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"Stressed Out" ”ストレス” I wish I found some better sounds no one's ever heardI wish I had a better voice that sang some better wordsI wish I found some chords in an order that is newI wish I didn't have to rhyme every time I sang 誰も聞いたことがないような音楽を作れたら良いのに。もっと良い声でもっと良い歌詞が歌えたら良いのに。斬新な音のつながりを見つけられたら良いのに。歌うたびに韻を踏むずに歌えたら良いのに。 I was told when I get older all my fears would shrinkBut now I'm insecure and I care what people think 大人になったらこんな不安はなくなるって聞いてたのに、僕は自信を失くして今まで以上に人の意見が気になっちまう。 My name's 'Blurryface' and I care what you think×2 僕の名前はBlurryface。君が何を思うか気になって仕方がないんだ。×2 Wish we could turn back time, to the good old daysWhen our momma sang us to sleep but now we're stressed out ×2 何もかも輝いて見えた昔に戻れたらな。僕らが眠りにつくまで母さんが子守唄を歌ってくれてた頃にさ。でも僕らはもう大人でストレスばっかり抱えてる。×2 Sometimes a certain smell will take me back to when I was youngHow come I'm never able to identify where it's coming fromI'd make a candle out of it if I ever found itTry to sell it, never sell out of it, I'd probably only sell one 何かの匂いでふと子供の頃の記憶が思い出されるんだ。なんでいつもどこから来てるか見つけられないんだろ。見つけたらその匂いでキャンドルを作るんだ。でも売ろうとしても全然売れないだろうな。 It'd be to my brother, 'cause we have the same noseSame clothes homegrown a stone's throw from a creek we used to roamBut it would remind us of when nothing really matteredOut of student loans and tree-house homes we all would take the latter せいぜい弟が1個買ってくれるぐらいさ。だって僕らは同じ嗅覚を持って同じ服を着て同じ家で育ったんだもの。一緒に小川で石を投げて遊んでたな。その頃は心配事なんて何もなかったよ。奨学金の返済と木の上の秘密基地なら誰だって後者を選ぶよ。 My name's 'Blurryface' and I care what you think×2 僕の名前はBlurryface。君が何を思うか気になって仕方がないんだ。×2 Wish we could turn back time, to the good old daysWhen our momma sang us to sleep but now we're stressed out×2 何もかも輝いて見えた昔に戻れたらな。僕らが眠りにつくまで母さんが子守唄を歌ってくれてた頃にさ。でも僕らはもう大人でストレスばっかり抱えてる。×2 We used to play pretend, give each other different namesWe would build a rocket ship and then we'd fly it far awayUsed to dream of outer space but now they're laughing at our faceSaying, "Wake up, you need to make money."×2 昔はごっこ遊びをしたり変なあだ名をつけあったりしてたな。宇宙の事を夢見てロケットを作って遊んだりさ。でもそんな事を考える僕らを見てみんな嘲笑って言うんだ、「目を覚ませ、ほら働いて金を稼ぐんだ」ってね。×2 Wish we could turn back time, to the good old daysWhen our momma sang us to sleep but now we're stressed out (oh)Wish we could turn back time (oh), to the good old days (oh)When our momma sang us to sleep but now we're stressed out 何もかも輝いて見えた昔に戻れたらな。僕らが眠りにつくまで母さんが子守唄を歌ってくれてた頃にさ。でも僕らはもう大人でストレスばっかり抱えてる。 Used to play pretend, used to play pretend,We used to play pretend, wake up, you need the moneyUsed to play pretend, used to play pretend,We used to play pretend, wake up, you need the money 昔はごっこ遊びをして、ごっこ遊びをして、ごっこ遊びをしてさ、「目を覚ませ、ほら働いて金を稼ぐんだ」昔はごっこ遊びをして、ごっこ遊びをして、ごっこ遊びをしてさ、「目を覚ませ、ほら働いて金を稼ぐんだ」 We used to play pretend, give each other different namesWe would build a rocket ship and then we'd fly it far awayUsed to dream of outer space but now they're laughing at our faceSaying, "Wake up, you need to make money." 昔はごっこ遊びをしたり変なあだ名をつけあったりしてたな。宇宙の事を夢見てロケットを作って遊んだりさ。でもそんな事を考える僕らを見てみんな嘲笑って言うんだ、「目を覚ませ、ほら働いて金を稼ぐんだ」ってね。 解説中学生の時は高校生なんてすごい大人だと思い、高校生になるとそうでもない事に気付き今度は大学生こそすごい大人だと思い、でも大学生になっても自分なんてまだまだ子供だなと思うと同時に『本当の大人』になれば人生も軌道に乗り将来の不安なんかなくなるんじゃないかと思うけど、実際に『大人』と呼ばれる段階になっても分からない事だらけで昔よりもストレスも多い現実に戸惑い、子供の頃は悩みなんてなくて幸せだったなぁと思い起こす人も多いのではないでしょうか。この曲はそんな、『大人』になったばかりの若者達の戸惑いや不安についての曲です。ちなみに曲中で出てくるBlurryfaceというのはこの曲が収録されているアルバム名でもあり、同アルバムで大きなテーマとされている自信のなさや不安を表しています。『昔はごっこ遊びをしたり変なあだ名をつけあったりしてたな。宇宙の事を夢見てロケットを作って遊んだりさ。でもそんな事を考える僕らを見てみんな嘲笑って言うんだ、「目を覚ませ、ほら働いて金を稼ぐんだ」ってね。』は文字通り子供の頃を懐かしんでいるという部分もありますが、「ごっこ遊びや変なあだ名をつけあったり」というのは比喩を多用するTylerの曲作りの事を指しているとも考えられます。そう考えると「宇宙の事を夢見てロケットを作って遊んだり」というのも自費出版時代の”March To The Sea”という曲で彼の信じる神を宇宙に向かってゆくロケットに例えた事について話しているのかもしれません。『でもそんな事を考える僕らを見てみんな嘲笑って言うんだ、「目を覚ませ、ほら働いて金を稼ぐんだ」ってね。』というのは、自分の創造性や本当に伝えたい事がまるで必要されていないように感じ、プロのミュージシャンとしてとにかく売れる曲を作らないといけないというプレッシャーを常に感じているという事でしょう。この、今まではあくまで自分のために書いてきたものをこれからは収入源にするにあたっての葛藤は初めてレコード会社と契約し制作された前アルバムVessel中の”Screen”を始め、今作Blurryfaceの中では”Lane Boy”や”Fairly Local”や”Message Man”、そして次のアルバムTrenchでもたくさんの曲に登場します。
2018.11.01
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"Lane Boy" “レーンボーイ” They say, "Stay in your lane, boy, lane boy,"But we go where we want toThey think this thing is a highway, highway,But will they be alive tomorrow? 自分の車線からはみ出すなよってみんな言うけど、僕らは好きに車を走らせるのさ。やつらはこれが高速道路だと思ってるのかもな。でもあいつらが明日も生きてる保証はないのさ。 They think this thing is a highwayIf it was our wayWe'd have a tempo change every other time change'Cause our minds change on what we think is goodやつらはこれが高速道路だと思ってるのかもしれないけどさ、僕らの自由にできるんなら曲のテンポだって好きな時に変えてやるのさ。だって僕らの考えも常に変わっていくのだから。 I wasn't raised in the hood,But I know a thing or two about pain and darknessIf it wasn't for this music, I don't know how I would've fought this スラムで育ったわけじゃないけどさ、僕だって苦しみや心の闇についていくらか知ってるよ。今までだってこんな風に音楽で戦ってきたのさ。 Regardless,All these songs I'm hearing are so heartlessDon't trust a perfect person and don't trust a song that's flawlessHonest,There's a few songs on this record that feel common でもそんな話は置いといて、そこらじゅう心のこもってない音楽で溢れてるよな。