遊心六中記

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茲愉有人

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2020.11.30
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カテゴリ: 探訪
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須賀神社前の春日上通の北側はかなり広い広場(駐車スペース)があり、参道の途中の左右に 卒塔婆様の石灯籠 が設置されています。 右側には「凖胝観世音」、左側には「五大力尊」 と刻され、赤地に白抜きで 「五大力尊」と記された幟 が立っています。
西方向の景色 

が巡らされていて 石橋 冠木門 があります。 「積善院凖提堂」の寺号標 が柱に掲げてあります。 聖護院院内の東南隅にあり、地図では聖護院中町の東南角に位置します

門を入ると、右側に寺務所(庫裡)があり、左斜め前方に入母屋造り屋根の 拝殿 があります。

「凖提観世音菩薩」と墨書され提灯 が四周に吊り下げられ、同菩薩名の 扁額 が架けてあります。休憩所を兼ねている印象を受けます。


拝殿を回り込みますと、 本堂 があります。お堂の 側面の花頭窓 が目にとまりました。


向拝には、 凖提観世音菩薩と墨書された 大きな丸形の提灯 が吊り下げられ、本堂の正面に 「凖提観世音」の扁額 が掲げてあります。
堂内は外陣と内陣との境が大きい格子ガラス戸で仕切られています

「積善院」は 「もと聖護院門跡の院家として、聖護院が地方山伏に対して行なう事務を代行し来った寺で、本山派山伏の筆頭寺院に当る。はじめ熊野神社の西北、字出口にあって、稱 (なぎ) の坊と号した」 (資料1) と言います。 明治の初め頃に「准提堂」と合併して「積善院凖提堂」と称されるように なりました。合併の後、大正3年(1914)に現在地に移ったそうです。 (資料1,駒札)

凖提堂の建物を本堂とし 、本尊には、聖護院宮盈仁 (えいにん) 親王の開眼となる凖提堂の本尊・ 凖提観音菩薩像 (江戸)と智証大師作と伝えられる旧積善院の本尊 不動明王立像 (鎌倉初期・重文)が安置されています。 (資料1,駒札)


向拝の頭貫と木鼻には象が彫られています。角柱の上部は粽風に肩を丸めた形状にしてあります。




冠木門の手前に設置されている駒札


本堂の西側に、 積善院の旧本堂 が並んでいます。現在は 「行者堂 」と称されています。


お堂の前には 一対の石灯籠 が置かれています。
石灯籠の棹には、「 役行者寶前 」と刻されています。右側の石灯籠の火袋にはなぜか陶器製の狛犬像が置かれていました。ちょっと、おもしろい。
正面には 「御宝前」と墨書された提灯 が一列に並べて吊りさげられています。
また、左側には、台座の正面に「 清淨香 」と刻し、その上に置かれた 大きな石造の香炉 には「 高祖御寶前 」と正面に刻されています。

               拝所から格子戸越しに 堂内 を拝見しました。

「現在は役行者を中心に智証大師、阿弥陀如来坐像等、積善院に伝わる諸仏と、当院に預けられた客仏を祀り、位牌堂、護摩堂としての側面も持っている。
 中央の修験道開祖・役行者像は、厨子内に那智の瀧、蔵王権現、不動明王などが配され、立体曼荼羅の様相を示す。」 (行者堂・案内文転記)

中央の厨子の手前には、密教の法具一式が整然と調えられています。


行者堂の斜め前で築地塀の手前に 五輪塔 が建立されています。
近づいて、右の石標を見ると、「 立誠講先達供養塔 」と記されています。
(上から三文字目を講と解釈しました。彫られている文字は、『角川漢和中辞典』でも見つけることができませんでした。誤解しているかもしれません。)
本山派修験道の山伏、修験者の一集団に属する人々のための供養塔なのでしょう。


境内の落葉の景色も楽しみながら、本堂と行者堂の間の境内地を奥(北)へと巡ります。


境内地西側の奥には 正面にこんな景色が 見えます。
お堂を中央にして、右には石仏が群集し、左には板碑と地蔵菩薩立像が一列に並んでいます。背後はたぶん築地塀なのでしょうが、修復中なのか覆いが全面に掛けてあります。 

中央のお堂は 地蔵堂 です。格子戸越しに一体の 地蔵尊 が安置されています。
小ぶりながら宝形造りの屋根の立派な構えのお堂です。特に何の説明もありませんので、詳細は不詳です。

左(西)側には 「南無阿弥陀仏」の名号を刻した板碑 が建てられ、その前に 石造香炉 が置かれています。

           板碑の西隣りに 石造 地蔵菩薩立像 が安置されています。
少しインターネットで検索して調べてみたところ、かつてはこの地蔵尊が地蔵堂に安置されている写真と出会いました。老朽化あるいは何らかの事情でお堂が撤去されたようです。


