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墨雨云间 The Double 全40話第34話「魚符の効力」麗(レイ)妃は姜元柏(キョウゲンハク)から文を受け取った。姉の件だと知った麗妃は姜家を訪ねたが、正気を失い少女に戻った季淑然(キシュクゼン)は妹も夫のことも覚えていない。哀れな姉の様子を見て涙する麗妃、すると姜元柏が姜梨(キョウリ)から話があると伝えた。薛芳菲(セツホウヒ)は婉寧(エンネイ)公主の手駒となった麗妃を懐柔した。「私と沈玉容(シンギョクヨウ)の縁談は麗妃娘娘の提案だとか、かつての私のように脅されたのでは? 娘娘、長公主は脅しを繰り返しますよ? もし私と組んでくださるならお悩みを解決いたしましょう、それで恨みは帳消しに」麗妃は姉に安らかな暮らしを与えてくれた姜家へのわだかまりは消えた。しかし一筋縄ではいかない姜梨をかえって警戒する。「たとえ姐の過ちだったとしても、姜梨にはつけを払わせなくては…」婉寧は麗妃の誕辰の宴を利用し、皇帝から姜梨と沈玉容の縁談を賜るよう画策した。そこで麗妃は贈り物より大昭(ダイショウ)外交団の歓迎の宴で好評だった姜梨と沈玉容の合奏を聞きたいと皇帝にねだる。「禁足で聴けなかった長公主も招待しましょう」一方、薛芳菲は趙珂(チョウカ)から司徒九月(シトキュウゲツ)の薬を受け取った。しかし薬を飲み始めたところで姜景睿(キョウケイエイ)と柳絮(リュウジョ)が飛び込んでくる。縁談を知って心配で駆けつけたが、葉世傑(ヨウセイケツ)は姜元柏に呼ばれて協議しているという。麗妃の説得に失敗した姜元柏は信頼できる葉世傑を姜梨の許婚に仕立てようと思いついた。しかしこれは姜梨のためではなく自分の私怨、薛芳菲は葉家を巻き込めないと反対する。姜梨の正体を知っていながら自ら望んで火中の栗を拾うという葉世傑。その時、思いがけず文紀(ブンキ)が現れた。「姜ニ娘子、主君がお待ちです、外でお話がしたいと」「父親、行ってきます!」蕭蘅は姜宅に葉世傑が呼ばれたと知り、姜元柏が思いついた窮余の策に気づいた。そこで急いで阿狸(アリ)を連れ出し、これから皇宮へ行くと教える。「陛下に婚姻を賜る」「・・・粛(シュク)国公?ふざけている時間はありませんよ?」すると蕭蘅は賢(ケン)妃の一件に関わった宮女の供述書を渡した。「私の暗衛は婉寧の手下とは違って有能でな」証人の宮女はすでに蕭蘅の手中にあり、婉寧には気づかれないよう宮女に似せた身代わりを配していた。「お前は麗妃に、私は陛下に会う」「陛下にどんな相談を?」「私たちの婚姻だ」後宮に突然、姜梨が現れた。麗妃は明らかに苛立っていたが、姜梨から例の宮女の供述書を見せられ驚きを隠せない。「お悩みは解決しましたので信じていただけますか? …長い間、策を練ってきました、あと一歩なのです、どうかお力添えを」「どうすればいい?」一方、御書房では皇帝と蕭蘅の言い争う声が門の外まで聞こえていた。控えていた内官や侍女たちは困惑していたが、どうやら粛国公が想いを寄せる姜家の令嬢の縁談を決めた皇帝に激怒しているらしい。「蕭蘅、諦めるがよい!」「帰るっ!」薛芳菲は蕭蘅に麗妃を味方につけたと報告した。何をするかは秘密だが、もし聖旨が下っても婚儀までのひと月の間に沈玉容から断らせるという。「それはならぬ」「形だけよ」「それでもならぬ!」一方、明日の麗妃の祝宴を前に婉寧はどこか不安に襲われていた。沈玉容は長公主との関係は永遠だとなだめたが、それでも婉寧は落ち着かないという。そこへ粛国公が訪ねてきたと知らせが来た。「珍客ね、確か粛国公って獄中の薛芳菲に会いに行ったのよね?…あなたは隠れていて」すると粛国公は姜梨の縁談を取り消して欲しいと頼み、その見返りとして驚いたことに魚符を差し出した。麗妃の誕辰当日。皇帝は寵姫の願いを叶え、婉寧を招いて姜梨と沈玉容の合奏を聴くことになった。「まずは食事をして演奏を…」すると麗妃はそれとなく姜梨に目配せした。薛芳菲と沈玉容は合奏の準備のため庭園で待つことになった。長公主のために縁談を強要する沈玉容を激しく嫌悪する薛芳菲。沈玉容は自分を信じてくれない薛芳菲に落胆し、高貴な蕭蘅に嫉妬した。「蕭蘅と同じ身分に生まれていたら、私とて龍武軍を差し出し妻を守れた!」薛芳菲は蕭蘅が婉寧に縁談を取り消す交換条件として龍武軍の魚符を差し出したと聞いた。『愚かな、これを渡せば国の主が変わるのよ?!』『天下など私にはどうでもよいこと、欲しいのは彼女のみ』沈玉容はすでに薛芳菲は安泰だと教えた。しかし皇帝が事実を知れば蕭蘅を潰すか、一族皆殺しになってもおかしくないという。姜梨と沈玉容は池に浮かぶ小舟に乗って合奏した。2人の息のあった演奏を聞いて焦燥感を募らせる婉寧、しかし蕭蘅を心配する薛芳菲がうっかり間違えてしまう。婉寧は沈玉容と薛芳菲がもはや知音ではないと知って安堵した。しかし姜梨が思いがけない理由で気が散ったと釈明、婉寧と沈玉容の顔色は一変する。「陛下、麗妃娘娘、申し訳ありませんでした 実は淮郷から連れてきた薛懐遠(セツカイエン)の息子・薛昭(セツショウ)が発見されたのです 発端は長公主のあのお言葉でした、薛芳菲は死んでおらず、私が彼女であると… ならば県令の息子も存命なのではないかと思い、粛国公に捜索をお願いしていたのです 本日、参内する前に発見されたと聞きました 薛昭が目を覚ましたら分かるはずです、沈学士の岳父と義弟が誰に害されたのか」すると皇帝は粛国公に調査を任せると命じた。「解決したらまたそなたの手柄だな」「お詫びに淮郷の小曲を合奏させてください」沈玉容は急に取り乱し、吹いたことがない曲だと偽って断った。薛芳菲は小舟で独り琴を弾いた。動揺を悟られまいと酒に手を伸ばす沈玉容、その様子を見た婉寧もやけになって酒をあおってしまう。すると麗妃は婉寧が杯を空けたことに気づき、ほくそ笑んだ。祝宴が終わると薛芳菲は国公府に蕭蘅を訪ねた。「大事な魚符を差し出すなんて…自分で解決できたのに!」「九月から届いたものでか?」「知っていながらどうして渡したの?!」「当てずっぽうだ、中身までは知らぬ」薛芳菲は右往左往しながら魚符を取り戻す方法を考え始めたが、蕭蘅はなぜか嬉しそうだった。「いつになく取り乱している…お前にとって私は重要なのだな」実は長公主に魚符を差し出したのは蕭蘅と皇帝の策だった。皇帝は帝位を狙う成(セイ)王を排除するまで安らげることはないだろう。しかし北方を守る成王の声望は今や皇帝をしのぎ、闇雲に排除すれば皇帝の嫉妬だと疑われてしまう。成王一派という喉に刺さった棘はそう簡単に抜くことができなかった。その隙に着々と勢力を拡大している成王、蕭蘅と皇帝は行き詰まったが、そんな時、姜梨という駒が現れ、ついに局面を打開してくれたという。姜梨は葉家を李家から守って金鉱を叩き潰し、淮郷でも李仲南(リチュウナン)の力を削ぐ結果になった。また薛芳菲自身も沈玉容に一矢報いることが叶う。ただし今回の婚姻では薛芳菲も窮地に追い込まれ、そこで次の一手に出ることにした…蕭蘅から龍武軍を婉寧に渡すと聞いた皇帝はさすがに反対したしかし蕭蘅は資金源を失った成王が国庫が枯れるまで兵糧を要求し、拒めば暴動を起こすはずだという『来月の祭祀は成王、陛下、双方にとって好機となります 龍武軍を渡して謀反の誘発を…成王は必ず攻めてきます』『龍武軍を渡したら他に手はあるのか?朕の安危は?!』←ミッキー小さいwすると蕭蘅は″大昭″があると言った『私を信じてください、最小限の犠牲で勝利を収めます』『朕は何をすれば良い?』『芝居です』そこで2人は外まで聞こえるように大声で喧嘩、蕭蘅が姜梨の縁談にいかに不服なのか広めておいた…薛芳菲は大昭が本当に援護してくれるのか心配だった。実は蕭蘅は数日中に大昭へ向かうことにしたという。「その前に芝居を見せてあげる、公主府を見張らせて」「私は手の内を明かしたのにまだ秘密か」「あなたの前ではもう何も隠せないわ」「お前の私への真心は知っている、だが私のお前への真心に気づいているか?」2人は自然と顔を近づけ…。↓∑(⊙∀⊙)ヒャーーー!と目を覆いそうになったら、ろうそくのアップになったw愛する人を守るため魚符を差し出した蕭蘅と生きるために妻を殺した沈玉容。どちらが本当の真心かは火を見るより明らかだったが、沈玉容は魚符を渡すなど裏があるに違いないと怪しんだ。「蕭蘅は薛芳菲のために死ねるのね…るねるねるね 怒っているの?縁談を壊されて不満?、どうしてあの女にそこまで執着するの?」「ふっ、私は妻を殺して厚顔無恥になった、そう仕向けておいて今さらどうしろと?」「はぐらかさないで!あなたの答弁、全然、信じられません!!!」「…殿下が私の答弁を信じられないとおっしゃるなら、もう質問なさらないでください」すると沈玉容は疲れたと言って帰ってしまう。(屮゚Д゚)屮 <沈玉容!家族が断頭台に送られてもいいの?!( ´ ▽ ` )ノ<お望みとあらばご自由に~!つづく( ๑≧ꇴ≦)ユーロン、ついに壊れる?!あ、早苗ちゃんの答弁ネタは分かる人だけでw
2025.10.31
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墨雨云间 The Double 全40話第33話「公主の切り札」沈玉容(シンギョクヨウ)を利用してついに黒幕の婉寧(エンネイ)公主を追い詰めた薛芳菲(セツホウヒ)。しかし婉寧にはまだ切り札が残っていた。「会わせたい人がいるの、お前がよく知る者よ?」永安(エイアン)閣と密道でつながっている謎の地下牢。実はそこに死んだと思っていた薛芳菲の弟・薛昭(セツショウ)が捕らわれていた。薛芳菲は拷問されてボロボロになった弟の姿に驚愕、長公主の要求を聞くしかない。「沈玉容と薛昭を交換よ、審問で証言を翻せば釈放する、お前に交渉の余地はない」「…約束は守って」薛芳菲は姜元柏(キョウゲンハク)に長公主とのわだかまりが解け、今回の件でも慰めてもらったと取り繕った。しかしその夜、薛芳菲は弟が酷くいたぶられる悪夢に襲われ飛び起きてしまう。そこで急いで墨を用意させ、文をしたためた。蕭蘅(ショウコウ)は文紀(ブンキ)から報告を聞いた。姜梨が趙珂(チョウカ)に頼んで司徒九月(シトキュウゲツ)に文を送ったという。何でも公主府から戻ってから様子がおかしいとか。蕭蘅は長公主の監視を強め、姜家の動向も報告するよう命じた。沈玉容の審理が終わり、薛芳菲は姜元柏と大理寺に呼ばれた。証拠と証人が揃い、あとは姜梨が署名すれば沈玉容の有罪が確定するという。しかし姜梨が突然、証言を翻した。「実は…私はずっと沈学士を敬愛していました、宴が好機と沈学士に想いを告げたのです ですが拒まれあんなことを…突然のことで気が動転し、お話しできませんでした 日が経つにつれ後悔が募りました、沈学士を罪に問うことはできません 今日は沈学士の潔白を証明しに来たのです、これは全て私ひとりの責任です」朝廷の官吏を誣告するのは重罪、姜梨は沈玉容と入れ替わりに投獄されてしまう。解放された沈玉容は牢獄を出る道すがら、薛芳菲と出くわした。「何がなんでも救ってくれる良い後ろ盾を見つけたわね 婉寧は弟を監禁し、日夜、責めさいなんでいた」「生きているのか?!」「あなたが知らないはずないでしょう? 沈玉容、私はあなたと弟の命を交換することにした 覚えておいて、あなたの一瞬、一瞬は薛家の苦痛 良心が残っているか機会を与えたけれど、あなたは婉寧を選んだ お二人の末長い幸せをお祈りするわ。」「選んだのは私ではない、母と妹を捨てられなかった」「そうね、だから私を捨て、父と弟を見捨てた…もうあなたに期待しない いつか必ずあなたたちの悪事を暴いてやる」「阿狸(アリ)…」「今後はその名で呼ばないで、吐き気がする」蕭蘅は文紀から報告を聞いて大理寺に駆けつけた。すると牢獄の門を入った所で釈放された沈玉容とすれ違う。沈玉容を一瞥して通り過ぎ、収監された阿狸の元へやって来た蕭蘅。「これがお前の言う″やむに止まれず″か?」「粛(シュク)国公にお願いがあります、あなたにしか頼めない、長公主府から弟を受け取って」「薛昭が生きていたと?弟を引き取ったらどうするつもりだ?」「司徒娘子の返事を待っている、できれば粛国公からも催促してほしい」思わず涙ぐむ薛芳菲。「泣いても可愛くはないぞ?」蕭蘅は憎まれ口をたたいたが、阿狸が自分を頼ってくれたことに内心よろこんでいた。蕭蘅は薛昭を引き取るため自ら公主府を訪ねた。しかし婉寧はすでに国公府へ届けたという。実はその頃、国公府の前を通りかかった馬車から薛昭が放り出されていた。「長公主は切り札を手放さぬと思っていたが…」「私は約束した事は必ず守る、それに芝居の幕はまだ上がったばかり、ふふ あの女に歩くこともできなくなった役立たずの弟の姿を見せるの、殺すよりもずっと残酷よ」「それは残念だ、阿狸は弟が生きていただけで満足なのだから」すると蕭蘅は帰ってしまう。沈玉容は屋敷に戻っても牢獄ですれ違った粛国公の顔が頭から離れなかった。…今後はその名で呼ばないで…薛芳菲の言葉の意味に気づいた沈玉容はある決意を固め、妹に鍵を渡して寝室の掃除をするよう頼む。「あの部屋に戻る」その夜、沈玉容は婉寧を訪ねた。姜家と蕭蘅が何としても姜梨を救い出すはず、その前に身柄を押さえて沈家に置きたいという。「陛下に彼女との婚姻を願い出ます、殿下からもお願いを…」「初めから元夫人と復縁するつもりだったの?!」「彼女は私の名誉を著しく傷つけた、その私に殿下が未来を与えてくれたのです 私は復縁を望むほど愚かではない」「では、どうやって私の駙馬に?」「私に嫁いだ後、彼女を下女に落とせば永遠に殿下のしもべです あの女が足元にひれ伏す姿を見たくありませんか?…今の私には殿下だけです」沈玉容は詩にちなんだ菊のかんざしを結納品として長公主の髪に挿した。「あなたから初めての贈り物ね…私に婚姻を認めさせる手段じゃないの?」しかし人並みの幸せを手に入れた婉寧は嬉しそうだった。「でも姜家の同意がなければ陛下も婚姻を無理強いできない、どうするつもり?」「麗(レイ)妃に口添えを頼みましょう」「…良い手駒があったわね」後宮で突然死が相次ぎ、怨霊の仕業だと噂が広まって太卜令が破邪の術を行ったことがあった。結果、ある妃に怨霊が取り憑いていると判明し、妃は皇帝から毒酒を賜っている。実は麗妃が邪魔になった賢(ケン)妃を殺めるために打った芝居だった。麗妃は関係者を全て里に帰していたが、暇を出した宮女を婉寧が探し出したと知る。すると婉寧は宮女と引き換えに沈玉容と姜梨の婚姻を陛下に願い出るよう迫った。姜元柏も蕭蘅も姜梨の救出に奔走していたが手立てはなかった。このまま手をこまねいてもられず蕭蘅は皇帝を頼ったが、皇帝は″自分の駒なら自分で守れ″と言ったはずだと冷たい。「のめり込むとしくじるぞ?」すると太監が麗妃から御花園へ誘いだと知らせた。麗妃は姪も同然の姜梨が気掛かりだと訴え、実は沈学士の話では全て誤解らしいと伝えた。そこで沈学士を呼んで釈明させてはどうかと進言する。皇帝は沈玉容の接見を認めたが、内心ではどんな芝居が始まるのか興味津々だった。沈玉容が御花園にやって来た。沈玉容は姜梨が動揺しただけで悪意はなかったと説明し、姜梨を追及せぬよう嘆願する。すると麗妃は姜梨の名声が損われてしまったため、騒ぎを静めるためにも沈玉容に嫁がせてはどうかと提案した。「それでは沈卿に申し訳なかろう」「姜ニ娘子の名声が保てるなら麗妃娘娘のお言葉に従います」「だが中書令の意見も聞かねば、ともかく罪を追求せぬのなら大理寺に伝えよう 一件落着したゆえ姜梨を釈放し、屋敷へ返すように」薛芳菲は突然、解放された。てっきり蕭蘅のおかげだと思ったが、牢門で思いがけず沈玉容の姿を見つける。「私が送ろう、私に嫁がぬか?実は陛下に婚姻を賜った 2人が思い合っている仲ならこの件は無罪となる、君を守るためだ」「私がそれを信じると?聞くだけで吐き気がする」沈玉容は足早に正門へ向かった薛芳菲を追いかけた。「何にせよ歩いては帰れぬだろう?」「人殺しの馬車など乗れないわ」薛芳菲は追いすがる沈玉容を拒んで門を出たが、その時、馬車を降りて待っている蕭蘅を見つけた。すると薛芳菲は嬉しそうに駆け出し、蕭蘅の馬車に乗って帰ってしまう。蕭蘅は馬車の中でも阿狸の手を離さなかった。「私の婚姻の件を聞いた?」「聞いている、麗妃が取り持つそうだ」「なぜ麗妃が?婉寧の一味なの?」「以前は違ったが…今、探らせている、密偵の報告を待とう」薛芳菲は弟と涙の再会を果たした。積もる話もあったが、まずはゆっくり静養させ、追い追い話すと決める。「それより阿昭、今の私は薛芳菲ではない、新しい身分を手に入れたの、中書令の娘・姜梨よ」薛昭は姉の壮絶な経緯を聞いて胸が痛んだ。実はあの日、薛昭は姉の一件を文で知ったという。父に心配をかけまいと深夜、単身で都へ、京兆尹にはこの件が怪しいと訴え出ていた。しかし山道で刺客に囲まれ、応戦するも倒れてしまう。やがて目覚めると長公主の牢獄に捕らわれ、黒幕が長公主だと知ることになった。薛芳菲は国公府に弟を預け、姜家に戻った。姜元柏は迎えに行ったが無駄足だったと嘆いたが、姜梨が粛国公を信頼しているのなら口を出さないという。「だが本当は長公主に迫られ、証言を翻したのでは? 過去のことでお前は私を信頼できないのだろう、だが親子なのだ、私を頼ってくれ」薛芳菲は叱られるのを覚悟していたが、意外にも姜元柏は寛容だった。「長公主との件は解決しました、それより大事なことが…」姜元柏は麗妃が姜梨と沈玉容の婚姻をまとめたと聞いた。しかしあまりに突然過ぎる縁談ゆえ何か裏があると疑う。そこで薛芳菲は季淑然(キシュクゼン)を麗妃に会わせるよう頼んだ。「姉の様子を見れば麗妃の情け心が動くと?」「試してみましょう」文紀は密偵から届いた報告を伝えた。実は婉寧と麗妃の会見で例の宮中の祟りの話題が出たという。「暇を出された宮女がいます」「婉寧が麗妃を訪ねたのはその女を押さえたからだな」蕭蘅は皇帝への報告は無用と伝え、続報を待つことした。「阿狸にも伝えておけ」つづく( ๑≧ꇴ≦)えーっ!意外に婉寧がチョロい実はミッキーが一番くせ者じゃないのw
2025.10.30
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墨雨云间 The Double 全40話第32話「贖罪の行方」「前世も今生も思うままに生きろ、他人のために己を曲げて別人となるな」蕭蘅(ショウコウ)は阿狸(アリ)にそう助言して大昭(ダイショウ)国の見送りに出かけて行った。その様子を見ていた司徒九月(シトキュウゲツ)は蕭蘅の心に誰がいるのか確信し、これまで避けていた姜梨(キョウリ)の元へ向かう。「薬の処方を置いて行く、薛県令はそのうち全快するわ」「やっとお礼が言える…私が必要な時は全力で手助けすると約束するわ」「私を助けたいならそばにいる人を大切にして」蕭蘅が国公府の前で待っていると司徒九月がようやく出てきた。「あの鈴は?」「文紀(ブンキ)にやった、女子が身につける物だろう?」「信じられない!あげるんじゃなかった!」すると九月は怒って兄の馬車に乗り込んでしまう。実は九月が蕭蘅に贈った鈴は母の形見で、愛する人に渡せと言われていた。帰途に着いた国君は妹のため皇帝に蕭蘅との縁談を申し入れると言ったが、九月は必要ないという。「いくら求めても無駄だもの」沈玉容(シンギョクヨウ)は外交団の歓待に尽力した学士たちを招いて祝宴を開くことになった。沈夫人は朝から準備に追われていたが、来客名簿の中に姜梨の名前を見つけて憤慨、姜梨を呼ぶのは危険だと反対する。すると沈玉容はあっさり断ると答え、安心した母に薬入りの茶を飲ませて眠らせてしまう。妹には母が風邪気味で寝ていると嘘をつき、起こさぬよう釘を刺した。その晩、薛芳菲(セツホウヒ)はあのおぞましい事件が起こった沈宅に舞い戻った。一見、和やかに始まった宴、すると薛芳菲は皆が歓談している隙に席を立ち、独り奥殿に消えてしまう。薛芳菲は夫婦の閨房に向かった。しかし内戸には錠がかかっている。すると薛芳菲の思惑通り沈玉容が現れた。「初めて訪れた屋敷なのに詳しいのだな…入りたければ開けよう」「私がこの部屋を懐かしむとでも?」「…もう隠さぬのか?」沈玉容は芝居を続けるよう勧めたが、薛芳菲はその必要がなくなったという。薛芳菲は沈玉容が刺客から救ってくれようと、芳菲苑で愛を語ろうと、今や寒気がするだけだと言い捨てた。しかし少なくとも沈玉容が己を恥じている証しだと気づき、まだ引き返せると説得する。「唯一の贖罪の方法は御前であなたと婉寧(エンネイ)が薛家を陥れたと白状することよ」「急に正体を明かしたのは贖罪を求めるためか」沈玉容は確かに愛する妻に手をかけたことを悔やんでいたが、母と妹を巻き添えにすれば先祖に顔向けできず、たとえ自分の命は取られても沈家を守らねばならないという。その身勝手な言い分に薛芳菲は呆れ果てた。「もう何も望まない、罪を重ねればいいわ、私が報いを受けさせる!」「婉寧の後ろには成(セイ)王がいるんだぞ?!」すると沈玉容は感情的になった阿狸を引き止めようと思わず抱きしめてしまう。「離して!沈玉容!」その時、戻ってこない姜梨を心配して探していた葉世傑(ヨウセイケツ)が現れ、背後から沈玉容を殴った。薛芳菲は葉家まで巻き込まれることを恐れ、襲われてやむなく沈玉容を殴ったと罪を被ることにした。「表立って関わるのは得策じゃない、裏から力を貸して」「表からでも力になれる」実は葉世傑もすでに姜梨が薛芳菲だと気づいていた。「私は心から君を助けたいんだ」「ならここから出て行って、それが私のためなの…お願いよ」沈夫人が目を覚ました。息子に謀られたと気づいた沈夫人は慌てて沈玉容を探し始めたが、騒ぎに気づいた学士たちも後を追う。すると棒を持って立ちすくむ姜梨の横で沈玉容が倒れていた。「辱められそうになって…それで…」沈玉容は中書令の令嬢に無礼を働いた罪で連行された。姜家からの知らせで姜元柏(キョウゲンハク)は慌てて帰京、すでに噂は町の酒屋にまで広まっているという。姜元柏は今回こそ父親の務めを果たしたいと腹をくくり、訴状を書くことにした。翌朝、皇帝は婉寧を寝宮に呼んで禁足を解いた。そこで皇城司が司徒九月を襲った刺客をかくまっていたと明かし、大燕と大昭の友好を望まぬ者がいると牽制する。婉寧は作り笑顔で望まぬ者などいるはずないと否定したが、皇帝から姜梨と沈玉容の合奏の話を持ち出され、心中穏やかでない。「そう言えば皇姐は姜二娘子が沈玉容の亡き妻とうり二つと言ったな? 沈玉容は大理寺に連行された、姜二娘子への不行状の罪でな」婉寧はその足で大理寺に向かい、沈玉容の牢獄を訪ねた。すると沈玉容はすでに覚悟を決め、殺してくれと頼む。「殿下にはこれからも生き続けて欲しい、母と妹は見逃してください」沈玉容はむしろこれで自由になれると安堵したが、婉寧は沈玉容の生死を決めるのは朝廷ではなく自分だと言った。「あなたを助ける」その夜、薛芳菲が涼亭で棋譜を解いていると、蕭蘅が中庭に突然、飛び降りてきた。「茶…で次の布石は?」薛芳菲は蕭蘅に茶を出すと、沈玉容が引き返すのを拒んだと報告した。「ならば沈玉容を手駒として使い、長公主との汚れた関係を世に晒す」婉寧は必ず沈玉容を救おうとするはず、あの傲慢な婉寧のこと、必ず石を進めてくるだろう。「沈玉容を潰すため己の名誉を傷つけて、それで勝ったことになるか?」「沈玉容を殴ったのは私ではなく本当は葉世傑なの」蕭蘅はどちらにせよ一歩間違えれば牢にいたのは薛芳菲の方だったと一喝、約束を破ったと嘆く。「不本意だけど仕方がなかった」「阿狸…私はどうすればいい」「知ってる、あなたは国を支えながら私まで気にかけてくれる 私はあなたに身を投じると決めた、あなたの弱みではなく力になるために」すると人の気配に気づいた蕭蘅は姿を消してしまう。芳菲苑に趙珂(チョウカ)がやって来た。「文紀からです、こたびの件を知って主君は国境から早馬で駆け戻ったそうです」すると薛芳菲は思わず失笑した。「分かってる、出発した時と同じ衣だったから…」一方、李仲南(リチュウナン)は成王からの知らせを婉寧公主に報告した。失脚した沈玉容を自害に見せかけ始末しろという。しかし婉寧は朝廷のことを自分に任せて兄は強兵に励めばいいと突っぱねた。蕭蘅は皇帝に沈玉容をどうするつもりか聞いた。姜家は恐らく許さないはず、皇帝は望み通り事が運び、婉寧の出方が見ものだという。「姜ニ娘子は辣腕だな、男なら重用できたものを…」「これ以上、先に進めば姜梨が危険です」「蕭蘅…姜梨に惚れたのか?!」「はい」皇帝は憤慨、自分たちが大業を成し遂げるためには姜梨を犠牲にしなければならないという。すると蕭蘅は初めての朝議を覚えているか聞いた。…幼くして帝位についた趙鄴(チョウギョウ)庭園で巣から落ちた小鳥を助けた趙鄴は朝議より小鳥の方が大切だと訴えた『朕にはまだあやつらに立ち向かえる力がない、相応しい者がやればよい 父皇は朕のどこを見込んだのだ?』『恐らく陛下の誠実なお気持ちでしょう、世を慈しむお心です そのお心を忘れずに国事に臨めば必ず天の助けがあります』すると蕭蘅は自分がずっとそばにいると励ました…蕭蘅は常に形勢をうかがっている成王と婉寧に惑わされ、初心を忘れないよう諫言した。「何があろうと私がそばにいます 陛下が良き皇帝である限り、私と蕭一族は誓って忠義を尽くします」「…自分の手駒は自分で守るが良い」沈玉容の審理が迫っていた。葉世傑は姜梨が心配で様子を見に来たが、薛芳菲は自分の正体を知って怖くないのかと尋ねる。「怖くなどない、お前が誰であろうと私や葉家を助けてくれた その情義は本物だった、それにお前の過去を知ってから私は思い知ったよ お前への理解が浅過ぎた、だからお前は思う通りにすればいい」「何をするか聞かないの?」「ただこれだけは言っておく、お前が何をしようと私は味方だ」すると侍女の白雪(ハクセツ)がやって来た。「長公主府から招状が届きました」姜元柏は姜梨が長公主の誘いを受けると聞いて同行すると決めた。しかし招待したのは姜梨だけだと姜元柏は門前払いされてしまう。姜梨は仕方なく父に待つよう頼み、侍女の案内で婉寧のもとへ向かった。寝殿では婉寧が″芳菲散りて梨花白く″を弾いていた。すると姜梨がやって来る。「殿下の琴は横暴で冷酷無情、凄まじい遺恨さえ感じます 大燕の長公主とあがめられ、錦衣をまとい贅を尽くしているのに一体どんな恨みが?」「何も知らないくせに…極寒の代(タイ)国で人質となり、辛酸をなめたのは当然だと?」 「だから人を殺してもいいの?私は恨みを心の支えに蘇った でも己の勝手で人を殺めたり、一家を滅ぼしてなどいない」婉寧は生意気な薛芳菲の首をつかんだが、薛芳菲は怯むことなく腕をつかみ返してきた。そこで婉寧は沈玉容との出会いを語ることにする。「沈玉容のことは好きよ」…あの日、皇帝を訪ねた婉寧は偶然、その年の状元となった沈玉容を見かけた太監の話では翰林院に配属が決まり、典籍の編纂を任されたという婉寧は翰林院の中庭に手巾を落として隠れたすると沈玉容が現れ、誰が落としたかも知れない手巾を拾ってしまう『沈学士、私の手巾に触れるとは罰当たりね』その声は婉寧公主だった沈玉容は長公主に気づき、丁重に拝礼する…「あの頃、彼を面白い男だと思ったわ 誰もが私を避け、陰で侮辱していたけれど、彼だけは礼儀正しく接してくれた」…沈玉容は長公主に手巾を返そうとした『私の手巾を拾ったということは私たち縁があるのね?』『恐れながら私は妻帯しております』沈玉容は仕方なく侍女に手巾を返して行ってしまう…「沈玉容はひたむきで清廉だった、私とはあまりに違う、清らかだった それゆえ想像がついた、寄り添う女子もきっと清らかだろうとね」当時、婉寧は偶然、仲睦まじい沈玉容と妻の姿を見たことがあった。「代国に送られなければ私も同じようによい男に嫁いで幸せだったかも知れない どうして私は駄目だったの?私は幸せと無縁だったのに、なぜ幸せな者がいるの? 自分の運命を呪ったわ、だから沈玉容を泥沼に引きずり込んだの、私たちが一緒になるために」薛芳菲は妻殺しの沈玉容にかつての清らかさなどないと言い捨てた。そんな男に未練などなく、いずれ沈玉容と長公主は報いを受けると断言する。「どうせ沈玉容を助けられない」「救えるわ、沈玉容を助けるには1人の自供で十分、あなたよ」「はいはい、お望み通り証言いたします~」薛芳菲は長公主の負け惜しみを受け流して帰ることにしたが、婉寧はいきなり薛芳菲の手をつかんで引き止めた。「帰るのは早い、会わせたい人がいるの、お前がよく知る者よ?」つづく( ๑≧ꇴ≦)盛り上がってまいりましたー!