完璧な人間も完璧な歌も信じちゃあいけない。正直に言うとさ、このアルバムにもいくつかそんなありきたりな曲がある気がするんだ。 I'm in constant confrontation with what I want and what is poppin'In the industryIt seems to meThat singles on the radio are currencyMy creativity's only free when I'm playin' shows 自分が本当に作りたい音楽とこの業界で望まれてる音楽はいつも衝突してばかりだよ。ラジオで流されるぶんだけ金が入ってくるようで、僕の創造性はライブでしか出せないんだ。 They say, "Stay in your lane, boy, lane boy,"But we go where we want toThey think this thing is a highway, highway,But will they be alive tomorrow? 自分の車線からはみ出すなよってみんな言うけど、僕らは好きに車を走らせるのさ。やつらはこれが高速道路だと思ってるのかもな。でもあいつらが明日も生きてる保証はないのさ。 I'm sorry if that question I asked lastScared you a bit like a hazmatIn a gas maskIf you ask ZackHe's my brother, he likes when I rap fast さっきの質問さ、ガスマスクの中に毒ガスが入ってきたみたいにビビらせちまったんなら謝るよ。僕の弟のZackは僕がこんな風に早口でラップすると喜ぶんだ。 But let's back track,Back to thisWho would you live and die for on that list?But the problem isThere's another list that exists and no one really wants to think about thisForget sanity,Forget salary,Forget vanity,My moralityIf you get in between someone I love and meYou're gonna feel the heat of my cavalryAll these songs I'm hearing are so heartlessDon't trust a perfect person and don't trust a song that's flawless 話がそれたな、本題に戻ろう。君はそのリストの中の誰のために生き誰のために死ぬんだい?けどさ本当はもう一つリストがあるんだよ。誰も考えたがらないけどさ。正気かどうか、金になるかどうか、そんな事はどうでもいい、自分ばっかりのうぬぼれ野郎になるつもりはない。道徳的かなんて後回しだ。僕の愛する人に触れてみろ、兵を挙げて立ち向かってやる。まったく、そこらじゅう心のこもってない音楽で溢れてる。完璧な人間も完璧な歌も信じちゃあいけない。 They say, "Stay in your lane, boy, lane boy,"But we go where we want toThey think this thing is a highway, highway,But will they be alive tomorrow?×2 自分の車線からはみ出すなよってみんな言うけど、僕らは好きに車を走らせるのさ。やつらはこれが高速道路だと思ってるのかもな。でもあいつらが明日も生きてる保証はないのさ。×2 Will they be alive tomorrow? ×4 あいつらが明日も生きてる保証はないのさ。×4 They say, "Stay in your lane, boy, lane boy,"But we go where we want toThey think this thing is a highway, highway,But will they be alive tomorrow?×2 自分の車線からはみ出すなよってみんな言うけど、僕らは好きに車を走らせるのさ。やつらはこれが高速道路だと思ってるのかもな。でもあいつらが明日も生きてる保証はないのさ。×2 解説この曲が収録されているアルバムBlurryfaceはレコード会社と契約し制作された2枚目のアルバムですが、前作に比べ作詞にも作曲にも大勢の人が関わり、以前と比べクオリティは安定したもののだいぶ大衆向けに大人しくなってしまったという批判もあります。この曲ではメインボーカルであり作詞担当のTylerが自分の本当に書きたいものを書くべきのかプロとして売れるものを書くべきなのかという悩みをうちあけています。『車』というのはTwenty One Pilotsの曲では総じて(主にTylerの)思考を表すメタファーとして使われていますが、この曲ではさらにその思考を表現した曲の事も指していると言えるでしょう。高速道路というのは一般道に比べいろいろ制限のあるものなので、サビ部分の「自分の車線からはみ出すなよってみんな言うけど、僕らは好きに車を走らせるのさ。やつらはこれが高速道路だと思ってるのかもな。」というのは曲作りや考え方にルールを設けられると思ってる人たちに対してそんな事はないと言い返しているのでしょう。「明日も生きてる保証はない」「あいつら」はそんな風に指図してくるやつらはいつまで(物理的、あるいは権力的に)生きてるか分からないんだから自分の好きなようにやってやるという意味かもしれませんし、「あいつら」は自殺願望の強いTwenty One Pilotsのファンの事でそのファン達が自分の音楽を自殺願望と戦う武器に(”Guns For Hands”参照)できるようにちゃんと心のこもった嘘偽りない気持ちを歌にしないとなという意味かもしれません。 途中のラップで出てくる二つの「リスト」についてはいろんな解釈がありますが、とりあえず一番納得のいく解釈を載せますので、違う解釈のある方は是非コメントお願いします。まず前提として「リストの中の誰のために生き誰のために死ぬんだい?」というのは両方のリストに対しての質問だと私は考えます。曲全体のテーマが大衆に好まれる曲を作るのか自分の作りたい音楽を作るのかという葛藤である事と、一つ目のリストが聞き手に投げかけられている事を踏まえると、これは曲や歌手の人気ランキングの事を指しているのじゃないかと思います。「誰のために生き誰のために死ぬんだい?」というのは、そういったランキング上位の曲や歌手のために体を張れるほど感銘を受けたことはあるのか?と聞いているではないでしょうか。二つ目のリストは「誰も考えたがらない」、つまりもっと真剣な話であると分かります。同アルバム中の”Ride”でTylerは「こいつのためなら代わりに弾丸を受けたっていいっていうリスト」について、そしてその大切な人たちのため生きる難しさを歌っており、前作のアルバムに収録されている”House of Gold”でも似たような問題提起をしている事から、二つ目のリストは自分の愛する人たちのことだと思います。そこでTylerは「だれのために生き誰のために死ぬんだい?」という問いには答えませんが、金にも虚栄心にも溺れず、どんなに馬鹿げてようと、倫理に反していてようと、そんな事は関係なくとにかく大事な人を守りたいのは確かだと歌っています。
2018.11.01
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“Not Today” ”今日こそは” I don't know why, I just feel I'm better off,Staying in the same room I was born in,I look outside, and see a whole world better off,Without me in it trying to transform it, なんでか知らないけどさ、僕なんて自分の部屋から一歩も外に出ない方が良いように思えるんだ。窓の外を見てもさ、僕なんかいない方が良い世界しか見えないんだもの。 You are out of my mind,you aren't seeing my side,You waste all this time trying to get to me,But you are out of my mind, あなたはもう僕の頭の中にいないんだ。あなたには本当の僕が見えてないんだよ。そうやって僕に近づこうとしても無駄さ、だってあなたはもう僕の頭の中にいないんだから。 Listen, I know this one's a contradiction because of how happy it sounds,But the lyrics are so down,It's OK though, because it represents,wait better yet, it is, who I feel I am right now, 分かってるよ、矛盾してるって。この曲はなんだかハッピーに聞こえるけど歌詞はすっごく暗いんだ。でも良いんだ、だってそれが僕という人間を表して、いや違う、それこそが今この瞬間の僕なんだ。 You are out of my mind, you aren't seeing my side,You waste all this time trying to get to me,But you are out of my mind, 君はもう僕の頭の中にいないんだよ、君には本当の僕が見えてないんだ、そうやって僕に近づこうとしても無駄さ、だって君はもう僕の頭の中にいないんだ。 Heard you say, "Not today."Tore the curtains down, windows open,now make a sound,Heard your voice, there's no choice.Tore the curtains down, windows open,now make a noise, 「今日こそは」そんな事を考える君の声が聞こえたんだ。カーテンを引きちぎって窓を開けて、さぁなんでもいいから音をたてるんだ。君の声が聞こえたからこうするしかないんだ。カーテンなんか引きちぎって、窓を開け放って、さぁとにかく音を出すんだ。 Don't you test me though, just because I play the piano,Doesn't mean I am not willingto take you down, I'm sorry でも試すなよ、僕がピアノを弾くからってこの手で君と戦う気がないなんて思うなよ。ごめん。 I'm, I'm out of my mind, I'm not seeing things right,I waste all this time trying to run from you,But I'm, I'm out of my mind. 僕は一体何を考えてたんだ。僕の方こそ何も見えてないんだよ。こうやって君から逃げようとしても無駄なんだ。なのに何を考えていたんだろう。 