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リオ・グランデの砦(デジタルリマスター版)(DVD) ◆20%OFF!名匠黒澤明監督が敬愛していたというジョン・フォード。この作品はフォードの騎兵隊三部作の最終章である。詩情という点ではフォードが勝っているようだが、アクションシーンは黒澤の「七人の侍」が遥かに迫力があったように思う。その1: 騎兵隊のラッパが轟くところフォードは雄大この上ないモニュメント・ヴァレイが大好きと見える。この場所を背景にした西部劇は数多いが、中でも騎兵隊の旗をかざし、隊列をくんで馬上で行く行列はそのままで絵になる。ラッパの音で疾駆する騎兵の姿を見るとき、胸が躍り、少年のようにワクワクするのだ。インディアンとの戦いで、戦死した兵士を葬る時のラッパの音は哀愁を帯びて一際物悲しく響き渡る。ラッパなくして騎兵隊は成り立たないといえよう。ジョン。ウエインの隊長が、処罰を覚悟でリオグランデ河を渡り、メキシコ領に進入してインディアンを討伐するクライマックス。ここでもラッパの音が威力を発揮するのだ。その2: カービー・ヨーク中佐とヨーク夫人の仲は?南北戦争の頃、ヨーク中佐(ジョン・ウエイン)はシェリダン将軍(J・キャロル・ナッシュ)の指揮下にあり、南部の荘園を燃やしてしまった。命令を実行したのは曹長だったが、その荘園が夫人の祖父の所有物だったので彼を憎み、15年間、別居生活をしていた。インディアンとの戦いは激烈で戦死する兵士が増え、補充を申請して到着した新入隊員は18名、申請は180人だつたのだ、その中に一人息子のジェフ2等兵(クロード・ジャーマン・ジュニア)がいた。彼は陸軍士官学校を落第し、即日入隊、この地に赴任してきたのだ。そして、あとを追うようにヨーク夫人(モーリン・オハラ)が辺境の地にやってきた。ジェフを連れて帰るというのだ。ヨークは勝気な妻に騎兵隊の精神を説いて聞かせるのだ。彼女はどうしても退役させるという。「申請書類には俺のサインがいることを忘れるな。サインはしないよ」彼女は曹長を見かける度に「放火犯」と言ってひやかす。その曹長に息子のところへ案内してもらい、ジェフと再会する。「僕は帰らないよ。書類には本人のサインもいるんだ。僕はサインしない」ジェフは母の要請を拒否するのだ。「あくまでも男子の本分を貫く」と。その3: 襲撃してはメキシコ領に逃げ込むアパッチの本居地”リオ・グランデ”ヨーク大佐は犠牲者の増大に我慢できず、シェリダン将軍と密かに協議、軍罰覚悟でアパッチの本拠地襲撃を決意、全軍を率いて出発する。安全な砦に婦女子を避難させようと幌馬車を出発させたが、子供たちをアパッチに攫われる始末。ジェフをまじえた決死隊4人は子供たちを閉じ込めてある教会に潜入、それを見定めた大佐はアパッチの本拠を急襲、突撃を敢行すること数度、アパッチを全滅させた。しかし、自身は矢を撃たれて傷つく。ヨーク大佐は軍命令違反で軍法会議にかけられるが、シェリダン将軍の手配で事無く終わり、砦で表彰式が挙行された。ジェフも表彰された。ヨーク夫人は軍楽隊の音曲に合わせて日傘をクルクルとさも楽しそうに回して見せる。二人の仲も和解したのである。ともあれ、西部映画史に残る作品であることは間違いあるまい。1950年 アメリカ・モノクロ 監督 ジョン・フォード 出演 ジョン・ウェイン モーリン・オハラ クロード・ジャーマン・ジュニア ベン・ジョンスン ビクター・マクラグレンブログランキングに参加中です 応援よろしくお願いします ↓人気blogランキングへ
2007.10.30
