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指先でそっとなぞる泣いてるような左頬のタトゥー。「運命の女性」の一粒の涙は孤高の男の生き方を変えた・・・。クールでスタイリッシュ。優雅さの中にある計算され尽くした暗殺者としての隙のない動き。ストイックに生きるダークヒーローは名前さえ持たない男。世界で最もナゾに包まれた諜報組織はプロの殺し屋たちを「製造」した。ここで生まれ育った殺し屋たちは誰もがみんな同じスタイル。スキンヘッドにバーコードのタトゥー。黒のスーツに白いシャツ。ゲームが元ネタの映画だと知っていろんな点で急に合点がいく。とにかく、スピーディでカッコいいのが信条。あまり深い薀蓄をこの映画に求めてはダメだってことも(笑)たとえ殺し屋として目立ちすぎるいでたちであってもどこに隠してあったんだ?と思わず叫ぶながーい日本刀が背中のあたりから出てきてもカッコよくてシビレさせてくれれば何でも受け入れちゃう♪それでオッケー♪殺し屋のイメージは「レオン」プラス「ジェイソン・ボーン」でアクションシーンはまるで「マトリックス」プラス「ボーンシリーズ」なのだ(笑)好きな映画のエッセンスが大サービスのてんこ盛り♪好きだなぁこういうシンプルで(B級チックで)心騒ぎ血踊る映画!ヒロインのオルガ・キュリレンコは昔のソフィー・マルソーとエヴァ・グリーンを足して二で割った感じ。次の007のボンドガールとしては申し分ないスタイルと脱ぎっぷりのよさです。そしてその運命の女にやや翻弄されぎみ?のヒットマンエージェント47は・・・気づきませんでした~!あとから調べたらダイ・ハード4.0の悪役だったティモシー・オリファントという俳優さん。だけどどうやってもダイハードの時のことが思い出せないのよね・・・。これはDVDで要再チェックです汗たくさんスキンヘッドの人が出てきたけれど彼が誰よりも似合ってました。最初は顔つき険しく感情を持たないプロ中のプロの殺し屋という感じだったのに途中からだんだん彼が可愛くみえてきて・・・。すっかりハマりました!(観た方はどのへんからか・・わかりますよね!笑)どっちかというと、悪人顔の彼なのにどーしてこんなに胸がときめくんでしょ!?主演俳優にすっかり恋してそれだけでもメッケモン映画という感じなのに海外ドラマファンにはとってもうれしいキャスティングにも浮き足立ちました♪「プリズン・ブレイク」の変態囚人Tバックことロバート・ネッパーがロシア特務機関の悪徳捜査官役で出演。「LOST」の未来が見える男デズモンドことヘンリー・イアン・キュージックがロシア大統領の弟である武器商人役で出演。特別メジャーな有名俳優もなく監督も知らない映画でも見逃したらもったいなかったなぁ♪と思うそんな映画「ヒットマン」でした♪殺し屋好きのあなたなら・・・軽いキモチで楽しめます(笑)
2008.04.19
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轟音と共に砂煙を上げビルに激突しながら地面に叩きつけられたもの。それが何であるのかをすぐに理解できた人が一体どれだけ いただろう。自由の女神は全てを見ていた。一番最初の目撃者。信じられない思いのままにたくさんの携帯のカメラがその日彼女の最期を看取った。体験型アトラクションムービーと名づけて呼んだ人がいました。まさにそんな感じです!何が起こったのかもわからぬままに自分も一緒にNYの街を走り回っていました。それを証拠に見終わったあとの疲労感といったら相当なもの!(笑)手持ちのビデオカメラの映像ってここまで臨場感を高めることができるんですね!無名の俳優たちばかりをわざと起用したのは正解♪サプライズパーティからの自然な流れはあまりにもスムーズで何度思い返してみても実際に起こったことにしか思えないほど♪自由の女神の首が落ちて何事が起きたのかと人が集まってくる。まさかそれが現在進行形だとは思いもせずに記録として残そうと携帯のカメラをゆうちょに構える人たち。大きいはずの謎のモンスターの全貌がなかなか私たちには見えないように実際、その場にいたとしたら自分が突如として置かれてしまった立場の重大さって、なかなかピンとは来ないものかも。何がなんだか判らぬままに追い詰められる恐怖と緊迫感。それだけでも十分すぎる手に汗握る迫力なのにただのパニック映画にとどまらずしっかり恋人たちを描いているのもやっぱり巧い♪J.J.エイブラハムって!幸せな恋人たちの笑顔の上に上書きされた未曾有の悪夢。LOSTでもそうだったけど観客の誰もがすんなり感情移入できるような人物設定のパターンをいくつか散りばめてくれる手法は健在♪誰ひとりとして置いてきぼりを食わせないぞ!という配慮はいつもながらうれしいですね!続編を作ることももうすでに決まっていてこの映画で描かれた出来事を“別の視点”から描くのだそうです♪別の角度から!というのがミソですね!これもすごくLOST的♪最近公開された映画では「バンテージポイント」でもそうでしたが目の付け所を変えるとまったく違うものが見えてくるという手法は魅力ですね~♪やみつきになります♪有名俳優を一切使わず浮いた予算でVFXを大盤振る舞い♪続編まですかさず作ってしまうとはどれだけこの謎のモンスターで引っ張っていってくれるのか(笑)そういえばモンスターについてはほのめかしただけで何一つ明らかにはなっていないんですよね!エイブラハムったら流石です!やりくり上手の商売上手~♪とにもかくにも初めてでした こんな映画(笑)DVDになってから家のテレビ画面で見るなんてもったいない!疲労回復の栄養ドリンクと酔い止めのための薬を飲んででも是非、劇場の大画面で「体験」することをオススメします!!!
2008.04.13
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凍える夜の街角いつもの交差点。 泣きはらした目でいつまでも見上げてる懐かしい部屋。 あそこへは二度と帰れない。あの人はもう 新しい恋人と暮らし始めている。2人寄り添う幸せな影。 部屋の鍵は私の分身。行き場を失くし 今、カフェの片隅にあるビンのなかでうずくまってる。 迎えなどこない。元には戻れない。全てわかっているのに いつまでもいつまでもまとわりつく破れた恋の思い出たち。 ドアはいつも開いていた。NYの小さなカフェ。 自身もまた切ない想いを秘めたオーナー。彼の焼く甘酸っぱいブルーベリー・パイは心とおなかを優しく満たしてくた。 いくつもの夜をそこで過ごすうち少しずつ感じ始めていた新しい恋の予感。 まどろみの中ちゃんと気づいていたの。戸惑いながらくれた触れてるだけのブルーベリーのキスを。 ある夜、居心地のいい店を出て突然エリザベスは旅に出た。 人を愛し信じることって一体なんだろう。 回り道をしてみよう。近くに見えていても 交差点はもう横切らない。本当の恋にたどりつくために。 ポスターのキスする2人の横顔に魅せられて観たい!と思った映画でした。 ウォン・カーウァイ監督がアメリカで撮った初めての映画。彼のフィルターを通すとNYの街が無国籍のどこか見知らぬ異国の地に見えてくるから不思議♪特徴的なのは俳優たちの大写しのショットと静止画を繰り返すようなスローモーションの多様。幻想的なところは、とてもウォン・カーウァイ的ですね。「恋する惑星」を思いました。 心地よい音楽に抱かれながら漂う不思議な浮遊感とともに恋に破れた女の子の心の動きを追いかけるロード・ムービー。 2人の距離が遠ざかるほどに心が近くなっていく一方通行の手紙の使い方には心底、心惹かれました。最初のうちはどうして、新しい恋の訪れを自覚していながら突然旅に出てしまうのか、もったいない~というキモチでしたが(笑)エリザベスはなかなか賢いわ♪ジュード・ロウに簡単に落ち着かないところがやっぱりすごい(え?) この携帯電話の普及した味気ない世の中にいて何人の恋人たちがすんなりと連絡のとれない相手を思いやる「本当の愛」の姿を知っているのか・・・逢えない距離と時間は時には必要♪心と心をかけがえのない深い絆で結びつけるから。 エリザベスがたどり着く街で出会う人たちとのエピソードもよかった。妻を愛しすぎた男と自由が欲しかっただけの女の心のすれ違い。デヴィッド・ストラザーンとレイチェル・ワイズがさすがの演技で泣かせてくれました。 人を信じないことを信条とする若く美しい女ギャンブラーの強がりな表情。ナタリー・ポートマンは最近特にいい♪光り輝いて見えます。エリザベスじゃないけれど人を愛し信じることって一体なんだろう・・・と本当に思う♪ わかりやすくストンとハートに落ちるストーリーと幻想的な映像美と心に素直に届く音楽。それとやっぱりそこに落ち着きますが(笑)なんと言ってもノラ・ジョーンズとジュード・ロウの横顔の美しさ!!! これは私はかなり好きな映画でした。きっとまた繰り返し何度も観ると思います♪ 迷惑コメント追放運動に参加しています♪「千本の矢」サイトへはこちらからどうぞ↓
2008.04.06
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魔法の国、アンダレーシアで動物たちと暮らす美しいプリンセス名前はジゼル。彼女はいつも夢見ていた。いつかは出会う運命のひとを。待ち焦がれた「時」は突然に。受け止めてくれたのは白馬に乗った王子様。白い歯と笑顔がまぶしい名前はエドワード。ふたりは一瞬で恋に落ち疑うことなく共に歌い永遠の愛を誓った。ハッピーエンドはすぐそこまできてる。明日は世界一幸せな花嫁に。ねたんだ魔女が呪いをかけた。突き落とされた井戸の中。戸惑いながらもマンホールのふたを開けて飛び出したのは初めて見る世界。”おとぎの国”から遠くかけ離れた”永遠の愛のない世界”現代のニューヨークへ。幸福はきっとエンドレスのはず。恋の魔法は必ずある。運命のキスがすべてを教えてくれるだろう。ジゼルは「ここ」で本当の愛を知る。結婚したら永遠に幸せに暮らす。キモチは歌で表現する。プリンセスは動物とだって話ができる。ドレスはカーテンで手作りする。可笑しくてロマンチック♪現実世界とのギャップが楽しさのキーワード♪おとぎの国のプリンセスは天真爛漫で純粋無垢。ジゼルを演じたエイミー・アダムスの33歳?とは思えない可憐さに元気づけられたり目じりがさがりっぱなしの楽しい映画鑑賞となりました♪マンホールから出てきて途方に暮れる彼女を偶然拾った(!)のは超現実主義者の離婚弁護士というのも面白い。ロバート役のパトリック・デンプシーがめちゃくちゃ素敵でさらに物語に肩入れです!(笑)過去の経験がそうさせるのか、職業柄のせいなのかシングル・ファーザーのロバートは自分の幼い娘にさえ、夢見ることをさせたくない主義。ジゼルはそんな彼に接することで傷つきながらも少しずつ現実の意味を学習し反対に夢見ることを封印したロバートもジゼルのピュアな心に触れて何かを取り戻してゆく。考えてみれば夢見るジゼルと現実主義のロバートは、お互いの欠点を補った理想のカップル♪新鮮な驚きとときめきの連続がいつしか愛に変わるのは時間の問題だったのね!ふたりがデートするセントラル・パークでのミュージカル仕立てのシーンは本当にウキウキ♪手をパンパンパンと叩くとどこからともなく集まってくる動物たちの(都会なのでちょっと・・・ですが)お掃除シーンにもにんまり♪スーザン・サランドンのなりきり魔女ぶりにぶっ飛び可愛いロバートの娘との「非常事態」ショッピングシーンで一緒にスキップ♪アニメと実写の融合はおとなから子供まで同時に楽しめる素敵な映画を生み出しました!脇を固めるキャストの的確さにも実に実に大満足♪邦題「魔法にかけられて」はこうしてみると、ホントによくできてる♪魔法にかけられてしまったのは観ている私たちだったのかもしれません!!迷惑コメント追放運動に参加しています♪「千本の矢」サイトへはこちらからどうぞ↓
2008.03.30
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日の当たる白いポーチに出て男はおもむろに靴底の汚れを気にした。たったそれだけの仕草で私たちは全てを悟る。静寂の中に漂う異様なまでの緊迫感。コインの表裏という彼にしか解らない奇妙なルール。「私は選ばない。決めるのはあなただから」搾り出すようなそれがたぶん彼女の最期の言葉だっただろう。必要か、必要でないかは全く彼には意味をなさず殺人はただ起きてしまうこと。そこにはいささかの戸惑いも躊躇もない。男はどこにも属さずどこから来たかもわからずただ混乱と恐怖と破壊だけを残してどこかへ去って行く。理不尽なまでの邪悪さで。もはや正義の力だけでは何も変えられない世の中なのか。奪われたたものを取り戻そうとすると、さらに多くを奪われるのか。私たちはあまりにも多くの殺しを目撃しすぎてしまった。観終わってふと気づいたのはこの映画にはBGMがなかったってこと。もしかしたらあったのかも知れないけれど何でだろう・・・どうやっても思い出せない。静寂の中に続くはりつめた異様なまでの緊迫感。実際のところ音楽なんて全く必要なかっただろう。ハビエル・バルデム演じる「人間離れした」殺人鬼の怖さに比べたら音楽で煽る恐怖などきっと、とるに足らないと思えるから。フツーの人間とは全くリンクしない思考回路。自分だけに明瞭な哲学。何の変更も加えずただ几帳面に請け負った「任務」は遂行される。彼にとっては、鍵穴も人間の体も同じこと。邪魔であればただぶち抜くだけのもの。高圧ボンベ付の道具を人目につくのもかまわず持ち歩く。だがそこには快楽も苦悩も存在しない。最初の殺しのシーンの不気味さにはいきなり度肝をぬかれたけれど物語後半から多くなる「見せ過ぎない」演出にも引き込まれた。足元だけを見せる描写が、観ている側のイマジネーションをかきたてる。殺しの瞬間はあえて映さず電話をしながらソファに足を乗せ広がる血だまりを避けたのは別の殺し屋、カーソン殺害の時。モスの妻の元に赴いた時も会話の後に殺しのシーンはなく外に出て靴底の汚れを気にしたただそれだけの仕草。わずかな期待を抱いていた。彼女は果敢にも立ち向かったから。そのことがもしかしたらこの血も涙もない殺人鬼のルールを変えることになるかもと信じたかった。殺しの瞬間は描かれなかったが彼の仕草で全てが判った。その瞬間を目撃した以上におそらく激しい絶望感・・・。先がまったくわからない。胃のあたりがギュッと痛くなる感じ。老保安官は正義の名の下に殺し屋をきっと追い詰められると信じていたし大金を持って逃亡するモスもどうにか逃げ切るつもりでいたに違いない。私も心のどこかでそう願っていた。転がる死体の先にはきっと報いがあるに違いないと。詳しくは書かないけれどあのラスト近く・・・一瞬目を見張った、報いは下った!という思いもむなしく普通では理解できない展開。この不条理さは言葉では尽くせない。キモチはやはりざわついたまま。思えば、「理不尽さ」こそが、シガーの正体だったのだ。老保安官でなくても、嘆いてしまう。NO COUNTRY FOR OLD MENこの国(アメリカ)にはもう居場所などないんだと。
2008.03.19
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昔、昔・・・。こことは違う別の世界にパラレルワールドの存在を信じた者たちがいた。それを確かめるために学者たちは知恵を集結させあるものを創り出した。黄金の羅針盤はこの世に6つしかなく美しい針が指し示すものは真実と未来。だけどそれを読み解くことができるのは深い知識と熟練を重ねたほんの一握りの者。たった12歳の少女がなぜそれを最初から読めるのか。黄金の羅針盤と共に彼女に委ねられた運命とは何なのか。彼女はまだ知らない。その旅の行き着く先を。勇気の試される試練の時を。見知らぬ人たちとの出会いを。ライラのめくるめく冒険の旅は今、始まったばかり。すべては針が導いてくれる。彼女は前へと進むだけだ。「機転が利く」という言葉がある。ついでに言うなら「嘘も方便」という言葉も(笑)ライラは今までに見たことのないヒロイン。両親がおらず大きな運命を背負っているという点では世界一有名な魔法使い、ハリー・ポッターだって同じだけれどライラと比べるとハリーが急に子供に見える。今まであれだけ贔屓にしてきたのに(笑)なぜ?お転婆で負けず嫌い。いざとなったら平気で嘘もつく。歴代の児童文学の主役たちの優等生ぶりからはほど遠い。人並みはずれた行動力と度胸。驚くべき臨機応変さで「嘘も方便」あらゆる困難をしのいでいくライラはまるで老練な魔女みたい(笑)人に指図されることが何より嫌いな性格のそんなじゃじゃ馬ライラにも大切にしていることはひとつある。それは、死んでも守ろうとする友達との約束だ。ライラの住む世界から次々と消えていく子供たち。さらわれた子供たちは北へ連れ去られ酷い目にあうという噂。「何かあったら必ず助けに行くからね」ライラと親友のロジャーとの友情はとてつもなく厚い。ダストの研究で北に向かった叔父のこともあって優雅で美しいコールター夫人との旅に飛びついたライラだったけれど一緒に過ごすうちに「なんかヘン」だとたちまち女の第六感を発揮する。なんでも指図するコールター夫人なんて大っ嫌い!それに彼女のダイモンも嫌い!羅針盤を見る目だってあの時すごく怪しかった・・・。何か秘密があるに違いない・・・!ムクムク湧き上がる好奇心。果たして忍び込んだコールター夫人の部屋で見つけたものは信じられない恐ろしい事実。危機一髪でライラは走り出す。そこから始まるライラの長い旅。私はやっぱり、よろいグマとの駆け引きのエピソードが一番好き♪「男前」なライラのキャラクターでぐいぐい引っ張っていく物語。大人の言うことなんてカンタンにはきかないライラにもっともっと手こずらされたい。嘘でもってどんな危機をも乗り越えてくところをもっと観たい♪興行収入次第だなんて言わないでちゃんと3部作になるようにちゃっちゃと作って行ってほしいな♪ダコタちゃんの成長スピードもしっかり計算に入れて、お願いします!白熊に乗って颯爽と駆けて行くライラ。空を埋め尽くす魔女の群れ。戦いの緊迫感の中人が命を落とす時、火花を散らして星屑のように消えるダイモン。すっごく怪しげな極寒の北極の白い研究所。謎のダストの正体。気球のおじさん、ジプシャンたち・・・。ライラの本当のパパとママって・・・ワクワクするものをちりばめるだけ散りばめてあっという間に終わっちゃったよ~!ああっ!なんだかちょっと消化不良♪「だから続き物はイヤなのよ~!」と突然のエンディングロールでぼやいたことは秘密にしておこう♪次のライラの冒険が今から待ち遠しくてたまらない♪
2008.03.12
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もうひとりのエリザベスに自分の姿を重ねた。かなわぬ思いの向こう側軽やかに二人は踊った。頬にかかる甘い吐息と触れる指先の確かなぬくもり。自由なベスは私の分身。そっと放たれた無垢な小鳩。切なさと羨望が入り混じる甘美な時間。目を閉じればあの人の肩越しにまだ見ぬ世界の大海原が見える。 満たされぬ想いと孤独な日々を忘れるためにしばしこの身を委ねよう。 たくさんの人に囲まれていてもいつも心は独り。国に全てを捧げることを誓ったあの日から。 違う場所違う時代に生きていたらあの人は私を愛してくれただろうか?もしも私が彼だったら・・・もしも私が彼女だったら・・・何度エリザベスはそう思ったでしょう。何もかも手中にできるはずの女王という立場にいながらどうしても手に入らないのは人を自由に愛するということ。冒頭でも再現しましたがダンスのシーンがこの映画で一番心に残りました。ふたりを見守るエリザベスの表情が彼女の想いをすべてを物語っていて切なくて胸が痛みました。不思議な距離の屈折した三角関係。主導権を握っていたのはもちろん自分のはずだったのにその後ふと気がつけば大切なものはその手を離れて手の届かないところへ。事実を知ったときの女王の取り乱し方はまったく普段の彼女らしくないものでした。カトリック教徒の不穏な動きを知りながらも「罪を犯した者は処罰をするが犯さぬ者は保護する。行いで民を罰しても信念では罰しない」。と宣言したあの気品と自信にあふれたエリザベスとは同一人物とは思えないほど。歴史絵巻というよりもひとりの女性としてのエリザベスを追いかけました。国民のために国に全てを捧げることを誓ったのに思わぬ魅惑的な男の出現に心が揺れ動き惑い苦悩する姿。若く美しい侍女ベスに自分の姿を重ねて心を慰める心理。だけど、鎧をまとって自ら戦場に赴き避難を勧める臣下たちを尻目に強い決意を国民に示したとき彼女の中で何かが昇華したのを私は確かに感じました。気品と威厳あふれる女王はあの瞬間さらに高みに達したのだと。ラスト近く。すべてを許しベスとローリーの赤ちゃんに「祝福を・・・」と言って抱き上げるシーン。まるで聖母マリアのようなエリザベスの表情。神々しくて涙がでそうでした。ケイト・ブランシェットって本当にすごい女優。もはやエリザベス女王を演じることができるのは彼女以外にありえないでしょう。