Heard you say, "Not today."Tore the curtains down, windows open,now make a sound,Heard your voice, there's no choice.Tore the curtains down, windows open,now make a noise, 「今日こそは」そんな事を考える君の声が聞こえたんだ。カーテンを引きちぎって窓を開けて、さぁなんでもいいから音をたてるんだ。君の声が聞こえたからこうするしかないんだ。カーテンなんか引きちぎって、窓を開け放って、さぁとにかく音を出すんだ。 You are out of my mind,you aren't seeing my side,You waste all this time trying to get to me,But you are out of my mind, 君はもう僕の頭の中にいないんだよ、君には本当の僕が見えてないんだ、そうやって僕に近づこうとしても無駄さ、だってもう君は僕の頭の中にいないんだ。 Heard you say, "Not today."Tore the curtains down, windows open,now make a sound,Heard your voice, there's no choice.Tore the curtains down, windows open, now make a noise. 「今日こそは」そんな事を考えるあなたの声が聞こえたんだ。カーテンを引きちぎって窓を開けて、さぁなんでもいいから音をたてるんだ。あなたの声が聞こえたからこうするしかないんだ。カーテンなんか引きちぎって、窓を開け放って、さぁとにかく音を出すんだ。 解説この曲の含まれるアルバムBlurryfaceはTwenty One Pilotsのメインシンガーであり作詞担当のTylerの様々な不安や自信のなさ、そしてそれらが彼の考えや行動にどう影響するのかをテーマにしており、この曲の冒頭でTylerは「僕なんて自分の部屋から一歩も外に出ない方が良いように思えるんだ」と、そんな不安から物理的にも精神的にも引きこもりたくなる様子を歌ってます。この不安の種が何なのかこの曲では明言していませんが、同じアルバムに含まれる曲にそのヒントはあります。まず”The Judge”ではキリスト教徒としての信仰心を失いつつある事、精神疾患の闇に囚われて抜け出せない事、傷付いているのに平気なふりをしてしまう事、抗わなければいけないのに自分の中の不安や自分を疑う声に慣れつつある事などを告白した直後に「こんな風に自分の考えも悩みもはっきり見えてくると、家にこもってた方が良かったんじゃないかなんて思っちまうんだ。」と歌っています。”Polarize”では「(家族にとって)良い兄、(家族&神にとって)良い息子でありたかった」のに、そして「自分の悪行に立ち向かえる人間でありたかった」のに無理だった事やその事実さえ否認しまくってる事、また”Message Man”では「(精神疾患のつらさや自殺願望について正直に歌にする)僕の音楽のせいで(同じように精神疾患と闘っているファンが)自殺したかもしれない可能性」、そして同じようにその可能性をどうしても認められないでいる事について歌っており、”Fairly Local”では自分の事を「救いたいものは殺しちまうし、してはいけない事こそしてしまう」人間だと歌っています。そういった部分を踏まえると、「窓の外を見てもさ、僕なんかいない方が良い世界しか見えないんだもの。」というのは、人に良い影響を与える人間でありたいのにむしろ被害を与えているんじゃないかという疑いからそう見えているのだと分かります。曲中のyouが誰に対してなのかいろんな解釈がありますが、一番可能性が高いのはTylerの信じる神とTylerに不安を植え付ける彼の頭の中の声の主であるBlurryfaceに対してだと思うのでその二つを紹介します。まず「もう僕の頭の中にいないんだ」という部分ですが、これを神に対してだとすると「あなたはもう僕の頭の中にいないんだ」というのは”The Judge”や”Doubt”にもあるように信仰心を失いつつある事を指していると考えられ、Blurryfaceに対してだとすると彼を頭の中から追い出してやったんだと、つまり思考の主導権を取り戻したという意味になります。キリスト教における神は全知全能とされているため神に対して「本当の僕が見えてないんだ」というのはおかしいようにも思えますが、神に隠し事なんて意味がないと分かっていても自分の弱さやそのせいで自分が犯した罪など隠してしまう事についてはデビュー時から繰り返し歌にされているため、これはそんな風に神の前でも正直であれない自分について歌っているとも取れます。これをBlurryfaceに対してだとすると「でも試すなよ、僕がピアノを弾くからってこの手で君と戦う気がないなんて思うなよ」ともあるようにBlurryfaceがまた戻ってきても絶対に追い出すつもりだと、だから「僕に近づこうとしても無駄」だと宣言しているとも取れます。この曲の山場で神は「今日こそは(また自分を信じられるようにしてみせる)」とその慈悲を示し、Blurryfaceは「今日こそは(思考の主導権を取り戻してやる)」と企みますが、それに対してTylerは自分が引きこもっていた部屋の窓を勢いよく開け音を出し始めます。Tylerが信仰心を失くしつつある事は同じアルバムの他の曲でも何度か出てきますが、その中でも”Doubt”では「あなたを疑う時でさえ、僕はあなたなしじゃ生きていけないんだ」と、そして「(あなたの事を信じ切れない)僕の事を忘れないでくれ」と神に見捨てられる恐怖について歌っており、この曲で神の存在を感じた瞬間まるで気付いてもらいたいかのように「さぁなんでもいいから音をたてるんだ」と歌うのはそんな風に不器用ながらも神に縋りつこうとしているのだと読み取れます。それに加えて、Tylerにとって曲作りとはBlurryface含め自身の心の闇と向き合うための作業であるという事は繰り返し歌にされており、この曲でBlurryfaceの声が聞こえてきた時に音をたてるのは”Heavydirtysoul”でも「(自分の音楽は)ラップでもヒップホップでもない、やつらの声を消そうと試行錯誤してるだけさ」ともあるように音楽を使ってBlurryfaceと敵対しようとしているのだと分かります。ちなみに和訳にはうまく反映できませんでしたが、「僕は一体何を考えてたんだ」と「君は/あなたはもう僕の頭の中にいないんだよ」の違いは元の歌詞では主語を変えるだけで表現されていて、「僕の方こそ何も見えてないんだよ。こうやって君から逃げようとしても無駄なんだ。」という部分も「君には/あなたには本当の僕が見えてないんだ、そうやって僕に近づこうとしても無駄さ」と言葉をほとんど変えずに対比させています。Blurryfaceも神も結局はTylerの頭の中に住む存在であり彼らとの会話は全て頭の中で行われるため、この部分はそうやって彼らに向けて言っていたはずのことがそのまま自分に返ってきてしまう様子を描写しているのだと思います。
2018.11.30
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"Fairly Local" “顔なじみ” I'm fairly local, I've been aroundI've seen the streets, you're walking downI'm fairly local, good people now ここら辺じゃ顔が知れてんだ、来たのは一度や二度じゃない。君が今歩いてるその道だって知ってるさ。今はまともかもしれないけど、僕はここらじゃ顔なじみなんだ。 I'm evil to the coreWhat I shouldn't do I willThey say I'm emotionalWhat I wanna save I'll killIs that who I truly am?I truly don't have a chanceTomorrow I'll keep a beatAnd repeat yesterday's dance 心の奥まで悪に染まってるのさ、してはいけない事こそやっちまう。僕は感情的なんだとさ、救いたいものは殺しちまうし。本当にこんな奴なのか僕は?更生の可能性なんてないんだ。だから明日も同じリズムで昨日と同じダンスをするのさ。 Yo, this song will never be on the radioEven if my clique were to pick and the people were to voteIt's the few, the proud, and the emotionalYo, you, bulletproof in black like a funeralThe world around us is burning but we're so coldIt's the few, the proud, and the emotional この曲がラジオで流されることはないだろうよ。僕のファン全員が投票したって無駄さ。数も少ないし、感情的で周りの見えてない奴らばかりだからな。おい、そこの喪服みたいに真っ黒な防弾服を着てるお前、世界中燃え上がってるってのに僕らは何も感じないふり、騒いでるのは感情的で周りの見えてないやつらだけなんだ。 I'm fairly local, I've been aroundI've seen the streets, you're walking downI'm fairly local, good people now ここら辺じゃ顔が知れてんだ、来たのは一度や二度じゃない。君が今歩いてるその道だって知ってるさ。今はまともかもしれないけど、僕はここらじゃ顔なじみなんだ。 I'm not evil to the coreWhat I shouldn't do I will fightI know I'm emotionalWhat I wanna save I will tryI know who I truly amI truly do have a chanceTomorrow I'll switch the beatTo avoid yesterday's dance 心の奥まで悪に染まっちゃあいない、してはいけない事はしないように抗ってやる。そうさ僕は感情的さ、でも救いたいものは救おうと頑張るよ。本当の自分がどんな奴か知ってるんだ。僕にだって更生の可能性はある。だから明日はリズムを変えてやる、昨日と同じダンスを繰り返さないためにも。 Yo, this song will never be on the radioEven if my clique were to pick and the people were to voteIt's the few, the proud, and the emotionalYo, you, bulletproof in black like a funeralThe world around us is burning but we're so coldIt's the few, the proud, and the emotional この曲がラジオで流されることはないだろうよ。僕のファン全員が投票したって無駄さ。数も少ないし、感情的で周りの見えてない奴らばかりだからな。