inti-solのブログ

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2016.01.07
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別府市「生活保護なのにパチンコ」で生活保護停止 - 発端となった市議会のやり取りは?

発端となった市議会での質疑と答弁を、関連情報および私見とともに紹介します。 ~
さて、話題となった「生活保護でパチンコ」を摘発、の件です。

国実市議
市民と議員との対話集会をもった。一般市民の方々から苦情があった。
生活保護受給者が昼間からパチンコや競輪をしている。
今回、課長との話の中で、10月に遊技場の立ち入り調査をしたということを聞いた。
状況は? 問題点は? 今後の対策は?

社会福祉課長
2015年、10月5日から30日にかけ、全ケースワーカーを、延べ5日間動員して、全パチンコ店と競輪場、遊技場調査をした。立ち入りを禁止しているにもかかわらず、25人の保護受給者を発見した。そのうち6割が、高齢受給者だった。自分が(注:25人の)一人一人と面接した。複数回の指導に従わない場合、保護の停止など、厳しい措置を実施した。しかし、そのような方にこそ、生きがいをもって、社会的自立を促す指導も必要と実感。
今後の対策、これまで以上に、遊技場調査を強化、厳格な措置を行うのはもちろんのこと、加えて、たとえば自治会や老人クラブでの活動、介護支援ボラ登録など、社会参加に向けた支援も充実。一人一人が地域の中で生きがいを見出すことにも力を注いでいこうと考える。

正直、意味が分からないです。全ケースワーカーの動員には「ヒューマン・リソースの無駄遣い」という言葉が思い浮かびました。それに、この方々はすでに「生きがい」を持っているわけです。パチンコや競輪という生きがいを。生活保護費のやりくりで楽しめているんだったら、他人がとやかくいう筋合いはないかと。それに「生きがい」は、自分で見出し、選ぶからこそ「生きがい」になるのではないでしょうか。他人に「これがあなたの生きがい」とあてがわれたものに、内心ムカつきながら「生きがいをありがとう」と言わされるなんて。~
生活保護利用者にパチンコ・競輪を禁止する規定は、生活保護法にも施行規則類にもありません。つまり、生活保護利用者に対して遊技場への立ち入りを禁止する権限が、自治体にはないんです。さらに、それを理由とした保護停止ですか……? もう「なんだかもう訳がわからなさすぎる」というしかありません。根拠はいったい、何なのでしょうか?~

また、そもそもの問題は「生活保護でパチンコ」は法で罰することができるのかどうか? です。根拠になりうるのは、生活保護法のここくらいでしょうかね? 

(生活上の義務)

第六十条  被保護者は、常に、能力に応じて勤労に励み、自ら、健康の保持及び増進に努め、収入、支出その他生計の状況を適切に把握するとともに支出の節約を図り、その他生活の維持及び向上に努めなければならない。

ご覧のとおり、罰則なしの努力規定です。(以下略)

---

生活保護制度に詳しい知り合いによると、この件について職場でちょっと話題になったことがあるそうです。別府市は、よくこんなことをやっちゃうな、信じ難い、ということでした。
引用記事のみわよしこ氏の言い分にも、ちょっとどうかと思う部分はあります。パチンコや競輪を「生きがい」という言い分は、とても賛同できるものではありません。確かに「生活保護費のやりくりで楽しめている」分にはいいでしょうが、そんな人間ばかりではありません。
はっきり言ってしまえば、延べ5日間の調査で2度パチンコ店に入店していることが発覚するような人間は、そうとう長時間パチンコ店に入り浸っている蓋然性が高い。そんな人間がきちんと「保護費をやりくり」してパチンコを楽しんでいるとは思えません。ギャンブル依存、あるいはその予備軍みたいな状況で、生活も破綻している可能性は高いと思われます。
そういう人をギャンブル(パチンコを含め)から遠ざけるための努力は必要とは思います。

が、しかし、生活保護制度上、受給者がパチンコ店に入ることを禁じるような規定が存在しないことは事実です。禁止されていない行為に対して強制力の伴う指導指示などできないし、ましてそれを理由に保護の停廃止なんてあり得ないと、不服審査請求を出されたら、行政側はとても勝てないだろうというのが、知人と、その知人の職場での意見だそうです。行政機関が法律に基づかない独自ルールを振りかざしちゃダメだろう、ということです。

では、パチンコ店に入り浸る受給者をどうしたらよいか。強制力はないけれど、ともかく説得するしかない、ということです。ただ、そんな人たちが説得だけで容易にギャンブルをやめるものではありませんが。今は、ギャンブル依存の治療を行う精神科もあります。もっとも、おそらくアルコール依存がそうであるように、ギャンブル依存の治療も非常に難しいであろうことは容易に想像がつきますが。どの道、指示書で脅して保護停止にしたって、ギャンブル依存は治らないんだから同じことです。
対処療法的ですが、生活保護費を週払い、極端な場合は日払いにして、月初めにあっという間に保護費を使い切ってしまうような事態を避ける手段もある(本来生活保護費は毎月1回支払い)そうですが、これは担当ケースワーカーにとっても負担で、特に日払いなんてのはとても長期間続けられるようなものではない、ということです。家賃を本人に渡さず、家主に直接送金する手法も広く取り入れられています。

そういった努力にもかかわらず、保護費をギャンブルにつぎ込んでしまったらどうするのか?





