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ボリショイ・マリインスキー合同ガラ Part2第2部 マリインスキー≪ばらの精≫<フォーキン振付/ウェーバー音楽>イリーナ・ゴールプ&イーゴリ・コールプ これはもうコールプで見た演目だったので目新しさはなかった。コールプさん、日焼けしてません~? とは言うものの、相変わらず「ばらの精」になりきっていてすばらしかった。 最初出てくるときのジャンプの高いこと! 少女を誘惑する。 少女を踊らせる。 少女を寝かしつける。 解き放たれたように踊りだす。 いや~ 腕の上げ方が薔薇の精~ でも前回見たときの方が良かったように感じたのはなぜかしら。≪「サタネラ」パ・ド・ドゥ ヴェニスの謝肉祭≫<プティパ振付/プーニ音楽>エフゲーニヤ・オブラスツォーワ&ウラジーミル・シクリャローフ これがねえ… 最悪でした~ ラズベリー賞もらえそうな出来でした。 シクリャローフ君はサポートがうまくなったかしら?という期待の目で見たら… 見事に下手なままでした~ 見事にタイミングをはずすサポート。 まさか狙いじゃないよね? 女性のヴァリアシオン、さあ~やっと実力発揮よ!と女性が思ったかどうか知らないが、グラン・ピルエットで大失敗! かわいそうでした。 そのあとは、シクリャローフ君はソロはがんばってましたが、やはりサポートはひどかった。う~~ん。 カーテンコールでも「オレたち、やっちゃった?」という表情をしていたシクリャローフ君なのでした。 ≪3つのグノシエンヌ≫ <マネン振付/サティ音楽>ウリヤーナ・ロパートキナ&イワン・コズロフ この作品がすべてをとおしてサイコーでした。完成度も芸術性も高く、際立っていた。 サティの気だるいピアノに、ムーヴメント、 振付はあのハンス・ファン・マーネン。 ロパートキナの初見は垂涎。贅沢すぎる時間が流れた。 3つの…という音楽どおりに3部構成になっている。 相変わらずなぜか「悲哀」を感じるロパトキナの表情。 そんなに孤独なの? 孤独こそが芸術を生み出すものなのです。 お相手のコズロフ君は完全な黒子。 金髪で体型も美しく、ハンサムなのだが、完全にロパトキナの影だった。≪ディアナとアクテオン≫<ワガーノワ振付/ドリゴ音楽>エカテリーナ・オスモールキナ&ミハイル・ロブーヒン 手に小ぶりの弓を持って登場するオスモールキナ。 ロブーヒンは、原始人来た~! あ、いやいや。 衣装がね。 彼こそ「スパルタカス」だわ~と感じさせるものすごいテンションと筋肉。 さすが主役を張る人は気合が違うね。 金髪で。 すごい技見せてました~≪グラン・パ・クラシック≫<グゾフスキー振付/オーベール音楽>ヴィクトリア・テリョーシキナ&アントン・コールサコフ テリョーシキナ来た~ 相変わらずすごかった! しかも彼女は「アクロバット」じゃない。 完璧にすごい。 女「サラファーノフ」かなあ~ すごいフェッテ! こないだもそうでしたが、シングル、足を地面と平行に90度にまっすぐ伸ばして回る、そして足を弾き付けて2回転のコンビネーションのグラン・フェッテ! これは世界中で彼女しか出来ないでしょう。すごかった~ 客席もわいていた。 コールサコフ君はね、前回見たときはそれほどでもなかったが、今回すごくキタ~ 可愛い! 表情がすごくつまんなそうに踊るのがまたいい。 そんでもって踊りは基本に忠実ですごくうまい! 完璧なヴァリアシオン、よかった~! ≪チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ≫<バランシン振付/チャイコフスキー音楽>アリーナ・ソーモワ&アンドリアン・ファジェーエフ この演目も前回アンドリアン・ファジェーエフさんで見たので、新鮮味がなかった。もちろん私はファジェーエフさん、ガン見。でもぜったい彼は、ランケンデムのように全幕やったほうがいい~ これだとただの年のいった王子様だもん。すごくノーブルで金髪でステキな王子様なのではあるが… ランケンデムにまいっちゃった私には物足りない。 彼のヴァリアシオンではぐう~~~んとオケが遅くなるんでおもしろかった。 ソーモワのときはすごい速いテンポだった。 ソーモワはすごい!と思うが、優雅さがないんだよね~ もっとクラシックするには年月が必要かしら。≪瀕死の白鳥≫ <フォーキン振付/サン=サーンス音楽>ウリヤーナ・ロパートキナ この演目を生で見られたことは終生自慢できそうだ。 でも短い~ あっという間に終わっちゃう。 曲が短いんだから当たり前ですが。 もっと、もっと見ていたい~ なんか痛々しくて、死んでいく白鳥が、美しい白鳥が死んでいくのがかわいそうで… 非常に胸をかきむしられます。 ≪ドン・キホーテ≫<ゴールスキー振付/ミンクス音楽>オレシア・ノーヴィコワ&レオニード・サラファーノフ どう~しちゃったのサラファーノフ! 夏バテかしら。 こんなに不調な彼を初めて見ました。 最初はよかったんですが、だんだん。 アダージョ。 彼は180度真横の開脚ジャンプを2回入れてきた。 すばらしい! それからキトリに近づいていくところ、今回は空中高く飛び上がって体を斜めに投げ出し、空中で2回転してひざまづいた。かっこええ… これヌレエフ版では高速ピルエットだったんですよね… バジルのヴァリアシオン。 これが3回転のピルエットを2回入れるところで2回とも斜めった。 これで驚愕。 お次の舞台中央の奥からトゥール・ザンレールしながら進み出てくるところ、どうするんだろうと見守った。 ここは完璧にこなした! トゥール・ザンレール、プラス2回のピルエットのコンビネーションを7回やって、8回目は連続トゥール・ザンレールだった。大喝采! キトリのヴァリアシオンはパッセ・ヴァージョンだった。よかったです。 さてコーダ。 大丈夫なのでしょうか? 不安がよぎる。 コーダのマネージュ。 キトリのグランピルエット。 3回で入って、前半ダブルの入るフェッテ。 ここで普通は男性のアラスゴンドのフェッテが連続して行われるが、ここで間が空いた。間を取ったのだ。よほど不調らしい。 出てきたサラファーノフはフェッテを開始するが、いつもの切れがないし、ぐるんぐるんもない。ぐるん、ぐるん、なわけで。 こういうサラを見たのが初めてだったので逆に驚愕しちゃった。でもフツーの人のレベルよりはぜんぜん出来てるんですよ。 おまけ>フィナーレはすばらしかった!みんなが出てきて自分たちのダンスの一番いい部分を踊っていく。これを構成した人はセンスがあるなと思った。 サラファーノフは連続トゥール・ザンレール、6回連続やったような… 6回目でななめになった。やらなきゃいいのに… 痛々しくて見てられん。でもそれでもフツーには充分にスゴイんですよ。 例のワシーリエフ君は飛び出してきたとき、何が起こったの???と驚愕するぐらい高い変則ジャンプをかましてきた。オオ~~!! これはミーシャレベルだわ。いや、マジで。ぜひご覧になってください。「ミーシャ」さま。Related Links 久々来たぜ! サラファーノフの超絶技巧バジル INDEX
2007年08月31日
ボリショイ・マリインスキー合同ガラなんかこれって日韓共催W杯?いや違うな~驚いたことに1部がボリショイ、2部がマリインスキーなの。ふつう混ぜてやらない?競演なんだから。なんでこんなプログラミングなの?まあそれはおいといても…世界びっくり人間ガラの様相も呈していたな…とにかくあのイワン・ワシーリエフなんなんですか? あの人はいったい???あの人は京劇のスワンレイクに出られるわー。言葉がない。それとショックなことが…サラファーノフが絶不調だったのです。ピルエット3回転してななめる彼を始めてみた。体調不良なのに無理に踊ったのね…頑張り屋さん。それでもピルエットをはさんだ連続トゥール・ザンレールの8連発は完璧にこなしましたから…まあ許してあげて。と、いうことで続きは明日…******************第1部 ボリショイ≪「エスメラルダ」から第2幕のパドドゥ≫<プティパ振付/ドリゴ音楽>エカテリーナ・クリサノワ&ドミートリー・グダーノフ エカテリーナ・クリサノワはプロポーションがすばらしい! 見ているだけで美しいスタイル。女性がタンバリンを打つとき、足をグラン・バットマン?上げるのだが、非常に高い! グダーノフはもう若くはないのだが、筋骨隆々というの? ボリショイはムハメドフ以来、こういう人を多く採用するのだろうか? ≪マグリットマニア≫<ポーソホフ振付/ベートーヴェン音楽>ネッリ・コバヒーゼ&アルテム・シュピレフスキー こういうの大好きー。シュピレフスキー君はコンテで正解だと思う。 しかし音楽は途中で噴出しそうになるぐらい、おいおい、ベートーベンにケンカ売ってんのですか~?と言いたくなるぐらい。 私の大好きなベートーベン第7番の第2楽章をこんなにしやがって… まるで大学のオケ部が練習している隣で吹奏楽部が嫌がらせしているみたい。 でもコバヒーゼはすばらしい! これはロパトキナとルンキナとアレクサンドロワに次ぐ出来。≪「海賊」から第1幕の奴隷の踊り≫<プティパ振付/ドリゴ音楽>ニーナ・カプツォーワ&アンドレイ・メルクーリエフ これは例のいつもの有名なパドドゥではなかった。 多分ランケンデムとギュリナーラが踊るやつ?(*)ではないでしょうか? 最初にヴェールをかぶって女性が出てきてヴェールをはずす。 そのあとパドドゥになる。 メルクーリエフは超絶技巧を見せた。半回転しながら空中にジャンプし、空中でアラベスクにばっとあしを開く。