2025.10.30
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墨雨云间 The Double 全40話第31話「外交団の到来」成(セイ)王の腹心・楚嵐(ソラン)に襲われ、やむなく毒弾を爆発させてしまった司徒九月(シトキュウゲツ)。楚嵐は毒を吸い込みばったり倒れたが、同時に九月と文紀(ブンキ)も意識を失ってしまう。すると武功の高い楚嵐が最初に目を覚まし、大昭(ダイショウ)公主に狙いを定めた。その時、葉世傑(ヨウセイケツ)から知らせを聞いた蕭蘅(ショウコウ)が駆けつけ楚嵐を阻止する。しかし楚嵐は煙玉を放ち、逃げてしまう。薛芳菲(セツホウヒ)は葉宅での騒ぎを知って国公府へ駆けつけた。すると中庭で葉世傑を見つけ、司徒九月が薛懐遠(セツカイエン)の治療に来たが、刺客に襲われたと聞く。薛芳菲は父が無事だと聞いて安堵、念のため国公府が薛懐遠を預かってくれることになったと知った。「あなたは大丈夫なの?」「大丈夫だ」薛芳菲は回廊で心配そうに待っている蕭蘅を見つけた。その時、ちょうど診察を終えた女医官が出てくる。「命に別状はありませんが、数日は休息を…」薛芳菲は初めてみる蕭蘅の不安そうな表情に気づき、思わず凝視した。殺気を感じた蕭蘅は阿里(アリ)が誤解していると焦り、虎視眈々と狙う敵から大昭公主を守らねばならないと慌てて釈明する。薛芳菲は会盟を望まぬ者がいることを知り、父の治療に来て襲われた九月に責任を感じた。「彼女が回復するまで毎日、お見舞いに来るわ」「当真?!」「何ですって?」「お前が毎日、屋敷に来るんだな!」厳戒態勢の中、逃走した楚嵐は一向に見つからなかった。城外へ脱出することなど不可能、婉寧(エンネイ)公主も禁足中、隠れるなら李家を頼るしかない。一方、姜梨(キョウリ)の相手に指名された杜石(トセキ)は祖母が危篤のため梧(ゴ)州に帰省、再び共演者がいなくなった。趙斉(チョウセイ)は学士たちに姜梨に相応しい才子は沈玉容だが、姜梨が亡き妻とうり二つのため沈玉容が避けていると吹き込む。ここで薛芳菲はもう一押し、最後の仕上げに姜景睿(キョウケイエイ)にも協力を頼んだ。「沈学士に演奏の辞退を申し出る、沈学士は姜家の者に事情を聞くはずよ」「それが私だな?」「私を訪ねるよう誘導して」翌日、姜梨の辞退の申し出を聞いた沈玉容が礼部の様子を見に来た。すると薛芳菲の予想通り沈玉は姜景睿に姜梨の辞退の理由を尋ねる。そこで姜景睿は場所を変えて話したいと頼んだ。姜景睿と柳絮(リュウジョ)は姜梨が流言のせいで気を病んでしまったと報告した。噂によれば姜梨が沈学士の妻とうり二つのため、沈学士が必死に避けているという。柳絮は嫁入り前の娘には残酷な噂だと嘆き、自分たちでも説得できないと落胆した。そこで姜景睿は沈学士なら姜梨の心をほどけると訴える。歓迎の宴まであとわずか、沈玉容はやむなく芳菲苑に姜梨を訪ねた。薛芳菲は噂を否定するためにも沈玉容と組みたいと頼んだ。姜梨と前妻を混同していないと示し、姜梨を避けていないという証しになる。「何が怖いのですか?亡き夫人を憎んでいたのね だから私に夫人への憎しみを転嫁し、目の敵にして避けた 人も羨む夫婦の間にあったのは憎しみよ!」「黙れ!」沈玉容は珍しく興奮して机を叩き、声を荒らげた。「無礼でした…部屋に戻ります」薛芳菲は席を立って涼亭をあとにした。「恨んでなどいない」「…今なんて?」「愛していた」すると沈玉容は姜梨との共演を承諾した。薛芳菲は約束通り毎日、司徒九月と父の見舞いに国公府を訪ねた。しかし2人の仲睦まじい姿がかえって九月の機嫌を損ねてしまう。蕭蘅もまた阿狸が沈玉容と共演すると知って嫉妬、一方、沈玉容も母から薛芳菲に未練があるのかと責められていた。「長公主に知られたらどうするの?」「ご心配なく、よく分かっています」2人の共演はもちろん婉寧の耳にも届いていた。「何がいけないのか思い知らせないとね」姜梨と沈玉容は人目につく翰林院の中庭で練習を続けた。そんなある晩、翰林院からの帰り道、薛芳菲の前に突然、黒衣の刺客が現れる。物陰に隠れていた姜梨の護衛・趙珂(チョウカ)が飛び出そうとしたが、その時、沈玉容が現れ、咄嗟に姜梨をかばって肩を刺されてしまう。刺客は逃亡、趙珂が追跡したが逃げられた。芳菲苑に戻った薛芳菲は趙珂の報告から刺客が婉寧の仕業だと分かった。「…惜しかったわ、証人にできたのに」すると突然、蕭蘅が屋根から飛び降りて来た。「それがお前の狙いか」蕭蘅は阿狸が沈玉容だけでなく婉寧まで揺さぶるつもりだと知り顔をしかめた。「自ら身を投じるなと言ったのを忘れたか?」「身を投じるのは得策ではない、でも今はこうせねばならないの 安心して、もう危ない真似はしない」「口ばかりだな、共演はやめろ」蕭蘅は思わず扇で阿狸の頭を叩いた。「粛(シュク)国公、自分を信じるように私も信じて」婉寧は負傷した沈玉容をいたぶっていた。「刺客が私の配下と知りながらあの子を守ったわね?」「殿下、翰林院の前で殺しがあれば私の責任になります」「どうやら私を怒らせたいようね?勝手に姜梨との共演を決めるなんて」「わだかまりがないから共演できるのです、避ける方がやましく見える」「綺麗ごとばかり言うのね~本当にやましくないか見てあげる」婉寧はわざと沈玉容の傷口を押しながら、禁足が解けたら真っ先に姜梨に会いに行くと言った。楚嵐は李仲南(リチュウナン)が掌握する皇城司(コウジョウシ)に隠れていた。会盟を前に司徒九月を襲った刺客が野放しとあっては大燕の誠意が疑われる上、成王の蜂起も未知数。蕭蘅の話を聞いた皇帝はこの機に皇城司を落とすと決めた。すると蕭蘅は皇帝直属の龍武軍の出番だという。皇城司に蕭蘅たちが乗り込んだ。袁疆(エンキョウ)は国公府の威光など通用しないと反発、兵士を呼んで剣を抜いたが、その時、蕭蘅の暗衛ではなく龍武軍が雪崩れ込んでくる。「袁将軍、勅命である、営門を開けよ!」「聖旨はどこだ!」すると蕭蘅は事後承諾が龍武軍の特権だと言い放った。「捜索せよ!遮る者は斬り捨てて構わぬ!」しかし成王の刺客が援護し、またしても惜しいところで楚嵐に逃げられてしまう。李仲南は部下に罪を着せ、引責辞任した。ひとまず皇城司を取り戻したことで成王の駒を減らした皇帝、片をつけるのは大昭国との会盟を終えてからにする。一方、李仲南は李瑾(リキン)の失態に激怒していた。楚嵐が皇城司にいると知っているのは自分と楚嵐本人と李瑾だけ、李瑾が漏らしたとしか考えられない。実は李瑾は楚嵐を餌に蕭蘅を皇城司におびき寄せていた。国公府の暗衛の数などたかが知れている上、皇城司の忠誠心を試せると期待したが、蕭蘅がまさか龍武軍を使うとは…。李瑾は挽回の機会が欲しいとすがったが、父の怒りは収まらなかった。「皇城司を失った今、どう挽回できると?!…この役立たずめ! お前にもう機会はない!」大昭国の外交団が到着、国君は離ればなれになっていた妹と再会した。祝宴ではついに姜梨と沈玉容による笛と琴の合奏が始まり、それぞれの思惑が絡み合う中、無事に宴はお開きとなる。翌日、姜梨が国公府を訪ねると、蕭蘅は機嫌が悪かった。「大昭国君と九月を国境まで送る」「いつお戻りに?」「分からぬ、プイッ!」「昨夜の演奏は今までで一番ひどかったわ、次はもっといい曲を弾いてあげます」「覚えておこう」「ふふ、だからお早いお戻りを」「出かける前に言っておく、前世も今生も思うままに生きろ 他人のために己を曲げて別人となるな、他人とは私も含めてだ」すると蕭蘅は出かけてしまう。その様子を九月が見ていた。つづく( ̄▽ ̄;)あれ?婉寧の乱入はないんだ…オカルトカップルが気になって男主と女主の話がなおざりにw
2025.10.28
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墨雨云间 The Double 全40話第30話「それぞれの思惑」姜景睿(キョウケイエイ)が姜梨(キョウリ)に届いた接待使の名刺を持ってきた。すると姜景睿、柳絮(リュウジョ)、葉世傑(ヨウセイケツ)が礼部に配属されたにも関わらず、姜梨だけ楽工部に配属されたと分かる。…沈玉容(シンギョクヨウ)は私が近づくのを極度に恐れている、私に何か弱みを握られるのが怖い?もしくは婉寧(エンネイ)がまた理性を失うのを恐れてるの?…ともかく薛芳菲(セツホウヒ)は楽工の練習に顔を出したが。一方、蕭蘅(ショウコウ)の命で司徒九月(シトキュウゲツ)を探していた文紀(ブンキ)がついに九月を発見、国公府へ連れ帰った。実は司徒九月こそ大昭(ダイショウ)国公主。蕭蘅は九月の兄である国君が迎えに来ると教え、恐らく成(セイ)王に狙われると踏んで国公府で暮らすよう勧めた。蕭蘅の思いがけない気遣いが嬉しい九月、しかしその優しさに裏があると分かる。「それから治して欲しい者が2人いる」「その2人は誰のために治したいの?また姜二娘子とやらのため?」すると九月は蕭蘅の誠意を見たいと蜘蛛狩りに付き合えという。山に入った九月は落水したふりをして蕭蘅の気持ちを確かめようとした。九月の叫び声を聞いて駆けつけた蕭蘅は湖面の波紋を見て飛び込もうとしたが、突然、九月が現れ止める。「心配してくれたのね」「私を愚弄して楽しいか?」蕭蘅を怒らせたと気づいた九月はお互い様だと言い返した。かつて毒にあたった蕭蘅を救った九月。『その毒矢の毒は私にしか解けない…助けて欲しいならその身を捧げてもらう』『色恋に興味はない、見捨てるがよい』九月は姜梨に嫉妬、自分には色恋に関心がないと言ったはずだと憤慨し、治療するかしないかは自分で決めると言って戻ってしまう。その様子を楚嵐(ソラン)が見ていた。( ๑≧ꇴ≦)ソランwwwww報告書の提出で沈玉容を訪ねた葉世傑はちょうど楽工部の蕭徳音(ショウトクイン)と一緒になった。すると蕭徳音は姜梨が体調を崩して2日も稽古に来ないと訴え、このままでは演目を完成できないという。葉世傑は心配して芳菲苑に薬を差し入れた。しかしなぜ姜梨が琴の稽古くらいで病になったのか分からないと首を傾げる。実は皇帝が姜梨の琴の独奏を所望したと聞いていたが、実際は楽団の中の1人で、新曲の楽譜を渡されていた。翌日、沈玉容と葉世傑は皇帝に謁見した。すると案の定、沈玉容が楽工部に預けた姜梨が病になり、静養に専念させたいと申し出る。葉世傑は従妹によると初めての曲のため稽古に励み過ぎて倒れたと説明、数日で治るとかばった。そこで姜梨の指示に従い、翰林院の学士の吟詩と合わせる演目ではどうかと進言する。皇帝は面白い提案だと喜んで沈玉容に試すよう指示、沈玉容は断れなくなった。沈玉容は姜梨と組む相手にかつての見合い相手・趙斉(チョウセイ)を指名した。趙斉の弱みを握っている薛芳菲は情婦がいることをばらすと脅して断らせたが、沈玉容は聞く耳を持たない。そこで薛芳菲は練習中に趙斉と大喧嘩を演じて仲間割れを装った。趙斉が怒って帰るのを見た沈玉容は仕方なく練習部屋に向かう。「…故意に私と見合い相手を組ませて辞退するよう仕向けたのでしょう?」「誤解だ、優秀だから選んだ、さもなければ葉員外への姜二娘子の献策に見合わない」「あなたが私を追い払おうとしたのが先よ?」「そなたの仮病が先だ」薛芳菲は国と姜家の威信にかけて絶対に辞退しないと断言、自分の足を引っ張れば国の尊厳を失うことになると警告した。翌日、沈玉容は姜梨の次の相手に杜(ト)家公子を選んだ。杜公子からなぜ大役を辞退したのか聞かれた趙斉は姜梨に頼まれた通り悪口を吹き込み、言い訳を考えて辞退するよう助言する。すると杜公子は仕事が終わるや腹を下したと訴え、練習どころではないと慌てて帰ってしまう。その晩は雨になった。薛芳菲は馬車が壊れて歩いて来たため練習時間に遅れたが、沈玉容の様子で相手が決まらなかったと悟る。「…私と組みたい者などいない、ふっ、ずぶ濡れになり相手にも逃げられ、私ったら滑稽ね」「姜梨、愚弄したわけではない、杜公子は本当に体調が悪くて…」「沈学士は正しかった、この会盟で名声を得たいと望むなど浅はかでした」沈玉容は姜梨に雨が止んでから帰るよう勧めた。そこで火鉢の前に座らせ、冷えないよう自分の外套をかけてやる。薛芳菲はその時、沈玉容がうっかり落とした書巻を拾った。「劉向の″説苑″ですか?…大部分が散逸したのに、よくこんなに集められましたね」実は説苑の復元を沈玉容に進言したのは亡き妻・薛芳菲だった。「苦労したが編纂して残せば後世で役立つだろう、一目見て説苑と分かるとは恐れ入ったよ」沈玉容はそれとなく牽制しながら、説苑の教えに従って六正の道を守っていると言った。「臣の中には″六正六邪″がいるとか、″六正は栄なり、六邪は蓐なり″ もしある者が行いは正なるも邪を犯せば、その者は正か邪か、どちらですか?」「…善行を積もうとも良心に反すれば天雷に打たれるだろう」その時、激しい雷鳴が轟いた。すると薛芳菲は沈玉容が汚点なき正義の人だと信じていると嫌味を言って帰ってしまう。翰林院を出た薛芳菲は悪心に耐えきれず、しゃがみ込んでえずいた。すると蕭蘅が現れる。「気味の悪いものでも見たのか?」「なぜここに?」薛芳菲は蕭蘅の顔を見ると緊張が解けたのか、ふと笑顔を見せた。蕭蘅は阿狸(アリ)を国公府へ案内、自分の衣に着替えさせて夕食を振る舞った。「沈玉容に近づくのは危険な手だ」「必要なのです、弱みをつかんで薛芳菲の冤罪をそそぐわ 長公主は私を殺そうとしているけれど、私の賭けが破滅への道とは限らない」蕭蘅はあえて口に出すのは恐れているからだと揶揄した。すると薛芳菲は打ち明けて気が楽になったと笑って答える。「九月なら戻った、薛県令と海棠(カイドウ)のことは心配するな だが約束してくれ、今後はどんな策を行おうと自ら身を投じないと… お前は満足でも私は受け入れられない」「はお」沈玉容が屋敷へ戻ると母が待ち構えていた。どうやら妹が兄と姜梨が翰林院で2人きりだったと告げ口したらしい。すると沈夫人は貪官に苦しめられて亡くなった夫に誓った言葉を思い出させた。…必ず状元になって名臣となり、貧官を一掃する…沈夫人はせっかく登り詰めた息子が長公主の不興を買って将来を台無しにすることを恐れた。しかし沈玉容は自分の進む道なら分かっているという。翌朝、陸璣(リクキ)が泥酔した司徒九月を連れて国公府へ戻った。しかし九月が目を覚ましてみると椅子に縛り付けられている。実は九月のお目付け役を任された文紀が毒使いの九月に手を焼き、逃げられないよう拘束していた。司徒九月は解放してもらうため、薛県令の治療に行くと訴えた。文紀も葉宅に同行したが、対応に出た葉世傑は姜梨の許可がなければ案内できないという。(* ˙꒳˙ )ふーん( ゚ロ゚)ハッ!葉世傑、逃げろ!( ゚д゚)え?…あ!すると葉世傑は九月の毒蜘蛛に刺されて動けなくなってしまう。(´・_・`)だから逃げろとあれほど…司徒九月は蠍の毒を使って薛県令を治療した。文紀は動けなくなった葉世傑を連れて外で待っていたが、九月は窓からこっそり逃げ出してしまう。すると刺客が現れた。「文紀!」九月の悲鳴を聞いた文紀は葉世傑を置き去りにして駆けつけた。やはり九月を狙って現れた楚嵐たち。九月は応戦しながら隙を見て葉世傑に解毒薬を渡し、蕭蘅を呼ぶよう頼んだ。2人は配下たちを何とか始末したが、使い手の楚嵐相手にいつまでもつか分からない。「一か八かよ」九月は背に腹はかえられず、毒弾を爆発させた。楚嵐は毒を吸い込みばったり倒れたが、九月と文紀も意識を失ってしまう。つづく
2025.10.27
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墨雨云间 The Double 全40話第29話「父の罪」姜梨(キョウリ)の排除に失敗した挙げ句、これまでの罪が全て暴かれてしまった季淑然(キシュクゼン)。慌てた季彦霖(キゲンリン)は皇帝の寵姫である娘を頼ったが、麗(レイ)妃は姉妹を権力を得る道具として扱ってきた父に反発、季彦霖に責任を追わせて淑然の命を救おうとした。「今すぐ官職を辞して出家するの!…いずれ口実をつけて元の生活に戻してあげる」季彦霖はなぜ自分が犠牲になるのかと嘆いたが、麗妃は姉を見捨てるならもう1人の娘も失うことになると言い放った。姜老夫人は今夜、季淑然に毒酒を届けると決めた。すると姜梨が最後に継母と話がしたいと、その役目を買って出る。非業の死を遂げた姜梨と自分を庇って死んだ桐児(トウジ)のため、自ら決着をつけようと決めた薛芳菲(セツホウヒ)。しかし突然、姜宅に麗妃の使者がやって来た。季淑然は命による償いを免れた。実は季彦霖が娘の罪をかぶって官職を辞し、出家することになったという。「季淑然は父親の指示に抗えず罪を犯し、酌量の余地がある 姜相国、ご理解頂けましたね?」姜元柏(キョウゲンハク)と老夫人は姜梨のわだかまりを心配したが、薛芳菲はこの朗報を継母に伝えに行くと言った。物置部屋に軟禁された季淑然は雪珍珍(セツチンチン)や胡(コ)氏、柳文才(リュウブンサイ)の幻覚に怯えていた。すると思いがけず姜梨がやって来る。「胡氏から聞いたわ」これまで雪珍珍が亡くなったのは産後の肥立ちが悪かったためだと思っていた。しかし胡氏の話では季淑然が葉珍珍を診ていた医者を孫(ソン)氏に指示し、口封じに殺させたという。快方に向かっていた雪珍珍が急逝したのは恐らく、淑然が医者に金をつかませ薬を変えたからだろう。「胡姨娘は姜月(キョウゲツ)のもとへ旅立った、遺書にあなたが母親を毒死させたと書き残してね」驚愕した淑然は戸を叩きながら夫に助けを求めたが、薛芳菲は無駄だと言った。「あなたは流産して姜家を味方につけた、でももうあの惨劇が陰謀だったと証明されたの あなたが報いを受ける番よ、亡くなった人はあなたを許さない」「姜梨!私が幽鬼なったらお前に取り憑いてやる!」「なら会いにいくのね、黄泉の国で姜梨がずっと待っているはずよ!」「何ですって?!…あなた、やっぱり姜梨じゃないの?!」姜梨は貞女(テイジョ)堂で激しい折檻の末に死んでいた。薛芳菲から容赦なく責め立てられた淑然は父から強要されたと泣き崩れたが、自分の罪の重さに堪え兼ね、正気を失ってしまう。一方、意識が戻った姜若瑶(キョウジャクヨウ)もまた母の仕打ちを知って激しく動揺していた。侍女はまだ養生が必要だとなだめたが、若瑶はどうしても母に聞きたいことがあると涙する。「私に毒を飲ませた時、少しでも胸が痛んだの?」姜元柏が芳菲苑の外で待っていると姜梨がやって来た。薛芳菲は季淑然が正気を失ったと報告し、墓守りをさせて胡氏の苦しみを味わってもらいたいという。「梨R…私を恨んでいるか? あの女がこんな毒婦だと知っていたら決して姜家に迎え入れなかった!」「恨んでいません、許します…父親、そう言わせたいのでしょう?」しかし薛芳菲は壮絶な最期を遂げた姜梨の無念を思い知らせた。「本当に許せると思いますか?貞女堂での日々など想像もできないでしょう? 少しずつ希望を失い、見捨てられたのだと悟りました 姜家に帰りたい一心で努力してきたのに、その願いすら打ち砕かれた 父親、梨Rに教えていただけませんか?10年間の傷はどうすれば癒えるのか? 傷口はふさがっても痕はずっと残っているのものです 因果応報です、妻も子も失った、あなたの梨Rはもう戻ってこない…」姜元柏は休職を申し入れ、姜若瑶を連れてしばらく遊歴することにした。老夫人は姜梨との父娘の関係を修復する肝心な時だと言ったが、姜元柏はすでに時を逃してしまったと落胆する。一方、北方では成(セイ)王・趙晟(チョウセイ)が妹の失態で太卜署という駒を失ったと知った。しかし季家と姜家が失脚したおかげで今や李仲南(リチュウナン)の独壇場だと聞いて笑いが止まらない。その頃、朝堂では李仲南が意気揚々と成王の功績を称えていた。「成王が北方で大燕の土地を奪回、代(タイ)国皇帝を10里も退けました 恩賞を与え、将兵の士気を高めては?」もはや朝議で李仲南に反対する者はおらず、洪孝(コウコウ)帝・趙鄴(チョウギョウ)は冷静を装いながらも不満を募らせた。散会後、蕭蘅(ショウコウ)は怒り心頭の皇帝をなだめた。密偵によれば大昭(ダイショウ)の内乱の収束が近く、すでに情勢が安定し、王子が国君の座についたという。「残党の捲土(ケンド)重来を防ぐには盟友が必要なはず 我らも南方に盟友を得れば成王の増強を危惧せずに済みます 国君は若く、子はいませんが妹が1人おります 迫害を恐れ逃亡中のところ、私が南方で救出しました」「ふっ、先手を打ったな」皇帝は早速、大昭国君の即位を祝って外交団を招き、盟約を結ぶと決めた。しかし礼部と儀を仕切ってきた中書令が休職中のため、沈玉容(シンギョクヨウ)に任せることにする。「お前の駒は沈玉容に近づく機会を回避するまいな?」「例の駒を危険にさらせと?」皇帝は失笑、蕭蘅の一瞬の迷いを見逃さなかった。「蕭蘅?お前も劇中に?」「入るものですか」「それなら良い」一方、成王も腹心の楚嵐(ソラン)から大昭国君が大燕との会盟のため、自ら外交団を率いてやって来ると知った。楚嵐の推察では国君の本当の目的は内乱で大燕に逃亡した公主を迎えに来ることだという。「趙鄴が公主を発見し、こたびの来訪となったのやも…」「ふっ、もし大燕で公主が命を落とせば?」成王は楚嵐に蕭蘅を見張り、接触相手を全て調べるよう命じた。薛芳菲は桐児を失った悲しみを紛らすように葉(ヨウ)宅に身を寄せる父の面倒を見ていた。姜景睿(キョウケイエイ)と柳絮(リュウジョ)は姜梨を心配して差し入れを届けたが、姜梨は顔も見せない。そこで葉世傑(ヨウセイケツ)は姜梨に気晴らしさせようと、大昭の外交団をもてなす接待使に志願してはどうかと勧めた。しかし姜梨はしばらく休みたいと断り、そっとしておいて欲しいという。心にぽっかり穴が空いてしまった薛芳菲。弟の墓参りに出かけ、死んだと思っていた父とも再会し、苦楽を共にする友もできたが、この寂しさだけは誰にも埋めることはできないと吐露した。すると蕭蘅が現れ、阿狸(アリ)が探していた娘を趙珂(チョウカ)が連れてきたと知らせてくれる。「だが心を閉ざしている、注意深く接するのだぞ」海棠(カイドウ)は雷に怯えて部屋の隅で丸まっていた。「海棠?私よ?薛芳菲よ?」海棠は恐怖に震えていたが、かつての主の声だと分かって顔を上げた。「娘子(ニャンズー)…生きていたんですね…」すると文にあった通り海棠の頬には大きな刀傷が残っていた。あの時、海棠は監禁された薛芳菲を助けようと沈玉容に文を渡したが、その後、麻袋に入れられ暴行を受け、死んだと思われたのか墓地に捨てられた。また見つかって捕まることを恐れ家に戻れず、隣の県で数月さまよっていたという。残飯で食いつなぎながら生き延びて故郷へ戻り、弟と再会、そこでやっと薛家の惨劇を知ったのだった。「海棠、酷い目に遭わせてごめんね」「悪いのはあの人たちです!」こうして海棠との再会が叶った薛芳菲。姜梨の復讐を果たし、いよいよ自分の恨みを晴らす時が来た。薛芳菲は蕭蘅から外交団の采配が沈玉容だと聞いて早速、志願すると決めた。しかし沈玉容は明義(メイギ)堂から届いた自薦の名刺の中に姜梨の名前を見つけ、勝手に保留にしてしまう。沈如雲(シンジョウン)は兄が隠した姜梨の名刺に気づいて母に報告した。すると沈夫人は自分たちが贅沢に暮らせるのも長公主のおかげだとそれとなく諭し、決して長公主の機嫌を損ねてはならないと釘を刺す。沈玉容は母の言葉に激高、沈家は長公主の犬ではないと怒号を響かせ出て行ってしまう。薛芳菲は選抜の結果が自分にだけ届いていないと知った。沈玉容が渋っていると気づいた薛芳菲は葉世傑に口添えを頼み、沈玉容を姜家に呼びよせることにする。そこで葉世傑は沈玉容と一緒に大昭外交団歓待の日程を皇帝に献上した折、歳試で大きな反響を呼んだ姜梨の琴を演目に入れてはどうかと進言した。沈玉容は姜家の騒動を考慮して許可しなかったと釈明し、仕方なく葉世傑に名刺を届けるよう頼む。しかし葉世傑は代理が届ければ保留されたこともあり、誤解を招くと断った。姜家に沈玉容がやって来た。すると沈玉容は姜梨から辞退して欲しいと頼む。「沈学士、何を恐れているの?」「君の意図は見え見えだ」沈玉容は姜梨が薛芳菲だと見抜いていた。「私は中書令の娘・姜梨であり、亡き沈夫人ではないわ」「ではなぜ接待使に執着する?」「侍女が私をかばって死んだ、実の妹も同然だった、その悲しみから逃れたいの! 落選させるなら亡き夫人の面影を求めたりしないで納得できる理由を示してください さもないと勘繰られるわ?」その夜、沈玉容は明かりも灯さず、ぼんやりと鏡を見つめていた。すると突然、笑顔の薛芳菲が映り込み、激情に駆られて鏡を投げ捨ててしまう。姜梨、婉寧、そして母と妹…。女たちの圧力はまるで真綿で首を絞めるようにじわじわと沈玉容を追い詰めていた。つづく( ˙꒳˙ )そうか!人形の九月が公主なのか!
