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2021年07月25日
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カテゴリ: 尊徳先生の世界
「尊徳の語録類(夜話・語録)・四大門人の著作などを読んだだけで満足して、尊徳の思想を論ずることは厳に戒めなければならない。彼の全身全霊を傾けた実践記録である仕法書類についての考究も併せ行うのでなければ、この立体的な思想を正しく理解することはできないからである。」

「尊徳は、その一挙手一投足にも深い思索をこらし、たえず遠い過去の事跡を振り返ってそれを充分に究め、同時に長期的展望を立て、人性への深甚な理解と同情とをもって、その事業を行った。彼の全事業は徹頭徹尾倫理的性格を帯びたものにほかならない。したがって、彼の原理・原則に関する著作を読むことを棚上げにして、もっぱら仕法書類などの分析によって尊徳の遺業を論ずることは根本的に間違っている。彼の真精神、彼の真の意図を本当に理解せずしては、彼の事業を本当に評価することは出来ない。」

たそがれ、雲の画像のようです

尊徳研究を志す者は必ず彼が自らの思想と事業の全てを書き残した遺著一万巻をひもとかねばならない。これをその原本にあたって行うことはもちろん至難の業(わざ)であって、だれもが実行できるわけではない。幸いこの一万巻を体系的に整理し、解説をほどこして公刊された『二宮尊徳全集』(全36巻、約4万6千ページ)がある。だから少なくともこの書を座右において、詳しく研究したものでなければ、尊徳研究としてはまず問題にもならない。
彼の思想はただ坐って考えた平面的なものでなく、実際の仕事の上から得たもので立体的な思想であるから、研究にあたっては充分そのことを承知していなければならない。したがって、戦前までの多くの尊徳研究文献がそうであったように、全集第1巻(原理篇)と尊徳の語録類(夜話・語録)・四大門人の著作などが収められている第36巻とを読んだだけで満足して、尊徳の思想を論ずることは厳に戒めなければならない。彼の全身全霊を傾けた実践記録である仕法書類についての考究も併せ行うのでなければ、この立体的な思想を正しく理解することはできないからである。

 尊徳は、ただがむしゃらに勤倹力行して成功を収めた単なる事業家ではない。その一挙手一投足にも深い思索をこらし、たえず遠い過去の事跡を振り返ってそれを充分に究め、同時に長期的展望を立て、人性への深甚な理解と同情とをもって、その事業を行った「特殊思想家」(村岡典嗣)なのである。彼の全事業は徹頭徹尾倫理的性格を帯びたものなのであって、正しく言葉本来の意味における経済事業、ちまり「経世済民」にほかならない。したがって、特に戦後盛んになった報徳仕法の研究にみられるように、彼の原理・原則に関する著作を読むことを棚上げにして、もっぱら仕法書類などの分析によって尊徳の遺業を論ずることは根本的に間違っていると言わざるを得ない。彼の真精神、彼の真の意図を本当に理解せずしては、彼の事業を本当に評価することは出来ないはずだからである。

 ところで、この『二宮尊徳全集』は昭和2年5月に配本を開始し、同7年末に、最終配本(第一巻・原理篇)をもって完成されたものであるが、本全集刊行の尊徳研究史上における意義を知るためには、尊徳の自著及び門人の著書を含めて、尊徳研究の基本資料がこの刊行以前にどのような扱いを受けてきたか、また、全集公刊の沿革を振り返っておく必要がある。残念ながら枚数制限のためその詳細は別の機会にゆずることとして、その概観を語るにとどめる。
 第一期は幕末維新までとし、全集原本が整理されていく様子、弟子たちによる筆写、動乱の中どのようにしてこの貴重な資料が守られてきたか、ということが問題になる。
 第二期は明治25年までとし、高弟たちによる師説の祖述活動がようやくその緒につくところである。
 第三期は明治末年までとし、雑誌『大日本帝国報徳』が発刊され、尊徳研究資料刊行史に新しい時代が始まった。この雑誌を通して初めて尊徳の遺著『報徳全書』が少しずつ公表された。斎藤高行の『語録』、留岡幸助が集めた『に二宮翁逸話』の公刊、さらに今市謄写本『報徳全書』一万巻の完成など特筆すべきことが多い。





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最終更新日  2021年07月25日 10時15分23秒
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