そして半回転して着地する。すごい。トライするのに勇気の入るパだ。これを3回。喝采だった。≪ジゼル≫<コラーリ振付/アダン音楽>スヴェトラーナ・ルンキナ&ルスラン・スクヴォルツォフ ルンキナすばらしい! これぞジゼルだった。亡霊だった。 ルスラン・スクヴォルツォフもめっちゃよかったわ~ すばらしい!≪ファラオの娘≫ <プティパ,ラコット振付/プーニ音楽>マリーヤ・アレクサンドロワ&セルゲイ・フィーリン やっぱりアレクサンドロワはすばらしい! 男より男らしいキップのよさとダイナミックさ。ラコットの複雑なステップを2人とも完璧にこなしていた。 二人並んでステップするところなんてもう~ため息もんですわ~ マリーヤのフェッテもすごかった~ 最初超高速のシングル。このスピードは女じゃない。 そして後半にダブル、ダブル、ダブル、と来た。すごすぎ。≪パリの炎≫ <ワイノーネン振付/アサフィエフ音楽>ナターリヤ・オシポワ&イワン・ワシーリエフ なんでこのカップルがとりなのか不思議だったが、納得した。 イワン・ワシーリエフ、この人はいったい何者? 空中で体をまっすぐのままで2回転し着地する変則ジャンプ。客席がどよめく。 空中に半回転しながら飛び上がって、ばっと足を180度開く。そして半回転して着地する。これは初めて見た。超々々スーパーな技です。 客席はどよめきまくり。大喝采。 オシポワのフェッテは、3回転で入って、1-2-1-2… 最後は3回転で締める。拍手。 Related Links * マリインスキーの海賊 サラファーノフの日 * マリインスキーの海賊 ゼレンスキーの日
2007年08月31日
ブレア前英首相の参謀で、映画「クイーン」にも実名で描かれていた、アラステア・キャンベルが本を出し、その宣伝で、先週、ジョン・スチュワートの「デイリー・ショー」(The Daily Show with Jon Stewart)にゲストで出ていた。実におもしろい人で、ジョンに負けてなかった。映画どおり、ではないが、それっぽかったですわ~The Blair Years -Alastair Campbell
2007年08月17日
ルグリ・ガラ・スペシャル・プレゼンツ「スワン・レイク・全幕ガラ」Part2第3幕この幕はすごくおもしろかったです!司会者の登場。賓客たちの登場。道化が登場。明るい。女王様の登場。王子様はいない。踊りだす人々。まずはチャルダーシュ。大嶋さん、すばらしかった~お次はナポリ! 道化が中心で踊る。マチアスには物足りないぐらいの振付だが実にきれいに踊っていました。マズルカ。やっと王子が登場。マチュー・ガニオ。やっぱりこの人はすごいですね。舞台に出てきたとたん、すごいオーラ! 悲しい顔をしているのになんて美しいんだ! 踊らないのに舞台をさらっちゃう。やっぱマチューはエトワールだ。正真正銘の。花嫁候補たちの踊り。これ、すばらしかったですよ! みんな美しい。小出さんの踊りは特にすばらしかったです。しかしマチュー王子は一人一人見に行くが断る。でも嫌味じゃないの~育ちがいいのね。ぽわーんとしたマチュー王子はまさにプリンスそのもので、がっつがつした道化のマチアスとすごいいいコンビだった。ボケと突っ込みみたいな感じで。そこでファンファーレ。いきなりのおどろおどろしい音楽。ロットバルトご一行の登場。道化は耳を押さえて怖がる。ステファン、大きな緑の長いマントを羽織っている。かっこいい~ これはヌレエフ版だ! うれしくて気が遠くなりそうだ。彼がマントを翻すとオディールが登場する。まさに黒い大輪の薔薇、ドロテ・ジルベール。またもやオーラが燦然と!マチューにドロテが並ぶと、お~~これぞパリオペという気分になる。すごく豪華で派手。ステファンはじらすように、手下の者どもを躍らせる。スペインの踊り。これも絶品!でしたわ~美しすぎる。キレがあって。ステファンは客席に背を向けて立っている。さあいよいよ! ヌレエフ版グラン・パ・ド・トロワが始まる!マントを翻し、腕にかけるステファン。いちいちかっこいい~3人で入り乱れてアダージョを踊る。ドロテの瞳が挑戦的で魅かれてしまう。実に美しい3人。思い出すな~パリオペのスワンレイク。そしてマチュー王子のソロ。すばらしかったですよ~アントルシャ高いし、ジャンプ高いし。派手な王子オーラを振りまきながら踊ります。そして今度はオディール!難しいソロです。アチチュードで3回転してポーズを繰り返すみたいな。そして控えているのはロットバルト。しかしここの一番難しい技、トゥールザンレールの間に何も挟まないでもう1回トゥールザンレールするという連続技、この1セットをを2回繰り返すというところ、ステファンは2回とも2回目のジャンプの着地が乱れました。残念!ステファン・ファヴォランは完璧に踊ってたけど。これ、サラファーノフは8回連続でやりますからね。でも2回でも死ぬほど難しいのです。ちゃんとできないなら舞台ではやらないほうがいいですね。そのあとは鬼のマネージュが待っています。グランジュテしたあとに、足を空中でまっすぐのばしたまま回転して着地するというコンビネーションのマネージュです。これはできてました。さてコーダです。マチューは片足を曲げて膝につけた形で空中でジャンプし、そのまま曲げた足は地面につけずに軸足のほうで着地してそのままフォンデュでアラベスクという鬼のようなジャンプのコンビネーションをこなしていました。すばらしい。そのままフェッテ。ステファンがマントを翻すとオディールが現れ、32回転を始めます。ドロテは最初は3回に1回ダブルを入れてきて実に快調でしたが、後半シングルになったら急に疲れが出て、途中でやめてしまいました。残念! でもよくやった。王子は女王に結婚すると告げます。道化たちはわくわくしています。王子が結婚を誓ったとたん、悪の一団は大笑いして馬鹿にして去っていきます。王子はママにすがります。「ママ~!!」王子は走り出て行きます。第3幕了。第4幕湖。白鳥達の悲しみの踊り。ヌレエフ版ではここの音楽がオデットと王子の悲しみの踊りになっています。ヌレエフフォンテーン版もそうです。だからこれが群舞に使われたのでがっくりきました。この幕はヌレエフ版じゃない。オデットがやってきます。テンペスト。ロットバルトが現れ、白鳥たちをいじめます。今頃オディールは何してるんだろう。夜遊びに出かけてシンナーでも吸ってるのかな。白鳥たちがいなくなり、誰もいない舞台に王子が駆け込んできます。マニュエル王子。彼はすごい! 彼はここだけソロを踊りました。高いジャンプ、2回かましました。そしてマネージュ。グランジュテで矢のように飛び、最後はシェネ、8回転はしたかな? 超高速で回りました。すごい!これを見ただけできょうは満足です。王子はロットバルトと戦います。ロットバルトの後を追いかけて王子がグランジュテ、すごいスピードでマネージュします。ロットバルトはオデットをリフトし、連れ去ろうとします。手を繋いでいる王子。ここもパドトロワなんです。やっぱここはヌレエフ版を使ってきました。王子とロットバルトが手をつないで回るというのもやりました。これもヌレエフ版です。最後に王子はロットバルトの羽を切り落とし、殺します。オデットとの愛が実るのです。最後はヌレエフ版とは違いました。お疲れさまでした。楽しい一夜をありがとう!やっぱりヌレエフ版全幕をもう一度見たいかも…Related Links Le Ballet de l'Opéra de Paris Japan Tour 2006 Index Rudolf Noureev Le Lac des cygnes Opera Bastille 2006年1月
2007年08月16日
ルグリ・ガラ・スペシャル・プレゼンツ「スワン・レイク・全幕ガラ」Part12007年8月16日 ゆうぽうと「ルグリと輝ける仲間たち」全幕特別プロ・東京バレエ団『白鳥の湖』(全4幕) 第1夜:ガラキャスト第1幕ジークフリート王子:オドリック・ベザール道化:マチアス・エイマンパ・ド・トロワ:マチルド・フルステーシャルリーヌ・ジザンダネアクセル・イボ 第2幕/第4幕 オデット:ミリアム・ウルド=ブラームジークフリート王子:マニュエル・ルグリ悪魔ロットバルト:ステファン・ビュヨン 第3幕オディール:ドロテ・ジルベールジークフリート王子:マチュー・ガニオ悪魔ロットバルト:ステファン・ビュヨン道化:マチアス・エイマンチャルダッシュ(第1ソリスト):長谷川智佳子、大嶋正樹(第2ソリスト):森志織、福田ゆかり高橋竜太、氷室友ナポリ(ソリスト):高村順子、マチアス・エイマンマズルカ(ソリスト):田中結子、坂井直子中島周、横内国弘花嫁候補たち:小出領子、西村真由美、乾友子、佐伯知香、高木綾、吉川留衣スペイン:井脇幸江、奈良春夏後藤晴雄、平野玲指揮:アレクサンドル・ソトニコフ演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団熱帯夜!北の国の白鳥の湖じゃなくて、南国のフラミンゴ・レイクだった。汗をだらだら流しながらバレエを見たのは初めてだ。これはルグリ先生のスーパーバレエレッスンの全幕発表会でしたね。ルグリ先生以外はみんな生徒。も~少しがんばりましょう~な人がほとんど。ルグリガラとは実に若手の育成ガラであり、それであるがゆえにおもしろい!それにもう一つ期待されていたルグリスペシャル演出。ヌレエフヴァージョンが入ってましたよ~ 良かった。それでは始まり始まり。※内容を書きますのでご注意を。第1幕王宮の庭人々が遊んでいる。道化が現れる。派手な衣装のマチアス・エイマン。