inti-solのブログ

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2016.08.04
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テーマ: ニュース(95873)
相模原19人刺殺 植松容疑者が「生活保護」受給できたワケ


生活保護を受け取る場合、ケースワーカーによる生活実態の確認や収入の調査を経て、審査を通る必要がある。植松容疑者のケースは果たしてきちんと調査したのか。市に問うと「詳細は個人情報なので答えられません」(地域福祉課課長)と回答した。(以下略)

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知人の福祉事務所関係者がこぼしていました。 最近、世間をにぎわす事件の犯人が「無職」である度に、どこかの福祉事務所の「お客さん」だったのではないかとヒヤヒヤする、と。しかし、今回はその可能性は想像もしていなかったそうです。
でも、確かに実際には持ち家だろうが車があろうが、生活保護は受けられるのです。

持ち家に関しては、現在自らが居住している物件は、ある程度以上の資産価値でなければ保有容認だそうです(高齢者の場合はリバースモゲージという別の決まりがあるとのこと)。一定以上の資産価値の住居、あるいは現在本人が住んでいない不動産、自動車(東京23区では)は保有否認とのことです。

しかし、保有否認とは、持っていると生活保護が受けられない、ということではないのです。だって、車だって家屋だって、今日売りに出して明日売れるものではないですから。今手持ち金が1円もなかったら、「資産」があっても、それを金に換えるまでの間に餓死してしまいます。
だから、「保有否認」とは、「生活保護を受けたらすぐに売却しなさい(その収入分の保護費は返還しなさい)」ということであって、持っていては生活保護が受けられない、ということではないのだそうです。
ただし、医療費がかかる場合には、このやり方は、生活保護を受けないで健康保険で医療費を払う場合よりはるかに高い返還金が生じるため、本人にとって不利益になるそうです。だから、資産があって医療費が高額な人の場合は、福祉事務所は生活保護を避けるようにあらゆる手を尽くすそうです。

それから、東京23区(などの大都市)では自動車は、特別な条件に該当する場合を除いてすべて保有否認ですが、地方では違うそうです。知人は東京の福祉事務所関係者なので、他道府県の状況は断片的にしか知らないそうですが、公共交通機関が不便で、自動車が生活に必要不可欠な地域(要するに、辺鄙な場所)では、自動車の保有容認はよくあるそうです。相模原市はどうでしょうか?政令指定都市とはいうものの、この場所は元の津久井郡です。バスの便がどの程度よいのか分かりませんが、自動車は保有容認の可能性が高そうです。
持ち家は、場所柄から考えてもそんなに資産価値が高いとは思えず、それ以前に自動車にしても家にしても、名義が本人自身かどうかという問題もあります。親名義だったら、本人の資産ではないので、そもそも「保有」容認も否認もないし、処分指導も関係ありません。ただし、自動車は、仮に他人名義のものであっても、生活保護の趣旨に反する用途では運転してはいけない、という決まりはあるとのことです。


そういえば、以前、「健康で文化的な最低限度の生活」という漫画を紹介したことがあります。その第3巻に、この扶養照会をめぐるエピソードがあるのですが、知人は「あまりに『あるある』過ぎて、自分や同僚の経験を思い出してしまった」と言っていました。

車にしても家にしても、仮に本人の名義で保有否認だったとすれば、一応は処分指導ということになるそうですが、3月24日に保護開始して、生活保護の受給期間はたった8日です。失業保険が入ったことによって4月(日数から考えて4月1日でしょう)には保護廃止になっています。処分指導も扶養照会も、やる前に生活保護は打ち切りになったわけです。

まあ、実際のところ、若い人の保護申請ほど受けたくないものはないと、知人は言っておりました。色々な意味で手に負えない人の割合が高いのだそうです(今回の犯人も、結果から見れば手に負えない人ですね)。かといって、「あなたは人格に問題があるから保護申請は却下」なんてことはできないのは当然のことです。相模原市の福祉事務所だって、申請を受けたくはなかったでしょうが、受けないという選択肢はないのです。もっとも、失業手当が出るまでの短期間の保護、ということはあらかじめ分かっていたはずなので、その分は多少気が楽だったかもしれない、とのことです。まさか、保護廃止後にこんなことをしでかすとは、その時は予想もしなかったでしょうからね。

「措置入院がすぐ解除されたのがけしからん」という話と同様で、この犯人がこんな事件を起こすことがあらかじめ分かっているものなら、福祉事務所は保護申請を何としても受け付けないでしょう。だけど、そんなことは誰にも分かりません。後になって犯罪を起こしたから生活保護受給はおかしいと言われても、それは結果論であって、無理筋です。だいたい、出所してその足で福祉事務所に来て保護申請するとか、受給者が逮捕された、というのは、それほど珍しい話ではないのだそうです。ここまでの重大犯罪はさすがにまれでしょうが。





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最終更新日  2018.06.09 08:14:29
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