左手に宝珠、右手に錫杖を持つ厚肉彫りのスタンダードな姿の石造地蔵尊です。

ところが、元お堂の土台のところに、 この地蔵尊は「人喰い地蔵」と称されるという案内文 が置かれています。

手許の書には、この地蔵尊を「 崇徳地蔵 」と記し、次のように説明しています。
「もと聖護院の森の西北(今の京大病院付近)にあった崇徳天皇の怨霊をなだめ祀った崇徳院御影堂の遺仏とつたえ、崇徳院がなまって『人喰い』となった。」 (資料1)

上掲案内文の末尾には、 明治13年頃に現在地に祀られるようになった と記されています。

右側の石仏群を拝見しましょう。






この石仏群を眺めて行くと、 さまざまな姿の石仏 が集まっています。京都市内の土地開発の結果、あちらこちらからここに集まって来られたのでしょうか。
道祖神とも受け取れる双体仏、如来の螺髪と思える頭の形、比丘形の頭の形、羅漢像、板碑など、 かなり多様な石仏・石造物が雛段状に祀られています
たぶん総体的にはお地蔵さまが集まっていらっしゃるという形で信仰されているのでしょう。
興味深い石仏群です。

西側に目を転じてみますと、別の景色が見えます。
「人喰い地蔵」から西南方向に、この石塔があります。
宝塔 の一種なのでしょうが、説明は特になく、不詳です。

石塔の南側は塚状の上に 五輪塔 が建立されています。右斜め前に碑が立っています。
「お俊・伝兵衛恋情塚」碑 です。 
お俊と井筒屋伝兵衛が聖護院の森で心中したという事件 に取材して創作されたのが「 近頃河原達引 (ちかごろかわらのたてひき) 」という浄瑠璃の世話物と言われる作品です。浄瑠璃としては天明2年(1782)春に初演されました。作者不詳だとか。それが、1785年に為川宗輔,奈河七五三助 (ながわしめすけ) らの合作により歌舞伎化されたと言います。 お俊の「そりゃ聞こえませぬ伝兵衛さん」というフレーズ が有名です。 (資料2,3)

芸能関係者により、昭和27年(1952)に心中した二人の霊を慰めるために供養塔が建立されたと言います。毎年12月15日にはお俊・伝兵衛追善供養が行われるそうです。 (資料1)

五輪塔の前には、 中央に四世竹澤藤四郎、右に八世竹本綱太夫、左に十世竹澤彌七 という文楽浄瑠璃三味線方の 名前が刻されています 。たぶん供養塔建立の発起人の方々なのでしょう。

 五輪塔の左に、この 石灯籠 が立っています。
基礎・中台・笠と宝珠はごくシンプルなのですが、火袋と角柱の棹の部分をご注目ください。


頭部から判断すると比丘形の像がレリーフされています。これもまた、少し珍しいものだと思いました。これもまた如来像の変形でしょうか。
四方仏は十三重塔の初層軸部によく彫り込まれていますが、四躰の如来像であり普通は頭部が螺髪型で表現されていますので・・・・。 (資料4,5)

大凡、境内を巡って当寺を後にして、西隣りにある聖護院門跡を訪れることに。
今回の探訪で第一目的にしていたお寺です。

つづく

参照資料
1) 『昭和京都名所圖會 洛東-下』 竹村俊則著 駸々堂 p195
2) ​ 近頃河原達引 ​  :「コトバンク」
3) ​ 近頃河原の達引 ​ :「コトバンク」
4) ​ 四仏 ​ :「コトバンク」
5) ​ 般若寺十三重塔四方仏(薬師如来) ​ :「石の仏」

補遺
法難を越えめぐり合った 積善院の不動明王立像公開へ ​ :「朝日新聞DIGITAL」
   不動明王立像と准胝観音像の写真が掲載されています。  2019.4.17
積善院准胝堂 ​  :「京都通百科事典」
聖護院 積善院準提堂の五大力さんはご存じ? ​ :「Club Fame」
準提堂の五大力さん ​  :「京都ツウ読本」
積善院准胝堂 ​  :「本山修験宗 護光組」
清浄を意味する名を持つ仏様・准胝観音菩薩 ​  :「勝龍寺ブログ」(沖縄県那覇市)
准胝観音菩薩:仏像の見方、ご利益 ​ :「お遍路で産まれ変わる~歩き遍路の世界~」
「近頃河原達引」ちかごろかわらのたてひき ​  :「歌舞伎見物のお供」
近頃河原の達引 高木秀樹の耳より文楽 ​ :「文楽ポータルサイト 楽文楽」

  ネットに情報を掲載された皆様に感謝!

(情報提供サイトへのリンクのアクセスがネット事情でいつか途切れるかもしれません
その節には、直接に検索してアクセスしてみてください。掲載時点の後のフォローは致しません。
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探訪 京都・左京 丸太町からの寺社巡り -1 丸太町通を眺めつつ、須賀神社に へ
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Last updated  2020.11.30 22:24:46
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