミュレーションも行われることになっていた。1981年の段階で西側からの全面攻撃を想定していたソ連のKGBはこれを「偽装演習」だと疑い、全面核戦争を仕掛けてくるのではないかと警戒、その準備を始めている。NATOの大規模な演習は中止になったのでソ連側の懸念が正しかったどうかは不明だが、全面核戦争の寸前だったとは言えるだろう。 大韓航空機の事件から2年後の8月12日、羽田空港から伊丹空港へ向かっていた日本航空123便が群馬県南西部の山岳地帯に墜落した。乗員乗客524名のうち520名が死亡している。 運輸省航空事故調査委員会はボーイング社の修理ミスで隔壁が破壊されたことが原因だと主張しているが、その主張が正しいと仮定すると、実際の乗員乗客の状態は医学的にありえない。委員会の主張には全く説得力がないのだ。再現実験でも調査委員会のストーリーは無理だということが確認されている。 本ブログでは繰り返し書いてきたが、墜落から10年後の1995年8月、アメリカ軍の準機関紙であるスターズ・アンド・ストライプ紙は日本航空123便に関する記事を掲載した。墜落の直後に現場を特定して横田基地へ報告したC-130の乗組員、マイケル・アントヌッチの証言に基づいているのだが、その記事は自衛隊の責任を示唆している。 これも繰り返し書いてきたが、1995年2月に国防次官補だったジョセフ・ナイが「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を公表、それに基づいて日本はアメリカの戦争マシーンに組み込まれていく。 1995年はその節目になったわけだが、大きな事件があった年でもある。1月の兵庫県南部地震は自然の出来事だが、3月には地下鉄サリン事件に続き、警察庁長官だった國松孝次が狙撃された。その前年の6月には長野県松本市でもサリンがまかれている。 その当時、日本をアメリカの戦争マシーンへ組み込むことに反対する人は自民党の中にも少なくなかっただろうが、1996年から日本はアメリカの意向に沿い、戦争マシーンに組み込まれていく。1995年の出来事がアメリカ支配層の脅しだった可能性は否定できない。スターズ・アンド・ストライプ紙の記事も脅しだった可能性がある。同紙はアメリカ軍の準機関紙であり、箝口令で沈黙していたアントヌッチの証言を載せたということは、軍が許可したことを意味している。 記事では墜落地点が特定できていて、アメリカ軍は救助活動を始めようとしていたとしている。ところが救助活動は中止させられた。その直後に自衛隊のヘリコプターが現場へ来たにもかかわらず、日本政府は翌日まで救助活動をしていない。記事には書かれていない、日本政府を震え上がらせる何かがあると思われても仕方がない。最終的に自衛隊がミサイルで撃墜したとする説もあるが、運輸省航空事故調査委員会の主張よりはるかに説得力がある。 もし、その説が正しいなら、事実が発覚すれば、1983年にソ連へ向けて発した非難は全て日本政府に向けられる。いや、ソ連の場合は軍事目的で侵入したと思われても仕方のない状況だった(実際、そうだった可能性もある)のだが、日航機の場合は違う。中曽根政権だけでなく、アメリカの支配者が操る天皇制官僚システムという型の中でしか民主主義、自由、人権を語れないマスコミも厳しい状況に陥るだろう。 マスコミにしろ学者にしろ、このシステムを揺るがすような事実を口にしたり文章にすることはできない。自衛隊機が旅客機を撃墜したということになれば、当然、自衛隊は機能しなくなるが、これは自衛隊をアメリカ軍の手先として使うことを困難にするということでもある。 アメリカは1980年代にソ連に対する軍事的な締め付けを強め、1983年には核戦争の寸前に到達した。1985年もそうした情勢の流れの中にあったのだが、その翌年の4月、ソ連ではチェルノブイリ原発で大事故が発生、支配体制を揺るがすことになった。
2020.09.09
ロシアとEUとの関係を天然ガスを運ぶパイプラインが強めてきた。アメリカのバラク・オバマ政権がウクライナでネオ・ナチを使ったクーデターを実行した理由のひとつは、そのパイプラインの流れを止めることにあったが、止め切れていない。バルト海を通るノードストリームがあるからだ。そして今、それに並行する形でノードストリーム2が建設されている。それをアメリカは止めようと必死だ。 そうした中、ロシアでの支持率が2%にすぎないアレクセイ・ナワリヌイという反プーチン派の有名人が昏睡状態になった。オムスクの病院の医師によると、昏睡状態になった原因は低血糖。彼は糖尿病を患っていることから、糖尿病性ショックとも呼ばれる重度の低血糖が原因だと見るべきだろうが、ナワリヌイ側はウラジミル・プーチンが毒を盛ったと主張、ドイツ軍の研究機関は証拠を示すことなく、軍事レベルの神経ガスが使われたと発表した。それを受けてアンゲラ・メルケル首相はロシア政府を強く批判している。 この事件はロシアとEUとの関係を悪化させることに成功したが、9月の上旬から中旬にかけてNATOがロシア周辺で行っている軍事演習もロシアを刺激することは間違いない。イタリアの近海(9月10日まで)、ラトビア(9月11日まで)、ヘルツェゴビナ(9月16日まで)、ルーマニア(9月17日まで)、ラトビア(9月18日まで)、エストニア、ラトビア、リトアニア(9月24日まで)で実施される。 このところアメリカの求心力が弱まり、NATOの内部からも不協和音が聞こえてくる。こうした軍事演習にはNATOのたがを締めるという意味もあるだろう。
2020.09.08
