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2021年06月27日
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カテゴリ: 尊徳先生の世界
「大二宮尊徳」井口丑二著121~124頁
花、自然、水域の画像のようです
     九 貴賎とは(抜粋)
 世に貴賎といふものあり。その標準は時代により、あるいは人によって観方が異なる。あるいは種族によって別ち、あるいは職業によって別ち、あるいは徳行によって別ち、あるいは財産によって別つ。種族によって別つものは、インドに厳重な制度がある。中国には王侯相将に種性なく、我が国にては中古以降特にこの制厳しいものがあり、余習が今猶存している。ただし皇室と臣民の種別は万古を貫く大法にして、これは日常談論の外である。職業によって別つ制度は、我が国は封建時代に行われたが、今はほとんどなくなっている。インドにおいてはすこぶる厳しく、種族の貴賎と職業の貴賎を組み合わせて20余種の職業の階級があり、互いに侵すことができないという。徳行によって別つことは、最も合理的な、理想的であるが実際においてはその割合に行われていない。財産によって別つことは、何れの国にも最も多い。中国・日本において、『富貴』と連ね、貴と財とを結合することは、この一般心理を表したものであろう。
 我が尊徳はこれに対して、どのような断定を下したか。彼曰く
『徳と貴とは本末にして古今の差のみ。古へ徳を積みし者は今貴(たっと)し。今徳を積む者は後世貴し。勤めて徳を積み子孫に伝へ、後世(こうせ)を楽しむの外あるべからず。』
 又曰く
 『夫れ貴(たっと)き者は能く徳を尊ぶ。徳ある者は能く貴(き)を尊ぶ。貴を尊べば徳生ず。徳を尊べば貴を増す。貴を敬へば徳益々盛なり。徳を尊べば貴きこと増々長栄す。古(いにしへ)の徳行は今貴し。今の徳行は後世貴し。徳行を以て貴を後世に継ぐ。徳と貴とは、譬へば草木の花実(くわじつ)の如し。古今の差あるのみ。いづれも天下国家を治むるの要道なり。返す返すも万民の希(こひねが)ふ所に候。』

『人皆其の職を貴ぶべし。家老が代々官禄を以て勤仕(きんし)するも、豆腐屋が豆挽くも同じことなり。然るに豆腐屋は恥かしと思ひ家老は栄なりとするは誤なり。』

 すなわち職業は皆貴にして、大臣は貴く、豆腐屋は賎しいといういわれは無い。そうにもかかわらず、彼が専ら重農論を強調したのは、農は直接の生産者であり、その時代の実情において、国民皆農をなすも支障がないという理由から来たので、その徳を尊んだのである。若しそれ財産にいたっては最も軽視した。曰く『徳は本なり。財は末なり』
 随ってその言論においても、行為においても、富者を貴び、貧者を賤しんだ痕跡は、彼において認めるを得ない。

受け得たる徳をおのおの譲りなば
      四海のあひだ 父子の親しみ





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最終更新日  2021年06月27日 01時40分30秒
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