おい、そこの喪服みたいに真っ黒な防弾服を着てるお前、世界中燃え上がってるってのに僕らは何も感じないふり、騒いでるのは感情的で周りの見えてないやつらだけなんだ。 I'm fairly local, I've been aroundI've seen the streets, you're walking downI'm fairly local, good people now ここら辺じゃ顔が知れてんだ、来たのは一度や二度じゃない。君が今歩いてるその道だって知ってるさ。今はまともかもしれないけど、僕はここらじゃ顔なじみなんだ。 解説例えば誰も見ていない所で財布を拾った時、届けた方が良い事は分かっていても『でも自分が拾ったなんて誰も知らないし、落とした人間ももう諦めてるかもしれない』なんて思ってしまう事はありませんか?痩せたい、良い成績を取りたい、恋人が欲しい、そんな願望はあるのにそれに向かって努力しようとしてもなかなか続かず、『どうせ自分にはできない』『そもそも別にそんなに真剣に望んでないし』なんて思った事はありませんか?人間というのはきちんと善悪の区別がついていても、自分の本当にしたい事が分かっていても、どうしても楽な方に流されてしまう生き物です。この考えは6年前に自費出版されたバンド初のアルバム中の”Isle of Flightless Birds”でも大きなテーマでしたが、家族を愛してると口では言っても実際には何もしてあげられていない事(”Ride”)や大切な人を傷付けてしまう事(”Semi-Automatic”)、そして神を信じる良きキリスト教徒でありたいのに信じ切れずにいる事(“Ode to Sleep”)など、その6年間の間にもTylerは彼自身の葛藤の内容をいつも正直に歌にし打ち明けてきました。Tylerにとってしたくない事をしてしまう原因の一つは彼の自信のなさや不安であり、『自分なんてどうせ』と諦めさせようとするその内なる声にBlurryfaceと名前を付けキャラクター化し、そいつがどんな奴なのか表現したのがこの曲の含まれるアルバムBlurryfaceです。 「この曲がラジオで流されることはないだろうよ」というのは、”Lane Boy”の歌詞を見れば分かりますが彼の良さでもあるこういったダークな歌詞は大衆向けであるラジオで流してもらえない、つまり人気にもならずお金も入ってこないんだという事です。実際にこのアルバムの人気や売り上げを見るとそんな事はないと分かりますが、曲の中でもこの部分は声が変わることからこれはBlurryfaceの声であり、不安に支配されたTylerの考えである事が分かります。アルバムのまとめにも書いた通りBlurryfaceはミュージックビデオでTylerの首や腕を黒く塗ることによって表現されており、曲中の「喪服みたいに真っ黒な防弾服を着てるお前」というのは完全にBlurryfaceに飲み込まれてしまった状態のTylerを表しています。防弾服というのは銃などの危険や暴力から身を守るものであり、それを着ているため「世界中燃え上がってるってのに僕ら(Blurryfaceを含めたTyler)は何も感じないふり」、言い換えれば世界中鬱病や不安障害などの精神疾患を患う人間達で溢れ、同じように精神疾患で苦しめられているのに平気な振りをしてしまうTylerを表しています。「感情的で周りの見えてない奴ら」というのは一見ファンを貶めているようにも見えますが、自己否定的な歌詞から自分の可能性を信じる歌詞へと変わる部分でも自分が「感情的」だというのは変えていない事からそれ自体は良い事でも悪い事でもないと思っていること、そして「世界中燃え上がってるってのに」「何も感じないふり」をするのはただの強がりで、当たり障りのない内容ばかりの大衆向けの曲を好む周りなんてほっといて本当は「騒ぐ」のが正しいと思っていることが分かります。ちなみに「ここら辺じゃ顔が知れてんだ、来たのは一度や二度じゃない。君が今歩いてるその道だって知ってるさ。」というのは現実の街や道の話ではなく、精神疾患を患う時に通る道を自分もファンの多くも経験しているんだという事です。 考察ミュージックビデオでは埃っぽく薄暗い廃墟の別々の部屋でTylerは歌をJoshはドラムを演奏しています。曲中でBlurryfaceが自分の声を持って出てくるのは2回ありますが、一回目は歌詞にも「喪服みたいに真っ黒な防弾服を着てる」とある通り、薄い幕のような壁の後ろにいるTylerの黒い影しか見えません。2回目は真っ黒なBlurryfaceではなくTyler自身が、歌詞を希望のあるものへと変えたオレンジ色の光に照らされ戸惑いながら歌っているように見えます。光というシンボルは次のアルバムTrench内で語られるストーリーで重要になってきますが、今のところはまだ何を表しているのかは分かりません。けれどこの曲ではこの光はBlurryfaceを疑い始めるきっかけを作っているように見えます。そしてその直後から、同じオレンジ色ではないものの明るく光るマイクでTylerは歌い始め、二人に眩しいライトが当てられます。演奏中に眩しいくらいのライトが当てられるという演出は”Ride”のミュージックビデオでも使われていますが詳しい意味は分かりません。途中Joshの楽器が飛んでゆくというのも”Heavydirtysoul”のミュージックビデオでも見られる演出ですが、こっちも正直な話まだよく分かりません。
2018.11.03
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"Ride" ”ドライブ” I just wanna stay in the sun where I findI know it's hard sometimesPieces of peace in the sun's peace of mindI know it's hard sometimesYeah, I think about the end just way too muchBut it's fun to fantasizeOn my enemies who wouldn't wish who I wasBut it's fun to fantasize陽の当たる所にずっと居たいんだ。でもそう簡単にいかないんだよな。太陽のその穏やかさの中にさ。でもそう簡単にいかないんだよな。そうだな、僕は死について考えすぎてるだろうよ。でも夢見たって良いだろ。僕を変えたがってる敵の破滅についてさ。でも夢見たって良いだろ。 Oh, oh, I'm falling, so I'm taking my time on my rideOh, I'm falling, so I'm taking my time on my rideTaking my time on my ride あぁ落ちてゆくよ。それならこのドライブ楽しんでやろうじゃないか。 "I'd die for you," that's easy to sayWe have a list of people that we would takeA bullet for them, a bullet for youA bullet for everybody in this roomBut I don't seem to see many bullets coming throughSee many bullets coming throughMetaphorically, I'm the manBut literally, I don't know what I'd do 「君のためなら死んだっていい」そんな事言うのは簡単さ。代わりに弾丸を受けたって構わないやつらのリストってあるだろ?あなたの分、あいつの分、この部屋にいる全員の分、弾を受けたって構わないさ。でも実際はそんな弾丸なんて飛び交ってないんだよな。こんな例え話ではみんなの代わりに死ぬヒーローになりきってるけど、実際に誰かが銃を持ってたらどうするかなんて分からないんだ。 "I'd live for you," and that's hard to doEven harder to say when you know it's not trueEven harder to write when you know that tonightThere were people back home who tried talking to youBut then you ignored them stillAll these questions they're for realLike "Who would you live for?","Who would you die for?"And "Would you ever kill?" 「君のために生きる」そっちの方がずっと難しい。自分には出来てない事だって分かってるから言葉にするのも難しいし、こうやって歌にするのはもっと難しいんだ。だってこれを書いてる最中だって家族からの電話を無視してるんだ。でも大げさじゃなくいつもこんな事考えてるんだよ、「誰のために生き、誰のために死に、誰のためなら殺せる?」 Oh, oh, I'm falling, so I'm taking my time on my rideOh, I'm falling, so I'm taking my time on my rideTaking my time on my ride I've been thinking too muchI've been thinking too muchI've been thinking too muchI've been thinking too muchhelp me×3 あぁ落ちてゆくよ。それならこのドライブ楽しんでやろうじゃないか。 あぁ考えすぎだ、考えすぎだよ、考えすぎだ。助けてくれ。×3 解説Tylerにとって夜というのは精神疾患やそれによる暗い考えに飲み込まれる時間帯であり、逆に朝はなんともない平穏な時間帯を表しているため(”Semi-Automatic”や”Ode to Sleep”参照)、「陽の当たる所」や「太陽のその穏やかさ」の中にずっといたいけれど「そう簡単にいかない」というのは、精神疾患なんかに影響されたくないけれど、朝と夜がずっと繰り返すように精神疾患も人によっては一生良くなったり悪くなったり症状が上下するため、心の安らぎは(少なくとも今の彼にとっては)ずっとは続かないものなんだという意味です。「僕は死について考えすぎてるだろうよ」というのは実は「僕を変えたがってる敵の破滅についてさ」にそのまま続くのですが、間に「でも夢見たっていいだろ」と挟む事によって前半だけで完結させ「僕は(自分の)死について考えすぎてるだろうよ」という意味と「僕は(敵の)死について考えすぎてるだろうよ」という二つの意味を持たせています。「敵」というのはライバルや彼を良く思わない人達についての事かと思うかもしれませんが、「死」や「破滅」という強い言葉を使っている事から、そして彼を「変えたがってる」という部分から、彼の自信を奪う内なる否定的な声であるBlurryfaceや”Ode To Sleep”に登場する悪魔のことだと分かります。「誰のために生き、誰のために死に、誰のためなら殺せる?」という質問は「いつもこんな事考えてるんだよ」と歌う通り、”House of Gold”や”Lane Boy”など他の曲でもたくさん出てくるテーマです。ちなみにTwenty One Pilotsの曲中では『車』というのは思考、特にTylerの考えを表すメタファーとして使われています。なので「このドライブ楽しんでやろうじゃないか」というのは、どんどん暗い方向へ「落ちてゆく」自分の思考を止められないのを分かってるため、もういっそ楽しんでやろうという意味ですが、その直後に「あぁ考えすぎだ~助けてくれ」と続くため、実際はそう簡単に楽しめず未だ葛藤があるという事を表しています。この、暗い考えに飲み込まれそうな時考え続けるべきかどうかという葛藤は前アルバム中の”Car Radio”から続くテーマです。