マス・メディアを出現させる上で19世紀中頃に発明された輪転印刷機は大きい役割を果たした。その頃は新聞など印刷媒体のみだったが、電子技術の発達で非印刷媒体、つまりテレビ、ラジオ、インターネットなどが大きな影響力を持つようになる。 こうした媒体は多くの人びとに意見や情報を伝えることができるのだが、プロパガンダにも利用できる。資金力のある人びとが媒体を支配するようになり、そうした媒体をマサチューセッツ工科大学のノーム・チョムスキーは「プロパガンダ工場」と呼んだ。 国の資金で動いている媒体に政府の意向が反映されることは避けられないが、「民間」のメディアは広告主などの意向に従うだけでなく、その背後にいる強大な私的権力の影響を強く受けているのだ。そうした私的権力の「プロパガンダ工場」だというわけだ。 マス・メディアとスポンサーとの力関係をトヨタ自動車の奥田碩相談役はかつて、露骨に表現している。年金や保険の問題を批判的に取り上げているメディアに反発した彼は2008年11月12日、首相官邸で開かれた「厚生労働行政の在り方に関する懇談会」で、「正直言ってマスコミに報復してやろうか。スポンサーでも降りてやろうか」と発言、マスコミの編集権に経営者が介入するやり方があるとも奥田は口にしていた。 これはカネの問題だが、私的権力はメディアの弱みを握り、脅すこともある。適当な弱みがなければ作り出すこともある。例えば、昨年7月6日に逮捕されたジェフリー・エプシュタインの場合、パーティーに有力者を誘い、そこで若い女性をあてがい、寝室での一部始終を撮影、後にエプシュタインは女性が未成年だということを明かし、脅していたと言われている。 エプシュタインは元妻のギスレイン・マクスウェル、彼女の父親でミラー・グループ総帥だったロバート・マクスウェルと同様、イスラエル軍の情報機関に所属していたと言われている。有力者の弱みを握り、脅してコントロールしていたのはイスラエルの支配者だったということにほかならない。政治家や官僚ならイスラエルにとって都合の良い政策を強い、富豪ならエプシュタインのファンドに「出資」させていたのではないかという推測もある。 エプシュタインと親しかった有名人としてドナルド・トランプ、ビル・クリントン、アンドリュー王子が有名だが、JPモルガンの重役だったジェームズ・ステイリー、財務長官を務めたローレンス・サマーズ、COVID-19問題で重要な役割を果たしてきたビル・ゲイツなども含まれている。著名な学者やジャーナリストもいる。 本ブログでもモッキンバードと呼ばれる情報操作プロジェクトについて繰り返し書いてきた。マス・メディアがCIAの影響下にあることは、例えば、1977年にカール・バーンスタインがローリング・ストーン誌に「CIAとメディア」というタイトルで詳しい記事を書いている。 しかし、1970年代までのメディアには気骨ある記者が活躍できる隙間は存在していた。そこでベトナム戦争におけるアメリカの軍隊や情報機関の犯罪的な行為が明らかにされたわけだ。そこで1970年代後半から締め付けが厳しくなる。 そして1980年代に始められたのがプロジェクト・デモクラシー。アメリカは侵略、破壊、殺戮を続けるが、そうした行為に「民主的」というタグをつけ、人びとに支持させようとしたのだが、これは成功した。 こうしたイメージ作戦が本格化するのは1983年1月。NSDD11にロナルド・レーガン大統領が署名、プロジェクト・デモクラシーやプロジェクト・トゥルースがスタートしたのだ。デモクラシーという看板を掲げながら民主主義を破壊し、トゥルースという看板を掲げながら偽情報を流し始めたのだ。その結果、西側の少なからぬ人びとは資本主義世界に「言論の自由」があり、「民主主義」が機能しているという幻想を抱くようになった。
2020.09.08
COVID-19(コロナウイルス感染症-2019)に恐怖した人びとは安全と安心を求めて主権やプライバシーを放棄し、世界は収容所化しつつある。人びとがCOVID-19を恐れるのは、この伝染病が現代の黒死病、あるいは悪霊であるかのように思い込んでいるからだろう。 以前にも書いたことだが、COVIDを左右反転させるとDIVOC。ヘブライ語はアラビア語と同じように右から左へ書くからだ。これをヘブライ語の文字に変換すると「死者の霊」、あるいは「悪霊」という意味になる。 このヘブライ語を語源とする英単語がdybbuk(またはdibbuk)だ。この悪霊は中世ユダヤ人社会の民俗信仰に出てくるのだが、それをユダヤ系ロシア人の学者、シュロイメ・アンスキーが1913年から16年にかけての時期に書いた戯曲の中で取り上げ、広まった。 COVID-19はSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)によって引き起こされる病気の名前だが、2020年1月の段階では2019-nCovが推奨されていた。WHO(世界保健機関)はそれを退け、2月11日にCOVID-19と決めたのだ。この名前をつけた人物がユダヤの民俗信仰を意識している可能性は高い。 事実に基づかない話で少なからぬ人びとはCOVID-19を恐れている。かつて、人びとは悪霊を恐れた。加持祈祷、呪文、御札などで退散させようとしたが、似たことがCOVID-19でも行われている。例えばPCR検査(ポリメラーゼ連鎖反応)、ロックダウン(監禁)、マスクの着用、公共施設やマーケットの入り口における体温の強制的な測定、監視体制の強化などだ。 人びとにCOVID-19を恐れさせているのは、西側の一部支配者や有力メディアである。アメリカの場合、第2次世界大戦後に情報操作を目的とするモッキンバードと呼ばれるプロジェクトが始められた。 その中心人物はウォール街の弁護士でOSSやCIAに君臨していたアレン・ダレス、やはりウォール街の弁護士でアレンの側近として破壊工作を指揮していたフランク・ウィズナー、やはりダレスの側近で国際決済銀行初代頭取の孫であるリチャード・ヘルムズ、そしてワシントン・ポスト紙の社主で、妻の父親が世界銀行初代総裁のフィリップ・グラハムだ。 フィリップ・グラハムの妻はキャサリン。ウォーターゲート事件でリチャード・ニクソンを失脚させた当時のワシントン・ポスト紙社主で、日本には彼女を「言論の自由」の象徴と信じている人もいる。 事件の取材は若手記者だったカール・バーンスタインとボブ・ウッドワードが中心だったが、ウッドワードは少し前まで海軍の情報将校で記者としては素人に近く、事実上、取材はバーンスタインが行ったと言われている。 そのバーンスタインはニクソン大統領が辞任した3年後の1977年にワシントン・ポスト紙を辞め、「CIAとメディア」という記事をローリング・ストーン誌に書いている。 その記事で、有力メディアがCIAと深く結びついている実態を明らかにした。バーンスタインによると、20年間にCIAの任務を秘密裏に実行していたジャーナリストは400名以上に達し、そのうち200名から250名が記者や編集者など現場のジャーナリストで、残りは、出版社、業界向け出版業者、ニューズレターで働いていた。