王子の友達3人(パドトロワの3人)。アクセルとマチルドとシャルリーヌ。アクセルは輝くような笑みで妖艶でしかもやわらかい。王子はオドリック・べザール。背が高い。道化は王子を誘う。踊りましょう。あんまり気乗りのしない王子はマチルドとシャルリーヌの手を取る。でも基本的にあんまし踊らない。王子のソロが基本的にこのヴァージョンはなかった。不満。道化は女の子を促して女の子に花を捧げさせる。遠慮する女の子を強引におしまくる。そして、出来たじゃない!と喜んであげる。マチアスは女の子思い。マチアスはどの瞬間も演技していた。オカマキャラの道化になりきっていた。まるで別人ですよ! マチアスは踊りだけじゃなくて演技もちゃんとやる。第1幕は彼が主役のようなものでした。マチアスの1回目のソロ。度肝を抜く。いきなり180度真横開脚ジャンプ。高い!そして連続で足を「かに」の形のようにするジャンプ。そのコンビの繰り返し。大拍手。人々の群舞。王子は消える。道化は王子を探すがいないのでマチルドを誘って踊ろうとする。アクセルが戻ってきてマチルドをピックアップし下手の袖にいく。王子が戻ってくる。道化は彼に女王が着いたことを告げる。女王がやってくる。慇懃にあいさつする王子。気持ちは晴れない。しかしオドリックに憂いに沈む王子の演技はまったくできてなかった。さあて女王様もいなくなったし!道化は喜んでマチルド?をエスコート。期待のパドトロワの始まりだ。最初アダージョ。アクセルが最初にマチルドをホールドし、次にシャルリーヌとなるのだが、ホールド、下手!稚拙だった。やっぱステファンはそれを思うとホールドはめちゃうまだったです。しかし3人できれいにそろって踊るとこの腕や足の動きは実にやわらくて美しくよかったです。技術的にはこれはパリオペはティボー君を見ちゃってるんでアクセルには荷が重かった。アクセルは圧倒的なマチアスのオーラにすっかり押されていた。ソロは回転は3回転するとちょっとぐらつくのは仕様だったし。でも実に彼はラインとかきれいだしかもし出すものがすばらしいので私は好きです。マチルドは圧倒的なソロを見せる。これがとにかく難しいパの連続を踊っていましたわ。回転しながらマネージュし、3回目に足をグラン・バットマン?つ~のか?あげながら回転していた。これすごい。それにピケピルエットもスピードがあって圧巻でしたわ。大拍手。小さな大プリマといったところか。パドトロワ終了。マチアスの2回目のソロ。これが道化のもっとも中心的なソロで、圧倒的なフェッテを披露した。足はきっちり90度。軸足はやや曲げて、ぐるぐる回って惰性をつけて回る。これをえんえん続ける。長く長く続ける。そして最後のほうには高速ピルエット6回転。しかもこのピルエット、顔をちゃんと180度ずつかくかくかくとつけた。すごい~~しかし締めが失敗。最後に床に膝をついてポーズどころか床に崩れ下りた。これは多分アクシデントだと思うのだが、そこでマチアスは茶目っ気たっぷりに、「瀕死の白鳥」のポーズ。客は大拍手で大笑い。すごい天才的舞台勘を持ってる人ですね。感嘆。ショウ・ストッパーになってましたわ。テンポディポラッカ、乾杯の踊り。マチアスの3回目のソロ。上手方向に大きくジュテ・アントルラセを2回。蹴りだした足が信じられないぐらい高く上がる! すごい! そして下手方向にピケ・ピルエットで高速で戻っていき、最後はシェネ。このピケ・ピルエットがピケというよりもうジャンプになっていて、すごいダイナミック! すばらしかった。これを繰り返す。大拍手。みんな舞台からいなくなる。王子は一人でソロを踊りだす。これはヌレエフがフォンテーンとの共演のヴァージョンで踊っていたソロと同じだと思ったが、ヌレエフ振付ヴァージョンかどうかは自信がない。片足で下りてアラベスク、というあの特徴的な踊り。オドリックはなかなかよかったです。道化が心配して戻ってくる。「あ、白鳥が飛んでいく! んそ~うだ! 王子様、あの白鳥を狩りに行ったらいかがです?」気が乗らない王子。「ほら、いいものがありますよ!」ボウガンを袖から持ってくる道化。王子は喜んで、ボウガンを抱えたまま、くるくる足を後ろにアチチュードしながら3回転する。これをマネージュしながら4回繰り返す。完璧。ヌレエフ版ですかね~。そして森へ出かけていく。一人残された道化はひざまづいて考え込む。「ぼく、淋しい… 王子様はいっちゃった…」第1幕了。主演者だけのカーテンコール。おつかれさまでした!第2幕いよいよルグリさまのジークフリートが登場。期待に胸が高鳴る。これが最初で最後のルグリさまのジークフリートだから。ロットバルトが登場。鳥の仮面をつけているので顔が見えないがもちろんステファン。大きい鳥になっているのできっと踊りにくいだろうががんばってました。でもフツーのロットバルトの振付なんですな。ジークフリート王子が出てきた瞬間、これよ! これなのよ! ルグリさまはやっぱりプティパの王子様が一番似合います。ノーブルで繊細で、美しい。すべてが美しい。周りの空気さえ美しい。不思議なメロディが響き、オデットがやってくる。王子との出会い。マイム。「私は王女です。」「王女様ですか。それは申し訳ありません」「話を聞いていただけますか? 私は鳥に変えられてしまったのです。この湖に住んでいる白鳥です」(目をさすしぐさの意味がわからなかった)「悲しくて毎日泣いています。」「私が人間に戻れるためには誰かが真実の愛を誓ってくれないといけません」一目ぼれした王子は誓おうとする。「いけません!」ロットバルトが登場する。魔法にかけられたようにいなくなるオデット。白鳥たちが登場する。白鳥の群れの中にオデットを探す王子。いない。しかし現れた美しい白鳥、オデット。アダージョ。これが絶品でした~~~ミリアムはほんとに優雅で美しく芯からお姫様。気高くてプライドが高い。ルグリさまとの波長はぴったり。オデットのすべてのパが王子の優しさと調和していて実にホワイト・バレエの究極の世界がそこにあった。大拍手。四羽の白鳥大きな三羽の白鳥。オデットのソロ。ミリアム絶品です。でも右足のアラスゴンドが低い。しかしもうコーダになっちゃうのよ。王子のソロがない! つまりヌレエフ版じゃない! ここは省エネ版でした。コーダ・ラストで王子は高々とオデットを掲げる。しかしロットバルトが現れ、オデットは魅入られたように去っていく。このときのミリアムがすごかった。びし!と魔法がかかった瞬間、十字架のような姿勢になってポワントで静止する。すばらしかった。王子は茫然とし、激しく心が乱れながら、彼方を見つめる。
2007年08月16日
新聞記事 ▼Interview「オペラ座のダンサー、マニュエル・ルグリ 日本での「座長公演」今夏で終止符」 2007年8月14日(火)付 毎日新聞夕刊 ▼Review「「女優バレリーナ」 フェリ 愛伝わる最後の舞」 2007年8月14日(火)付 読売新聞夕刊
2007年08月14日
ルグリガラ Bプロ Part 22007年8月13日 五反田・ゆうぽうと第1部1、タランテラ 振付:バランシン 音楽:ルイ・モロー・ゴットシャルク(arranged) メラニー・ユレル アクセル・イボ 小粋な楽しい作品。アクセル君がのびのびと楽しそうに踊っていた。しかも妖艶。独特の色気を振りまいてました~ メラニーは回転系超得意。小気味の良い動きを披露した。 タンバリンを打ち鳴らしたり、民俗的な踊り。 バランシンってやっぱ天才~と思わせる作品。2、アベルはかつて… 振付:マロリー・ゴディオン 音楽:アルヴォ・ベルト グレゴリー・ドミニャック ステファン・ビュヨン グレゴリー・ドミニャック君の美しさが際立っていた。金髪に理想的な体型。まるで「ベニスに死す」にタジオ役で出演したハンブルク・バレエのエドウィン・レヴァツォフみたいな感じ。 踊りも超いい。背中が柔らかくしなう。 まさにカインとアベルだったよ~ 最後にカインは美しい弟のアベルを殺してしまう。 3、ドニゼッティ・パドドゥ(世界初演) 振付:マニュエル・ルグリ 音楽:ドニゼッティ ドロテ・ジルベール マチュー・ガニオ 音楽に合った振付で非常にリズミカルで美しい。クラシック・バレエの古典的な技巧が満載。しかし「練習曲」「習作」の域を出ない。オリジナリティーがかけらも感じられない。 超絶技巧はすごくって、 マチューのコーダではグランジュテのマネージュの間に、膝をそろえて空中で1回転するジャンプをはさんできた。これはよくラスタ・トーマスがピルエットコンビネーションの最後に膝をそろえて空中で2回転するのに似ている。 確かにパドシャの足の形でなく、ぴったりではないが膝を揃え気味で飛んでいた。マチューはほんとジャンプ技は大得意。 そしてドロテのほうはめっちゃすごかった~ 左足軸でフェッテ、3回転したら右足軸に変えて1回転。また軸を変えて、と繰り返した。スゴイ! いやすごい~4、オネーギン 「手紙のパドドゥ」 振付:クランコ 音楽:チャイコフスキー モニク・ルディエール マニュエル・ルグリ 私は勝手にこのパドドゥは「シュピーゲル(鏡のパドドゥ)」だと思い込んでいた、いや期待していたのよ~だってA,B同じ演目とは思わないもの。 そういう意味では肩透かしだったが、このパドドゥは何度見てもすばらしい。堪能した!第2部5、ビフォア・ナイト・フォール 振付:ニルス・クリステ 振付助手:アンヌジャン・スニーブ 音楽:ボススラフ・マルティヌー 第1のパドドゥ:メラニー・ユレル、マチアス・エイマン第2のパドドゥ:エレオノーラ・アッバニャート、ステファン・ビュヨン第3のパドドゥ:ドロテ・ジルベール、オドリック・べザール3組のカップル: マチルド・フルステー マルク・モロー ローラ・エッケ グレゴリー・ドミニャック シャルリーヌ・ジザンダネ アクセル・イボこの演目はすごく良かった~!