2008.03.04
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「時代は変わった」そう呟いて伝説のギャングバンピー・ジョンソンは逝った。 つねにかたわらに身を置き続けボスの最期を看取ったフランク・ルーカスにとって彼はまさしく人生の師だった。彼はいつも正しかった。 15年以上の長きに渡り彼のためなら人には言えない仕事もこなした。暗黒街(ここ)で生きるための全ての術はみんな彼から教わったものだ。 街の名士が集まる盛大な葬儀の中、ルーカスはじっと考えていた。心の中を交差する複雑な思いとおぼろげに形を成し始めていたひとつの生き方のビジョンについて。 自分は一体、どうありたいのか?このまま、誰かに仕えるだけの人生を?バンピーは確かに偉大なボスだったが結局のところは、「会社」を「運営」していただけ。所有者はあくまで白人だった。イタリア・マフィアとの訣別を?決断の時・・・。マフィアが100年かかってもできなかったことをフランク・ルーカスは、一匹狼ではじめようとしていた・・・。 一方、麻薬組織との汚職が蔓延る警察の中で100年がかりで築かれたこの悪しき慣習を全てぶち壊そうとする男も動きはじめていた。彼の名は、リッチー・ロバーツ。 まだ出会ってはいないコインの裏表に存在するふたりの変革者たち。 1968年のニューヨーク。ギャングでありながらたくさんの人々に慕われたボスの死は激動するひとつの時代の「終りの始まり」に他ならなかった・・・。1960年代後半、アメリカ社会は大きく揺れていた。ロバート・ケネディやキング牧師が凶弾に倒れ人種問題は拡大するばかり。この映画で描かれる1970年代もまたハーレムが最も荒れていた時代。貧困により荒廃した街はドラックとジャンキーたちで溢れ返っていた。デンゼル・ワシントンが演じるフランク・ルーカスはそんな押し寄せる負の波を自らの追い風に変えて巨万の富を築いた男。その風貌は、知的で優雅。どこから見てもきちんとしたビジネスマン風で礼儀正しく行動も控えめ。誰も怪しむものなどいなかっただろう。堅実に家族を大切にし決して権力に溺れることもない。実際、ラッセル・クロウ演じる正義感溢れる刑事リッチー・ロバーツが見抜くまでは彼の姿に麻薬王を重ねて不審がるものはひとりもいなかったのだ。だが、知る人ぞ知るその裏の顔ははむかう者には容赦がなく白昼堂々とランチの合間に人を殺してはまた食事を続ける。街中に「良質安価な」夢のドラッグを蔓延させておきながら感謝祭では貧しい地元住民に満面の笑顔で七面鳥を配るのだ。温厚な紳士であり、無情な殺人者。死をばらまき続けながらも人の命を救うという矛盾。デンゼル・ワシントンが演じているからなのかこの危険な悪の男が時に善の象徴であるはずのリッチーよりも魅力的に見えたのはなぜだろう。彼自身の中に矛盾はなかったのだろうか?貧しい環境で育ち教育も受けないままに子供の頃から暴力に囲まれていた。生きるために必要なことを教えてくれたのはギャングのボスだった。そして今の生き様の基盤ができた。それは犯罪の言い訳にはならないけれどあれだけ「賢い」男ならアフリカ系アメリカ人のためにもっと違う活躍もできたはず。だけど彼が選んだのは麻薬で成功する道だった。しかも誰も考えつかなかったようなずば抜けた手腕を発揮して。ラッセル・クロウが演じたリッチー・ロバーツは腐敗した警察組織の中にいても正義を貫こうとする男。印のない札で100万ドルを見つけそのまま署に届けたことは腐りきった同僚からすればありえない話。今や伝説のように語り継がれているらしくよりぬきの麻薬捜査班メンバーたちももちろん知っていて「本当か?」と聞かれ「文句のある奴は?」と尋ね返すシーンにはそれほどひどい有様だったんだとちょっぴり苦笑い。ゆるゆるの贅肉と離婚問題を抱え、女性にだらしないリッチーが実は、弁護士を目指していて仕事を終えてから後も夜間、必死に勉強していたり、情にほだされそうになりながらも相棒の不正も許さない信念を持った人間であることがわかってくるにつれて物語がだんだん面白くなっていく。まったく別の場所にいた両極の点と点がハンターが獲物を追い詰めるようにひとつの線で結ばれていく様子や特に軍用機による密輸の情報をつかんでからの展開がスリリングでワクワクした。固唾を呑みました。その分、フランクが捕まってからの流れが少し退屈に思えたけれど希代の麻薬王、フランク・ルーカスという犯罪者をただ単に美化する映画にしないためにも贖罪のシーンというのはやはり必要不可欠なポイントだったのだろう。最期に是非とも、書き残しておきたいいちばん心に残るキメ台詞を♪終盤近くの取調室。向かい合うふたりの主役たち。まずはウルトラ級の凄味と余裕をみせるフランク・ルーカスの台詞にゾクリ。それに対してみじんもひるむそぶりをみせずじっと見据えて言い返すリッチー・ロバーツにグラリ。「ほざいていろ。あんたなどどうにでもなる。明日、死体になったとしても俺の知ったことか。」「フランク、列に並べ。俺を殺したい奴は大勢いる。」きゃ~っ♪カッコいい~♪♪♪このシーンは必見です!詳しくは映画を観てのお楽しみ。
2008.02.14
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学校にいても家族に囲まれていても自分の居場所がどこにもないと感じたことがある? あまりにも多くのものをあきらめすぎて僕はいつしか、あきらめることに慣れてしまった。 楽しみといえば空想の世界を旅することだけ。スケッチブックに彩られた奇妙な生き物たち。絵を描いている間は一人じゃない。だけど、こみ上げるこの寂しさは何だろう。 それはちょうど一吹きの風だった。袋小路の路地で心を閉ざしかけてた僕の目の前に突然現れたのは風変わりな転校生名前はレスリー。 第一印象は最悪。一等を狙っていた僕の隣で短距離レースを軽やかに走りぬけ彼女は笑った。 自由な発想で困難も楽しいことに変えてく彼女は灰色の僕の世界をいつしか照らす温かな光になった。彼女の元気につられて僕も少しだけ笑った。笑うことなんて、もうないような気がしていたのに。 ロープで小川を飛び越える。まるで空を飛んでいるみたいに。「目を閉じて、心の目は大きく開いて」彼女は言う。それに僕は従う。 同じイマジネーションを共有できるかけがえのない友だち。森の向こうは秘密の王国。ふたりだけには見える美しい世界。 大切にする。君が僕にくれたたくさんのもの。それは目をそらすことをやめてどんな試練にも立ち向かう強い心と勇気。 僕はもう逃げない。ちゃんと居場所を見つけたから。 君がいつもそばにいてくれるから。 CGを多用した不思議な生き物が出てくる愛と冒険の感動のファンタジー? 映画を観るまでは、そういうイメージでした。でも実は違った。ファンタジーでさえ、ないような気がする。これは、なかなかの秀作ですよ♪あなどるべからず!(笑) 主人公の二人は世間でいういじめられっ子。子供の世界の「嫌な」しきたりにうまく溶け込んでいけない二人にとっては現実社会は厳しいことばかり。 だけど、あきらめムードな男の子、ジェスに対して転校生のレスリーはすごく前向き。「どうせいじめられるなら、楽しまなくちゃ」とニコニコしながら彼女は言う。同じ感性を感じながらも、この発想は彼にとっては、まったくの新しい風。彼女のペースに巻き込まれていくことはジェスにとっては思いの他、心地のいいものだったと思うな。 学校からの帰り、バスを降りたらかばんを放り出して近くの森へと忍び込む。小川を飛び越すための一本のロープ。その向こう側はふたりが作り上げた空想の国、テラビシアだ。 ふたりは決して、現実から逃げてその森で立てこもっているわけではないの。空想の世界でイマジネーション豊かに冒険をして現実社会に立ち向かう術をひとつずつ、ひとつずつ身につけていきます。いわばその森は強くなるためのひとつの練習場所ってとこかな? 順調に世界を広げて成長していく二人。このままできれば、物語を終わらせたかった。だけど、映画はあまりにも非情。さらなる過酷な試練が、ジェスを待ち受けていて・・・。 レスリー役を生き生きと演じていたのは「チャーリーとチョコレート工場」のアナソフィア・ロブちゃん。あの映画では、ガムをくちゃくちゃしてる生意気でイヤ~な女の子だったけどホントはめちゃ可愛い♪転校生として挨拶するシーンでは、ナタリー・ポートマンを思い出し、映画を観ているうちに、キーラ・ナイトレイともだぶりました。これは将来が楽しみな感じ♪ ジェスを演じていたのは「ザスーラ」のジョシュ・ハッチャーソン。この子は巧いです。多感な少年の心の機微を、とても丁寧に繊細に演じていました。映画が終わる頃、この子が成長したのだと本当に実感してしまったもの♪ふたりの演技がこの物語にみずみずしい息吹を与えていて素晴らしかった。 子供のとき、秘密基地を作って夢中になって遊んだ記憶が蘇る。あの時そうだとは気づいていなかったけれど私たちも、空想の世界で大人になるための練習をしていたのかな? テラビシアにかけた橋はきっと誰の心にもある。「目を閉じて、心の目は大きく開いて」見えるものだけがすべてではないことを「子供だった時の心」をいつまでも忘れずにいたい。
2008.01.30
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この街に残る思い出はつらすぎる。深く立ち込める霧がたとえすべてを塗りつぶしたとしても時間は戻せない。 15年ぶりに降り立ったロンドン。長く苦しい月日は彼のすべてを変えてしまった。誰も彼だと気づく人はいないだろう。 幸せにあふれていたまるで咲き乱れる花のように・・・。なんでもない毎日。 他には何も望まない。彼には ただ妻と娘が世界の全てだった。 引き裂いたのは誰予期せぬ暗転。悪夢はあまりにも突然に。妻と娘は奪われ彼は無実の罪で冷たく暗い絶望の牢獄に。 ベンジャミン・バーカーは死んだ。 彼の名はスウィーニー・トッド。 戻ってきたその理由(わけ)を? 答えはただひとつ。復讐だけが残された人生。この身はすでに屍。 銀色に美しく光る狂気。剃刀こそがただひとりの友。今のうちに笑うがいい。必ずあいつに近づく。復讐だけが生きている理由。ただひとつの自分への救済。 深紅の血の滴りの海でおぼれもがき苦しむがいい。 スウィーニー・トッドの理髪店へようこそ。そして、永遠に、さようなら。 お腹の底にグッと響くパイプオルガンの重厚な音色。ロンドンの空は雨模様。時折、しずくが血の色に染まる。 不安を煽るカメラワークに早くも早鐘のように高鳴る心臓の鼓動。ハイスピードカメラは一気に駆け抜ける暗く湿ったロンドンの街を。 私たちのたどり着く先は惨劇のフリート街。寂れたパイ屋のショーウィンドウが見える。2階には灰色の空を映した窓ガラス。 そこにいきなり鮮血が飛び散りそれがいつしか「A Tim Burton's Film」の文字に・・・。深紅の血はしたたり流れてどこかへ延々と運ばれていく。 まさに物語へようこそ♪という感じなのだ。気がつけば自分もすでに風景の一部(笑)凝ったつくりのオープニングはこれぞティム・バートン印という感じ♪ さて、この映画は確かミュージカルのはずなんだけど不思議と歌が物語りから浮いてない。むしろ歌は自然な流れで台詞の延長線上にちゃんとある。 朗々と唐突に歌い上げるシーンはほとんどなくて抑圧された歌声が返って凄味になる。かみ合わない内容の畳み掛けるようなデュエットも抑えたトーンが返って楽しくて・・。舞台的な派手な歌の演出はわざと極力しなかったんだと思うな。ティム・バートンが作りたかった物語がたまたまミュージカルだっただけなんだと改めて再確認♪主役はあくまで、歌ではなくジョニーの眼力とたたずまいです!!! ギラギラした目で剃刀に口づけして復讐を誓うスウィーニー・トッドにひたすら一途な思いを寄せるパイ屋の未亡人、ミセス・ラベットが切ない。 復讐しか見えていない男はせっかく目の前に来ていた命より大切だったものに気づかず愛する男しか見えていない女は「聞かなかったから」言わずにおいたたった一つの隠し事によってついには身を滅ぼすのだ。 血なまぐさい話なのにレバーひとつで階下に落ちていく死体はどこか悲しくて滑稽にさえ見える。ミセス・ラベットが夢見る未来がこれ以上ないというくらいに美しい色彩でカラフルなのもホントに素敵だ。 まいった♪これでますます私はティム・バートン教の熱烈なる信者に! エンディングロールをぼんやり眺めながら心はまったく別の場所。私は今やすっかり慣れっこになった血の海をボートで漂っているのだ。今にも血が滴りそうな灰色の空を見上げつつふと考えるのはただひとつの光。この物語の唯一の希望について。 「カナリヤは無事に飛び立てたのかしら?」報復からは何も生まれない。それは判っているけど 滝のように流れる血はたぶんひとつのカタルシス。残虐で目をそむけたくなるはずのシーンもたとえようもなく美しいと感じてしまうのは一体何故だったのだろう。決して万人受けする映画ではないかもしれない。だけどまるで一枚の荘厳な絵のようなラストシーン。切ない思いと重なってきっと心に焼き付いて離れないだろう。
2008.01.24
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長かった冬もいつしか終りを告げ春の訪れとともに目覚めたホッキョクグマの親子。冷たい雪の感触。キラキラと輝くまぶしいまでの雪山。巣穴から顔を出した子グマたちにとっては初めて見るすべてが美しい世界。無邪気にはしゃぐ子グマたちの傍らで母グマはちゃんと気づいている。それは耳をすませば聞こえる氷の大地が動き始めた音。早くも戻った太陽の光は力強くすでに厚い氷も溶けはじめているのだ。冬の間の子育てで体力が落ちた母グマはやせ細り、腹をすかせ一刻も早く食料を必要としている。まとわりつく子グマたちにミルクを与えたら一刻の猶予もなくとにかく歩きださなければ・・・。氷が溶けたら狩りが難しくなる。春の足音は思いの他早い。太陽の光は時には「恵み」。そして時には「脅威」でもある。望みはあるのだろうか。歩みを進めるホッキョクグマの親子をただ淡々と「神の目」は観ていた。弱肉強食をメインに描いた動物モノにありがちな必要以上に過酷さを描く残虐シーンはこの映画にはまったくと言っていいほどでてきません。意図的にそういうシーンを外したのかもしれません。ホッキョクグマの親子がたどったであろう悲しい運命の結末も決して最期までカメラは追いかけることをしませんでした。余韻を残すカメラワーク・・・。この映画が描きたかったのはきっと奇跡の惑星「地球」という故郷をもっと見つめてほしい、愛してほしいという「思い」。個々の動物のこまごました情報や説教くさい自然破壊への警鐘でむやみに感情をあおりたてることなく大きな包み込むような視点で映画は進んでいきます。50万年前。まだ若かった地球に巨大な隕石が衝突して地軸が傾いた。この時できた23.5度という傾斜は地球にさまざまな変化に富んだ地形と四季の移り変わりをもたらしそれによって地球はただひとつの生命が存在しうる惑星になったのだそうです。そんな奇跡が本当にあるんだろうか。説明されてもまるで神話を聞かされているようなキモチになる。だけど超ハイスピードカメラが映し出す雲の動き、太陽の光が照らす大地、そして何より枯れた野山が季節の流れとともに山肌を駆け上るように薄桃色の桜で満開になる瞬間には無条件で涙ぐんでしまう。美しさに圧倒されて。普通なら絶対に観ることのできない瞬間を高性能のカメラと技術を駆使し流れる時間を自由に操作することでまるで神様の視線でもって大いなる手のひらの上から地球を存分に眺めさせてくれるのだ。なんて美しいんだろう。この地球っていう星は。なんて素晴らしいんだろう。この地上に生きるすべての生命は!ラスト。無限の氷海で泳ぎ疲れ獲物を目前にしながらも命尽きる雄の白クマ。だけどまだ「間に合う」ととても控えめにナレーションは締めくくっていました。本当になんとかしたい。これまでカメラに収められたことのない地球上で最も美しいものたち。これは映画館で観るべき映画。音楽がまた素晴らしかったです。
2008.01.17
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名残り惜しげにひとひらごとに散りゆく花は数々あれど形のままに凛として落ちる椿の美しさ。快活な物語です。まるで椿の花のように潔くて清清しくて力強さと心意気を感じるような映画。1962年の公開当時、巨匠・黒澤明監督と主演・三船敏郎コンビの「椿三十郎」は多くの人々の心を魅了して時代を超えて今もなお不朽の名作との呼び声も高く♪「映画の出来の八割は脚本で決まる」。この巨匠の言を借りるなら後の二割の諸々の要素は別にして今回の森田&織田コンビの「椿三十郎」は観る前から面白いのは保証つきという映画♪どう楽しむかは観る人次第♪あとは味付けを楽しむのみ!実際のところ、痛快でした~!最初から最後までどきどきしたり、笑ったり♪見比べてみると黒澤版はやはり古い映画ということで画面が暗いし(白黒だから?)音が聞き取りづらかったり。おまけに昔の役者さん、いまいち顔が覚えられず・・・汗これは私の力不足ですがちょっぴり観るのに疲れました。だけど今作はすごーく気楽な気分で鑑賞♪何しゃべってるんだか、ちゃーんと判るし演じる方々もなじみの顔が多くちょんまげ結うと誰が誰だったかややこしくなる時代劇音痴な私の弱点も見事カバーしてくれるのがいい♪「日本映画が生み出した傑作を今の若い世代の観客はなかなか見ることはできない。この作品を通して、こんなに面白い映画があったのかと是非たのしんで欲しい」。製作者の角川春樹氏の映画リメイクの意図がそこにあるのならこの映画は十分にその役割を果たしていると思う♪古いものの良さというのも重々承知の上だけど特に私くらいのレベルのにわか時代劇ファンになら純粋に映画を楽しむにはやはりわかりやすいのが一番♪すでに伝説となった先の映画と比べて「引き算」するのではなく初めて出会う「椿三十郎」というキモチで観てあげたい映画でした♪そして新しい「椿三十郎」が気に入ったからじゃあ、元の黒澤版を観てみよう♪というあたらしい間口を作ったという点でも森田芳光版の存在は意味深いと思う♪ひょんなことから九人の若侍を助けることになったのは一見粗野に見えるけれども、実は世話見のいい頼れる男。正義を貫こうとする若侍たちの純粋さに心動かされるものがあったのだろう。損得なんぞ考えず困っている者を放ってはおけない不器用さ。口が悪くてぶっきらぼう。だけどどことなく愛嬌があって城代家老の奥方が「抜き身の刀」にたとえて諌めるほどに半端じゃなくて腕がたつ!頭が切れる!だけどそれを自分の欲のためなどに使わない。何かに縛られることを嫌い自由に気ままに生きていて、いつも水っ腹なのにどこか余裕で・・・♪魅力的な男というものは時代を超えても変らないのだとつくづく実感♪そんな魅力的な男を織田くんは、彼なりに精一杯演じていてやや、朗らかな椿三十郎ではあったけど好感が持てました。織田裕二というのは不思議な役者だといつも思ってしまう。手放しで大好きなの~♪というファンの方には申し訳ないですが実は私、普段はむしろ、苦手なタイプ・・・。だけど、なんでだろう♪CMに出てても、スポーツ中継してても歌を歌っていても、どーでもいい存在(時には邪魔だったり)のはずの彼が (スミマセン)銀幕の中で「青島刑事」になったり「椿三十郎」になってる間だけはときめいてしまうのよね!これって私だけ?(笑)有名なラスト、ちょっとこだわりがあって違う趣に仕上げていたのは織田くんの持ち味を森田監督が考慮してのことだったのかも・・・とは勝手な私の推測です♪長くなってしまったので超、省略しますが森田さん、素材を生かすのが巧い人だもの♪他の出演陣も、キャラクターがとにかく面白くって特に「押入れ侍」の佐々木蔵之介さんには時代劇用語が「よくわからん!」と言いながら一緒に観てた小学2年生の娘でもめちゃウケでした♪最後に。囚われていた城代家老のおうちの壁にかけられた掛け軸の文字がとぼけた味の馬づらの あの役者さん(あえて名前は伏せておきます)の風情とすごーくマッチしてより秀逸なものに♪「人生小笑」「虚無活淡」「本来無一文」これから観る人は是非、お見逃しなきよう♪なんだかクスっ♪と笑えますよ!
