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あ と が き
この作品は、はからずも二〇〇一年、「第五十四回福島県文学賞の小説・ノンフィクション部門の、ノンフィクション奨励賞」を受けたものである。自分では応募したものの、自信があって提出した訳ではない。ただこれを調べる過程は、我ながら興味深く感じられた。その過程の面白さが、恥ずかしくもなく「応募する」という行為に駆り立てたのであろう。
この賞は福島県教育委員会と福島民報社の共催である。それもあって新聞紙上に批評が載った。次に、その新聞の記事を転載する。
二〇〇一年十月二十六日付福島民報
◇県文学賞発表の記事より抜粋
第五十四回県文学賞は、四年ぶりに三部門で正賞が選出され、青少年部門は応募者が大幅にアップした。ベテランをはじめ若い世代が着実に力を付け、本県文学界の中核となりつつあることをうかがわせた。
◇県文学賞「小説・ノンフィクション部門」の記事より抜粋
ノンフィクションで唯一入った橋本捨五郎さんの「さまよえる神々」は、探求心となぞ解きの楽しさが伝わってくる労作。
二〇〇一年十一月一日付福島民報
◇ 第五十四回県文学賞 小説・ノンフィクション部門の選評と審査経過より抜粋
▽選評・室井光広氏=ノンフィクションの火を消してはならぬという心持ちもあって、「さまよえる神々」が選ばれた。探求心・謎解きの楽しみが伝わってくる熱意ある佳篇だが全体像への欲求不満は残るし、謎解きの実体も作者の熱意ほどには伝わらないという意見も多かった。
▽審査課程・田村嘉勝氏=「さまよえる神々」は、史実研究的な構成が推理小説を読むようで面白いという見解。ただし、娘との会話は不必要という意見もあった。
◇県文学集・ (二〇〇二年三月十五日)◇ 小説・ノンフィクション部門 [選外評・ノンフィクション分野]より抜粋
▽選評・菅野俊之氏=今年は旅行記、自分史、看病記録など身近なテーマを扱った応募作が多く、ノンフィクション分野が県民のなかに広く定着したことを実感した。しかし、内容的には低調で、奨励賞一作品の受賞にとどまったのは残念であった。ノンフィクションは、体験や事実をストレートに記述すればよいという誤解が応募される方たちにあるらしく、作品として彫琢する工夫と情熱に欠け、文章も感性のきらめきや個性の希薄な作品が多かった。文芸評論と青少年の応募が皆無だったのも残念である。 応募作全般の印象として、どの作品も一応のまとまりはあり無難なできなのだが、内容・文章ともにこぢんまりとしていて個性が窺えず、読者の心に訴えかけるものに乏しい。破綻や瑕瑾を恐れず、個性のある文体と内容を創り出す、果敢な進取の精神を感じさせるような作品の出現を待望している。
(了)
参 考 文 献
田村郡誌 復刻版 田村郡役所 泰山哲之
一九一五 仙道田村荘史 青山正・やそ・操
一九三〇 田村の小史 田村郡史跡保存会 影山常次
一九五八 南北朝編年史 上下 吉川弘文館 由良哲次
一九六四 白河市史 白河市教育委員会
一九六八 大日本百科事典 小学館
一九七〇 福島県史 山川出版社
一九七二 山形県史 山川出版社
〃 宮城県史 山川出版社
〃 茨城県史 山川出版社
〃 須賀川市史 二 中世 須賀川市教育委員会
一九七三 悪人列伝 二 文芸春秋社 海音寺潮五郎
一九七五 中世奥羽の世界 東京大学出版会
一九七八 南北朝内乱史論 小学館 佐藤和彦
一九七九 みちのく太平記 津軽書房 七宮幸三
一九八〇 太平記 学習研究社 長井路子
一九八一 県南地域の歴史と資料 福島県南高等学校社会科研究会
一九八二 神社祭神辞典 展望社 千葉琢徳
一九八三 岩代町史 岩代町
一九八四 郡山市史 郡山市
一九八五 三春町史 三春町
〃 皇子たちの南北朝 中公新書 森茂暁
一九八八 新編 日本武将列伝 秋田書店 桑田忠親
一九八九 花将軍 北畠顕家 新人物往来社 横山高治
〃 征夷大将軍 中公新書 高橋富雄
〃 太平記に学ぶ・動乱を生きる人間学
六興出版 小山龍太郎
一九九〇 室町の王権(足利義満の王権纂奪計画)
中公新書 今谷明
〃 大日本地名辞典 富山書房 吉田東伍
〃 国史大辞典 吉川弘文館
一九九一南北朝史一○○話 立風書房 小川信
〃 楠木正成 千早城血戦録 ビジネス社 奥田鑛一郎
〃 南朝名將 結城宗広 新人物往来社 横山高治
〃 天皇になろうとした将軍 小学館 井沢元彦
一九九二 中世を生きた日本人 学生社 今井雅晴
〃 中世を考える「いくさ」 吉川弘文館 福田豊彦
一九九三 中世民衆生活史の研究 思文閣出版 三浦圭一
一九九五 天皇の伝説 メデアワークス
一九九七 中世の社会と経済 東京大学出版会
〃 世界の神々と神話の謎 学習研究社
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