こんなに個性の強いダンサーが気持ちを合わせて踊れるんだ~と思ったし、それぞれの個性も充分に発揮していてさすがだな~と メラニー・ユレルとエレオノーラが抜群だった! エレオノーラは古典はだめなのに、こういう作品ではまさに舞台をさらってしまうのだ。すばらしい! メラニーも実にうまい! 非常に楽しみました~ また機会があれば見たいです。6、牧神の午後 振付:ティエリー・マランダン 音楽:ドビュッシー バンジャマン・ペッシュ 問題作来た~(笑)。 この作品はもちろんニジンスキーの「牧神」のオマージュなのであるが、オマージュというよりバカにしてんのか?と言いたくなるぐらいストレート。だってブリーフ一丁で、ティッシュケースの上で寝てるんだもん。 そして気持ちよさそうに落ちてる2個のティッシュを舐めまくる。 最後はティッシュケースに飛び込んで終わり。 ぶわはははは…!と大笑いしたかったが誰も笑わないんで困っちゃった…7、ジュエルズより「ダイヤモンド」 振付:バランシン 音楽:チャイコフスキー ローラ・エッケ オドリック・べザール 実に入れ込んで演じていてエッケはすごく良かったですよ~ しかし以前にものすごいダンサーの「ダイヤモンド」を3組見てたもんですから、(マラーホフ、ヴィシニョーワ、ジョゼにアニエス、そしてロパートキナ・コルスンツェフ組)思い入れができませんでした。 やっぱバランシンってば天才~と思ってしまう。 この作品は気品に満ち、同時にすごく哀しげ。地味。しかしめっちゃ難しい~~作品。奥深い作品。またロパートキナのが見たい~~~8、ドリーブ組曲 振付:ジョゼ・マルティネス 音楽:ドリーブ ミリアム・ウルド=ブラーム マチアス・エイマン もう~きょうはこれが一番!ものすごかった!マチアスすごすぎる!ミリアムもよかった~大満足。マチアスの超絶技巧。ジャンプの滞空時間の長いこと、長いこと。ポワントでポーズ、止まっている時間の長いこと! しかもすべて余裕しゃくしゃくで客席目線びしばしで決めてくる。超~にくいやつ!ジョゼがアラスゴンドのフェッテで高速で回ったところ、マチアスはなんと90度ずつ向きを変えながらのフェッテ。そしてその次は180度ずつ向きを変えながらのフェッテになる。ありえないぐらいすごい。コーダの例の逆回転のマネージュもやりましたよ。なにしろ利き足がジョゼと反対みたいでジャンプの向きや回る向きは全部反対でした。はぁ~ …また来日してね、マチアス!スワンレイクが楽しみだわ。9、さすらう若者の歌 振付:ベジャール 音楽:マーラー ローラン・イレール マニュエル・ルグリ もう、何も言うことはありません。 とにかく感謝、感謝の気持ちで拝むような気持ちで見ていました~ 哲学的なダンス。 精神性の高みの極みにある作品。 そして彼ら2人。 イレールさまは美しすぎる。かっこよすぎる。 カーテンコールでも他の人には目が向きませんでした。イレールさま~お疲れさまでした~
2007年08月13日
ルグリ・ガラ Bプロうん。やっぱりマチアス・エイマン!と書かざるを得ないですね。彼はすごかった!ジョゼのドリーブ、完璧に踊った。踊ったどころかそれ以上!ものすごいテクニックを見せた。笑いながら。余裕見せつけながら。いるでしょ? 自分が天才だ~と思いながら天才やってるやつ。そーゆーやつです。それからペッシュ!ルグリ・ガラがペッシュ・ガラになったらこんなんばっかり見せられるのか?15禁でしたわ。子供に見せちゃいけません。ペッシュ異彩はなってたな~なんでみんな笑わないのか不思議だった。笑うとこだよね?アクセル君は期待通りの妖艶な魅力をやっと振りまいてくれました。背も高い。タランテラです。デーミアン・スタークに似た雰囲気なんですよね。イレールさまは…どうしてこんなかっこいい人がこの世にいるの?ローラン全身タイツじゃなくてスーツとかで踊って欲しかった。「さすらう若者」じゃなくて「さすらう中年」だったが、さすが大エトワール、2人が出てきた途端ぶわ~~~~っとオーラが!ルグリの踊りはめちゃ現役だった。ローランもすべてのパをこなしていたわ。驚き。ルグリはローランと踊ると独特の色気がでるのよね。男らしいローランに、中性的で繊細なルグリ。すごく良かった~~~~詳細はあした書きます。
2007年08月13日
ルグリ・ガラ day4 Part 2第3部5.「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」ドロテ・ジルベール マチュー・ガニオいや~きょうもドロテがすばらしかったですよ~もう~これこそバレエの愉悦だ。バランシーンの振付もすばらしいのですけどね。音楽と振付と、ドロテの表情の豊かさ愛らしさが見事に合わさって、すばらしい世界が広がっていた。マチューもきょうはすばらしかった! 完璧だった。ジャンプの高いこと高いこと。アントルシャが高くて拍手がわいた。ドロテもスピーディでありながら緩急があって、茶目っ気たっぷりのすばらしいソロ。そしてスピード感のあるコーダ。若さがほとばしるとはこのことだ。6.「椿姫」第2幕よりエレオノーラ・アバニャート バンジャマン・ペッシュこれ、きょうはすごく良かったですよ~~もう~~ご馳走様。見せ付けられまくりという感じ。何回キスしたろう。演目で3回以上、カーテンコールでもたくさんキスしてました~しかもそのキスがほんものぽい。愛し合ってる2人なのね~ご馳走様~舞台上にたたずむ2人。じゃれあう二人。二人は幸福の絶頂にいる。でもそれゆえに、それは不幸の始まりともいえる。マルグリットはこんなに愛されていることがあまりにも幸せすぎると感じている。不安を感じている。マルグリットはアルマンにひれ伏す。「ごめんなさい。私なんかのために。私はあなたにすべてを捧げるわ。」アルマンは彼女の頭をおこす。「そんな必要はない、僕には君の気持ちだけで充分だ。」激しく求め合う2人。アルマンはマルグリットを抱えあげる。マルグリットは空に向かって手を伸ばす。未来を求めるように。今度はアルマンが踊る。片足をアラスゴンドにあげながらピルエットする。その繰り返し。アルマンはマルグリットをリフトすると激しく床にすべらせる。そしてキス。抱き合いながら暗転。これは間違いなく愛し合う恋人たちのパドドゥでした。伝わってきましたよ。ペッシュもエレオノーラもカーテンコールで感極まってうれしそうでした。フィナーレのカーテンコールではもうペッシュがエレオノーラの頬に頬をくっつけてレベランス、そしてエレオノーラの手に熱いキスをして見詰め合ってる。ご馳走さま~~7.「三角帽子」ジョゼ・マルティネスジョゼ~真っ赤なバラ。3回転のアチチュードでのターン。パチパチパチ指を鳴らす。3回転ピルエット、サパテアード。足を大きく広げてだん、だんと進む。手を打ち鳴らす。あ~もう終わっちゃった。真っ赤なバラを一輪、客席に投げ入れる。かっこよすぎだ~ さっきと人格変わってる~でもね~私のベスト・ジョゼはヌレエフ版スワン・レイクの王子様の第1幕のソロなんですよ~あれをやってほしかった。次回お願いします。これはカレーの後にラーメンが食べたくなるのに似ている。ジョゼって引き出しがいっぱいあるの。大好きなダンサーです。8.「オネーギン」モニク・ルディエール マニュエル・ルグリきょうもすばらしかったです。たたずむタチヤーナ。困惑の表情。上手の書き物机に走る。そこにはオネーギンから届いた手紙がある。手紙を見て昔を思い出す。笑顔になる。オネーギンが舞台の後方のカーテンの後ろに現れる。人の気配にうろたえ、笑顔を消すタチヤーナ。「いけないわ…」走りこんでくるオネーギン。オネーギンはあいさつするでもなく、いきなり体をタチヤーナの前に投げ出す。「どうか許してください。」「非礼を許してください、どうか…」タチヤーナは最初は彼を押しのけているが、どんどん彼の激情に引きずられていく。彼らのダンスはまさに会話、踊りで感情を完璧に表現していた。いろんな動きやリフトやパが、踊りに見えないのだ。二人の精神の葛藤に見えるのだ。だから観客は感情をわしづかみにされる。そこにあるのはダンスではないからだ。タチヤーナは泣く。「なぜ今頃そんなことをおっしゃるの?「若い頃は私の気持ちを受け止めてくれなかったあなたが「夫ある身となった今どうしてそんなことをおっしゃるの?しかしオネーギンは過去のように冷笑はしない、慇懃さもない。そこにあるのは素直に気持ちを吐露することだけだ。「あなたを愛してるのです、今それがわかったのです、僕はバカだった…」いっそうタチヤーナは泣いてしまう。でもついに気持ちにほだされてしまう。愛の歓びにひたってしまう。でもそれは一瞬。彼女は手紙をまるで包丁のようにオネーギンに突きつける。その時の怖い顔といったら!オネーギンは打ちのめされる。手紙を押し付けられるが落としてしまう。「帰って!」オネーギンに出来るのは出て行くことだけだ。思わず追うタチヤーナ。感情がほとばしる。激しく泣き出すタチヤーナ。運命を呪う。了。完全にモニークは壊れていた。我を失っていた。これが「手紙のパドドゥ」のラスト・ダンスなのだろう。魂をこめて踊った。彼女は彼女の心はタチヤーナのそれのように、壊れていた。最高のパートナー、マニュエル・ルグリが優しく慰める。ようやくモニークが素に戻る。笑顔。すばらしかったモニーク。ありがとうございました。
2007年08月10日
