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2024.04.08
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第8話「夫救出作戦」

聶桑楡(ニェサンユー)のため腐れ文士たちののどを潰した寧鈺軒(ネイギョクケン)。
これではかえって自分の仕業だと疑われると気づき、聶桑楡は露店で頭を抱えていた。
すると以前、一緒に店を出さないかと誘ってくれた公子・袁朗(エンロウ)が現れる。
「悪意のある噂を聞いて心配になったんだ、良かった気晴らしに行かないか?」
しかし運悪く公子と歩いているところを寧鈺軒に見られてしまう。

袁朗は郊外に出かけ、聶桑楡と苜蓿に野菜の小麦粉焼きを振る舞った。
「子供の頃の味なんだ、母を早くに亡くして父とその仲間に育てられた

しかし話を聞いても聶桑楡は全く心当たりがないようだった。
「でもその家族ももういない、匪賊に村を焼かれて死んだんだ
 長年、その仲間の縁者を探していて、いつか集まりたいと願っていた
 やっと見つかったが、相手は俺に気づいてくれない…」
袁朗は落胆したが、自分も店を持つのが夢だと話し、聶桑楡と意気投合した。




その夜、聶桑楡が非晩閣へ戻ると寧鈺軒が待っていた。
聶桑楡は寧鈺軒のおかげで本当の毒婦になってしまったと抗議したが、寧鈺軒は鬼白(キハク)に命じて人を遣わし、知っていることを白状させて証拠を集めただけだという。
「じゃあなぜのどが潰れたの?」
「白状することが多過ぎたのだろう…ふふ」
寧鈺軒は自分の功績を鼻にかけたが、肝心の凌剣星(リョウケンセイ)を取り逃したと悔しがった。
実は凌剣星の名を出した文士もいたが、急に″自分が凌剣星の名を使って大事にした″と名乗り出た者がいたという。

「奴を誘き出す手を使った、必ず罰を与えてやる」
「そうこなくっちゃ!…え?なぜそんなに私を気にかけるようになったの?」
「それは…二品誥命(コクメイ)夫人を侮辱することは許されないからだ」
「なるほど~私が好きなの?」
驚いた寧鈺軒は慌てて話題を変えた。

「行き先まで報告しろって言うの?」
その時、鬼白が駆けつけた。
「大理寺が押し入って来ました」

昨夜、西の荒れ寺で流民が虐殺された。
その中の母子が寧鈺軒と関わりがあると判明、寧鈺軒が殺めた疑いがあるという。
後ろ暗いところがない寧鈺軒は素直に応じ、鬼白に荒れ寺をすぐ調査するよう命じてから同行した。

袁朗から刺客の話を聞いた了然はふいに昔のことを思い出した。
あれは数年前、黄漢(コウカン)という茶幇の者と偶然、知り合い、生き残っている仲間たちが″ある者″に従って海坊(カイホウ)へ行ったと話していたという。
ある者が誰なのかは分からなかったが、名を挙げた者ではなく、なぜか財を成して仲間から慕われていたらしい。
すると袁朗は荒れ寺を襲った刺客が藤(トウ)の履き物だったことを思い出した。
「あれは漁民のものだ」

一方、寧府では第二夫人・温婉(オンエン)が寧鈺軒を心配して涙していた。
聶桑楡は女主人として気丈に振舞っていたが、そこへ荒れ寺を調べた鬼白が戻ってくる。
「すぐ候爺に知らせて来ます、急を要するので大理寺に押し入ります」
「鬼白、いくらあなたが強くでも無理よ?」
そこで聶桑楡は令牌代わりの誥命服を持参し、寧鈺軒が収監されている御史台獄を訪ねた。
門衛は誰も通せないと追い返したが、聶桑楡は誥命服の威力で脅し、さらに銀子をつかませて面会することに成功する。
「なぜ来た?!」
寧鈺軒は惨めな自分の姿を聶桑楡に見せたくなかったが、用があるのは聶桑楡ではなく鬼白だという。
実は聶桑楡が連れて来た侍女は女装した鬼白だった。