2025.10.25
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墨雨云间 The Double 全40話第28話「破邪の儀式」粛(シュク)国公・蕭蘅(ショウコウ)は中書令夫人・季淑然(キシュクゼン)が太卜令(タイボクレイ)を訪ねたと聞いた。「長公主府の外の怪火に姜(キョウ)家での破邪儀式か…」文紀(ブンキ)はすでに調べさせた太卜署の配置図を広げたが、そこへ姜梨(キョウリ)が来たと前触れが聞こえた。すると文紀と陸璣(リクキ)が急いで配置図を片付け、碁盤を置いて何食わぬ顔で姜梨を迎え入れる。「ご多忙のところをお許しを」「構わぬ、碁を打っていた…破邪の件か?」薛芳菲(セツホウヒ)は継母だけで太卜令を抱き込めると思えず、恐らく裏に婉寧(エンネイ)公主がいると疑っていた。実は腹話術の名人を貸して欲しいという。「借りが多すぎて…今ではもう返せぬほどです」「返済はいらぬ」2人は意味ありげに微笑み合うと、薛芳菲は帰って行った。(´・_・`)何この感じ?w翌朝、桐児(トウジ)は国公府から来た腹話術師に侍女の衣を着せて白雪(ハクセツ)に任せた。報告を聞いた薛芳菲は継母との因縁の対決を前に、苦楽を共にしてきた桐児に玉を贈る。「全て片付いたらどうしたい?」「私は単純だから衣食に困らない生活がしたい」薛芳菲はこれからも一緒にいてくれたら嬉しいと言った。もし出て行きたいのなら家を整えると約束、店を出すもよし、嫁ぎたいのなら縁談を探すという。「そんな…もったいない」「あなたを本当の妹だと思ってる、そんなこと言わないで」「姐姐…」ついに太卜令・柳文才(リュウブンサイ)が姜家にやって来た。柳文才は昏睡する姜若瑶(キョウジャクヨウ)のため祈祷を行ったが、突然、若瑶が苦しみ出して喀血してしまう。実は季淑然が姜元柏(キョウゲンパク)の目を盗んでこっそり娘の口に血のりを放り込んでいた。邪術に懐疑的だった姜元柏も流石に動揺、すると柳文才が魔に魅入られて精気を吸われていると説明し、根源を絶たねば若瑶の命は危ういという。「恐らく魔物は屋敷の中に…一刻も早く破邪を」( ๑≧ꇴ≦)なぜタンバリンwwwその夜、姜宅の中庭で破邪の儀式が始まった。老夫人を除く全員が集められ、柳文才が祭壇から問答を行い、魔物の宿主を探すという。目隠しして剣を構え、宿主を示すよう祈る柳文才、すると剣は迷わず姜梨を示した。思えば姜梨が習わずして琴の技に通じているのも魔がもたらした熟練の技、薛県令の冤罪をそそぎ、その娘・薛芳菲にうり二つなのは清呈(セイテイ)山で死んだ薛芳菲に宿っていた魔物が姜梨に憑依したせいだという。「急ぎ駆除せねば害は姜家全体に広まる!姜二娘子を道観に連れて行き、数月に渡り祈祷する」窮地に陥る薛芳菲、その時、趙珂(チョウカ)が侍女に扮した腹話術師を連れて近くへ移動した。薛芳菲は破邪の儀式を逆手に取った。それとなく血糊を口に含んだ薛芳菲は急に苦しみ出し、血を流しながら絶叫したかと思うと魂が抜けたように脱力する。「爹爹…ディエディエ…私よ?月Rよ?助けて!」薛芳菲の口に合わせて姜月(キョウゲツ)の声を真似る腹話術師。すると胡(コ)氏が駆けつけ、姜元柏に泣きついた。「お忘れですか?!今のは月Rの声です!」焦った柳文才と季淑然は姜梨と胡氏を引きずり出そうとしたが、そこへ騒ぎに気づいた老夫人が現れた。「放しなさい!孫の月Rに関することよ!誰も動いてはならぬ!」薛芳菲は姜月が憑依した振りをして季淑然が姜月を手にかけたことを示唆した。胡氏も季淑然が8歳の娘を殺したと激怒、その場は騒然となる。すると姜梨は気が抜けたようにへたり込み、正気に戻った。と同時に趙珂が腹話術師を連れて引き上げる。「父親、祖母…太卜令の力は本物です」薛芳菲は朦朧とした意識の中で姜月と姜若瑶の姿を見たと明かし、季淑然が娘を泣かせた姜月に怒って突き飛ばし、倒れた姜月が頭を打って死んだと暴露する。「なのに誤って池に落ち、溺れ死んだことにされたわ!」「嘘よ!姜梨は魔に乗っ取られている!太卜令!あなたの出番よ!」季淑然の叫びを聞いた柳文才は淑然が姜梨を排除したい理由を思い出した。『実は死んだ子供はあなたの子だった あの時、姜梨が身ごもっていた私を楼閣へ連れて行き、私を転ばせて子は流れた 姜梨がいなければ私たちに子があったはず 私は日夜、復讐を考えている、あなたはどう?姜梨の排除に協力してくれる?』柳文才は季淑然の言葉に惑わされ、突然、姜梨に襲いかかった。すると咄嗟に薛芳菲の前に飛び出した桐児が身代わりとなって刺されてしまう。そこへ趙珂が援軍を連れて雪崩れ込み、太卜署は制圧された。しかし柳文才は趙珂に腹を刺されながらも季淑然を人質にして逃げ出してしまう。。・゜・(ノД`)・゜・。トンR!図らずも当時の駆け落ちを体現することになった季淑然と柳文才。しかし腹を刺されていた柳文才は体力が持たず、倒れてしまう。季淑然は初恋の人を腕に抱き、呆然としていた。「淑然、最期に目にする人が君で…良かった… この私の命は貸しにしておく…来世で必ず返してもらいに行く…」すると柳文才は辛く悲しい人生を終えた。翌朝、人々は姜家から次々と運び出される骸に驚愕していた。粛々と処理が進む中、薛芳菲は独り、身なりを整えた桐児の亡骸に付き添っている。今にも目を覚ましそうな美しい桐児…。薛芳菲はそっと桐児の頬に手を伸ばし、昨夜の最期の言葉を思い出していた。『姐姐、最後まで一緒にいられなくなった でも姐姐のそばで暮らした日々は人生で一番、楽しい時間だったわ 来世でもまた姉妹として会いたい 私、嬉しいの これでやっと姜二娘子に会いに行ける お願いがあるの、私を娘子のそばに葬って欲しい』やがて姜元柏が使用人を連れて桐児を迎えにきた。薛芳菲は桐児の髪を切って形見とし、自分の髪も桐児の懐に忍ばせて見送る。『姐姐、悲しまないで 姐姐は笑っている時が一番きれいよ、私は姐姐の笑顔が好き』薛芳菲は矢も盾もたまらず、骸を追いかけて門を飛び出した。「桐児!トンR!」薛芳菲は骸に追いすがり、泣きわめいた。「連れて行かないで!連れて行かないで!」姜元柏は取り乱す娘の様子を見ていたが、何とも胸が痛んで声をかけられない。そこへ姜景睿(キョウケイエイ)から知らせを聞いた柳絮(リュウジョ)と葉世傑(ヨウセイケツ)が駆けつけた。柳絮たちは姜梨を亡骸から引き離そうとするが、薛芳菲は意地でも離れようとしない。するとたまらず姜元柏が怒号を響かせた。「梨R!行かせるのだ!生まれ変わらせてやれ!」「トンァァァァァァァァァァァァァァァァ~!」その頃、娘の復讐を果たした胡氏は血書を残し、首を吊って自害した。…月児の無念も晴れ、安らかに娘のもとへ参りますずっと胸に秘めて参りましたが、夫人を殺めたのも季淑然です己が姜家に嫁ぐためでした…蕭蘅は姜家での騒ぎを利用し、太卜署を閉鎖した。報告を聞いた皇帝は婉寧公主の手駒を粛清できたと大喜び。一方、婉寧はまたしても薛芳菲にやり込められ、恨みをいっそう募らせた。…薛芳菲、首を洗って待っていなさい、お楽しみはこれからよ…つづく( ๑≧ꇴ≦)トンRががががが
2025.10.23
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墨雨云间 The Double 全40話第27話「忌まわしき過去」頭を殴られ昏迷していた周彦邦(シュウゲンホウ)は目を覚ましたが、廃人のようだった。悲観した姜元興(キョウゲンコウ)と楊(ヨウ)氏は娘を連れ戻そうとしたが、姜玉娥(キョウギョクガ)は夫の世話を続けたいと拒む。一方、姜(キョウ)宅では姜若瑶(キョウジャクヨウ)との縁談が決まった斉(セイ)夫人が息子を連れて挨拶に来ていた。しかし若瑶は勝手に縁談を断ってしまう。晩鳳堂から姜元柏(キョウゲンハク)の怒号が響き渡った。「嫌なら早く言えば良かったのだ!なぜわざわざ斉家の体面を傷つける?!」季淑然(キシュクゼン)は老夫人の手前、何とか冷静さを保とうとしたが、初めて娘に反抗されて憤懣やる方がない。すると姜若瑶は娘の気持ちを考えない母に不満だったと明かし、これからは自分の心に従って生きたいと訴えた。「婚姻に口を出さないで欲しい… 今になって分かったの、周彦邦に夢中になったのは愛していたからじゃない 早く姜家を出て母親(ムーチン)から逃げたかっただけ、そのための婚姻だった! 私が無知だったのは母親のせいよ!」姜元柏と淑然は娘の暴言に驚きを隠せなかったが、老夫人は理解を示した。孫の中で最も自分の意思がないと持っていた若瑶がこうして変わったことを喜び、本人の好きにさせてやれという。季淑然は怒りが収まらず、姜若瑶の部屋へ押しかけた。「この家で私だけがあなたを心配してきたのに…姜梨(キョウリ)にそそのかされたのね? あなたを惑わし潰す気なのよ!」「違う、姜梨は私と周彦邦の駆け落ちをばらそうとしなかった 彼女を悪者と思わせたのは母親よ!」若瑶は母が姜梨を潰すことに執心で、姜梨を敵だと自分に教え込んだと非難した。すると淑然は思わず娘を叩いてしまう。「私の苦労も知らないくせに…」「苦労って?私のために姜梨と姜月(キョウゲツ)を片付けたこと? もうたくさんよ、私は人を踏みつけにしてまで高みに登りたくない」季淑然は後宮に妹・麗(レイ)妃を訪ね、愚痴をこぼした。麗妃は姜梨が姜若瑶にまで手を伸ばしたことに驚きを隠せなかったが、それ以上に姉が婉寧(エンネイ)公主と手を組むと聞いて困惑する。「彼女に利用されてはだめ」「敵の敵は味方と言うわ…今度こそ根こそぎ始末する」その夜、薛芳菲(セツホウヒ)は海棠(カイドウ)の情報を実家に聞いてくれた棗花(ソウカ)村出身の侍女・白雪(ハクセツ)から文を受け取った。海棠の実家は米店で、確かに官員の家に雇われ実家を出たという。「実は最近、村に来たある女子の顔には肉もえぐれるほどひどい刀傷があるとか… 同じ人でしょうか?」薛芳菲は独りになるとすぐ手紙を焼き捨てた。沈(シン)家で姦通の罪を着せられたとき、監禁された主を救い出そうとした海棠。あの時、薛芳菲は弟の薛昭(セツショウ)を呼ぶよう頼んだが、それが海棠を見た最後になった。まさか顔に傷がある女子が海棠だとしたら…。薛芳菲はふと蕭蘅(ショウコウ)から呼び笛をもらったことを思い出し、窓際で吹いてみた。するとどこからともなく男が飛び降りてくる。「ご用でしょうか」薛芳菲は男が以前、芳菲苑の中庭にも来ていた庭師だと気づいた。「趙珂(チョウカ)です」「何年ここにいるの?」「7年です」薛芳菲はどうりで蕭蘅が自分の一挙一動を知っているのか納得、そこで趙珂に季淑然の動きを見張って欲しいと頼み、ある人を都へ連れてくるよう命じた。↓New!一方、姜梨を排除するため腹を括った季淑然は実家へ出かけた。季彦霖(キゲンリン)は自分がお膳立てした斉家との縁談を壊したと憤慨、かつて淑然が貧乏絵師と駆け落ちした話を蒸し返す。当時、柳文才との仲を引き裂かれた淑然は父が選んだうつけ者に嫁がされそうになった。『しばらく我慢しろ、子さえなせば侯爵家は手中に収まる それが嫌ならさらに上位の相手を見つけろ』そんな時、姜元柏の正室・雪珍珍(セツチンチン)が病に倒れた。顔見知りだった淑然は毎日、見舞いに通っていたが、季彦霖は淑然に病を利用して姜家へ嫁げと煽る。『お前の手で悪化させれば姜家に嫁げる うつけ者の貴公子に嫁ぐか、手段を講じて相国夫人になるかどちらかだ!』季淑然は父の残忍さを受け継ぎ、今や周りは敵だらけだと言った。「残忍だと?お前はまだ甘い、側女も殺せと言ったのに従わず、姜梨も追放だけに止めた」「その通り、私は甘かった、だからもっと残忍になる…父親、そろそろ眠くなってきたのでは?」季彦霖はようやく淑然が差し入れた銘茶に薬が入っていたと気づいた。実はあの柳文才が太卜令(タイボクレイ)として戻ってきたという。柳文才は姜梨を排除する条件として過去に自分を打ち殺そうとした季彦霖への報復を要求していた。当時、画筆を持てないよう右手の指を潰された仕返しに季彦霖の右腕を切り落とし、謝罪させろという。すると淑然は短刀を取り出し、次第に動けなくなってきた父親に迫った。妻を亡くしても後添えを迎えず2人の娘を守ってきたと淑然に泣きすがる季彦霖。結局、淑然はそこまで残酷にはなれなかった。一方、薛芳菲は姜家家廟で墓守として暮らしている胡(コ)氏を訪ねた。そこで桐児(トウジ)に頼んで侍女を追い出し、2人きりになったところで本音を聞き出すことにする。「ここへ来るのはこれが最初で最後、芝居はやめて…月姐姐の死の真相が知りたいの」薛芳菲は胡氏が正気を失ったふりをしていると見抜いていた。しかし胡氏は口が重く、何も話したがらない。薛芳菲は仕方なく姜梨の辛い身の上を話した。「私は無実の罪で家族に捨てられた… 清呈(セイテイ)山で10年間、誰にも顧みられず、人の冷たさを深く思い知った それでも私は運命に逆らって生きようと決めたの 私は山を下りて都へ戻り、この世と対峙した、だけどあなたは気病みのふりをして逃げてる 恨みを抱いているなら立ち上がって欲しい、今の私なら手を貸せる力がある」すると薛芳菲に鼓舞され、胡氏はついに真実を明かした。「月Rは事故じゃない、殺されたの」実は当時、姜月の侍女が全ての経緯を目撃していた。柳文才が待っていると太卜署に季淑然が独りで現れた。淑然は父親の代わりに償うと申し出たが、柳文才は淑然の命1つでは償い切れないという…あの時、大火傷を負った柳文才は道士に助けられた道士は柳文才の天命が陰に属するため修行すれば大成するとそそのかし、破邪の術を教えて服従させるそれが次なる苦痛の始まりだった道士は柳文才なら火傷の苦痛に耐えうると考えたそこで取り憑かれた者の体から邪を払うより、地獄を見た柳文才の体を通すことで邪が完全に消えると説いては柳文才の体に焼き印を入れる客たちは柳文才が血にまみれるほど道士を信じ、道士の名声が高まったやがて道士の破邪は口伝えにより長公主の耳にも届く婉寧は捨て身の施術が気に入り、道士たちを公主府へ招いたちょうど太卜令に空きがあるが推挙できるのは1人だけ、2人で話し合えという『私はより残忍な者を好む…』すると道士が柳文才に襲いかかったしかし生への執着が強い柳文才が死に物狂いで反撃、道士を亡き者にする…こうして生き残った柳文才は長公主の庇護のもと太卜令となった。「利子を含めお前に償わせたい」「…姜梨を潰したい理由を知りたい?」一方、薛芳菲は胡氏から当時の話を聞いていた。姜月は池に落ちて死んだのではなく、季淑然に殺されたという…季淑然は一見、穏やかそうで姜月にも優しかったしかしそれが仮面のように思えた胡氏は娘を季淑然から遠ざけるようになるそんなある日、ちょうど庭園で遊んでいた姜月のもとへ姜若瑶がやってきた若瑶はでんでん太鼓を貸して欲しいと訴えたが、姜月に断られ泣き出してしまうすると季淑然が現れ、姜月からでんでん太鼓を奪い取ろうとしたその時、淑然に突き飛ばされて姜月が転倒、庭石に頭をぶつけてしまう孫(ソン)媽媽(マーマー)は姜月の息がないと気づき、急いで姜月とでんでん太鼓を池に放り込んだしかし厨房から菓子を持って戻ってきた侍女がその一部始終を見てしまう…胡氏は侍女から全てを聞いた。しかし証人の侍女は姜月が亡くなるとすぐ暇を出され、それきり姿を消したという。胡氏は身を守るため気が触れた振りをするしかなかった。墓守りとなったおかげでこうして生き延びることができたという。「悪には報いがある、月姐姐の恨みはこの私が必ず晴らす」姜梨が胡氏を訪ねたことはすぐ季淑然の耳に入った。胡氏はいたってまともで、2人は長らく話し込んでいたという。「胡氏は長年、気を病んだ芝居をしていたの?ご苦労なことね」孫媽媽は先に胡氏を始末するか聞いたが、淑然は姜梨のこと護衛がすでについているという。「あの2人が結託したところで損をするだけよ」その夜、孫媽媽は姜若瑶に安神湯を差し入れた。何も知らず薬湯を飲み干した若瑶、しかし孫媽媽の様子がおかしいことに気づいて毒を盛られたと知る。「あなたのためなんです、目が覚めたら憂いは消えていますから」「何をしたの?!」逆上した若瑶は孫媽媽の首を締め上げたが、やがて意識を失い倒れてしまう。翌朝、姜元柏は姜若瑶が豹変して孫媽媽に襲い掛かり、卒倒したと聞いた。季淑然の話では若瑶が昏迷しているにも関わらず、医者から悪いところはないと言われたという。すると孫媽媽が故郷で見た邪気に取り憑かれた者の症状に似ていると訴えた。「誰かに破邪の術を試させては?」姜元柏は半信半疑だったが、結局、母の了承を得て太卜令に文を送ることにした。姜景睿は芳菲苑に駆けつけ、姜若瑶の件で屋敷に太卜令が来ると知らせた。両親たちの話によると後宮で突然死が相次ぎ、怨霊の仕業だと噂が広まったという。そこで太卜令が破邪の術を行ったところ、ある妃に取り憑いていると判明。妃は皇帝から毒酒を賜っていた。しかし姜梨は太卜令が呼ばれた目的が破邪ではないと気づく。恐らく若瑶はまた利用され、眠らされているだけだろう。つづく(  ̄꒳ ̄)引っ張るね~
2025.10.22
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墨雨云间 The Double 全40話第26話「月とでんでん太鼓」自然発火で焼死した3人の事件に裏があると気づいた粛(シュク)国公・蕭蘅(ショウコウ)。しかし阿狸(アリ)に警戒するよう知らせを出しても何の返信もなく、へそを曲げていた。一方、薛芳菲(セツホウヒ)は一家と共に姜(キョウ)家家廟を訪ねていた。掟により祭祀を行うのは男系だけ、婦女たちは中庭で見守っていたが、姜梨(キョウリ)は姜元柏(キョウゲンハク)たちの拝礼が終ると勝手に祭壇へ上がってしまう。家族が掟を破った姜梨に唖然とする中、薛芳菲は姜梨の生母・葉珍珍(ヨウチンチン)の霊位を見つけた。…葉氏、もう姜梨と再会されたことでしょう、ご安心ください、必ずや姜梨のために正義を果たします…「父親(フーチン)、長らく墓参りできなかったお詫びを母親に伝えたいのです、お許しください」姜元柏は姜梨の拝礼を見逃した。しかし三婶(シェン)の楊(ヨウ)氏が掟を破れば姜家に災いがあると猛反発する。季淑然(キシュクゼン)はたまらず祭壇へ駆けつけ姜梨を連れ戻そうとしたが、抵抗する姜梨と揉み合いになった。「立ちなさい!」「離して!」その時、突然、みすぼらしい身なりの女が乱入、季淑然につかみ掛かり、姜梨を守ろうとした。「私の月児(ゲツジ)に何するの!」驚いた姜元柏は淑然から女を引き離し、下僕に命じて奥の部屋に連れ戻した。姜元柏は巻き込まれた季淑然を気遣い、家族と一緒に引き上げた。すると姜景睿(キョウケイエイ)が姜梨のもとに駆け寄り、勇敢にも掟を破ったと称賛する。「さっきの人は誰?」「胡(コ)姨娘(イーニャン)だよ、幼い頃に遊んでくれた月姐姐(ジェジェ)は彼女の娘だ」胡氏は姜元柏の妾だったが、娘の姜月(キョウゲツ)を亡くして正気を失っていた。…当時、正室より先に懐妊した胡氏は老夫人から堕胎を強要されたしかし雪珍珍が子供に罪はないと命乞いし、胡氏は無事に姜月を出産する胡氏は正室の恩情に感謝し、ひかえめでよく尽くし、それから2年後に姜梨が生まれた仲の良い妻妾は大家族の美談となったしかし雪珍珍が亡くなり姜家の様子は一変する姜元柏は後添えとして季淑然を迎えたそんなある日、姜月は池に落ちた大切なでんでん太鼓を拾おうとして落水、遺体で発見される胡氏は深い悲しみから気を病み、娘のでんでん太鼓を持って邸内をうろつくようになったやがて裏庭の小屋に隔離されたが、姜梨が貞女堂へ送られた日、胡氏も忽然と姿を消してしまう…姜景睿の話では邸内をどんなに探しても胡氏は見つからなかったという。しかし馬車もないのになぜか胡氏がこの祖廟で発見されたというのだ。「″姜家を巻き込めない″と繰り返していたらしい 屋敷におくのも危険だからと、結局、墓守として裏の部屋に住まわせたんだ」薛芳菲は姜景睿と別れ、桐児(トウジ)と自分の馬車へ向かった。「桐児、胡氏を妙だと思わない?…観察されている気がした つまみ出される時も私をじっと見ていた」「まさか気が触れたふりをして墓守していると?」薛芳菲はいずれ胡氏に会いたいと考えながら馬車に乗り込んだ。しかしその帰り道、馬を繋いでいた縄がちぎれて馬が逃げてしまい、車が止まってしまう。すると運良く、姜若瑶(キョウジャクヨウ)の馬車が通りかかった。姜若瑶は姜梨を乗せ、侍女たちを残して出発した。すると若瑶は姜梨のせいで周彦邦(シュウゲンホウ)との縁談が壊れたと嘆き、鬱憤をぶちまける。「あなたが貞女堂にずっといれば私が何もかも失うことはなかったのに!」薛芳菲は当時、8才だった姜梨が本当に継母と腹の子を害せるはずがないと呆れた。「あれは私を貞女堂へ送る罠だった、罪を晴らすことも許されないの? あなたに恨みも偏見もない、ただ″姜梨″のものを取り戻したいだけ はっきり言わせてもらう、あなたは大事にされ過ぎて愚かになった 周家のろくでなしのために姉妹のつながりまで断って後悔はないの?」「どうであれ自分がしたことの代償を払ってもらうから」その時、馬車が人里離れた廃寺で停まった。廃寺で待っていたのは周彦邦だった。薛芳菲は逃げようとしたが、車夫に殴られ意識を失ってしまう。やがて仏堂で目を覚ました薛芳菲は手足を縛られていた。すると外から周彦邦と姜若瑶が言い争う声が聞こえてくる。あの夜、若瑶を裏道に呼び出した周彦邦は駆け落ちしようと持ちかけ、姜梨を誘拐して葉家に身代金を要求すれば安泰だと懐柔していた。しかし若瑶は周彦邦の本当の目的が姜梨の殺害だと知って驚愕、慌てて逃げ出そうとしたが、周彦邦に殴られ倒れてしまう。仏堂に周彦邦が現れた。周彦邦は姜梨に陥れられ姜玉娥(キョウギョクガ)を娶る羽目になったと激怒、姜梨を汚して恨みを晴らそうとする。その時、薛芳菲は外に捨て置かれた姜若瑶が目を覚ましたと気づいた。「こんなことをして若瑶が傷つくと思わないの?! 若瑶の望みはたったひとつ、あなたのことだけ」「あいつは幼い頃から母親に甘やかされ覇気がない、少々なだめれば必死に追いすがって来る そもそも姜元柏の娘でなければ婚約などするものか」周彦邦は姜梨の衣に手をかけたが、その時、逆上した若瑶に石で頭を殴られてしまう。姜若瑶はふと我にかえり、人を殺してしまったと泣き崩れた。しかし薛芳菲は周彦邦にまだ息があると安心させ、急いでその場を立ち去ることにする。すると姜梨と姜若瑶がいなくなった仏堂に姜玉娥が現れた。その夜、季淑然は娘から全ての経緯を聞いた。姜若瑶の愚行に激怒した淑然はしばらく灸を据えるため禁足を命じ、孫(ソン)媽媽(マーマー)に姜玉娥への伝言を託す。すると翌朝、姜玉娥から息子を襲ったのが姜梨だと吹き込まれた寧遠(ネイエン)侯夫人が姜宅に乗り込んできた。「姜梨を出して!会えるまで帰らないから!」姜元柏は仕方なく姜梨を呼んで事情を聞いた。姜梨の話では帰りの馬車で車夫に山奥へ連れて行かれ、手足を縛られ廃屋に閉じ込められたところ周彦邦に襲われそうになったが、姜若瑶が助けてくれたという。しかし季淑然は昨夜、娘を買い物に行かせたが、何も聞いていないと嘘をついた。薛芳菲は手首に残ったあざを示して事実だと訴え、三妹を呼んで欲しいと頼む。すると姜元柏は淑然に若瑶を呼んでくるよう命じた。姜若瑶は母に指示された通り、何も知らないと答えた。すると罪を認めようとしない姜梨にしびれを切らした寧遠侯夫人が姜梨を衙門へ突き出すという。薛芳菲は役所の捜査が入れば三妹が恥をかく事になると訴え、若瑶を諭した。「あなたが助けてくれた恩は忘れない、本当は勇敢なのね… ずっと口を閉ざして知らぬ存ぜぬを通すつもり? 一生、逃げ続けて慰めを待つだけでいいの?一生、自分を殺して生きていくの?」その時、若瑶は周彦邦が言い放った本音を思い出した。…あいつは幼い頃から母親に甘やかされ覇気がない…季淑然は切りの良いところで娘を下げることにした。すると姜若瑶が孫媽媽の手を振り切り、ひざまずいて自分が周彦邦を殴ったと白状する。「彼がR姐に不埒なことをしようとしたので…R姐を助けるためとっさに体が動いて…」寧遠侯夫人は呆然、どちらにしても責任を取れと姜元柏に詰め寄った。しかし姜元柏は娘を手篭めにしようとした周彦邦に激高し、衙門へ言って裁定を仰いでもいいという。動揺した寧遠侯夫人は頭に血が上って卒倒、姜元柏は娘たちに部屋へ戻るよう命じた。姜若瑶は姜梨を呼び止め、なぜ自分をかばったのか聞いた。「周彦邦と謀ったとなぜ言わなかったの?」「それを言ったらあなたは知らぬ顔を通したわ 周彦邦の悪事を暴露させて2度と惑わされぬよう誘導したの」若瑶はまんまと姜梨に乗せられ、全てを奪われた挙げ句、まだ自分を苦しめるのかと非難した。しかし姜梨から″周彦邦の本性も知らずに嫁いでいたらと思うと怖くないか″と聞かれ、ぐうの音も出なくなってしまう。若瑶は居たたまれなくなって門に入ろうとしたが、姜梨に止められた。「また逃げるの?過ちを認めず部屋にこもるだけ… でも私の言葉は本物よ、あなたは本当は勇敢な人 斉(セイ)家は周家よりずっと良い嫁ぎ先だわ、あいつのことなどもう忘れて あなたにはふさわしくない、良く考えて、本当の姜若瑶はどんな人なの?」「…本当の姜若瑶なんて、誰からも気に留められない存在よ」すると若瑶は肩を落として行ってしまう。葉世傑(ヨウセイケツ)は寧遠侯の話を聞いて慌てて姜家を訪ねた。しかし桐児が現れ、姜梨は留守だと知る。「騒ぎなら事なきを得ました」「では姜梨はどこへ?…いや答えなくていい、察しはつく」すると葉世傑は寂しそうに帰って行った。蕭蘅はご馳走を用意して阿狸を待っていた。「佟知陽(トウチヨウ)に勝った時は喜んでいなかった、こたびはどうだ?」「粛国公は私の一挙一動をご存知なのね」「自分の手駒の位置は常に把握している」「私も駒が欲しいわ…ふふ、でも籠の鳥もいつかは大空へ羽ばたけるのかも」薛芳菲は話を切り上げ、杯を手にした。「ご多忙なら私のことは捨て置いて」「そうはいかぬ」すると蕭蘅は司徒九月(シトキュウゲツ)が都にいないため、しばらく待つしかないと伝えた。2人は杯を空けたが、薛芳菲は1杯飲んだだけで頬杖をついてうとうとしてしまう。「午前中の騒ぎで疲れ過ぎて…少し休みたい」蕭蘅は阿狸を長椅子に寝かせて窓を開けた。風に吹かれて揺れる阿狸の薄衣、その姿はさながら天女のように見える。蕭蘅は椅子に腰掛け、阿狸の美しい寝顔を黙って見ていた。すると阿狸がふと目を覚ます。「いつもは眠りが浅いのに、粛国公の選んだ場所が心地よかったのね」蕭蘅は阿狸の手首にあるあざに気づき、笛を渡すことにした。「この呼び子を吹けば部下がお前を守りに行く」「まさか一日中、監視させているの?」「そう思っても構わぬ、お前は私の駒だ、誰にも渡さぬ」つづく(屮゚Д゚)屮 男主と女主はいいから早く次へ! ←え?w
2025.10.21