2007.12.11
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ひっそりとした夜の闇。待ち合わせた夫はまだこない。ショーウィンドーのネオンがほんのり灯る古書店の前。時間をつぶそうとした彼女が奥の書棚までなんの迷いもなく辿り着いたのはただの偶然だったのか。「ナンバー23」。ふと手にした赤い表紙の古ぼけた本。2月3日生まれの夫の誕生祝いにしよう。夢中になって読み始めた一冊の殺人ミステリー。それが開けてはならない運命の扉だったことに彼女はまだ気づかずにいる・・・。この手のお話は大好き!ちょっと違うけど「オーメン」で父親が息子ダミアンの頭の地肌に666の悪魔の数字を見つけて愕然とする瞬間や海外ドラマ「LOST」で爆破寸前のハッチの扉にハーリーが例の数字の羅列を見つけて一瞬凍りつく・・・あの感覚を思い起こさせてなんて素敵♪この映画のテーマに流れているのは「エニグマ23」という思想。23という数は、特別かつ特殊な重要性を持つものとして古くから文化として語られてきた経緯があるのだそうです。それがどうした?というものからこじつけじゃ~ん?というもの・・・はたまた、なにやら背筋がゾーッとしちゃうもの・・・興味のある方はWikipediaへどうぞ♪Wikipedia23エニグマ「23」という数字にとり憑かれ次第に破滅へと向かい始める夫を演じたジム・キャリー。年頃の息子を持つお父さんの役をする年代になったのか・・・と変なところで感慨深い。思えば最初は緑の怪人(「マスク」)だった彼。数々のおバカな映画を経て最近では演技の幅が本当に広がりました。へんてこな顔をしている時はま、おいといて(笑)バランスのとれた長身・・・ちょっと憂いのある横顔・・・ジム・キャリーかなり花丸上昇中です♪「エターナル・サンシャイン」もよかったなぁ・・・(妄想中のひとりごと)ミステリーなので映画については多くは語れません!エニグマ23など、テーマ大きそうですがそれほど壮大な話には辿り着かないので妙に期待を抱きすぎると肩透かしを食らいますのでそこんところは要注意!(笑)でも、心の闇・・・みたいなスリラー結構好きなの♪という人とはじけてないジム・キャリーが観たい!という人にはお薦めの一本です♪個人的には見事、ハマりました~!奇しくもジョエル・シューマカー監督の手がける23作品目の映画がこの「ナンバー23」だという話やら映画撮影中にも実際、度々「23」という数字は至るところに出現し続けたという話とか・・。(こじつけも多々あるとは思いますが♪)嘘でもホントでもそういう裏話があるとめちゃくちゃ、うれしくなる性質です(笑)そんな楽しい?胸騒ぎの中、映画観ている最中にふと、自分の生年月日を合計したら「23」だったの・・・!!!ひぇ~~~~!!!映画よりなにより、これが一番ゾーっとしてなんでだかちょびっとうれしかったりして(笑)
2007.12.05
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心配そうにのぞき込むピーターの目に飛び込んできた懐かしい笑顔。激闘の末 頭を強打。目覚めたハリーが見せたのは解き放たれたような穏やかな表情だった。この笑顔に会えなくなって一体どのくらいの時が流れていたのだろう。かつてふたりはかけがえのない親友だった。あの不条理な出来事と悪意に満ちた行き違いさえなければ。大いなる力には大きな責任が伴う?どこかで少しずつずれていく運命の歯車。つかの間の休息。何よりも望んでいた時間。悪夢のような過去はできるならこのまますべてどこかへ置き去りに。自分の夢とのジレンマにもがきヒーローの重荷に耐えかねて正義の味方なんてしんどいモノはやめてしまおうとさえ思ってた前作のスパイダーマン。プライベートな時間が全くない上にMJという夢が手の届かないところへ行こうとするのを知って気力が尽きたピーター・パーカーは一度はその能力の全てを失いフツーの男の子に戻ろうとしていた。あきらめきれなかったんだろうな。スパイダーマンでないもう一つの人生を。自己犠牲の連続・・・。好きな人にも親友にもずっと嘘をつき続けなきゃいけない心苦しさ。朝から晩まで綿のように疲れててそんな人生なんて意味があるのか・・・ときっと思っちゃったんだろう。だけど電車で人々を救いどれだけ自分が必要とされているかを知った。子供たちが将来の夢として自分の名前を口にすると聞いた時の誇らしさ。ドック・オクとの闘いの最中図らずもマスクを外した顔を見られMJとの距離が一気に縮んだ安堵感。その延長線上にいるのが今作のスパイダーマン。吹っ切れちゃってる感じがよく出てます。自信に溢れてイキイキとノリノリで高揚していて・・・・ちょっとだけ鼻につく(笑)だけど所詮はピーター・パーカーというのは世間ずれしていないオタクなのだ。人々の声援を受け絶大なる支持を誇りに思うときつい足下がおろそかになり大切なものを見失う弱さ。少しずつ運命の歯車が再び狂い始めたことにも気づかずにいつもなら見逃すはずのないMJの表情の変化やキモチにも鈍感になってる。大勢が集まる晴れやかな場で二人だけの想い出のキスをそれもなまじ知ってる女の子と再現しちゃうなんて、そりゃ反則だ!!大変なヘマをしでかしたというのにそんな重要なことだとも思ってなさそうなのが男と女の感覚の違いなのか?単にピーターが鈍感なのか?私はモチロン女の子なのであの時のMJのキモチは痛いほどよくわかりました♪自分勝手で奔放なMJもあの時だけは可哀想だと思ったもん~。そんなこんなでせっかく想いが通じたMJとの仲もどんどん独りよがりになってゆくもどかしさ。フレンチレストランでの一くだりとか黒スパイダーマンになってからの嫌がらせ行為とか、キレっぷりダメじゃ~ん!といいながら笑っちゃったけど(笑)冒頭で再現した記憶を失ったハリーとの一こまもホントに心に残るワンシーン♪1作目、2作目と見守ってきたファンとしては複雑な思い。このまま時が止まればとお願いだからもう思い出してくれるな~と心底思いました。無邪気なまでの満面の笑みのハリーに胸キュン♪そうそう、こんな笑顔はいつの頃からか忘れかけていたけれどハリーってホントはいい子だったのよ~!1作目、パワーを得て学校のいじめっ子をのしちゃったピーターのことを自分のことのように喜んでいたのはハリーだけだったんだから!最後まで観てから思い出すとますますあの笑顔が胸に痛いです。そして、全作を通して語られるメイおばさんと今は亡きベンおじさんの言葉にはいつも胸を打たれます。ピーターを育ててくれたのがこの人たちでなかったらスパイダーマンはただの賞金稼ぎで終わっていたに違いないと(笑)(1作目を観た人はわかりますよね!)大家の娘さんがなにげに好きです♪美人というよりは目がやたら大きいファニーフェイス。棒のように細くて背が高くて明らかにピーターに気がある様子・・・。趣味はケーキ作り?ピーターも周りもブンブン振り回わしてケロッとしているMJなんかより(してない?笑)こちらとつきあえばいいのに~♪家賃もタダになる~♪とはまったくいらぬお節介。主要人物の事を語り始めたら止まらなくなってニューキャラクターのサンドマンとヴェノムについても話したいことはいっぱいあるけど・・・もういっかぁ?・・・。(気力切れ)本当はいい人・・・それが「たまたま」実験やなんやで悪者になっちゃう切なさがスパイダーマンの定番でこれまた好きなところです♪(簡単にまとめてみました)最後に・・・。街の人気者になっちゃったスパイダーマンと売れなくなった女優MJの関係の急降下状態ってまるで芸能人夫婦みたい・・・。いやはや難しいです♪やっぱ、どちらか一方だけ仕事がノッてると妬けちゃうんでしょうね~MJには明らかに嫉妬が入ってた?(笑)あの黒い謎の物体がよくぞMJの心の暗黒面に寄生しなかったもんだとふと思ったりして(笑)例年通り、だんだん忙しい時期に入ってきました♪更新ペースが遅れると思いますがスキマを縫って、今年は中断せずに楽天をウロウロしたいと思ってます♪これからもヨロシクお願いしますね!
2007.05.14
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彼らは知らない。「それ」がどんな風に人を飾り立てるのかということさえ。どこか遠くの見知らぬ場所で「それ」を欲しがる人達がいて自分とはおそらく一生涯、無縁であるもののために母なる大地は血の色に染められる。泥水の中に「それ」を見つけた時黒人のソロモンは家族を取り戻すための切り札だと思った。監獄の中で「それ」の存在を知った時ダイヤの密売人ダニーは現実から抜け出すためのチケットだと考えた。正義感と情熱で「それ」に近づいた時ジャーナリストのマディーは真実を暴くための証拠をやっと見つけたと思った。私たちは知らなかった。誰も欲しがらなければただの「石」。そんなもののためにたくさんの命が何の意味も持たず次々と簡単に奪われている現実を。This is Africa.神はこの地を見放したのか?雄大なアフリカの大地の遠景は息を呑むほどに美しい。だがよく見るとその赤土にはたくさんの屍が転がっている。思い出してみて。子供の頃にイメージしていたアフリカは雄大な自然と美しい風景野生の動物たちと心優しき人たちの住む楽園だった。ダイヤをジャラジャラと身にまとった現地の人を私は知らない。原産地でありながらその恩恵を受けるのは一握りの権力者。穏やかに暮らす善良な人々にとってそれはただの「石」にすぎない。目の前を通り過ぎていくだけのそんなもののために大切な家族は引き裂かれさらわれた子供たちは薬漬けにされてまだ幼く細い腕の中の銃で人を躊躇なく殺すことを強要されるのだ。そんな目を覆いたくなるような現実を淡々と突きつけながらも物語はエンターテインメントな部分も大切にテンポよく進んでいく。目的のためなら手段を選ばないダイヤ密売人として登場するダニーにはこの地で今まで生き抜くために他に道を選べない事情があった。幼くして両親を殺されゆく当てもないダニーに傭兵として、また密売人として全てを教え込んだのは大佐だった。大佐はいつもダニーのことを「ダニーボーイ」と呼ぶ。マディに「ダニー」と呼ばれた時彼は「アーチャー」と呼んで欲しいと答える。彼は自分の「今」を抜け出さなくてはと考え始めていた?忌まわしい過去を蘇らせる「ダニー」という呼び名はアフリカの大地に置き去りにしたかったのかも。隠したダイヤを求めて何日も何日も歩き続けるサイモンとダニーが徐々に心を通わせていくやりとりが心に残る。カメラマンと名乗ることさえ躊躇する愚直なまでの父親であるサイモンに「ダイヤを手に入れたら結婚して子供を作るのか?」と問われて「No」としか答えられなかったダニー。生まれ育ったアフリカの大地が遠くまで見渡せる小高い山の上。マディがいつか言った言葉がきっと彼の心に温かいものを残した。「人はその人が何を選び何を成すかで善悪が決まる」。ソロモン親子の後ろ姿を見送る横顔から戦場で生き抜いてきた険しさはいつしか消えていた。ダニーがこれまでに見せた中で一番穏やかで満ち足りた表情。ここのシーンには心底泣きました。小枝のようなレオだったのにいつの間にこんなに逞しくなったんだろう。童顔なのは相変わらずだと思うけど骨太な演技で補って余りある。マディとの関係もちょうどいい距離感だった。知的なジェニファー・コネリーが花を添えていました。ラスト近く目映い宝石が飾られたショーウィンドウをのぞき込んだサイモンの心に去来したものはなんだったのか。胸がつまりました。エンドクレジットの文字が訴えかけたように今もなお、20万人の少年兵がアフリカには存在する。誰が世界を動かしているのか。何がどんな悲劇と繋がっているのか。私たちがすべきことは一体何なのか。思考停止に陥ることなくせめて「キンバリー・プロセス」という言葉の持つ重みを胸にしっかりと留めておきたいと思いました。
2007.04.19
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もう男なんていらない。自分の口から白状させて思い切り殴ってやったわ。最悪の気分。ハリウッドで映画予告編会社を経営するアマンダは煮詰まった恋に自分からピリオド。強がってみせるけどホントはキモチはボロボロ。泣きたいのに涙が出ない。どうしたらいいの?耳を疑ったわ。目の前が真っ暗。別の女性と婚約すると晴れやかな顔で祝福を受ける彼。ロンドンで新聞記者として働くアイリスは思わせぶりな男にもう何年も振り回され続けてきた。今まで何度も断ち切ろうとした。だけど、もしかしたらって・・・。何をしても涙が止まらない。どうしたらいいの?9600キロも離れたそれぞれの見知らぬ街で暮らす時を同じくして恋に破れたどん底の二人。やっとの思いで一歩前へと歩き出そうとする二人を結びつけたのはインターネットのホームエクスチェンジだった。全てをリセットするため傷ついた心を抱きしめたままたどり着いた新しい場所での2週間のクリスマス休暇。おとぎ話のような運命の恋が待ち受けていることに彼女たちはまだ気づかずにいる・・・。白黒はっきりさせないと気が済まない勝ち気なしっかり者のアマンダと人の気持ちばかりを優先させて尽くしてしまう優しいアイリス。ふたりはまったく違う好対照な女性に見えるけど彼女たちは言い換えてみれば私たちの代弁者。ところ変われど年齢が違えどどんな女性にでも行き詰まる時は必ずあるのだ。映画が進むにつれてそうそう♪あるある♪と頷くことが増えていく。まさか豪邸や絵本から抜け出たような家に住んでいる人は少ないと思うけど感情の微妙な動きは全国共通?そう!この映画は女性のためのまさにあるある大辞典なのだ♪とくに嬉しかったのはキャスティングの妙!観客のニーズをよくぞ掴んでくれたものだとドキドキが止まりませんでした。こういう役どころが観てみたかったのに何故今まで演じてくれなかったのか不思議!見たことのないまったく新しい印象のケイトやジュードやジャック・ブラック!(この場合、キャメロンだけはしっかり王道?)いつもは強い印象の人なのにとても繊細な現代人女性を演じてるケイト・ウィンスレットってなんてキュートで新鮮なんでしょ♪いつもは影のある役か女たらしか悪役なジュード・ロウがそんなステキな人はおらんやろーとツッコミを入れてしまいたくなるような魅力たっぷりの男性で感涙。ジャック・ブラックもいつになくナイーブな一面を覗かせたりしてすごくいい人♪初めて応援したくなった(笑)キャミーはいつもこんな感じだと思ってたけどそういえばキャリア・ウーマンはあんまりなかったかな?とにかくいつにも増してチャーミング!積極的なキスシーンはお手本にしたい(え?笑)4人の魅力溢れるキャストをもってきた上にこんな風に物語に割り当てちゃうなんてさすがは「ロマンティックコメディの名手」と呼ばれるナンシー・メイヤーズ監督♪キャストの持ち味が活かされていて終始にやけっぱなしの映画でした。インテリアやファッションも夢見心地にさせてくれる上にコメディの要素も小粋で心憎い。アマンダがことあるごとに閃いてしまう「予告編の声」に大笑いしたり意外なカメオ出演に妙に感動してしまったり・・・(笑)そして随所に散りばめられた「映画への愛」を感じるエピソードがステキ♪アイリスが純粋なキモチで一生懸命に世話を焼く心を閉ざした老脚本家の壇上でのスピーチ・・・・。「映画に恋してきました」の一言にしびれました。手前ミソながら私のブログタイトルだものね(笑)心のホリデイをもらったのは観ている観客の私たちだったのかもしれません(笑)甘口なようでいてどこかほんのりほろ苦い大人のためのとても愛らしいラブコメディ♪泣いたり笑ったり本当にリフレッシュしました。オススメの映画です!
2007.04.02
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バランスを崩してカゴが倒れた。石畳の路上に転がるプラムの黄色。彼だけが感じるほのかな香りに気づいた者はそのとき誰もいなかっただろう。人々は「愛の香り」に酔いしれて触れあい キスをし官能をむさぼりあっていた。立ちつくしていたのは皮肉なことにそれを作った愛を知らない一人の男だけ。プラムの香りが引き寄せたもの。それはあの日の甘美な記憶の断片。振り向く少女の赤い髪が揺れてこの手の中で崩れ落ちてゆく。冷たくなっていく肉体とともに幸福な香りも消え失せてしまった。頬を伝う初めての涙。この感情を何と呼ぶのか彼は知らない。神は最高の嗅覚を彼に与えたが他には何も与えなかった。望まれずに産まれ匂いを持たず、愛されることもなかった無垢な魂。白い肌に手のひらを押しつけ何度も何度もすくい取ろうとした。閉じこめたかったもの追い求めたもの、それは紛れもなくあの「幸福な瞬間」だった。この映画を観てからもう今日で3日目。劇場を出たそのときにすぐには言い表せなかった感情が日を追うごとに鮮明になってゆくのが不思議。まるで映画の残り香を楽しんでいるみたい。これはそんな大人のための少し残酷なおとぎ話。ジョン・ハートの余韻のある声がナレーションとしてこの物語を綴っていきます。天才的な嗅覚を持って産まれた主人公のグルヌイユ。彼がどんな風に生を受けてどんな風に消えていったのか・・・。冒頭の悪臭立ちこめる魚市場の描写はあまりにもグロテスクで目を覆いましたが彼の生い立ちの酷さを際だたせていて胸がつまりました。いつ死んでもおかしくないのに彼はいつも「生き抜いて」きたんですね。でも何のために?酷い扱いを受け続け人間として人間らしく生きることを知らないグルヌイユの唯一の安らげる時間はもって生まれた超人的な嗅覚でイマジネーションの旅をすることだけ。目を閉じて草原を抜け森の奥深く小さな水辺までたどり着く。匂いをひとつひとつ辿りながらの旅は本当に静かで美しい。トム・ティクヴァ監督の情緒面に語りかける映像作りは素晴らしいと思います。あまりにもまっすぐな探求心ゆえ踏み込んではならない領域へ彼はなんのためらいもなく入り込んでしまうけれど彼を殺人犯として憎々しく思うことはついに一度もありませんでした。こんなことを言うと不謹慎だというのは分かってる。でもどの死体ひとつとってもホントに絵のように美しかったんです。不思議な感情だけがいつまでもまとわりついて消えません。一つ間違えば、気持ち悪い猟奇殺人犯。ほとんど言葉を発しないグルヌイユをベン・ウィショーが演じるとピュアでイノセントな感じさえしました。ラストの結末もおとぎ話に徹していてあまりにも悲しくて切ない。だけど私は納得でした。あれ以外には他にないでしょう。
2007.03.13
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不器用にしか愛せない。それでもいい。それが私。わがままだと叱らないで私だけを見ていて。私ひとりを愛してると言って全て受け止めて欲しい。他には何もない。ぶつけるだけの愛傷つけてもかまわない。そうすることしかできない。愛することが私の全てだから。不器用にしか歩けないの。それでもいい。それが私。カゴの中に閉じこめないで翼をもがないで。私の声だけに夢中だと言って全て受け止めて欲しい。他には何もない。震える魂の叫び傷ついてもかまわない。そうすることしかできない。歌うことだけが私の全てだから。物語ではなく演技力でもなくただ、ジェニファー・ハドソンの歌のパワフルさに感動して泣きました。体の奥底から絞り出す魂を吐き出すかのような歌声。彼女の強引なまでの「歌」に対する「固執」は本当はまとわりつくコンプレックスの裏返し。それしかないから歌にしがみつく。好きにはなれないキャラクターだけど素直になれない寂しさが後をひきました。それに対して、ビヨンセが演じたディーナ。エフィーを思いやるキモチに好感を持ちました。毎日、エフィーの声を聞いてれば無理もないですが自分の声質にはきっと自信がなかったんでしょう。比べなければ素晴らしいのに彼女が感じていたのもまたコンプレックスだったのかもしれません。だから、本意ではなかったにしても成功のためにマネージャー、カーティスのいいなりになることを選んだ。私にはそう見えました。自分を殺すことと引き替えに夢への一歩を踏み出したのだと。最初は目立たず埋もれてしまっていたディーナがどんどん美しく変わっていくところは見所です。ふたりの女性の正反対の性質と生き方。エディ・マーフィが落ち目の歌手役なんて笑えないけど彼は今までのイメージを一掃するくらいシリアスないい表情を見せてくれていました。 ストーリーに深みが感じられなかったのは残念ですがそれでもいいのかも。この映画はミュージカル♪歌に心を震わせて歌に感動の涙をする。あっというまに時間がたって素晴らしいステージに酔ったという心地よさだけが後に残りました。映画一本をまるごと引っ張っていけるんだから音楽の持つ力って、ホント、すごいですね!サントラでもう一度エフィーのあの歌を聴きたいな♪しばらくは歌の余韻に浸れる映画!それが「ドリームガールズ」です♪
2007.03.07
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今でもわかる。何故こんなにも彼が人を魅了し続けるのか。たくさんの人々が彼の言葉に耳を傾けやがて来る新しい世界の訪れを夢見ていた。ロバート・F・ケネディ。激動の時代の中にいて彼こそはアメリカの輝かしい未来そのものだった。あの日大統領予備選の勝利に湧くアンバサダーホテルで響き渡った銃声が奪ったもの。その大きさは計り知れない。運命の瞬間は激流のように容赦なく人々を呑み込み混乱と飛び交う怒号の中で人々の胸に何かが去来した。あの時、彼らは何を見たのだろう。そして人は一体いつになったら同じ過ちを繰り返すことをやめるのだろうか。思わず固唾を呑んでしまった次から次へと惜しげもなく登場する豪華キャストたち!少ない出演料でも話題になりましたがさらに驚いたのは37日間という撮影時間の短さ!予算が少ない上にアンバサダーホテルが取り壊しになる合間を縫って必要なシーンを撮影したそうです。そんな短い撮影期間なのに出演依頼を快く引き受けてくれたのはそれぞれに多忙な毎日を送る有名スターたち。スケジュール調整やリハーサルなどする余裕もなく結果、役作りや衣装や髪型などもそれぞれの俳優に委ねられました。すごい信頼関係♪それでも一人で主役を張れるクラスの俳優たちは限られた短いカットの中だけでしっかりと与えられた人物を丹念に描き込んでいきます。的確な表現力と演技力。感心しました。誰も皆、印象深いです。運命の日に居合わせた登場人物たち。その一人一人を見ていればわかりました。ボビーが当時の人々にどんなに大きく期待されていたのかが。物語の方は顔ぶれの豪華さと演技に引き込まれ退屈するヒマなどありませんがややトーンが静かな流れ。もしも無名の俳優がやっていたら眠気を誘ったかもしれません。だけどそれには理由があったのだと映画を見終わった後に気づきました。最初の方で語られる一つ一つの物語はこの映画で本当に伝えたかったことへのほんの序曲に過ぎなかったのだということ。細い小さないくつもの川がやがては大きな流れとなって最後には堰を切ったように轟音とともにあふれ出す・・・!エミリオ・エステヴェス監督の手腕が光りました。昔のフィルムを巧く使い主役不在のままにしてよくここまで映画を完成させたと思います。短い期間で、低予算。自分の人脈を駆使した苦肉の映画作り。たくさんの人々に支えられながらもなんとか作り上げたかったというこの物語に対する情熱を感じました。「ボビー」を描くことはある意味、彼の使命だったのかもしれません。今聞いても、胸に染みるボビーのスピーチはあれから何十年もたったというのにアメリカがまだ同じ病巣を抱え続けているのだということの裏返し。今だからこそ、投げかけたかったことの監督の真意を感じました。ボビーのスピーチにも感動しました。本当に人はいつになったら何かを学ぶことができるのだろうかと。余談ですが、エミリオ監督は、俳優としても登場します。それも、かつての恋人デミ・ムーアに押されっぱなしのダメ夫として。妻からはひどい扱いを受けますがそれでも彼女を愛しているという感じが実生活ではどうだったか知らなくてもいろいろと連想させて面白かったです。
