2004年08月27日
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カテゴリ: 雑考生活
『夏の全滅』

ぼくらが全滅したら
ぼくらの憎しみが全滅する
ぼくらが全滅したら
ぼくらの愛が全滅する
ぼくらは全滅したいなあ
汗ながして歩く午後の濃い影
ぼくらは全滅したいなあ
夏の午後に乳みせルックで

したいなあ

(文藝春秋9月特別号より)

8月上旬、我が家にスズムシが9匹やってきた。
毎日うだるような猛暑だったが、夜になりスズムシが一斉に鳴きだすと、多少は涼しげな気分になった。
8月中旬頃、気が付くとスズムシの数が半分ぐらいに減っていた。
よく見ると、脚やら羽根やらの残骸が土の上に散らばっていた。世話係である妻に聞くと、スズムシというのは夏の終わりに近づくと、メスが産卵に備えて体力をつけるために他のスズムシ(主にオス)を喰ってしまうのだという。
涼しげな鳴き声に反して、ずいぶん残酷な虫なのだなぁと思った。

昨日、いよいよ二匹にまで減っていたスズムシは、ついに最後の一匹が喰われてしまい、メスが一匹だけ残った。
スズムシはオスしか鳴かないので、飼育ケースは静かなものである。
そのメスも、もうしばらくして産卵を終えると、数日後には死んでしまうらしい。


冒頭の詩の、町田康という人は、かつては知るヒトぞ知るロクでもないパンクバンドの狂気のボーカリストとして、或いは、ロクでもない映画の狂気の俳優として、ワタシの中では結構評価の高いヒトであった。

しかし先日、偶然パラパラとめくっていた文芸春秋の中の1ページにオマケのように掲載されていた上記の詩には、なぜだか思わず手が止まった。今のワタシの気持ちに不思議なほど妙にフィットしたのだ。


ああ スズムシといっしょに 僕らの暑い夏も
全滅しないかなあ





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最終更新日  2004年08月28日 00時30分47秒
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