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2022年06月07日

病んで　病んで　病んで　病んで　「真実を美しく見すえるその繊細な心づかい」

カテゴリ：イマジン

病い　by村上昭夫

病んで光よりも早いものを知った
病んで金剛石よりも固いものを知った
病んで
花よりも美しいものを知った
病んで
海よりも遠い過去を知った
病んでまた
その海よりも遠い未来を知った
病いは
金剛石よりも十倍も固い金剛石なのだ
病いは
花よりも百倍も華麗な花なのだ
病いは
光よりも千倍も速い光なのだ
病いはおそらく

ひとつの宇宙なのだ

☆紀野一義さんの「心に旗を立てよ」に載っている詩。
　紀野さんは、この詩を年賀状に載せた。
「東北の詩人村上昭夫の詩の一節を借りて新年の祝詞に代えます。
無常とか、無明とか、煩悩とかいうような人生の相が業というものにきわまって行くすがたを。詩人はかように美しく歌うのです。
真実をみにくく見顕すのではなく、美しく見すえるその繊細な心づかいを学びたいと思います」

詩人村上昭夫はうたう。

病気は、美しい、固い、速いそして一つの宇宙なのだと。
病んで病んで病んで　苦しんで苦しんで苦しんで　
その末に詩人が掴み取った真実

空海の言葉を想起させる。

生まれ生まれ生まれ生まれて生の始めにくらく、

死に死に死に死んで死の終りにくらし。

　　　　　　　　　　　　　　　　『秘蔵法鑰』

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