ルグリ・ガラDay 4本日2回目のAプロです。エンジンかかってきた~~!(私が。)こないだはちょっと壊れてたんで(私が。)そんできょうはもう~超~楽しかった~第2部以降はすべて良かったです!と言うと第1部の立つ瀬がないが、第1部は散々でした。相変わらずエケは緊張してバランスを保てないし、グレゴリー・ドミニャクはザンレールに失敗して大失態。マチルドは完璧!なダンス。余裕すら感じさせる。大物じゃ。シャルリーヌ・ジザンダネは器械体操じゃないんだから…これはバレエよ。ポールドブラ気をつけましょうね~と先生に言われそうな感じ。だから余計アニエスが出てきたときその落差が目立った。アニエスの腕の動きが美しすぎる。余裕の笑みで、すばらしかった。お次のマチアス・エイマン君、きょうもすごかったです~ 飛びまくってました。高い! ゴムまりのよう。すばらしいバネ!アントルシャはしっかりやってから足を開いて着地するというどっかで見た技。マリインスキーのウラジーミル・シクリャローフ君がやってたかな。そんでもって、レベランスで見たかこらぁ~、どうだ、どんなもんだい! と見得を切るんです。気合入りすぎ。あんた、アンヘルかい。演目違うから~(笑)。可愛いわ~マチアス君の次の演目が楽しみでしょうがない。あの逆回転のマネージュを果たしてやるのかどうか。わくわくどきどき。ミリアムは生まれついてのお姫様。マチューの流し目もまたすごおおおい。もう笑えるぐらいね。マチューはメラニーの相手役も勤めたので大忙し。フィナーレでアニエスがフェッテを始めたが、中途でだだだ、と横に流れてしまった。自身苦笑しながら元に戻す。しかし男4人、手を斜めに上げて行進して出てくるのやめなさい。笑っちゃうじゃないか~~4人がばんばんアントルシャしだす。壮観!私の目はもちろん一番下手のマチアス君に釘付け。マチューがぐるぐる体を回転させながらマネージュしていく技をやった。拍手。するとマチアスが、その1、5倍ぐらい飛びながら追走した。ミリアムがものすごいスピードでジャンプしてシェネしてのコンビネーションでのマネージュで追いかける。スゲエ~~~。だいたい最後もシンメトリカルで終わり。こういう振付家の気が知れんが…第1部了。第2部2.「扉は必ず...」エレオノーラ・アバニャート マニュエル・ルグリこれね、通算での3回目を見るのはきついかなと思っていたんですよ。あの無音状態の中、どうしたらいいの?と。ところがそれは杞憂だった。この作品は見れば見るほどおもしろい。ルグリ様もエレオノーラもすばらしい。ルグリ様はオーレリーが相手だと彼女のコミカルさに呑まれてしまって消えてしまうが、エレオノーラとはあった。ルグリ様のソロの部分のすばらしさといったらなかった。まさにルグリ様のためのコンテなのだ。彼のすばらしい部分が引き出されている振付だ。暗い中に座る2人。扉に張り付く2人。超スロウモーションの展開。これは普通に撮影して早回しにして再生したら普通のスピードの踊りになるんだろうな。ぜひそれを見てみたい、と思った。途中から急にコミカルになる。女が花束を投げつける。男が投げ返す。また投げるまた投げ返す。女はきれて、花束を遠くに放ると、扉の外に出る。男は追いかける。ドレスの裾を持って顔を出す。コミカル。男のソロ。もうこれが絶品! コミカルでしかも美しい。ルグリさま独特の美しい体全体のムーヴメント。細かいボディ表現。これはほかの男性ダンサーには出来る人はなかなかいないでしょう。繊細なんです。さいごに上手方向にずさ~と床すべりしていく。女が出てくる。あやつり人形のようにくるくる回る。二人は閂をかけたりはずしたり、という音楽に合わせてコミカルに動く。まるで動画のところどころがストップモーションになって絵が飛んでるみたい。振付家は、ぜったい映像を踊りにしたのだ。映像の早回し、スロウモーション、ストップモーションを踊りにしたのだ。逆なのだ。踊りを映像にするのでなく、映像を踊りにしたのだ。まさに革命的。二人はついに椅子に座り込む。またスロウモーションだ。りんごをかじりあう。了。エレオノーラとルグリ様のコンビネーションは完璧だった。二人の波長が合っていたよ。3,「スパルタクス」マチルド・フルステー ステファン・ビュヨンマチルド、絶品!彼女はなんて成長が早いんだろう。ついこないだのパリオペの公演とは雲泥の差。どれをとっても完璧な踊り。そして細い体。これを可憐と言わずにいられようか。きょう見ていて思ったのはやっぱグリゴローヴィチ、偉大だなと。すべて振付がよどみないのですよ。流れるようでしかも踊りそのものが語っている! 頭の演目や、ジョゼの演目と比べたらわかる。この振付は生きているんだ。生きて人間の感情を伝えている。だから胸を打たれる。スパルタカスが出てきて彼女を見つける。悲嘆にくれる彼女を抱きしめる。そして壮絶なパドドゥが展開していく。半ばからはリフトのオンパレードになる。フリーギアが飛び込んでいって彼の肩の上で片足を曲げて乗るような形。そのままぶん回す。そして垂直アラベスク・リフト!女性が飛び込んでいって、女性がジャンプ、男性は女性の胴を上に放り投げ、片足を垂直に伸ばしたままの女性の足をつかみ旗をあげるように上に掲げる。すごいよ、これ~そして極め付けが、女性の胴を片手で抱え上げ、女性はアクロバチックに斜めになってホールド。片手を男性の肩に置いているが、お互いの片手はフリーになっている。そのまま舞台奥に走ってって、女性はなんと足を曲げるポーズ。男性は片足を床から離す。しかし男性が足を離したのはほんのわずかな時間。半秒ぐらい。それでも拍手が湧き起こる。すごかった。マチルドが細くて軽いから可能な技。すばらしい!そして今度は女性が男性の背に逆さになる形のリフト。それから女性が男性の片方の肩の上に正座で乗るようなリフト。良かったです!4.「ドリーブ組曲」アニエス・ルテステュ ジョゼ・マルティネス美しいカップルのシルエットが浮かび上がる。完璧なダンスの2人。アニエスが踊ると見せて、去っていく。あれ?という表情のジョゼが踊りだす。いきなり大ジャ~~ンプ、お次は180度真横開脚ジャンプ。ジョゼは背が高いのでものすごくダイナミック。2回飛んだら舞台の端から端までいけそう。実際いってた。返す刀でまたジャ~~ンプ!次はアニエス。片足でけんけんしながらもう片方の足を空中でかくかく曲げる。音楽のテンポがあがると、かくかくかくかく、となる。拍手。コーダには問題の逆回転のマネージュ。これは普通マネージュは時計周りに回るときは、進行方向に、小さく時計周りにまわりながら大きく回るのだが、ジョゼは後ろ向きに小さく回りながら大きく回った。だから不思議な感じにとらわれる。ジョゼのフェッテは火がついたように早く回った。大拍手。二人は肩を並べて歩き去っていく。
2007年08月10日
ルグリと輝ける仲間たち 2007プログラムA2007年8月7日(火) ゆうぽうと 第1部1.「白の組曲」 幕が開いた時、壮観である。この演目のダンサーがすべてステージ上にシンメトリカルに並んでポーズをとっている。奥の真ん中にマチュー・ガニオ。シエスト:乾友子、高木綾、奈良春夏テーム・ヴァリエ(パ・ド・トロワ):ローラ・エッケ、オドリック・ベザール アクセル・イボ背の高いエケとべザール。最初、アクセルは緊張しているのか、独特の妖艶さ、うまさが消えうせている。ジャンプから降りてやっと笑みを浮かべる。セレナード:マチルド・フルステーマチルドは細い! 日本人の女の子のように骨格がきゃしゃだ。 プレスト(パ・ド・サンク):シャルリーヌ・ジザンダネ、松下裕次、氷室友、辰巳一政、長瀬直義シガレット:アニエス・ルテステュいきなり舞い降りた大きな白鳥。ムーヴメントが優雅なこと。今までは学芸会だったのに…というぐらいの落差がある。最初のパドトロワは良かったが。マズルカ:マチアス・エイマンこのボーイ! すごいバネ。どこまでも飛んでいきそうだ。レベランスは他の人より一段と前に出て、舞台の最前まで行ってお辞儀する。きらきらする若さ。アダージュ(パ・ド・ドゥ):ミリアム・ウルド=ブラーム、マチュー・ガニオミリアム大好きなので釘付けでした。完璧なプロポーション。細い! そして優雅でテクニックもある。マチューは、相変わらずだが、目で殺す、というの。ますます磨きがかかっている。どっちが女役かわからないぐらいのしな。流し目。そのブルーの瞳。フルート: メラニー・ユレル最後に全員で踊る。第2部2.「扉は必ず...」エレオノーラ・アバニャート マニュエル・ルグリアッバニャートはコンテの方が得意だ。美しい金髪、美人。この絵画のようなコンテ、不思議な作品にぴったりだ。オーレリーとルグリで演じられたこの作品はより笑えたのだが、こっちの方はそう笑えない。暗い中に座り込んでいる男女。驚いたことに時がたつにつれて背景のセットがどんどん前に出てくる。前は気づかなかった。扉を開けようとする男、体を差し入れて止める女。フラゴナールの「閂」。男は女の体をゆっくり抱えて持ち上げて体を移動させる。これらの動きがすべてがスロウモーションで演じられる。途中、早回しになったり(笑)。閂がぎいっと開く音、また閉める音。これが繰り返される。これは男女の営みを暗喩しているのか。おもしろい作品だ。3,「スパルタクス」マチルド・フルステー ステファン・ビュヨンマチルド、細い! まるで漫画のキャラみたいに細いぞ。彼女のソロが続いた後、やっとスパルタカス君が出てくる。超難度のリフトのオンパレード。すごいのは女性が下手から上手奥に立つ男性のところに走っていく。女性はジャンプ! 男性は女性の軸足を持って垂直に上に差し上げる。すごい!失敗したら足折れるで。