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最終更新日  2018.06.09 08:17:27
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Re:不服審査請求に耐えられるとは思えない(01/07)  
Bill McCreary さん
生保受給者のギャンブルは指導の対象にはなっても、それによる停止、廃止はしてはいかんというのは、生活保護に関する本その他には必ず載っていますけどね。これは、それをどう考えるかといったこととは無関係。

>最低限飢え死にしないように乾パンだけ渡すような例もあるようですが、そこまでです。

それでいいんじゃないんですかね。最終的には他人がどうこうできる話ではない。

ただ私も、みわさんの

>それに、この方々はすでに「生きがい」を持っているわけです。パチンコや競輪という生きがいを。生活保護費のやりくりで楽しめているんだったら、他人がとやかくいう筋合いはないかと。

という言い方はどうかと思います。生活保護制度の趣旨からして、そういうことに金を使われてはよろしくないのは当然なわけで、「生きがい」なんて言葉で正当化(彼女は主観的には正当化はしていないのかもですが)してはやはりよくないでしょう。 (2016.01.08 04:28:30)

Re:不服審査請求に耐えられるとは思えない(01/07)  
maki5417  さん
ギャンブル依存やアルコール依存は、健康で文化的な生活とはいいがたいですね。
最低賃金と逆転と騒がれましたが、やはり生活保護費は見直すべきでしょう。支給額も個々の事情を勘案してきめ細かい対応が必要かと思います。
漫才師の例でもわかるように、隠れ資産家や家族の支援拒否はもっと問題にすべきだと思います。
私の母親も父が亡くなって年金が大幅に減りましたが、こどもの援助を増やしてやりくりしてもらっています。 (2016.01.08 09:18:01)

Re[1]:不服審査請求に耐えられるとは思えない(01/07)  
inti-sol  さん
Bill McCrearyさん
>生保受給者のギャンブルは指導の対象にはなっても、それによる停止、廃止はしてはいかんというのは、生活保護に関する本その他には必ず載っていますけどね。

そのとおりです。別府市のやったことは、明らかに法に反するといわざるを得ません。

>ただ私も、みわさんの

>>それに、この方々はすでに「生きがい」を持っているわけです。パチンコや競輪という生きがいを。生活保護費のやりくりで楽しめているんだったら、他人がとやかくいう筋合いはないかと。

>という言い方はどうかと思います。生活保護制度の趣旨からして、そういうことに金を使われてはよろしくないのは当然なわけで

そのとおりです。みわ氏の問題提起は正しいのですが、この一文でそれをかなりぶち壊しているといわざるを得ません。 (2016.01.08 21:47:16)

Re[1]:不服審査請求に耐えられるとは思えない(01/07)  
inti-sol  さん
maki5417さん

>最低賃金と逆転と騒がれましたが、やはり生活保護費は見直すべきでしょう。

私は、必ずしもそうは思いません。多人数世帯の保護基準は、冗談のように高額な例がありますが、単身世帯の保護基準は、実際それで生活するとなると本当にギリギリだと思われます。

>漫才師の例でもわかるように、隠れ資産家や家族の支援拒否はもっと問題にすべきだと思います。

それも一概には言えません。親族の関係は千差万別だからです。叩かれた例は、親子で関係良好で、親のネタで本まで出している、しかも充分な収入があるのに、という点が同義的に問題になりました。(あくまでも道義的にであって、法的な不正ではありません)

しかし、現実には関係が断絶している親子、あるいは関係良好だけど子どもも生活苦、という例のほうがはるかに多いわけです。それを「子どもが援助しろ」とはいえないのが現実です。
(2016.01.08 22:03:58)

Re[2]:不服審査請求に耐えられるとは思えない(01/07)  
maki5417  さん
inti-solさん
>maki5417さん


>しかし、現実には関係が断絶している親子、あるいは関係良好だけど子どもも生活苦、という例のほうがはるかに多いわけです。それを「子どもが援助しろ」とはいえないのが現実です。

-----
そうでしょうか。
断絶しても親子関係は親子です。収入が少ないと言っても、月1万円くらいはなんとかなるでしょう。
小額でもいいので援助すべきではないでしょうか。

この問題で遅れているのは、シングルマザーの相手方への対応です。
養育費の支払いを約束しているのに支払わない輩です。
税務署を使ってでも支払わせるべきだと思っています。
シングルマザーとお子さんは救われるのではないでしょうか。
(2016.01.09 09:40:16)

Re[5]:不服審査請求に耐えられるとは思えない(01/07)  
inti-sol  さん
maki5417さん

>>しかし、現実には関係が断絶している親子、あるいは関係良好だけど子どもも生活苦、という例のほうがはるかに多いわけです。それを「子どもが援助しろ」とはいえないのが現実です。
>>
>-----
>そうでしょうか。
>断絶しても親子関係は親子です。収入が少ないと言っても、月1万円くらいはなんとかなるでしょう。
>小額でもいいので援助すべきではないでしょうか。

べき論と現実は違うのです。
激しくいがみ合っている親子なんて、掃いて捨てるほどあります。まあ、たいていの場合は、親が親としての義務を果たしてこなかった(虐待とかネグレクト、幼時に離婚して養育費も出さなかったとか、その他モロモロ)結果です。こう言ってはなんですが、そう言った「身から出た錆」の成れの果てが生活保護とういう例はかなり多いようです。そういった場合、DNAと戸籍上は親子でも、互いに親とも子とも思っていないわけです。

>この問題で遅れているのは、シングルマザーの相手方への対応です。
>養育費の支払いを約束しているのに支払わない輩です。
>税務署を使ってでも支払わせるべきだと思っています。

これは、そのとおりだと思いますが、それを実行するには行政のマンパワーが足りていないのが現実ではないかと思います。そして、養育費を踏み倒した父親が、将来困窮に至った時、子どもが「親だから」と援助する気になるか、という問題です。早くくたばれ、くらいに思われるのが関の山ではないでしょうか。 (2016.01.09 14:05:41)

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