2018.11.01
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"My Blood" “兄弟よ” When everyone you thought you knewDeserts your fight, I'll go with youYou're facin' down a dark hallI'll grab my light and go with you 共に闘ってきたやつらが君を置き去りにしたとしても僕はついていくよ、君が暗闇に向かうのなら僕は懐中電灯を持ってついていくよ。 I'll go with you×5 君についていくよ×5 Surrounded and up against a wallI'll shred 'em all and go with youWhen choices end, you must defendI'll grab my bat and go with you 壁際まで追い詰められたのなら君の敵なんか八つ裂きにしてやる、そして僕は君についていくよ。選択肢が減っていきもう自分の身を守るために戦うしかなくなった時、僕はバットを持って君についていくよ。 I'll go with you×3 君についていくよ×3 Stay with me, no, you don't need to runStay with me, my blood, you don't need to run×2 ほら一緒に行こう、逃げなくていいんだよ。一緒に行こうよ兄弟、走らなくたっていいんだ。×2 If there comes a dayPeople posted up at the end of your drivewayThey're callin' for your head and they're callin' for your nameI'll bomb down on 'em, I'm comin' throughDo they know I was grown with you?If they're here to smoke, know I'll go with youJust keep it outside, keep it outside, yeah もしやつらが君の家まで来て外に出てこいと叫ぶ日が来たらそいつらに爆弾を落としてやる、僕が相手になってやるよ。やつらは僕が君と育ったことを知ってるのだろうか。それでも出ていかず喧嘩腰なら僕も君についていくよ。でも戦うのは家の外だけにしとこうぜ。 Stay with me, no, you don't need to runStay with me, my blood, you don't need to run×2 ほら一緒に行こう、逃げなくていいんだよ。一緒に行こうよ兄弟、走らなくたっていいんだ。×2 You don't need to run, you don't need to runYou don't need to run, you don't need to run If you find yourself in a lion's denI'll jump right in and pull my pinAnd go with you 君がライオンの巣窟に閉じ込められちまったんなら僕も手榴弾を持って飛び込んでやるよ。そうやって君についていくよ。 解説大切な人達のために自分は何をしてやれるのかという命題はTwenty One Pilotsのメインシンガーであり作詞担当のTylerを長い事悩ませてきた疑問であり、多くの曲でその胸の内を明かしてきました。9年前に制作されたデビューアルバム中の”A Car, A Torch, A Death”では苦しむ誰かの代わりに死ぬ事こそが愛なんじゃないかと歌い、2年後のVessel中の”House of Gold”では愛する人達のために死ぬんじゃなく彼らのために生きる事の方が大切なんじゃないかと気付きますが、6年後のBlurryface中の”Lane Boy”や”Ride”ではそうやって誰かのために生きる難しさについて打ち明けており、大切な人達を守りたい気持ちは確かにあるのに自分は何の助けにもなれていないもどかしさは上記の全ての曲に存在するテーマです。今までの曲が全て問題提起で終わるものや自身の葛藤を打ち明けるものだったのに比べ、この曲にはそんな迷いは微塵も感じられません。つまり長年の疑問に対する答えが見つかったんではないでしょうか。まず兄弟と訳した”my blood”ですが、これは仲間たちとか親しい人達に対する呼び名でもあると共に血縁関係も示唆していると取れます。なのでこれは、ドラマーのJoshなどTylerを支えてきた仲間たちやTwenty One Pilotsのファン達、そして妻を含めた家族全員を合わせた大切な人達を指していると考えられます。そしてこの曲でTylerは大切な人達に何が起きようと絶対に傍にいてやると宣言します。興味深い事にこれはTylerが”A Car, A Torch, A Death”でしたかったのに出来なかった事でもあります。何度も何度も「君についていくよ」と繰り返すのは、9年間の間にじゃあ自分には一体何ができるんだと考えた結果、原点に戻りあの時出来なかった事を今度こそやってみせるという決意表明のようにも聞こえます。「共に闘ってきたやつらが君を置き去りにしたら」で登場する闘いというのは生きていく上でぶち当たる様々な困難や悲劇を指していると思います。病気にしろ、誰かの死にしろ、自分と同じような悩みやトラウマを抱えてる人間を見つけた時の安心感はとても大きく、だからこそ一緒に闘い一緒に苦しんでいると思ってた人間が自分より先にその壁を越え置いていかれた時深い喪失感を覚えずにはいられない人も多いでしょう。そんな時も傍にいるよとTylerは歌っていますが、これをTyler自身も闘っている精神疾患との闘いの事だと解釈すると更にいろいろ見えてきます。精神疾患との闘いでももちろん先に症状が良くなる人もいますが、逆に症状が悪化し自ら命を絶ってしまう人も大勢います。自分と同じ病気で同じように闘っていた人間がそんな風に自分を置いていってしまった時の絶望感は先に病気から抜け出した仲間を見た時に比べる悲しみとは比べ物にもなりません。ただでさえ自殺願望に毎日そそのかされている時に身近な人間がそういった行動をとったときの影響はとてつもなく大きく、一気に死に引き寄せられてしまう人間も少なくありません。この現象については同アルバム中の”Neon Gravestones”でも大きなテーマとされています。そしてそんな時に「君についていくよ」とTylerが歌うのは、(音楽を通して)傍にいるよという意味もありますが、アルバム最後の曲”Leave the City”にもある通り、自分もまだまだ精神疾患の闇から抜け出せそうにないから一緒に闘うよという意味もあります。「君が暗闇に向かうのなら僕は懐中電灯を持ってついていくよ」とありますが、生きていく上で避けようがない困難があるようにTylerは暗闇に向かう大切な人を止めることはできない事は認めつつも、それならば共についていき明かりを灯すぐらいはしてやれると歌います。この光は彼の音楽の事かもしれませんし、身近な人間ならば話を聞いてあげる事によってこれから向かう先を少しでも明るく見えるように手伝うよという事かもしれません。ラジオで流れる音楽には「君を守るよ」だの「救ってみせる」だのと歌う曲は多いですが、ただの人間に他の誰かを完全に守る事も救う事もできないという事実ときちんと向き合う歌手は少ないため、こうやって自分に何ができるのか真摯に考え9年間の間の葛藤も含め全て包み隠さず歌うTylerはとても新鮮に映ります。「壁際まで追い詰められたのなら」と歌う部分は前々作であるVessel中の”The Run and Go”で自分の犯した罪や悩みに「壁際まで追い詰められちまったよ」と歌うTylerを思い出させます。同じ曲に「1人で立ち向かうには敵が多すぎるよ」、そして「今晩だけは隣にいてくれないか?」ともある通り、この曲でつらい時に傍にいるよと歌うのは、それしかできないからではなく、正にそれがそんな時に聞きたかった言葉であるからなんだと分かります。次に「選択肢が減っていきもう自分の身を守るために戦うしかなくなった時」というのは戦いたくなくてももうそれしか自分の身を守る方法がない状態だと分かりますが、これも同じように避けられない困難を表していると思います。「逃げなくていいんだよ」、そして「走らなくたっていいんだ」と続くのは、そんな避けられない困難に向かってゆく怖さを認め、ゆっくりでいいから一緒に一歩ずつ歩いていこうと諭しているのだと思います。次の部分は家族に向けた言葉でしょう。「もしやつらが君の家まで来て外に出てこいと叫ぶ日が来たら」というのはマスコミや野次馬が有名人になってしまったTylerの家族を見ようと実家までおしかけてきたらという意味だと解釈できます。「やつらは僕が君と育ったことを知ってるのだろうか」というのは子供時代を共に過ごした大切な家族のためならなんだってするという事を知っていてほしいという意味と、Tylerの家族の住所などの情報は既にそういった野次馬たちに知られてしまっているのだろうかと思案する二つの意味があると思います。同じように「戦うのは家の外だけにしとこうぜ」というのは家の中にそういった野次馬を入れてやるなよという意味と、もしそんな風に人が集まってきたとしてもそれを心の内側に入れるなよ(=悩みの種にさせてやるなよ)という二つの意味があると思います。最後に「ライオンの巣窟に閉じ込められちまったんなら」というのは聖書の引用でもありますが、同時にVessel中の”Migraine”でライオンは自殺願望のメタファーとして登場したことから、自殺願望に取り囲まれた状態だと読み取ることもできます。手榴弾は投げ込むことで敵を攻撃するためTylerはわざわざライオンの檻に飛び込む必要性はありませんが、手榴弾で完全にライオンを消し去ることができない事が分かっているためやはり「そうやって君についていくよ」と続くのだと考えられます。この曲は歌詞も深いですが、ミュージックビデオも面白いテーマが散りばめられています。曲が始まるとまず母親の死に直面する少年と、彼の肩を支えるもう1人の少年が登場します。母親は死に、父親は酒に溺れ、小さな子供では抱えきれないようなつらい状況ですがこのもう1人の少年が彼の支えになっている事が窺えます。時が過ぎ高校生ぐらいの年になった頃には、少し気弱な少年と明るく無鉄砲なその親友がふざけ合う描写が増え、お互いかけがえのない存在になっている事が分かります。そのあと怖いもの知らずの親友がチアガール達が練習する中ふざけて踊り始め、チアガール達は気にしてない様子ですがそれを見ていたいわゆるジョックと呼ばれるスクールカースト上位の連中に目を付けられてしまいます。そのあと2人はTwenty One Pilotsが出演するハロウィンパーティーに行きますが、ここで彼らは骸骨の仮装をします。