2007.03.01
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壊れかけのオンボロミニバスだけど力を合わせればまだまだ走れる。黄色い色は太陽の色。リトル・ミス・サンシャイン君がみんなの夢と希望。大人は知ってる。ままならない人生って奴を。だけど勝ち負けだけが全てじゃないはず。黄色い色はお日様の色。リトル・ミス・サンシャイン君が笑うと温かくなる。涙がこぼれそうになった時にはそっと肩を抱いてくれたね。新品のバスならきっと気づかなかった大切なこと。壊れかけのオンボロバスもなかなか捨てたもんじゃない!不協和音もいつしか美しいハーモニーに変わる。リトル・ミス・サンシャイン。君は最高!破産、自殺、薬物中毒、夫婦げんか。ひきこもり、同性愛、夢の挫折、ままならない人生・・・。問題ありすぎのバラバラに見える家族の中にいて末っ子のオリーヴはこの物語の一筋の光。日夜、ミスコンの女王を夢見てやまないメガネの女の子。ある日、美少女コンテストの全国大会に繰り上げ参加で出場できることになったオリーヴ。この繰り上げ参加ってとこがミソなんですがオリーヴはどう見ても、ミスコン向きではない感じ・・・。だけど彼女はすっごく本気でダンスの練習だって怠ったことはありません。だから知らせの電話を受けたときにはそれはもうすごい喜び様で誰に確認するでもなくさっそく旅の荷造りを始めちゃいます。本当はそれどころではない訳ありな家族たちもこんなオリーヴを前にしてはやむない事態ということで全員オンボロのミニバスに乗り込んで一路、カリフォルニアを目指すことに。物語を乗せて走りだした黄色いワーゲンのミニバスはまるで、この家族そのものの風情。ガタガタのポンコツでいつ止まってもおかしくない状態。途中からはクラッチの故障で押して走らせてからでないとエンジンがかからないことに!みんなで押して、走って乗り込むんですが劇中、何度となく繰り返されるこの作業。うまく、乗り込めた後のみんなの表情がまたいいんです。喧嘩ぱかり、自分のことで精一杯だった家族たちの心がふっと解き放たれていくような感じ(笑)子役のアビゲイル・ブレスリン、ホントに可愛い。アイスが好き→太る→ミスコン優勝できない(でもやっぱり食べちゃう)のジレンマを自ら克服するところには拍手だしミスコンの特技披露の時に司会者からマイクを奪って「おじいちゃんに捧げます」と言うシーンに涙。(その後にオチもあるんだけど)とんでもない人だけど孫にはありったけの愛を注ぐ憎めないおじいちゃんとのやりとりや無言の誓いをたててるけれどホントは妹想いのお兄ちゃんとのやりとり・・・・etc言葉やしぐさ、エピソードのひとつひとつが全部愛おしくてたまらないです。ホントここで全部書けないのが残念なくらい!(笑)名言も名シーンも思い返すと数え切れない。泣かせようとする映画では決してないのに気が付くと、涙が溢れてくる。それも、半分、笑い泣きで(笑)ただつきさんが「二回観た!でもまだ観たい!」と言ったのも判る♪判る♪の良い映画♪映画は本当に脚本が命ですね♪低予算でも、こんなにいい映画が作れちゃうんだから。微妙に変化していくバスの乗り込み方♪映画を見終わってポスターを眺めるとまたほのぼのしてきて想いが巡ってきてほっこり・・・・この辺りの演出も巧いです。当分、あの黄色いバスがアタマから離れそうもありません(笑)もしもあれが新品のバスなら家族は再生しなかった?いよいよ秒読みに入ったアカデミー賞には4部門でノミネート!「リトル・ミス・サンシャイン」自信を持ってのおすすめです♪★★★★★★★★☆☆********************************************今日は出かけます。まだできていないコメントのお返事、少し待っててくださいね!(*^_^*)いつもありがとうございます♪
2007.02.24
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深海に住む魚のように音のない世界でただ時を塗りつぶす毎日。同じ事の繰り返し。ただ空腹を満たすための食事。ただ何も考えずにいるための仕事。笑うことも楽しむことも彼女にはもう遠い昔のこと。長距離バスに乗り見知らぬ町に降り立つ。働きづめはいけないと突然押しつけられた長い長い休暇だった。偶然見つけた看護士の仕事で彼女がたどり着いたのは海の上にポツリと浮かぶ忘れ去られたような不思議な空間。一人ぼっちでいることを誰も咎めないこの場所で働く人たちは誰も皆何かしら秘密を抱えているみたい。この油田掘削所の事故で重い火傷を負い一時的に目が見えなくなった彼の名前はジョセフ。名前も過去も何も話したがらない彼女の心を少しずつ根気よく言葉を紡いで溶かしていく。相手の秘密を知りたければ自分の秘密を一つ教える。そんなやり取りの繰り返し。嘘の中に小さな真実を少しずつ滲ませることができるようになった彼女がやっと口にした本当のことは耳が悪くて補聴器をつけているのだということだった。だけどそれでも精一杯で理由は何も告げられなかった。彼女の名前はハンナ。人生を変えてしまったあの日からずっと独りで生きてきたのだ。誰にも心を開くことなく。時を重ね・・・最後の秘密を打ち明けるジョゼフにすべてをゆだねる決意をしたハンナ。最大の秘密は果たして何なのか?あなたになら言える秘密のこと。やられました。淡々と進む物語。どうして彼女が友もなく黙々とまるで罪を償うかのように暮らしているのか。どうして彼女が補聴器をしていて黙々と刺し続けた刺繍を無造作にゴミ箱に捨ててしまうのか。何もわからぬままにお話は進みいつしか彼女はポツリと海に浮かぶ油田掘削所で大火傷を負った男の看護士として働き始めます。そこでも多くは語られずもどかしい思いは募るばかり。彼女の過去を想像するのに疲れかけて、もういいや~と思い始めた頃急展開は訪れます。一気に奈落の底へ。聞いたらしばらく立ち直れないほどの衝撃でした。言葉にできない「秘密」とはかくも重く苦しいものなのですね。受け止める愛に自分を委ねる決意。一度は去ろうとしたハンナが思い切って一歩前に歩き出した時彼女の今までの暮らしぶりが走馬燈のように心を駆け抜けて切なかった。もう一度観たいと思いました。彼女の「秘密」を全て私も受け止めた上で。彼女が少しずつ少しずつ心を溶かして行った微妙な表情の移り変わり。サラ・ポーリーは巧いですね!彼女はハンナ、そのものでした。*同じくイザベル・コイシェ監督の「死ぬまでにしたい10のこと」。まだ観ていないのでこの感動が消えないうちに続けて観ようと思います♪
2007.02.15
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気づかれてはいけない。本当の自分を殺さなくてはいけない。紛れなくてはいけない。だけど本当の自分を見失ってはいけない。たった1発の弾丸ですべては終わってしまうのだから。一瞬一瞬の判断力は生き延びるための糧。自らの生い立ちと決別するために警察官の道を選んだ男と自らの生い立ちゆえに警察官を目指しマフィアの内通者になることを余儀なくされた男。見抜かれてはいけない。何があっても正体は明かせない。ミスをおかせばその先はない。ただそこには屍が転がるのみ。ハリウッドのスタジオがこぞって映画化権を欲しがったというこの映画。「インファナル・アフェア」の知識なく観に行きました。緊張した・・・(笑)町を牛耳るマフィアのボスはこれが怖いの!ジャック・ニコルソン。「シャイニング」の時さながらの気迫に満ちた顔つきでつかみ所のない怖さが全開。ホント、震え上がらせてくれちゃいます。「環境が俺たちを作ったんじゃない。俺たちが環境を作ったんだ。」と言い切ってしまう傲慢さ。気づいているのか、いないのか。ジョークなのか、探っているのか。顔は笑っているけど目が狂気に満ちてます。こんな人のところに潜り込むなんぞ普通の神経じゃ持ちません!精神安定剤を飲みながら乗り切ろうとするディカプリオ。なんだか可哀想すぎました。ただそういう場所で育ったがための変えられない自分の過去。それらと心から決別がしたくて一生懸命、人一倍の努力をしてようやく優秀な成績で警察官になったというのに変に見込まれちゃったもんです。警察学校を卒業したてでマフィアに潜入だなんて、そんなことって実際にありうるんでしょうか。苦悩する彼を観ているとただもう不憫で不憫で不憫で不憫で・・・・。あらら?これは知らない間に演技に引き込まれてしまったと言うことなのかな?アウトローになりきれないアウトロー。ディカプリオの表情が胸に迫りました。良かったです♪マット・デイモンも巧かったけどどうしてもディカプリオに肩入れしちゃったせいか正直言って・・・・印象薄い・・・汗役柄的にも、あまり魅力がなかったです。マフィアに育てられたという恩義はあれど本当は善い人になりたかった・・・そのためにボスを裏切った・・・もしもそういう理由ならディカプリオの演じた潜入捜査官と同じくらいに感情移入できたと思うけど富と名誉・・・自分の保身のためだけにボスを裏切るマット・デイモン。それはちょっとあかんやろ・・・。致命的な事に、悪さをするには華がなさすぎます。せめて、かねての噂どおりブラッド・ピットにやらせていたらどんなだっただろう・・・と思ってしまいました。ブラピだったら肩入れしたかも・・・。あはは、これは単に私がミーハーなだけだったりして。全編にわたっての張りつめた空気。長い映画ですが、あっという間に感じました。ラスト近くはもう、たたみかけるような緊迫感!体力勝負の映画・・・(笑)続編の話もあるのだそうでアカデミー助演男優賞にノミネートされたマーク・ウォールバークが顔をつなげていくのかな?ロバート・デ・ニーロが出演するとかしないとかこれも確かな手応えを感じたからのことでしょう♪
2007.02.07
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独りになれる場所を探して早足で歩いた。こぼれないで、涙。あと少しもう少しだけ。ベルサイユに群がる着飾った貴族たちの視線。美しい扇で隠した口元が何を噂しているのか彼女は知っている。できるならもう少し子供のままでいたかった。子犬のキスで目覚める穏やかな毎日。もう二度とは戻れない日々覚悟はできているけれどバタンとドアを閉めたなら堰を切ったようにあふれ出す涙。いつも笑っていた。不安な時も寂しい時もそれがこの国へ嫁いできた未来の王妃としてのつとめだから。ひざを抱えて泣きじゃくる彼女は居場所を探してさまよう迷子の子供。傅く華やかな人々にいつも取り囲まれていても・・・。本当のマリー・アントワネットを知る人など誰もいない。 たった14歳ですよ!俗に言う政略結婚。母の命じるままにフランス王家に嫁ぐことになったマリー・アントワネットだけど末っ子の甘えん坊さんのはずの彼女がそれなりの決意をして長い旅路を馬車に揺られ独り嫁いでいく様には涙が出ました。心細いキモチもきっとあっただろうに・・・と。まだまだ幼くてコロコロとよく笑うマリー・アントワネットを演じたキルスティンが可愛いです。羽を広げて颯爽と大空にダイブ!映画が始まると、そこは思い描いていた通りの色彩と美しい風景でした。だけど景色を楽しんだらその後はいったいどこへ着地すればいいの?ソフィア監督がきっと特別の力を込めて描いたであろう冒頭で紹介したマリーが初めて涙を流すシーンを過ぎたあたりからどんどんとドキドキの加速が落ちてきてちょっぴり途方に暮れました。キモチの収まりがつかなくって・・・。もっとラストあたりのお話もドラマチックに描こうと思えば描けたはず。だけどそこはやはりソフィア流。自分の描きたいものだけを厳選チョイスで映像にしていきます。ソフィアワールドとキルスティン・ダンストのキュートさを楽しむためのビデオクリップ。そういう視点で観るべきだと気づきました。そう思って観ると、かなり完成度が高いです。音楽の使い方も新鮮だし、映像は見ているだけで夢見心地。着地点が見えないのもソフィア・コッポラの映画らしい♪ちょっと途方に暮れたりもするけど私は好きかな。こういう感じ。何を描いてもそれが歴史上の人物であってもちゃーんと最後は「ソフィア印」の映画になっている。そこがこの監督のすごいところなのかもしれません♪
2007.01.31
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鳴り響くベルの音で僕は飛び起きた。パパとママは旅行中。真夜中の電話は誰から?昼間ちょっとした事件があったんだ。僕がずっと観察している向かいの家のネバークラッカーさんが倒れた。僕のせいかもしれない。ネバークラッカーさんはいつものように芝生に入ったバスケットボールのことでカンカン。もみあっているうちに足を取られて地面に倒れて動かなくなった。走り去る救急車。変なおじさんだと思ってたけど死んじゃったのならどうしよう。奇妙なことばかり起こるんだ。鳴りやまない電話のベルドキドキしながら受話器を取るとそれはプツンと切れてしまった。僕はとっさにリダイヤルする。耳を澄ませてみて。静まり返った街。どこからか聞こえる呼び出しのベルの音・・・早鐘のように鼓動を刻む心臓。暗闇の中僕は窓にそっと近づきその音に全身全霊で耳を澄ませた。間違いない同じ間隔の呼び出し音。ベルが鳴り続けているのは今は無人のはずのネバークラッカーさんの家だ!・・・じゃあさっきの電話は誰から?僕は気づいてしまったんだ。これは夢なんかじゃない!ずっと観察してきたけれどあの家はきっと生きている!全てを呑み込んでしまうモンスターハウスだ!僕たちの町を守るためなんとかしなくっちゃ!なんてことだ明日はハロウィン。子供たちの身が危ない!今までチビにつきあっていろいろアニメを観てきたけれど数々観た中でもこれは面白かった!DVDになったらもう一度観たいです♪この語り口はやはりさすがはスピルバーグ印楽しめる映画づくりは彼にとってはお手のものですね!観客の喜ぶツボを心得ておられます。お化け屋敷の話は大人も子供も大好き。でもそれだけじゃなくてそこにちゃんと「ドラマ」がありました。ちょっと切ない大人っぽいドラマも(笑)あまりのど迫力の表情にこの人がモンスター?と最初思わずビビってしまうのは謎の屋敷にひとり住むネバークラッカーさん♪やたらめったら怖いけど実はホントは訳ありな人。通りかかる子供たちの遊び道具が少しでも敷地内に入るとすごい形相で飛び出してきます!「この家に近づくな!」「入るなと言っただろ!」どこで見てるのかその対応はマッハ5です。すごい剣幕!そしてその一部始終をいつも自宅の窓から観察し続けているのがこの物語の主人公DJ君。(おい!)ハロウィンはもう卒業だ!と思いながらもお化け屋敷の存在を素直に受け入れられる最後の年代かな?大人でもない子供でもない微妙な年頃という設定が生きています♪DJ君の親友はちょっと太っちょのチャウダー君。バスケットボールで一連の騒動を巻き起こしてくれたのも実は彼。その彼がなかなかいい反応をして要所、要所で笑わせてくれます。憎めないおっちょこちょい。子供たちの成長物語にはなくてはならないキャラクターの一人かも。この家が縁で偶然知り合うことになった優等生の可愛い女の子ジェニーは三人の中では精神年齢が一番お姉さん♪彼女が最後に加わることで冒険はどんどんふくらんでいきます。いい感じのトライアングルです。こんな風にキャラクター設定は定石ですがこういう取り合わせが一番、いいと判ってのこと?勇気はあるけどまだ未熟な主人公とドジだけど憎めないお茶目な親友。そしてしっかり者の優等生の女の子。これはそうです!ハリーポッターの主役たちみたい♪舞台となるモンスターハウスの不気味度も満点。うまい具合に生きてる風に変身する様は口をあんぐり開けて思わず見とれました。懐かしい大林宣彦監督の「HOUSE」を思い出させて感激!あの映画、大好きだったんです。なんだかうれしくなりました。最初は慣れないCGアニメの質感にとまどいつつもいつの間にか気がつけば物語の虜♪この映画をずーっと包み込んでいる雰囲気が好き。この感じはなんだろう・・・・?監督のギル・キーナンは、次代のティム・バートンといわれている人なんだと知りました!ああ~それでかぁ♪なるほど納得。ティム・バートンの香りがしたのね!好きなはずだわ♪参りました♪ほら、あなたも観たくなったでしょ?(笑)
2007.01.24
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「時があった」。車椅子の男は言った。整然と並んだプラスチックの青い椅子。突然の声に驚いた若い男は後ろを振り返りあたりを見回す。眠っている老婆といつの間にかいる車椅子の男。どうやら話しかけられたのは自分だったらしい。閑散とした空港の搭乗待合ロビーにはほかに人影もなくひんやりとしたこの静けさはまるで墓場にいるみたいだ。「20年かけた計画だ」独り言のように車椅子の男は続ける。その先の話を。それはいかさまダービーをめぐって渦巻いた人々の黒い思惑と巻き込まれた家族の目を覆うような顛末の話。若い男は次第に引き込まれ何かの儲け話かと思わず身を乗り出していく。「カンザスシティ・シャッフルを?」車椅子の男が聞く。「知らない」と若い男は答える。「みんなが右を向いたら・・・」頭に添えられた手。「・・・左を向く」一瞬の出来事。椅子に転がる首をへし折られた死体。彼はきっと知らない。今、自分が死んだことさえ。「死んだほうが役に立つ」車椅子の男は立ち上がり代わりに死体を座らせると連れてその場を立ち去った。誰も気がつかないありふれた日常のほんの些細な出来事のように。映画のプロローグはこんな感じ。最初のうちはこんな風に理由のわからない殺人と死体がゴロゴロ。張りつめたシーンが続きます。パズルのピースをぶちまけた感じ。どれも皆、意味深な図柄でこれがどんな風に一枚の絵に収まっていくのか期待が高まります。じっくり観ましょう♪伏線はサスペンスの醍醐味♪答え合わせは映画のラストです♪「ユージュアル・サスペクツ」は好きですか?あれは面白い映画だった。張り巡らされた伏線たちが見事に収まるところに収まっていく爽快感。「ラッキーナンバー7」もそれに近い感じのサスペンス。でも楽しかったのはほっと一息つくようなコメディやロマンスの味付けがほどよく加えられていたところです。これは好みによりますが私には緊張しっぱなしの映画よりも心地よかった♪楽しめました。サスペンスなのでストーリーについてはあまり触れられません。そこで代わりに登場人物について♪まずは主役かな?スレヴン役のジョシュ・ハートネット。彼はめちゃくちゃついてない男として人の良さそうな感じで登場します。そしてどんどんとやっかいな話に巻き込まれていっちゃいます。だけどほとんどなすがまま。なんとかしろよー!お尻をたたいてやりたくなります。そこへ飛び込むこの映画の華は彼をサポートしていくことになるリンジー役のルーシー・リュー。彼女は可愛い♪小さな子リスちゃんみたい。年齢不詳のファッションだって許しちゃいます。キュートだもん!そしてアタマの回転が早い!好奇心いっぱいのくるくる変わる表情。時々「仕事に行く」と言ってどこかへ行ってしまうんですが最初は謎でした。このファッションでどこへ何しに?で、彼女の職業が途中から明らかになるんですがなるほどねー♪うまいセッティングだと感心。彼女が関わってきたことで物語がまたふくらんでいくんだな♪と楽しい予感を与えてくれます。そしてブルース・ウィリスは謎の男として登場します。空港の車椅子の男というのは実は彼。冷静沈着で着々と仕事をこなしていくプロ中のプロというイメージ。最初、死体がゴロゴロですが全部が彼の仕業?どうも彼がキーマンのようです。一挙一動に目が離せません!敵対するギャングのボスなのかな?これはベテラン俳優のモーガン・フリーマンとベン・キングズレーが堂々と演じています。極悪非道を匂わすんだけどそれは最初の回想シーンに集約されていました。だから最後の方まで怖いイメージが持続しなかったのが残念。もうちょっと観客を震え上がらせ続けるキャラでもよかったかな?これも好みの問題もあること。私はもう少し怖くてもいいと思ったけれどさすがはアカデミー賞俳優の大御所二人♪すごい威圧感と存在感でもってこの物語の格を数段あげることに一役買っていたと思います。すごくミーハーな感想も付け加えるとジョシュ・ハートネットとルーシー・リューの身長差はツボでした♪みあげて話すルーシーとすこし腰をかがめて顔を見つめるジョシュの優しい横顔♪いいなぁ♪こういう雰囲気(笑)サスペンスはもちろん言うことなし!物語の進め方の映像もなかなかどうしてスタイリッシュ♪コメディちっくなロマンスの部分もあって私には大満足な一作でした。一言で言えば馬と猫と犬のお話?(え?)この謎解きは是非映画館で♪
2007.01.20
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人には命をかけても守らねばならない一分がある。小鳥を手にのせ微笑むお前を見ていた。「逃げてしまうよ」そう言いかけてこの幸せな瞬間が夢だったことにふと気づく。お前の呼ぶ声がして目を覚ますとそこはただ真っ暗で夢の中でしかお前を見ることができない。目が見えないというのはそういうことなのだ。静かで派手さはなくじんわりと心に染みるような物語。「武士の一分」はわかりやすいストーリーな上に映画の中心にあるのは夫婦の愛。邦画の特に時代劇にはなじみの薄い私でも引きつけられて最後まで目が離せませんでした。東北の小藩に仕えるお毒味役の下級武士三村新之丞はある日役目の最中に貝の毒にあたって失明してしまいます。目が見えないということはこれまでと同じようには武士としての勤めを果たせなくなるということ。藩の沙汰次第ではそこで生きていくことさえままならなくなってしまうということ。三日三晩高熱にうかされなんとか一命を取り留めたもののそれまでのつましくも笑いの絶えない平和な日々は先行きの見えない不安で押しつぶされそうになってゆきます。私の心にズシリと来たのは意識の戻った夫に安堵したのもつかの間ある一抹の不安をぬぐいきれずに下郎である徳平に妻、加代が切なく問いかけるシーン。「旦那様はひどく照れ屋で普段から話をするときもじっと長くは目を合わせるということをしないお人だった。それなのに目覚めてからはじっと自分の顔をごらんになる。どうしてだろう・・・?」と。やり場のない不安。思わず徳平へ問いかけながらも本当はすべてに気づいているのだ。愛する夫を気遣うあまり本人に直接問えない妻。だけど同じく愛するあまり本当のことを一言も言わない夫。夫婦のしぐさや何気ない会話にお互いを思いやるはがゆいまでの想いを感じて心がじーんと熱くなる。冒頭でつづった「夢でしか会えない」とつぶやく下りにも泣かされました。タイトル「武士の一分」がたいそうすぎるという評価をあちこちで目にしました。確かに、言われてみれば無きにしもあらずです。果たし合いのシーンや武士としての姿を描くことに期待しすぎるとそういう評価もありかな?って(笑)木村拓哉、よくがんばっていたと思います。高橋英樹や松平健を侍として見慣れている時代劇に疎い私には顔の小さい木村君は侍としては少し貧相な気もしましたが食事の内容を見てみても昔の下級武士ならあんなものかなぁ・・・と♪彼のチャームポイントは目の力強い表情とふと相手を油断させるようなあの無邪気な笑顔ですからその武器を使えなくなる目が見えなくなってからの演技というのはやっぱり、すごかったんじゃないのかな。山田洋二監督の藤沢周平原作時代劇他にも見てみたくなりました。「たそがれ清兵衛」は評判がいいですね。三部作の中では一番という声も。これからいよいよ時代劇映画デビュー♪という人にはこの「武士の一分」はわかりやすくていいかもしれません。特にチャンバラには重きをおかないという女の人には!いい映画を観たなぁ・・・♪そんな気持ちで映画館を後にできました。山形なまり?がなんともいえずソフトで優しくて心地いいんです。観といてよかったぁ♪日本人でよかったぁ♪温かな思いでいっぱいになれる映画でした。