また1950年から66年にかけてニューヨーク・タイムズ紙は少なくとも10名の工作員に架空の肩書きを提供したとCIAの高官は語ったという。(Carl Bernstein, “CIA and the Media”, Rolling Stone, October 20, 1977) CIAやその前身であるOSSはウォール街やシティ、つまりアメリカやイギリスの金融資本と深く結びついている。そうした巨大資本にとって好ましくないニューディール派のフランクリン・ルーズベルトが1932年の大統領選挙で勝利すると、ウォール街の住人たちは33年から34年にかけてファシズム体制の樹立を目的としてクーデターを目論む。この計画ではルーズベルトの排除を人びとに納得させるため、新聞が使われることになっていた。 このクーデター計画はスメドリー・バトラー退役海兵隊少将の議会における証言で明らかにされたが、1945年4月にルーズベルトが急死した後、ウォール街はホワイトハウスにおける主導権を奪還、第2次世界大戦後には「赤狩り」で反ファシスト勢力は大きなダメージを受けた。 イギリスの支配グループは19世紀から情報操作の重要性を理解していた。支配グループの中心にはセシル・ローズ、ナサニエル・ロスチャイルド、レジナルド・ブレット、ウィリアム・ステッドがいたが、そのうちステッドはジャーナリストで、情報操作の重要性を理解していた。そこで、例えば、タイムズ紙は一般にエリートと見なされている人びとを操るため、デイリー・メールなどはセンセーショナルな記事で「騙されやすい人びと」を操るために使ったという。(Gerry Docherty & Jim Macgregor, “Hidden History,” Mainstream Publishing, 2013) 昔からこうした役割を果たしてきた「ジャーナリズム」だが、1991年12月にソ連が消滅してから露骨に嘘を流すようになり、その度合いは21世紀に入ってから加速度的に酷くなっている。多くの人びとは事実に興味など持っていないと高を括ったようだ。
2020.09.07
COVID-19(コロナウイルス感染症-2019)の感染拡大を口実とした収容所化が世界規模で進んでいる。人びとを監視するシステムが強化され、人びとの行動が制限されている。 こうした事態をアメリカの支配者が想定していた。本ブログでも繰り返し書いてきたが、2010年5月にロックフェラー財団とGBN(グローバル・ビジネス・ネットワーク)は「技術の未来と国際的発展のためのシナリオ」と題された報告書を発表、パンデミックで全人口の20%近くが感染、7カ月で800万人が死亡、人や物資の国際的な移動が止まることから旅行業のような産業や販売網は特に大きなダメージを受けると見通されていた。 パンデミックへの対策としてマスクの着用、公共施設やマーケットの入り口における体温の強制的な測定が実施され、そうした管理、監視体制はパンデミックが去った後も続くと想定している。市民は安全と安定を求めて自らの主権やプライバシーを放棄するというのだが、これは現実になっている。全市民に生体認証が義務づけられるともしていた。強制的な隔離、つまりロックダウンが機能するとも主張しているが、そうしたことはなかった。 ロックフェラー財団といえば欧米支配者の広報的な役割を果たしているが、やはり資本主義世界の中核グループに含まれるWEF(世界経済フォーラム)創設者のクラウス・シュワブは今年6月、COVID-19を利用して資本主義を大々的に「リセット」すると語っている。世界のあり方を変えると言っているわけだ。 実際はどうなるか不明だが、2001年9月11日の出来事は確かに世界のあり方を大きく変えた。その出来事とは言うまでもなく、ニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎に対する攻撃。センターに建っていたノースタワーとサウスタワー、そして7号館(ソロモン・ブラザース・ビル)が爆破解体のように倒壊、ペンタゴンでは小さな穴が開き、後に建物の一部が壊れた。 ジョージ・W・ブッシュ政権は詳しい調査が実施される前にアル・カイダが攻撃したと宣伝を始めたが、早い段階から倒壊への疑問を口にする人がいた。そのひとりがデベロッパーで高層ビルに詳しいドナルド・トランプ。現大統領だ。 トランプは事件の直後に建造物の専門家としてABCのジョージ・ステファノポラスからインタビューを受けているのだが、その中でトランプは2001年9月11日の攻撃について、「イラクは世界貿易センターを崩壊させなかった。イラクではなかった。ほかの連中だ。その連中が誰なのかを私はわかっていると思っている。あなたもそうかもしれない。」と語っている。 トランプは1993年2月にノース・タワーの地下2階にあった駐車場が爆破された出来事を引き合いに出している。その爆破でコンクリートの床が破壊され、4階層に渡って幅30mの穴が空いている。それでもビルはびくともしなかった。航空機が突入した程度で崩壊するようなビルではないと主張している。 その後、1994年から2000年にかけて世界貿易センターではエレベーター・システムを改良、96年から2000年にかけては新しい治安システムを導入するための工事が実施されている。 また、サウス・タワーにオフィスがあったフィデュシアリー・トラストのスコット・フォーブスによると、攻撃直前の9月8日から9日にかけて動力が落ち、50階から上は電力の供給がなくなるということがあったという。その影響で監視カメラやドアのセキュリティ・ロックも機能しなくなり、修理するために多くの技術者がタワーに出入りしていたという。ビルを倒壊させるために何らかの工作をするチャンスは十分にあったということだ。 しかし、今でも「オサマ・ビン・ラディンが率いるアル・カイダ」が航空機を突入させ、それが原因でビルは倒壊したことになっている。 しかし、アル・カイダなる武装集団は存在しない。2001年6月から04年6月までイギリス外相を務めたロビン・クックが05年7月にガーディアン紙で書いたように、アル・カイダはCIAの訓練を受けたムジャヒディンの登録リスト、つまりジハード傭兵の名簿。そのリストに登録する戦闘員をリクルートすることがオサマ・ビン・ラディンの仕事だった。 2001年当時、オサマ・ビン・ラディンは肉体的に戦闘を指揮できる状態ではなかった。