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どこをとっても”素晴らしい”の一語に尽きる、クロサワが作り上げた映画の金字塔だ。何度見ても映画の魔力に引きずりこまれるようだ。クライマックスの雨中の決戦、この映画を見ずして映画を語るなかれである。その1: のどかな山村、だが、一歩中へ入ると・・・全てに計算され抜いた脚本の見事さが光る。苦労して挙げた収穫は野武士の手で奪われ、百姓たちは食いモンも満足にない生活を強いられる。娘は攫われ、米は奪い去られ、・・・野武士たちへの強い憎しみが底編に漲っているのだ。その象徴が後半の闘いの部分に散見される。竹槍を手にした百姓たちに追い回されて必死に命乞いをする一人の野武士、百姓たちを懸命に阻止する侍たち。そのとき、クワを振りかぶった老婆が進み出る。長老が言う。「倅の仇を討たせてやれ」と。侍たちも制止出来ない迫力だ。この舞台の背景は、野武士が徒党を組んで野党化し、農村を襲っていた戦国時代である。その荒廃した時代を生き抜くため、百姓たちは侍を雇うことを思いつく。村を護って貰う報酬は米のメシだ。そして、知将・勘兵衛、野生児・菊千代ら”七人の侍”が集結する。いずれも個性豊かな連中だ。その2: クロサワは、西部劇の第一人者、ジョン・フォードを超えられたか?黒澤明は、ジョン・フォード監督を敬愛し、いつかはフォード作品を超える大活劇を作ろうという野心を持っていたそうだ。これはそれに挑戦したクロサワ流ヒューマニズムの結晶である。黒澤明が44歳で監督したのが『七人の侍』なのだ。アクションシーンは複数のマルチカメラ・システムと、望遠レンズの多用で息もつかせぬ迫力満点シーンの連続だ。この激越な戦闘シーンはおよそ1時間、まさに映画史に残る活劇シーと言える。だが、叙情味豊かなフォード作品は超えられなかったように思う。無理もあるまい。大西部の持つ雰囲気と日本の寒村では舞台が違いすぎるのだから・・・。その3: 適材適所の配役陣 人間味豊かな俳優が名作に成し遂げた 勘兵衛役の志村喬は本当に達者である。抑えた”静”の演技が、菊千代役の三船敏郎の”動”を凌駕している。それにしても自由奔放な菊千代になりきった三船の演技たるや輝いている。どこかでかっぱらってきた系図を勘兵衛たちに見せ、「これで見るとお主はまだ13歳だが・・・」と盗んだ代物であることが、バレてしまう。他の侍たちに笑われ、バツの悪そうに苦笑いしながら頭をかくシーンが実にユーモラスだ。菊千代が百姓たちの隠していた鎧や兜、具足、弓などを見つけてくる。大将格の勘兵衛はそれを見て怒る。「落武者狩りで盗ったモノは使えん」というのだ。「ヘッ、こいつはいいや。やい、お前たち、一体百姓を何だと思ってたんだ。仏さまとでも思っていたのか! 笑わせちゃいけねえぜ、百姓ぐれえ悪擦れした生き物はねえんだ。米だって無え、麦も無え、何もかもねえってんだ。ふん、ところがあるんだ、何だってあるんだ。床板引っぺがして掘ってみな、何だって出てくるんだ。甕に入った米、塩、豆、・・・。正直面してペコペコして、何でも誤魔化す。戦がはじまりゃ、すぐ竹槍作って落武者狩りだ!! よく聞きな、百姓ってのはな、泣き虫で、意気地なしで、間抜けで、人殺しだ。だがな、そうさせたのは誰だッ、お前たちじゃねえか、舐めるなってんだ。・・・家は焼く、食い物は取り上げる、人夫にコキ使う、女は奪う、手向かえば殺す、一体百姓はどうすりゃいいんだ! どうすりゃいいんだよう・・・」その菊千代が激高するシーン。その場所に居合わせた誰もがシ~ンとしてしまう猛迫力である。もと百姓の生まれだから説得力がある。 勘兵衛が最後に云うセリフは印象的だ。「勝ったのはあの百姓たちだ。わしたちではない」『七人の侍』は間違いなく黒澤映画の最高峰だ、いや世界の宝であろう。付け足しになったが、早坂文雄の音楽が実に良い。それと木村・津島の淡い恋が美しい。1954年 東宝・モノクロ 監督 黒澤明 出演 三船敏郎 志村喬 加藤大介 木村功宮口精二 津島恵子ブログランキングに参加中です 応援よろしくお願いします ↓人気blogランキングへ
2007.10.29
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類い希な才能を持つ美しきトレジャー・ハンター=ララ・クラフト(A・ジョリー)。ある日、彼女は20年前に失踪してしまった父の隠し部屋で謎の時計を発見。それは、”イルミナーティ=光の人々”という秘密結社が時空の扉を開ける鍵を見つけるために必要不可欠なモノだった。その1: アンジェリーナ・ジョリーの運動神経はどうなっているのか?開巻、いきなりロボット殺人鬼との対決にはオドロカされる。腰の二挺拳銃をぶっ放しながら遂にロボットをスクラップにしてしまう。恐るべき技である。