inti-solのブログ

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2012.08.30
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カテゴリ: 災害
南海トラフ地震、最悪なら死者32万人 国が被害想定

有識者会議は「最悪クラスの地震が起きる可能性は低い」とも指摘。適切な避難行動や対策をとれば、死者数を最大5分の1に減らせるとしている。
発表によると、最悪クラスの地震のマグニチュード(M)は9.1で、震度7が静岡県から宮崎県までの10県151市区町村、6強が21府県239市区町村。より詳細な地形データに基づいて推定した津波の高さは、20メートル以上の地域が8都県(都は新島などの島しょ部)に及ぶとしている。
太平洋側を中心に浸水も拡大。東京、名古屋、大阪の3都市圏の一部が被害を受け、東西の物流が寸断される可能性がある。三重県伊勢市や宮崎市でも浸水の範囲が30平方キロを超える。浜岡原発は高さ18メートルの防波壁(建設中)を想定に入れない場合、最大9メートルまで水につかるとしている。
死傷者や建物被害は震源や発生時間、季節、風速で変わるため、東海、近畿、四国、九州がそれぞれ大きな被害を受けたケースを想定。風の強い冬の深夜に東海で甚大な被害が出ると、津波で23万人、建物倒壊で8万2千人、火災などで1万1千人の計32万3千人が死亡するという。
さらに、236万4千~238万6千棟が揺れや津波、火災に加え、地盤沈下といった現象が起きる液状化で全壊・焼失すると想定。自力で逃げられなくなる「脱出困難者」は31万1千人に上るとしている。
二つの有識者会議は、東京大の阿部勝征(かつゆき)名誉教授が座長の検討会と関西大の河田恵昭(よしあき)教授が主査のワーキンググループ(WG)。検討会は3月末に出した震度と津波の高さを改めて算出し、初めて浸水域も推計。WGは死者や建物の被害を担った。いずれも強い揺れを起こす領域に応じて複数の想定を出した。
検討会などは最悪クラスの被害とは別に、地震で堤防や水門が壊れると死者は2万3千人増え、浸水の範囲や深さがより深刻になるとの想定結果も出した。
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以前に、国の検討会議のトップが、「犠牲者最悪30万人もあり得る」という見解を示したことがあり、そのことを このブログで記事に書いた こともあります。そして、その見解にほぼ沿った内容の被害想定が公開されたようです。

この想定は、あくまでも「最悪の場合、こうなる可能性がある」ということであって、「必ずそうなる」というわけではありません。「適切な避難行動や対策をとれば、死者数を最大5分の1に減らせる」ともありますが、ただし逆に言えば、適切な避難行動や対策があっても、6万人以上の死者は確実に出る、ということでもあります。東日本大震災の3倍以上ですから、とてつもない犠牲者数です。もちろん、想定のM9.1より小さい規模の地震であれば、それより更に犠牲者は減るのでしょうが、東日本大震災を経験してしまった以上、想定震度の最大値はマグニチュード9クラスがあり得る、という前提に立たないわけにはいきません。

ちなみに、1707年の宝永地震は、従来マグニチュード8.4~8.7程度と推定されていました。地震計のない時代のことですから、地層上の痕跡と、古文書の被害記録からのおおざっぱな推計です。そして、去年の震災以降、専門家の間では、宝永地震の規模はもっと遙かに多きかったのではないかという意見が強まっています。その150年後に起こった安政地震に比べて、被害規模が遙かに大きかったからです。現在は、宝永地震はマグニチュード9クラスの超巨大地震という見方が強まっています。一方安政地震はマグニチュード8.4程度(これだって、地震計のない時代ですから、かなり曖昧な推計ではありますが)、1944年と46年に起きた昭和東南海地震と昭和南海地震はマグニチュード7.9と8.0で、安政地震より更に小規模で、かつ東海地震は連動しませんでした。
マグニチュード9.1という数字は、おそらく宝永地震を念頭において想定したのではないかと思います。

2003年の想定のときは、最大25000人の死者を見積もっていたそうです。それだって、公表された当時は衝撃的な予測だったのですが、去年の震災を目の当たりにしてしまうと、それすら甘すぎた、ということなのでしょう。
東日本大震災の被災地と、東海/東南海/南海地震の震源域を比較すれば、人口は後者の方が遙かに多いので、犠牲者も当然多くなるはずです。去年の震災で2万人亡くなっているのに、同じ規模の地震が東海/東南海/南海で起こったら、犠牲者2万5千人で収まるわけがない。

個人的には、この「最悪」被害想定では、東京でも1000人以上の死者が出ると見積もられていることに衝撃を受けました。南関東直下型地震は怖いけど、東海地震は、東京には直接的にはそれほどの危険はないと思っていたのですが、甘かった。
去年の震災でも、東京晴海で1.3メートル、横浜で1.6メートルの津波が観測されています。津波が起こりにくいと言われる東京湾ですが、それだけの津波が来た。当然東海/東南海/南海地震が発生した場合、東京湾に侵入してくる津波はより大規模である可能性が高いわけです。






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最終更新日  2012.08.31 00:09:03
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