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漠风吟 Love In The Desert 全26話第2話霍擎雲(カクケイウン)の目的地も雲沛(ウンハイ)だと知り、和親使節団への同行を許した皇北霜(コウホクソウ)。実は霍擎雲には去り難い理由があった。…厄娜泣(ヤクナキ)が大漠奇巻(タイバクキカン)を持っているのか、那戦(ナセン)に奪われるくらいなら私が…厄娜泣の和親使節団は日が暮れる前に野営を張り、皆で暖を取った。霍擎雲は一行の和から離れて座っていたが、それとなく皇北霜に腕の出血を見せ、天幕で手当してもらうことに成功する。実は皇北霜もこの機会に霍擎雲に探りを入れていた。しかし急に外が騒がしくなり、ちょうど薬を塗り終えた皇北霜は霍擎雲に包帯を自分で巻くよう伝えて様子を見に行ってしまう。霍擎雲はその隙に大漠奇巻を探し始めたが、皇北霜は皆が賭け酒で盛り上がっているだけだと知ってすぐ戻ってきた。「何をお探し?」「包帯が足りなくて…勝手に開けてごめん、巻いてもらっていいか?」霍擎雲は皇北霜に包帯を巻いてもらうと、急いで天幕を出た。すると皇北霜は袂に隠していた大事な大漠奇巻を取り出す。…やはり何か裏があるのね…その夜、皇北霜は一行と距離を置く霍擎雲に差し入れを渡し、これ以上は面倒を見れないと断った。霍擎雲は素直に明日の朝に出発すると約束、仲間の元へ戻る皇北霜を見送る。すると皇北霜は年老いた朶再(ダサイ)が独りで繕い物をしているのを見て心配した。「もう暗いは、手を刺してしまう」「縫わないと穴が広がりますよ?」「…その通りね」そもそも皇北霜が寝具の繕いを頼んだのは侍女の果児(カジ)だった。実は果児は朶再に仕事を丸投げ、こき使っていた。皇北霜は厳しく叱責したが、果児はいつ死ぬかも分からない不安から、せめて人を使う貴人の気分が知りたかったという。「朶再は年老いた身ながら、後戻りできない道を共に歩いてくれる… 誘惑に負けて役目を逃れるなど言語道断よ! それぞれが苦渋の決断でこの旅路に身を投じた、忘れないで!厄娜泣の未来のためよ?! …団結しなければ雲沛には辿り着けない、行くのが嫌なら今日中に去って! この皇北霜、決して恨んだりしない!残った者は私と一緒に雲沛へ!解散!」←とは言ってないw実はその頃、和親使節団を追う黄天狂(コウテンキョウ)の若問(ジャクモン)たちがすぐ後ろまで迫っていた。翌朝、護衛の廉幻(レンゲン)は娜袖(ナシュウ)が霍擎雲の同行を断ったと知った。「警戒しているのですか?」「商隊の護衛だというから探りを入れたの 品物の値段や産地は知っていたけれど、高価な服を着ているし、何か企みがある」廉幻は始末しようとしたが、皇北霜は止めた。「大丈夫、しばらく目を覚まさないから」和親使節団が出発すると寝たふりをしていた霍擎雲が目を開けた。「深追いしない方がよさそうだ」実は昨夜、霍擎雲は皇北霜がくれた水の匂いで薬が入っていると気づき、飲んでいなかった。和親使節団が野営で休憩していると、黄天狂の若問たちが現れた。皇北霜は献上品や水を渡すので見逃して欲しいと交渉したが、若問は一蹴、娘の面紗を外す。「お前の名は?」「名乗るほどではありません」皇北霜は故郷の家族が心配して待っていると情に訴えたが、それがかえって裏目に出た。荒くれ者たちには親も妻子もなく、欲しい物なら奪うのが常識だという。「俺はどこにも属していない、元よりこの世に居場所も未練もないんでね」その様子を高台から霍擎雲が見ていた。「飛踏(ヒトウ)@馬、機会が巡ってきたぞ」皇北霜たちは死風区(シフウク)に連行された。…若問は野蛮な男だけれど地形観察には長けている死風区を拠点に選んだのは流砂や暴風の影響を受けないからね生活必需品は略奪せざるを得ないけれど、水がなく動物も生息しないこの場所は駐屯に最も適しているわ…若問に一目置く皇北霜、すると若問たちが急に足を止め、強奪品の分配と人質たちの収監を決めた。「廉幻(レンゲン)…抵抗はしないで命を最優先に…生きていれば活路は開ける」しかし皇北霜だけ若問に連れて行かれてしまう。霍擎雲は皇北霜を連れ去った黄天狂を追跡、死風区に潜入した。するとちょうど分け前をあさっていた男の箱に大漠奇巻があると気づく。霍擎雲は背後から男に近づき殺害、大漠奇巻を手に入れた。捕らわれの身となった格心微(カクシンビ)の牢に突然、廉幻や朶再たちが放り込まれた。「なぜここに?!」話を聞いた格心微は自分と身分を替えた皇北霜が若問の探していた似顔絵の美女だと気づく。「安心して、必ず出してあげる」一方、若問はついに手に入れた砂漠一の美女をかついで寝所に入った。すると配下が差し入れた酒を娘の口に強引に流し込む。「お前のは私の女だ」「違う」皇北霜は娜袖として野蛮な男ではなく砂漠を統一する男に嫁ぐと言い放った。その時、若問が油断して机に置いた長刀を奪い、仲間を解放しろと迫る。しかし急に酒が回って刀を落とし、その場にしゃがみ込んだ。「ふっ、効いてきたようだ、双果樹(ソウカジュ)を知っているか?催淫の効果がある 教えろ、名前は?」「卑怯な…教えるものですか!」若問は上衣を脱ぎ捨て、娘に襲い掛かろうとした。その時、背後から忍び寄った霍擎雲が若問の首元に短刀を突きつける。若問は男の顔が見えず、仕方なく自分の命と引き換えに娘を見逃すことにした。そこで皇北霜は仲間も解放するよう迫ったが、若問は一対一の取り引きだと突っぱねる。霍擎雲はひとまず逃げるよう合図、すると皇北霜は若問にも双果樹の酒を飲ませ、報復した。怒った若問は思わず娘の首をつかんだが、霍擎雲に叩かれ意識を失ってしまう。牢では格心微が仲間たちに隠し持っていた宝飾品を渡し、旅費にするよう話していた。すると突然、若問が現れ、格心微を連れて行ってしまう。一方、霍擎雲は皇北霜を連れて砂漠を駆けていた。やがて水場を発見、2人はここで夜を明かすことにする。霍擎雲は媚薬に苦しむ皇北霜に水を渡したが、皇北霜からもらった水ではないと嫌みを言った。「善人とは思えない?」「でも命の恩人だわ」霍擎雲は媚薬を解毒できる永冬草(エイトウソウ)を差し出した。しかしこれを食べたら7日間は眠り続けてしまう。皇北霜は5日以内に雲沛へ着く必要があると拒否、水場で顔を濡らして気を紛らせようとした。その時、急に立ちくらみを起こして倒れてしまう。霍擎雲は咄嗟に皇北霜を抱き止めたが、すでに高熱が出ていた。「早く食べろ」「要らない…耐えられる…」「命より雲沛が大切か?」すると情欲に駆られた皇北霜が求めるように霍擎雲の顔に手を這わせてくる。美しい皇北霜に迫られた霍擎雲は…。つづく( *´꒳`* )ふぅ〜
2025.10.20
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墨雨云间 The Double 全40話第25話「死んだはずの男」季淑然(キシュクゼン)はわざと葉(ヨウ)家と同じ日程で祝宴を準備し、姜梨(キョウリ)が実家より葉家を重んじていると誤解させようとした。しかし老夫人や姜元柏(キョウゲンハク)たちは孫(ソン)媽媽(マ-マー)から姜梨が戻れないと聞いても、娘の立場を理解し、全く意に介さない。完全に目論見が外れてしまった淑然。一方、葉家には薛芳菲(セツホウヒ)を訪ねて粛(シュク)国公の使いがやってきた。薛芳菲はすぐ戻ると断って国公府を訪ねたが、どうも蕭蘅(ショウコウ)の様子がおかしい。「機嫌が悪いのですか?…祝宴に招待しなかったから?」「…御前での評定でお前が感謝すべきは誰だ?」「もちろん粛国公です、心から感謝しています、あなたなしではどうにもならなかった」そこで薛芳菲は蕭蘅に一献ささげて機嫌を取ったが、うっかり下心がばれてしまう。実は薛芳菲が祝宴を抜け出してまで呼び出しに応じたのは父を司徒九月(シトキュウゲツ)に診せるためだった。「粛国公は司徒娘子の居場所をご存知?」「…言い争いになって去ったきりだ」「なぜ怒らせたの?!」「それが目的か…」すると蕭蘅は飲もうとした杯の酒を捨て、阿狸(アリ)を追い返してしまう。「怒った顔も美男よ」悪戯っぽく笑って帰って行った薛芳菲、その背中を見送りながら蕭蘅は口元が思わずゆるんだ。季淑然は姜梨を追い出すどころか、すっかり都でも群を抜く令嬢となった姜梨に手をこまねいていた。そんな時、突然、禁足となったから婉寧(エンネイ)公主から親書が届く。公主府を訪ねた淑然は長公主が姜梨を偽物と疑い、排除したがっていると知った。「お導きいただければ感謝に堪えません」そこで婉寧は宮中で怨霊騒ぎがあったと切り出し、太卜令(タイボクレイ)がお祓いしたところ、ある妃が取り憑かれていると分かったという。「陛下はこの者に死を賜り、宮中の騒ぎは収まったの 姜梨も悪いものに取り憑かれているのでは?」「思えば殿下の言うとおりです、姜梨が戻ってから義弟の娘がおかしくなりました」実は婉寧はすでに太卜令に相談したと明かし、邸宅で破邪を起こなうよう勧めた。その夜、町中で3人の男が突然、発火した。「天の道に背けば大いなる罰が下るぞ!」3人は口々に同じ言葉を叫び、焼け死んでしまう。すると翌朝、現場検証の様子を見ていた野次馬たちの間で長公主の禁足と関係があるとの憶測が流れた。<陛下は成(セイ)王殿下を嫌ってる、だから実妹の長公主を監禁したのよ(コソッ<成王は北境を守って外敵を退けた、長公主を厚遇すべきなのにね(ヒソッその声は馬車の中にいた蕭蘅の耳にも届いていた。陸璣(リクキ)の報告では遺体は検視官が回収し、状況解明には時間を要するとのことだった。蕭蘅は真相を調べ、流言を止めるよう指示する。「しびれを切らしたようだな」季淑然は長公主の紹介状を手に太卜署を訪ねた。しかし正殿でいつまで待っても太卜令は姿を見せず、仕方なく勝手に奥殿へ入ってしまう。すると掛け物の絵を見て驚愕、かつて想い人だった絵師が描いた自分の絵姿と同じだった。その時、垂れ布の奥から太卜令が現れる。実は太卜令は死んだと思っていた絵師・柳文才(リュウブンサイ)だった。「…不可能、絶対不可能!」「火を放てば私が消えると思ったか?」若かりし頃、絵師の柳文才と恋に落ちた季淑然。しかし2人の仲を知った季彦霖(キゲンリン)は激怒し、淑然の前で見せしめに柳文才を暴行し別れさせた。淑然は結局、父の指示で姜元柏に嫁いだが、そんなある日、故郷へ追いやられた柳文才が都へ戻って来たと知る。矢も盾もたまらず柳文才の家を訪ねると、今も自分の姿絵が並んでいた。『私が姜夫人になったと知っているはず、姿を見せないで』『来ないと思ったのに君は来た…』焼け棒杭に火がつき、そのまま情を交わした2人。しかし柳文才がふと目を覚ますと手足を縛られていた。すると松明を持った淑然が現れる。『淑然…私を殺すのか?』『姿を現さなければ…無事でいられたのに…ゥッ…』太卜令として舞い戻ってきた柳文才は上衣を脱ぎ捨て、季淑然に生々しく残る傷痕を見せた。「燃え盛る炎の中、私は必死にこの顔をかばった 生き延びることができた時、お前が見間違えぬようになっ! 皮肉なものだ、お前が殺そうとしなければ、これほど出世しなかっただろう」淑然はようやく柳文才が長公主に姜家の破邪を吹き込んだと気づき、唖然となった。「復讐のためなのね」「復讐ならこんなに待っていない」柳文才はこれまで順風満帆だった淑然に手出しできなかったが、今は追い詰められて自分を頼ってきたと冷笑する。「姜梨を排除してやる、どうだうれしいか?」( ̄▽ ̄;)笑うトコじゃないのよ…でもどうしてもハイウエストがw屋敷に戻った季淑然は腹心の孫媽媽さえ突き放し、閨房に引きこもった。そんな中、周(シュウ)家に嫁いだ姜玉娥(キョウギョクガ)が里帰りする。玉娥は幸せに暮らしていると強がったが、両親は娘の腕にあざがあると気づき、冷遇されていると分かった。しかし玉娥は男子さえ産むことができれば周家を采配する立場になれると自信を見せる。実は周彦邦(シュウゲンホウ)は姜梨への未練を捨てきれず、玉娥が仲を引き裂いたと逆恨みしていた。玉娥は夫に愛されない苛立ちから思わず、宴の夜に書き付けをくれたのは姜梨だと暴露してしまう。『全て姜梨の陰謀だったのよ!姜梨はあなたを嫌って私に押し付けたの!』周彦邦は呆然、姜梨への恨みを募らせた。一方、姜若瑶(キョウジャクヨウ)も侍女から姜玉娥が周彦邦から冷遇されていると報告を聞いた。「やっぱりあの人の意中の相手は私なんだわ」周彦邦から届いたかんざしを大事そうに持っている若瑶。そこへ季淑然がやって来た。淑然は娘の周彦邦への未練を早く断ち切らせるべく、斉(セイ)家との縁談をまとめてきたという。「支度をしなさい」「また今度、疲れているの…どうせ私抜きでも決めるのでしょう?」その時、淑然は娘が隠し持っていた化粧箱を見つけた。箱の中にはかんざしと周彦邦からの書き付けが入っている。…この想い絶えることなし…淑然は娘と周彦邦が自分に隠れて連絡を取っていたと知り激怒、書付を破り捨ててしまう。「私に逆らうなら2度と娘とは思わない」姜景睿(キョウケイエイ)が定州から帰ってきた。ようやく飢饉が治まり、柳絮(リュウジョ)は父親たちと後始末をしているという。「私は墓参りに戻ったんだ、聞いたぞ!お前の武勇伝!その場にいなかったのが残念だ!」「騒ぎが見たいならなぜ定州に残ったの?ふふ」薛芳菲は姜景睿が柳絮と離れがたく残ったと知っていた。母に脅迫されて仕方なく身支度を整えることにした姜若瑶。すると侍女が周彦邦からの書き付けを持ってきた。…今日亥時、裏門の路地で会いたし…若瑶は大事なかんざしまで奪った母への怒りが爆発、孫媽媽が届けた新しい衣を放り出した。「これで私があきらめると思ったら大間違いよっ!」姜玉娥は夫の朝餉を給仕していた。しかし相変わらず周彦邦の態度はそっけなく、思わず昨夜はお楽しみだったのかと口を滑らせてしまう。「何だと?!」「私の想いを無下にしてどうして若瑶と?」周彦邦は玉娥が自分をつけていたと知り憤怒、玉娥の首をつかんでしまう。「昨夜のことは誰にも漏らすな、さもないと許さぬ!」姜景睿は姜梨が薛懐遠(セツカイエン)を治療するため医術を学び始めたと知った。そんな前向きな姜梨と比べ、望まぬ見合いに出かけた姜若瑶は哀れだと同情する。「愚かよ…反抗もせず、人を恨むだけ」「皆がお前のように思い上がりではない、まあこれでお前に手を出す暇はないな」一方、蕭蘅は突然発火の事件を調べていた。検視の結果、異常はなく、怪火の原因は不明だという。しかし蕭蘅は動物のふんや死骸の堆積物から生まれる燐粉で発火を装えると突き止めていた。「怪異など人が作り出したものに過ぎぬ、恐らく焼死した者も操られていたのだろう 死ぬ間際のあの言葉…生前の死者を調べれば共通点があるはず 怪火は前座に過ぎぬ、ここからが本当の見ものだ」つづく(  ̄꒳ ̄)え?桐児、どした?
2025.10.19
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墨雨云间 The Double 全40話第24話「公主の誤算」薛懐遠(セツカイエン)の冤罪を晴らし、自らの罪も帳消しとなった薛芳菲(セツホウヒ)。すると突如、婉寧(エンネイ)公主が現れ、姜梨(キョウリ)の正体は薛芳菲だと暴露した。「陛下、血縁なき者がうり二つなんてあり得るでしょうか?」「一家3人が同時に難に遭う偶然があれば、うり二つの偶然もあり得るのでは?」粛(シュク)国公・蕭蘅(ショウコウ)は思わず嫌味を言った。しかし婉寧は確信があるのか、本物の姜梨は薛芳菲に殺されたと言い放つ。8歳から10年も貞女(テイジョ)堂にいた娘が歳試でいきなり首位に立ち、今度は縁もゆかりもない薛懐遠に肩入れして命までかける理由は明白だ。「お前は姜梨ではない、薛芳菲だからよ!」薛芳菲は落ち着いていた。もし自分が薛芳菲なら淮郷(ワイキョウ)の民たちが気づくはず、そもそもそんな出まかせをどこから聞いたのかと挑発する。「焦らないで~昔なじみに会わせてあげる」婉寧が証人として召喚したのは貞女堂の堂主だった。堂主は薛芳菲が姜梨ではないと証言、姜梨を殺したと濡れ衣を着せた。しかし薛芳菲から激しく追及されてしまう。「ならば姜梨はどうして死んだの?亡骸はどこ? 知らないの?ならなぜ柳(リュウ)夫人の前で私の正体を暴かなかったの?」「お前に丸め込まれたからよ、姜梨だと認めれば罪を隠蔽してやると言われて…」すると薛芳菲は一気に畳み掛けた。「陛下、姦通を犯した不徳義な者の証言など信用できません どうせ誰かの誘いに乗って私を中傷しに来ただけでしょう… 姜梨がいかに死んだのかも知らず、亡骸の場所も知らないのに、なぜ私が偽物だと? 管理の厳しい貞女堂で別人がどうやって貞女になりすませるの? それに共に育った侍女の桐児(トウジ)がいる 桐児の忠誠心は父親(フーチン)もよく知っているわ、主の成り済ましを許すはずがない! 誰の指図で来たのか知らないけれど、正直に話すのが唯一、救われる方法よ?」そこで薛芳菲は貞女堂から別の証人を呼んで欲しいと頼んだ。…実は薛芳菲は太極殿へ向かう途中@23話、蕭蘅から貞女堂の堂主を誰かが恵城から連れ出したと聞いていた『どう対処する?』『ある者を連れてきてくれませんか』『陸璣(リクキ)を向かわせる』そこで薛芳菲は伝言を託した…当時を知る貞女堂の貞女が召喚された。貞女は陸璣から″これが唯一の贖罪の機会だ″と伝言を聞いたことを思い出し、薛芳菲を確かに姜梨だと証言する。あの時、貞女は堂主に強制され、やむなく姜梨を打ち据えていた。すると驚いた堂主が貞女につかみかかって嘘をつくなと騒ぎ出し、2人はそこで追い出されてしまう。婉寧はこのまま引き下がれず、薛芳菲の夫である沈玉容(シンギョクヨウ)に証言を迫った。しかし沈玉容は愛妻を殺したうしろめたさから、薛芳菲ではないと否定する。「殿下、いくら顔がうり二つでも他人です、妻ではない」追い詰められた婉寧は清呈(セイテイ)山に埋められている姜梨を掘り起こして調べると言い出した。姜元柏(キョウゲンハク)は長公主の疑念に思い当たる節があった。しかし李(リ)家への反撃を今、止めれば全て水の泡になる。すると姜元柏が急に失笑した。「殿下が親しくもない姜家をこれほど気にかけてくださるとは恐れ多いことです ですがいくら何でも自分の娘を間違えるはずがありません 娘はこたびの義挙で人の恨みを買ったようですな すでに審理は終わった、娘を連れて帰ります」姜元柏は姜梨の手を引いて出て行こうとしたが、婉寧は骨を必ず調べると釘を刺した。その時、皇帝の怒号が響き渡る。「婉寧、まだ続けるなら謀反とみなす!」皇帝は婉寧を公主府へ連れ帰るよう命じた。衛兵は直ちに長公主を拘束したが、激怒した婉寧は衛兵の帯剣を抜き、衛兵の腕を斬りつけてしまう。朝堂での抜剣に官吏たちは騒然、すると婉寧が姜梨に斬りかかった。姜元柏は咄嗟に姜梨の前に飛び出して盾となったが、危ないところで蕭蘅の鉄扇が剣を阻む。すると婉寧の手から剣が落ちた。「蕭蘅!何様のつもり?!」しかし婉寧は皇帝の逆鱗に触れ、禁足を命じられてしまう。薛芳菲は姜元柏と屋敷へ到着したが、淮郷から連れてきた民の面倒を最後まで見たいと訴えた。「葉宅へ出かけても?」「騒ぎを起こしたお前が後始末をせねばな」姜元柏はどこか含みを持たせ、戻ったら話がしたいと言った。「忘れるな、お前は姜家の娘だ」その夜、薛芳菲は密かに国公府を訪ね、蕭蘅に協力を頼んだ。「清呈山にある墳墓に骨が埋まっています、掘り起こして埋葬したいのです」すると蕭蘅は清呈山までの道が遠く退屈なため、一緒に来るよう命じた。清呈山の墳墓に到着する頃には夜が明けていた。蕭蘅は姜梨が別れを告げたいと思い、同行させたという。「ここで眠っているのは薛芳菲だろう?」「薛芳菲は汚れた女子と世間に思われている、それだけでも哀れよ だから公主が掘り起こす前に移してあげたい …とても清らかな人だった そして愛した人を善人だと思い、その人と幸せに暮らすため、自分の全てを捧げた 自分の身も家族までも、でも結局はこの冷たい土の中に横たわっている …あの人は高貴な生まれで心の美しい人だった 何の罪もなく、家に帰ることだけを願っていた それなのに清呈山に10年も捨て置かれたわ、10年よ! 今はここに横たわっている…私のせいで」蕭蘅はついに姜梨の口から真実を聞いた。「お前という手駒に私は満足だ…では掘り起こさせて別の骨を入れよう」「…粛国公、感謝します、阿梨(アリ)を守ってくれて」「阿狸(アリ)、今日からは誰も恐れる必要はない」沈玉容は悶々としながら市場で買い物していた。するとかつてのように自分のそばに立つ薛芳菲の幻影が見えてしまう。その時、偶然にも露店で買い物している姜梨を見かけた。「姜ニ娘子?」「…沈学士」「今日は顔色も良く元気そうだ」「悟りを得たからよ、沈学士の亡き夫人はかつて私の命を救ってくれた ずっと分からなかったの、自分の身も危うい人がなぜ私を救ってくれたのか 世の不条理や非情な夫を恨む気持ちがそうさせたのだと思った でも分かったの、私を生かしたのはあの人の持つ気概だと 広い世を見たかったのね、薄情で哀れな男など何の足枷にもならない」「本当にそうだと?」「今に分かるでしょう」婉寧は李仲南(リチュウナン)を呼びつけ、太卜令(タイボクレイ)への密書を託した。「沈学士を呼んで」李仲南が外へ出ると、雪が舞う寒空の中、沈玉容がまだひざまずいている。「そなたの番だ」婉寧は自分に恥をかかせた沈玉容を引っ叩いた。「あの者が誰であろうと生かしておけない!」「殿下のお手を煩わさずともたやすく殺せます、こたびの様な直接の手出しはなりません …姜梨を恨む者は多い、他人の刀を借りて殺すのです」結局、皇帝は李仲南の追及をあきらめた。婉寧を初めて罰しただけでも影響があり、ここで李仲南まで叩けば事が大きくなってしまう。どちらにしても手下の魏乾(ギケン)たちを失った李仲南は思うままに動けなくなった。しかし蕭蘅は婉寧公主がまだ手札を持っていると怪しむ。その頃、北郡の軍営では野望が遠のいた成(セイ)王が苛立ちを隠せずにいた。金鉱を失って資金源を絶たれ、小桃紅(ショウトウコウ)も捕まってまともな芝居も見られやしない。すると楚嵐(ソラン)から長公主が禁足を命じられたと聞いた。「愚かな妹妹(メイメイ)よ、これほど役に立たぬとは…」そこで成王は代(タイ)国の侵略を装い、朝廷から兵を出させようと企んだ。一方、屋敷に戻った沈玉容は書斎に引きこもった。かつてこの部屋で書写しながら、夫の姿を見つけると微笑んでくれた愛妻。しかし姜梨の言葉は沈玉容の心に深く突き刺さっていた。…薄情で哀れな男など何の足枷にもならない…すると沈玉容は激情に駆られ、机の硯を床に投げつけてしまう。 季淑然(キシュクゼン)は姜家を守るため、やむを得ず姜梨を救い出すしかなかった。老夫人は姜梨を迎える祝宴の準備を頼んでいたが、薛県令や淮郷の民は葉家に身を寄せているという。孫(ソン)媽媽(マ-マー)の話では富豪らしく葉家が祝宴まで開いてくれるらしい。そこで淑然は姜家も同じ日に祝宴を開き、姜梨が葉家を選んだと思わせることにした。薛芳菲は父を医官に診せた。医官は体の傷ならいずれ癒えるが、離魂病を治すのは困難だという。「頭の中が混乱し、親しい人や過去、自分のことさえ忘れてしまう病です ご息女を失った悲しみや冤罪によって身も心も傷つき、心を病んだのでしょう 凍りついた心が溶けるのは長い時間がかかります」すると葉世傑(ヨウセイケツ)は他に名医を探してみると励ました。蕭蘅は阿狸が一向に顔を見せず面白くなかった。そこで文紀(ブンキ)に呼びに行けと命じたが、文紀は葉家での祝宴が始まったので無駄だと口答えしてしまう。「お前は杖刑を好むようだな?」一方、薛芳菲は葉家で故郷へ戻る三叔父や古(コ)兄弟たちと宴席を囲んでいた。すると姜家から使いが来たという。孫媽媽は姜家でも祝宴で皆が姜梨を待っていると知らせた。「午後、白雪(ハクセツ)に伝えたのですが、お聞きになりませんでしたか?」「私は不在なのに?どうやって伝えろと?」姜梨は夜になって急に呼びにきた孫媽媽を怪しんだ。どうせ季淑然がわざと同じ日に祝宴を設定したのだろう。「途中で抜けるわけにはいかないわ、無礼だと思われ、父親の体面が傷つくから」「では日を改めるよう伝えましょう」つづく( ˙꒳˙ )いろいろ無駄が多い…
2025.10.17
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墨雨云间 The Double 全40話第23話「御前審理」長安に鳴り響く登聞鼓(トウブンコ)の音。すると太監が聖旨(セイシ)を持って現れ、民衆は一斉に平伏した。「陛下のお言葉である… ″姜梨(キョウリ)の破牢および薛懐遠(セツカイエン)の横領事案は大理寺が刑部と共に審理を行う なお粛(シュク)国公に審理の監督を任ずる″ 10日後に朝廷にて結果を報告、陛下が裁可を下される」姜元柏(キョウゲンハク)は皇帝に謁見できず、屋敷へ戻った。姜梨の生死だけでなく姜家の名声に関わる一大事。そこで季淑然(キシュクゼン)は妹の麗(レイ)妃を頼ることにしたが、その時、ふいに″都の掟″があったと思い出した。話を聞いた姜元柏は早速、出かけることにしたが、淑然は自ら大理寺に行くと申し出る。「私が必ず梨Rを連れて帰って来ます!」その頃、薛芳菲(セツホウヒ)の監房に蕭蘅(ショウコウ)が現れた。「″おとなしくしろ″と言われたけれど…私には無理だった」「やはりな、それにしても情けない姿だ」蕭蘅は外套をひるがえし、姜梨が座っている藁敷きの床に並んで座ってしまう。「…登聞鼓を鳴らして陛下の裁可を求めた、これで相手は本気でお前を潰しに来るぞ? やり過ぎたな」「粛国公、身近に冤罪で亡くなった人はいる?もしそんな機会があったら登聞鼓を叩く?」蕭蘅は十数年前の自分の姿を思い出して感傷的になったが、ふと我に返って立ち上がった。「尋問は終わり?」「話すべきことは話した、ゆっくり休むといい」すると蕭蘅は自分の外套を脱いで投げ渡し、帰っていった。その頃、季淑然は大理寺卿・周徳昭(シュウトクショウ)に掛け合っていた。周徳昭は中書令夫人が来る場所ではないと眉をひそめ、面会ならいざ知らず連れて帰ることなどできないという。そこで淑然は都の掟を持ち出した。実は大燕の律法には″夫殺し子殺し以外の罪を犯した女子は裁定が下るまで自宅で家族が監督しても良い″という条文がある。「今日は何としてでも娘を連れて帰ります!」思いがけず季淑然の助けで帰宅できた薛芳菲、まずは祖母に謝罪し、事情を説明した。「薛県令の娘・薛芳菲は命の恩人です 貞女堂で堂主に折檻され命を落としかけたところを助けられました それで淥陽(ロクヨウ)の葉家に行ったついでに彼女を訪ねることにしたのです しかし彼女は亡くなり、父親も獄中と知って看過できなかった 淮郷(ワイキョウ)は酷い有り様でした、新任の県令が民を虐げていたのです」薛芳菲は姜家の家訓である″正義と忠義を守る″に従ったと訴え、実は新しい県令の後ろ盾が李(リ)家だと明かした。父に文で知らせた″葉家が陥れられた事件″も李家が関わっている可能性が高いという。姜元柏は母から淮郷県令が李家側の人間だったと聞いて驚愕した。しかも行き来がないとは言え、姜家と姻戚の葉家にまで手を出したという。老夫人は黙って見過ごすことはできないと訴え、何も手を打たねば面目が立たないと嘆いた。「梨Rは陛下の裁可まで取り付けた、陛下も疑いを抱いているという表れだわ 反撃の好機よ、かくなるうえは梨Rと協力して李家に対抗すればいい」一方、婉寧(エンネイ)公主は沈玉容(シンギョクヨウ)を呼び、明日の審理に着て行く衣を選んで欲しいと頼んだ。しかし沈玉容は卑しい身分ゆえ分からないという。「いいわ、その赤い衣にする」「審理になぜ殿下が?」「最後の仕上げに行くの」「遊びが過ぎると火傷しますよ?」情夫に口答えされた婉寧はへそを曲げたが、沈玉容は公主の衣の袖を整えると言って機嫌を取った。「もう一度あなたに機会を与えたら薛芳菲を埋める?私を殺す?」「私は殿下の手で死ねれば本望です」審理当日、薛芳菲が独りで太極殿に向かっていると、李仲南が呼び止めた。李仲南はひるむ様子のない姜梨を挑発、天下に自分の知らないことなどないと迫る。「姑息な策が私に通用すると思わぬことだ、父親すら手を出さぬのにこの小娘が」しかしちょうど蕭蘅が現れ、薛芳菲は運良く老臣の嫌がらせから解放された。李仲南の強気な態度を見た薛芳菲は恐らく十分、準備をしてきたのだと分かった。すると蕭蘅があらかじめ伝えておくことがあるという。「…ご助言いただいたからには私もお返ししなくてはね」薛芳菲は蕭蘅が自分をかばって斬られた時、裂けてしまった手巾を繕っていた。「刺繍が上手いな」「″元の刺繍″にはだいぶ劣るわ」どうやら薛芳菲はすでに蕭蘅の生い立ちを知ったらしい。しかしそこへ姜元柏が現れ、話は断ち切れになった。蕭蘅は中書令に拝礼して先を急いだ。すると姜元柏は姜梨を労い、自分が支えるので怖くないと励ます。「ありがとうございます、父親(フーチン)」薛懐遠の再審理が始まった。すでに大理寺卿の主導のもと刑部と合同で2回の審理を行い、本日、皇帝の御前で審議を行う。周徳昭(シュウトクショウ)はまず姜梨を召喚、薛芳菲は破牢の罪を認め、その前に薛懐遠の罪を晴らして欲しいと訴えた。刑部で審議を担当した魏乾(ギケン)は薛懐遠の自宅で銀5000両と裏帳簿が発見され、部下の馮裕堂(フウユウドウ)の証言が裏付けとなり、不審な点はなかったと報告した。周徳昭は有罪を覆す証拠を見つけたのか聞いたが、薛芳菲はあっさり何もないという。「だからこそ淮郷の民を連れて来たのです、証言のお許しを」薛懐遠に恩のある淮郷の民たちが召喚された。民は口々に薛懐遠が少ない俸禄から援助してくれたおかげで生き延びることができたと訴えたが、魏乾は証言などいくらでも金で買えるとぬかす。李仲南も3年前の青州(セイシュウ)府尹が多額の横領をしながら民にわずかな施しをして慕われていたと意見し、大理寺卿に判例を忘れぬよう釘を刺した。しかし薛芳菲はすでに御史大夫に頼んで薛家と馮家の財産を調べてもらったという。そこで皇帝は早速、御史大夫に報告するよう命じた。調査によれば薛懐遠が在任中に得た家や田畑はなく、公邸で発見された財産は横領したとされる銀5千両だけ、片や馮裕堂は40間を有する私邸に居住し、田畑に至っては多数にて調べは未了、財産の合計は銀20万両にのぼっていたという。次の証人は薛懐遠の部下だった古大(コダイ)、古二(コジ)、彭笑(ホウショウ)、何君(カクン)だった。4人は薛県令が在任中にいかなる不正も行なっていないと訴え、県令の捕縛後は鉱山に送られてしまったという。「一族の命をかけて我々は真実を述べています!」薛芳菲は誰より薛懐遠が無欲で清廉にして節度ある県政を敷いたと知っていた。民たちの証言通り、在任中は俸禄を使って水利を起こし、道や家を修繕、民を助けたという。「陛下、改めてお願い申し上げます、薛懐遠を証人として召喚してください! 今の薛懐遠の姿をお目にかけましょう」朝堂は薛懐遠の姿に呆然となった。薛懐遠は馮裕堂に投獄されて拷問の末に気を病み、幼い童のように見える。すると薛芳菲はこれこそ清廉な忠臣の成れの果てだと嘆き、巷間にこの事実が広まれば忠義を守れる官吏がいるだろうかと問う。焦った魏乾は皇帝を詰問するなど不届きだと止めたが、その時、蕭蘅がようやく口を開いた。「姜ニ娘子が言ったことは筋が通っている、忠臣を放逐し、奸臣をのさばらせるのですか?」皇帝も自分が知りたいのは″真実″だと言った。「姜相国、いい娘に育てたな」皇帝は玉座から立ち上がった。「忠臣に罪を着せるとは嘆かわしい、これは朕の過ち、大燕の損失である! 魏乾!お前が冤罪を生んだ!」そこで大理寺卿に薛懐遠の冤罪を調べ、この悪計に加担した者は全員、厳罰に処すよう命じた。姜元柏は娘が自分では救えなかった良臣を救い、慚愧に堪えないと拝跪する。すると次々と官吏たちがひざまずいて慚愧に堪えないと声を上げた。大理寺卿は薛懐遠の事案が冤罪と判明した以上、姜梨の罪も帳消しにすると奏上する。「皆、立つが良い…朕は薛懐遠の子女を厚く遇したい」皇帝の言葉に薛芳菲と沈玉容は内心、激しく動揺した。しかし大理寺卿が息子は匪賊に襲われ死亡し、娘は沈学士の亡き妻だと報告する。朝堂は騒然となった。沈玉容は仕方なく御前に出ると、岳父が陥れられたと知って胸が痛むと吐露し、薛懐遠に寄り添う。するとおとなしかった薛懐遠が急に暴れ出した。薛芳菲は慌てて葉世傑(ヨウセイケツ)に父を頼んだが、沈玉容は立つ瀬がない。なぜか沈玉容に怯える薛懐遠、そこで葉世傑は薛懐遠を休ませるため太極殿から連れ出した。朝堂はなかなか落ち着かなかった。すると蕭蘅が誰の目論見かと一石を投じる。「父親は横領、娘は姦通の汚名、息子は非業の死…一家3人を襲った悲劇には裏がありそうだ」皇帝は裏とは何かと聞いた。「濡れ衣と口封じです」「調べは粛国公に任せよう、真相を明らかにして汚名を晴らせれば沈学士の慰めになろう」「拝命します」そこへ突如、婉寧公主が現れた。(゚∀゚ノノ゙パチパチパチパチツ!「雄弁な姜ニ娘子により薛家は無罪を勝ち取りました なれど陛下、忠臣が陥れられただけでなく、ご自身も謀られたとお気づき? 私は沈学士の夫人を見たことがあるの、初めて姜二娘子と会った時、驚いたわ~ だって沈学士夫人とうり二つなんだもの」つづく(´・_・`)、何だがちんぷんかんだったかなり端折ってしまったので、詳しくは放送をご覧くださいw