ところがこのロボット、相棒の天才プログラマー、ブライス(ノア・テイラー)がララの実戦訓練用に作ったものと分かり・・・。ララが隠し部屋から発見した不思議な時計、それは、5000年に一度のグランド・クロス=惑星直列によって巨大な力を発揮するという、古代の秘宝への手掛かりだった。彼女は人類の運命を変えるという父の遺志を継ぎ、ブライス(ノア・テイラー)や、アレックス(ダニエル・クレイグ)、執事のヒラリー(クリス・バリー)と共に謎解きにとりかかる。しかし、ララや彼女の父の宿敵であるマンフレッド・パウエル(イアン・グレン)もまたこの機会を狙っていた。パウエルの一味はララの豪勢な邸宅を襲った。時計を奪い取るためである。中は83も部屋があるという運動会でも出来そうな広い屋敷だ。ララは孤軍奮闘するも遂に時計を奪われてしまった。その2: チクタクチクタク 時の刻みは待ってくれないだが、光のトライアングルは時を支配できるのだ。隕石のかけらで出来たトライアングルは2片のかけらとなり、世界のどこかにある。それを探し出すためにララは旅立つ。そして奇想天外な方法でアンコールワットの遺跡に到着する。ところがパウエル一味は先に到着していた。洞窟内での死闘、石像たちとの闘いともなるとこれはもうお笑いかも。そしてかけらを手に入れたのは???5000年に一度起きるだけという惑星直列まであと僅か。時は待ってくれるのか。パウエルはララに云う。「トライアングルの持ち主は神の力を得る。もう一度父上と暮らせるようにしてあげる。時の流れを自在に変えられるんだ。君が力になってくれるなら・・・」「あなたに破片を渡したら、私を殺すかもしれないわ」「試してみるかね?」その3: デッド・ゾーンでの戦いは・・・完全な日蝕が始まり、グランド・クロスまであと・・・。ララたちはシベリアの”廃都”に到着。「早くしろ、皆既日食は、あと数分間だ!」あとの一片を手に入れるのはララか、それとも・・・アンジェリーナ・ジョリーの動きはサマになっている。激しい立ち回りで身体から生傷の絶え間がなかっただろうと思う。この映画はまさにスーパーヒロインの冒険を壮大に描くアクション巨編だ。2001年 アメリカ・カラー 監督 サイモン・ウェスト 出演 アンジェリーナ・ジョリー ジョン・ヴォイト イアン・グレン ノア・テイラー ダニエル・クレイグ リチャード・ジョンソン クリス・バリー ? ブログランキングに参加中です 応援よろしくお願いします ↓人気blogランキングへ
2007.10.27
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構想10年、製作期間6年半、総製作費1500万ドル。『ベン・ハー』は当時としては破格の規模で撮影された作品である。古代ローマの競技場を砂塵を巻き上げて走る二輪戦車。4頭の馬に曳かれた幾台もの二輪戦車が、車上で競り合いながら、激走する。闘いに敗れた者たちは、次々に容赦なく大地に叩きつけられていく。この作品のハイライト、命を賭けた男たちの壮絶な戦車競技のシーンである。この場面の撮影だけで3ヶ月を要したそうだ。その1: 全てが桁はずれの壮大な歴史絵巻だ監督のウイリアム・ワイラーは、俳優やスタッフに何十回もセリフの言い直しや、カットの撮り直しを命じ、撮影されたフィルムはなんと、380キロメートルに及んだ。全部上映すると8日間に及ぶ長さだったという。大掛かりなセットと桁外れな数のエキストラ、群集シーンが大画面に映し出されるや、観客は思わず息を呑んでスクリーンを見つめた。まさに古代ローマの再現だったからだ。1000人以上の労働者と2年の歳月をかけて映画史上最大のセットが作られたのだ。総勢5万人のエキストラの動員には大変な苦労があったという。15000人のエキストラを一度に必要とした戦車競技のシーンなどは、全員のメークや衣装を整えるだけで朝5時から夜の10時までかかったそうだ。食事ともなるともっとたいへんだっただろうと思う。15000人のエキストラに出す食事ともなると想像するだに恐ろしい。まさに阿鼻叫喚の世界だ。その2: 復讐の鬼と化したジュダ・ベン・ハーは・・・「憎しみは毒ですわ、父も憎悪の塊です。