女性はアラベスク。そのまま男性はだーっと下手まで走る。そこで女性はそのまま男性の背中で前転するようにして下に下りる。クライマックスは男性が女性のウエストを片手で持って空中に差し上げる。ダイナミック!失敗したら死ぬで。命がけのグリゴローヴィッチ振付。ステファン君は持ち上げてばっかで踊る部分なし。それはないよ!前回のルグリガラも来てたんですね。ステファン。ごめん失念してた。すごいダンサーだった…ような…記憶が…4.「ドリーブ組曲」アニエス・ルテステュ ジョゼ・マルティネスこの作品を見るのは3回目だが、3回目にして言えることは、ジョゼには悪いが、この振付は実に凡庸だということだ。パロディなのかと思ったがそうでもなく。はっきりせい!Bプロのドリーブもジョゼの作品のヴァージョンなのか?ジョゼのソロは例の逆回転マネージュがありましたわ。第3部5.「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」ドロテ・ジルベール マチュー・ガニオドロテ、すばらしい! 前回のルグリ・ガラでドロテのこの作品を踊るのを見たがすごく成長している。変なくせもなくなった。体も肉がついてきた。もう抜群としかいいようがない。バランシン独特の女らしさ、粋なところ、すべてわかってる。スピードをチェンジしてためをつくったり、その表情! すばらしいとしか言いようがない!マチューは相変わらずグランジュテがすごく高い。得意種目。6.「椿姫」第2幕よりエレオノーラ・アバニャート バンジャマン・ペッシュ私はペッシュはものすごくうまいダンサーだとわかっているので、どうして彼がノイマイヤーやコンテにこだわるのかが理解できない。ペッシュの良さが出るのはプティパ作品なんだ。彼の「青い鳥」やヌレエフの振付のヴァリアシオンとかが見たかった。彼女のアッバニャートはコンテ系の方が得意だから踊りたいのはわかるが…。それにこのノイマイヤーの椿姫の2幕のパドドゥは、たっぱのない男性ダンサーにはきつい演目。リフトが主眼の演目だから。女性は金髪をかきあげ、ドレスをたくし上げながらリフトされる。すごく美しいはずなのだが、実にすごく難しい。7.「三角帽子」ジョゼ・マルティネスこの作品を見るのは3回目。この日のジョゼは真っ赤なシャツ。燃える男(笑)。すごくかっこいいジョゼなんだが、世界バレエフェスを思い出しちゃって、どっからギャグになるのかしらと期待してしまった。終わってから携帯かけるんじゃないかと… 笑いをこらえるのが大変だった。スミマセン。もちろんそれはなし。終始燃える男だった。始まる前から袖からパチパチ手を打ち鳴らす音、足を踏み鳴らす音が聞こえる。おお~ついに来た。ジョゼのファルーカ。堪能~~~8.「オネーギン」モニク・ルディエール マニュエル・ルグリやっぱりモニクはすごいの一言。書き物机の前に座る女性。怖い顔をしている。オネーギンからの歳月を経た後の突然の手紙にとまどっている。いや怒りすら感じている。そこへ駆け込んでくるオネーギン。彼は懇願する。前だったらありえなかったろうオネーギンの行動に困惑するタチアーナ。モニクはめっちゃ踊りも現役!ついに彼女を押し倒すオネーギンだが、タチアーナは手紙をオネーギンに破いて押し付ける。「帰って!…ください。」オネーギンはたまらずダッシュで走り去る。この後のモニクがすごかった。戸口まで思わず追いかけて立ちどまる。崩壊した表情。うつろな表情。次の瞬間、泣き出す。大泣きする。慟哭する。観客は涙を誘われた。モニク、ブラーヴァ!おつかれさまでした!カーテンコールは綺羅星のごとき美しいダンサーたちが並ぶ。目の保養だ…Related Link 11th World Ballet Festival 2006 Index Onegin Onegin Index The Stuttgarter Ballett Index
2007年08月07日
ルグリ・ガラDay 1ゆうぽうときょう一番すばらしかったのはドロテ・ジルベール。まばゆいばかりのオーラを放っていた。彼女は次代の大スター間違いなし!それから次にすばらしかったのはモニーク・ルディエール。最後の演技で舞台を浚った。そしてマチアス・エイマン。すごい自己主張!僕スゴイでしょ?と飛んで実際すごい。ほかにもいろいろ楽しみがありました。新進気鋭のアクセル・イボ。髪を切っていて可愛くなっていた。踊りはまだまだだが、将来性抜群。シュテファン君は持ち上げ役に徹していたんで踊れるかどうかわからん(笑)。それからミュリエルとマチルドがやっぱりよかった~それらのフレッシュな若手に対抗して堂々の存在感、アニエス。でもなんかその哀しげな瞳が、ああ、椿姫、と思っちゃった。Mさんがあんなこと言うもんですから。ジョゼはすごく楽しみにしていたが、もう半分卒業していたかなと言うイメージ。ルグリもジョゼももう「先生」「お父さんお母さん」になっちゃってたかな。
2007年08月07日
フェリのさよなら公演 Day 3Programme Bきょうもすごく中身が濃かった。演目はかなり上級者向け(大人向け)レヴェルにパワーアップ。一つもはずれがなかった。ここは日本だろうか?と思ったぐらいの濃さだった。1、シンデレラ物語 ノイマイヤー。最初からキタ~~としかいいようがないすね。すばらしすぎる。シルヴィアのオーラがまぶしすぎる。オレンジをもてあそぶ男。みかん?床にみかんを置いて男はいなくなる。女が現れる。女性のソロ。男性のソロ。パドドゥ。男性は女性にみかんを渡す。プロコフィエフの音楽がきょうはまったく違う色彩を帯びる。ノイマイヤーの色彩だ。最後に男が女にみかんを渡す。了。あ~覚えてない。2、カルメンプティのカルメンだ。ドンホセちょ~~~ちょ~~カッコいい!テンションあがりまくり。2人とも心臓が飛び出しそうなほどの血管切れそうなほどのハイテンション!プティの作品ってそうなのだ。熱い男だわ。最初がドンホセのソロなのだ。やっぱボッレ女を泣かせまくりのもてまくりのドン・ホセでしたわ~最初のソロがあまりにもキレそうで終わって大拍手。そしてカルメンが出てくる。まさにフェリは、「カルメン」そのものに変貌していた。もちろんプティの好きなカルメンだ。短いビスチェ・ドレス。挑戦的な瞳。短い髪。しかしお稽古が足りないように見受けられた。ホールドが再三ぐらつく。終始、フェリは演技力でぐいぐいボッレを引っ張っていく。そんなことは吹っ飛ぶぐらい、テンション入っていた。さっきまで練習してたのかしら?つーかんじ。プティが見たら大喜びしそうな切れ切れカルメンでした~大拍手。3.アポロ この作品は前シュピレフスキー君でみたやつかな~違う作品みたい。アポロはじ~っとテレプシコールが踊るのを見ている。そんでもって邪険に彼女を押しのける。アポロのソロ。バランシンっておもしろい人ですね。どれ一つとして凡庸な振付はない。つまりその心は… 変わってる!ちょっと不思議な振付のオンパレード。男は手のひらを上下させながら行進したり。う~ん。そんでもって天地創造。女の腕を男がつかむ。女性はそのまま足をあげて男性の頭を越える。それから手に手を載せ、その上に頬を寄せるというのもあり。3.インザミドル待ってました~アリシアは昔世界バレエフェスで見たように、ものすごい動きを見せる。あの時は相手がフォーゲル君だったのよね。テューズリーさんもがんばってました。もう~圧倒された。客席も大喜び。アリシアはやっぱ天才かもしれん。4、メドウコンテの続いた感じになったので大丈夫かなと危惧したが、これはまったく味の違う作品で、ある意味ものすごかった。360度回転するカメラで二人の周りをぐるぐる回っている感じ。見た人はわかりますよね。これにぶっ飛んだ。5、マノンやっぱフェリってすごい人~また人格豹変してる。天使のような小悪魔マノンに変身している。ボッレに書き物は似合わない~二人のパドドゥはそれはもう絶品!最初のアラベスクフェリの回転しながらのアラベスクボッレのアラベスクちゃんとドラマが見えるのだ! フェリが演じると。そこにドラマが見える。リフトが実に危なげないので物語に没入できる。休憩6、ロミジュリこれは長く見せてくれました。これもちゃんとお話になってました。最初ジュリエッタが踊る。苦しくて不安でたまならい。ティボルトを殺したロミオが憎い。ロミオが駆け込んでくる。彼はジュリエッタに近づくが彼女は拒否する。しかし次の瞬間、ジュリエッタは彼の胸に飛び込んでいくのだ。愛のダンス。ジュリエッタは愛を知る。そして不安感が二人をおしつぶす。つらいダンス。でもロメオは希望を捨てない。ジュテアントルラセにグランジュテ。希望を取り戻す二人。しかし鳥が朝を告げる。光が射し込んでくる。二人は凍りついたようになる。別れが待っている。狂おしく愛を交わす。今度は苦しい愛だ。そして別れ。二人ともほとんど終わり終わって違う世界にいっちゃっていた。7、ドン・キホーテ。二人の得意中の得意の演目!ほんっとすばらしかったです!カレーニョもパロマも絶品。なにがすごいって、ものすごくエレガントなんです。優美でノーブルでため息が出るよう。指の動き足の動きすべてのムーヴメントが計算しつくされている。パロマのソロのエシャペのとこはまさに絶品! ABTの全幕公演でも見ましたがやっぱす~ばらしい。カレーニョさんも負けてない。ノーブルなアラスゴンドのフェッテ、ピルエットも動きまでノーブルなんだわこれが。大拍手大喝采。8、マーキュリアス・マニューヴァーズノイマイヤーじゃない作品ということで逆に興味深かった。でもやっぱりこの2人は2人だけの世界を作っていた。永遠に見ていたい美しいダンス。