2006.12.27
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この森が、ボクを大人にしてくれた。何不自由ない生活。ガレージが彼の部屋。クマちゃんのぬいぐるみとあたたかなベッド。パークレンジャーのベスはまるでお母さんみたい。子グマの時に保護したブーグをありったけの愛でもって今日まで大事に育ててきた。今では高く見上げるほどに大きく成長したブーグだけれどキモチは今でも子グマのまんま。野生のことなど覚えようとせず世間知らずで甘えん坊。ベスにだって判ってる。いつかはブーグとさよならしなきゃいけないってことは。だけど、あと1年、あと少しだけと先にのばして、過ごしていた。別れはある日、突然に。やむをえない事情で森に放されたブーグ。わけもわからずただ思うのは「なんとか町に帰らなきゃ!」折りしもその頃オープン・シーズン(狩猟解禁)が近づいた町では銃を磨いたハンターたちがいまや遅しと集まり始めていた・・・。子供と一緒に観てきました♪ソニー・ピクチャーズ初のCGアニメーションです。子供にも判りやすいストーリー♪中でもブーグとベスの関係は親離れ、子離れを前にした母と子の関係を連想させて胸がキュンとしたりあるある~と同感したり、とても親しみやすかったです。アニメはわかりやすいのが一番!(笑)ブーグが山に戻されるきっかけを作るキャラとして登場するお調子者のはぐれ鹿、エリオットというのがまた、面白いの♪あらゆるトラブルにブーグを巻き込みながら最終的にはかけがえのない親友になっていきます。大人の観る映画だと代わり映えがしない!ってブーイングが起こりそうなこんな設定もこと、子供のアニメに関しては繰り返し、繰り返し、こういう定番的なちゃんとした心の成長物語を見せてやるというのが大切なことなのかな?吹き替え版で観ましたがクマのブーグはホンジャマカの石塚さん。お調子者のシカ、エリオットは八嶋智人さん。石塚さんは、アニメには最近なくてはならないキャラになりつつありますね!ディズニー&ピクサーの「モンスターズ・インク」のサリーに引き続き声が合ってて良かったです♪字幕版だとブーグはマーティン・ローレンス♪エリオットは、アシュトン・カッチャー!なんともユニークな人選です。キャラクターに命を吹き込むという顔の見えない声優のお仕事というのはどんな感じなんでしょう~♪いろんな有名スターがいろんなアニメ映画の吹き替えに挑戦していてこれもまた楽しみのひとつ♪この冬は子供と見たい映画がいっぱい!年末の忙しいときですがなんとか割り込ませてなるべくたくさん映画館に足を運びたいな♪我が家の娘(7歳)もかなりの映画通♪映画を観た後にあれこれと、とりとめもなくおしゃべりするのがとっても楽しみな今日この頃です(笑)
2006.12.19
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最初の任務は、自分の愛を殺すこと。ダブル・オーは殺しのライセンス。それを得るために彼は銃口を向けた。息を呑む駆け引きジョーカーをひいたのは誰?紙くずのように崩れ落ちたのはかつては同僚だった男。昇格に必要な資格条件。一瞬のためらいもなく彼は任務を終える。一度でも裏切れば敵。それが誰であっても・・・。決して心は許さないと決めた。冷酷すぎるブルーの瞳。彼の名はジェームズ・ボンド。こんなボンド見たことないっ!!鋭い眼光。髪は金髪。みかけは明らかに歴代のどのボンドとも重なりません!とにかく走るし血気盛んで向こうみず。大胆なんだか、無鉄砲なのか。腕は立つけどなぜだか心配・・・。スパイにあるまじきミスをおかしたり自分の名前を名乗っちゃったり。テイラーメイドのタキシードに思わず喜ぶ無邪気さやミスをしても身を引くどころかMの自宅にまで勝手に上がり込んじゃうふてぶてしさも素敵♪時には殴られ赤い血で染まった真っ白なシャツを着替えるボンド。その時思う。ああ、彼も人間だったんだって(笑)そして初めて見せる姿・・・。恋に落ちたボンドから目が離せない。その後のボンドの女性観を変えるような彼女はまさに運命の人?心通わせ共に笑ったセクシーさだけじゃない女性。ボンドガールとは呼びたくないな♪ボンドが心傾けたヴェスパーへの本気の愛。どんな激しいラブシーンよりもドキリとしたのはシャワー室で服を着たまま膝を抱えて震えるヴェスパーの隣にただ黙って寄り添って慈しむように頭を撫でたボンドの大きな優しい手だったりする。任務がなくてもきっとただの女たらしだと思ってたら意外なほどにまっすぐで本気の恋には慣れていなくて・・・だから痛い思いもするのかもね。命を賭けてもいいと思ってた恋。妙に人間臭い今度のボンド。なんだかとっても新鮮でどんどん好きになっていく。人相悪いとホントは思ってたけど(!)笑った顔が意外とチャーミング♪一度原点に返ってみるというこの映画作りにあたって新しいボンドにダニエル・クレイグを迎えたのは実に的を得ていたと思う。あまりにも娯楽映画に重きを置きすぎて派手で面白いとは思うけどそういえば何かを置き忘れているような気がしてきていた最近の007シリーズ。洗練された英国紳士という今までのスマートなスパイのイメージとはほど遠くまだまだ未熟な新しいボンドの生身の姿は心地いい。「My name is Bond, James Bond 」待ち焦がれた決め台詞と共にテーマ曲が流れるラストに鳥肌♪これから完成していく凄腕スパイジェームズ・ボンドが生まれた「はじまり」の物語。予想外のボンドに気がつけばもう夢中です♪一体誰だ?「こんなのはボンドぢゃないっ!」なんて何にも観ないうちからゴネてたのは・・・?(笑)
2006.12.11
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唯一の希望を失えば、人類に明日はない天使のような幼子の泣き声に人々は、一瞬耳を疑った。砂埃の中激しい銃撃の音は止みつかの間の静寂があたりを包み込んでいた。絶え間なく続く殺戮の手を止め誰もが皆、道をあける。まるで神を見るように母と子を見つめ少しでもその愛おしい声を耳に刻もうとした。希望はすでに奪われたのか?人の命の重さなどとうに誰もが忘れてしまった世界。愚かしい人間がただ殺しあうだけの殺伐とした未来の片隅。かつては誰かの大切な子供だった。自分も、そして、そこに転がる屍も。天使の声が遠ざかると人は温かいものをすべてを忘れた。果てのない殺戮は続く。まるで何事もなかったみたいに。「トゥモロー・ワールド」重かったです・・・!子供が生まれなくなった未来がこんなにも人の心を荒ませてしまうなんて。人類に子供が生まれなくなってもう18年。そんな中、奇跡的に宿ったひとつの命。反政府組織はその子をもちろん、シンボルとして利用しようとするんだけど主人公が母親と子供を命がけで守ろうとします。これがこの映画の大まかな流れ。説明不足でよぉわからん!と観終わったあとに感じる人も多いでしょう。細かいことなどどうでもよかったのだと思う。ただひとつ、監督が撮りたかったのは冒頭で紹介した赤ちゃんの泣き声を聞いて殺し合いをしていた人たちが戦うのをやめるというシーン。このシーンのためだけに物語は流れていったのだなぁ・・・とそんな印象の映画でした。母と子が通り過ぎたあと何もなかったようにまた激しい撃ち合いが再開して・・・。ホントに人間ってむなしい。子供が生まれなくなった世界でこんなに殺し合いばかりしてたらあっという間に地球には人類は存在しなくなる。「いっそ、最後に宇宙人が出てきて全部のケリがつく話の方が後々、ずーっと盛り上がれたのにねぇ♪」とは不謹慎な私と妹の会話です。そうです。ジュリアン・ムーア後遺症をまだまだ引きずっているみたい・・・爆わかる人にはわかるよね♪ふぉーーーーがっとん!
2006.12.05
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恋に仕事にがんばるあなたの物語。本当はジャーナリスト志望。オシャレに興味などないアンディが何の因果か手に入れてしまったのは今まで縁のなかったきらびやかな世界。「世界中の女性たちが死ぬほど憧れる仕事」人はそう呼ぶけれどみんなは知らない華やかな世界の裏には努力とやる気だけでは闘えない現実もあるってことを。それは犠牲者続出の過酷なポスト。一流ファッション誌"RUNWAY"のカリスマ編集長ミランダのアシスタントだ。ミランダの要求は悪魔的にハイレベル。今までに何人ものアシスタントが塵のように消えていったという。だけど大理石のフロアに響くヒールの軽やかな靴音。背筋を伸ばし真っ直ぐに前を見て歩く彼女たちは皆自信に溢れて輝いてみえる。美しく着飾っているから?それもきっとあるけれど輝きの理由は自分を磨き続ける絶え間ない努力の賜物。そして何より忘れてはならないのは彼女たちは皆自分の仕事に誇りを持ってるってこと。朝から晩まで鳴り続けるケイタイと横暴な命令の数々おなかがすいて倒れそうになったらチーズをかじって維持するサイズ4ガッパーナのつづりがわからなくったってサイズが6でデブだと言われたってへこたれない。くじけない。その心意気こそが内面を磨いてくすべての原動力。愚痴ってばかり言い訳ばかり。中盤まではキモチ的に自分と等身大。だからこそハラハラしながら見ていたダメダメなアンディだった。だけどそれを「愛」でもってちゃんと指摘してくれる人たちがそばにいたのは幸せ。なんとかウントコショっと困難な壁を乗り越えることができたんだものね!こういうときの親身のアドバイスって本人にとっても心当たりがあって言われた時は耳も心も痛かったりするんだけどなかなかちゃんと言ってくれる人ってのは少ない。だからホント、ありがたい~(笑)恋か仕事か?一体、私は何がしたかったのかって仕事が軌道に乗り始めた女性なら誰もが一度はぶち当たる疑問に悩みながらも着実にステップアップしていくアンディ。さなぎが蝶に変わるかのごとく今までとは見違えるようにアンディが輝きだしたとき、単純ながら無性におしゃれがしたくなったのはモチロンのことだけどそれ以上に俄然はりきって何でも来い!と今よりハイレベルな仕事がしたくなったのには更に単純すぎて自分でもニンマリしちゃったりして♪キャッチコピーにもあるみたいに「心のビタミン」、もらったかな?タダモノではない女性として描かれているミランダも時には素顔で弱音をもらすフツーの女性としての部分もちゃんと持ち合わせている。悪魔と恐れられている昼間とのギャップ。そこがまたなんというかカッコよかったりするんだけど・・・♪メリル・ストリープの演技が光ります!形こそ違えどそれぞれに訪れる決断の時に自分のあるべき姿をクリアに理解しまわりがちゃんと見えていたふたり。ただのファッション映画だけには留まらない好対照に見えるのに本当はどこか似ているミランダとアンディのそれぞれの生き方。この映画の愛される理由はきっとここにあるのだと思う。自分を表現することの楽しさを知り目標に向かおうとする強さやたくましさを持って生きる生きかたってヤツは男女を問わず私たちの心になにより元気を与えてくれるのだ。プラダを着た悪魔 オフィシャル・サイト
2006.11.28
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巧妙に仕掛けられた罠だった。幸せな日常は何ものかによって気づかぬうちに切り取られていた。歳月をかけて。しかも淡々と。企みは密かに進行する。ジャックは銀行の最高幹部。セキュリティ部門でその手腕を発揮してきた。不正侵入を一切受け付けない鉄壁の守りのファイヤーウォールは彼が手がけた中でも最高の仕事。業界内では最高峰の防御力を持つと評判のシステムだ。普段通りの一日だった。彼が後部シートに乗り込んでくるその時までは。昼間オフィスで紹介されてさっきまでは新しいビジネスのパートナーだと信じていた男。冷血そうな薄い唇不敵な笑みをたたえて彼が差し出す手のひらの中にそっと閉じこめられた信じられない現実。人質にとられて恐怖に怯える携帯メールの家族の画像。助けたければ従えという男の言葉にジャックは逆らうことは出来ない。降りしきる雨の中ハンドルを持つ手が震える。どうか無事であってくれ。打ちのめされた思い。ワイパーの動きより激しく早鐘のように打つジャックの心臓。男は知っていたのだ。どんな完璧なコンピューター・セキュリティーもその最大の弱点はそれをつくった人間にあることを。犯人の綿密なシナリオと思惑と駆け引きの心理戦。愛する家族の命を救いネットワーク犯罪の被害を自らがはばむ壁になる。立ち向かうことを心に決めた瞬間から「ファイヤー・ウォール」はもはやシステムの名前ではない。全てを守れるのはただ一人真の「ファイヤー・ウォール」はジャック自身だ!システムを作った人間が、システムを破る・・・やはりこれが一番簡単なやり方かもね!前半は手に汗握るサスペンス!家族を人質にとられあらゆる助けを封じられる主人公。緊迫感に胸が苦しくなっても心配しないで大丈夫(笑)特にハリソン君やシュワちゃん映画にはラストにお約束の満塁逆転ホームランが待っているはず♪ありきたりではあるけれどある意味、安心して最後まで観れる完全安心補償印がついたサスペンス映画というわけです♪(汗)水戸黄門と同じと考えればいいの(笑)これぞサスペンスの王道パターン♪かといって、ストーリーに手を抜いている訳ではござらんよ。綿密に周到に用意されてる犯人側の策略にどうすりゃいいのよ~!と真剣に悩む。伏線もたくさん用意されていてああ、この出来事はここの部分のためだったのね!とそういう楽しみもうれしいところ。キャスティングがまた心憎いの~!ハリソン君を助ける有能な秘書は眉間に相変わらずシワを寄せてる「24」のクロエ・オブライエン♪(本当の名前はメアリー・リン・ライスカブ)ハリソン君の美しい妻は「サイドウェイ」でお馴染みのヴァージニア・マドセン。彼女はホントに親しみやすい美しさ。子供たちをかばう緊迫した演技は説得力があってやはり巧い!ハリソン君を執拗に苦しめるビジネスマン風の悪党には冷酷非道な強盗犯のリーダーがこれまたピタッと決まるポール・ベタニー♪若々しくてノリに乗っててステキ♪ホントに目が離せないここ数年の活躍は凄いです。もうすぐ公開の期待の映画「ダ・ヴィンチ・コード」にも彼はここぞ!という役柄で出演しています。「ウィンブルドン」の爽やかな青年もこういう血の通わない冷血な役柄もちゃんとこなせる赤丸急上昇中の英国イケメン俳優ですね♪そして、ハリソン君の務める銀行で進む合併話の相手側の重役にはここのところよく目にするかつては「ターミネーター2」でシュワちゃんを脅かした実力の持ち主T-1000ことロバート・パトリック!「ウォーク・ザ・ライン」でもジョニー・キャッシュの父親役でいぶし銀の魅力を醸してました。年齢を重ねて重みが加わり近年、ますますいい感じ。脇で物語のスパイスとなって控えめだけれどがんばってくれています。後半、主人公と犯人のぶつかり合いが増えるにつれて若くてキレのあるベタニーとすっかりヨボヨボしちゃったハリソン君の対比が強すぎて見るのが辛い~!少し心が痛かったりします。ファンの勝手な理想なのはわかってる。だけどハリソン君にはいつまでもカッコよくいてもらいたい!そう思うのもこれまたファン心理♪そこで一つ提案を・・・。肉体的に辛いんだったらアクションはもう別にしてくれなくてもいいんだよ~!年相応の演技でいいの。若い相手と対決しないでも済んでしまうカッコいい役を♪こんなことで本当に長年の懸案事項の「インディー・ジョーンズ4」は実現の日がくるのかな?くれぐれも言います。がんばらなくてもいいからね~!アクション入れなくてもカッコよく見えるストーリー。今後はそういうので楽しませて欲しいです~♪最後はハリソン君にエールを送るレビューになってしまいました(笑)「ハリソン映画」ともいえるジャンルを築き上げた彼だもの。これからはイケてるお祖父ちゃん俳優としてまた一時代を確立して欲しいです♪
2006.04.09
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― 進化は人類など求めていない ―ツアーから戻った客を満面の笑顔で出迎えるタイム・サファリ社のチャールズ・ハットン社長は傲慢で目先の利益しかアタマにない経営者。恐竜狩りを体験してきた高額所得者たちを「時空の開拓者だ」と称え次なる顧客の獲得にと上機嫌でパーティを取り仕切る。夢のタイムトラベルが可能となった2055年のシカゴ。ツアーの引率者であるトラヴィス・ライヤー博士は金儲け主義のこの仕事を誇らしいと思ったことなど一度もなかった。一手に取り仕切るこの旅行代理店で彼がキモチを偽って働くのは ただ絶滅種動物復元の研究のための唯一の手段だから。どんなに気をつけていても完全ということはありえない。どんな時にも思いも掛けないミスは私たちのいつもすぐ隣にある。人々はまだ気づいていない。過去への旅が、人類滅亡のカウントダウンへの危険といつも隣り合わせだということを。蝶の羽ばたきたったひとつにも意味がある。過去は寸分の狂いもなく未来へと繋がり続けているのだ。タイムトラベルものって面白い~!矛盾は突き詰めればいくらでも見つかるんだけどツッコミどころは多ければ多いほどそれはそれで楽しいの♪これって、実はタイムトラベル映画の正しい楽しみ方なのかもしれないですね(笑)この手の物語が昔も今も数多く作られ愛され続けているということは時空を超える、そのこと自体が人類にとってのきっと永遠のロマンなのでしょう。このCG技術が発達した現在においてわざとそうしたのか、しないのか「超大作で驚きの映像!」というよりは何故だか、そこはかとなくレトロな雰囲気。洗練された感じはあまりなくどちらかというとモッチャリしてるという感じ♪(これって正しい日本語? 笑)原作が半世紀以上も前のものだということだからそれに忠実に・・・ということなのかな?だけどそんな映像の中でひとつだけ♪視覚的に心が躍ったのは津波のように押し寄せてくる「進化の波」=タイムウェイブ♪これが順々にやってきて、じわじわと世界を異常進化させていきます。判りやすい人物描写としていわゆる悪役・・・金の亡者のような経営者をベン・キングスレーがアカデミー賞俳優の貫禄も充分にとぼけた憎らしさでもって光ってます。頭は彼にしては珍しく?白髪がフサフサしていましたが・・・♪(私、何を言ってるんでしょ!? 汗)同じタイムマシンものなら先にDVDで観た邦画「サマータイムマシン・ブルース」の方がパシッ、パシッと伏線どおりにきっちりと納まっていく感じが心地よくて楽しかったかな?「サウンド・オブ・サンダー」の方のタイムマシンのある世界にはなるべくなら暮らしたくない~♪そう思わせるあたりはサバイバル系ディザスター映画としても合格かもね!(笑)お好きな人は一見の価値ありデス♪
2006.03.29
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西暦2011年。謎のウィルスにより人類の98%は死滅した。地球を救うワクチンを開発した科学者の子孫とその側近の手によって生き残った人々は汚染された外界と遮断され完全に管理されて一見穏やかに暮らしている。不自然なことはあるけれど気にしてはいけない。ある日突然誰かがいなくなる。そんなことは日常茶飯事。秩序の維持を守るための圧政はそんなふうに長年続いてきたのだ。西暦2415年。厳重な警備システムをかいくぐりしなやかな身のこなしで敵地に乗り込んだのはそれらに疑問を感じて抗う存在反政府組織”モニカン”の美しき革命戦士イーオン・フラックス。反政府組織の密令は君主トレバーを暗殺し政府に隠された陰謀をすべて明らかにすることだ。けれど標的と対峙したその瞬間イーオンの埋もれていた記憶の波が呼び戻される。唇を重ねた感触。キャサリンという名前・・・。身に覚えなどないはずの誰かを愛した記憶の断片・・・・・。わからない。自分が何なのか。イーオンの心は揺れる。胸によぎる不安のその訳を知りたい。たとえ今まで信じてきた全てのものを覆す誰も知らない衝撃の事実がそこに待ち受けているのだとしても・・・!カッコいい~♪黒髪のショートヘアと体のラインに沿ったピッタリとした黒のコスチューム!バク転だってグルグルしちゃうしキメのポーズもとってもしなやか~!いきなりミーハーな感想です(笑)だけど、開口一番そう言ってしまうくらいこの映画はシャーリーズ・セロンを鑑賞するための映画でした!身のこなしが美しいの♪さすがは元バレーダンサー!(ですよね?)スタントなしでアクションもたくさんこなし撮影中の怪我もあったそうだけど完璧でした!かつての「モンスター」で身につけた大量のお肉は一体どこの四次元の彼方に???日系アメリカ人であるカリン・クサマ監督の女性の目を通した演出がなんとも心憎いばかりです。心身共に鍛え抜かれたはずのイーオンの心に宿る微妙な心の揺れ具合。ただただ強いだけではなくましてやありがちなお色気ムンムンキャラでもなくとっても身近な感情の女の子の部分もチラリと見せて屈強の女戦士に共感できる部分を与えています。このあたりの視線の注ぎ方はやはり、女性監督ならでは?そして、この役に臨むまでのシャーリーの心の揺れも紆余曲折。「胸が大きくないから」という理由で今までアクション映画を断ったりまた反対にキャスティングから外されたりすることもあったそうです。なんでだろ~?アクションするのに大きなおっぱいはいらないよねぇ?(笑)シャーリーズがスレンダーゆえに「キャットウーマン」になってしまわなかったのが返って良かった♪(ハル・ベリーさん、ごめんなさいっ!)ムンムンしてないけど凛とした美しさがセクシー♪どんなヘンテコな格好をしたって彼女だと全然、いやらしくないのが素敵!桜の花、番傘、畳の間、などなど和のテイストがあちこちに散りばめられていて不思議だけど何とも言えず和んでしまう美しさ♪よくある近未来SFみたいに陰鬱とした暗がりばかりでなく画面もずーっと明るいところが何故だかとってもうれしかったりして(笑)物語は特に新しくはないです。近未来SFによくある展開。ストーリーを重視する人には物足りないかもしれません。だけどビジュアルがとにかく楽しくてこれはまさに映像で魅せる映画!そういう楽しみ方もあってもいいかな?それくらいの広い気持ちも時には必要ですよね(笑)「戻ってくるたび心が壊れてゆく」「人は死ぬから生きる価値がある」イーオン語録で気に入った台詞です♪どういうシーンで使われるのかは映画を観てのお楽しみ(笑)
2006.03.15