でも、愛は憎しみより強いと私は信じます」復讐の鬼と化したベン・ハー(チャールトン・ヘストン)に恋人エスター(ハヤ・ハラリート)は語りかける。しかし3年に及ぶガレー船での奴隷としての苦役がジュダを変えてしまっていた。ジュダ・ベン・ハーは誤ってローマ総督に瓦を落とした妹をかばったために囚人となったのだ。故国に戻ったジュダは友でありながら自分たちを見捨てたローマ人司令官メッサラ(スティヴン・ボイド)を撃つ。復讐を遂げても、ジュダの憎しみは尚も燃え盛る。母と妹が投獄され、病に犯されて捨てられたように暮らしているのを知り、彼の怒りは頂点に達するのだ。その3: ジュダに救いはあるのだろうか彼の止まることを知らない怒り・・・。それを救ったのが、”ナザレのお方”と呼ばれるキリストとの出会いであった。この聖人は裁判で磔にされながらも、昇天と同時に人々の罪を背負っていくのである。「息を引きとられる前、”父よ、彼らを許したまえ”とおっしゃった。恨みもぬぐい去られてしまったよ」 ジュダが許すことを知り、憎しみを捨て去ることで、この壮大な物語のテーマが”魂の救済”であることが明白となる。許すことで人は救われるのだと・・・かくして壮大な歴史絵巻は幕を閉じる。アカデミー賞を11部門で受賞するという前代未聞の大記録を残して。1959年 アメリカ・カラー 監督 ウィリアム・ワイラー 出演 チャールトン・ヘストン、スティーブン・ボイド、ジャック・ホーキンス、ヒュー・グリフィスブログランキングに参加中です 応援よろしくお願いします ↓人気blogランキングへ
2007.10.23
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大都会ニューヨークでヘップバーンが繰り広げる実に小粋でお洒落な映画である。「オードリーは風変わりで、ドラマティックで元気がよく、哀しみをたたえ、息をのむほど美しい。彼女の魅力が最大限に引き出されている」。映画雑誌「アメリカン・フィルム」はこう評している。その1: ニューヨークの良き時代を象徴するロマンティック・コメディ夜明け時、人っ子ひとりいない五番街にタクシーが止まる。夜会服を纏って降り立つ一人の女性。一流宝飾店ティファニーのショーウインドウには宝石が煌めいている。女はその瞬きを見つめながら、紙コップでコーヒーをすすり、デニッシュを頬ばる・・・。この映画「ティファニーで朝食を」は日本人の海外旅行が自由化されていなかった1960年代初頭に作られ、日本人のニューヨークへの憧れを掻き立てた。これで”ティファニー”の名前を頭にインプットされた日本女性も多かったのではなかろうか。オードリー演ずるコールガールのホリーもまた、5番街の象徴ともいうティファニーの前で朝食をとることをステイタスと信じている地方出の女性だったのだ。その2: ヘップバーンが演じた”都会の妖精”主人公ホリーには秘密があった。テキサスの田舎に夫とその連れ子を残し、今はマンハッタンのアパートに愛猫”キャット”と住み、男から小金を巻き上げて暮らすコールガールだったのだ。だがホリーには暗さは微塵もなく、明るく洗練されたムードは、まさに”都会の妖精”だ。女優としての転換期に差しかかっていたオードリーが成長を見せた作品となったのである。原作者カポーティはホリー役にはマリリン・モンローをイメージして執筆したという。モンローのいじらしさがホリー役に最適とされたのだ。実現しなかったのはザンネンだ。その3: 愛し合うためには別れが必要だった彼女の住む部屋の隣に越してきた作家の卵ポール(ジョージ・ペパード)には、年上の女性パトロンがいる。二人は知り合って好意をもつが、互いの事情のためになかなか愛へと進行しない。二人が結ばれるにはそれぞれ別の愛を清算しなければならないのだ。「君はね・・・臆病者の意気地なしだ。現実を受け止められないんだ。人間は愛し合う、そして求め合うのさ、幸せを得るために・・・」土砂降りの雨の中で激しくキスするポールとホリー。その4: 時代を超えて親しまれる不朽の名曲「ムーン・リヴァー」「ムーン・リヴァー」の歌声が甘く、切なく響き全編を彩る。作曲は映画音楽の巨匠ヘンリー・マンシーニ。グレン・ミラー楽団のアレンジャー兼ピアニストを経て、本作で映画音楽に進出、150以上の映画音楽を生み出した。