グレーのワンピース、胸に赤いベルトのような模様。男性はグレーのタイツ。9、ル・グラン・パドドゥ アリシアはほんとうまいですね。テューズリーも!笑った笑った。牛にも笑った。多分チュチュをはいて冠をいただいたこの牛は男のダンサーの心象風景。「あのバレリーナはな、牛なんだよ。重いし、言うことは聞かないし、モーモー文句ばっかたれてる!まったく勘弁してくれよっ!」10、真夏の夜の夢実はこれが私の本日のベストワン!その心は!オベロンかっこいい~~~~実はマルセロも憑依タイプだったらしい。オベロンそのものだった。尊大だった。まるでロットバルトだった。踊りも最高。ジュリーもものすごく良かった!ジュリーもタイターニアそのものだった。また見たい!こんなすばらしいドリームは初めて見ました。だってそこは妖精の住む森だったんですよ!11.椿姫。フェリはマルグリットじゃない。ボッレもアルマンじゃない。フェリとボッレだった。でもすばらしかった!筆舌に尽くしがたいほど良かった。椿姫とは違うかもしれないが、実に良かった。すばらしかった。気持ちがすべてを凌駕していた。と言っていいでしょう。もうフェリはジュリエッタが終わった時点でほとんど死ぬほど疲れきっていた。でも彼女を気力が踊らせた。若いアルマン、ロベルトが彼女を支えた。そういう意味では見事に椿姫だった。さようならフェリ!あなたはすばらしい!きょうのダンサーは誰もがすばらしかった。まさにこんな邂逅があるなんて、信じられないぐらいの夢の一夜だった。
2007年08月06日
NYTRasta Thomas in “Corsaire Intro.” His new troupe just made its debutIn London, Pirates of the ColiseumAlessandra Ferri's farewell performance of Romeo & Juliet with Roberto BolleTelegraphBolshoi Ballet London season ビデオリンクつき!TimesLe CorsaireDance
2007年08月05日
フェリのさよなら公演 in JAPANDay 2 Part28.ジゼル 第2幕よりパドドゥ アダージョ 振付:コラリ/ペロー 音楽:アドルフ・アダン アレッサンドラ・フェリ ロベルト・ボッレ 短すぎる! ジゼルのお墓の前に立つアルブレヒトとジゼル。 ジゼルは舞台の中央で両足でポワント。冷気が立ち上る。 フェリは若い娘→聖女→そして今度は…亡霊だ。 そしてア・テールで右足を真横にゆっくり上げていく。 アルブレヒトにはジゼルが見えない。気配を感じるだけだ。 彼女の気配を感じて追うアルブレヒト。すれ違う2人。 そしてジゼルにふれているのだが、ジゼルは体重がなく、中空にただよう霊になっている。 どうしよう! ジゼルはどこにもいない。死んでいる。 そこにいるのにつかまえられない。 その時、ジゼルの魂がゆっくり背後からアルブレヒトに忍び寄ってくる。 ジゼルがこつんと背中にあたる。そしてアラベスク。 アルブレヒトは初めてジゼルを感じた。 そして… ここで終わってしまうのだ。 この後、ジゼルとアルブレヒトは本当に生きている喜びを感じる踊りを展開していくのだ。 喜びのパドドゥを踊るわけだ。 皮肉なことに死んでから生の喜びを体現して踊るわけだ。 しかし今回はそこまでいかないで終わってしまいました~残念。 フェリさんの体力もあるのでしょうがないですね。9.太陽が降り注ぐ雪のように 振付:ローランド・ダレシオ 音楽:ペーター・シンドラー アリシア・アマトリアン ロバート・テューズリー これってチンパンジーのカップルのダンスに思えるのです。なんともユーモラス。時々アリシアの足がさっきのフォーサイスになってる。10.シンデレラ 舞踏会のパドドゥ 振付:ジェームズ・クデルカ 音楽:セルゲイ・プロコフィエフ シルヴィア・アッツォーニ ジュリー・ケント マルセロ・ゴメス やっぱりこれは好き~ 舞台が開くと背を向けて立つタキシードの王子様。シンデレラの手を取ろうとして恥ずかしそうにやめてしまう王子。舞台の上手(かみて)で会話する。シンデレラに応えて王子は手をひらひらさせる。これってフレッド・アステア!絶対アステア。アステアの定番の手の動かし方。そして回転して後ろにまっすぐ足を伸ばす。お互いに会話が進んで(会話するように踊って)ダイナミックな音楽に合わせて急テンポで踊りだす。くるくるくるくる8回転以上させる王子。また最後のほうでさきほどの「アステア」がある。そして二人は寄り添って並んで歩き去っていく。かっこよすぎる~~~11.「ハムレット」 振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:マイケル・ティペット シルヴィア・アッツォーニ アレクサンドル・リアブコ オフェーリアは子供。 花輪を作って遊んでいる。「お友達のハムレット君はまだかしら。」人形を拾う。「こんなとこにいたの? 悪い子ね。」ぽいっと人形を投げ捨てる。また花で遊ぶ。ベンチに腰掛けている。一人で踊っていると。ドッタンバッタン!何事?男が旅支度をして駆け込んできた。死ぬほど着込んでいる。コートにジャケットにベストにシャツ。持ってる服を全部着てきたのか?しかもシャツがはみ出してる。走ってくる途中で帽子が脱げる。あっと思った瞬間、かばんにつめた本がばさばさ落ちる。「まいったな~」超ドジなハムレット王子。二人は楽しくてたまらないようにじゃれ合う。しかしそれは心の中の不安を押し隠して楽しくしているだけ。彼は遠くに旅立たなくてはいけない。故郷をいったん捨てなくてはいけない。淋しいので笑って別れたい。だからハムレットはじゃあ!と去ろうとする。手をつかむオフェーリア。ここから哀しいダンスになる。子供の頃からいっしょに育ってきた二人が、今大人になろうとしている。そこにあるのは現実。ハムレットは唐突に落ち込むオフェーリアのわきの下から顔を出してふざけてみせる。背中合わせのリフト。ハムレットは背中に、反対を向いたオフェーリアをリフトする。オフェーリアはこらえきれず泣き出す。顔を両手で覆う。ハムレットはその手に口づけする。ハンカチを出して床に落とす。そして去っていくハムレット。出てきたときと同じようにばたばたと。しかしオフェーリアはその姿を追わない。彼が去った後、床に落ちたハンカチを拾い、頬に押し当てる。幕。このばたばた去り系は、この二人が演じたノイマイヤーのロミジュリの寝室のシーンでもそうなんですよね。ロミオが去るとき、ばたばたと去るんです。12.フー・ケアーズ?(邦題:知ったことか) 振付:ジョージ・バランシン 音楽:ジョージ・ガーシュウィン パロマ・ヘレーラ ホセ・マヌエル・カレーニョ この演目は間違いなくきょうの演目の中で一番高度なクラシックの技をちりばめていた。さすがバランシーン! そしてこの二人はほんとにすばらしい。 まずはパロマ。ガス湯沸かし器じゃありません。彼女は赤いワンピース風の衣装。ポワントで飛び跳ねる。足が小鹿のように後ろに上がる。そして回転系がこの人すっごい!いきなりフェッテ・アントゥールナンをかましてきた。もちろん彼女は完璧なシングル・ダブルの繰り返し。そしてシェネして舞台中央に行く。お次はピケピルエットダブルで下手(しもて)に進む。返す刀で上手に、進むときは足をふわっと後ろにアチチュードの形に伸ばしながらの回転。超難度。そしてホセのソロ。これがまたすごかった。回転は初日の方が良かったと思うが、完璧。上手から下手へ移動しながら片足を地面すれすれにつけそうな位置でつまりかかとあたりに足をつけながら回っていく。そして回転は2回、2回、2回、刻むようにリズムを取りながら回ってとどめは3回転して片足をばっと高く上げる。ノーブルでエレガント。そして舞台下手の袖に向かって手を差し出す。この手の出し方がクラシック! それだけで人を感動させられるのは彼ならでは。姫が出てくる。姫とのパドドゥもすばらしい!ため息の出るような高度なレベルの二人のダンスを堪能した。13.マノン 第3幕より沼地のパドドゥ 振付:ケネス・マクミラン 音楽:ジュール・マスネ アレッサンドラ・フェリ ロベルト・ボッレ 靄の立ち込める未開の沼地に迷い込んだ2人。 ボッレすばらしい! フェリもすばらしい!としか言えないぐらいすばらしかった。 バタンと倒れるマノン。 助け起こすデ・グリュー ふらふらのマノンの両手をひっぱるデ・グリュー「どうしたんだ、もう少しだからがんばるんだよ…」彼女は力なく、アラベスクする。まるで体が人形のようになっている。 生きる気力を出すんだ!マノンはデ・グリューの胸に飛び込んでいく。空中で2回転させキャッチするボッレ。完璧!これ、ギエムだとオリンピック種目に見えるのだが、フェリだとほんとにぼろきれが投げられてる状態でものすごい(どういう意味じゃ)そしてそれを2回繰り返し、最後は空中で前で抱える。ボッレはマノンを半回転させるぐるぐる回る。もうマノンはほとんど死んでる。彼の腕の中でぐにゃぐにゃで気絶している。マノンを床に横たえたデ・グリュー。まるで動物のように、自分の上半身を彼女の体の下に差し入れて起こそうとする。しかし体は木偶のように倒れる。手がばたんと床に落ちる。「いやだ!マノン!「いやだ!」デ・グリューの絶叫。幕。やっぱフェリはすごいです… ボッレもほんとよくやった。ボッレなくしてこのフェリはありえなかった。だからボッレはえらい!カーテンコール観客はみんなでフェリにさよならを言った。さようならフェリ…!
