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2023.03.01
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第7話

鄭雪景(テイセツケイ)の想い人・穆塵(ボクジン)を奪ったのは親友の瓊花(ケイカ)だった。
瓊花は悪びれる様子もなく雪景に手作りの菓子と婚儀の招待状を届け、帰ってしまう。
するとその場にいた余琰(ヨエン)が瓊花は身ごもっていないと教えた。
実は人間が身ごもると妖怪を遠ざける異臭を放つが、瓊花からは化粧の匂いしかしなかったという。
「身ごもっていない?…何を企んでいるのやら、明日、行って確かめてやるわ!」
「婚儀に出るのか?」
「いいえ、かき回してやるの」


翌朝、雪景が目を覚ますと急に年老いていた。
白笙(ハクショウ)は雪景が毒に当たったと気づき、昨日、訪ねて来たという瓊花を疑う。
「もう何年も前になるわ、まだ屏風店が繁盛していた頃、瓊花の母親が使用人で一緒に育った仲なの
 穆塵は第三皇子・穆京(ボクケイ)の従弟よ
 かつて父が宮中で穆京に絵を教えていた縁で私も穆京と仲良くなり、穆塵とも知り合ったの
 穆京は外征が多いから京城にいることは少ないわ」
すると雪景は瓊花のたくらみを暴くと息巻き、慌てて飛び出して行った。
白笙はもし″白頭翁(ハクトウオウ)″という老いを進めて死に至らしめる毒なら打つ手がないという。
しかし余琰は何か策を探るよう頼み、雪景の後を追った。

慶事で賑わう栄府麗園、そこで雪景は瓊花の叔母だと嘘をつき、侍女・彩雲(サイウン)から寝所の場所を聞き出した。
余琰は雪景が何を企んでいるのか探ったが、雪景は黙って見ていればいいという。

ようやく彩雲が薬を買ってきてくれたと安堵したが、部屋に入ってきたのが雪景だと気づいて動揺を隠せない。
「あら?王妃の様子がおかしいわ、月の物が来たの?」
「何を言っているの?」
「やるわね、知恵が回ること…それにしても私のこの姿を見ても驚かないなんておかしいわ
 私がこうなることを知っていたみたい」

すると雪景はもう1匹のネズミが戻ってきたら捕まえると意味ありげに笑った。

余琰が寝所の外で待っていると雪景が戻ってきた。
やはり瓊花は本当に身ごもっていないらしい。
そこで雪景は門の前で彩雲を待ち伏せし、瓊花が罪を認めたと嘘をついた。
「あなたが懐妊を偽るようそそのかしたそうね?
 王爺(ワンイェ)も謀られたと知ってお前に激怒しているわ」
驚いた彩雲は瓊花に従っただけだと訴え、誤解を解こうと焦って屋敷に向かった。
「…雪景、気が済んだか?」
「まさか、これからが見ものよ」
余琰は雪景を連れて帰ろうとしたが、雪景は抵抗した。
「余琰…もし無理やり連れ返ったらあなたを一生、恨んでやる!このままじゃ済まさない!
 やられた分は必ず倍にして返してやるの!」
余琰はまるで人が変わったように恨みを募らせる雪景に困惑した。



栄王・穆塵と瓊花の拝礼の儀が始まろうとしていた。
すると彩雲が駆けつけ、偽りの懐妊は王妃の考えだったと釈明しながら穆塵にすがりついてしまう。
穆塵は彩雲の持っていた薬材を取り上げると、中身は月の物の痛みを和らげる女子の薬だと判明した。
そこへ雪景が現れ、瓊花が穆塵に嫁ぐため懐妊を偽ったと暴露し、婚礼をぶち壊すことに成功する。
しかし毒のせいで老いた雪景は急に苦しくなり、咳き込みながら外へ出て行った。

穆塵は雪景を心配して手を貸そうとしたが、雪景はついに歩けなくなり膝をついた。
「雪景、大丈夫か?なぜこんなことに…」
「瓊花よ、彼女が毒を盛ったの」
そこへ瓊花がやって来た。
雪景はなぜ瓊花が自分にこんな酷い仕打ちをするのか分からなかったが、実は瓊花は幼い頃から雪景を恨んでいたという。

瓊花の母は女手一つで苦労しながら娘を育てた。
当時、衣はいつも雪景のお下がりで、瓊花は子供ながらに雪景の機嫌を損ねないようびくびくしていたという。
ある夜、瓊花は母にお古ではない新しい衣が欲しいと頼んだ。
母は娘に辛い思いをさせたと涙し、大晦日の朝に新しい衣を用意してくれたという。
「それを着てあなたの所へ駆けつけた、一緒に喜んで欲しかったのよ
 でもあなたは一目見て大笑いし、″みっともない衣ね、どこから出してきたの?″って言ったわ
 私は泣きながら家に帰り、衣を切り裂いて母から叱られた…」
瓊花は雪景が両親を亡くした時、同情しつつも内心、喜んだという。
これで雪景も令嬢でなくなり、ようやく対等な友だちになれると思ったからだ。
しかし雪景の回りには穆京や穆塵がいた。
「あなたばかりちやほやされ許せなかった!
 穆塵との仲を知り心に誓ったの、あなたより幸せになってみせると…」

雪景は初めて瓊花の本心を知り衝撃を受けた。
瓊花は自分を唯一、理解してくれる親友であり、使用人扱いしたことなどなかったという。
「瓊花…私は…私は…」
すると雪景は激しく血を吐いて倒れてしまう。
その時、余琰が駆けつけ、瓊花の首をつかんだ。
「解毒薬を出せ!」
「持ってないわ…老婆がくれたの…」
瓊花の話では突然、東瀛(トウエイ)の衣を着た老婆が現れ、白頭翁をくれたという。
しかし年を取るだけで死に至らしめる毒だとは知らなかったと釈明した。
激怒した余琰はそのまま瓊花を殺そうとしたが、雪景が手を離すよう訴える。
「猛毒だと…知らなかったのよ…それなら罰してはだめ…」
そこへ白笙が駆けつけ、余琰を引き離した。
「封印が解けぬ身で殺生はいけない」
「もしこのまま雪景が絶命したら?!こやつの罪だ!」
「救えるかも知れぬ、すぐに帰ろう」



余琰は雪景を抱き上げ、急いで栄府を出た。
その様子を物陰から白髪の老婆が見ていたが、余琰は気づかない。


つづく


(´・_・`)子供って残酷な時があるよね~





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最終更新日  2023.03.01 19:46:39
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