フランスのル・フィガロ紙によると、2001年7月4日から14日にかけて彼はドバイのアメリカン病院に入院している。彼は腎臓病を患い、人工透析を必要としていた。 ドバイの病院でビン・ラディンを治療していたのはアメリカ人医師のテリー・キャラウェイで、入院中にサウジアラビアのトゥルキ・アル・ファイサル総合情報庁長官やCIAエージェントのラリー・ミッチェルが見舞っている。 CBSニュースは2002年1月28日、パキスタンの情報機関(ISI)の情報として、ビン・ラディンは2001年9月10日にパキスタンのラワルピンディにある軍の病院へ入院、透析を受けている。9月11日にはパキスタンにいたのだが、その事実をアメリカは遅くとも12日には知っていた可能性が高い。 ジャーナリストのティエリー・メッソンによると、オサマ・ビン・ラディンは2001年12月15日に死亡、アフガニスタンで行われた葬儀にはイギリスの情報機関MI6の代表が参列したというが、バラク・オバマ米大統領は別の説明をしている。2011年5月2日、パキスタンのアボッタバードでアメリカ海軍の特殊部隊NSWDGが彼を殺害、死体は空母カールビンソンから海に葬られたという。この出来事を目撃した人は見当たらない。 2011年2月にアメリカ、イギリス、フランスを含む外国勢力はリビアへの侵略戦争を始める。地上軍はアル・カイダ系の武装集団LIFGが使われ、その戦闘をNATO軍の航空機が支援していた。地上には外国勢力の特殊部隊も入っていたようだ。 ムアンマル・アル・カダフィ体制は2011年10月に倒されたが、その直後、反カダフィ勢力の拠点だったベンガジでは裁判所の建物にアル・カイダの旗が掲げられている。(ココやココ)
2020.09.07
スーダンでワクチン由来ポリオの感染者が見つかっているようだ。感染した子どものひとりは南部ダルフール、もうひとりはガダレフに住んでいた。ふたりとも最近、ポリオのワクチンを接種されたという。エチオピアやエリトリアに近い地域だ。 ポリオのワクチンはジョナス・ソークが1950年代に開発したが、そのワクチンを投与したサルがポリオを発症することにバーニス・エディという研究者は気づき、警告する。その警告が無視され、多くの被害者が出ることになった。 次にアルバート・サビンが「安全なワクチン」を開発したのだが、製造に使われた猿の腎臓には人間を癌にするウイルスが存在、ワクチンに癌を誘発するウイルスが混入することになったとも言われている。 猿の腎臓にエイズの原因になる病原体が含まれていたとする説も存在する。アメリカでエイズが社会的問題になるのは1980年代に入って間もない頃。そうした中、1984年に免疫学者のアンソニー・ファウチがNIAID(国立アレルギー感染症研究所)の所長に就任した。その時の部下のひとりがHIVで有名になったロバート・ギャロ。 エイズの出現を予告したと思えるような発言が1969年にあった。伝染病からの感染を防ぐための免疫や治療のプロセスが対応困難な病原体が5年から10年の間、つまり1974年から79年の間に出現すると1969年6月に国防総省国防研究技術局のドナルド・マッカーサー副局長がアメリカ下院の歳出委員会で語っている。エイズの存在が公的に認められたのは1981年のことだ。 エイズの原因となるウイルスの発見を巡り、ギャロはパスツール研究所のリュック・モンタニエと対立する。モンタニエは1983年に彼のチームが患者の血液からレトロウイルスを発見、LAVと名付けたのだ。その後、何らかの裏取引があったようだ。現在、そのウイルスはHIVと呼ばれている。 アメリカでは1970年代の終盤から皮膚癌、リンパ腫、前立腺癌、乳癌が増え始め、1980年代の半ばから増加の割合が高くなり、この傾向は1987年まで続いた。その原因は1950年代にアメリカで使われたポリオ・ワクチンにあると推測する学者もいる。 ザイールでは1976年8月にエボラ出血熱が確認された。その後、スーダン、ガボン、南アフリカ、ウガンダ、コンゴなどでも感染者が見つかるが、病気の始まりが明確でない。1976年の前は気づかれなかっただけなのか、病気自体がなかったのかは不明だ。
2020.09.06
太平洋地域にはアメリカを中心とするふたつの軍事同盟が存在する。ひとつはアメリカと日本、もうひとつはアメリカ、オーストラリア、そしてニュージーランドの3カ国によるものだ。アメリカと日本の同盟は1951年9月8日にサンフランシスコのプレシディオで調印された安保条約から始まるが、そのその1週間前に同じ場所でアメリカ、オーストラリア、ニュージーランドの3カ国はANZUS条約を結んでいる。 その太平洋地域へNATOを広げようという動きがある。NATOの事務総長を務めるイェンス・ストルテンベルグは6月8日、NATO2030なるプロジェクトを始めると宣言したが、それは機構を太平洋へ広げ、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、そして日本をメンバーにしようということ。 2018年5月にアメリカ太平洋軍はインド・太平洋軍へ名称変更になった。インド洋と太平洋を一体と考えることを意味しているが、太平洋の拠点は日本、インド洋の拠点はインド、ふたつをつなぐ役割をインドネシアが担うという。ディエゴ・ガルシア島も重要な役割を果たすことになる。 本ブログでは繰り返し書いてきたが、アングロ・サクソンにはユーラシア大陸の沿岸地域を支配し、内陸部を締め上げていくという長期戦略がある。その戦略をまとめ、1904年に発表したのが地政学の父とも呼ばれているハルフォード・マッキンダーで、ジョージ・ケナンの「封じ込め政策」やズビグネフ・ブレジンスキーの「グランド・チェスボード」もその理論に基づいている。 イギリスは1840年から42年にかけてアヘン戦争、56年から60年の第2次アヘン戦争(アロー戦争)を中国(清)に対して仕掛け、略奪を本格化させたが、中国の全域を支配するだけの軍事力がない。そこで目をつけたのが日本。明治維新にイギリスが深く関与したのはそのためだ。アングロ・サクソンにとって獲物は中国であり、日本はその獲物を手にするための手先ということになる。 三井財閥の大番頭と言われ、ウォール街とも深く結びついていた団琢磨は1871年にアメリカへ渡り、マサチューセッツ工科大学を卒業している。