2007年08月03日
フェリのさよなら公演 in JAPANDay 21.海賊 パロマ・ヘレーラ ホセ・マヌエル・カレーニョ ホセのアラスゴンドのフェッテからのピルエットがすごかった~ すばらしかった! ノーブルで完璧なスピン。 パロマの超高速ピケピルエット&シェネのコンビネーションのマネージュ。実にシェネのお手本のようで、超高速。すばらしい。 2.ロミオとジュリエット バルコニーのパドドゥ アレッサンドラ・フェリ ロベルト・ボッレ 月明かりに浮かび上がるバルコニー。ジュリエットが現れる。表情を見てぶっ飛んだ。ものすごく楽しそうに思い出し笑いしてる。女優だ~ まさに初恋を知った日の少女ジュリエットだ。 マントをかぶった人影がバルコニーに忍び寄る。気づくジュリエット。ジュリエットは階段を駆け下りる。 ロミオはもううれしくてたまらない。ばんばん踊る。このボッレの高速で回転しながら足を前に投げ出す超難度のパのコンビネーション、ものすごかった。いきなり度肝を向く速度、迫力。ボッレはすごい。 ジュリエットの逆さリフト。難しいのに実にスムーズだ。 ロミオはジュリエットを優しく抱き下ろす。 ロミオが床にひざをついて、飛び込んできたジュリエットを頭上高くリフトする。ここもすばらしかった! さすがボッレ。 そしてキス。 去っていくジュリエット、バルコニーから手を伸ばす。 手を伸ばしあうが届かない。幕。 もうこれ、ジュリエットが出てきただけでもうアウト。涙腺が。これでもうジュリエットを日本では踊らないフェリ。ジュリエットはほんとうにお話のように死んでしまうのだ。 それを考えたらもう… フェリのジュリエットの全幕を見られてよかった。私はロミオが行ってしまった後、親に結婚を迫られ、苦悩して、ベッドの上で空間を凝視するフェリが好きでした。3.マーラー交響曲 第3番 振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:グスタフ・マーラー シルヴィア・アッツォーニ アレクサンドル・リアブコ まるでさっきのロミジュリの続きのような夢のような気持ではいる。 真っ赤なレオタードの金髪の女性。まるで人間の血管(血潮)のよう。 男を起こす。男は下半身肌色のタイツなのでまるで裸のようだ。これは人間とその中に流れる熱いもの、血液というか魂というかその象徴というか、そういう関係性のような雰囲気。 男は女により生きる喜びを見出される。 アレクサンドル・リアブコは稀有なダンサーである。 彼は踊っているとき、サーシャ・リアブコではない。彼は常に踊っているものになりきってしまっているのである。 だからこの作品はシンフォニックバレエ、で何、というか人間じゃないのである。 ノイマイヤーの意図したであろう「デア・メンシュ」であり、音楽である。 バランシンの「音楽のように踊る」のとはちょっと違う。 これはノイマイヤーが音楽をテーマにしているので、彼は音楽になってしまっているのである。 サーシャ・リアブコは稀有なダンサーである。誰も彼にはなれない。だって舞台上にサーシャ・リアブコはいないのだから。4.白鳥の湖 第2幕 白鳥のパドドゥ 振付:イワノフ/プティパ 音楽:チャイコフスキー ジュリー・ケント マルセロ・ゴメス 真っ白な上下のジークフリート王子、胸には銀の縫い取り。 定番中の定番、ジークフリートと白鳥のアダージョ。「オレ、ジークフリート。ジーク、って呼んでくれ~」(なだぎ風に)「オレ、きょうは仲間とちょっくら森でクラックやってたんだよ。」「そしたら、なんか幻覚が見えてきちゃって… 「白い鳥が女になったんだよ! 純粋で今にも消え入りそうな向こうが透けて見えそうなほど細くて白い女だ。」「オレはそいつと踊った。もう忘れられない。」「やっと本物の美しい女性とめぐりあったんだ…」 と妄想してました…5.ヘルマン・シュメルマン 振付:ウィリアム・フォーサイス 音楽:トム・ウィレムス アリシア・アマトリアン ロバート・テューズリー すたすたすた…「あ゛~~だり~だっりーな。」とりあえずレッスンしないとね。びしびしびし。「ま、いいかあ~」すたすたすた(女去る)男「あれ?どしたの?」すたすたすた(女戻る)女「衣装つけてきた」男「なんだよ、自分だけ。僕も」女「なんであんたもスカートなの? しかも黄色の」アリシア、抜群!インザミドルが楽しみ!6.エクセルシオール 振付:ウーゴ・デッラーラ 音楽:ロムアルド・マレンコ モニカ・ペレーゴ ロベルト・ボッレ この公演の最大の謎はこれだ。なんでボッレはこの演目が好きなのか? アダージョ ソロ(女性)男性が登場 ソロ(男性) コーダ 女性のグラン・フェッテ・アントゥールナン、モニカは初日と同じで、前半ダブル入りを貫き通す。初日は落ちたりしていたが2日目は大丈夫だった。 ボッレのマネージュというかジャンプのコンビネーション、いきなり空中に舞い上がってばっと足を前後に開く。これ、高度な技だと思う。ボッレはまるで床にトランポリンが埋め込んであるがごとく浮かび上がる。強靭なばね。そしてマネージュは後ろの足が実に高く上がって美しい。そして締めはびしっ!と床に膝をついてのけぞる。まさに太陽神のようなダンス。7.オセロ あ、ゲームのオセロじゃありません。シェークスピアの「オテロー」です。 振付:ラー・ルボヴィッチ 音楽:エリオット・ゴールデンサル アレッサンドラ・フェリ マルセロ・ゴメス 暗い部屋。 阿片が立ち込めている。 白い衣装のデスデモーナが膝を揃えて座っている。 立ちすくみ、にらみつけている、オテロ。 彼は妻が浮気をしたと信じ込み錯乱状態である。 いきなり顔を両手ではさむ。「痛い!」デスデモーナが叫ぶ。かまわずオテロはぐいぐいと締め付け中空に持ち上げる。女性は180度真横に開脚する。そしてその足を後ろにしてオテローの背中にまきつける。そのまま前に倒す。オテローはデスデモーナを振り回す。デスデモーナはまったく逃げようともしない。弁明しようともしない。ただなされるままになっている。オテローは妻を床に横たえて、胸から白い白い長いハンカチを取り出す。ハンカチと言うよりスカーフの大きさなんだが、これはなぜそうなのかはあとでわかる。これはオテローが妻に与えたハンカチだ。イヤーゴがそれを盗んで、かわいそうなカッシオに与えたのだ。オテローはその純白のハンカチを妻の胸に落とす。しかしデスデモーナのしたことは言い訳でもなんでもなく、オテロを抱きしめることだった。すべてを彼女は許しているのだ。今から自分を殺そうとしている夫を許しているのだ。オテローは首を振って「いやだいやだいやだ「どうしてだ、どうしてだ」と煩悶する。そして床につっぷす。ここの感情表現がたまらない。オテローはデスデモーナを逆さに吊るすように持ち上げる。そしてオテロは妻の首に白いハンカチーフを巻きつける。殺してしまう。後ずさって慟哭する。ここで唐突に暗転。オテロはオテロの一人称のお話であるからして、彼が自害するところまで行かないとお話しは終わらない。そこまで演じてほしかった。でないとオテロは完結しない。
2007年08月03日
本日夜のNHK『芸術劇場』、情報コーナーで、服部さんの「ラプソディインブルー」が紹介されるようです。
2007年08月03日
Alessandra Ferri Farewell Gala in JAPANProgramme A : Day 1 2 Aug 2007Tokyo Bunka Kaikan Ueno Tokyo JAPAN1.Le Corsaire Choreography: Marius Petipa Music: Riccardo Drigo Performer: Paloma Herrera Jose Carreno2. Romeo and Juliet Act 1 Pas de deux Choreography: Sir Kenneth MacMillan Music: Sergei Prokofiev Performer: Aressandra Ferri Roberto Bolle3. 3rd Symphony (Gustav Mahler) Choreography: John Neumeier Music: Gustav Mahler Performer: Silvia Azzoni Alexandre Riabko4.Swan Lake Act2 Pas de deux Choreography: Lev Ivanov/Marius Petipa Music: Peter Ilyich Tchaikovsky Performer:Julie KentMarcelo Gomes5.Herman Schmerman Choreography: William Forsythe Music: Thom Willems Performer: Alicia Amatrian Robert Tewsley 6. Excelcior Choreography: Ugo Dell'Ara Music: Romualdo Malenco Performer: Monica Perego Robert Bolle7.Act III pas de deux from Othello choreographed by Lar LubovitchMusic: Elliot GoldenthalPerformer:Aressandra FerriMarcelo Gomesフェリのさよなら公演 in JAPANDay 1きょうの演目でもっとも個人的に興味深かったのは、「オテロー」、そして、「ハムレット」。その心は、「初見だから」。初見の魔力に勝るものはない。全身全霊で初めての出会いに備えるのだから。マルセロ・ゴメスはまさに「オテロー」。こんなに似合う人も珍しい。彼のはまり役なのではないだろうか。とにかくオテローの叫びが聞こえてきそうなすばらしいパーフォーマンスだった。フェリは「ロメオとジュリエット」の、ジュリエットがやはり最高。これに勝るものはない。「ハムレット」は、えっ?これ演目間違ってない?と言いたくなるほど。この2人はオフェーリアとハムレットじゃない。でもそこがノイマイヤーなんでしょうな。一筋縄ではいかない。全幕が見たくなって苦しくなってしまう。ノイマイヤーの「一部」の上演は健康に悪い。終わらない連続ドラマの一部を見ているようだ。そして私のお気に入りはクデルカの「シンデレラ」。ゴメスがかっこ~いい~踊りもすばらしい。音楽が最高にいい。(プロコだもん。)そしてすばらしいのはホセ・マヌエル・カレーニョのバランシン!エレガントなの!エレガントなの!彼は最高にノーブルなダンサー。ボッレは実にすばらしい。今のりにのってますね。アリシアはすごいですね!足が。足がどうしてこんなになるの?という「ヘルマン・シュメルマン」「太陽に~」は、逆に初見ほどおもしろくなかった。あんなに初見はおもしろかったのに。この公演はどこをとっても「大トロ!」でした。
2007年08月02日
ジェフリー・ディーヴァー 「12番目のカード」 リンカーン・ライム シリーズ。 Jeffery Deaver The Twelfth Card (2005) To save the life of a young girl, Lincoln Rhyme and Amelia Sachs have to solve a crime that's 140 years old. やっぱおもろいです~ ディーヴァー。 私の大好きなゴダードはアンハッピーエンディングが多く、読み終わると暗澹としてしまうものが多いのだが、ディーヴァーは常に救いを与えてくれる。しかもいつものことだが、どんでん返しにどんでん返しのオンパレード。う~ん、実におもしろい。
2007年08月01日
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