この骸骨の仮装はTwenty One Pilotsが無名だった頃ライブハウスで観客の気を引くため着始めたものでもあり、Twenty One PilotsのファンがSkeleton Clique(=骸骨の集団)と呼ばれ始めた由来でもあります。このことから、この2人はTwenty One Pilotsのファンを表しているとも考えられます。すると帰ろうと 骸骨のマスクを脱いだ2人を見、同じパーティーに来ていたジョック達が彼らと喧嘩するため家まで後をつけ歌詞のように外に出てこいと叫び始めます。気弱な少年に隠れてるように言い、無鉄砲な親友はジョック達の相手をしようと外に出ますが何人もいるジョック達に勝てるはずもなくボコボコにされてしまいます。気弱な少年はそれを黙って見ていられず、バットを片手に飛び出しジョック達を見事追い払います。そして親友を抱え家に戻ろうとしますが、家に入ったのは気弱な少年1人だけです。そしてその後のフラッシュバックで実は親友なんて初めから存在しなかったんだという事に気付かされますが、このフラッシュバックを見ると主人公はまるでその無鉄砲な親友のように行動している事から、この親友は主人公が作り上げた人格であり、気弱な少年に見えたのは母の死などのトラウマから傷付いた主人公の本心だと読み取れます。そしてその気弱な少年がバットを持ち自らジョック達を追い払った時、彼の作り上げた怖いもの知らずな人格はもう必要なくなったんだと、つまりもう彼は誰かの振りをする事もなく1人で世界に立ち向かっていけるようになったんだと気付きます。最後に、主人公が自らジョック達に立ち向かっていけるようになったのがTwenty One Pilotsの出演するハロウィンパーティーに参加した後である事と、そこで主人公が骸骨の仮装をしていた事、そしてこの曲がTylerが傍にいるよと歌いかける内容である事から、やはりこれは家族や身近な仲間達だけでなくTwenty One Pilotsのファンにも音楽を通して寄り添ってみせるというメッセージと、”Guns for Hands”や”Message Man”にもある通り彼の音楽を使って病気と闘ったり傷付いた心を癒したりしてほしいんだというメッセージが込められているように思えます。追記(11.16.2018)Twitterでこれを公開したところ、@Bonokimuさんから「My blood は 血縁関係や友達の比喩ではなくまさに自分の血のことを言ってると思っていました、流れなくていいよと、その可能性はないでしょうか?」とコメントをもらい、新たな視点に気付かせてもらえたのでここに追加します。私も言われるまで気付かなかったですが、確かにBanditoの曲中でもDEMAを"where we used to bleed"、そしてこれから向かう先を"where our blood needs to be"と歌っているので”My Blood”はそれとかけてるとも考えられます。そうすると"stay with me, my blood"というのはDEMAにいる事によって傷付いた身体に目的地に着くまで持ち堪えてくれと言っているとも取れます。そして"my blood, you don't need to run"が血に流れなくていいんだと歌いかけているとすると、自らを介抱する意志とDEMAで死んでたまるかといった決意も含まれているのかもしれません。 Twenty One Pilotsの曲は何重にも意味が込められているものが数多くありますが、ニューアルバムTrenchに含まれる曲は特にその傾向が強く、 私1人の限られた視点では見逃す部分も多いです。こうやって新たな解釈を教えてもらえると私も更に理解が深まるので、もしこのブログにある和訳や解説と自分の解釈が合わない、あるいは追加するものがあるという方は是非コメントお願いします。
2018.11.15
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"Doubt" “疑い” Scared of my own image, scared of my own immaturity,Scared of my own ceiling, scared I'll die of uncertainty,Fear might be the death of me, fear leads to anxiety,Don't know what's inside of me. 自分が他人の目にどう映ってるのか知るのが怖い、自分の未熟さや限界が怖いんだ、こんな不安を抱えたまま死ぬのが怖いんだよ。でもこの恐怖こそが僕を殺すのかもな、もう何もかも不安で仕方ないよ。僕の中に何かいるんだ。 Don't forget about me,Don't forget about me,Even when I doubt you,I'm no good without you, no, no 僕の事を忘れないでくれ。僕の事を忘れないでくれ。あなたを疑う時でさえ、僕はあなたなしじゃ生きていけないんだ。 Temperature is dropping, temperature is dropping,I'm not sure if I can see this ever stopping,Shaking hands with the dark parts of my thoughts, no,You are all that I've got, no. 世界が冷えてゆくよ、どんどん寒くなってゆく。これが良くなる未来なんて想像できない。心の闇に手を震わせる、嫌だ。僕にはあなたしかいないんだ、嫌だ。 Don't forget about me,Don't forget about me,Even when I doubt you,I'm no good without you, no, no, no, no, no 僕の事を忘れないでくれ。僕の事を忘れないでくれ。あなたを疑う時でさえ、僕はあなたなしじゃ生きていけないんだ、あなたなしじゃてんで駄目なんだ。 Gnawing on the bishops, claw our way up their system,Repeating simple phrases, someone holy insisted,I want the markings made on my skin,To mean something to me again,Hope you haven't left without me.Hope you haven't left without me, please. 僕は司教達を悩ませてるだろうよ、体制にうまく溶け込めず、聖なる言葉だと誰かが決めた薄っぺらいフレーズを繰り返すばかり。この身体に刻まれたこの痕がまた意味を持つ事を願うんだ。僕を置いていかないでくれ、ここに置き去りにしないでくれ、頼むよ。 Don't forget about me,Don't forget about me,Even when I doubt you,I'm no good without you, no, no, no, no×2 僕の事を忘れないでくれ。僕の事を忘れないでくれ。あなたを疑う時でさえ、僕はあなたなしじゃ生きていけないんだ、あなたなしじゃてんで駄目なんだ。×2 解説この曲はタイトルにもある通り、自分への疑い、神への疑い、そして神の代弁者への疑いがテーマとなっています。「僕の中に何かいるんだ」というのは自分を疑う考えや声であるBlurryfaceのことですが、不安障害などの精神疾患を患うと様々な不安に支配されどんなに馬鹿げた考えだと頭では分かっていても考えるのをやめられなくなってしまうため、まるで自分の頭の中にそういった不安を植え付ける怪物がいるように感じる事があります。こういった不安は頭の中だけでなく身体にも表れ、震えが止まらなくなったり寒気を感じさせたりするため、「世界が冷えてゆく」というのはそういった症状の事だと読み取れます。神の否定は他のTwenty One Pilotsの曲でも何度かテーマにされていますが、この曲でTylerは神そのものよりも神の言葉を代弁しようとする教会とうまくやっていけてない事を打ち明けています。「この身体に刻まれたこの痕がまた意味を持つ事を願うんだ」というのは彼の信仰心を表すタトゥーの事であり、神や教会を疑うと同時に信仰心そのものも失いつつある事、そしてまた自分にとって意味のある信仰心を取り戻したいと思ってる事を表しています。「置いていかないでくれ」という部分では、盲目的に信じ切れずにいる自分を見捨てないでほしいと神に呼びかけています。”Car Radio” 中でも「信じる事は悟る事であり、悟るには自分の頭で考えなきゃいけない」と訴える通り、Tylerにとって信仰というのは誰かに言われた通りに考えたり「聖なる言葉だと誰かが決めた薄っぺらいフレーズを繰り返す」事ではなく、祈りという神との対話を通して自分の頭で考える事ですが、”Ode to Sleep”や”Migraine”にもある通り教会や聖書という神を代弁しているはずの人間やその言葉を信じ切れずにいる事に対して大きな罪悪感を抱えています。考察「僕は司教達を悩ませてるだろうよ~」と訳した部分ですが、これは次のアルバムTrenchで語られるストーリーを理解した上で読むとまた違った意味が浮かび上がってきます。特に最初の文はまるっきり意味が違ってくるので、Trench用にここにもう一度訳します。 Gnawing on the bishops, claw our way up their system,Repeating simple phrases, someone holy insisted,I want the markings made on my skin,To mean something to me again,Hope you haven't left without me.Hope you haven't left without me, please. 司教達に牙をむいてやる、やつらの体制に無理矢理潜り込んでやる、聖なる言葉だと誰かが決めた薄っぺらいフレーズを繰り返しながらな。そしてこの身体に刻まれたこの痕がまた意味を持つ事を願うんだ。僕を置いていかないでくれ、ここに置き去りにしないでくれ、頼むよ。 ここで語られる司教達というのは現実世界のキリスト教会の司教達のことではなく、次のアルバムTrenchで語られるストーリーの世界に存在するDEMAという都市をコントロールするNicoを含めた9人の司教達の事でしょう。そして置いていかないでくれと呼びかけるのは、ここではDEMAから脱出しようとしているBanditoたちのことでしょう。
2018.11.04