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ごったがえす駅のホームは身動きも取れないほど。あちらにもこちらにも別れの抱擁と涙が尽きることなく続いている。人の波に押されるようにして乗り込んだ満員の列車。窓から身を大きく乗り出したペベンシー家の4人のきょうだいはそれぞれに不安そうな瞳で今にも泣き出しそうな顔ばかり。時がくれば列車は無情にも動き始めてしまう。子供達を心配させぬよう精一杯の作り笑顔で母は大きく大きく手を振り続けていた。見えなくなってもいつまでもいつまでも・・・。そしてだんだん小さくなった。こうするしか他に方法はないのだ。それは子供たちにだって悲しいほど判っている。灰色に変わってしまった第二次大戦下のロンドンの空が次第に遠くなっていく。汽車は走る。汽笛を響かせて緑の草原をどこまでも。どこまでも。どこまでも・・・。こうして四人きょうだいは田舎にある年老いたカーク教授の古くて大きなお屋敷に預けられることになった。そしてそれは今まで誰も見たことのないような心ときめく冒険の入り口・・・。「ふたりのアダムのむすことふたりのイブのむすめ」は見えない力によってナルニアへと導かれていた?100年の冬に閉ざされたナルニア国の伝説は彼らが来るのをきっとずっと待っていた。東の海の岸辺に立つケア・パラベル城の4つの玉座とともに・・・。灰色の空は戦闘機で埋め尽くされて映画版ナルニア国物語は小説では描かれなかった戦争のシーンから始まります。ロンドンの自宅で空襲に遭い命からがら父の写真を抱き締めて防空壕へと飛び込む家族。4人きょうだいの置かれた状況がただならぬモノであることやそれぞれの役割や性格を短い時間で的確に伝えてくれてこれは「疎開」という言葉に馴染みのない子供にでも十分にその不安な気持ちが伝わるようなオープニングでした。だけど4人のきょうだいは決してメソメソばかりはしていなくって楽しいことを少しでも見つけようと振る舞うその姿がまた健気でもあるのよね!上の兄と姉は弟と妹を守るため父親と母親の変わりでありたいと急いで大人になろうとしていたしことあるごとに反抗する弟は寂しさの裏返しだったのかもしれない。末の妹は、まだまだ母に甘えたい頃。少しでも自分にかまってもらいたくて兄と姉について回っては一生懸命背伸びをしている。「ナルニア国」の伝説は彼らが来るのをずっと長い間待ち続けていたけれど本当に「ナルニア」を求めていたのは4人の子供たちの方だったのかもしれない。子供が子供のままで不思議を信じていられる世界。子供らしい正義感と勇気が素晴らしいものだと思える世界。原作者が友人同士だということや同じくファンタジーだということで「ロード・オブ・ザ・リング」とよく比較されているけれど全く違う感じがする。無理にふたつを比較してつまらないと言う必要などないと思うな♪そもそも作り方が全く違うのだ。「ロード・・・」は心のダークサイドがどちらかと言うとテーマだったし登場人物も皆、ちゃんとした大人ばかりだ。戦闘シーンはとにかく暗くて闇の中で血しぶきが飛びかなり残虐なシーンもあった。それに対して「ナルニア」は最初から最後までとにかく明るい。わかりやすい善と悪との物語だし素直に楽しめるワクワクであふれている。戦闘シーンもあるにはあるが昼の眩しいお日様の下でだ。物足りない大人がいたとしてもそれは無理もないかも知れない。ストーリー運びはテンポよくもう少しゆっくり掘り下げて歩いてと言いたいくらいに淡々と子供が飽きない早さで進んでゆく。でもこの潔さこそがたぶん「ナルニア」の持ち味なのだろう。迷い込んだ不思議の国の美しさに酔い見たこともない生き物の動きと表情に目を奪われる。白い魔女の冷ややかな眼差しにおののき創造主アスランの雄々しい姿に胸を熱くする。そして末っ子のルーシーの一喜一憂する可愛い姿に心を沿わせることができたならあなたもきっとナルニアの不思議の国の一員になれるはず♪物語が突然うち切られて次回へ続く・・・とならないエンディングにも好感を持ちました。エンディングロールが始まってもあわてて席をたたないで♪「ナルニアの国」を訪れた喜びにゆっくりと余韻に浸る人にだけ最後の一こまのプレゼントがそっと用意されています(笑)
2006.03.07
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「接客マニュアルを見せてもらえますか?」「はぁ?そんなモノありませんけど?」「じゃあ組織図を・・・」「そんなモノなくったって 回って行きますから・・・・・民・間・はっ!!」K県庁のキャリア公務員、野村の前途は洋々たるもの。手がけるビッグプロジェクトでさらなるステップアップも間違いなしだ。人生は順風満帆。持ち前のソツのなさと人一倍の上昇志向で地元大手建設会社の令嬢との婚約も整った。キラリと光る「県庁バッチ」は何よりも誇りだ。俺は人の役に立っている。書類作りはお手のモノ♪信条は「政治は人の上に人を作り人の下に人を作る」♪もっともっと、上を目指す。それが俺の生き甲斐だから。何もかも順調だった。人生の海原には雲一つ見えなかった。そう。ビックプロジェクトを前にして県政の目玉、栄えある「民間人事交流メンバー」に見事選ばれたその時までは。出会うはずのない二人は出会うべくして出会った二人。たとえ気づくのが遅くてもそこから変わり始めればいい。民間と公務員の感覚のギャップがオカシイです。当たり前に交わされる明らかにフツーじゃない公務員同士の会話。笑っちゃうのやら笑えないのやら・・・(笑)でも彼らは一様に何故だか自信たっぷりで「ごちゃごちゃ言うな、自分は役に立っている」と信じて疑うことなどないように見えました。世の中で起こっている不手際や不条理。なんだかかみ合っていないお役所仕事。そんな諸々のモノの解りやすい縮図に思わず苦笑いです。そりゃダメだわ・・・って(笑)そんなエリート意識でガチガチの鼻持ちならない青年の一人が研修先にと割り当てられたのが三流スーパーの満天堂。店長はまったく頼りにならず今や風前の灯火と言った感じ。そんなスーパーでも職場に愛着を感じ、16歳の時からキビキビと働くベテランパート店員、二宮を大きな瞳の芝咲コウがとても印象的に演じています。自分本位に動く野村に対しすべてを見透かしたような大きな目でじっとにらみつけながら「あんたの出世のことなんか、知るか!」とキッパリ言ってのける姿はカッコいい。二人のぶつかり合いと掛け合いがこの映画のお楽しみの一つでもありました。だけどふたりに共通して言えることはそれぞれしっかりとしているようで実は流されて生きていると言うこと。野村はお役所の感覚にとっぷりと感化されフツーの感覚をなくしたことにさえ気づかない。二宮もまた衰退していくばかりのスーパーを知りながらたかがパートにはどうしようもできないと見て見ぬふりでその場を過ごしている。そんな時、野村には生まれて初めてのメガトン級の挫折が・・・。二宮にもスーパーがなくなるかも知れないという人生最大のピンチが・・・。同時に訪れるのよね。そこでふと、周りが見え始める。お互いを必要としている・・・素直な心でそれぞれちゃんと自分の中に受け入れて行く。やっぱり二人は巡り会うべくして巡り会っていた?人間崖っぷちに立ったときにこそその人の真価が発揮されるモノ。二人が力を合わせてからの物語の展開には清々しさがあふれています。諦めないって、素晴らしい♪へこたれない脇役陣もいい味だしてます。大切なモノはどんな場所でも見つけることができるのね!カイカクすることの困難は並大抵じゃないぞっ!・・・とガツンとお見舞いしておいて、そっとラストのエスプレッソマシーンであきらめちゃダメだとメッセージの置き手紙♪さりげないけどグッときました(笑)小粋なラストシーンにニンマリです。
2006.02.28
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彼は歌う。虐げられた者たちの心の叫びを。夜の闇のように深く響く声で。フォルサム刑務所はその日いつもとは違う熱気に包まれていた。地を這うような振動はやがてリズムを刻みはじめる。足を踏みならし 手を叩き囚人たちが待ちわびるのは自分たちの心の叫びを知っている黒服の男。楽屋にと用意された工作室に伝説のミュージシャンジョニー・キャッシュはいた。そっと指で触れる片隅に置かれたチェーンソーの刃。彼の思いの先にあるものは何なのか。ドアの向こうの歓声は刻一刻と高まっていく・・・。オープニングの重低音が印象的なこんなワンシーンから物語は彼の少年時代へと一気にタイムスリップしていきます。実はこの数分後映画はまだ始まったばかりだというのに泣けて泣けて涙で前が見えなくなりました。彼が指で触れていたチェーンソーの刃。それには彼の歩んだ波乱の人生の最初の一歩が詰め込まれていたから。(ここから少しネタバレです)運命の日はあまりにも突然。憧れの兄貴であり、家族の自慢の息子でもあった二歳年上の兄ジャックをジョニーは12歳の時に亡くします。 「お前は釣りをしておいで」「これを仕上げなきゃ1ドルがもらえない」兄は家計を助けるために材木を切る仕事をしていたの。貧しいけれど仲の良い兄弟。思いもかけず家に帰ったジョニーが目にしたのはズタズタになった兄の血染めのシャツでした。まさかそれが永遠の別れになってしまうなんて・・・。「どこにいたんだ!?」氷のような父の言葉は幼かったジョニーを突き放しさらに苛立ちと思いをぶつけるように「悪魔は、良い子の方を奪った」と悲嘆にくれます。兄に比べて役に立たず音楽を愛するジョニーと父とのソリが合わなかったのは元々だけどどんなにか傷ついたことでしょう。ただ独りの理解者で大好きだった兄を失い同時に父の愛さえも失ってしまったのだから。それは辛すぎる思い出ではあるけれどこの出来事なしにはきっと彼の歌はあり得なかった。孤独、貧しさ、怒り、苦しみそんなものを心に秘めた彼だからこそいろんなアーティストに影響を与えるような彼独自の数々の名曲を作り出すことができたのでしょう。そして、ジョニーを演じたホアキンも人気者だった兄を亡くした過去を持つ男。その心中と、この役に巡り合った運命というものについて思うときやはり胸がいっぱいになってなんだかとても切なかったです。ミュージシャンの伝記というといつもお決まりのパターンで描かれますよね。栄光と挫折、ドラッグと愛人、家庭崩壊、そして再起。ジョニーのこの物語もそれは御多分に漏れずだけどありきたりのストーリーでは納まらない何かがあるような気がするの。愛することに不器用でだけどひたすらに一途な男。兄の死と父との確執というトラウマにもがき苦しみ、弱さから時には溺れそれが魂の叫びとなりだからこそ愛を求めた。ジューンという一筋の光に向かってWALK THE LINE「まっすぐ歩く」ということを強く強く望んだのだと。時にダメダメ男だったジョニーが立ち直ることができたのもひとえに周りの人々の助けがあってこそ。ジューンはもちろんのこと、この物語に登場する人物はなかなか素晴らしい人が多いです。ジョニーが生活のために受けたオーディション。そのプロデューサーの言葉もとてもとても秀逸だった。得意のゴスペルを歌ったジョニーたちにノーをつきつけ「ゴスペルなんて売れない。人が死ぬ直前に聞きたくなるような曲を。聞いたら一生忘れないような曲を歌え。それが本当に人を救う歌だ」だって。うろ覚えですが、こんなようなことを・・・。映画を観ながら感心しちゃった。いいこと言うなぁ・・・って(笑)そこでジョニーは、軍隊にいた時に刑務所の映画を観てインスパイアして作った歌を歌いプロデューサーは心を打たれそれがデビューのきっかけとなるわけです。その刑務所とは、もちろん冒頭のフォルサム刑務所です。なるほど♪ジューンのご両親にも感動しきり。実の親が見放しているドラッグ中毒のジョニー。普通なら、娘を守るためあんな男からは遠ざけたいと思うだろうに家族ぐるみで彼を立ち直らせようとしたの。このあたりも泣けて泣けて仕方がなかった。実話ですよ?なんて人間的に素敵なご両親なんだろう。物語が終わったら最後に字幕でもうひと泣き。「コンビとしてコンサートツアーを30年以上も続け、つい数年前にジューンが亡くなり、すぐに後を追うようにジョニーもこの世を去った・・・」と。号泣・・・。今日のレビューではジューン・カーターとの恋についてはあえてあまり触れませんでした。是非映画で確かめてくださいね!単にミュージシャンの伝記としてではなく人間ドラマとして見て欲しい映画です♪
2006.02.21
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何故気づけない?何故気づこうとしない?繰り返される殺戮に終わりなどないことに。家族のため?祖国のため?心は満たされたのか。安らぎは訪れたのか。永遠に繰り返される悲劇は人々の血で彩られたメビウスの輪。今日もどこかで命は奪われ続ける。国を愛する心それはとても尊いけれど果てしなく続く報復は気の遠くなるような虚無でしかない。祖国を・・・・家族を守るはずだった。なのにもう戻れない。彼は何をしてきたのか。平安の時を追い求めたキモチそれは誰も皆同じはずだったのに。映画を観終わった後大きな深いため息をひとつ。目を閉じて胸の中のどんよりとした空気を一気に全部はき出しました。平凡な青年だった彼が求めていたのはそんなモノではなかったはずよね。主演のエリック・バナが次第に憔悴していく表情が全てを物語っているかのようで胸に迫りました。人を殺すということは自分の中の大切な何かも一つずつ一つずつ死んでいくということなんだと。宿命に翻弄される人々の終わりなき報復の歴史があまりにもリアルに描かれていて胸が苦しかった。辛くて逃げ出したかった。1972年のその出来事をもちろん私は知らずにいました。パレスチナとイスラエルの対立・・・。この惨劇の背景は簡単に軽々しく言葉になどできるものではないのかもしれません。心に重くのしかかってくるのはただたとえようのないやるせなさと行き場のない怒り。今もなお続くこの国々の悲劇のことを多く語れるほど私は知識を持ち合わせてはいないけど感性で感じ取る、それくらいのことはできる。この深くて暗く切なくて悲しい空しさ。どこまで行っても答えの出ないもどかしさ。ユダヤ人でもあるスピルバーグの伝えたかったものについて思いを馳せる。心を傾けてみる。彼が映画を通して投げかけたかったモノ。それは映画を観た人のそんな「思い」なのかもしれない。こういう重いテーマを扱った映画は苦手だと敬遠する人も多いと思うけど私をその場に縛り付けて離さない映画館だからこそ観ておきたかった映画でした。(ビデオを借りてまで観ることはなさそうだし・・汗)世の中で起こっている見たくないことに目を向けるきっかけのひとつとしてたまにはこの手の映画を見るのも悪くないなぁ・・・と♪最後に映るニューヨークの空と今はもうないはずのワールド・トレード・センターにふと胸が苦しくなる。人は何かを学ぶべきなのに。美しい双子のビルは忘れられないあの日のテロのシンボル。無言のメッセージを発しながらこれからも多くの映画に在りし日のその姿をきっと留め続けるに違いない。
2006.02.08
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最悪の大晦日に起こった、最高の奇跡。持ち続けた夢を今、あきらめようとする人自分がかつて抱いた夢を忘れて行き場を失くした人夢が叶ったふりを一生懸命に演じる人こんなんじゃダメだ・・・とやっと夢への一歩を踏み出す人カウントダウンパーティを控えたホテル・アバンティはなぜか訳ありの人々でごった返している。1年365日分の喜びも悲しみも全てリセットできる気がするそれが大晦日のマジック♪「おかえりなさいませ、お客様」ホテルのドアはいつも開け放たれている。愛と勇気と素敵な偶然をすべての人々に届けるために・・・。たたみかけるようなハプニングとくすぐり笑いの連続♪画面の端にしか映らない間も確かにそこで人々は「生きて」いて自分の人生に一生懸命♪がんばりすぎてドジったり空回りして踏ん張ったり個性豊かな面々はそれぞれの持ち味をふんだんに披露しています。三谷監督の暖かな視線をそこかしこに感じました。どのキャラクターにも想いがこもっている。主要人物23名はすべての人が三谷ワールドの「人生の主役」でした♪篠原涼子は監督から「日本のジュリア・ロバーツになってくれ」と出演に際して、アドバイスを受けたのだとか。佐藤浩市のイメージは「JFK」で西田敏行には、「最後、黒澤監督「乱」の城の炎上場面の仲代達矢さんのごとく立ちつくして欲しい」と♪出演者への注文もこれまた三谷監督らしいという感じ(笑)個人的にイメージしたのは松たか子演じる客室係。賢いシングルマザーの彼女はジェニファー・ロペスの「メイド・イン・マンハッタン」を思わせる雰囲気♪ラストに堂々と歌い上げるYOUこと、売れないシンガーも「リトル・ヴォイス」のジェーン・ホロックスをイメージしながら楽しみました♪役所広司、「SAYURI」で渡辺謙と並ぶと少しかすんで見えて損だなぁと思いましたが(あれは役柄もあるから仕方がない?)本当のところ不器用な男を演じたら彼の右に出る者はいないと思う♪ホントにピッタリ、さすがです♪香取慎吾も自然体の演技。色物でないキャラもこれからまだまだいけそうです。特殊メイクキャラで登場のあの人やこんな人♪白塗りメイクの伊東四朗さんなんかも心底、そんな演出を楽しんでやっているという感じ。なんとも微笑ましい(笑)まだまだ一人一人について語り尽くしたいところだけど果てしなく長い日記になってしまいますね!2時間半の上映時間を長いと感じさせない力量と程良いさじ加減でこちょこちょとくすぐってくれる独特の笑いのセンス♪三谷作品と言うだけで観てみたくなるのは、きっと私だけではないはず♪豪華な出演者が華を添えて誰もが楽しめる娯楽映画に仕上がっていると思います!ラストに向かって流れるYOUの歌う曲の歌詞がこの映画の企画のスタートの鍵だったそうです。素敵ですので、是非お聞き逃しのないように♪
2006.01.19
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いつかあの月をふたりで見ようと約束したね。誰よりもわかりあえていた。誰よりもお互いを信じていた。大切なものすべて捨てても守りたかったかけがえのない友情。あらしのよるに出会った二人。それは運命のいたずら。ただひとつ問題があるとすれば彼らがヤギと狼だということ・・・。本屋さんで見つけた一冊の絵本との出会い。ペラペラとめくっているとすぐに引き込まれて一気に最後の一冊まで!(短い区切りで全6巻)立ち読みだというのに涙で文字が読めませんでした。それが、映画化されると聞いてとても楽しみにしていたお話♪もう何度も何度も読み返して知っている物語なのにとても新鮮な感じを受けました。(もちろん買いましたとも!)絵本ではサラッと通り過ぎたヤギのお母さんのエピソードからはじまる映画バージョンの導入部。ぐいぐい引き込まれる滑り出しは心憎い演出ですね!主役の二人が出会う前から早くも切なさで胸がいっぱいです♪大げさすぎない素直な絵で物語が丁寧に綴られていきます。次はどうなるんだろう?と物語の先が待ちきれない感じです。ハラハラどきどきや笑っちゃう場面がほどよく散りばめられているから緩急ほどよくメリハリがあって子供でも退屈するヒマがありません。私は最初擬似恋愛的な物語だと思っていました。狼のガブが男の子ヤギのメイは女の子だと。でも、映画で見るとヤギもやっぱり男の子だったのね!これはちょっと意外だったけど(笑)メイの声は、これが声優初挑戦となる成宮寛貴さん。ガブの声は中村獅童さん。この人はホント巧い、役者としてだけでなく、声優としてのセンスを感じました。狼のガブのイメージそのままでなんだかとてもいい感じ♪児童文学としては異例の発行部数を誇るというきむらゆういちさんの同名絵本の映画化「あらしのよるに」。タイトルにも使われている「あらしのよるに」という言葉は物語の中ではとても大切なキーワードとして登場します。映画を見終わったあと、物語を振り返りながら「あらしのよるに」とうっかり口に出すと涙腺が刺激されてダーッと涙が出ますのでどうか、その辺はご注意を♪小学生や幼稚園年長児くらいのお子さんのいる人は是非見せてあげてほしいな♪映画をみそびれたならせめて図書館でこの絵本を手に取ってみて♪情緒豊かに描かれる物語はきっと心の宝物になるはず!心が清々しくなる、とてもいいお話♪子供と一緒に何か観るならこの冬一番のお薦めはこの映画です♪大人の人でもたまには童心に返ってのひとときを過ごすのもいいかもしれません♪肩が凝らずにピュアな涙を流したい時に!(笑)是非お薦めしたい一本です。
2005.12.26
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それまでの混乱が嘘のように街は静寂に包まれた。彼は彼女だけを見つめ彼女もまた彼だけを見つめた。美女と野獣興味本位で人はそう呼ぶかもしれない。だけどその瞬間・・・それは確かに恋だった。わかってるストーリー。だから物語を追う必要もなく3時間もの長さを端から端まで楽しむことができました。とにかく映像がすごいです!迫力満点!!「ザ・リング」も「ジュラシック・パーク」も「トレマーズ」も(古っ!)ついでに「タイタニック」までいろんなテイストを詰め込んでもう、てんこ盛りの大盤振る舞い♪おやおや?見てきた映画は「キング・コング」のはずなのに今、列記した数々の映画のタイトルとは何じゃらホイ♪まずはそこから説明が必要ですね!観てきた人はクスッと笑ったかな?いろんな映画を連想しちゃうそういうお楽しみも含んだ映画だったのです♪筋は有名ですからこの映画に限っては色々とお話してもオッケーですよね!まず、たどり着いた髑髏島の原住民の少女がいきなりですが、「貞子」してます(笑)その後、「ジュラシック・パーク」もたじたじしちゃうくらいにすっごい迫力で恐竜たちが出てきますがはっきり言って私は原住民の皆さんの民族メイクの方がよほど怖かった・・・汗ホラー映画みたいなんだもん!なんで白目むいてるかなぁ~!そういえば、ピーター・ジャクソン監督はこういうタッチはお手のもの?昔懐かし、ケビン・ベーコン主演の「トレマーズ」を連想させる気色の悪い生き物もこれでもかと言わんばかりに登場します♪あんなのに喰われるくらいならひと思いに恐竜に踏みつぶされて死にたい・・・。映画だということも忘れて究極の選択を真剣に考えてしまった毎度のことながらおバカな私・・・汗だけど物語は迫力のスペクタクルシーンに終始するわけではありません。忘れてはいけないのはこの映画は、コングとアンのラブストーリーでもあるということ。それもとびきりの思い切り切ない恋のね!これが泣かせるの~!有名なエンパイアステートビルでのワンシーン。クライマックスはまさしく「タイタニック」です。愛する人を命がけで守りながら最後は力つきて落ちていくコングはさながら海へと沈んで行ったディカプリオ=ジャックとだぶります。美女と野獣所詮報われない恋。物言わぬコングの最後の目がこう言うの。俺の分まで生きてくれって。(涙)ホロリと来たところでふと思いました。近ごろの女性は強くなったと思うけどどんなに世の中変わっても求めているものは今も昔も大差はないなぁ・・・と。求めているのはコングのようにどんなときも守り抜いてくれる人。だけどコングほど腕力に自信がなくても大丈夫。脚本家ジャックのように誠実な愛で気が付けばいつもそばにいてくれれば♪ピーター・ジャクソン監督が『ロード・オブ・ザ・リング』の大成功によって、ついに念願叶って『キング・コング」を撮ることができたというのは有名なお話だけど嬉しかったんでしょうね~♪長年の夢が叶うというのは!監督のこの映画に注ぐ愛情がここかしこに感じられてもう少し短くできんかったんかいっ!とのど元まで出かかる言葉は呑み込みました(笑)ここは一緒に喜んで楽しみたいとそんな気持ちになっちゃう映画♪最後に!コングの動きの元は「ロード・オブ・ザ・リング」のゴラムの元?を演じたアンディ・サーキスさんなんですってね!今回は、普通の人間の役でも登場していましたよ!(コングと二役ね?)ああっ、この人かぁ♪って思いながら観るのも楽し♪どの人だったんだろー?って後から考えるのも楽し♪です!