その5: 世界中の女性に夢を売るティファニー宝飾店「わけもなく恐怖感に襲われるーーそんな時はタクシーに飛び乗り、ティファニーに行くの。あの誇り高き静寂が、安らぎを与えてくれるわ」ホリーはティファニーのことをこう語るのだ。ジバンシーのドレスと豪華な宝石に包まれ、女性たちの羨望の的となったヘップバーン。未だ未見の若い女性には是非みておいていただきたいロマンティック・コメディの名作であろう。1961年 アメリカ・カラー 監督 ブレイク・エドワーズ 出演 オードリー・ヘップバーン ジョージ・ペパードティファニーヘどうぞブログランキングに参加中です 応援よろしくお願いします ↓人気blogランキングへ
2007.10.22
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【世界名作映画DVD】毒薬と老嬢ブルックリンの豪邸に暮らす老姉妹エビイとマーサは、老い先短い不幸な老人たちを安らかに眠らせるという、秘かな仕事に精をだしていた。屋敷の下宿人たちに、毒入りのワインを飲ませ、死体を地下に隠していたのだ。そこへ、彼女たちの甥のモーティマーが、新妻を連れてやってくる……。その1: ケイリー・グラントの見事な演技!!ケイリー・グラントはひょっとして喜劇役者だったのか、という位、死体?を発見した時の目の動き、身体の動きなど実に見事な演技である。ちょっとオーバーな感がしないでもないが大根役者と言われていたケーリーを魅せたのは、キャプラの演技指導によるものだろうか。新妻に叔母たちの狂気を覚らせないためにモーティマー(ケーリー・グラント)は苦労する。叔母たちのもう一人の甥テディは自分を第26代大統領テディ・ルーズベルトと思い込んでいる精神異常者だ。彼はここをパナマ運河であると信じ、地下の穴倉に運河を開さく中だ。運河は既に第11開門まで出来ていて、伯母たちが殺した老人の死体が関門ごとに葬られている。その2: もう一人の甥で手配中の狂気の殺人者ジョナサンが屋敷に現れ・・・狂気のジョナサン(レイモンド・マッセイ)はアインシュタイン博士(ピーター・ローレ)と共にやって来る。博士はジョナサンの共犯者であり、主治医だ。ジョナサンの顔を博士は自由自在に外科的に変形させるのである。彼らも一個の死体を携えて来たが、モーティマーを訪ねて来たエレーン(プリシラ・レーン)に発見されたので、ジョナサンは彼女とモーティマーを片づけるべく、二人をしばり上げ・・・。ジョナサンは博士とともに、二人の処刑方法を構想中、この地域を受持つ警官オハラが訪れ、続いて殺人犯係のルーニー警部がやって来る。それを見たテディはラッパを吹いて、「とつげき~!!」と2階へ駆け上る始末。そして、てんやわんやの大騒ぎになる。その3: ブロードウエイでヒットした舞台劇の映画化この映画はブラック・コメディの傑作だ。いささか間延びするのは仕方ないが、キャプラ流喜劇といえるだろう。1944年 アメリカ・モノクロ 監督 フランク・キャプラ 出演 ケーリー・グラント プリシラ・レイン ジョセフィン・ハル ジーン・アディア レイモンド・マッセイ ブログランキングに参加中です 応援よろしくお願いします ↓人気blogランキングへ
2007.10.19
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地球滅亡の危機に挑む熱き男たちの、命を賭けた活躍!! 彼らは地球を救えるのか??不死身の男、ブルース・ウィリス主演で贈る傑作SFアクション!!その1: 地球最後の日、その日は刻一刻迫っている?????地球温暖化は今や現実のものとなっている。数十年前には”そんなのウソ”と言っていたのに、である。地球は確かに病んでいる。これは誰しもが否定し得ない事実だろう。それなのに、人類は相も変わらず憎しみをぶつけ合っている。それでいいのだろうか。テキサス州に匹敵する大きさを持つ巨大なアステロイド(小惑星)が地球に接近、ニューヨークが無数の隕石群に包まれた。隕石は光の矢となってニューヨークを襲う。すさまじい破壊力だ。建物も人も焼き尽くされる。その2: NASAは地球防衛に立ち上がったNASAのコンピューターは、18日後に地球に衝突することをはじき出す。