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"Migraine" “偏頭痛” Am I the only one I know,Waging my wars behind my face and above my throat?Shadows will scream that I'm alone. 僕だけなのか?顔と喉との間で戦争が繰り広げられているのは。僕なんて1人だと影は叫ぶよ。 I-I-I I've got a migraineAnd my pain will range from up, down, and sideways,Thank God it's Friday'Cause Fridays will always be better than Sundays'Cause Sundays are my suicide days, 僕は偏頭痛持ちなのさ。痛みは一か所に留まることなく暴れるんだ。今日が金曜日で良かったよ、まったく。だって金曜日は日曜日よりも遥かに良いからさ。日曜日は僕の自殺の日だもの。 I don't know why they always seem so dismal,Thunderstorms, clouds, snow, and a slight drizzle,Whether it's the weather or the letters by my bed,Sometimes death seems better than the migraine in my head, なんでいつもこんなに憂鬱なんだろう。雷に曇り空に雪に、あぁもう今度は雨が降り出した。天気のせいなのか、ベッドの横の聖書のせいなのか、こんな偏頭痛よりも死の方がマシだって思っちまう。 Let it be said what the headache represents,It's me defending in suspense,It's me suspended in a defenseless testBeing tested by a ruthless examinantThat's represented best by my depress…ing thoughts,I do not have writer's block,My writer just hates the clock,It will not let me sleep, I'll get some sleep when I'm dead,And sometimes death seems better than the migraine in my head. この偏頭痛が何のことか教えてやるよ。僕は自分の弁護もできない裁判で怯えながら無慈悲な裁判官に試されてるんだ。そいつはつまり僕の鬱…々とした考えのことさ。何がなんだかさっぱりだろ、でもスランプじゃないのさ。この歌詞を書いてるやつは時計が嫌いなんだ。夜なんか全く寝れやしない。でも死ねばずっと眠ってられるんだよな。そんな事考えてるとこんな偏頭痛よりも死の方がマシだって思っちまう。 Am I the only one I knowWaging my wars behind my face and above my throat?Shadows will scream that I'm alone,But I know we've made it this far, kid.Yeah, yeah, yeah 僕だけなのか?顔と喉との間で戦争が繰り広げられているのは。僕なんて1人だと影は叫ぶよ。でも、僕らはここまで生き延びたじゃないか。そうさ。 I am not as fine as I seem, pardonMe for yelling, I'm telling you green gardensAre not what's growing in my psyche, it's a different me,A difficult to be, stop feasting lumber-down trees 僕は元気そうに見えるかもしれないけど、本当はそんな事ないんだ。ごめんよ怒鳴ったりして。でも僕の頭の中にあるのは緑生い茂る庭園なんかじゃない。僕じゃない僕がいるんだ。そいつでいるのはつらいんだ。ほら、角材なんかにかじりついてるよ。 Freeze frame please, let me paint a mental picture portrait,Something you won't forget, it's all about my forehead,And now it is a door that holds back contents,That make Pandora's Box's contents look non-violent, ちょっと待ってくれ、僕の頭の中を描いてみせるよ。忘れられない光景さ。僕の額はこいつらを閉じ込めておく扉なんだ。それを見たらパンドラの箱の中身なんて大したことないと思うだろうよ。 Behind my eyelids are islands of violence,My mind ship-wrecked,This is the only land my mind could find,I did not know it was such a violent island,Full of tidal waves, suicidal crazed lions,They're trying to eat me, blood running down their chin,And I know that I can fight or I can let the lion win,I begin to assemble what weapons I can find,'Cause sometimes to stay alive you gotta kill your mind. 僕の瞼の後ろにあるのは荒れ狂う島々さ。僕の思考の船は難破し、ここしか見つけられなかったんだ。こんなにも危険な島だなんて知らなかったんだよ。津波もしょっちゅうだし、自殺願望がライオンの形をしてさまよっているんだ。口を血で染めたそいつらが僕を食べようとする。大人しく負けるか戦うか二つしか選択肢はないんだろ。なんでもいいからとにかく武器を手に取るんだ。だって生き延びるためには心を殺すしかない時もあるんだよ。 Am I the only one I knowWaging my wars behind my face and above my throat?Shadows will scream that I'm alone,But I know we've made it this far, kid. 僕だけなのか?顔と喉との間で戦争が繰り広げられているのは。僕なんて1人だと影は叫ぶよ。でも、ここまで生き延びたじゃないか。 And I will say that we should take a day to break awayFrom all the pain our brain has made,The game is not played alone.And I will say that we should take a moment and hold it,And keep it frozen and know thatLife has a hopeful undertone.×2 なぁ、僕らの脳が生み出したこの苦しみから抜け出してやろうよ。このゲームは1人で戦うもんじゃない。なぁ、大切な瞬間は冷凍して保存しておこうよ。人生には希望があることを忘れないようにさ。×2 Am I the only one I knowWaging my wars behind my face and above my throat?Shadows will scream that I'm alone,But I know we've made it this far, kid.We've made it this farWe've made it this f... 僕だけなのか?顔と喉との間で戦争が繰り広げられているのは。僕なんて1人だと影は叫ぶよ。でも、僕らはここまで生き延びたじゃないか。ここまで生き延びたじゃないか。ここまで生き延び… 解説Tylerが自身の精神疾患や自殺願望について触れる曲は多いですが、これは彼の自殺願望との戦いについての曲です。こんな風に自殺衝動や精神疾患と戦っているのは「僕1人だと」影、つまり彼の不安は叫びますが、それに対してTyler自身は「でも僕らはここまで生き延びたじゃないか」と、自分以外にも戦い勝ち続けた人間もいるんだと言い返します。「なぁ、僕らの脳が生み出したこの苦しみから抜け出してやろうよ」で始まる部分はそんな仲間たちに向けた言葉です。途中「鬱…々とした考え」とありますが、そこまでスラスラ言えたのに鬱病という言葉を出すことに躊躇する様子は、精神疾患を持っていることを明かすことの怖さや難しさをよく表していると思います。ちなみにTylerが「自殺の日」と言う日曜日はキリスト教徒にとっては毎週教会に行くことを義務付けられている日です。憂鬱なのは「ベッドの横の聖書」のせいかもしれないと歌う所からも分かるように、Tylerは神の望むような良い人間良いキリスト教徒であれない事に対する大きな罪悪感を抱えていて、その様子は"Ode to Sleep"で詳しく歌詞にされています。
2018.10.30
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"Heavydirtysoul" “穢れた魂” There's an infestation in my mind's imagination,I hope that they choke on smoke 'cause I'm smoking them out the basement,This is not rap, this is not hip-hop,Just another attempt to make the voices stop,Rapping to prove nothing, just writing to say something,'Cause I wasn't the only one who wasn't rushing to say nothing,This doesn't mean I lost my dream,It's just right now I got a really crazy mind to clean.何かが僕の頭の中に侵入して僕の考えを荒らしてるんだ。やつらをこの部屋から燻り出してやる、あぁ煙にむせて出て行ってくれよ。この曲はラップでもヒップホップでもない、やつらの声を消そうと試行錯誤してるだけさ。こんなラップで何か証明する訳でもない、なんとか言葉にするために書き出してるだけだ。それに何の意味もない薄っぺらい曲を書くのは僕だけじゃないみたいだしさ。夢をなくした訳じゃない、今はただイカれちまったこの頭の中を綺麗にしたいだけなんだ。 Gangsters don't cry,Therefore, therefore I'm,Mr. Misty-eyed, therefore I'm. ギャングは泣かないんだろ、それなら、それなら僕は、『目を潤ませた男』が通り名さ。 Can you save, can you save my—Can you save my heavydirtysoul?×4 救えるのか、僕を救えるのか、僕のこの重く淀み穢れた魂を救えるのか?×4 Nah, I didn't understand a thing you said,If I didn't know better I'd guess you're all already dead,Mindless zombies walking around with a limp and a hunch,Saying stuff like, "You only live once."You've got one time to figure it out,One time to twist and one time to shout,One time to think and I say we start now,Sing it with me if you know what I'm talking about. いいや、君の言ったこと全く理解できないよ。