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現在緑内障の治療では「プロスタグランジン関連薬」という系統のお薬を第一選択薬として使います。眼圧(眼の血圧)を下げる効果が一番強いからですが下に示すのがその代表的な薬(プロスト系)です。 上の写真の中で、左端の 「キサラタン点眼液」 が発売されたのが1999年、この薬の登場が緑内障治療を劇的に変えたといわれる、当時まさに画期的な新薬でした。ちなみに私が眼科医になったのも1999年のことで、それで我々は「キサラタン世代」と呼ばれています。 キサラタンはあまりに画期的なお薬だったためにその後何年もライバルが現れませんでした。数年前からようやく「トラバタンズ点眼液」、「タプロス点眼液」という同系統の薬が発売されたのですが、その薬の効果はキサラタンとほぼ同等で、「もっと眼圧の下がる」キレの良い薬の発売が望まれていました。 10月第一週に 「ルミガン点眼液」 という新薬が発売になるのですが、 この薬は前述の「キサラタン」に対して有意差を付けて眼圧が下がるというデータが出ています。 簡単にいえば 「過去最高の効き目の薬」 ということです。その理由を下の図に示していますが、分かりやすく言えば 「患部に直接ガツンと効く」 ということになります。 ただ、良いお薬には当然副作用もあります。このルミガンは今までの薬よりも 強烈に目が充血する と言われています。早速当院のスタッフにお願いして実験してみました。 右目だけにさしたのですが、 明らかに左目 より強く充血していますね。ただ、肝心の眼圧の方は、 13.7→8.7と確かに良く下がっています。これは期待できそうですね。! この期待の新薬、ルミガン点眼液、発売と同時に当院でも採用します。少しでも緑内障患者様の不安が減ってくれたらと思いますし、私も発売を心待ちにしています。
2009.08.21
私が専門としている白内障手術、少しでも手術の成功率・安全性を高めるために毎日努力を重ねています。この1年間でも傷口の大きさを2.8ミリから2.4ミリに縮めたことは以前の日記で書いた通りですが、最近になって更に手術法を改良しているので今日はその話をしてみたいと思います。 白内障手術では、濁ってしまった水晶体の核(中身)を後嚢という袋から剥がす、ハイドロダイセクションという手技があるのですが、これが意外と完全に剥がすことが難しくて、私もなかなかうまくいかないことが良くありました。 ところが「倉知式ハイドロニードル」という新しい針をお試しで使ってみたところ、 これが前嚢の裏面(水晶体の袋の裏側)に平べったく絶妙にフィットする感じで、 その手技が抜群にうまくできるんですね。以下に実際の手術時の写真を載せておきます。 そのため今週からはすべての患者様に対してこの新しい針を使って手術をさせて頂いています。これからも努力を欠かさず、より安全で確実な白内障手術を提供できるように頑張っていこうと考えています。
2009.08.19
私のクリニックでもお盆休みを戴いていましたが、本日より通常診療を開始しました。明日からは白内障手術も再開します。今日は外来診療が終わってからもずっと手術の勉強をしていましたが、お盆休みでリフレッシュしたのでいつも以上に気合を入れて、手術・外来診療とも頑張っていこうと思っています。
2009.08.17
目にゴミが入ったら皆様どうされますか? まず目をこすって取ろうとしたり、それでも取れなければ洗面器に水を張って目を洗ったりしますよね。それでも取れなければ? 眼科を受診されますよね。 今日は 「みかんの摘果をしているときに何かゴミが目に入って、 洗っても何しても取れない」 という訴えで患者様が来院されました。 この摘果というのは「実が小さいうちに取ってしまい、果実の数を制限することにより,1つづつの果実により多くの栄養がいき届くようにし、外観の美しい果実、適当な大きさの果実を残すようにすること」なのですが、私のクリニックのある八幡浜エリアは全国有数のみかん産地で今がその摘果の最盛期ということもあり、作業中にゴミが入って受診される方が後を立ちません。 患者様は強い目の痛みを訴えて苦しんでおられます。早速目を拝見すると、 確かに目に黒いゴミが入っています。ピンセットで軽くつかんで引っ張ってみてもなかなか取れません。良く見てみると、、 なんと、ありんこでした! 足を白目(結膜)に深く刺して落ちないようにしがみついたまま絶命しています。なので、洗ったくらいでは取れなかったんですね。 このように、実は目の中というのは色々なものが入ります。洗っても取れない場合は今回のようなこともありますので、是非お近くの眼科専門医を受診されてくださいね。
2009.08.08
