inti-solのブログ

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2011.01.27
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テーマ: ニュース(95873)
カテゴリ: 戦争と平和
一昨日の記事

・・・・・・ところで、監視された本人の佐藤正久自身は情報保全隊の活動について、こう言っているようです。

「自衛隊への破壊活動とそれを目的とした浸透活動をはかる団体の情報収集は必要だが、対象を際限なく拡大するのは問題だ。自衛隊員は国家に忠誠を尽くすことは求められるが、政党や政治家の私兵ではない」と指摘している。( 産経新聞の記事より )

なるほどね。それでは、4年ほど前の自民党政権時代に流出した、情報保全隊の監視リストを見てみましょう。
監視対象団体は、先の記事でもリンクしましたが、 これ です。では、具体的にどんな監視をしていたか。

しんぶん赤旗のサイトに、 その具体的な内容が記載 されています。


「文書A」に添付された「一般情勢の細部」は、情報保全隊が、国民のあらゆる種類の運動を監視の対象としていたことをしめしている。そこに記載された多くは、この時期に全国各地で広がった自衛隊のイラク派兵に反対する活動であるが、それ以外にも、 「医療費負担増の凍結・見直し」の運動、「年金改悪反対」の運動、「消費税増税反対」の運動、「国民春闘」の運動、「小林多喜二展」のとりくみなどへの監視がおこなわれていた ことが記載されている。これは自衛隊情報保全隊が、国民のおこなう運動の全般にわたる監視活動を、日常業務として実施していることをしめすものである。
「文書B」は、イラク派兵に反対する運動の監視については、特別の体制がとられていたことをうかがわせるものである。情報提供者は、陸上自衛隊の情報保全隊は、「国民的に高まったイラク派兵反対運動の調査を中心的な任務とし、他の情報よりも優先して本部に報告する体制をとっている」、「情報保全隊は上部からの指示で、各方面ごとに反対運動を調査し、各方面の情報保全隊は、情報を速やかに情報保全隊本部に反映するため、毎日昼に前日の反対運動をまとめて報告する」と証言している。
(中略)
そこには 多数の個人が実名で記載 されている。
「文書B」に記載されている「反対動向」のうち、「市街地等における反対動向」の監視対象とされた団体・個人は、全国四十一都道府県、二百八十九団体・個人におよび、高校生まで監視の対象とされている。ここには デモの行動の様子や参加者を撮影した写真も添付 されている。
情報保全隊は、社会的に著名な映画監督、画家、写真家、ジャーナリストなどの活動なども、監視の対象としている。マスメディアの動向についても監視下におき、詳細に記録されている。 マスメディアとの「懇親会」の席上で、誰がどういう質問をしたかまで、肩書付きの実名で記録されている。「駐屯地を退庁する隊員に対し取材を実施した」ある大手新聞のメディア記者の行動は、「反自衛隊活動」として記載 している。イラク・サマーワに派遣されたメディアの特派員の動向も、詳細に追跡されている。
各地の市町村議会でおこなわれた「イラク派兵反対決議」についても、その発議者、賛否議員数、議会構成などについて、詳細に記録している。国会議員についても、民主党の国会議員によるイラク派兵への批判的発言と、それへの対応が記載されている。
イスラム系団体が組織的・系統的な監視対象にされている ことをしめしている。(強調は引用者)
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さて、どうでしょうか。自民党政権時代の情報保全隊の活動のどこが、佐藤正久のいう「自衛隊への破壊活動とそれを目的とした浸透活動をはかる団体の情報収集」だったのでしょうか。「医療費負担増の凍結・見直し」運動、「年金改悪反対」運動、「消費税増税反対」運動、「国民春闘」運動、「小林多喜二展」。これらに対する賛否は別の問題として、これらの運動のどこが、自衛隊への破壊活動なのでしょうか。
なるほど、一般論として、これらの活動を行っている団体の多くは左派系であり、左派系は一般に自衛隊に対して対立的であるという傾向はあるでしょう。一言でいえば、「自衛隊にとって(自民党政権にとっても)気に入らない団体」と言えるかも知れません。だから監視する、という理屈が成り立つなら、佐藤正久や田母神俊雄の講演を監視することも、まったく同列でしかありません。
しかも、デモの参加者の写真撮影までしている。


で、改めて監視対象のリストを見てみると、結局現在野党の自民党は「俺たちを監視対象にした」と吹き上がっているけれど、自分たちが与党の時は、野党の民主党を監視対象にしている。監視対象リストに民主党室蘭支部ってあるけれど、これって鳩山前首相の選挙区の民主党支部ですよね。他にも、民主党北海道、民主党6区総支部(北海道6区は旭川の選挙区)などが監視対象になっている。
そして、むしろ逆に、本当に「破壊活動」を行う団体は監視対象になっていません。具体的に言えば、中核派やその他の新左翼過激派の各団体も、当時イラク戦争反対を掲げていたし、反戦デモに参加してきたこともあったにも関わらず、監視対象リストにはその名がない。まして、イラク戦争反対運動と関係のない反社会団体(たとえばオウム真理教とか)は、まったく出てきません。自衛隊情報保全隊の監視が以下に恣意的か、その一点でも明白というものです。

産経の報道による と、元防衛大臣の石破茂は、いけしゃあしゃあと

「保全隊は自衛隊の安全を守る組織で在任中は恣(し)意(い)的に運用しないよう徹底させていた。」

などと言っているようですが、これのいったいどこが恣意的な運用じゃないのか、是非教えてほしいものです。ちなみに、前記の情報保全隊から流出した文書は、2003年11月から2004年2月にかけての監視活動の報告書なのですが、その時期に防衛庁長官を勤めていたのは、まさしく石破茂自身です。





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最終更新日  2011.01.27 23:53:12
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