2025.10.16
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墨雨云间 The Double 全40話第22話「響け、訴えの太鼓」中書令の娘・姜梨(キョウリ)の噂を聞いて定(テイ)州に絶え間なく押し寄せる各地の被災民たち。すると地図を眺めていた薛芳菲(セツホウヒ)はおかしなことに気付いた。″姜二娘子は生き仏″という噂が広まったとしても、被災民が定州に到着するのがあまりに早過ぎる。姜梨たちが定州に到着した晩に外地から来た難民が押しかけ、中には遠く離れた寧(ネイ)州から来た難民もいた。もし姜梨たちが淮郷(ワイキョウ)を出発したと同時に寧州を出て夜通し歩いたとしても、まだ州境あたりのはずだ。戸部侍郎・柳元豊(リュウゲンホウ)は城門に立って1人ずつ登記してから避難所へ向かうよう呼びかけ、名簿を作った。大きな災害にあった州は南の商都(ショウト)と西の寧州だったが、なぜかこの2つと接している唯一の県・渭(イ)県からの難民が多く、半数に上る。これだけの民が消えれば渭県の食料は余っているはず、しかし渭県県令が黙っているところをみると、やはり誰かが噂を流して渭県の民を定州に送り込んだのだろう。そこで薛芳菲は姜梨をえさにして扇動している民を誘き出そうと考え、城外に出ると決めた。皆は危険だと反対したが…。葉明煜(ヨウメイイク)は食糧を調達に行くという名目で城門を出た。すると早速、数人の男たちが姜家の令嬢が出てきたと騒ぎ出し、姜梨を人質にして食べ物と交換しようと飢民を煽る。葉明煜は馬車を降りて扇動した男たちを探し始めたが、その時、飢民に紛れていた刺客が隙を見て車に乗り込んだ。しかしいきなり蹴り飛ばされ、放り出されてしまう。実は車に乗っていたのは姜梨ではなく、粛(シュク)国公・蕭蘅(ショウコウ)だった。そこへ城楼で待機していた文紀(ブンキ)と陸璣(リクキ)が飛び降りてくる。「扇動する者を捕らえよ!」…薛芳菲が自らおとりになると決めた時、突然、蕭蘅が現れた蕭蘅は足止めされた姜梨と薛懐遠(セツカイエン)を都へ護送するつもりだったが、薛芳菲は出られないのではなく、残ることを選んだという『この一件の真相が明らかになりかけているわ』薛芳菲はもはや薛一家だけの問題ではなくなったと訴え、本当の黒幕を暴かねば同じ悲劇が繰り返されてしまうと訴えた『決めたのか?』『ええ』すると蕭蘅はならば自分が代わると申し出た…薛芳菲は安心して蕭蘅が戻るのを待った。姜景睿(キョウケイエイ)と柳絮(リュウジョ)は姜梨と粛国公の関係が気になるが、姜梨にはぐらかされてしまう。しかし意外にも薛芳菲が知らない間に姜景睿と柳絮は仲良くなっていた。間者が自白、渭県県令・盧子昀(ロシイン)が救済物資を隠匿し、飢民を定州に送り込んでいたと分かった。そこで蕭蘅は柳侍郎に定州を任せて渭県に向かうことにしたが、薛芳菲に合図を送って外へ出るよう促す。やっぱり…>(;´・ω)(ω・`*)<怪しい薛芳菲は淮郷が片付いたのかと聞いた。しかし蕭蘅はまだだという。「だったらなぜ来たの?」「分からぬか?ふっ」管理人には分からなかったが、薛芳菲は照れくさそうにうつむいた。「薛懐遠を救い、気が済んだなら手を引くのもありだ、では私は行く、言っておくことは?」「うーん…気をつけて」蕭蘅はそっけない薛芳菲の言葉に思わず笑顔を見せた。「冷静にな、姜二娘子」蕭蘅たちが渭県に乗り込んだ時にはすでに盧県令は逃げていた。しかし穀倉を焼き払うわけでもなく、警護も手薄、まるで待ち受けていたように見える。その頃、葉世傑(ヨウセイケツ)も食糧の調達が難航していた。淥陽(ロクヨウ)の食糧は朝廷に徴発され購入できず、街道の検問では食糧運搬を厳しく取り締まっているため、鏢局(ヒョウキョク)も配達ができないという。これも全て姜梨が都へ戻るのを阻む李仲南(リチュウナン)の陰謀だった。李仲南は姜元柏(キョウゲンハク)が連日、幕僚と協議をするだけで娘を迎えに行かず、蕭蘅も狙い通り渭県に向かい、葉家も無駄骨を折っていると報告を聞いた。「今や姜梨は孤立無援、死を待つばかりです」定州ではわずかな食糧で粥を配給していた。すると難民に紛れた間者たちが再び騒ぎを起こし、こんな薄い粥では餓死してしまうと難民を煽る。知らせを聞いた姜景睿と柳絮が城門へ駆けつけたが、扇動された難民が暴徒化し、危険な状態に陥った。葉明煜は姜梨を県衙に避難させることにした。城外であふれ返った難民たちが中書令の令嬢を出せと騒ぎ出し、仮住まいも安全ではないという。実は粥を施していた姜景睿と柳絮が巻き込まれ、姜景睿が城外に取り残されていた。薛芳菲は桐児(トウジ)に薛懐遠を連れて県衙に避難するよう頼み、葉明煜と一緒に城門に向かった。そこで開門し、葉明煜が真っ先に煽っている男たちを捕まえようとしたが、その時、間者が隠し持っていた短刀を取り出し、捕まりそうになった仲間を刺し殺してしまう。間者は役人が殺したと騒ぎ立て、飢民の怒りの矛先を姜梨に向けた。「姜ニ娘子を捕えろ!食い物と交換だ!」ついに飢えで我を失った難民たちが姜梨をめがけて殺到、門衛が何とか阻止するも限界は近い。すると思いがけず食糧を調達した葉世傑が叔父一家と一緒に戻って来た。「食糧の到着だ!」薛芳菲は葉家と再会を果たし、協力に感謝した。聞けば李仲南が姜梨を阻むことを見越していた粛国公から事前に葉世傑と姜元柏に密書が届いていたという。葉世傑は密書を受け取り、滄(ソウ)洲で食糧を調達するよう指示されていた。淥陽で食糧を買い集めるふりをして李仲南を欺き、実は葉嘉児(ヨウカジ)が密かに滄洲で調達していたという。一方、姜元柏は粛国公の密書で葉家の食糧が滄洲から入ると知った。滄洲太守は姜元柏の味方、そこで姜元柏は直ちに葉家の食糧を警護するよう文を出してくれたという。しかしあえて芝居を打ち、李仲南に自分には打つ手なしと見せかけていた。蕭蘅もまた李仲南が渭県に自分を誘き出したと分かっていた。しかし間者に行動を起こさせるため、あえて罠にかかったふりをする。こうして蕭蘅はまた姜梨を助け、ひと足先に帰京した。婉寧(エンネイ)公主は痺れを切らして沈玉容(シンギョクヨウ)を呼び出した。「あなたは聞いた?姜梨が淮郷の民を率いて訴えに来る」「学士たちの話で耳にしました…殿下はどのように処置を?」「薛懐遠がなぜ生きていたのかも、金鉱のことも聞かずに、あの者の処置が気になるのね」婉寧は沈玉容が姜梨をまるで薛芳菲のように見ていると疑った。苛立った沈玉容はしつこいと一蹴、この手で妻を殺し、今頃は土の中だと訴える。「淮郷の事件が覆れば悪事が暴かれる!殿下はそんな時に死者にこだわるのですか?!」婉寧は口答えされ激怒、沈玉容を引っ叩いた。すると沈玉容はその場でひざまずき、いつものようにしおらしくする。「私に気に入られたからと言って思い上がらないで!お前の指示など受けぬ! ふっ、姜梨が早く戻るといい、顔を合わせるのが楽しみね」蕭蘅が先手を打ってくれたおかげで薛芳菲たちは無事に長安へ到着した。すると死刑囚を破牢させた姜梨を捕らえるべく、すでに長安門で大理寺が待ち構えている。姜梨は潔く馬車から降りたが、その様子を城楼から蕭蘅が見ていた。周徳昭(シュウトクショウ)は姜梨と薛懐遠を収監すると伝えた。驚いた古(コ)兄弟たちが姜梨を囲って守ったが、薛芳菲は明君である皇帝が必ず冤罪を晴らしてくれるとなだめる。「大人(ダーレン)、ひとつだけお願いがあります、都の登聞鼓(トウブンコ)を叩かせてください」すると騒ぎを見守っていた民は太鼓が鳴るのは十数年振りだと漏らした。「あれは蕭将軍が亡くなった時か」蕭蘅は姜梨が薛懐遠たちの無実を訴え、長安門の太鼓を叩く様子を感慨深い面持ちで見ていた。雪の舞う寒空の下、華奢な体で必死に鼓槌を振り上げる姿は、かつて父の死の真相を求めて太鼓を叩いた自分と重なる。当時、怒った祖父に無理やり抱きかかえられ、太鼓から引き離されたことが昨日のことのように思い出された。その時、太鼓の音が止まる。「皆ごめんなさい、今の私にできるのは太鼓を打つことだけ」薛芳菲はそこで大理寺の元へ戻った。「謝ることなどない!」すると一緒に上京した証人たちが姜梨に続けとばかりに登聞鼓を叩き始めた。登聞鼓の音は皇宮の皇帝の耳にも届いた。洪孝(コウコウ)帝・趙鄴(チョウギョウ)は早速、蕭蘅を呼ぶことにしたが、執務室へ向かうとすでに蕭蘅が待っている。すると中書令が謁見を求めていると知らせが来た。「どう思う?」「会わぬ方が良いかと…」皇帝は蕭蘅の進言通り姜元柏を追い返した。「姜相国も落ち着かぬだろうな、でどうだ?登聞鼓が鳴り、大理寺は姜梨を捕らえた 次はどうすればお前の手駒を生かせる?」「姜ニ娘子なら退路を用意しているはず 破牢と薛懐遠の冤罪を同時に審理し、薛懐遠が無罪なら破牢は成り立たない」「ふっ、実に面白い、どこであの駒を拾ってきた?」「自ら飛び込んできたのです」「朕はこの日を待っていた」皇帝は蕭蘅の駒の力を借りて、いよいよ大燕の官場の粛清が行えると意気込んだ。「聖旨を…」つづく(  ̄꒳ ̄)薛芳菲の顎クイから蕭蘅の顎クイ返し…とかそれにしても編集が回りくどいわw
2025.10.15
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墨雨云间 The Double 全40話第21話「 迫りくる陰謀」父の無実を証言してくれる民が見つからぬまま、ついに死刑執行当日を迎えた薛芳菲(セツホウヒ)。古(コ)兄弟たちはもう一度、民を説得してみると申し出たが、薛芳菲は必要ないと断った。薛芳菲たちは薛懐遠(セツカイエン)を馬車に乗せて出発、淮郷(ワイキョウ)に入った死刑執行担当の刑部侍郎(ケイブジロウ)・魏乾(ギケン)の一行を足止めした。驚いた魏乾は車から降りて激怒したが、薛芳菲は薛懐遠の無実を主張し、ひざまずいて嘆願する。「中書令の娘・姜梨(キョウリ)が死囚を連れ出したことに弁解の余地はありません 私を大理寺に渡し、薛懐遠の冤罪と合わせてどうぞ審理してください」すると古兄弟たちや葉明煜(ヨウメイイク)、桐児(トウジ)も一斉にひざまずき、審理を嘆願した。魏乾は姜梨が己の命で死囚の命をつなぐのかと驚愕したが、薛芳菲は自分が捕まろうとも冤罪を晴らすと断言する。しかし魏乾は律法を遵守すると譲らず、今ならまだ姜元柏(キョウゲンハク)の名誉は保たれると説得した。「死囚を捕らえよ!刑場へ!」薛芳菲たちは随行員に拘束され、その間に薛懐遠が捕まった。身動きが取れず途方にくれる薛芳菲たち、その時、昨日は証言を断った民たちが駆けつける。「薛県令の冤罪を訴える!」聞けば皆、家族や隣人に説得され、思い直して薛県令のために立ち上がったという。魏乾はならばまとめて捕らえるまでと言ったが、その小さな波は大きな波となって襲いかかった。薛県令の危機を聞きつけた淮郷の民が集結、暴動を起こしそうな勢いで魏乾に詰め寄って来る。すると群衆に囲まれた魏乾はさすがに恐ろしくなり、馬車に乗って逃げるように去って行った。蕭蘅(ショウコウ)は文紀(ブンキ)から姜梨の一行が出発したと聞いた。しかし都へ向かう姜梨を阻止するものが間もなく現れるだろう。「我々だけでは解決できぬ…陸璣(リクキ)、紙と筆だ、密書を2通書く」都の葉(ヨウ)宅に姜梨から文が届いた。…淮郷の件は話すと長くなるけれど、父親の耳にも届き心配しているはずよ表哥には同封の文を父親に届け、三舅が一緒なので心配ないと伝えて欲しい…すると今度は葉世傑(ヨウセイケツ)にある密書が届いた。姜梨からの文を読んだ姜元柏は烈火のごとく怒った。「淮郷の民23人が薛県令のため都で直訴する?…愚か者めっ! 民が罪臣の肩を持つことは謀反に他ならぬ!」葉世傑は民も勇敢な姜梨と姜家を称えているとかばったが、そこへ季淑然(キシュクゼン)が現れた。「葉員外、民が梨Rを称える声が刑部を刺激するとお分かり?夫の首を絞めるようなものよ」ともかく姜元柏は政敵に足をすくわれぬよう姜梨を直ちに連れ戻すと決めた。すると葉世傑がちょうど飢饉の救恤(キュウジュツ)で南下するため、自分が姜梨を説得してくると申し出る。姜元柏は娘の愚行を何としてでも止めるよう頼んで送り出したが、姜梨がしばらく都へ戻れないことを願うばかりだった。「戻ってくれば波乱が巻き起こる…」葉世傑は急ぎ姜家を後にした。しかし暇を持て余していた姜景睿(キョウケイエイ)が正門に駆けつけ、自分も一緒に行きたいと駄々をこねる。葉世傑は困惑したが、姜景睿のしつこさに負けて連れて行くことにした。姜元柏が恐れていた通り朝議で皇帝からご下問があった。その日は干ばつによる被災民のため奔走する李仲南(リチュウナン)が国の柱梁(チュウリョウ)だと称えられただけに、姜元柏は立つ瀬がない。「娘が淮郷から死囚を連れ出す愚行を犯したのは私の至らなさゆえ、万死に値します!」「そなたは先帝が決めた朕の太傅ゆえ今、断罪するのははばかれる そなたの娘に会ってから処断しよう」( ๑≧ꇴ≦)ネズミー!李瑾(リキン)の工作が失敗、淮郷の鉱山を失った。李仲南は婉寧(エンネイ)公主の怒りを鎮めようとわざわざ公主府で息子を厳しく打ち据え、自分も罪を請う。すると窓からその様子を見ていた婉寧は李瑾を許し、李仲南を呼んだ。「成(セイ)王ならとっくにお前を殺している でも長年、私に忠誠を誓ってきたから生きていられるのよ?私はどうしたらいい? このままあの者が都へ戻れば淮郷の金鉱のことが露見してしまう」「私が片をつけます!」( ̄▽ ̄;)私たちは何を見せられ…w薛芳菲たちは小さな村に立ち寄って食事を取ることにした。しかし大所帯にも関わらず、干ばつ被害のため饅頭(マントウ)しか手に入らない。村長の話では、この先はもっと酷いという。姜梨は補給しやすいよう二手に分かれることを提案、古兄弟たちには証人を任せて定(テイ)州を出たら合流することにした。「くれぐれも間違えないで、私は姜梨よ、間違えたら命取りになる」薛芳菲は父を連れ、葉明煜、桐児と一緒に定州へ入った。確かに干ばつのせいか被災民が多く、町は殺伐として見える。すると偶然にも戸部侍郎の父・柳元豊(リュウゲンホウ)の救援物資の運送に同行した柳絮(リュウジョ)と再会した。柳絮は荷を下ろせば帰れると思っていたが、定州の飢饉が深刻で炊き出しの人手が足りず、父が残留を決めたという。「そんなに酷いの?」「緊迫しているわ、朝廷からの次の物資がなかなか来ないの このまま食糧が尽きれば暴動が起こる、あなたも気をつけて」その夜、姜家の令嬢が定州にいると知った飢民たちが姜梨の滞在先に押しかけ、思わぬ騒ぎとなった。対応に出た葉明煜は令嬢などいないと否定したが、哀れな子供を見捨てられず、饅頭を渡してしまう。葉明煜が戻ると薛芳菲はすでに荷物をまとめていた。思った通り三叔父は飢民の子供にだけ食料を渡して追い返したという。しかし薛芳菲は例え食糧がたくさんあっても恵んでは駄目だと警告した。「少しでもあげたらもう歯止めが利かなくなる 聞きつけた飢民が押しかけてきたらもう出られないわ、話が広まる前に出ましょう」葉明煜は姜梨の変わり身の早さに困惑した。「お前は善意で淮郷の民を救いたいのだと思った、だが定州の民に対しては全く態度が違う」「事の重大さによるわ…ともかく早く脱出しましょう」確かに今の薛芳菲の目には最愛の父の姿しか映っていなかった。薛芳菲は柳絮の協力でこっそり城門を出た。「道中、気をつけてね」「あなたも、都で会いましょう」しかし町外れに出たところで飢民たちが現れ、林道をふさがれてしまう。姜家の馬車だ!>ʕ•̫͡•ʕ*̫͡*ʕ•͓͡•ʔ-̫͡-ʕ•̫͡•ʔ*̫͡*ʔ-̫͡-ʔ<姜家の令嬢が来たぞ!葉明煜は令嬢などいないと否定したが、飢民たちは食べ物があるはずだと馬車に群がった。ひるむな!>ʕ•̫͡•ʕ*̫͡*ʕ•͓͡•ʔ-̫͡-ʕ•̫͡•ʔ*̫͡*ʔ-̫͡-ʔ<早く奪え!その時、思いがけず都から駆けつけた葉世傑と姜景睿が現れ、食べ物なら持っていると叫んだ。飢民たちは姜景睿の包子に殺到、しかしやがて包子を取り合って喧嘩が始まった。すると薛懐遠が慌てて車から飛び出し、争わないよう訴える。薛芳菲はふと県令だった父が民を我が子のように慈しんでいたことを思い出し、自分の身勝手さに気づいた。「町に戻るわ」葉明煜は自分が食料を恵んだせいだと反省した。しかし薛芳菲は三叔父のせいではなく、策略だという。「飢民が私たちの行程を知るはずがない、定州から出さぬよう誰かが扇動したんだわ」薛芳菲は葉明煜の言う通り、淮郷と定州の別なく皆が同じ民だと言った。定州で久しぶりに顔を揃えた歳試4人組。葉世傑は中書令に頼まれて姜梨の説得に来たと話した。しかし姜梨は食糧を握っているのが救恤を統括する李仲南のため、父も下手に手を出せないという。葉世傑はともかく豪商の葉家ならまだ余力があると考え、支援を求めて淥陽(ロクヨウ)に戻ることにした。一方、都では姜元柏と李仲南が皇帝に呼ばれていた。姜梨がいると知って飢民が定州に押し寄せたせいで悲惨な状態に陥ったという。李仲南は物資の運搬方法を変える必要があると訴え、姜元柏と協議して報告すると返答した。「急ぐのだ、最も苦しむのは飢えた民だ」李仲南がわざと救援物資の運搬を遅らせているのは明らかだった。姜元柏は任務をしくじれば懲罰を受けると迫ったが、李仲南はどこか涼しい顔。「懲罰?それは怖いね~だが姜二娘子が私を救ってくれた 真っ先に処罰されるのは姜家、私ではなくなった、ふっ 実は定州に近い雲郷(ウンキョウ)に食糧がある、だが山道が険しくて運搬するのは骨が折れるのだ」李仲南は姜梨が民を連れての直訴を断念すれば、定州の飢餓も解決すると脅した。「貴殿からよくよく諭すのだな」李仲南は講談師に姜梨の武勇伝を広めさせることにした。そこで婉寧公主に実際の講談を聞いてもらうことにする。すると婉寧は褒美を出して講談師を下げた。「相国も流言飛語の効力が分かったようね~物見高い愚民どもを利用するとは」「姜梨がこれまで築き上げた名声を余すことなく使わせてもらいます」つづく( ๑≧ꇴ≦)おじいちゃん、熱々のお茶攻撃という嫁姑あるあるの罰を受けるの巻
2025.10.14
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漠风吟 Love In The Desert 全26話第1話…広大な砂漠では深刻な水不足により緑地を求めて各部族間での争いが多発、戦火が広がったそして数年後、雲沛(ウンハイ)・天都(テント)・麻随(マズイ)の三大勢力が形成され、長きにわたる戦乱は終結する小部族は生き残るため毎年、美女を献上し、和親による庇護を求めるしかなかったしかし″大漠奇巻(タイバクキカン)″という奇書の出現で、再び均衡が崩れるこの書を得れば最高の資源が手に入るというのだすると雲沛城主・那戦(ナセン)が奇書を得るため贅を尽くした和親祭典を催すことになり、戦乱の気配が再び漂ってくるそんな中、麻随で政変が勃発、城主の格爾熱(カクジネツ)が実弟に殺された娘の格心薇(カクシンビ)は厄娜泣(ヤクナキ)族の母と共に麻随を逃れ、わずかな護衛だけで天都へ馬を走らせたが…天都は数年前から城門を閉じ、他の部族との交流を断っていた。格爾熱が北靖(ホクセイ)領主の許嫁だったのは昔の話、朶再(ダサイ)嬷嬷(モーモー)は縁談を決めた両城主が他界してしまった今、効力はないという。しかしもはや他に道はなかった。「あなたの父親(フーチン)が殺され厄娜泣は庇護を失った…あなたまで巻き添えに」「母親(ムーチン)のせいじゃないわ」やがて一行は城門に到着、護衛が麻随の九夫人と九公主の到着を知らせ、馬車を降りた格爾熱たちは庇護を求めた。その時、城内ではちょうど北靖領主・霍擎雲(カクケイウン)が城主を訪ねようとしていた。太監は麻随の城主夫人が庇護と謁見を求めていると報告、救うかどうかお伺いを立てる。一方、格心薇たちは雪の舞う中でひざまずきながら、″大漠奇巻″の″草薬篇″を献上するので助けて欲しいと訴えていた。するといきなり城楼から放たれた矢の雨にさらされてしまう。「北靖領主の命により皆殺しとする!」格心微たちは慌てて馬車に戻ろうとしたが九夫人の背中に矢が命中した。そこへ麻随の兵士が追いついて護衛と争いになり、城門前は混沌となる。九夫人は娘だけでも逃がそうと朶再に格心微を託し、強引に馬に乗せた。「早く行って!格心微!…雲沛へ行きなさい!」すると娘の無事を祈りながら九夫人はその場で崩れ落ちてしまう。城門前には九公主の似顔絵を持った麻随の追っ手の骸が転がっていた。格心微は砂丘で父と母の衣冠塚を作り、叩頭した。「母親、麻随の敵と天都への恨み、必ず血で償わせます、父親と母親の魂を慰めるために 必ず″大漠奇巻″を全巻そろえ、厄娜泣の民を率いて生き残って見せます」格心微は母の遺言に従い雲沛を目指すことにした。しかし雲沛には和親通牒がなければ入れない。そこで格心微はまず厄娜泣の和親使節団を探すことにした。一方、厄娜泣族は雲沛の庇護を求めて公主を和親祭典に送り出していた。しかし自由奔放な娜袖(ナシュウ)・皇北霜(コウホクソウ)は反発、道中の野営からこっそり逃げ出してしまう。「雲沛なんて行くものですか!」皇北霜は無謀にも歩いて逃げ出した。すると砂丘で格心薇と出くわし、盗賊に追われていると嘘をつく。その時、厄娜泣の侍衛が追いつき、皇北霜はあっけなく捕まった。事情が分からない格心微は娘を心配したが、実は娘の一行が厄娜泣の和親使節団だと知る。「彼女は我らの娜袖なのです」※娜袖:政略結婚に赴く公主のこと格心微は運良く厄娜泣の和親使節団と合流、野営で一行と共に暖をとった。麻随の事情を知った皇北霜は格心微に同情し、和親を結んでも一時の平安を得るに過ぎないと憤る。「でも私の望みとは違う、私は絶対に雲沛には行かないわ」「厄娜泣は100年もかけて和親の資格を得た、もし行かなければ庇護のない悲惨な状況が続く 代わってあげたいけれどできない、でも付き添ってあなたを助けるわ」その時、皇北霜は娜袖が自分でなくても構わないと気づいた。「ねえ、代わりに行ってくれない?身分を交換するの」「本当にいいの?身分を交換したら、あなたは麻随から逃げた九公主になる」「どうせ死ぬならそっちの方がいい」利害関係が一致した2人は大地に誓いを立て、血の契りを交わして名前と身分を交換した。「私、麻随の九公主・格心微と…」「私、厄娜泣の娜袖・皇北霜は…」「この風と月、砂に誓って互いの身分を交換する」そこで格心微は身分を証明する玉の飾りを、皇北霜は和親通牒と娜袖の令牌をそれぞれ交換した。格心薇は立ち会った従者たちに去ることを許したが、護衛も侍女も娜袖へついて行くと決める。こうして従者も2つに分かれ、格心微と皇北霜は翌朝、それぞれ自分で選んだ道を行くことになった。「出発したら黄天狂(コウテンキョウ)の若問(ジャクモン)が統治する死風区(シフウク)を通る 早くも命の保証がないわ」「もし命を守れたとしても厄娜泣へは戻らない、″格心微″として生きて行く」「無事を祈っているわ」「あなたも」しかし皇北霜の不安が的中してしまう。大漠一の美女と言われる公主の似顔絵を手に入れたのは黄天狂の首領・若問だった。公主を探していた若問は偽物とは知らず格心微をさらってしまう。死風区に若問たちが戻ってきた。若問は早速、略奪した物資を分け与え、公主をかついで寝所に引き上げてしまう。しかし帷帽(イボウ)の下から現れたのは似顔絵とは似ても似つかない顔だった。若問は激怒、似顔絵を拾った配下に本物を探してこいと命じる。すると格心微は何とか逃げるため嘘をついた。「私は若問の女・格心微よ?若問と言えば凶暴で人を殺しても顔色を変えない荒くれ者 分かったら早く縄をほどいてもてなすことね?」「ぶはははは~!そいつは今どこにいると思う?」若問は格心微を縛っていた縄を切って寝床に押し倒した。その時、配下が本物の似顔絵の公主を見つけたと知らせに来る。「俺が誰だと思う?…黄天狂の若問だ」若問は格心微の首を突いて眠らせ、急いで出発した。一方、皇北霜は道中、砂漠で動けなくなっている男と馬を見つけた。車の窓から顔を出した娘の美しさに息をのむ霍擎雲。すると皇北霜は馬車を止め、男に水を10袋も分け与えた。霍擎雲は砂漠にとって水は黄金の価値があると驚いたが、皇北霜は誰もが無情になる砂漠で馬に名をつけ、守っている男に感銘を受けたという。「無事に砂漠を出られることを祈っているわ」「私は霍擎雲、この恩は必ず…」しかし霍擎雲はそこで意識を失ってしまう。霍擎雲が目を覚ますと馬車の中にいた。すると恩人が″大漠奇巻″を読んでいる。皇北霜は霍擎雲が目を覚ましたと気づき、動くと傷口が化膿してしまうと助言した。「恩に着るよ、名前を聞いても?」「名前を知る必要はないわ」霍擎雲は警戒するのも無理はないと理解を示し、そこで馬車を降りることにした。霍擎雲は偶然を装って一行の駱駝にぶつかり、わざと荷物を落とした。「これは済まない…もしや君は厄娜泣なのか?」「それを見ただけで見抜くとはね」「商売で砂漠を渡り歩いているから各部族の特産品は分かる」霍擎雲は以前、厄娜泣にも行ったことがあると話した。「君は娜袖と呼ばれていたね、公主なんだ、部族の使命を背負って大変だな 道中は危険だから気をつけて、縁があれば雲沛で恩を返すよ」公主が引き止めてくれることを期待して歩き出した霍擎雲、その時、皇北霜が呼び止めた。「…あなたも雲沛へ?」つづくみんなのLaLaテレビが帰ってきた!‹‹\(´ω` )/››‹‹\( ´)/››‹‹\( ´ω`)/››【漠風吟】がまさかの日本上陸!ハニーちゃん+イールンという私得ドラマ!嬉しい!来月はウエイロン+アンジェラベイビーが待っています!