2005.12.21
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喧噪と共にドアが開いて運命は軽やかに舞い込んできた。警官に取り囲まれた美しい人。一瞬でこちらをとらえた謎めいた視線。革命の嵐が吹き荒れるその国では一人旅での旅行者は片端から厳しく尋問を受けることになる。直感に導かれるままとっさに夫婦を名乗りその場を乗り切った時にはもう恋に落ちていた二人。サルサのリズムに身をまかせた熱い夜。どちらが一歩前に出るのか?どちらが一枚上手なのか?まるで二人のこれからを暗示しているかのような情熱のダンス。秘密を抱えて愛し合う二人の駆け引きは今はじまったばかり。軍配はどちらに?神のみぞ知る!巷の映画ファンの間では今ではたぶん知らない人などいない倦怠期を迎えセラピーに通う有名な某凄腕暗殺者夫妻の5~6年前の出会いのなれそめはこんな感じ(笑)笑ったのは二人の力関係♪どこまでもタフで強気なアンジーに対して時折叱られたやんちゃ坊主みたいになるブラピの可愛さといったらもう♪まず冒頭のセラピーのシーンからしてお尻に敷かれてる夫婦関係がありありと!結婚して何年ですか?のセラピストの問いかけにまずブラピが間違えて答え間髪を入れずにアンジーが言い直す・・・夫婦漫才顔負けの息のあった二人の掛け合いにいきなりニンマリなオープニングです♪負けん気全開!駐車場に車を止めるのも、アンジーは絶対に一番を譲らない。射的場でのお遊びでさえ負けたままでは終わらないし(笑)かたやブラピはと言うと撃つつもりもないのにウッカリ発砲してアンジーの怒りに火をつけてあたふたしちゃったりとかラスト近くの銃撃戦で敵を巧くやっつけてすっごく得意げに「見て♪見て♪」とばかりにポーズを取ったりとか(笑)この映画をここまで楽しいものにしたのはやはりアンジーとブラピの相性の良さゆえの勝利でしょう♪そういえば、最初はニコール・キッドマンへのオファーだったのよね?ニコールが断ったことは彼女にとってもこの映画にとっても吉と出たかも(笑)またの機会でよかった♪二人の凄腕ぶりが均衡していていてパワフルでないとこの物語は成り立たないもの。やっぱり、アンジーくらいの骨太のタフさがないとね!ワイヤーでビルから着地するアンジーも二丁拳銃をぶっ放すアンジーも惚れ惚れするくらいカッコいい♪ブラピでなくても虜になるよ~!(笑)そして暗殺者という職業にもし向き不向きがあるとしたらこの場合、天職になりうるのはやはり女性の方かなぁ・・・なんて♪赤の他人ならいざ知らず愛する人を殺さなければならない・・・そんなとき、やはりそこは躊躇するブラピに対して、ある時を境に、ふっ切れたように「大丈夫、殺れる」とあっさりのたまうアンジー様(笑)そういえば、一般的な色恋沙汰でも後々まで引きずるのは男性の方だってよく聞くものね!そういうアンジーの思考回路を理解してのことなのかお互いの職業がばれた後の疑心暗鬼のディナーシーンにはめちゃくちゃ笑った~♪完全にびびってるのはやっぱりブラピの方だったもん(笑)あの緊迫感がツボでした。夫婦喧嘩は犬も食わない?凄腕の殺し屋同士の結婚なんてあり得ないからつまんない?ううん。これはそれを承知で楽しむ映画♪これくらい派手だとかえって爽快♪よくぞそこまで・・・と笑えてくる。あり得ないシチュエーションの中で交わされる夫婦の会話は意外なくらいどこの家でも話すような内容。だから笑っちゃう♪かけ離れた世界の人間を自分の身近な生活に置き換えることができるから♪最初から最後までブラピとアンジーだらけ。豪快で華麗でサービス精神旺盛でこれぞハリウッド映画と言う感じ♪ウィットに富んだセリフには笑いのツボが満載でコスプレよろしく、多種多様な二人の魅惑のファッションなんかも楽しめま~す♪こんなに絵になる二人にはめったにお目にかかれないと思わせるイチオシのお薦め映画です!きっと彼らの代表作になるでしょうね!実生活でも「愛は永遠に不滅!」・・・だといいな♪ブラピとアンジー!大好きだよ~!!!
2005.12.16
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漆黒の闇の中墓場にうごめく黒い影。大蛇が向かう先にあるのはほんのりと灯った朽ちかけた屋敷の窓明かり。薄暗い階段を上がるとかすかに聞こえる誰かのひそひそ声。それは聞いてはいけない言葉?それは見てはいけない姿?明かりのもれるドアの隙間からのぞく椅子に腰掛けた誰かの後ろ姿。二人の男がうやうやしくかしづいてそれが誰かを私たちは知る。ヴォルデモート・・・凍り付いた瞳がとらえたものはゆっくりとこちらを指さした名前を呼べない「あの人」の悪魔のように骨ばった・・手・・・!三大魔法学校の対抗戦に湧くホグワーツはいつもと違う熱気に包まれている華やかなざわめきのすぐ隣にかすかに感じる悪しきもの達が闇にうごめく気配・・・。ハリーの見た悪夢には一体どんな意味があるのか?不安と期待を抱いてまた少し大人に近づいたハリーたち。胸躍る冒険と新しい試練がきっと彼らを待ち受けているに違いない。胸騒ぎを誘うオープニング!!回を重ねるごとに増してゆくこのダークなムードがたまらない♪4作目を迎えるハリー・ポッターはもうお子ちゃま映画なんかじゃありません!タイトルの文字が画面に出た瞬間から惹きつけてやまない映像美♪大人のためのファンタジーワールドへひとっ飛びという感じです。あの2冊合わせて押し花の重しにでもしちゃおうかと思う分厚い読み応えのある本をどう料理するのかなぁ・・・と期待半分、不安半分でしたがそんな心配はまったく御無用♪そこは大人の映画を撮り続けてきたマイク・ニューウェル監督の起用。物語に忠実にと詰め込み過ぎ感の残った1作目2作目とは雰囲気も違い、ハリーたちの思春期の心の動きと手加減なしのアクションシーンというふたつのポイントに絞り込んで巧くまとめあげてくれたんじゃないかな?それでいてしっかりとした伏線もちゃんと用意されていて後半、いろんなものがつながっていく感じは3作目のアズカバンの囚人に引き続きなんともいえない気持ちよさです。ハリーたちが成長したぶん、いっそう複雑に描かれる思春期特有の心の動きは自分もかつて通ってきた道♪そのせいか親近感でいっぱいでどんなディテールに至っても思わずにやけてきちゃいます♪なかでもダンスパーティのくだりは最高♪ロンもハリーもしっかりせんかいっ!と背中を思い切り叩きたくなるような情けない壁の花状態の二人なのに対して他校のヒーローから(クィディッチのワールドカップの代表選手でロンの憧れというところが、また憎いとこ)ダンスのパートナーにと申し込まれ光り輝くような美しさで階段を降りてくるハーマイオニーとの対比と言ったら!(笑)でも、彼女の本当の胸のうちは・・・というと可愛くってもう、抱きしめてあげたいくらい思いっきり乙女してます~!いつまでたっても子供っぽい男の子たちとは、比べ物にならないくらい心はすっかり大人の女性♪だからこんなに切なくて泣いちゃったんだよね!なんでそんなに鈍いんだ?まったくホントにロンの大バカ野郎っっっ!・・・て観てない人にわからないところで妙に盛り上がってしまって申し訳ない・・・汗飲み込みの悪い息子を持ってやきもきしちゃう母の気分なの~!可愛さ余ってなんとやら・・・だけどそういうロンが好き♪(・・・なんじゃそりゃ笑)幼馴染って、結局のところ本当の兄弟みたいになってきちゃうんだろうね~!自分の気持ちをもて余すロンの反抗期みたいなもののとばっちりをモロに受けちゃったハリー。間に入って半ば、呆れるばかりのハーマイオニー。近すぎるから、甘えちゃう。近すぎるから、気にいらない。近すぎるから、自分のことのようにうれしくて近すぎるから、時には反動でやきもち♪特に、彼らは親元を長く離れて暮らしているから反抗期みたいなものも一番気持ちの近いところへと向かう(笑)そのあたりの心の成長過程をうまく描ききった原作者のJ・K・ローリングはやはりすごい。この物語のポイントを外さなかったニューウェル監督にも拍手です♪三人の心の動きにピンポイントでしっかりと触れつつ今日は詳しくは書きませんが物語の軸はやはり何と言っても三大魔法学校対抗戦とそれに続くヴォルデモートの復活という運びになります♪そこでこれから観る人へのアドバイスを考えてみました(笑)うーん・・・そうね~!自分のイメージする世界観と大きくずれると不満が残ることになるのが映画化の常だからもしまだ読んでいないという人は今からあわてて読む必要はありません~♪本は後から補充の意味を込めて読んだ方が二度美味しいかも・・・。でも、ハリポタシリーズが初めてという人は前作までの映画はできれば見ておいた方が、つながりの面白さを堪能できます。壮大な物語の全容が、だんだん本質に近づきつつある本作ですから人と人の関わりはつかんでおくのがベストです!(笑)見終わった後に3作目で感じた胸をゆさぶるような想いまでは感じられなかったのが残念だけど物語自身が、そういう段階なのでしょう♪次に期待をつなげつつ続く映画を楽しみに待ちたいな♪ハリーたちの成長ぶりとめくるめくアクションと身の毛もよだつ衝撃のシーンを是非劇場で確かめてください♪子供のファンタジー映画だと敬遠しないで大丈夫♪大声で言います♪ハリー・ポッターはもはや、大人のためのファンタジーです!(笑)忘れかけてたときめきとワクワクを探しに行ってみませんか?
2005.12.06
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私達は何度もすりむいて、自分だけの靴をみつける・・・。真夜中の電話はろくなことがない。ローズは幸せな眠りから一直線に現実へ。何度こんなことがあっただろう。半分あきらめ顔。コートを羽織って車を飛ばし酔いつぶれた妹マギーを連れ帰る。定職にもつかず、小さい頃から勉強はてんでダメそんなマギーにいつも少しだけ優越感。スタイル抜群で華が咲いたよう。いつも男の子にモテモテそんなマギーに大きな劣等感。微妙なキモチがいつも交差してる。だけど気にしないフリ。弁護士としてバリバリ働く。だってそれが私のとりえだから。時々爆発したくなるけど心に秘めている。いくら傷つけられても許してしまう。守ってあげたい。マギーはかけがえのない妹。そして私のかけがえのない大切な親友・・・。とっぷり感情移入して観た映画でした。5歳年下の妹がいて私は二人姉妹のお姉ちゃん。ローズの立場で映画を観ていたので上の紹介文もおのずとメインはお姉ちゃんです。あしからず(笑)靴を買ってもはかずに眺めているしかできない姉と「姉のものは自分のもの」と言わんばかりに遠慮なく履いて颯爽と出かけていく妹。二人の関係を巧く表現しているなぁと感心しきりでした♪ヒールの高い靴を履くとそれだけで、なんだか自分が素敵になったような気がするもんです。いつもよりも、視界良好♪背筋も自然とスッと伸びるしショーウィンドーに映るいつもと違う自分をチラッと横目で何度も確認したりして・・・(笑)そんな魔力が靴にはあるのよ。本当に大切なのは等身大の自分なのにね!本当の自分探しは見たくない自分の本当の姿を見つめなおしたときに始まる?裸足の足の形、目をそむけないでしっかり見ないとピッタリと合う靴なんて見つかるハズがないのは道理かも・・・。いつも一緒にいるとお互いに寄りかかり合うのに慣れてコンプレックスや優越感に甘えることでしか自分を表現できずにいた二人。修復不可能に思えた二人の決別も後になって思えばそれでよかった。どんなことも時間が解決してくれるのはそれはふたりが血を分けた姉妹だから。離れることで比べることのない自分を見つけた二人。離れて初めてかけがえのない人であることに気づく二人。「自分探し」の映画というのは星の数ほどあるけれどその分、観客も感情移入の度合いが大きいからよほど脚本を練り上げておかないと上滑りな薄っぺらな映画はすぐに見抜かれてしまうことになる。その点この映画はなかなかの秀作だと思う♪それもこれもキャメロン・ディアスやトニー・コレットの巧さはもちろん、脇を固める俳優の活躍があればこそ。シャーリー・マクレーンの存在感は言うまでもないですね!ホント、チャーミングで可愛らしい♪他の年配の役者さんたちも物語をグッと締めてくれていました。あの盲目の老先生とマギーのエピソードには泣けました。それと初めて結ばれる夜、灯りを消そうとするローズと灯りをつけようとする彼。あのシーンが、なんだか心に残っています(笑)それって、ありのままのローズに彼が恋していることを表してるんでしょ?素敵じゃないですか♪全部ひっくるめてドンとこい!って私、そういうのにいつも弱いです(笑)最後にちょっと物語とは話がずれるけどお年寄りたちのファッションセンス、アメリカのご老人は素敵だなぁ・・・と♪淡いパステルカラーを若々しく着こなしている姿は年を重ねても、生活を謳歌している感じがあふれていて見習いたいなぁと思いました。私もあんなおばあちゃんになりたい!(笑)この映画、姉妹の映画ではあるけれど男女を問わず、楽しんで欲しい良い映画です♪人間関係でモヤモヤしてるときなんかいいんじゃないかな?心のつっかえもすっかり取れてリフレッシュできそう。等身大の自分を思い出させてくれる。そんな映画です♪
2005.11.28
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伝説は完結する「今までで一番幸せな瞬間だ」一瞬のためらいの後アニーはこうつぶやいてパドメを力一杯抱き締めていた。愛する彼女の中には確かに新しい生命が息づいている。愛おしくて大切な何に変えても守りたいものたち。執着を良しとはしないジェダイ騎士にとっては禁じられた恋の末の禁じられた秘密の結婚。若い二人は時に固く固く抱擁をする。お互いの鼓動を感じる間だけはまとわりつく得体の知れない不安を忘れていることができるから。これが「最後の」幸せな瞬間であることに気づく術など二人は持たない。もはや変えることのできない運命をなぞるかのようにただ「その時」へと向かい刻一刻と銀河の神話は刻まれていく。最後のスター・ウォーズは私たちを歴史の目撃者にする。あまりにも切ないダース・ベイダー誕生の物語。とうとうこの時がやってきてしまったのね?全てが明らかになった時、運命の環が閉じられる。胸が張り裂けそうな想い。それがこの物語の全てだ。アナキンが度々苦しめられた予知夢というのは強いフォースを持つものだけに与えられた選ばれし者の能力だった?その能力が招いた事態。予知する夢を見なければ全ては変わっていたと思いたい。母の死で自分を責めることのない人生。失うということを極端に恐れることのない人生。ジェダイ評議会はアナキンの生まれ持つ強いフォースの力に暗いものを予感して一線を置いていた。疎外感を感じるアナキンはことあるごとに反発したよね?その結果が招いた事態。誰も予感しなければ全ては変わっていたと思いたい。ありのままの自分を評価される人生。ジェダイ騎士としてまっすぐ前を見る人生。求めている答えを与えてくれる人は結局のところパルパティーンしかいなかったのだ。素直な心の不安を訴えればパドメは大丈夫よと笑うだけ。ヨーダは当たり前のジェダイ騎士としての心構えを諭すだけ。兄のようなオビ=ワンに至っては弱みを見せることをまずしたくない。パルパティーンが欲しがったのはアナキンの持つ強いフォースの力だったけど彼に付け入る隙を与えたのも強すぎるフォースの力のせいだった。そうだとしたらなんて悲しい宿命。彼には逃げ道など最初から用意されてはいなかったのだから。愛しすぎるがゆえに心を止めらずダーク・サイドに落ちたアナキンはエピソードVIではその血を受け継いだ息子の父を思う愛の力で正気を取り戻すことになる。パドメが命に代えて残したもの。その大きさに想いを馳せるとき今までとは違ったものに旧3部作が見えてくるのよね!新たな任務に赴くオビ=ワンを見送って今までの自分を振り返り反省ともとれる言葉を投げかけるアナキンとそれに答えて明るい笑顔でおまえは自慢の弟子だと答えるオビ=ワンの別れのシーンが印象的。思えばこれが正気のアナキンとオビ=ワンが交わす最後の言葉となるのだものね!しばし心を通わす二人はいつもの言葉を交わして、それが永遠の別れとなる。「フォースと共にあらん事を・・・」忘れられないワンシーンだ。「スター・ウォーズ」関連日記あります♪夏恋の映画独り言 びっくりSWエピソード6!夏恋の映画独り言 ヨーダのルーツは?