団の親友だった金子堅太郎も渡米したが、金子はハーバード大学で法律を学び、同大学の後輩にあたるセオドア・ルーズベルトと親しくなる。ふたりは1890年にルーズベルトの自宅で初めて会ったという。 明治維新で誕生した体制は琉球を併合し、台湾へ派兵、李氏朝鮮の首都を守る江華島へ軍艦を派遣して挑発、日清戦争へとつながる。1904年2月に日本軍はロシア海軍の拠点だった旅順を奇襲攻撃して日露戦争がはじまる。 日露戦争の後、ルーズベルトは日本が自分たちのために戦ったと書き、金子はアンゴロ・サクソンの価値観を支持するために日本はロシアと戦ったとシカゴやニューヨークで説明していた。(James Bradley, “The China Mirage,” Little, Brown and Company, 2015) ロシアでは1905年1月に「血の日曜日事件」を切っ掛けにして始まった第1次革命で国内は混乱していたが、国力で差のある日本は戦争が長引くと劣勢になる可能性は高く、それを嫌ったルーズベルトが調停に乗り出した。この功績でルーズベルトは1906年にノーベル平和賞を授与されている。 こうした状況の中、ポーツマスで講和条約が結ばれるが、その内容に不満を持つ人びとは日比谷公園で抗議大会を開き、暴動につながった。戦利品が少ないという不満が爆発したわけだ。暴動の際、17名が死亡したと言われている。 その後、関東大震災を切っ掛けにして日本はウォール街の巨大金融機関JPモルガンの影響下に入り、1932年にはJPモルガンの総帥と結婚した女性のいとこにあたるジョセフ・グルーが駐日大使として赴任してくる。 その1932年にはアメリカで大統領選挙があり、ウォール街への不満を高めていた人びとはニューディール派のフランクリン・ルーズベルトを選んだ。そこでウォール街の住人は1933年から34年にかけてクーデターを目論んだが、失敗した。この辺の話は本ブログで繰り返し書いてきたので、今回は割愛する。 ニューディール派は反ファシズム、半植民地の立場で、大企業の活動を規制して労働者の権利を拡大しようとしていたが、1945年4月にフランクリン・ルーズベルトが急死、ホワイトハウスはウォール街が主導権を奪還することに成功した。戦争後、反ファシスト勢力はレッド・パージという形で粛清されていく。戦後日本の進む方向を決めたのはジャパン・ロビーだが、その中心にいた人物はジョセフ・グルーにほかならない。 アメリカは1949年にNATO(北大西洋条約機構)を組織を創設。その中に軍事員会が設置され、ヨーロッパ連合軍最高司令部や大西洋連合軍最高司令部が置かれた。そうした軍事部門の中心がヨーロッパ連合軍で、一般的にNATO軍と呼ばれている。 NATOが作られる前年、アングロ・サクソン系のアメリカとイギリスはACUE(ヨーロッパ連合に関するアメリカ委員会)を創設した。ヨーロッパの統合が目的だとされている。 委員長を務めたのはウォール街の弁護士でOSS(CIAの前身)の長官だったウィリアム・ドノバン、副委員長はアレン・ダレス。言うまでもなく、ダレスもウォール街の弁護士で、OSSやCIAの中心的な存在だった。委員会のスポンサーはフォード財団やロックフェラー財団などだ。 ACUEの下部組織にはビルダーバーグ・グループも含まれている。その創設者はオランダ女王の夫、ベルンハルトとユセフ・レッティンゲルだとされている。 レッティンゲルは世界大戦の前からヨーロッパをイエズス会の指導の下で統一しようと活動していた人物で、ポーランドのブワディスラフ・シコルスキー将軍の側近だった。戦争が始まるとシコルスキーは1939年9月にロンドンで亡命政府を樹立し、翌年の6月にはウィンストン・チャーチルと会談、ポーランドがイギリスと一緒に戦うことを約束している。 戦後、レッティンゲルはベルンハルトに接近、その人脈を利用してアメリカのハリー・トルーマン政権やドワイト・アイゼンハワー政権につながる。 ソ連軍の軍事侵攻に備えるという名目で創設されたNATOだが、ヨーロッパをアングロ・サクソンが支配する仕組みという側面がある。同じことは安保条約やANZUSにも言えるだろう。同じ長期戦略に基づき、別々に創設された軍事同盟を統一する動きがあるわけだが、そこには大きな問題が横たわっている。アングロ・サクソンが立てた戦略の求心力が弱まっているのだ。
2020.09.06
EU諸国とアメリカとの間で深刻な利害の対立が存在する。その象徴がロシアからEUへ天然ガスを運ぶため、2012年から稼働しているノードストリームに並行する形で建設中のパイプライン、ノード・ストリーム2。ロシアやEUの会社が建設で合意したのは2015年である。 アメリカは2014年にウクライナでネオ・ナチを使ってクーデターを実行、ビクトル・ヤヌコビッチ大統領を排除している。ウクライナではヨーロッパへの憧れが強い人びとが西部に住み、ロシアへの親近感が強人びとが東部や南部に住んでいる。東部や南部の人びとに支持されていたのがヤヌコビッチだ。 アメリカにとって、ウクライナを属国化する大きな意味はふたつ。ひとつはロシアとの国境近くへアメリカの手先の軍隊を配置、軍事的なある力を強めること。ウクライナにも生物兵器の研究施設を作っていた。もうひとつはロシアからEUへ天然ガスなどエネルギー資源を運ぶパイプラインをコントロールすることでEUとロシアとの関係が強まることを防ぐことだ。バルト海を通るノード・ストリーム2の建設は、そうしたアメリカの作戦に背く行為にほかならない。 その後、アメリカはノード・ストリーム2の建設を止めるため、さまざまな圧力を加えてきた。建設に携わる会社は「制裁」の対象になっている。こうしたアメリカの経済戦争に対し、EU諸国は主権の侵害だと批判していた。 そうした中、ロシアでの支持率が2%にすぎないアレクセイ・ナワリヌイという反プーチン派の有名人が昏睡状態になったわけだ。本ブログではすでに書いたが、オムスクの病院の医師によると、昏睡状態になった原因は低血糖。彼は糖尿病を患っていることから、糖尿病性ショックとも呼ばれる重度の低血糖が原因だと見るのが常識的だろう。 それに対し、ナワリヌイの広報担当者は空港のバーで飲んだ紅茶の中に毒が入れられていたと主張したが、その紅茶を運んで来たのは、ナワリヌイと一緒に紅茶を飲んでいた人物。これは空港のCCTVで確認されている。 ナワリヌイ側はドイツへの搬送を強く要求、ドイツ軍の研究機関は証拠を示すことなく、軍事レベルの神経ガスが使われたと発表した。そうした猛毒の物質が使われたにもかかわらず、本人は命に別状がなく、周囲にいた人にも異常は見られない。この発表を受けてアンゲラ・メルケル首相はロシア政府を強く批判したが、そのメルケルに対し、アメリカの有力メディアはノードストリーム2の建設中止を強く求めている。 EU諸国とアメリカとの対立はNATO内部の不協和音にもつながる。先月、ドナルド・トランプ大統領がドイツに駐留しているアメリカ軍3万4500名の中から1万2000名を引き上げ、ポーランドに駐留する部隊を1000名増やすと発表した。この出来事でもアメリカとドイツとの関係は揺らいでいることがわかる。ナワリヌイの出来事が誰の利益になるかは言うまでもないだろう。