2025.10.13
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墨雨云间 The Double 全40話第20話「報われぬ善行」坑道の奥で金の採掘場を発見した薛芳菲(セツホウヒ)と蕭蘅(ショウコウ)。薛芳菲は婉寧(エンネイ)公主が自分を殺したのは横恋慕だけではなく、裏に深い闇があると知って愕然となった。その時、ある工人が転んで倒れ、かばった兄弟と共に番人から折檻される様子を目撃する。薛芳菲は工人が古(コ)兄弟だと気づいて助けに行こうとしたが、蕭蘅が止めた。すると人手不足のせいか番人は兄弟を見逃し、手当てして戻ってこいと命じる。「行くぞ」蕭蘅は姜梨(キョウリ)を兄弟たちの元へ行かせた。古大(コダイ)と古二(コジ)は突然、現れた番人に殺されると誤解したが、良く見ると県令の娘だと気づく。「薛丫头(ヤートウ)か?」「私よ、古大哥、古R…」古大と古二は薛芳菲が帰郷途中で死んだと聞いていた。薛芳菲は姜梨として生きていると明かし、詳しいことは脱出してから説明するという。しかし古兄弟は監視が厳しく逃げるのは難しいと言った。「お前は早く逃げろ!」「嫌よ!絶対に脱出させる」その時、番人の声が聞こえ、蕭蘅は急いで姜梨を迎えに行った。蕭蘅は姜梨を連れて逃げたが、その先は厠で行き止まりだった。やむを得ず悪臭をこらえながら物陰に隠れた2人。何とか難を逃れると、古兄弟が心配して薛芳菲を探しにやってきた。すると蕭蘅が鼠に驚いて背中に飛びついた薛芳菲をそのまま背負って出て来たせいで、兄弟は目のやり場に困ってしまう。「薛…いや姜梨丫头、覚悟を決めたよ」(´-ω-`)笑うところなんだろうけど笑えないw古兄弟は混み合う食事の時間に彭笑(ホウショウ)と何君(カクン)を連れ出し、坑道で薛芳菲たちと合流した。しかし見回りが蕭蘅と薛芳菲が衣を盗んだ2人が倒れているのを発見し、捜索が始まってしまう。挟み撃ちにされた蕭蘅たちだったが、陸璣(リクキ)も駆けつけ応戦、洞窟から脱出した。一方、県衙では葉明煜(ヨウメイイク)に逃げられたと知った馮裕堂(フウユウドウ)が激怒していた。しかし捕吏から思いがけず県衙に外と連絡を取っていた間者がいると知らされる。密通者とは薛芳菲を呼び出したあの老婆だった。馮裕堂は直ちに老婆を見つけ出し、姜梨の正体は薛芳菲なのかと迫る。すると老婆は一矢を報いようと馮裕堂に飛びかかって首を絞めたものの、刺し殺されてしまう。蕭蘅は薛芳菲たちを連れて東山を出ると文紀(ブンキ)が馬車と馬を用意して待っていた。そこで蕭蘅は文紀に陸璣を待つよう頼み、ひと足先に出発する。しかしすでに採掘場に何者かが侵入し、数名が脱走したと県衙に報告が届いていた。馮裕堂が放った刺客たちが蕭蘅たちの前に現れた。蕭蘅たちはわずかな人数で応戦し追い詰められたが、危ないところで文紀と陸璣が間に合い一掃する。姜梨をかばって腕を斬られた蕭蘅、石を投げて敵に囲まれた蕭蘅を救った薛芳菲。2人はまさに運命を共にして危機を乗り越え、絆を深めていた。( ̄▽ ̄;)もうお腹いっぱいなので詳しい話は放送でwその夜、馮裕堂は県衙の中庭で宴を催した。捕吏たちは埋伏たちの帰りを待ってはどうかと進言したが、この時間に戻ってこないのなら結果は目に見えている。「私の部下が粛国公に勝てるはずない、しくじった挙句、骸となって戻って来るだろう」「では逃げた方が…」「ここまで上り詰めたのに野良犬に戻るものか!」すると身なりを整えた粛国公と姜梨たちが乗り込んできた。しかし馮裕堂の合図で薛懐遠(セツカイエン)が引っ立てられ、薛芳菲は父を人質に取られてしまう。馮裕堂は薛懐遠を盾にして自分たちを逃すよう要求、蕭蘅は隣で激しく動揺する姜梨をなだめ、取り引きに応じると約束した。蕭蘅は陸璣に命じて馮裕堂の要求通り外の馬車に黄金を乗せた。準備ができたと聞いた馮裕堂は薛懐遠の首に短刀を突きつけたまま捕吏たちに囲まれ、中庭を出て行ってしまう。「…私を信じるか?」「信じるわ」すると蕭蘅の伏兵が一斉に矢を放ち、路地を歩いてきた捕吏たちを始末した。驚いた馮裕堂は薛懐遠を手放し逃げようとしたが、毒が回ったせいで動けなくなってしまう。実は捕吏に紛れた密偵が宴に出す肉にこっそり毒を塗り込んでいた。薛芳菲は父の元へ駆けつけたが、薛懐遠は娘を認識できなかった。しかも老婆がすでに馮裕堂に殺されたと知り、怒りが爆発する。「粛国公、こやつに解毒薬を…楽に死なせたくない!」「殺しはせぬ、凶悪な事案の証人だからな、刑部の処刑担当官が明日、来る」「こざかしい小娘め…明日、処刑されるのはお前の父親の方だ…お前も道連れにしてやる」すると薛芳菲は葉明煜に短刀を借りた。薛芳菲は激情に駆られ、馮裕堂の四肢を順番に刺していった。「グサッ!これは薛県令と薛昭(セツショウ)の分!グサッ!これは哑婆(ヤーポー)の分! グサッ!これはお前に虐げられた役人たちの分!グサッ!この一刀は淮郷(ワイキョウ)の民の分よ!」さすがに耐えきれなくなった馮裕堂は助けを請うた。その時、薛芳菲は短刀を振りかぶり、馮裕堂を去勢してしまう。「ギャアァァァァァァァァァァ〜!」「この一刀は瓊枝(ケイシ)の分!」すると暴走した薛芳菲が止めを刺そうと再び短刀を振りかざした。しかし蕭蘅が咄嗟に腕をつかんで止める。「止血しろ、生かしておけ」しかし屋根に現れた黒衣の刺客が矢を放ち、馮裕堂は口封じに殺されてしまう。∑(⊙∀⊙)ヒャーーー!いくら生娘じゃないとは言えw薛懐遠は錯乱し、怯えながら娘の名を呼び続けていた。哀れな父の姿を見た薛芳菲は泣き崩れ、家族を陥れた者たちへの復讐を誓う。薛芳菲が父を休ませ外へ出ると回廊で蕭蘅が待っていた。「薛県令の部下たちが無実の証人を探しているぞ」「分かったわ」しかし古兄弟たちは証人探しに行き詰まっていた。実はかつて薛県令をかばった民たちは報復を受け、家族が暴行されたという。例え馮裕堂が失脚したと知っても、民たちは2度と関わろうとしなかった。古兄弟たちは他の家も回ると言ったが、薛芳菲は必要ないという。「薛県令は善人よ?天が必ず味方してくれる」薛芳菲は強がってみたものの、心は不安でいっぱいだった。…善人だったら本当にいつか報われるの?…つづく( ・`ω・´)<止血しろ!
2025.10.12
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墨雨云间 The Double 全40話第19話「廃棄された金鉱」叔父を釈放する名目で淮郷(ワイキョウ)県衙の様子を探りに向かった薛芳菲(セツホウヒ)。葉明煜(ヨウメイイク)は無事に解放されたものの、役人たちの横暴さに怒りが収まらず、気晴らしに出かけてしまう。すると薛芳菲は桐児(トウジ)だけにあの県令を知っていると吐露した。かつて父・薛懐遠(セツカイエン)は物乞いだった馮裕堂(フウユウドウ)を哀れみ、県衙に置き役目を与えたという。確かに馮裕堂は聡明だったが心根が悪く、監督を任されていた穀倉で私服を肥やしていたことが判明、父から厳しく叱責されていた。まさか馮裕堂が父を陥れて県令になっていたとは、しかもすでに当時の父の部下は1人もいなかったという。しかし意外にも県衙の前で老婆がわざと転んで薛芳菲にこっそり手巾を手渡していた。…梨花巷(リカコウ)五舎…「私を呼び出したのは伝えたいことがあるのかも」薛芳菲は密偵を撹乱するため桐児と衣を交換、葉明煜が姜梨に成りすました桐児を馬車に乗せて出かけた。しばらくして侍女に変装した薛芳菲が独りで現れたが、用心のため残っていた密偵につけられてしまう。追跡に気づいた薛芳菲は急いで橋を渡り、物陰に隠れて密偵たちをまいた。しかし安心したのもつかの間、運悪く3人のごろつきに目をつけられ、からまれてしまう。「小美娘(シァォメイニャン)~♪俺たちと遊ぼう~♪」その時、思いがけず蕭蘅(ショウコウ)たちが現れ、ごろつきを追い払った。蕭蘅は珍しく平民の装いだった。「気に入ったか?小美娘?…私を追いかけて淮郷へ?」蕭蘅は姜梨がてっきり文紀(ブンキ)の淮郷行きを伝える文を見て来たと誤解した。(* ゚д゚)<何の話?( ̄▽ ̄;)<何でもないすると薛芳菲は話を切り上げ、先を急ぐことにした。しかし密偵に気づいた蕭蘅が引き止める。「あとは2人に任せて我々はお茶でも…」蕭蘅は姜梨と粛国公の淮郷での密会を演出した。「昔から色恋沙汰は人気の芝居だ、真偽は関係ない 皆が見たいのは人の名声が天から地へと転落する物語だ」蕭蘅は花売りの娘から買った花を姜梨の髪に挿すと、今度は姜梨が蕭蘅の髪にも花を挿した。2人の様子を見ながら思わず身震いしてしまう花売りの娘と視聴者。しかしこれも仕事と割り切って娘は別の花も勧めた。「娘子、この花もどう?きれいよ?」それは偶然にも梨の花だった。( ꒪ͧ⌓꒪ͧ)何を見せられているのかw文紀と陸璣(リクキ)は4人の密偵たちを捕まえて茶楼に連行した。主は馮県令だという。「主に伝えよ、粛国公と姜二娘子が一緒にいるところを誰にも見られたくないとな」すると陸璣は密偵を追い払った。「″粛国公と姜二娘子が一緒にいるところを誰にも見られたくない″? あなたは自分の地位を利用して私を助けたのね?」「は?」薛芳菲と蕭蘅にしか通じない戯れ、その様子を見ていた文紀と陸璣は思わず顔を見合わせ、笑顔になった。蕭蘅は姜梨の護衛を陸璣に任せた。「ありがとう」おかげで薛芳菲は水路を使って無事に指定された民家に到着する。待っていたのは餓死寸前のところを薛懐遠に救われた老婆だった。老婆は口が利けないふりをしていたおかげで見逃され、県衙に唯一残ることができたという。そこで薛芳菲は今の身分が中書令の娘・姜梨だと明かした。「身分を知られたくないの、父親を陥れたのが馮裕堂だと証言してくれる人を探している」「でも彼らを救い出すことができません」実は父のかつての部下たちは東山(トウザン)の砂利採取場に送られていた。馮裕堂は粛国公に追い返された密偵たちの1人を見せしめに殺した。「それで粛国公は何をしに来た?」「姜梨という娘と一緒にいました」すると馮裕堂は今度、見破られたらあの世行きだと釘を刺した。一方、蕭蘅たちは採石場の地形を検討して潜入方法を考えていた。しかし地震のせいで坑道も変化し、地図もなく入るのは難しい。そこへ姜梨が現れた。実は東山の採石場へ一緒に行って欲しいという。「急を要するのです、粛国公」薛芳菲は蕭蘅たちが東山にある封鎖された金鉱を調べたいが、坑道図がないため行き詰まっていると知った。薛芳菲は弟の地図を蕭蘅に渡した。「これはさる者が命懸けでくれた物、必要なら大事に使って」蕭蘅は出所不明の地図を怪しんだが、薛芳菲の気迫に負けて話を聞くことにする。「私を採石場に連れて行って、薛県令の部下を助けたいの」「こちらの命をもって人の命を救えと?うむ…損な取り引きはしない」「私たちに公平な取り引きがありました? 私はあなたの手中の駒、いいえ、駒ですらなかったわ」すると蕭蘅は文紀と陸璣を下げた。「姜家に戻った私をあなたはずっと観察していた、最初は疑っていた でも李(リ)家と私が賭けを始めると煽って葉世傑(ヨウセイケツ)を渡さぬよう私に両家を離間させた 私の手を治療して歳試で勝たせたのもそのため、そうやって私が駒として使えるか観察した 淥陽(ロクヨウ)に来て葉家を守るため私が李家に対抗した時、本当の駒として使い始めた そうでしょう?」蕭蘅は自分に李家と争う意図などないとはぐらかしたが、すでに薛芳菲は知ってはならない密命に気づいていた。「清呈(セイテイ)山での塩の密売からこたびの官営金鉱まで、何を探っているのかは明らか 都で汚職事件が頻発したけれど、死者は皆、端役に過ぎない 裏で誰かが財を成している…あなたの目はずっと李家に向けられていたわね 都の財路を失うと李瑾(リキン)は淥陽に来た、淥陽には富豪の葉家 財は国の要だもの、陛下も憂慮せざるを得ない 粛国公が奔走するのは李氏一門を倒すため、それは天子の命」「姜梨…死にたいのか?」「姜梨は生きたくても生きられなかった、あなたが策に乗ってくれたから私は生き延びられた」蕭蘅は姜梨の身を案じ、知り過ぎた駒は捨てるしかないと言い放った。「私の命をあげる、この命を捧げるから駒として使って! 蕭蘅、あなたは言ったわ、″我々は運命を共にする″と…怖くなったの?!」「…で、どうやって監視の目をくらませるつもりだ?」馮裕堂が薛懐遠(セツカイエン)をいたぶっていると姜梨たちの消息が届いた。聞けば姜梨は食糧店、蕭蘅は闇市、文紀は農家にそれぞれ出かけたという。馮裕堂は姜梨たちが穀倉で何かやらかすと気づき、配下をかき集めて乗り込んだ。しかし捕まえたのは葉明煜と従者だけ、馮裕堂はただのおとりだと気づいて帰ってしまう。「閉じ込めておけ」するとそれまでおとなしくしていた葉明煜たちがいきなり反撃、捕吏たちを圧倒した。薛芳菲の読みが当たった。貪官汚吏は穀倉が襲われたとなれば大慌てになるはず、おかげで追っ手まで引き上げ、難なく東山へ到着する。採石場には見張りが8人いて近づけなかったが、淮郷で育った薛芳菲は裏山の洞窟から入れると知っていた。蕭蘅と陸璣は姜梨を連れて発炎筒の明かりを頼りに洞窟へ入った。しかししばらくすると道が二手に分かれ、蕭蘅は一方を陸璣に任せ、姜梨と2人で地下へ降りて行く。すると薛芳菲は暗く狭い洞窟のせいで沈玉容(シンギョクヨウ)に生き埋めにされた時の恐怖が蘇り、動けなくなった。その時、蕭蘅が薛芳菲の手を握りしめ、先導してくれる。蕭蘅の力強い手に導かれ、不思議と安心感に包まれ歩き始めた薛芳菲、やがて坑道にいる見張りの声が聞こえてきた。蕭蘅は2人の見張りを倒し、衣を奪って見張りになり済ますことにした。そこで見張りの衣を脱がして姜梨に渡したが、薛芳菲は内衣の悪臭に思わずえずいてしまう。すると蕭蘅は唐突に衣を脱ぎ始めると、自分の内衣を脱いで姜梨に渡した。( ꒪ͧ⌓꒪ͧ)何を見せられているのか再びwその頃、帰京した李瑾は父・李仲南(リチュウナン)と一局、手合わせしていた。しかし思いがけず淮郷に粛国公がいると密書が届く。…指示を待つ…「どうした?」「蕭蘅と姜梨が淮郷に現れました、発覚したようです、金鉱の件が…手は打ちました」蕭蘅と姜梨は見張りに扮して坑道を進み、ついに金鉱を見つけた。薛芳菲は3年前の地震で朝廷が危険と判断して封鎖されたはずだと驚いたが、蕭蘅の顔を見てすでに知っていたのだと気づく。「金鉱の捜査で淮郷に来たのね?」←え?今さら?( ̄▽ ̄;)すると薛芳菲は恐ろしい事実にたどり着いてしまう。「金鉱と薛家の3人…沈玉容と婉寧(エンネイ)公主…全てが繋がっていた…」つづく(  ̄꒳ ̄)雑感片頭曲<墨雨雲間>が好きなので替わってしまって残念で、あらためて曲を聴いてみたら和訳が思っていたのと違って笑ったw墨雨雲間(モーユーユンヂィァン)って「墨色の雨と雲の間」なのね私はてっきり穴に埋められた時の女主の心情が「雲の間(から降ってくる)墨色の雨」だと思ってた
2025.10.11
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墨雨云间 The Double 全40話第18話「鬼畜のはびこる町」蕭蘅(ショウコウ)は姜梨(キョウリ)がご馳走してくれた露店で包子(パオズ)を食べていた。するとひょっこり姜梨が現れる。「葉家の祝いの夜になぜ出て来た?」「葉家の祝いゆえ…私には無縁かと」薛芳菲(セツホウヒ)は協力してくれたお礼にかつて国公府で尋問し損ねた埋め合わせをすることにした。「今日は論争しない」「お前の姓は?」「ないわ」「名は?」「名もない」「本籍は?」「清呈(セイテイ)山をさまよう亡霊…私は姜梨じゃない」「知っている、お前の正体は…小狸猫(シァォリーマォ)」蕭蘅はわざとはぐらかした。「…粛(シュク)国公、人は失ってからその大切さに気づくの?」「愚か者はそうだ」「私は愚か者なのね」すると薛芳菲は今夜の月の美しさに気づいて席を立った。しばし黙ったまま月を眺める2人。「阿狸(アリ)、罪人ならば身元を洗わねばならぬが、罪なき者が素顔をさらす必要はない 町には明かりが灯る、もし亡霊ならとうに姿が消えている」蕭蘅は姜梨が深入りすることを懸念したが、薛芳菲は笑顔を見せた。「…私は必ず生きる」屋敷に戻った薛芳菲はゆっくり沐浴しながら蕭蘅を思い出していた。少しずつ心を通わせる薛芳菲と蕭蘅。一方、蕭蘅は心の乱れを落ち着かせるように激しい雨の中で剣術の稽古に没頭していた。Σ(꒪꒫꒪ )何を見せられているのかw翌日、瓊枝(ケイシ)の使いが姜梨を呼びに来た。薛芳菲は急いで居所を訪ねたが、全身傷だらけで虫の息となった瓊枝の姿に驚愕する。実は瓊枝は惜花(セキカ)楼に遊びに来た淮郷(ワイキョウ)の県令から重大な情報を聞き出していた。「薛県令は生きているわ、投獄されてもすぐ処刑されず、半年後に延ばされたとか もうすぐ半年が経つ、私が聞き出せたのはそこまで…」瓊枝は県令が妹分・翠珠(スイシュ)を暴行して辱めた鬼畜だと知りながら、犠牲になることも厭わなかった。すると瓊枝は薛昭(セツショウ)からもらった地図を姜梨に託し、正義を取り戻して欲しいと頼んで息絶えてしまう。「…阿昭、あなたに会いに行くわ」一方、刺客養成所を調べていた蕭蘅は楚嵐(ソラン)が賃料を砂金で払っていたと知った。しかし南部の地震で朝廷は金鉱を閉じ、今も再開していないはず、もし私的に金を掘ったとすれば反逆罪に問われる。「文紀(ブンキ)、閉鎖された金鉱から川沿いに下流を探せ」葉宅に姜梨が帰って来た。しかし誰が声をかけても返事がなく、姜梨は部屋にこもって食事にも顔を出さなくなってしまう。葉嘉児(ヨウカジ)が様子を見に行くと、ちょうど姜梨が荷物を持って出て行くところだった。「何があったの?話して?味方は多い方がいい」薛芳菲は家族として姜梨を心配してくれる従姉を無視できなかった。「貞女(テイジョ)堂にいた頃、ある姐姐に出会った そのおかげで生き延びることができたわ その人が死ぬ前に語った話によると父親は淮郷の県令で、卑怯者に陥れられ命を落としたとか 私が淮郷へ行くことがあったら墓に花を供えてと頼まれたの そうすれば来世でもまた会えるからと… でも今日、人づてに聞いたわ、県令は生きていて淮郷の獄中にいると」葉嘉児は姜梨が心配で一緒に行くと言い出した。実は県令が変わった今の淮郷は役人たちの蛮行が蔓延しているという。すると立ち聞きしていた葉明煜(ヨウメイイク)が現れ、自分が同行すると申し出た。「鏢局(ヒョウキョク)は潰したが腕っぷしは鈍っていないぞ!」一方、蕭蘅は文紀から下流に砂金鉱があったと報告を聞いた。表向きは砂利の採取場で作業場は川沿いに点在、最も遠いのは官営の金鉱のそばにあったという。「金鉱はどこにある?」「淮郷です、貧官・薛懐遠(セツカイエン)が県令だった…」「つまり半年前、薛懐遠が投獄された頃に採取場ができたのか」どうやら李仲南(リチュウナン)は金鉱を手に入れるため、金で動かない薛懐遠を陥れたらしい。蕭蘅は薛姉弟の死が婉寧(エンネイ)公主だけの仕業ではないと気づいた。「薛懐遠の冤罪が漏れ出さぬよう口封じされたのか…淮郷へ行かなくては」薛芳菲はついに故郷へ帰って来た。しかし話に聞いていた以上に淮郷は荒れ果て、昔の賑やかで美しい町の面影はない。店は空き家が目立ち、子供たちの楽しそうな声も聞こえなかった。「この半年で一体、何があったの?」薛芳菲たちはひとまず客桟に向かったが、驚いたことに広間は役人が胴元の賭場になっていた。薛芳菲は1部屋十両という法外な値段に呆れ、客桟を出た。そこで記憶に残っていた空き家を葉明煜に借りてもらうことにする。薛芳菲は桐児(トウジ)とかつての住まいに向かったが、門は閉鎖されていた。葉明煜が家を借りてくれた。すると姜梨が早速、役所に行きたいという。「諸悪の根源を見たい、役所を牛耳る者がどんな輩か知りたいの」「急に乗り込めば疑われるだけだ」「三舅にお願いが…」そこで葉明煜は客桟の賭場で騒ぎを起こし、わざと捕まった。薛芳菲は叔父の解放を求めて淮郷県衙を訪ねた。すると淮郷の県令・馮裕堂(フウユウドウ)が早朝から起こされ、不満そうにやって来る。しかし面紗を外した娘を見て我が目を疑った。「私は中書令の娘・姜梨です」「ふん、罪臣の娘が何を…こやつを捕えろ!」「無礼な!私に指一本でも触れたら命がないわよ! 誰と間違おうと勝手だけれど私は中書令の娘、覚悟するのね」馮裕堂は姜梨の気迫に負け、人違いしたと謝罪した。薛芳菲は叔父の釈放を求め、客桟の修繕費を払った。馮裕堂は直ちに葉明煜を解放してくれたが、姜梨の正体を怪しんで密偵をつけることにする。一方、衙門を出た薛芳菲は今にも倒れそうになった。痛めつけられた三叔父を見れば、父がこの半年も痛ぶられたのだと分かる。その時、門前を掃除していた老婆が転んで薛芳菲にぶつかった。老婆は口がきけないのか、手振りで申し訳ないと伝えて行ってしまったが…。つづく※鏢局:今でいう宅配会社、盗賊などから荷物を守るため鏢師たちは武芸に通じている
2025.10.10