2005.07.11
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地球最後の戦争は 人類が起こしたものではない。何の前触れもなく異変は訪れた。雲ひとつない晴天が突然様相を変え轟く雷鳴が天地を震わせる。黒い雲が不安げに渦巻くのは、今まで一度も見たこともないような空。洗濯物のシーツが裏庭で激しく風にあおられて人々は普通ではない何かが近づいていることを予感する。それは何かの合図でもあるかのよう。同じ場所に落ちないはずの稲妻は何度も何度も繰り返し同じ地面を貫いていた。地中の奥深くに息づく未知なるもののうごめく気配。得体の知れない恐怖に包まれた街で人々がのぞき込んだのものとは?どうやって撮影したんだろう???「それ」が地下から出てくるときの地割れが起こり、隆起するアスファルトは目を凝らして見たけれどホントに謎です。不自然さはゼロに等しい♪何ひとつCGシーンを感じることはできませんでした。このシーンを観るだけでもかなりの密度の満足感。あまりの怖さと現実感に前のめりになって観ていました(笑)いつしかスクリーンと客席の境など消えてどこへ逃げようかと真剣でした!だけど困った~。心臓バクバク!どこへ逃げてもどうやっても助かるような気がしないんだもん!!メーター振り切れてる怖さのストレス!気が付いたら我を忘れて目がウルウル状態。人間、怖いと涙が出るんですね!徐々にクリアになるアタマで考えてただひとつわかったことが。私、絶対に生き残れない・・・汗やっぱ、トム・クルーズでなきゃダメだ♪(話の観点が微妙にずれてマス・・・)異星人が地球を襲うという映画は今までにだって数々あれどそういえば、いつもは普通ではないヒーロー科学者や宇宙飛行士とか何かそういうスペシャリストが加わっていつも地球を救ってきたのよね!だからそのぶん、人ごとだった♪「宇宙戦争」がすごくて大きく違うところはとても身近で現実的だってこと。トム・クルーズ演じる物語の主人公はごくごくありふれた普通の男。なんの変哲もない港で働く労働者。当たり前のように繰り返される日々の生活の中で本当に大切なモノに今まで気づかずに一度も愛する子供たちと向き合うことをしてこなかった父だ。子供との接し方がわからない。子供たちとの距離を縮めようと奮闘すればするほどぎこちない。こんなダメダメ父ちゃんですから「地球を救う!」なんてことは当然、二の次。三の次。とにかくどうやったら生き残れるか?どうやったら家族を守れるか?半ば祈るような切羽詰まったキモチ。走って走って走りまくるだけです。でもそれだから、返ってなおさら人ごとではない等身大の主人公。子供を守りたいという切実なる思いにとっぷりと感情移入してしまいました。「家族の安全を考え、家族を愛するということが戦争をするよりも大事なんだというメッセージを、この映画に込めたかった」なるほどね。すごくよくわかった♪スピルバーグ監督と私の波長はすごく合ってる(笑)ダコタ・ファニングはホントに巧い。彼女が怖がると、観ている側の恐怖のバロメーターも一気に針が振り切れます。トムの息子を演じた新人、ジャスティン・チャットウィンは反抗期の青年らしく、初々しい正義感がとても良かった。これからの活躍を大いに期待したいです♪別れた妻を演じたミランダ・オットーは再婚後、新しい命をお腹に授かり一人で暮らす寂しいトムとは正反対に新しい人生で幸せそうな母親という設定。ミランダのお腹はホンモノで「ロード・オブ・ザ・リング」の撮影後結婚した実生活の夫、ピーター・オブライエンとの子供を妊娠中だったのだとか。なんでも巧く取り入れて物語を豊かにしていくのはスピルバーグ監督のお手のものですね!見終わった後にいつまでも余韻に浸れる映画はいい映画♪よそでは酷評も目にするけれど私は素直に面白かったし興奮しました!DVDになったら永久保存版にしてたぶん何度でも繰り返し観るな♪今のところ、今年のNo.1はこの映画に更新です(笑)大画面と整った音響効果の中で観てこそなおさら楽しめる映画♪是非、映画館で観てください!自信を持ってのおすすめです♪
2005.07.05
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闇こそ力。転落の痛みをこらえながら何かの気配を感じて少年は闇に目を凝らしていた。幼なじみのレイチェルと遊ぶうちうっかり落ちてしまった枯渇した古井戸の底。目が慣れるにつれてうごめく闇は恐怖へと変わった。一斉に飛び立つコウモリの群れ、群れ、群れ。今まで体験したことのない恐怖が不安におののく少年を支配する。茫然自失怯えて動けなくなった少年がふと見上げたときに頭上からさしのべられた懐かしい大きな手。自ら危険を顧みずいち早く息子の救助に駆けつけた父、トーマス・ウエインは大富豪にして、正義の人。「どうして転落したかわかるかい?」「ううん」「這い上がるためだよ」優しい中にも厳しさを秘めゴッサム・シティのために尽力する父とどんな時も愛で包み込む美しい母を幼いウェイン少年は何度誇らしく感じたことか。強盗によってあんなにも簡単に両親の命が奪われるなんて。オペラの観劇中、舞台衣装を見てふいに襲われたコウモリのトラウマ。自分が劇場を出たいと言わなかったら両親は命を落とすことなどなかった。自責の念と内なる恐怖を憎む心はやがて復讐という魔物を彼の中に育てることになる。自らの闇をいかにして解き放つことができるのか?これはブルース・ウェインの葛藤の物語でもあるのだ。今までのシリーズ作品とは明らかに一線を画した感があります!新しいスタートをきったとも言えるバットマン誕生のこの物語は一言で表現するならすごくオトナな「バットマン映画」♪思えばシリーズは一作ごとにとりとめもなく、マンガちっくにアメコミ色を濃くして行ったという過去の作品たちの暴走がありました(笑)ユニークな敵キャラにスポットを当てるがゆえにバットマンの物語でありながらバットマンその人について深く語られることは今まであまりなかったものね!少年ブルース・ウェインがなぜ黒いコスチュームに身を包みゴッサム・シティにはびこる悪と闘う闇のヒーローになったのか?私たちが一番知りたかったことのすべてがこの映画に凝縮されていてああ、そうだったのか・・・と納得してはいちいち嬉しくなってしまいます♪物語の終盤にはシリーズ1作目のジョーカーのお話に繋がるための伏線もちゃんと用意されていてこれもファンには素敵なプレゼント!すべてがつながっていくという満足感は見ていてとても心地いいものね♪もう少し深読みするならひょっとしてクリストファー・ノーラン監督は自ら新しいバットマンシリーズをもう一度作り上げていくぞ!という決意表明をさりげなくアピールしたかったのかもしれません(笑)出演俳優はわざとそうしたのか英国出身の俳優が、のきなみ顔をそろえています。中でもマイケル・ケイン扮するお馴染みのバットマンを支える老執事が影になり日向になり常にユーモアを忘れず飄々と振る舞って英国紳士特有の品格とチャーミングさを遺憾なく発揮していて微笑ましい♪今回バットマンに抜擢されたクリスチャン・ベールも英国出身♪とても品のいいバットマンぶりは富豪の息子らしい説得力がありました。彼はこの映画の前は「マシニスト」で骨と皮だけに体重を落としていてその映画のさなかにバットマン出演のオファーを受けたのだそうです。頼んだ側もよくぞそんなタイミングで(笑)それから約5ヶ月かけて、体を作りバットマンスーツが似合うところまで筋肉をつけたというからその映画にかける根性たるや並の俳優ではないようです。ブリジット・ジョーンズも真っ青の変貌ぶり!人間やればできるのね~!わずか数キロのダイエットでへいこら言ってちゃダメですね(笑)映像的に心を惹きつけたのはバットマンが飛び上がる時のワイヤーは別として昨今流行のワイヤーアクションや派手すぎるCG合成と思われるシーンは不思議なほどこの映画にはでてこなかったということ♪使えば派手だし人目も引くのにわざとあえて使わないようにしたんでしょうね。それが返って新鮮でもあり物語が薄っぺらになることを避ける役目をしていたように思います。ワイヤーアクションやCGを使った映像はそれなりに面白いけど画一化してしまいがち。頼りっぱなしで、多用していたのではゴッサム・シティやバットマンが本当に実在しているかのようなあのリアルな雰囲気は出すことができなかったに違いないです。あっという間に2時間が過ぎる「バットマン・ビギンズ」は新しい風♪大好きなティム・バートン監督の「バットマン」とは比べるのではなく肩を並べるに相応しいかな?今までのバットマンシリーズは一応こっちに置いておいて新しいバットマンの流れを汲んでのジョーカーの物語が見てみたくなりました。見終わってすぐだというのに続編が見たくなるのは珍しい♪そういう感じの映画だったんです(笑)是非、観てこの感覚を楽しんでみて♪P.S 言い忘れましたが我らが謙さん、眼光鋭く、カメ仙人の趣で(これって褒めてない?汗)とてもがんばっておられました!ハリウッド映画の中にいてあの存在感はスゴイです!出番が少なく残念でしたがさらなるステップアップの足場になったことは間違いないと思います!
2005.06.21
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助ける命を選べるか。人々の間には明らかに疲労の色が広がっていた・・・。立てこもり事件が発生してから一体どれだけの時間が流れただろう。電話の向こうは逆上した男。自分の妻子を自宅に拘束し今も銃をつきつけ続けている。強行突破で息子の命だけでも救おうと言う上層部に対し、交渉人ジェフ・タリーは頑として首を縦に振ろうとはしない。「助ける命など選べない」その信条は彼が凄腕と言われてきた理由。自分の交渉術に自信を持てばこそ一縷の望みに全てを賭けていた。立てこもり男の精神の疲労と激情はピークに達していた?タリーには予想外の急激な状況の変化だったかも。受話器を置いた男が唱えだしたのは神に許しを乞う祈りの言葉。彼の完全なる誤算だった。無我夢中で走り出すタリー。人質を助けなくては!頼む、間に合ってくれ!!瞬間、無情にも響き渡ったのは全ての緊張の糸を断ち切るような3発の銃声の音・・・。最悪の結末。助けられなかった遺体にすがり泣き崩れるしか術のないタリーの背中は小さく見える。子供だけでも助けるべきだったのか?小さな命は確かに彼を信じて求め続けていたのに・・・。ブルース・ウィリス演じる主人公ジェフ・タリーはこういう辛い過去の贖罪を背負い続けて生きている男。この事件をきっかけに交渉人の職を自ら辞し今は片田舎の小さな町で警察署長として静かに暮らしている。事件後の心の後遺症はタリーと家族に暗い影を落とした。彼と愛する家族との間は何故かぎくしゃく歯車がかみ合わないままだ。物語の本題は、このあと静かに進行してゆき最初はホンの小さな事件がやがてどうやって終息するのか予測不能な大事件に発展してゆくの。予告編などから察しがつくと思うけどある人質事件と対峙している最中に自分の家族も拉致されるという極限状態の緊張感がタリーことブルース・ウィリスを襲います。待ってました!(笑)彼にはちょっと気の毒だけどファンにとっては期待通りの展開♪今までにも幾度となく地球の危機を救ってきたウィリスはこういうタフな男を演じさせたらホントに独壇場。右に出るものはナシ♪時に人情に厚く、時にオロオロ、涙を流しだけど愛する者を救うためには命を投げ打って戦いに挑む!隣のおっちゃん的親近感のブルース・ウィリスの魅力が炸裂で息もつかせぬ展開に私は密かに、今年観た映画で一番面白いかも・・・と思ったりしました(笑)利発な子役の活躍は言うまでもなく完全なセキュリティ・システムを完備した大邸宅が一転して立てこもり犯にとっては有利な要塞に早変わりすることの皮肉さも、面白い。あと一つ付け加えるならお茶目なウィリスおいちゃんのまたまたムダに裸になるシーンがあったりして(ごめん!ムダではないかも?汗)お約束と言えばお約束だけどホントに脱ぐのが好きだなぁ~♪と(笑)どんな映画に登場しても必ず一度は裸になるよね~!あと、現在と過去の区別をつけるためとはいえ必ずほとんどの映画で被ってきたと言ってもいいカツラでの変身具合に要注目です♪(今回もお得意のロン毛でした)「ダイ・ハード」にも負けてないんじゃないかな?ブルース・ウィリスの新たな代表作とも言える「ホステージ」は迫力!かなりの面白さ!ブルース・ウィリスの時代はまだまだ続くことを予感させるとっておきの一本でした。彼の映画はハズレが少ない!何か映画を・・・と思ったらまずはこれからおすすめします♪
2005.06.16
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☆ストーリーの全部は書いていませんが(予告編で想像できる範囲だけかな?)何も知らないで映画を観たいという方のために一部文字を見えないようにしました。読みたい方はドラッグしてご覧くださいね♪あなたの大切な人生が、ひとつ残らず消えていったら――震える手で部屋のカギを開け今日も何時間も想い出と過ごした。愛用のグローブを撫でアルバムをめくり何度も何度も繰り返し観るビデオテープ。ひとり息子サムを突然の飛行機事故で亡くして14ヶ月。テリーの胸に空いた大きな穴を埋めることなんて誰にもできない。どんなに愛おしさを募らせても抱き締めることができないもどかしさ。戻らないことはわかっている。だけど公園のベンチで、木陰で、ブランコで気が付けばいつもサムの姿を探していた。初めはほんの些細なことだった。単なる思い違い?ちょっとした記憶の欠落?悲しみに暮れるあまり気がつかずにいただけだったのかも・・・。テリーの周りで起こり始める不可解な出来事の数々。少しずつ少しずつ軌道がズレはじめているような不確かで危うげな感覚。不安な気持ちはある日テリーの中で決定的なものになる。写真からビデオテープから息子の存在した証が次々と消えてしまった!夫が隠したに違いない!錯乱するテリーに精神科医は諭すように淡々と告げる。「あなたは流産したのです。息子など最初からいなかったのです」と。流産のショックから想像上の家族を作り上げただなんてそんなことが本当にありえると思う?あの子を抱き締めた感覚は今もこの手に残っているのに・・・!当たり前だと信じていたものがことごとく否定されてゆく底知れない不安と絶望感。テリーはすでに巻き込まれていたのだ。すべてを包み込む果てしない陰謀の闇に。真実に近づこうとするたびに遭遇する不可解で理不尽な出来事たち。妄想と真実の境など一体誰が区別できるのか?次第にテリーは確信し始めていた。子どもはどこかにきっと生きているのに違いないと・・・。「結末を話すと記憶がなくなる」というキャッチコピー、気に入っていましたが見終わってみてなおのことこういうことだったのか・・・と思わずニマリとしちゃいます。とにかく、ぐいぐいと物語に引き込んでいくストーリー展開は超一流のエンターテインメントという感じです。ええっ?ええっ?とハテナマークを重ねているうちにどんどん物語は意外な方向へと進んでいく高揚感。物語についてはこれ以上多くは語れないけれどとまどいと喪失感を演じきるジュリアン・ムーアは巧かった。女性の持つ繊細な部分と同居する母としての強靱な精神力。母としての性を表現するに余りある力強さと説得力!そして、もしかしたら彼女は狂っているのかもしれないと観ている側に思わせる表情の一瞬一瞬のゆらめき。子どもを亡くしてただ悲しみに耐えるだけの姿から一変して物語りの中盤からの思いに駆られて行動的に動き回る姿への変貌は観るものを飽きさせることなく驚愕のラストに向かって進んでいきます。家族写真から子どもが消えていくというシチュエーションは脚本家のジェラルド・ディペゴが見た夢のイメージそのものだったといいます。彼は、目覚めてすぐに机に向かい息つくひまもなくストーリーを書き始めるとわずか二時間ほどでこの映画の基礎となる物語を書き上げたそうです♪すごいインスピレーション!(笑)詳しい話は出来ないのでもっと知りたいと興味を持った人は是非是非映画を観てください♪きっと物語に引き込まれて最初から最後までドキドキできること、間違いなし!そんなのありぃ?!ってスクリーンに向かってきっと何度か叫びたくなるはず(笑)たくさんの人が観て、結末を話し始める前に是非観て欲しいおすすめしたい一本♪最後に一言付け加えるとしたら「あなたの記憶は確かですか?」
2005.06.08
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今日も、名もなきヒーローたちが情熱だけで命を救う。「オレから目を離すな、信じるんだ!」燃えさかる炎の中で今日も誰かにさしのべられる手。ボルティモアの消防署に勤務するベテラン消防士ジャック・モリソンは穀物倉庫を飲み込んだ巨大な炎の渦の中にいた。恐怖に脅える生存者を力強く励まし窓からロープで脱出させるジャック。あと少し・・・!もう少し・・・・・!危機一髪で生存者をはしご車に預けた瞬間背後で響く爆音と共に床の穴に飲み込まれ数階下のフロアに。負傷し動けなくなったジャックは時折薄れゆく意識の中で走馬燈のように蘇る記憶の海を旅していた。彼の脳裏に蘇るのは人名救助の熱い志を抱いて消防の仕事に就いた、あの懐かしい想い出の日々。無線から聞こえる仲間の声に励まされながらジャックはすべてを察していたかも。最後まであきらめてはいけないそれはわかっているけれど不可能かもしれない救助隊がここにやってくることは・・・。ハリウッド映画は星の数ほどあれど消防士を扱った映画というのは意外なほど少ないです。理由はいうまでもなくムズカシイから?いかにデジタル技術が発達したとはいえ作る側がこだわるのはCGではない、ホンモノの炎。火災を扱う撮影がいかに困難を極めるかというとそれはもう大変なようです。準備するスタッフもそうだしもちろん演じる役者たちもね♪「タワーリング・インフェルノ」「バック・ドラフト」有名な映画はこのふたつだけど他にもあった?あまり記憶にないですよね!だけどいずれの映画にも共通しているのは心に残る名作だというところ!「人の命を救いたい」という熱い思いを抱いて、レスキューに人生を捧げる男たちは崇高すぎてアタマが下がります。命を賭けた仕事だからこそ彼らを支える日常にドラマを感じるんですね。そんな気がします。「炎のメモリアル」のよかったところは無理に感動を盛り上げようとせず回想シーンで消防士の日常を淡々と綴ることで彼らの成長も合わせてユーモアとリアリティで描いていたこと。シーンを交互に織り交ぜる構成は火災現場の緊迫感を希薄にするというデメリットもあったかもしれないけれど一人の消防士の生き方にむしろスポットを当てたかったのだと感じました。仲間との絆、恋、家族、葛藤、生きる意味、仕事への誇り・・・・。新米消防士が成長していく過程・・・。その生き様にはしびれました。自分の仕事に誇りを持つ男ってなんてカッコいいんでしょう♪この映画に出演するにあたって主演のホアキン・フェニックスは3週間アカデミーに通って訓練を受け、ホンモノの消防士やその家庭で時間を過ごさせてもらったのだそうです。高所恐怖症の彼は恐怖を感じながらも、仕事をちゃんとやり遂げるための技術を消防士たちから学んだといいます。実際の消防士たちも、炎の恐怖を克服することはできないのだそうで「任務の前に恐怖心を持たないような人間は、この仕事をやるべきじゃない」とも教えられたのだとか。人間味溢れる、ジャックの上司役を演じたジョン・トラボルタは本当にハマリ役。フレンドリーで、懐が大きくだけど一番辛い決断を迫られるタフな消防署長。主役ではないけれどその存在感で物語を引き締めていました。やっぱり、トラボルタは素敵だ!(笑)9.11の同時多発テロの際にもまさに命がけの救助活動を展開した消防士。彼らを心から讃えたいというキモチから生まれたであろう消防士の生き様の映画。静かな感動が胸に残る一本是非、おすすめしたいです。(笑)
2005.06.01
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カラダを重ねるたび、唇が嘘を重ねる。人の波をかき分けるようにして歩くロンドンの朝の街角。小説家志望のジャーナリスト、ダンは人混みの中に彼女を見つけた。通りの向こう側、灰色の街でそこだけ光が射したよう。彼女もまた彼を見つけた。自分を見つめる熱い瞳に。雑踏の中、互いだけしか目に入らないように歩く二人。そんな二人を現実に引き戻したのは突然の急ブレーキの音だった。交差点で車と接触。一瞬の出来事。その場に倒れた彼女に走り寄り真っ先に声をかけたのはダンだった。「ハロー、見知らぬ方」たった一言、ダンにつぶやき腕の中で気を失った、まだ幼さの残る赤い髪の女性。彼女の名前はアリス。ニューヨークから着いたばかりのストリッパー。二人はこうして恋に落ちた。ロンドンの朝の雑踏の中で。ジュード・ロウとナタリー・ポートマンが出逢う物語の美しい冒頭部分はこんな感じ♪このまま、二人を主演にしてできることなら爽やかな恋の物語の続きを見続けていたいと思うのもつかの間。ジュリア・ロバーツが出てきたあたりからなんだか暗雲が立ちこめはじめクライブ・オーウェンが登場の時にはきわどいセックストークで見てはいけないモノを見た気になっちゃいました♪ジュード・ロウ=今回一番のダメダメ男。ジュリア・ロバーツ=本心が読めない困った女。クライブ・オーウェン=堅物。結構執念深いヤツ。ナタリー・ポートマン=今回一番共感できた人。「クローサー」は4人の男女の、もつれる愛と移ろいゆく恋を描いた大人のためのラブストーリー。その恋愛模様は、はっきり言って苦しいです。良くも悪くも登場人物は「自分に正直」な人ばかり。人を愛するって、こんなにも複雑で難しいもの?話をややこしくしているのは一体誰?えーっ?そこでそう言うかぁ?そんなのは愛なんかじゃない!映画を観ながら何度画面につぶやいたでしょ?(笑)でもね、つまらなかったかと言えば答えはノー!とても良くできていて、飽きさせない展開でした。人の不幸は蜜の味・・・とまではいかないけれど次はどうなっていくんだろう・・・!という観るものを惹きつけるパワーを持つとても、興味深い映画だったんです。たぶん、観ている人それぞれに解釈の異なるお話なんじゃないかな?辛辣な内容だしあそこまで極端ではないにしても登場人物4人のキャラクターは誰の中にも一部存在するものなのかも・・・!ナタリー・ポートマンはこの映画でアカデミー賞の助演女優賞にノミネートされていました。ホントにそれに値する演技だったと思います。ストリッパーの役なのに彼女が演じると、いやらしさは全くありません。普通だったら、ダメですよね。ストリッパーに求められるのは、それなりの色気や、危ないムード。でもこの物語では、こういう不思議な清楚さが返ってストーリーに説得力をもたらせていました。キャスティングの成功がこの映画を面白くしていたような気がします。ナタリー・ポートマンの演じたアリスはドロドロの恋愛劇の中にあって一服の清涼剤のようでした。彼女が街を闊歩するラストシーンでは爽やかな風を感じたもの。これから見に行く人にアドバイスをひとつ♪カレシとのデートムービーには向きません!すごーく気まずい空気が流れそうです~♪女同士で行けば最高♪映画の後の座談会では、「男ってまったく~!怒」の話題で大いに盛り上がれること間違いなし!(笑)
2005.05.26
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