こんな事言いたかないけど、お前らみんな死んでるんじゃないか?考える事を止めたゾンビみたいにふらつきながら歩いてさ、「人生一度きり(YOLO)」なんて言うんだもんな。そりゃそうさ、人生一度きりだからその間に人生楽しんだり生きる意味について考えるしかないのさ。なんなら今から始めようじゃないか。僕の言ってる事が分かるなら一緒に歌ってくれ。 Gangsters don't cry,Therefore, therefore I'm,Mr. Misty-eyed, therefore I'm. ギャングは泣かないんだろ、それなら、それなら僕は、『目を潤ませた男』が通り名さ。 Can you save, can you save my—Can you save my heavydirtysoul?×4 救えるのか、僕を救えるのか、僕のこの重く淀み穢れた魂を救えるのか?×4 Death inspires me like a dog inspires a rabbit.×2 犬が兎を走らせるように死は僕を走らせるんだ。×2 Can you save, can you save my—Can you save my heavydirtysoul?×6 救えるのか、僕を救えるのか、僕のこの重く淀み穢れた魂を救えるのか?×6 解説 Twenty One Pilotsのメインシンガーであり作詞家のTylerにとって曲作りというのは自身の精神疾患と向き合う方法の一つであり、この曲もまた同じように自分の頭の中の暗い考えを歌にする事によって整理しようとしてるんだと冒頭で説明しています。まとめにも書いた通りこのアルバムはレコード会社と契約し制作された2枚目のアルバムであり、プロのミュージシャンとしてどこまで自由に自分の書きたいものを書けるのかというTylerの葛藤は同アルバム中の”Lane Boy”や前アルバム中の”Screen”など他の曲でもたくさん出てきます。なので「何の意味もない薄っぺらい曲を書くのは僕だけじゃないみたいだしさ」というのは人気を重視するあまり薄っぺらい曲ばかり書くバンドや歌手達への批判と、自分も同じように売れるために大衆受けする薄っぺらい曲を書いてしまっていることに対する自己嫌悪の表れでしょう。そして「僕のこの重く淀み穢れた魂を救えるのか?」と投げかけているのは彼の信じる神に対してかもしれませんが、一般受けする曲を書けとプレッシャーをかけてくる音楽業界に対してだという解釈もできます。「ギャングは泣かないんだろ」というのは、バンドが急成長しファンをたくさん抱える有名人になってしまったせいで、自費出版時代のように弱さを見せる事ができず強がってしまうことを指しています。けれど強がっていても自身の苦悩や葛藤を隠しきれていないため、ギャングのように通り名を付けられてもきっと『目を潤ませた男』なんて呼ばれるんだろうなと続きます。「犬が兎を走らせるように死は僕を走らせるんだ」というのは、自殺願望が強く死について考えすぎていると自分でも認めているTylerにとって「死」というのは逆に「生」を強く意識させるものであり、一度きりの人生を精一杯生きるように駆り立てるんだという意味です。ちなみにYOLOというのはちょうどこのアルバムが発表された頃の流行語でYou Only Live Once(=人生一度きり)の頭文字を取ったものですが、「人生一度きりだから(未練の残らないよう)好きなだけ馬鹿な事をしよう」といった意味合いで若者の間で使われていました。この曲でTylerはそんな風に流行ってるからと周りに流されて馬鹿な事をするんじゃなくて、「人生一度きりだからその間に人生楽しんだり生きる意味について考える」べきだと歌っています。Tylerは他の曲でも周りに言われたまま行動する危険性、そして自分の頭で考える事の大切さを繰り返し説いており、これは次のアルバムTrenchでも大きなテーマであり続けます。この曲のミュージックビデオではTylerが後ろに乗った車がドラマーのJoshを避けながらぐるぐると同じところを周るように運転しています。車を運転している人間の顔は見えませんが、アルバムのタイトルにもある通りこれはTylerに不安を植え付ける頭の中の声の主であるBlurryfaceだと解釈して間違いないでしょう。曲が進むと辺りが段々暗くなると同時に車はどんどんボロボロになってゆき最終的に燃え上がりますが、あとちょっとの所でTylerは車から飛び降り難を逃れます。過去の曲から推考するとTwenty One Pilotsの曲中で「車」というのは(主にTylerの)思考、そして「夜」というのは精神疾患の闇に飲み込まれる時間帯とその状態を表している事が分かります。これを踏まえてこのミュージックビデオを見ると、Blurryfaceに主導権を握られどんどん暗い所に向かってゆくTylerの思考にJoshが影響(引火)されたり、Joshのドラム(音楽という武器)にTylerが影響(車の中でドラムを叩く振り)されたりする様子が見えてきます。破滅に向かう自身の思考から間一髪のところでTylerは逃れますが、曲が終わり朝になるとまた車に乗っています。これは朝と夜が繰り返すように、精神疾患というのは良くなったり悪くなったりと人によっては一生繰り返される波がある事を表しています。
2018.11.10
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“House of Gold” “黄金の家”She asked me, "Son, when I grow old,Will you buy me a house of gold?And when your father turns to stone,Will you take care of me?" ×2 母さんは僕に聞いた、「坊や、私が年を取ったら黄金の家を買ってくれる?」「お父さんが石になってしまったら、あなたが私の面倒を見てくれる?」×2 I will make you queen of everything you see,I'll put you on the map,I'll cure you of disease.もちろんだよ。目に映る限りの全ての土地の女王様にしてあげるよ。みんなが母さんの名前を覚えるように地図にだって載せてみせるよ。どんな病気になったって治してあげるよ。 Let's say we up and left this town,And turned our future upside down.We'll make pretend that you and me,Lived ever after happily.例えばの話、僕らがこの町を出て行ったとして、暗い未来を変えてみせたとしたら、ハッピーエンドの物語のように、母さんと僕はずっと幸せに暮らせるね。 She asked me, "Son, when I grow old,Will you buy me a house of gold?And when your father turns to stone,Will you take care of me?"母さんは僕に聞いた、「坊や、私が年を取ったら黄金の家を買ってくれる?」「お父さんが石になってしまったら、あなたが私の面倒を見てくれる?」 I will make you queen of everything you see,I'll put you on the map,I'll cure you of disease.Ohhhh...もちろんだよ。目に映る限りの全ての土地の女王様にしてあげるよ。みんなが母さんの名前を覚えるように地図にだって載せてみせるよ。どんな病気になったって治してあげるよ。 And since we know that dreams are dead,And life turns plans up on their head,I will plan to be a bum,So I just might become someone. でも、夢なんてどうせ叶いやしないし、人生ってのは思うように行かないもんだから、いっそ出来損ないになるつもりで生きてみるよ。そうすればもしかしたら何者かにはなれるんじゃないかな。 She asked me, "Son, when I grow old,Will you buy me a house of gold?And when your father turns to stone,Will you take care of me?" 母さんは僕に聞いた、「坊や、私が年を取ったら黄金の家を買ってくれる?」 「お父さんが石になってしまったら、あなたが私の面倒を見てくれる?」I will make you queen of everything you see,I'll put you on the map,I'll cure you of disease.もちろんだよ。目に映る限りの全ての土地の女王様にしてあげるよ。みんなが母さんの名前を覚えるように地図にだって載せてみせるよ。どんな病気になったって治してあげるよ。 考察ウクレレがメインのこの曲は歌詞やミュージックビデオを知らずに聞くとなんだかハッピーで楽しそうな曲に聞こえるかもしれません。けれど、歌詞をよく見てみるとそうでもない気がしてきます。ミュージックビデオでも、TylerとJoshは上半身と下半身が無理矢理引き裂かれたかのような状態で、家の外でこっちを向いてくれない誰かに向かって演奏していて、なんだか不穏な雰囲気があります。曲に込められたメッセージと曲自体のイメージがちぐはぐなのは他のTOPの曲でもよく出てきますが、"Not Today"の歌詞を見ればその理由がよく理解できます。「分かってるよ、矛盾してるって。この曲はなんだかハッピーに聞こえるけど、歌詞はすっごく暗いんだ。でも良いんだ。だってそれが僕という人間を表して、いや、違う、それこそが今この瞬間の僕なんだよ。」Tylerは自分がどっちつかずな人間であることを認めていて、曲の構成や歌詞にこういった自身の二面性をあえて反映させることがよくあります。この曲の全体の流れを見ると、母親のために何かしてあげたいTylerの願望と、それを実行するすることの難しさという葛藤が見えてきます。家族のためにもっと良い息子、そして良い兄でありたいというTylerの気持ちは"Ride"など他の曲にも繰り返し出てきます。その中でTylerは「家族のためなら代わりに弾丸を受けたっていい」、つまり家族のためなら死んだって構わないと言います。でも本当に必要な事はその大切な家族のために生きることなんじゃないか、そして言葉でそう言うことは簡単でも、実際に自分は家族のために生きているのかというと、そうとも言えないんじゃないか。そんな葛藤をこの曲は表しているとTyler自身インタビューでも説明してます。ミュージックビデオに登場する引き裂かれた半身は、家族のためなら死んだっていいという献身的な愛情と、実際に生きて孝行する難しさに引き裂かれる思いをよく表していると思います。
2018.10.23
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