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墨雨云间 The Double 全40話第17話「包子の代償」薛芳菲(セツホウヒ)が闇市を出る頃にはすっかり夜も更け、外は雨になっていた。酩酊した姜梨(キョウリ)の三叔父・葉明煜(ヨウメイイク)は亡き姉に会いたいとくだを巻いていたが、蕭蘅(ショウコウ)の命で陸璣(リクキ)が背負って送ってくれる。すると酔っ払った姜梨が珍しく羽目を外し、傘から飛び出して雨に濡れながら楽しそうに笑った。蕭蘅はそんな無邪気な姜梨を優しく見守っていたが、急に姜梨が蕭蘅の胸ぐらをつかんで引き寄せる。「いい男ね…自覚してる?」今にも唇が触れ合いそうなほど近づく蕭蘅と薛芳菲。すると蕭蘅は思わず姜梨の顔を背けてしまう。「それほど酔っても本音を見せないな…家まで送る」「家?…私に家はない」「同じだな、私も家がない」蕭蘅は頼彪(ライヒョウ)から李(リ)家と関わらない方が良いと警告されたことを思い出していた。…さもなくば、いずれ身内を失う…蕭蘅は姜梨を葉家に送り届けてから城西の屋敷で文紀(ブンキ)と合流した。屋根から部屋にいる烏蘭(オラン)の様子を眺める蕭蘅、するとついに楚嵐(ソラン)が現れる。しかし楚嵐は代(ダイ)国語で話し始めた。烏蘭は楚嵐がすでに自分の裏切りに気づいたと知り、人質の弟のため蕭蘅がいるとばらしてしまう。<奴はどこだ?><屋根に…><何人だ?><3人、府尹(フイン)とは不和で援軍はいません>実は楚嵐とは第1話で蕭蘅が踏み込んだ塩の倉庫で番頭を口封じしようとして失敗したあの刺客だった。文紀と陸璣は中庭で賊たちに捕まり応戦していた。屋敷に踏み込んだ蕭蘅は楚嵐と手合わせになったが、楚嵐は助太刀してくれた烏蘭をどさくさに紛れて刺してしまう。「なぜ…私の弟弟(ディディ)は…」「組織に背いた者の弟を生かしておくと思うか?」すると楚嵐が屋根に飛び出し、蕭蘅が追った。蕭蘅は酒の匂いを漂わせながら楚嵐の攻撃を見事にかわし、楚嵐を蹴り飛ばした。中庭に落下し、深手を負う楚嵐。しかし蕭蘅が生け捕りにしようと飛び降りたところで伏兵が現れ、賊に囲まれてしまう。多勢に無勢、蕭蘅は背中を斬りつけられ、文紀と陸璣も満身創痍となった。その時、頼彪が配下を引き連れ加勢、賊を一掃してくれたが、楚嵐には逃げられてしまう。「これで恩は返した、父親の弔い酒を飲む時は俺を呼んでくれ」一方、府尹・佟知陽(トウチヨウ)は頼彪が姜梨に供給源を漏らしたと報告を聞いた。そこで口封じのため大封薬舗(ダイフウヤクホ)に刺客を放ち、皆殺しにしてしまう。翌朝、薛芳菲は激しい二日酔いで目を覚ました。すると葉嘉児(ヨウカジ)が現れ、蕭蘅の赤い外套をまとって姜梨をからかう。実は昨夜、蕭蘅はびしょ濡れになった姜梨に自分の赤い外套をかけ、抱きかかえて葉宅まで送り届けていた。「これは何かしら?持ち主は誰なの?」「知らない人よ、あの人のことは忘れて」薛芳菲は昨夜の失態を思い出し、今日は忙しいとごまかして出かけてしまう。薛芳菲は葉明煜(ヨウメイイク)と合流、駄羅(ダラ)の買い手である大封薬舗に向かった。しかし店は門を閉めたまま返答もない。葉明煜はひとまず阿順(アジュン)を裏道の塀から忍び込ませ、露店で包子(パオズ)を食べながら待つことにした。そこへ佟知陽が捕吏を引き連れ駆けつける。「昨夜、大封薬舗で事件があったと聞いてな」すると店に乗り込んだ朱(シュ)県尉が一家皆殺しにされていると報告、中にいた阿順が捕まってしまう。薛芳菲は織染(ショクセン)令・唐帆(トウハン)を頼ることにした。しかし唐帆は織染署の調査なら終了したと取り付く島もない。「私の任務は終わった、そなたの言う殺人については府尹に申し立てよ」すると唐帆は都へ帰ってしまう。薛芳菲は肩を落として葉家に戻った。しかし証拠がなくなったと知っても卓(タク)氏と葉嘉児は姜梨の尽力に心から感謝し、あとは自分たちに任せてくれという。「佟知陽の狙いは分かってる」そこで翌日、卓夫人は衙門を訪ねた。佟知陽は葉明軒(ヨウメイケン)の命を盾に黄金10万を要求してきた。話を聞いた薛芳菲は李家が葉家の財を奪って葉世傑(ヨウセイケツ)の退路を断つつもりだと憤慨、府尹の思い通りにはさせないと息巻く。しかし卓夫人は葉家にとって大事なのは財より家族だと言った。「あなたもその1人なのよ?」葉家は財産を手放すことにした。薛芳菲は居たたまれなくなって三叔父の大同鏢局(ダイドウヒョウキョク)を訪ねたが、葉明煜も店の処分を始めている。「二叔母の言う通りね、葉家の人は家族が一番大事」「兄弟で力を合わせて麗正堂を作った頃を思い出す、だが大哥夫婦が急逝し、私は独立した」当時、まだ若くて一途だった葉明煜は失敗を認めることができず、結局、今日まで意地を張り続けて実家と疎遠になってしまう。薛芳菲はこの機会に家に帰るよう説得したが、その時、三叔父が整理していた箱を見てある妙策が浮かんだ。戯曲に傾倒する佟知陽のこと、箱に入っている美しい舞台衣装に目がないだろう。薛芳菲は蕭蘅を呼び出し、包子をご馳走した。「あの夜は…ありがとう、外套を返すわ」「その礼が包子か?」「それからお芝居に招待する」一方、卓夫人はついに売り払った財産と蔵の鍵を全て府尹に差し出していた。蕭蘅が傷の手当てを終えて着替えていると文紀が戻って来た。成(セイ)王の刺客養成の屋敷を封鎖したが、楚嵐の行方は依然、不明だという。しかし刺客養成の屋敷は転々と移動していたため、封鎖した屋敷も賃貸だった。「持ち主に誰が賃料を払ったか聞け」すると陸璣が姜梨から届いた差し入れを持ってくる。蕭蘅は包子と一緒に入っていた書き付けを読むと早速、陸璣を観察使のもとへ行かせた。実はちょうど観察使が近くを巡察していた。淥陽はすでに調査の必要なしと報告が来ていたが、粛(シュク)国公の依頼では仕方がない。すると薛芳菲の指示で葉明煜が観察使に事情を説明、佟知陽が葉家から皇帝への献上品を横取りしたと訴える。驚いた観察使が淥陽府に乗り込むと、回廊にはちょうど葉家から届いた多くの宝箱が並び、すっかり舞い上がっていた佟知陽は献上品の衣をまとい、のん気に唄っているところだった。「官服に着替えてから話せ!」薛芳菲は佟知陽が献上品を預かっただけだと言い訳することは織り込み済みだった。しかしそれを証明するためには葉家の協力が不可欠、下手に出るしかない。薛芳菲は交渉を三叔父に任せ、佟知陽が罪を逃れようとした時は古香緞(ココウタン)で陥れたことを訴え、阿順を解放するよう助言した。「でも仕返しされないか?」「李仲南(リチュウナン)は佟知陽を府尹の座から引き下ろすはずよ」葉家に葉明煜も戻り、家族そろって釈放された葉明軒を迎えた。葉明軒は姜梨に心から感謝したが、薛芳菲はどちらにしても多くの財産を失ってしまったと落胆する。しかし卓夫人は宝物を献上したことで葉家の忠誠を示せたことは幸いだと言ってくれた。「その昔、幼かったとは言え、人の言葉を間に受けて葉家の皆さんを傷つけました こうして償う機会を得られて安堵しています」薛芳菲は姜梨の代わりに当時の後悔を吐露したが、そこへ静養中の老夫人が現れた。「生きているうちに会いに来てくれたのかい…」老夫人は姜梨を抱きしめ、しばし感激の涙を流した。…阿梨、葉家はあなたを許してくれたわ、あなたを愛する人たちがいる、母親と同じようにあなたを思う家族がこんなに沢山いるのよ?…薛芳菲は葉家の団欒を眺めながら、かつての幸せな生活を思い出した。…父親と昭Rが生きていたら阿狸の犯した過ちを許してくれたでしょう、でも私を許してくれる人はもうこの世にはいない…薛芳菲の頬を涙が伝った。すると葉嘉児がそっと姜梨の手を握る。「梨R、泣かないで、ここはあなたの家よ」「ここが私の家…」つづく( ߹꒳ ߹ )最終回よかった~え?違う?w
2025.10.09
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墨雨云间 The Double 全40話第16話「闇市の王」麗正(レイセイ)堂に押し寄せた民衆を鎮めるため、姜元柏(キョウゲンハク)の娘だと明かした薛芳菲(セツホウヒ)。すると朱(シュ)県尉は何の裏付けもなく葉(ヨウ)家を庇えば癒着のそしりは免れないと警告した。しかし証拠として死者が着た古香緞(ココウタン)が役所にあると言いながら、まだ調査中のため死因は分からないという。薛芳菲は根拠もなしに叔父を逮捕したのかと呆れた。そもそも全国に流通する葉家の古香緞で人が死ぬのなら淥陽(ロクヨウ)だけの問題ではない。本来なら検視のあと証拠と書類を揃えて都に送り、今頃は織染署から人が派遣され、調査が始まっているはずだ。「朱県尉、府尹(フイン)にお伝えを、父親(フーチン)には文で詳細を知らせました 数日以内に織染署から人が来る、そうなれば古香緞に問題があるか判明します」民衆から疑惑の目を向けられ、旗色が悪くなった朱県尉は引き上げた。そこで薛芳菲は民衆が購入した古香緞を証拠として原価に迷惑料を乗せて買い取ると伝え、騒動を収める。川の向かいにある茶楼では蕭蘅(ショウコウ)と李瑾(リキン)が事の顛末を見届けていた。李瑾は悔しそうに店をあとにした。姜梨(キョウリ)が中書令の父を持ち出したのは府尹の後ろにいるのが李(リ)家だと勘付いたからだろう。蕭蘅は姜梨が姜家と李家をとことん対立させるつもりだと分かった。すると茶楼の方を見た姜梨と目が合ってしまう。「お、気づかれたか…姜二娘子はお怒りのようだ、茶にお招きしろ」文紀(ブンキ)は怒っているなら来ないと言ったが、蕭蘅に扇で叩かれてしまう。「李公子と好い茶が飲めたと言え」姜梨は茶楼へ来たが、やはり機嫌が悪った。「芝居が終わるといつも私を呼び出すのですね 我関せずという態度を取りながら急所を突き、重点を指摘し、私に恩を着せ貸しを作る 茶楼の高みに座り今も手札を明かさない、芝居が観たいだけ?」「怒っている顔も美しい…捜査は高みからするものだ」「妓楼が高みですか?」すると姜梨は勝ち誇ったように席を立ってしまう。「あの日、妓楼で会っていたのは烏蘭(オラン)だ、小桃紅(ショウトウコウ)が供述した一味だ」「そうですか、葉家と関係が?」「関係はない、ただお前に言っておこうと思っただけだ」「ふっ、分かりました」姜梨は帰って行った。「私の話を理解したのか?」しましたよ!(´・ω・)(・ω・`)主君が妓楼の客なわけないっスその夜、葉家では葉嘉児(ヨウカジ)が姜梨の武勇伝を母に聞かせていた。卓(タク)夫人は感謝したが、中書令の機嫌を損ねやしないかと心配する。実は姜梨が文を送ったのは父ではなく、戸部員外郎の葉世傑(ヨウセイケツ)だった。「父親の名前を出したのは府尹を脅すためです…事が解決すれば父にとっても得になります」すると薛芳菲は従姉と二叔母の手を取った。「この難関は必ず乗り切れます」一方、李瑾は密かに府尹・佟知陽(トウチヨウ)に接触、発破をかけていた。「父親からの伝言です、姜相国のことは心配無用、すべきことをするようにと さすれば葉家の財の1割が貴殿のものに…」李瑾はお忍びで来訪したため、近いうち帰京すると伝えた。織染(ショクセン)令・唐帆(トウハン)は淥陽に入った。唐帆はこれまで中書令の外戚に手を出したものなどいないことから、この事件には裏があると推察する。「とばっちりはご免だ、織染署が利用されるわけにはいかん」唐帆が淥陽府に到着すると佟知陽と姜梨が待ち構えていた。佟知陽は目下、審理中のためしばし猶予が欲しいと訴えたが、薛芳菲は叔父の拘束があまりに長過ぎると嘆く。「府尹がどうしても釈放しないというなら、織染令と別の場所を調べます」「どうぞ徹底的に捜査してください」佟知陽は今から調べても何も探り出せないと高みの見物を決め込んだ。発疹が出たという民が着ていた古香緞は葉家にあった。そこで薛芳菲は織染令を葉家の機織り所に案内、織物を調べてもらう。すると生地の段階で駄羅(ダラ)が仕込まれたと分かった。駄羅は西域の植物で、汁を精製し鎮痛剤を作るが、幻覚作用と中毒性があるという。ただし未精製の駄羅は劇毒、致死量も数滴で、ただれて死ぬとか。織染令は捜査で事情が明らかになるまで葉家は嫌疑を免れないと言った。しかし葉嘉児は納得できない。西域南部の沼沢地でしか育たない駄羅は貴重で銀数両から数十両するという。古香緞で人を毒殺するには銀百両は必要だろう。「上等の古香緞でもせいぜい数十両よ?それに百両の駄羅を加えるなんて… 人命も財も失ってどんな得があると?」誰かが葉家を陥れようと毒を仕込んだのは明白だった。薛芳菲は毒の出所を明らかにすべきだと訴えたが、唐帆は織染署の仕事はここまでと帰ってしまう。薛芳菲たちは淥陽に出入りする商隊を調べることにした。しかし葉嘉児は店を切り盛りするだけ、父がいなければ商隊のことまで分からないという。すると薛芳菲は潰れかけているとは言え大同鏢局(ダイドウヒョウキョク)を営む三叔父・葉明煜(ヨウメイイク)なら商隊に詳しいと気づいた。そこで従姉に留守を任せ、早速、大同鏢局を訪ねる。「三舅、大きな取り引きがあるの、成功したら鏢局に投資するわ」葉明煜は男装した姜梨を連れて闇市に案内した。聞けば闇市の元締め・頼彪(ライヒョウ)は兵隊崩れで戦場では多くの敵を斬ったという。役所でも解決できない事も処理することができるとか。すると金をつかませたおかげであっさり元締めとの面会が叶った。葉明煜は駄羅を探していると言って銀票を積んだ。「遅かったな、ちょうど手持ちが売れてしまった」頼彪はけんもほろろで取り付く島もない。そこで薛芳菲は売り先を教えてくれれば自分で交渉に行くと言ったが、頼彪は本当の目的が買った相手だと気づいた。すると薛芳菲は元締めが元兵士だと思い出して挑発する。「実は都の官家が調べておるのだ、もし累が及んでは面白くなかろう?」「脅すつもりか?…私が役人を恐れるとでも?」頼彪は机に短剣を突き刺して脅かしたが、薛芳菲は全く怯まなかった。「見損なった、闇市の元締めが駄羅も手に入れられぬとは…」闇市で買い手を明かすのは御法度だったが、頼彪は畏れ知らずの郎君を気に入った。「特別に江湖の掟に従い機会をやる」掟とは″金水陣(キンスイジン)″だった。烏蘭(オラン)から楚嵐(ソラン)と城西の屋敷で会うと知らせが来た。蕭蘅は時間を稼がせるよう指示し、陸璣(リクキ)に準備を任せる。すると文紀が古香緞の件で姜梨が叔父と一緒に闇市へ行ったと報告した。「あの2人では目的を達成できません、金水陣の掟があるとか」金水陣とは賽の目を競う。負けた方は酒を飲み、敵を酔い潰した方が勝ちだ。酒豪の葉明煜のおかげで薛芳菲は配下たちとの戦いを制した。次はいよいよ頼彪との決戦だが、肝心の葉明煜がついに酔い潰れてしまう。「三舅?三舅?」「後でこれで起こしてくれ」すると葉明煜は姜梨に爆竹を渡して眠ってしまう。薛芳菲は全く勝てなくなった。それもそのはず、頼彪は長年、賽を振ってきた経験から賽の目を聞き分けることができるという。「お前の負けだ、酒でも賽でも俺には勝てぬ」「待った!まだ酔い潰れていないぞ!」「酔い潰れたら誰が送る?」すると蕭蘅が現れた。「私が送ろう」蕭蘅は泥酔した姜梨の代わりに自分が相手になると申し出た。「彪将軍」実は頼彪は亡き蕭蘅の父・蕭暝寒(ショウメイカン)と因縁があった。薛芳菲が賽を振り、負けると蕭蘅が酒を飲んだ。しかしこのままでは蕭蘅が何人いても勝てそうにない。その時、薛芳菲は叔父からもらった爆竹を思い出し、頼彪が賽の目の音を確認しようとした時、爆発させた。大きな音のせいで感覚が狂った頼彪はついに初めて負けてしまう。ヤッター!‹‹\(´ω` )/››‹‹\( ´)/››‹‹\( ´ω`)/››<yeah!姜梨の爆竹攻撃で五分五分の戦いとなり、やがて頼彪が負けを認めた。「これじゃ全員、耳が聞こえなくなる!」「じゃあ駄羅を買ったのは誰?!」すると蕭蘅が止めた。「その前に敗軍の将と昔話をさせてくれ」蕭蘅は頼彪に協力を頼んだ。かつて頼彪は剛直で朝廷の争いを嫌い、李仲南(リチュウナン)に陥れられ南疆(ナンキョウ)に放逐されてしまう。蕭暝寒は罪を犯して匪賊となった頼彪を捕らえたが、無罪を知って正義の士と見込み、逃した。「私が今、戦っているのは李仲南一族だ」つづく(´-ω-`)うむ…オカルトカップル出てこないとイマイチ
2025.10.08
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墨雨云间 The Double 全40話第15話「人殺しの絹織物」妓楼で弟・薛昭(セツショウ)の想い人・瓊枝(ケイシ)を見つけた薛芳菲(セツホウヒ)。奇しくも隣の部屋では蕭蘅(ショウコウ)と烏蘭(オラン)の激しい攻防が繰り広げられていた。やがて蕭蘅が隙をついて烏蘭の口に南疆(ナンキョウ)の蠱虫(コチュウ)を放り込むことに成功、解毒しなければ一月で死ぬという。一方、身分を明かせない薛芳菲は姜梨(キョウリ)と名乗り、薛昭の姉と親しかったと嘘をついた。すると瓊枝は薛昭との出会いを懐かしそうに話してくれる。瓊枝はかつて借金して出奔した父のせいで無理やり妓楼へ売られそうになったところ偶然、通りかかった薛昭に助けられた。薛昭は金貸しに毎月5両の返済を認めさせ、支払いが終わるまで立ち会うと約束したという。しかし急に音信不通になり、薛昭が来ないと分かって金貸しは瓊枝を妓楼へ売っていた。「彼と出会った頃は私も良家の娘だった…私に愛想を尽かしたのね」「会いたくても会えないの、死んだのよ」薛芳菲は薛昭が都へ向かう途中、匪賊に襲われ殺されたと教えた。「そればかりか昭Rの父親や姐も同様に死んだの 3人が立て続けに死ぬなんて何か裏がある、私はそれを調べるために来たの」すると瓊枝は薛昭と最後に会った時にもらった木箱を取り出した。中には10両と地図が入っていたが、薛芳菲が見ても何の地図か分からない。「あなたが持っていて…妓楼には名のある人が集まるはず 淮郷(ワイキョウ)の薛県令がなぜ死んだのか、どこに葬られたのか知りたいの」「私に任せて」瓊枝は想い人が非業の死を遂げたと知り、姜梨に協力すると決めた。「娘子…彼の墓は?」「都に衣冠塚がある、私が姉弟を故郷へ連れ戻し、必ず再会させる」烏蘭に蠱虫を飲ませた蕭蘅は条件を突きつけた。「道は2つ、楚嵐(ソラン)に密告するか、私と組むかだ、楚嵐を売るなら解毒薬をやろう」「あら、楚嵐を売ったらあなたが通ってくれるの?」「…お前次第だ」蕭蘅はそこで閨房をあとにした。すると驚いたことに回廊でばったり姜梨と出くわしてしまう。「蕭(シュク)国公?なぜここに?」「捜査だ…後をつけたわけじゃないぞ」その時、運悪く烏蘭が出てきてしまう。「お忘れ物よ~でも美しい玉ね、もらっておく」薛芳菲はその玉佩が確かに蕭蘅のものだと気づき、妓楼でお楽しみだったのだと誤解した。「さぞ大変な捜査だこと、失礼」「阿狸(アリ)?阿狸〜ィ?!」しかし姜梨は急いで帰ってしまう。烏蘭は痴話喧嘩に失笑し、素直に玉佩を返した。「小娘子、嫉妬しているわ、誤解を解いてあげて」「嫉妬?ファッ!」一方、葉家では思わぬ騒ぎになっていた。葉明軒(ヨウメイケン)が屋敷に戻ってみると娘・葉嘉児(ヨウカジ)が駆けつけ、父が女狐を連れ帰ったせいで母が自害すると騒いでいるという。誤解はすぐ解けた。卓(タク)氏も嘉児も女狐の正体が姜梨だと知ってひと安心、しかし姜梨がなぜ急に葉家に擦り寄って来たのか分からず、一家は困惑する。ともかく老夫人にはしばらく内緒にしておこうと決め、くじ引きで嘉児が姜梨の相手をすることになった。葉嘉児は仕方なく店に出る前に姜梨を観光へ連れて行くことにした。早朝に起こされた薛芳菲は無理にもてなす必要はないと断り、叔父夫婦には楽しかったと報告しておくという。「表妹(ビァォメイ)は率直なのね〜早く言ってくれたら店の心配をしなくて済んだのに」「表姐、私も店に行ってみたい、衣装が少ないから新調したいの」「出発は一時後よ」葉嘉児は姜梨を連れて麗正(レイセイ)堂へやって来た。すると三叔父の葉明煜(ヨウメイイク)が店の番頭と何やらもめている。嘉児は三叔父のこと、また商いをしくじって借金に来たのだと呆れたが、葉明煜は従者と一緒に座り込み、借してもらえるまで動かないと言い張った。そこへ見慣れぬ娘が現れる。「三舅、ここは表姐が切り回しているの、困らせないで」「三舅?誰だお前は?」「私は姜梨です、母は葉珍珍(ヨウチンチン)」葉明煜は大好きだった姉の名を聞いて昔を思い出した。都へ嫁いだ姉が急逝した時は自ら姉と姪を迎えに行きたいと嘆願したが、姜家に嫁いだ以上は骨も埋めるものだと母に叱られてしまう。すると葉明煜は急に感傷的になり、姉に免じて銭はいらないと帰って行った。しかし安心したのも束の間、今度は取引先が現れ、返品して欲しいという。結局、嘉児は急な仕事で出かけることになり、薛芳菲はひと足先に屋敷へ戻ることにした。薛芳菲は葉宅に戻ると、ちょうど書斎にいた葉明軒に挨拶に向かった。そこで葉家の商いに何か問題があるのか尋ねたが、葉明軒が何か言おうとした時、卓夫人が駆けつける。「佟(トウ)府尹(フイン)の捕吏が…」すると朱(シュ)県尉は理由も明かさず、葉明軒を連行してしまう。一方、烏蘭は解毒薬をもらうため蕭蘅の居所を訪ねた。「楚嵐は7日後に淥陽(ロクヨウ)へ来るわ」すると約束通り文紀(ブンキ)が解毒薬の入った小瓶を渡した。「飲ませてくれない?」烏蘭は蕭蘅をからかったが、憤慨した蕭蘅は小瓶を取り上げ、遠くへ投げてしまう。しかし烏蘭は見事な軽功で小瓶をつかみ、解毒薬を飲んで帰って行った。「暇なら惜花楼に来てね、遊んであげる」文紀は蕭蘅と姜梨の仲を揶揄した。「捜査の合間に色目を使うなんて~誰かさんと揉めても知りませんよ?」「黙れ」そこへ陸璣(リクキ)が戻って来た。「佟知陽(トウチヨウ)が動きました、葉家の当主を連行しています」夜になっても葉明軒は解放されなかった。すると使いに出した使用人が戻り、賄賂も受け取ってもらえず、当主と面会もできなかったという。薛芳菲は捕吏が押しかけ叔父を連行しながら広報もせず、審理もしないのはおかしいと気づいた。恐らく葉家が身代を差し出すまで沈黙を決め込むつもりだろう。卓夫人は律儀な商いで人の恨みを買うはずがないと嘆いたが、薛芳菲は葉世傑(ヨウセイケツ)が李(リ)家に目をつけられていたことを思い出した。「実は李相国の息子は国子監(コクシカン)で表哥(ビァォグァ)と共に学ぶ仲 李兄弟は表哥を取り込もうとしましたが、表哥は拒みました 背後で操るものが意図を示すまでは二舅舅に危険はありません、それまで私たちは冷静に」卓夫人と葉嘉児は姜梨を信頼し、ついに店が抱える問題を明かした。実はここ三月、葉家が織らせている古香緞(ココウタン)の衣を着ると死ぬという噂が流れているという。「そのせいで淥陽の布店がこぞって返品するようになったの 今、考えるとあの噂はすでに罠だったのね…」葉明軒が大勢を使って調べさせたが死人は見つからず、ただ1枚だけ問題ある布が見つかった。その布に触れると確かに赤い発疹が出たという。翌日、薛芳菲は葉嘉児と問題のある布を見に行くことにした。しかし店にいた使用人が屋敷に駆けつけ、店が襲われ、看板も壊されてしまったという。「数十人が麗正堂を取り囲み、うちの古香緞で人が死ぬと叫んでいます!」驚いた葉嘉児は独りで出かけることにしたが、薛芳菲は一緒に解決しようと言った。蕭蘅は李瑾(リキン)を見張っていた文紀たちと合流した。「相変わらず茶楼で高みの見物か…」すると給仕が駆けつけ、李公子が店の中で待っていると伝える。「″こそこそ密偵に後をつけさせず、堂々と会いに来い″と…」李瑾は麗正堂がよく見える茶楼の露台にいた。「よくお会いしますね」「よい茶にはよい芝居が合う…李公子に感謝を」その時、ちょうど店に到着した姜梨と葉嘉児の姿が見えた。葉嘉児は負傷した番頭たちを手当てに行かせ、管理者の自分が話を聞くと矢面に立った。すると群衆は一斉に嘉児に向かってごみを投げつけ、人殺しの布を売ったと激しく抗議する。嘉児は真相を調べたいと訴えたが、そこへまた朱県尉が捕吏を連れてやって来た。「麗正堂の売る布で人が死んだと通報があった、一緒に来てもらおう」その時、見かねた薛芳菲が店の横にある銅鑼を叩き、ひとまず騒ぎを静めた。薛芳菲は葉嘉児の隣に立ち、そもそも誰から人殺しの布の噂を聞いたのか尋ねた。すると男が袖をまくり、証拠とばかりに発疹だらけの腕を見せる。薛芳菲は思わず護身用の匕首を取り出して周囲を牽制すると、急に自分の袂を切り落とした。「これは麗正堂であつらえた衣服よ?私には発疹など出ていない 古香緞で人が死ぬなら私は自死しているわ」切れ端を受け取った女は確かに問題ないと分かった。男はどうせ店に雇われ演技していると群衆をあおったが、薛芳菲は鼻であしらう。「ちょw私の命は麗正堂より価値があるんですけどw 私は姜梨、父親は大燕(ダイエン)の中書令で陛下の太師!下々は黙れゴラッ!」←とは言ってない李瑾は思わず失笑した。「葉家を守るため身分をさらけ出すとは…これでは葉家をかばったと罪に問われかねない」「まあまあ〜李公子、芝居の見せ場はこれからだ」蕭蘅は芝居の続きに期待した。つづく
2025.10.06
