inti-solのブログ

inti-solのブログ

2016.01.19
XML
カテゴリ: 政治
石原慎太郎の日本よ、ふたたび 航空機産業は国家の命運を握る…MRJは米国に気兼ねせずもっと大型にすべきだった

私は知事在任中アジアの大都市のネットワークを造り毎年一度の国際会議を催していた。アジアの大都市間で協議統合すべき問題は多々あるが、実は本当の密かな狙いは航空機を製作出来る能力を保有している国同士の連帯で一番需要の高い中小型の純アジア製の旅客機をなんとしてでも作り世界に飛ばしたいという念願だった。~
インドネシアの会社のごときは同じ発想で新型旅客機の製作に手をつけていたがアメリカの強い横槍で計画は潰され訪れたバンドンの本社の前庭には完成されるはずだった新型機の外形だけのドンガラが飾られていたものだ。
という経緯もあって日本の官僚たちはアメリカに気兼ねして新しいアジア製旅客機のサイズを縮小させてしまった。今回の経緯を目にして、私が思い出したのはかつて日本製のYS11が思惑が外れて生産継続が挫折したいわれは、YSの性能の良さとその売れ行きを懸念したアメリカが東南アジアで手を尽くして日本製飛行機の販路を潰したというまぎれもない事実だった。そのつぶさな実態を私は当時、商社丸紅のインドネシア支店長をしていて、後には社長になった同窓の親友鳥海からつぶさに聞かされていた。その作業に暗躍していたのは他ならぬロッキードスキャンダルで表にたったコーチャンとクラッターなどという手合いだったそうな。
自動車での競争で日本に敗北したアメリカは太平洋戦争の緒戦での日本製のゼロ戦が、ドイツが自慢のメッサーシュミットが撃ち落とせなかったB17を簡単に撃墜させたトラウマを抱えていたせいで日本の航空機産業の台頭を絶対に許せずに、中曽根内閣時代に三菱重工が従来のいかなる戦闘機の性能をも上回る次期支援戦闘機FSXの計画を発表した時、強引にこれを潰してしまった。この戦闘機の性能は旋回と宙返りの直径が従来の半分でいかなる相手との空中戦で優位にたてるという絶対的なものだった。(以下略)

---

何と言うか、妄想だらけの文章です。MRJはYS11より一回り大きくすべきだったというのですが、言われずとも、MRJはYS11より一回り大きいのです。YS11は全長26mあまりで乗客定員は60名前後ですが、MRJは短胴型で全長33mあまりで70席クラス、長胴型(先日初飛行したのはこちらのタイプ)36m弱で90席クラス。長胴型はYS11の5割増程度の座席数になります。

MRJ開発の動機には、国威発揚的な発想もあっただろうとは思いますが、どのような機体を開発するかに関しては、マーケットリサーチの上で決定されたはずです。MRJより大きな機体となると、ボーイングB737とエアバスA320シリーズという強力すぎるライバルがいて、今からそこに割って入ろうとしても、とても売れる見通しが立たないという分析が、当然あったはずです。もちろん、できるだけ燃費が低くなるようなサイズと形状、エンジンの選択という都合もあったでしょう。
機体サイズを決めるのに国威発揚的発想を持ち込んでどうするの。それで売れなかったら石原新太郎が資材で赤字を補填するのでしょうか?

米国がYS11の販路を潰した云々の話は、私には真偽のほどは分かりませんが、相当マユツバっぽい、とは思います。そもそも、米国は航空機大国ではあるけれど、このクラスの旅客機には力を注いでおらず、YS11のライバルに米国機はありませんでした。だから、YS11は米国やラテンアメリカでもまあまあ売れた。
YS11は180機ほど製造されています。現在の基準ではあまり売れなかったように見えますが、1960-70年代当時としては、このクラスの旅客機の中ではかなり売れたほうです。当初は150機量産予定だったというから、当初予定より売れています。
問題は、コストがかかりすぎたこと。売れば売るほど赤字がかさんだ。必要以上に頑丈に作ってしまったこともその原因の一つかもしれません。これらの事情を考えると、石原が主張するような経緯があったとは考えにくいし、仮にそういうことがあったとしても、YS11が失敗した原因は米国の妨害などではないと思いますけどね。

「日本製のゼロ戦が、ドイツが自慢のメッサーシュミットが撃ち落とせなかったB17を簡単に撃墜させた」というのも、これはまた凄まじい妄想です。メッサーシュミットBF109は、B17をかなり撃ち落しているし、一方零式艦戦にとって、B17の撃墜はかなり困難でした。B17は高空を飛行でき、Bf109もB17と同じくらいの高高度で空戦ができたけれど、ゼロ戦は高高度飛行性能は低かったのです。
かつて、 総力戦とは恐ろしいものである

「中曽根内閣時代に三菱重工が従来のいかなる戦闘機の性能をも上回る次期支援戦闘機FSXの計画を発表した時、強引にこれを潰してしまった。この戦闘機の性能は旋回と宙返りの直径が従来の半分でいかなる相手との空中戦で優位にたてるという絶対的なものだった。」
これまた、明らかに事実に基づかないヨタ話です。当時の次期支援戦闘機、つまり現在のF-2戦闘機ですが、この開発をめぐって、独自開発か米国との共同開発かで右往左往した事実はあります。当時、一度は独自開発の次期支援戦闘機の完成予想図がマスコミに報じられましたが、それが覆って、F16をベースに日米共同開発になりました。そうなった経緯は知りませんが、政府や防衛庁内部にも、独自開発でまともな戦闘機が作れるのかどうかを不安視し、共同開発を求める強力な意見があったことは確かです。当時現役だったF-1支援戦闘機は独自開発でしたが、あまり優れた性能ではなかったことも、共同開発に傾いた理由の一つだったのかもしれません。

経緯はともかく、結果として、独自開発の次期支援戦闘機は試作機は作られていないし、設計図面すら作られてはいません。設計図も作らないうちから「いかなる相手との空中戦で優位に立てる」戦闘機が完成すると信じるのは、妄想以外の何物でもないでしょう。
要するに、床屋政談の類いに過ぎないのです。それもかなり低レベルの。こんな妄想だらけの駄文でも、石原慎太郎が書くと、新聞紙面に掲載しちゃうんだから、産経新聞ってすげーなーと思います。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2016.01.21 19:22:11
コメント(2) | コメントを書く
[政治] カテゴリの最新記事


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ

利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


Re:妄想もここまでくると・・・・・・(01/19)  
maki5417  さん
MRJの試験飛行成功は、相当うれしかったのでしょう。
でも、まだテスト段階です。
はしゃぎすぎですね。
ビジネスですから、ちゃんと利益が出てから喜んでも遅くはないでしょう。 (2016.01.19 23:04:28)

Re[1]:妄想もここまでくると・・・・・・(01/19)  
inti-sol  さん
maki5417さん

>でも、まだテスト段階です。
>はしゃぎすぎですね。

そうですね、現状、黒字になるかどうかはまだ分からない状況ですからね。というか、航空会社への引渡しがまた遅れるようで、遅れれば遅れるほど、採算は厳しくなります。大丈夫かな。 (2016.01.19 23:43:44)

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: