inti-solのブログ

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2016.01.30
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テーマ: 戦争反対(1197)
カテゴリ: 戦争と平和
<船員予備自衛官化>「事実上の徴用」海員組合が反発


この動きに海員組合は今月15日、防衛省に反対を申し入れ、29日の会見に臨んだ。森田保己組合長は「我々船員の声はまったく無視されている。反対に向けた動きを活発化させたい」と述べた。
申し入れでは防衛省幹部から「予備自衛官になるよう船員に強制することはない」と言われたという。だが、森田組合長は「戦地に行くために船員になった者はいない。会社や国から見えない圧力がかかるのは容易に予想される」と強調した。
会見に同席した組合幹部も「船はチームプレーで1人欠けても運航できない。他の船員が予備自衛官になったのに、自らの意思で断れるのか。防衛省は、できるだけ多くの船員が予備自衛官になるようフェリー会社に求めている」と危惧を表明した。
太平洋戦争では民間の船や船員の大部分が軍に徴用され、6万人以上の船員が亡くなった。森田組合長は「悲劇を繰り返してはならない」と訴えた。
有事での民間船員活用計画の背景には、海自の予算や人員の不足がある。有事で民間人を危険地域に送ることはできない。現役自衛官に操船させる余裕はなく、海自OBの予備自衛官を使うことも想定しているが、大型民間船を操舵できるのは10人程度しかいない。
このため、防衛省は来年度に予備自衛官制度を変更し、自衛隊の勤務経験がなくても10日間の教育訓練などで予備自衛官になれる制度を海上自衛隊にも導入する。
防衛省の計画について、津軽海峡フェリーは昨年末、毎日新聞の取材に対し、2隻を選定する入札に応じたことを認め、「船員から予備自衛官になりたいという申し出は確認していない」と述べた。

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1941年12月8日、南雲忠一中将指揮する機動部隊がハワイを奇襲攻撃して太平洋戦争が始まりました。この南雲機動部隊には、徴用された6隻のタンカーが随伴していました。南雲機動部隊の参加艦艇は、太平洋戦争中に1隻残らずすべて撃沈されています。それは徴用されたタンカーも同様です。(1隻だけ座礁状態で水面の上に残存し、戦後に浮揚・修理されているが)
ガダルカナル島をめぐる戦いでは、ガダルカナル島に送る陸軍部隊を乗せた徴用商船が主要な攻撃目標となり、そのほとんどが撃沈されています。
太平洋戦争全期間をつうじて、商船2500隻以上、漁船や機帆船を含めると6000隻以上が撃沈されています。
引用記事には、太平洋戦争中に船員6万人が亡くなったとありますが、実はその死亡率は陸海軍の軍人をはるかに超える43%だったといいます(軍人に占める志望者の割合は、陸軍で23%、海軍16%)。生き残った船員も、大半が一度は撃沈されて油の海を泳いだ経験がある、と言われます。

戦後も、私の記憶している限りでは、1982年のマルビナス(フォークランド)紛争で、英軍が徴用していたコンテナ船アトランティック・コンベア号がアルゼンチン海軍機の対艦ミサイル攻撃を受けて撃沈されています。(アトランティック・コンベア号は空母に補充用の航空機を搭載していたのですが、実質的には甲板上を臨時の滑走路にして、代用空母のような運用も行っていたらしい)

こういった過去の動向のためか、船員組合はかつての民社党系列の同盟(右派系労働組合)傘下にあったもかかわらず、戦争につながる動きにはかなり敏感に反応しているようです。命がかかっているんだから、当然のことでしょう。
「強制はしない」というものの、操船に必須の船員が「予備自衛官にはなりません」と言ったらどうなるのか。船会社としては、有事に徴用される契約を結ぶ以上は、「予備自衛官になってもいいです」という人に挿げ替えて動かせるように対処しようとする事は明らかでしょう。確かに、防衛省自身が直接的に強制するわけではないけれど、それは事実上強制です。
船会社も「船員から予備自衛官になりたいという申し出は確認していない」とのこと、そりゃ当たり前でしょうね。


もっとも、東日本大震災当時と違って、何しろ今は安倍政権ですから、「有事」の際に、本当に有無を言わさぬ予備自衛官召集をおっぱじめかねない、という怖さはあります。





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最終更新日  2016.01.30 11:40:45
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