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2024.04.27
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第21話「月明かりの告白」

劉家村の夜、季曼(キマン)と寧鈺軒(ネイギョクケン)は村人たちが開いてくれた歓迎会で久しぶりに楽しい時間を過ごした。
川辺に出た2人は互いの気持ちを確かめ合い、口づけを交わす。
そんな2人を美しい月が見下ろしていた。



翌朝、季曼と寧鈺軒は村人たちに見送られ、劉家村を去ることにした。
しかし昨日、自分たちを邪険にしたあの老婆が険しい表情で睨んでいることに気づく。
恐らく老婆は航海に出た男衆のことで不満があるのだろう。
実は昨日、ある婦人から男衆が雲(ウン)州へ行ったと聞いたが、雲州との船の往来はなかった。


そのせいで村人に変わり者扱いされていたが、ようやく寧鈺軒と季曼が話を聞いてくれるという。
老婆には親孝行な息子・阿根(アコン)がいた。
しかし″船に乗る″と文を残して出かけたまま何年経っても帰ってこないという。
季曼は確かに船乗りなら1年に一度は帰れるはずだと首を傾げた。
ある時、老婆は息子の消息を探すため港まで出かけたという。
そこで偶然、阿根の首飾りをつけた男を見つけた。
驚いた老婆は男に息子の消息を聞いたが、何も知らないと足蹴にされてしまう。
「狼の牙の首飾りは亡き夫が自ら阿根の首にかけたんだ、見間違えるはずない!」
寧鈺軒は他に気になることがないか確認した。
すると老婆はこの村から海に出た男たちの中で、王錦堯(オウキンギョウ)の粥の施しの後に姿を消した者だけが誰も戻ってこないと訴えた。
「私だって息子の死を信じたくない…どうか私の声をお役人に届けてくれないか?」


寧鈺軒と季曼は県衙に戻った。
これまで寧鈺軒もなぜ海賊が後を絶たないのか考えていたが、ようやく答えが見つかったという。
狡猾な王錦堯は人の往来がない郊外の小さな村から男たちを集め、海賊として利用していたのだ。

一方、千怜雪(センレイセキ)は自分の弱みを知った秦奕閑(シンエキカン)を避けていた。
すると突然、皓雪堂(コウセツドウ)に秦奕閑が現れる。

「何があったのか教えてくれないか、口は硬いぞ」
「…これは家族の問題なの、恥をさらしたくない」
「分かった、もう聞かぬ、でも助けが必要な時は頼ってくれ」

聶青雲(ニェセイウン)は姉に陶思維(トウシイ)への想いを明かし、必ず振り向かせると意気込んだ。
季曼は自分が姉ではないと明かせなかったが、悲しい最期を遂げた聶桑楡(ニェサンユー)の代わりに青雲を大事にしようと決める。
それにしても聶桑楡と自分が見分けがつかないほそっくりなのはなぜだろうか。

その頃、聶向遠(ニェキョウエン)は銭(ゼニ)家職から娘の桑楡が死んだと知らされた。
埋葬した村人から話を聞いて確認したが、確かに聶桑楡が幼い頃から身につけていたあの玉佩が棺に納められていたという。
聶向遠はあまりの衝撃で腰を抜かし、声を上げて泣いた。
「幼い頃から独りぼっちが嫌いだった…こんな形で命を落とすとは…なんと不憫な…」
すると家職以外にも最近、聶桑楡のことを聞き回っている者がいたという。
一方、季銘(キメイ)は娘が海坊で見つかったと聞いて喜んでいた。

袁朗は王錦堯に呼ばれて酔霄(スイショウ)楼にいた。
王錦堯はもうすぐ中秋節のため、袁朗に贈り物を用意したという。
「海坊の農事暦8月15日に年貢の銀子を積んだ船が都へ出航する」
その意味を悟った袁朗は官兵の船など襲えないと驚いたが、王錦堯は襲うのはあくまで海賊だと笑った。
実は長年、流民を海賊にして罪を着せ、片をつけて来たという。

季曼は年貢の護送船に乗る寧鈺軒を心配し、帰海号から持って来たお守りを渡した。
「触るだけで身を守れると聞いたわ、身につけて行ってね!」
その頃、王錦堯は阿世(アセイ)と接触、もはや寧鈺軒は銀子と共に大海に消えゆく運命だと自信を見せた。
「抜かりはありません、″快刀″をもって寧鈺軒を斬り捨てます」
快刀とは蛟龍幇の新幇主・袁朗のことだった。
「次は失望させないでくれよ」

翌日、寧鈺軒が港へ到着すると、すでに荷を運び入れた王錦堯が待っていた。
すると突然、第二夫人の温婉(オンエン)が現れ、壮行の支度をして待っていたという。
その時、季曼と苜蓿(ムーシュ)がやって来た。
「見送りはいらぬと言っただろう?」
温婉は2人が話している間に準備をすると断り、勝手に船に乗り込んでしまう。
「…策ならあると聞いたけれど、やっぱり不安で」
寧鈺軒は懐にしまっていたお守りを見せ、心配無用だと笑った。
「もう行くよ」
しかし季曼は王錦堯が素直に寧鈺軒に協力するはずがないと怪しみ、やはり引き返して船に乗ってしまう。
「苜蓿、ここからは別行動よ、何か見つけたら知らせて」

苜蓿は侯爺の船室でまだ下船していない温婉を見つけた。
「温姨娘、すぐ船を降りてください」
そこへ寧鈺軒が現れた。
温婉は航海中の相手になると申し出たが、寧鈺軒は苜蓿に第二夫人を連れて帰れと命じる。
こうして温婉の計画はあっけなく失敗、苜蓿と船を降りたが、季曼はまだ船にいると知った。
「私を出し抜いたのね!」
「でもどちらを残すか決めたのは侯爺ですし…あ、出航しちゃいましたね」

季曼は船底へ降りる階段でこぼれた油のしみを発見した。
たどってみるとなぜか多くの油が船に積み込まれていると知る。
「王錦堯は何を企んでいるの?」
その頃、寧鈺軒はまさか季曼が乗船しているとは知らず、王錦堯と一局、手合わせしていた。
石を打ちながら互いの腹を探る2人。
そこで寧鈺軒は新幇主の袁朗が王錦堯の目に叶った経緯が気になると揺さぶった。
「入港しようとした商船を襲ったのは海賊か、袁幇主の仕業か…おっと言葉が過ぎたかな」
「私の耳に入った話では袁朗はかつて寧夫人と関わりがあったそうですね
 夫人の知人が略奪などするはずないのでは?」
「そう願っているよ」
王錦堯は白石を打つと、その角は自分がもらうと笑った。
しかし寧鈺軒が黒石を打ち、形勢が逆転してしまう。
「勝敗はまだ決まっていない…ふっ」

つづく


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最終更新日  2024.04.27 23:01:09
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