2020.09.05
空港のバーで同行していた人物が運んできた紅茶の中に入れられていた毒でアレクセイ・ナワリヌイは昏睡状態になったと彼の広報担当者は主張、西側の有力メディアはウラジミル・プーチンが毒を盛った可能性が高いと宣伝している。ちなみに、紅茶を運んだ人物に異常はない。 本ブログでも指摘したが、ナワリヌイを診察した病院の医師は昏睡状態になった原因は低血糖だとしている。彼は糖尿病を患っていることから、糖尿病性ショックとも呼ばれる重度の低血糖が原因だと見るのが常識的。相変わらず、西側の有力メディアは証拠、根拠を示すことなく「プーチンの陰謀」を宣伝している。 2010年にアメリカのエール大学で行われているエール・ワールド・フェローズにナワリヌイは参加した経験がある。毎年、同大学では世界各地からエリート16名を集め、4カ月間一緒に生活させ、訓練するのだという。西側の支配者に選ばれた人物ということだ。 ナワリヌイの妻も興味深い人物だと言われている。彼女の父親、ボリス・アブロシモフはロンドンにおけるロシア人の財産を管理している銀行家で、元KGB。ロシアの富豪で元KGBのアレクサンダー・レベデフの同僚だという。 ソ連最後の書記長はミハイル・ゴルバチョフ。ペレストロイカ(建て直し)を彼は打ち出すが、それを考え出したのはKGBの頭脳と言われ、政治警察局を指揮していたフィリップ・ボブコフだとされている。(F. William Engdahl, “Manifest Destiny,” mine.Books, 2018) このボブコフを含むKGBの中枢にいた一部幹部はジョージ・H・W・ブッシュをはじめとするCIA人脈と連携していたとも言われている。そしてCIA人脈とKGBの中枢が手を組んでソ連を消滅させ、その資産を盗んだというのだ。ハンマー作戦である。そうしたKGBの腐敗勢力の下で活動した若者も富豪となり、オリガルヒと呼ばれるようになった。 ゴルバチョフは1990年に東西ドイツの統一を認めたが、それにはNATOを東へ拡大させないという条件がついていた。国務長官だったジェームズ・ベイカーはこの約束を否定していたが、ドイツのシュピーゲル誌によると、アメリカはロシアに約束したとロシア駐在アメリカ大使だったジャック・マトロックが語っている。(“NATO’s Eastward Expansion,” Spiegel, November 26, 2009) またドイツの外務大臣だったハンス-ディートリヒ・ゲンシャーは1990年2月にエドゥアルド・シェワルナゼ外相と会った際、「NATOは東へ拡大しない」と確約し、シェワルナゼはゲンシャーの話を全て信じると応じたという。(“NATO’s Eastward Expansion,” Spiegel, November 26, 2009) 1991年8月にゴルバチョフを排除する出来事があったが、その工作をしたのも同じチームだ。そして登場してくるのがボリス・エリツィン。勿論、アメリカの支配者は約束を守らない。NATOは東へ拡大し続けてロシアへ迫っている。 エリツィンは自分の忠実な部下と考えていたKGB出身のウラジミル・プーチンを1998年7月にFSB(KGBの後身)の長官に任命、99年8月には第一副首相、そして首相代理、同年12月には大統領代理になった。 プーチンは米英金融資本の操り人形になるはずだったのだが、大統領に就任した2000年5月から彼はロシアを再独立させる政策を打ち出していく。クレムリンを支配していた米英金融資本の手先、オリガルヒの粛清を始めたのだ。エリツィンも金融資本もKGB出身のプーチンに騙されたわけである。西側では腹立ち紛れに「偽者説」を流す人もいる。 クレムリンへの従属を誓ったオリガルヒもいるが、少なからぬ富豪はロンドンやイスラエルへ逃げた。ウォール街と並ぶ金融の中心地、ロンドンのシティへロシア・マネーが流れ込むのは必然だった。その額の多さからロンドンは「ロンドングラード」と呼ばれたほどだ。 そのロンドンでナワリヌイの妻の父親はロシア人富豪の資産を管理している。
2020.09.04
COVID-19(コロナウイルス感染症-2019)という悪霊が世界を徘徊しはじめたのは今年3月11日、WHO(世界保健機関)がパンデミック(感染爆発)を宣言してからだ。3月13日にアメリカのドナルド・トランプ政権は国家緊急事態を表明、イギリスのボリス・ジョンソン首相は3月23日にロックダウン(監禁)を、そして4月7日に安倍晋三政権は緊急事態をそれぞれ宣言した。 この感染症を引き起こす病原体はSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)だが、症状ではインフルエンザと区別することが難しい。COVID-19がインフルエンザと違うのは、味覚や嗅覚をなくすことくらいだという。 そこでPCR検査(ポリメラーゼ連鎖反応)が利用されているのだが、本ブログでも指摘してきたように、この検査は検体内にあるゲノムの破片を検出しているだけ。ウイルスの残骸や別のウイルスが存在することで陽性になる場合がある。 人間の免疫システムがSARS-CoV-2に対して有効だということは確認されているが、そうなると感染の可能性がなくなってもウイルスの残骸を検出して陽性になりうる。コロナウイルスは環境中に広く存在、風邪の原因だとされているが、そのウイルスも陽性の原因になるという。別の種類のウイルスでも陽性とされる可能性があると言う人もいる。 そうしたことを熟知しているPCR検査の開発者で1993年にノーベル化学賞を受賞したキャリー・マリスは、この手法をウイルスの検査に使ってはならないと繰り返していたという。 