コンタクトレンズにはソフトタイプとハードタイプがあるのですが、現在ではソフトタイプが主流となっています。ただ、今から20年程前にはソフトタイプは角膜(黒目)への酸素透過性が十分ではなかったこともあって、ハードコンタクトレンズを処方されることが多くありました。 そのため、その頃からずっとハードコンタクトレンズを使用されている患者様が一定数今でもいらっしゃるのですが、実はこのハードコンタクトレンズ、長期間装用をし続けると目に色々なトラブルを起こすのです。 この写真の患者様は現在30歳代後半なのですが、10歳代半ばから25年近くハードコンタクトレンズを使用し続けたことにより、まぶたを上げる筋肉(挙筋腱膜)が機械的な損傷を受けて、まぶたが上がらなくなる眼瞼下垂という状態になってしまいました。写真だけでは分かりにくいので下に図解してみますね。 また、ハードコンタクトレンズは常に目の中で動き回り特に左右に動くのでそれが慢性的な刺激となり、黒目の横に盛り上がりを伴う瞼裂班(けんれつはん)という病気を発生することも多くあります。 こういったことがあるため、よほど近視や乱視が強くてハードコンタクトレンズでないと視力が出ない方を除き、最近ではハードコンタクトレンズを処方することは極めて稀になってきています。 長年ハードコンタクトレンズを使用している方で上記のような症状が出てきている方は、可能ならばソフトコンタクトレンズ・眼鏡への変更をした方が安全なので、近くの眼科専門医で是非相談されてみてください。
2009.08.07
我々人間は外界からの情報の80%を目から手に入れていると言われており、だからこそ目はとても大切なわけですが、その目の真ん中に開いているのが瞳孔です。この瞳孔なんですが、動物によって形が違うことは割りと知られていません。 (眼科セカンドオピニオン 銀海舎 P53より) 我々人間が真ん丸なのは皆様ご存知でしょうが、ヒキガエルはなんとハート型なんですね。 ネットを巡回していると、なんと 「ハート型の瞳孔を持つ猫」 もいました!。 ただ残念ながらこの猫は「エイプリルフール用の合成写真」だったようなのですが(私は本物かと思ってかなり驚いていたのですが)、 実は 人間でも「ハート型の瞳孔」を持つ方が存在する のです。 これはある患者様に検査のために散瞳薬という目薬を入れたところなのですが、上方の虹彩(茶目)の一部がその後ろの水晶体とくっついている関係で、偶然「ハート型」になっています。 患者様に「目がハート型になっていますよ」とこの写真をお見せしたら大変喜んで頂いたのですが、とっても珍しいものが見れて私も嬉しかったです。こういった様々な楽しいことがあるので私は外来診療が大好き なんですね。
2009.08.04
当院も開院2年目を迎え新しいことにチャレンジということで、良い場所があればクリニックの案内看板を立てようと思い候補地を検討してきたのですが、その第一号の看板が八幡浜市の某所に立っています。 ちょっと分かりにくいのでアップにしてみます。 うーん、どうでしょう? 皆様も、もし現物を見かけたら是非感想を聞かせてください。
2009.08.03
目の表面の角膜(黒目)にエキシマレーザーを照射して、角膜の一部を削る(蒸発させる)ことにより視力を矯正する手術、レーシックがこの数年で爆発的に広まっています。今年1年で50万人以上が手術を受けられるだろうという予測もあります。ここまでレーシックが普及したのには、 1.手術の安全性が極めて高いこと。 2.ほとんどの症例で術後すぐからすぐれた裸眼視力が出て患者様自身が手術の効果を実感しやすいこと。 3.格安料金を売りにする大手レーシッククリニックの急成長に伴う手術数の爆発的な増加。 の3つの要因があると思うのですが(特に3番目の理由が大きい)、それに伴って 「レーシック手術の負の側面」 も目立つようになってきています。 今週号の週刊文春に、 「レーシック手術が危ない」という記事がちょうど出ていたのですが、 この記事はレーシック手術の問題点を鋭く指摘しています。 しばらく前に銀座眼科でのレーシック術後の集団感染症の発生が大きな話題となりましたが、この感染症というのはしっかりしたクリニックならば発生頻度は非常に低く通常それほど恐れる必要はないと思います。 ただレーシック手術というのは角膜の知覚神経を切ってしまう手術なので、術後にはドライアイがほぼ必発します。ほとんどの方は点眼薬治療で3カ月もすれば自覚症状は改善しますが、中には症状が残ったり、強い頭痛や肩こり、集中力低下などの自立神経失調症状が出ることもあるので、決してこのドライアイを甘く見ることはできません。 また意外と知られていないのですが、レーシック治療は保険のきかない自由診療なので、術後の治療も自費になり保険は効きません。 私のクリニックにも大阪などの大都市圏のレーシック専門クリニックで手術を受けられ、簡単な紹介状を持たれて術後の診察を受けに来られる方が増えていますが、その診察が自費となることを説明されていない方がほとんどです。大手のクリニックは術後のフォローアップに関して、悪い言い方をすると「手を抜いている」ために格安料金を設定できている部分があることは皆様にも知っておいて欲しいと思います。 もちろん当院では他院でのレーシック術後に関しても丁寧に全力でフォローさせて頂きますが、手術後もずっと診てもらえる施設で手術を受けるのが原則(仮に手術代金が高くても、それは術後のフォロー代金も入っているわけで、単純に手術代金のみではクリニックの良し悪しは決められない) であることは強調しておきたいと思います。
2009.08.01
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