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墨雨云间 The Double 全40話第14話「 姜家と葉家」酒宴での騒動を知った洪孝(コウコウ)帝・趙鄴(チョウギョウ)は、執念深い婉寧(エンネイ)公主が蕭蘅(ショウコウ)に手を出すことを心配した。「蕭蘅、お前にもしものことあれば朕の味方がいなくなってしまう」「ご安心を、私は死にません」@101回目?w婉寧は侍女・梅香(バイキョウ)に密書を託し、李(リ)家へ届けるよう命じた。…速やかに殺せ…寝所では腕に生々しい傷が残る沈玉容(シンギョクヨウ)が待っている。婉寧は沈玉容が学子たちの前で自分に逆らったと声を荒らげたが、かえって沈玉容に自分を殺すつもりだったのかと詰め寄られた。「私に死んで欲しいと?」「まさか!」「婉寧!…妻は私が殺して埋めた、その場所に行って埋まっていることも確かめた」「でも貞女(テイジョ)堂の者が都から消えたの、裏がある」実は内官から貞女堂の堂主たちが遠方の恵(ケイ)城に移送されたと聞いていた。「だとしても私はこうして殿下のそばにいる… どうしたら殿下の心を慰められるのか教えてください」「はおらはおら…私が包帯を巻いてあげる」すると婉寧は情夫の衣の紐を解いた。蕭蘅は茶楼に姜梨(キョウリ)を呼び出し、近々、麗(レイ)妃帯同の命が下ると知らせておいた。「役者が増えてますます面白くなって来た、幕引きにならぬよう助言しておく 麗妃は陛下の寵姫だ…次は何を演じる?」「ふふ、逃亡劇です」薛芳菲(セツホウヒ)は姜梨の生母の実家である葉(ヨウ)家へ逃げることを思いつき、姜梨の心残りだった葉家との和解を叶えることにした。しかも淥陽(ロクヨウ)は故郷の淮郷(ワイキョウ)に近い。薛芳菲はこの機に非業の死を遂げた父親を弔いたいと考えていた。中秋節の夜、薛芳菲は姜景睿、柳絮(リュウジョ)、葉世傑(ヨウセイケツ)と一緒に過ごすことになった。すると待ち合わせ場所に葉世傑が叔父・葉明軒(ヨウメイケン)と一緒にやって来る。実は叔父が上京中のため付き合えなくなったという葉世傑、しかし薛芳菲にとって渡りに船だった。「舅舅(ジィゥジィゥ)、せっかくなので私も一緒に…」姜梨はあとで合流すると伝え、柳絮と姜景睿を置いて行ってしまう。葉世傑と過ごせると期待した柳絮はがっかりしたが、柳絮が好きな姜景睿はまたとない好機を喜んだ。「せっかく来たんだ、2人1組の遊戯に参加しよう!」姜家とわだかまりが残る葉明軒は姪の柔軟な対応にいささか戸惑った。すっかり年頃になった姜梨は幼い頃の傲慢さが消え、殊勝にも姜家と葉家の仲立ちをして積年の後悔を晴らしたいという。「商用なら中書令の力が役に立つでしょう?姜宅にお越しください その返礼として私が舅舅に同行して淥陽へ行くというのは? 明日、舅舅から提案してください」葉明軒は嫌とも言えずあいまいに同意したが、姜梨は反故にされる前にさっさと引き上げてしまう。葉世傑は姜梨の目的が気になり、後を追った。すると薛芳菲は酒宴で罠を仕掛けたのが妹たちだったと明かし、姜家での自分の立ち位置は危ういと訴える。「だから淥陽行きを思いついたの」「そなたのことは表哥として私が守るよ、送って行こう」「私は平気、舅舅が待っているわ」一方、蕭蘅は今夜の満紅楼の演目が小桃紅(ショウトウコウ)の戯曲だと知って券を買った。文紀(ブンキ)は一座を潰して審問する方が安全だと言ったが、大物をあぶり出すため長い釣り糸を垂らす必要がある。「芝居を観に行くなら連れを探さなくてはな」蕭蘅は露台から通りを見下ろすと、ちょうど姜梨の姿を見つけた。蕭蘅が特等席で観劇していると姜梨がやって来た。「観劇にお付き合いすれば借りを1つ返したことに?」「招待されて貸しを返すとは都合のいい話だな」「貸しと認められぬのなら帰ります」「…1つ帳消しにする」「では残りは2つですね?」姜梨の淡々とした対応は興をそいだ。しかし劇に夢中になる姜梨の横顔に本来の姿が垣間見える。「阿狸(アリ)は芝居通のようだ…お楽しみはこのあとだが」すると次の演目が始まった。小桃紅の舞台は素晴らしかった。すると演目が終わった小桃紅が隠し持っていた柔剣を取り出し、蕭蘅に襲いかかる。しかし蕭蘅を仕留められず、小桃紅は咄嗟に蕭蘅の連れの娘に狙いを定めた。すんでのところで蕭蘅が小桃紅の剣を扇で防いだが、その時、薛芳菲が再び剣を振り上げた小桃紅に気づき、蕭蘅をかばって肩を斬られてしまう。文紀(ブンキ)と陸璣(リクキ)が加勢し小桃紅はようやく観念した。「黒幕を吐かせろ…連れて行け!」蕭蘅は自分を守ってくれた姜梨を愛おしそうに腕に抱き、自ら怪我の手当てをすることにした。蕭蘅は姜梨を座らせ、刀傷に薬をつけた。しかし姜梨の言葉で甘い幻想はあっさり破られてしまう。「粛国公、勝手に手当したのですから借りにはなりませんよね?」「それほど…」「借りならいずれ返さねばならない 生きているだけでも辛いのに、借財まで背負わされては…」実は姜梨は自分が蕭蘅に利用されたと気づいていた。「この劇場に呼び出し、私を連れだと思わせて目くらましに使った 腹心たちを潜ませ、一座を油断させる作戦だったのでしょう? …まるで私は粛国公の駒のようだわ、もう感謝の意は示しました」機嫌が悪い蕭蘅の尋問は容赦なかった。恐らく小桃紅は不正に集めた銭を一座に集め、巡業という名目で北の辺境に輸送、成(セイ)王の兵馬増強に充てていたのだろう。「…たかが役者が成王妃になれると本気で思ったのか?」図星だった小桃紅の表情が変わったが、それでも口を開こうとしなかった。「もうよい、陸璣、顔に入れ墨を彫り、足の筋を切って放り出せ」(꒪ꇴ꒪〣)<ちょwww待った!話す!その夜、蕭蘅は皇帝へ報告に向かった。「なんだ、賊を捕らえたのに浮かぬ顔だな?私にも言えぬことか?」蕭蘅は姜梨に責められたせいで意気消沈していたが、皇帝はそれ以上、聞かなかった。「成王が兵馬に富を使い、蓄えが減っている 中原(チュウゲン)での資金源を押さえれば命脈を断てるでしょう」「次はどう動く?」「塩密売以外にも大きな資金源があるはず、供述によれば淥陽に成王の刺客養成場があるとか…」( ๑≧ꇴ≦)これまた偶然~w姜宅に葉明軒と葉世傑が挨拶にやって来た。姜元柏(キョウゲンハク)は突然の来訪を訝しんだが、薛芳菲は偶然にも叔父と再会し招待したと説明する。すると葉明軒が約束通り母に姜梨を会わせたいと頼んでくれた。姜元柏は娘を遠出させることに難色を示し、麗妃の祈祷にも帯同しなければならないという。しかし老夫人が現れ、葉家行きを後押ししてくれた。老夫人は息子を晩鳳堂に呼んだ。姜梨からすでに相談を受けていたが、麗妃が姜梨を帯同させるのは過ちを責めるためだという。「一家の主として偏った見方はいけない、あの子にまた山の修行をさせるつもり?」老夫人は季淑然(キシュクゼン)が要らぬことまで宮中に伝えると憤り、朝臣が娘のことで取り沙汰されるのは良くないという。母に諭された姜元柏は結局、姜梨の淥陽行きを認めた。淑然は姜梨が富豪の外戚を味方にするつもりだと勘繰ったが、ともかく姜若瑶(キョウジャクヨウ)の名誉を取り戻し、留守の間に姜家での姜梨の居場所を無くそうと企む。しかし肝心の姜若瑶はまだ周彦邦(シュウゲンホウ)を諦められずにいた。「婚約は本当に取り消しに?…あの人がいいの!」「大人になれば愛情になんぞ価値がないと分かる、別の縁談があるわ」( ๑≧ꇴ≦)ママンwww一方、蕭蘅は小桃紅の供述から淥陽のしきり役が成王の腹心・楚嵐(ソラン)だと知った。しかし神出鬼没な男で、手がかりは淥陽の惜花(セキカ)楼にいる愛人・烏蘭(オラン)だけだという。すでに李(リ)家は葉家に手を出し、反応が遅れた葉家は渦中にいた。「どうやら淥陽に行くしかないか」「主君、ちょうどよかった、姜家二娘子も今日、淥陽へ向かいましたよ?外祖母を訪ねるとか」文紀は主を喜ばせたと思ったが、杖刑15回を命じられてしまう。 官吏となった葉世傑は都を離れられず、叔父と姜梨を見送った。舟と馬車を乗り継ぎ、長い旅を終えて葉家に到着した一行。しかし屋敷には夫人も娘もおらず、葉明軒はひとまず姜梨と桐児を居所に案内する。薛芳菲は仕事に戻るという叔父を見送ったが、どうやら葉家は面倒に巻き込まれているようだった。急用で店に出かけていた葉明軒の夫人・卓(タク)氏が李(リ)氏と戻ってきた。すると使用人から夫が若い娘を連れて帰ってきたと聞いて側女だと誤解してしまう。一方、薛芳菲は桐児を連れてある民家を訪ねていた。しかし瓊枝(ケイシ)という娘が惜花楼に売られてしまったと分かる。奇しくもその頃、蕭蘅が客に扮して惜花楼へ潜入、看板・烏蘭を指名していた。蕭蘅が烏蘭の部屋に入ると男が座っていた。男は烏蘭より美しい客だと揶揄し、茶でもどうかと誘う。しかし蕭蘅はその男が烏蘭だと見抜いていた。烏蘭は隠し持っていた小刀で襲いかかったが蕭蘅に阻まれ、そのまま二人の激しい攻防が始まってしまう。一方、薛芳菲は女主人に瓊枝に会いたいと頼んでいた。女主人は妓楼に現れた娘を追い返そうとしたが、銭をもらって渋々、部屋に案内する。「瓊枝娘子?」「娘子、部屋をお間違えでは?…曲を聴く?それともお酒?」その時、隣の部屋から大きな音が聞こえてきた。「激しいお客さんもいるのよ」実は瓊枝の部屋の隣は烏蘭の部屋だった。薛芳菲は瓊枝に想い人の話を聞かせて欲しいと頼んだ。「想い人なんていないわ」「淮郷の県令の息子・薛昭(セツショウ)は?」つづく( ๑≧ꇴ≦)烏蘭カッコいい!ってか烏蘭と若瑶の方が母娘っぽいからの皇帝マザコン説( ̄▽ ̄;)
2025.10.05
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墨雨云间 The Double 全40話第13話「欲望渦巻く酒宴」婉寧(エンネイ)公主に命じられ、酒瓶を頭に乗せて弓矢の的となった沈玉容(シンギョクヨウ)。薛芳菲(セツホウヒ)は困惑しながらも憎しみが募り、気がつくと元夫の顔に狙いを定めていた。その時、婉寧が姜梨(キョウリ)にぶつかり、薛芳菲は衝撃でうっかり手を放してしまう。矢は沈玉容めがけて一直線に飛んだが、間一髪のところで粛(シュク)国公・蕭蘅(ショウコウ)が現れ、扇を矢に当てた。姜梨の放った矢は沈玉容の腕をかすめていった。興をそがれた婉寧は憤怒したが、蕭蘅は本物の矢を使うとなれば自分が呼ばれるのも仕方ないという。「これも公務ゆえご容赦を、ご希望なら陛下に奏請ください 陛下がうなずけば私も武器庫を開けさせ、殿下と血の雨を降らせます」「粛国公の忠誠、成(セイ)王に伝えておくわ、皇兄も国公の公務に目を向けるようにと」すると婉寧は引き上げていった。粛国公は呆然としていた姜梨から弓を取り上げ、祝宴を続けるよう命じて出て行った。ようやく我に返った薛芳菲。「沈学士、すみませんでした…」「心配無用」すると腕を負傷した沈玉容も帰ってしまう。とある侍女が姜梨にそれとなく書き付けを渡して去って行った。こっそり開いてみると差出人が周彦邦(シュウゲンホウ)だと分かる。…東門毓秀(イクシュウ)閣にて待つ…興味がない薛芳菲はひとまず袂に隠したが、そこへ姜玉娥(キョウギョクガ)がやって来た。「二姐(Rジェ)、長公主の前ですごい勇気だったわ、一献、差し上げます」「四妹(スーメイ)、私はお酒に弱いの、もう飲めないわ、酒ではなくお茶で…」「二姐、お茶では敬慕の念を表せない」「それなら応えなくてはね」薛芳菲は仕方なく杯を空けたが、強要される酒の恐ろしさを誰よりも知っていた。姜玉娥は薬入りの酒で酩酊した姜梨を介抱しながら瓊玉(ケイギョク)閣へ送り届けた。すると帰り際、門の前に落ちていた書き付けを拾う。周彦邦が誰かと逢い引きすると知った玉娥は直ちに姜若瑶(キョウジャクヨウ)へ知らせようとしたが、ふと魔が差した。実は薛芳菲は酒を飲むふりをして中身を捨て、難を逃れていた。寝たふりをしていた薛芳菲は誰もいなくなったところで起き上がったが、今度は泥酔した葉世傑(ヨウセイケツ)が内官の案内で瓊玉閣に入ってくる。「ここで少しお休みください」しかし用心していた葉世傑もまた酔ったふりをしただけだった。安堵した薛芳菲だったが、恐らく薬を盛って自分たちに姦通させ、自分の名声を汚し、葉家の前途を断つつもりだと憤る。姜梨に惹かれる葉世傑には不名誉なことではなかったが、姜梨は不貞を責められる女子の恐ろしさなど分からないと言い放った。一方、周彦邦は既成事実を作るべく毓秀閣で姜梨が来るのを待っていた。すると薄暗い部屋に女子が入ってくる。喜んだ周彦邦は背後から抱きしめ名を呼んだが、姜玉娥は片思いを成就させるため否定しなかった。薛芳菲は先に瓊玉閣を飛び出し、誰かに見られていないか警戒しながら歩いていた。すると蕭蘅とかち合ってしまう。「また監視していたの?!」「宮中を守るのが私の役目、お前の足元の敷石のことまで知っている」薛芳菲は憤慨したが、蕭蘅は今夜の姜梨の大胆な行動が波乱を巻き起こすと警告した。「牢の中の堂主とお前は互いの命を握っている、誰かが堂主に手を回したらどうなる?」「何のこと?」「私を思うままに操れると思うな…今日のお前は感情的過ぎる これが3度目の貸しだ、代償は大きいぞ?返せるようになったら言おう」「スーグォゴン、あなたは宮中の足元の敷石のことまで分かる でも私に密偵はいない、自分の命を張って真実をつかむしかないの」「それほど真実が重要か?」「この命よりもね」一方、姜若瑶は侍女の合図で準備が整ったことを知った。そこで明義堂の友を誘って月見に出かけ、茶を飲もうと瓊玉閣へ向かう。しかし茶室には誰もいなかった。「ここは狭いわね、他の部屋を探しましょう」若瑶は仕方なく東門まで足を伸ばし、毓秀閣を見つけた。門を開けてみると脱ぎ捨てた男女の衣がある。「R姐?…R姐?」若瑶は計画通り姜梨と葉世傑の姦通現場を押さえたと思ったが、寝台であられもない姿で横になっていたのは許嫁の周彦邦と従妹の姜玉娥だった。周彦邦はてっきり姜梨と同衾したと思っていた。これで婚約破棄となるはずだったが、実は相手が姜玉娥だったと知って慌てふためく。「なぜお前がいるんだ?!若瑶、泥酔したせいだ!」周彦邦は思わず玉娥を突き放すと、逆上した若瑶が玉娥を引っ張り出して殴打した。すると突き飛ばされた玉娥が倒れ、運悪く香炉の角に顔をぶつけてしまう。翌朝、姜玉娥の顔には生々しい傷が残った。しかし庶子の父を持ったせいで貞操を奪われても周彦邦に嫁げず、顔を傷つけた姜若瑶を罰することもできない。姜元興(キョウゲンコウ)は途方に暮れたが、楊(ヨウ)氏はともかく目下の急務は本家の怒りを鎮めることだと言った。「そのためには共通の敵を作ることよ」一方、季淑然(キシュクゼン)も深く傷ついた娘をなだめていた。「なぜ人前で玉娥を傷つけたの?家に閉じ込め折檻すればいいだけ いっそお前の父親の前で死んでくれたら良かったのに~ まあ、あの顔の傷ではもう死んだも同然だけどw どちらにしても退婚よ、受け入れられなくてもこれが現実」姜若瑶は冷静な母の言葉に納得がいかなかった。「これは報いよ!母親(ムーチン)の言いなりになって姜梨と葉世傑をはめたせいだわ!」すると季淑然は娘の怒りの矛先を姜梨に向けた。「でも玉娥が周彦邦を1人で誘惑できる?あなたと玉娥の仲違いを一番喜ぶのは…」「ジャンリー…」姜元柏(キョウゲンハク)が屋敷に戻ると弟家族はすでに母の晩鳳堂でひざまずいていた。麗(レイ)妃のおかげで皇帝から何のお咎めもなかったことが幸いだが、朝議で官吏たちから嘲りの目を向けられた姜元柏の怒りは収まらない。そこで季淑然は娘と仲の良かった姜玉娥がなぜこんなことをしたのか信じられないと嘆いた。すると呼応するように楊氏が誰かにはめられたのだと訴え、玉娥も姜梨に酒を飲まされて茶室に案内されたと嘘をつく。「部屋にはすでに酔った周公子がいました、周公子は私を三姐と間違えて… 後から聞いた話では二姐が私を送って戻ってから三姐に私がいなくなったと話したとか 心配した三姐が探しにきて、そこで私たちを見つけてこんなことに…」その頃、薛芳菲は桐児(トウジ)に黒幕が婉寧公主だったと報告していた。確かに長公主の命では逆らえないのも当然、だとしても同情するつもりはない。「姐姐、これからどうするつもり?」そこへ老夫人が呼んでいると知らせが来た。晩鳳堂にはすでに家族が揃っていた。薛芳菲は自分の関与を否定し、そもそもはめられたのは自分だったと訴える。「四妹に酒を飲まされ、茶室に連れて行かれたわ するとすぐ内官が葉世傑を同じ部屋に運んできた 幸い私たちは酔っていても男女の別は知っていたからすぐ部屋を出たの そういえば三妹はなぜ部屋に入るなり″二姐″と呼んだの?一緒にいた数人が聞いている」薛芳菲は葉世傑が証言してくれると言ったが、姜玉娥は従兄なら姜梨の話に合わせるのは当然だと疑った。「手を組んでいるのかも!」「そうそう、私がその部屋に連れて行ったと言ったわね、なぜすぐ助けを呼ばなかったの?」慌てた季淑然は咄嗟に助け舟を出した。「梨R、妹たちをそんなに刺激しないで、この事件で誰より心を痛めているのよ?」「私も心を痛めています、でも全ての罪を着せられて弁明も許されないと?」追い詰められた玉娥は姜梨が歳試で通じ合った葉世傑を盾にして逃げるつもりだと非難した。そこで薛芳菲は他にも証人がいると明かす。「では粛国公は?茶室を逃げ出した時、戻り道が分からずにいると粛国公に会いました 前殿まで送っていただいたのです」若瑶は悔しくなってまた手を出した。しかし薛芳菲は咄嗟に手首をつかんで阻止、どうにもならなくなった玉娥は大泣き、収拾がつかなくなってしまう。すると老夫人は呆れて机を叩いた。「ごぅら!…もう外でおやり!私を煩わせないで!」姜元柏は自分が解決すると約束、皆で引き上げることにした。すると老夫人は姜梨だけ引き止め、実際のところ姜玉娥と周彦邦の間に何があったのか尋ねる。薛芳菲は正直に周彦邦から書き付けが届き、応じるつもりもないので衣に隠しておいたと説明した。恐らく衣から落とした書き付けを玉娥が拾ったのだろう。事情を聞いた老夫人は独りで解決する必要はないと釘を刺し、これからは自分を頼って欲しいと笑った。「あなたにも罰を与えるわ、経を10回うつしなさい、妹たちには女誡を20回うつさせる」「分かりました」寧遠(ネイエン)侯は姜家から退婚書を受け取った。父から姜玉娥を娶るよう命じられた周彦邦は抵抗したが、もう手遅れだという。「玉娥をどうしようと構わん、だがお前が操を奪った、周家がその責任を取らねばならぬ」一方、麗妃は自分が作った道筋を間違え、挙句、他人に利用されたと知って憤慨した。季淑然は尽力してくれた妹に感謝し、それとなく弱みを突いて話をそらせる。「何か変化はあるの?太医は数年、遅れたら命取りだと言った」「父親が聞けと言った?…当て外れでもないわ、焦ることではないけれど若い時とは違う」麗妃は天象寺にしばらくこもって身を清めてくると伝えた。「あなたが修行へ行くのなら頼みがあるの」つづく( ˙꒳˙ )まだ蕭蘅の良さが分からないwごめん
2025.10.02
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墨雨云间 The Double 全40話第12話「動きだした黒幕」二叔父夫婦は姜梨(キョウリ)のおかげで息子・姜景睿(キョウケイエイ)まで皇帝から褒賞にあずかれると感謝した。姜元柏(キョウゲンハク)も姜家の名声を高めた娘を尊重するようになり、周彦邦(シュウゲンホウ)と姜若瑶(キョウジャクヨウ)の破談の噂を耳にして改めて姜梨の気持ちを確認に来てくれる。しかし薛芳菲(セツホウヒ)は今も昔も周彦邦を好いていないと拒否した。こうして姜梨の汚名をすすいだ薛芳菲。桐児(トウジ)は姜梨も空の上で喜んでいると安堵したが、薛芳菲はこれから本当の危険が待っていると警戒した。一方、李仲南(リチュウナン)は賭けに負けた李廉(リレン)を寺に送ることにした。李廉は泣いて出家したくないと懇願したが、賭けが都中に知られた今、後には引けないという。「態度が良ければいずれ出してやる、性根を叩き直してもらえ!」しかし李瑾(リキン)は弟が連行される様子を見ながら失笑した。「父親(フーチン)の意向に気づかぬ弟が愚かで笑えます…これは長公主への配慮 長公主と成(セイ)王の今後のために李家は息子を捧げた もし成功すれば李家の功績は認められます」「いつ気づいた?」「父親は若造と小娘の愚にもつかぬ賭けを止めなかった、それで何か考えがあるのかと」そこで李瑾は葉(ヨウ)家を手中に収めるなら直接、淥陽(ロクヨウ)を狙ってはどうかと提案した。その頃、季淑然(キシュクゼン)は皇帝の寵妃となった妹・麗妃(レイヒ)を頼っていた。麗妃も確かに10年も貞女堂にいた姜梨が家に戻った途端に季淑然を翻弄し、歳試で首位になるとはどこか変だという。実は淑然はすでに収監されている貞女堂の堂主に探りを入れていた。しかし姜梨を恨んでいるはずの堂主は似顔絵が確かに姜梨だと断言したという。「偽物なら飛びついて告発するはずよ?」「では何としてでも潰さなくては…」麗妃は祝宴を利用し、女子にとって最も恥とされる不貞で姜梨の名声を一気に地に落とすことにした。宮中での祝宴当日。姜若瑶は母が準備した衣を引き裂き、祝宴には行きたくないと駄々をこねた。「休むことなく琴の稽古に励んできた、それなのにあんな山猿に負けたのよ?! 私に才能がないのか、もしくは琴を学ばせた母親が間違っていたのよ!」季淑然はかっとなって手を振り上げたが、すぐ冷静になって腕を下ろした。「どうやら甘やかし過ぎたようね…宴には行ってもらう 歳試の失敗に続き、また私に恥をかかせたらもう娘とは思わない」姜梨は祖母があつらえてくれた美しい衣に袖を通した。身支度を手伝っていた桐児は今夜の祝宴でどうやって黒幕を誘き出すつもりかと心配する。姜梨は少なくとも黒幕は女だと気づいていた。「彼はあの時、″こうするしかない″と言ったわ 私は小吏の娘に過ぎない、父親を恨む人もいない 恐らく高貴な身分で沈玉容を愛し、私を虫けら同然に思っているのよ」姜梨は黒幕の情を揺さぶり、引っ張り出そうと企んだ。薛芳菲が姜宅正門を出るとちょうど葉世傑(ヨウセイケツ)が馬車から降りてきた。「用があって通りかかったんだ」姜梨と一緒に宮中へ行きたい葉世傑は偶然を装ったが、姜梨から父が準備してくれた馬車があると断られてしまう。その時、運良く姜景睿が現れた。姜景睿はせっかくなので3人で行こうと姜梨に有無を言わせず馬車に乗せてしまう。聡明で美しい姜梨から目が離せない葉世傑。しかし薛芳菲の心の中は何とも言えない複雑な感情が絡み合っていた。実は和寧(ワネイ)門に来たのはこれが初めてではない。かつて薛芳菲は状元として皇帝と謁見することになった沈玉容を同じ場所で見送ったことがあった。太極殿に皇帝と麗妃がお出ましになった。麗妃は相変わらず美しく、先帝の側室だったとはいえ、皇帝が臣下の反対を押し切ってまで妃に迎えただけある。すると太監から今夜は六芸に励む学子を慰労すると共に首位に褒賞が授与されると説明があり、早速、姜梨たち4人が御前に呼ばれた。皇帝は葉世傑の志の高さを称賛、戸部員外郎に抜擢した。次に都に戻るなり首位となった姜梨に関心を示し、貞女堂にいながらいかに研鑽を積んだのか尋ねる。そこで薛芳菲は静かな山間には世俗を離れた隠者が多く、無邪気ゆえ近づいてみたところ手ほどきを受けることができたと説明した。感心した皇帝は4人に宝飾品を賜ることにしたが、その時、突然、姜梨が辞退してしまう。前のめりになっていた姜景睿は思わず顔から転倒。皇帝が呆然となる中、薛芳菲は眼識のない自分には宝の持ち腐れとなるため、沈学士に指導を受けたいと嘆願した。「沈学士が記した″徭役論(ヨウエキロン)″を読んだことがあり、敬慕の念を抱いております」実は徭役論は沈玉容が民を憐れむ薛芳菲の話を手がかりに書き上げた科挙の論文だった。皇帝は許可したが、沈玉容は姜梨にひとつ聞きたいことがあるという。「これは挙子の時分に記したもの、私さえ忘れるほど古いものをなぜ好むのですか?」「当時は沈学士もまだ庶人として純な赤心をお持ちだったかと」「″庶人として純な赤心″ですか…私も姜二娘子(Rニャンズー)と共に再び学びましょう」麗妃は頃合いを見計らい、飲み過ぎて頭が痛いと訴え、皇帝と宴席を退座した。すると去り際に侍女に目配せ、侍女はそれとなく姜若瑶に合図する。そうとは知らず、薛芳菲は沈玉容のもとへ挨拶に向かい、もう一押しすることにした。「沈学士、まだ喪中だというのにとんだ申し出を、ご寛恕(カンジョ)を請います 夫人が恋しいですか?」「生前は琴瑟の交わり、今は鏡花のごとし、悲哀を感じるのは当然です」その時、婉寧(エンネイ)公主の来訪を知らせる前触れが響き渡った。婉寧公主と言えば一筋縄ではいかない癖のある要注意人物だった。和やかだった宴席は一瞬にして静まり返ったが、長公主を見た薛芳菲は上の空になってしまう。婉寧公主は薛芳菲がかつて和寧門で夫を出迎えた時、まるで夫婦の仲を引き裂くように輿で割り込んだあの貴人だ。…まさか黒幕は公主なの?…婉寧は沈玉容に指導を願い出たのが姜梨だと聞いた。仕方なく姜梨は席を立って拝礼したが、婉寧も姜梨が薛芳菲とよく似ていることに気づく。そこで会話が聞こえないよう楽士に音楽を命じてから小声で嫌みを言った。「…沈学士、″琴瑟の交わり″とは何のこと?″鏡花″とは何のことかしら?」「殿下、宴の席では私の体面を重んじていただきたい」「知っているはずよ?あなたの対面をもてあそぶのが一番好きだと」薛芳菲は自分の正体がばれたと分かった。あの時、輿から降りた婉寧公主は沈玉容の手をつかみ、振り払った沈玉容の目線の先にいる薛芳菲を見ている。「驚いたわ~姜二娘子は沈学士の亡くなった夫人とよく似ている、双子の姉妹のようね」「夫人にお会いしたことはありません、殿下、私には分かりかねます、姉妹ならここにいますが」婉寧は亡き夫人と瓜二つの姜梨に嫉妬し、皇帝に変わって自分が首位の力量が本物かどうか確かめると言い出した。そこで弓術を披露するよう迫ったが、薛芳菲は不得手だと辞退する。しかし婉寧はやりやすいよう的を準備すると言って李瑾を指名した。その時、沈玉容が自分が的になると身代わりを申し出る。すると憤慨した婉寧は練習用の矢を折り、矢尻がついている本当の矢を準備させた。「沈学士、これを頭に」沈玉容は婉寧に言われるまま酒壺を頭に乗せて門の近くに立った。婉寧は姜梨に弓矢を渡した。その時、薛芳菲は婉寧の腰に見覚えのある飾りを見つける。あれは宮中から戻った夫の着替えを手伝った時だった。『これは何?』『帰り道で偶然、見つけて君に買ってきたんだ、驚かすつもりが見つかってしまった』薛芳菲は全てを察し、矢をつがえて構えた。すると恨みが募り、酒瓶ではなく沈玉容の顔を狙ってしまう。つづく( ๑≧ꇴ≦)婉寧きたわ!
2025.10.01
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