しかし、PCRの目的や限界を理解せず、この検査を求める人は少なくない。日本では、政府や東京都などが感染の拡大を隠していると主張、感染拡大で危機的状況になっているというストーリーを語りたがっている人が少なくない。アメリカやイギリスなどでは政府や有力メディアが感染拡大を宣伝、社会を収容所化して人びとに自らの主権やプライバシーを放棄させ、経済活動を麻痺させている。 アメリカを中心とする現在の支配システムが崩壊しつつあることは少なからぬ人びとが指摘している。ドル体制が崩れ始めたのだ。そうした中、ロシアや中国が存在感を強め、多極化した世界が出現する可能性が出てきた。 そうした流れに危機感を抱いているのがドル体制で甘い汁を吸ってきた人びと。COVID-19を利用して資本主義を大々的に「リセット」するとWEF(世界経済フォーラム)創設者のクラウス・シュワブは今年6月に語ったが、それも危機感の表れだろう。 COVID-19を主役とするホラーはワクチンの登場で終わるシナリオになっている。これはアメリカだけでなくEUも合意しているようだ。欧州委員会とWHO(世界保健機構)は2019年9月、共同でグローバル・ワクチン接種サミットを開催し、22年にはワクチンを接種したかどうかを示すカード/パスポートを導入しようという方針を打ち出している。 2018年にアメリカでは「弱毒化されたコロナウィルス」に関するピルブライト研究所の特許が承認された。この研究所への主要出資者の中にはWHO(世界保健機関)、EC(欧州委員会)、そしてビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団が含まれている。この特許はCOVID-19ドラマに関係していると考える人もいる。 ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団を設立したビル・ゲイツは2010年2月、ワクチンの開発、健康管理、医療サービスで人口を10~15%減らせるとTEDでの講演で語っている。医療システムが充実すれば人口は増えそうだが、減らせると言っている。 ゲイツより過激なことを言っているのがCNNのテッド・ターナー。彼は2008年にテンプル大学で、世界の人口を20億人、現在の約3割まで減らすとしている。 ゲイツが講演した3カ月後の2010年5月、ロックフェラー財団とGBN(グローバル・ビジネス・ネットワーク)は「技術の未来と国際的発展のためのシナリオ」と題された報告書を発表している。 そのシナリオによると、2012年に新型インフルエンザのパンデミックが起こり、全人口の20%近くが感染、7カ月で800万人が死亡、その多くは健康な若者になるとされている。経済活動へのダメージも想定され、人や物資の国際的な移動が止まることから旅行業のような産業や販売網は特に大きなダメージを受けると見通されていた。 また、社会的にはマスクの着用、公共施設やマーケットの入り口における体温の測定が強制され、そうした管理、監視体制はパンデミックが去った後も続くと想定。市民は安全と安定を求めて自らの主権やプライバシーを放棄、電子技術の基盤が整備されている先進国では全ての市民に生体認証が義務づけられるとされている。 こうしたリセット・シナリオのキーワードがワクチンだが、すでにロシアや中国はワクチンを開発し、条件づきで使い始めていると伝えられている。シナリオを揺るがす事態だ。そこでアメリカ政府はワクチンを開発したロシアの研究機関を「制裁」するという。 アメリカの支配者はリセットに向かって突き進むしかないのだろう。彼らはクーデターを始めてしまった。動き出したクーデターを止めることはできないだろう。
2020.09.03
サウジアラビア軍の戦闘部隊が8月26日にシリア北東部のハサカにあるアメリカ軍の基地へ入ったと伝えられている。戦闘部隊は約20名で編成され、石油を盗掘するため、その1週間前に現地入りしたサウジアラビアやエジプトの専門家を守ることが目的だという。昨年12月にはユーフラテス川沿いにあるシリアの油田地帯、デリゾールへ数十名のサウジアラビア兵がヘリコプターで到着したとも伝えられている。 シオニストの一派であるネオコンはイラク、シリア、イランを壊滅させるというプランを1980年代から持っていた。イラクのサダム・フセイン体制を倒して親イスラエル体制を樹立、シリアとイランを分断した上で両国を殲滅するというもの。 その当時、アメリカの一部支配、つまりジョージ・H・W・ブッシュやジェームズ・ベイカーたちはフセインをペルシャ湾岸産油国の防波堤と認識、ネオコンと対立する。そこで機密情報の暴露合戦が展開され、イラン・コントラ事件やイラクゲート事件と呼ばれるスキャンダルが浮上したわけだ。 クウェートの石油盗掘に怒ったイラク軍が1990年8月2日に同国へ軍事侵攻、それに対してアメリカ主導軍が91年1月16日にイラクへの空爆を開始する。いわゆる湾岸戦争だが、大統領だったジョージ・H・W・ブッシュはフセイン体制を倒さず、2月末に戦争を終わらせてしまう。 これに怒ったのがネオコン。1991年5月に国防総省を訪れたウェズリー・クラーク元NATO欧州連合軍最高司令官に対し、国防次官だったネオコンのポール・ウォルフォウィッツはシリア、イラン、イラクを5年から10年で殲滅すると語ったという。(3月、10月) クラークによると、2001年の9月11日にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンにある国防総省の本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃されて間もない時期に、ドナルド・ラムズフェルド国防長官の周辺にいたネオコンはイラク、イラン、シリアだけでなく、リビア、レバノン、ソマリア、スーダンを攻撃する計画が立てていたという。 こうした話が漏れ出た後、ジョージ・W・ブッシュ(息子)政権は7カ国だけでなく、もっと多くの国を攻めるつもりだという話が流されたが、これは「枯れ葉」を撒いて真の計画を隠すことが目的だったのだろう。 遅くとも1980年代にネオコンが立てた計画に従ってアメリカ軍は今も動いている。その計画を遂行するために必要な資金、そして私的な利益を稼ぐためにシリアの石油は盗掘されてきたが、その盗掘を本格化させる動きがあると言える。 サウジアラビア軍が部隊をシリアへ派遣していると伝えられる中、興味深い出来事が中東では引き起こされている。 例えば、8月4日にはレバノンの首都ベイルートで核兵器を連想させるような大きな爆発があり、13日にはドナルド・トランプ米大統領がアラブ首長国連邦とイスラエルの「国交正常化」を発表した。シリア東北部では17日にアメリカ軍の戦闘ヘリコプター、AH-64アパッチがシリア軍のチェックポイントを攻撃、18日にはロシア軍の少将が殺され、同じ日にアメリカ軍が保有する2機のドローン(無人機)、MQ-9リーパーが行方不明になっている。 アメリカは中東での軍事作戦に傭兵やクルドだけでなく、ペルシャ湾岸の産油国などを巻き込み、「内戦」を演出しようとしているようにも見える。