鬼白は誥命服の下に隠していた証拠の品を見せた。
そのひとつは袁朗が落とした手巾で茶幇の紋章が刺繍されている。
「2組が争った痕跡があり、一方は武芸者です」
すると寧鈺軒は藤の履き物を手に取り、その軽さから船乗りが使うものだと分かった。
しかし流民を殺して自分に罪をかぶせたのは凌剣星のはず、なぜ阿狼(アロウ)が関わっているのか。
「もしや茶幇は海坊に?一度、行かねば…とにかく今は聶桑楡と戻れ
 この件は危険が伴うが転機となり得る」
こうして短い時間ながら寧鈺軒と鬼白の話が終わり、聶桑楡は帰ることにした。
「行きましょう」
「あ…その~何か私に言うことは?」
寧鈺軒は思わず聶桑楡を引き留めた。
そこで聶桑楡は隠し持っていた小箱を渡し、鬼白を連れて来た功績とおやつの差し入れで珠を2つもらうと念を押して出て行った。

聶桑楡は寧鈺軒と鬼白の話からだいたいの状況が分かった。
今回の件は寧鈺軒が流民に刺されたことが発端だが、寧鈺軒は刺した母子を追求せず、流民たちを助けたという。
「流民も可哀想ね、さまよったうえに朝廷の争いに巻き込まれて殺されるなんて…
 だけど寧鈺軒ってずいぶん良い役人なのね」
しかし翌日、都では寧執政が流民を虐殺したと噂が広まった。
これに激怒したのが酒楼にいた聶桑楡の妹・青雲(セイウン)。
姉夫婦の悪口を言うなと鞭を振り回し、騒ぎを起こした。
そこへ巡回中の陶思維(トウシイ)が駆けつける。
「陶大哥!」
「もしや青雲か?…都を離れる時はまだ子供だったのにすっかり成長したな」
陶思維に憧れていた青雲は急にしおらしくなったが、兄を貶める輩をどうしても許せなかったと訴えた。

その夜、柳(リュウ)嬷嬷は候爺への誤解を解こうと非晩閣を訪ねた。
寧鈺軒は血も涙もない冷血漢と言われているが、幼い頃は明るく活発な子供だったという。
しかし父親を亡くしてから自室にこもるようになり、ようやく外へ出て来た時には何も話さなくなっていた。
1年後にやっと声が戻ったが、今度は母親がなくなり、それ以来、寧鈺軒は涙を見せなくなったという。
「辛いことがあっても決して弱音を吐かず、嬉しいことがあっても笑わなくなりました
 ですが大夫人が崖から落ちて戻ってから、また笑顔を見せるようになったのです
 幸せが訪れたと思っていたのに、またこんなことになるなんて…」
「今まであの人のことを分かっていなかった…そんな大変なことがあったのね」
聶桑楡は必ず救い出すと約束、翌日、例の腐れ文士を訪ねた。

聶桑楡は腐れ文士に銀子をちらつかせ、寧鈺軒の汚名をそそぐ話を書いて広めるよう頼んだ。
しかし方々に手を回したせいで、苜蓿は銀子が底をつきそうだと心配する。
聶桑楡はそれでも寧鈺軒が清廉潔白な役人であることは事実だと言った。
「悪をのさばらせたくないの」
その夜、寧鈺軒は突然、皇帝から呼び出された。
皇帝は寧鈺軒の匪賊討伐を叱責したが、寧鈺軒は決して民に手を出したことはないと釈明する。
「寧執政は良い妻を持って幸運だったな!都中で噂しているぞ?
 代々、忠義な寧家の陌玉(バクギョク)侯が陥れられたとな!
 そちの酌量を願う列は皇宮まで達しそうな勢いだ!」

皇帝は翌朝の朝議で寧鈺軒を断罪、官吏は極刑にできないことから爵位封号を剥奪したうえ執政の職を解き、海坊へ左遷した。
凌剣星は早速、檀(タン)王に報告したが、海坊の県令だと聞いた檀王の顔色が一変する。
「ご安心を、海坊へは足を踏み入れさせません」
一方、聶桑楡も苜蓿から寧鈺軒の左遷が決まったと聞いていた。
しかし海坊だと聞いた聶桑楡はただの左遷ではないと気づく。
「どうやら別の目的がありそうね…」

つづく


( ๑≧ꇴ≦)イヤイヤイヤ〜どうみても鬼白の変装、バレバレでしょうwww





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最終更新日  2024.04.08 22:52:55
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