2020.09.02
日本で「新型コロナウイルス」というタグがつけられている病原体はSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)、そのウイルスが引き起こす感染症がCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)だ。この病気のイメージをマスコミはエボラ出血熱のようなウイルス性出血熱、ペスト、天然痘といった病気と同じように描いている。 勿論、これは幻影にすぎない。イギリス政府が3月19日にCOVID-19をHCID(重大感染症)から外したのもそのためだ。マスコミが病気に関する誤ったイメージを植えつけているのはなぜなのか。 悪霊のようなイメージを作り上げられたCOVID-19に人びとは怯え、ロックダウン(監禁)、あるいはそれに準ずる政策を打ち出すように求める人も少なくなかった。日本では「自粛」という形がとられたが、それでも人びとの行動は制限され、監視され、経済活動は麻痺して倒産や失業者が急増することになった。社会は収容所化された。 COVID-19を火事場泥棒的に利用して「超監視社会」が作り出されようとしているわけではない。感染劇の幕が開いた直後からの目的がそれだ。 そもそも、監視や取締体制を強化し、行動を制限することは支配者の一貫した意思であり、電子技術を利用した監視システムの強化は電子技術が飛躍的に高度化し始めた1970年代から始まっている。支配的な立場の人びとは被支配者の一挙手一投足を監視、自分たちに背く者たちに懲罰を与える仕組みを作り上げようとしてきたのだ。 1970年代からダンカン・キャンベルのようなジャーナリストはアメリカやイギリスの電子情報機関、つまりNSAやGCHQが築きつつあった監視システムの危険性を明かにし、警鐘を鳴らしていた。1975年8月17日にはアメリカ上院のフランク・チャーチ議員がNBCのミート・ザ・プレスという番組で、アメリカ政府の通信傍受能力はアメリカ国民に向けられる可能性があり、そうなると人々の隠れる場所は存在しないと語っている。2005年の段階で監視体制がどの水準まで到達していたかは拙著(『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』三一書房、2005年)にも書いてある。 COVID-19の恐怖を支配者が煽ってきたのは、世界の収容所化を進めるためだ。その収容所を管理するのは強大な私的権力。収容所化した世界はファシズム体制になると言える。 そうした意思を支配者は2010年の段階で漏らしている。2010年5月にロックフェラー財団とGBN(グローバル・ビジネス・ネットワーク)は「技術の未来と国際的発展のためのシナリオ」を公表したが、そのシナリオによると、2012年に新型インフルエンザのパンデミックが起こり、全人口の20%近くが感染、7カ月で800万人が死亡、その多くは健康な若者だとされている。 このパンデミックで人や物資の国際的な移動が止まり、旅行業のような産業や販売網にダメージを与えるのだが、全ての市民を強制的に隔離した国はダメージが少ないとしている。さらにマスクの着用、公共施設やマーケットの入り口における体温の測定が強制され、そうした管理、監視体制はパンデミックが去った後も続く。現在、その通りのことが要求されている。全ての市民に対する生体認証も考えているようだ。しかも安全と安定を求める市民はそうした管理体制を求め、自らの主権やプライバシーを放棄すると見通されている。 これも繰り返しになるが、アメリカでは社会を収容所化するための方策が考えられてきた。例えば1968年にマーチン・ルーサー・キング牧師が暗殺された直後に2旅団が編成されたガーデン・プロット作戦、多くのアメリカ市民を拘束することを目的としたレックス84、戦争に反対する人びとの監視を含む治安作戦を定めたヒューストン計画などだ。 ヒューストン計画はリチャード・ニクソン政権の司法長官、ジョン・ミッチェルが強硬に反対したことなどから実現していないが、ジミー・カーター政権でFEMAとして再浮上した。 アメリカで警察の軍隊化が進められたのも同じ長期計画に基づいているのだろう。2003年にアメリカはイラクを先制攻撃したが、その際にイラクへ派遣された海兵隊の隊員よりアメリカ国内の警官の方が装備が高度だとも言われたほどだ。2014年頃から非軍事の省庁で武装化をすすめていることも注目されてきた。 警察だけでなく、アメリカ陸軍はバージニア州に軍事訓練用の町を建設、兵士を訓練していた。広さは約121万平方メートルで、5階建ての大使館、銀行、学校、地下鉄と駅、モスク、フットボールのスタジアム、ヘリコプターの離発着ゾーンなどがあり、地下鉄は実際に動かすことが可能。客車のロゴはワシントンDCの地下鉄と同じだという。 暴動を鎮圧するための新兵器も開発されてきた。音を使ったLRAD(長距離音響発生装置)はすでに使われているようだが、マイクロ波を使って皮膚の表面温度を上昇させるADSなる兵器を開発されている。このADSの基本原理は電子レンジと同じ。「熱線」とも呼ばれている。違いは周波数。ADSが95ギガヘルツなのに対し、電子レンジは2.45ギガヘルツだ。バラク・オバマ政権は銃の規制に積極的だったが、これは一種の刀狩りだろう。
2020.09.01
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