人類滅亡を回避すべく、NASA 総指揮官トルーマン(ビリー・ボブ・ソーントン)は、小惑星の表面に穴を開け、地中で核爆弾を爆発させれば軌道を変えることができるという案を聞き、石油採掘のプロ、ハリー(ブルース・ウィリス)に惑星上での掘削を依頼する。ハリーは長年共に仕事をしてきたチック(ウィル・パットン)、ロックハウンド(スティーヴ・ブシェーミ)、ハリーの娘のグレース(リヴ・タイラー)の恋人のA.J.(ベン・アフレック)らを呼びよせる。ここらあたりの描写は何ともおかしい。まるで「七人の侍」のパロディだ。ハリーは、「条件がある。もし、任務を成し遂げて帰還したら、全員死ぬまで税金は無料だ」とトルーマンにいう。その3: 掘削のプロ集団が立ち向かうのは・・・彼らは厳しい訓練のあと、二機のシャトルに乗り込み惑星に向かうが、A.J.の乗った「インディペンデンス号」は着陸に失敗。ハリーたちは単独で掘削作業に取り掛かるが、岩盤は固く作業は難航する。時は刻々と過ぎていく。作業は失敗したと思われたとき、死んだ筈のA.J.たちが掘削機に乗って駆けつけ、ハリーと共に掘削を成功させる。「やったぜ。成功だ」彼らは時限爆弾を地中深く落としこむ。喜びもつかの間、遠隔爆破装置が故障した。誰かが核を手動で爆発させなければならない。クジで当たったA.J.が残ることに決まったが、ハリーはA.J.を無理矢理シャトルに乗せ、「お前は自慢の娘婿だ、娘を頼む」と言い残して掘削現場に戻る。シャトルは脱出を図るが点火しない。時間まで残り数分、掘削現場ではガスの爆発でハリーが吹き飛ばされる。シャトルはやっと発進、ハリーは爆発穴から爆破装置に手を伸ばす。地球衝突まであと1分、遂にカウントダウンが・・・ この映画は最後の最後まで息が詰まりそうな迫力で魅せてくれる。”死なない男”ブルース・ウイリスが地球人類のために命を投げ出すという設定が実に面白い。最後は涙ウルウルであった。これは是非見ていただきたい作品だ。1998年 アメリカ・カラー 監督 マイケル・ベイ 出演 ブルース・ウィリス ビリー・ボブ・ソーントン リヴ・タイラー ベン・アフレック ウィル・パットン スティーヴ・ブシェーミ アルマゲドン〔Ruby books〕ブログランキングに参加中です 応援よろしくお願いします ↓人気blogランキングへ
2007.10.18
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隠し砦の三悪人〈普及版〉(DVD) ◆20%OFF!世は戦国時代、隣国の山名家に敗れた秋月家の大将・真壁六郎太(三船敏郎)は、世継ぎの雪姫(上原美佐)と共に隠し砦にこもっていた。彼は、お家再興のために姫を連れて同盟国の早川領へと脱出しようと計画、砦近くの沢で出合った二人の強欲な農民を利用し、早川領へと脱出を図るが…。その1: 練りに練り上げたシナリオが名作に仕上げた黒澤監督も参加して練りに練り上げた脚本を、スピーディーな展開で見事に映像化している。映像化する前に生み出される設計書、それがシナリオである。優れたシナリオから名作は生まれてもつまらないシナリオから傑作が生まれた試しはない。脚本は、菊島隆三・小国英雄・橋本忍・黒澤明の合作。いずれも名シナリオライターがコンビを組むのだから面白くならない筈がない。シナリオが出来上がると黒澤監督は必ず絵コンテを描く。それがまた見事な出来栄えなのだ。これを各部門のスタッフに見せて内容を掴ませるのだ。かくして黒澤作品は世に出て行くのである。その2: 黒澤監督お得意の大胆な構図と心躍るアクション全編にみなぎるダイナミズムと強い緊張感、黒澤監督の傑作アクションはのんびりとは見せてくれない。いつの間にか手に汗を握り、時代劇であろうと現代劇であろうと映画の虜になっている。世界のクロサワと云われる所以である。クロサワ天皇と呼ばれることもあり、完全主義を貫くのがクロサワだ、と評判になったようだが、巨匠と云われる監督は大抵完全主義者だ。日活ではイマヘイさんしかり、浦山氏もその一人だったと思う。その3: 百姓二人の珍コンビが何とも面白い太平(千秋実)・又七(藤原釜足)の珍コンビは絶妙の味を出している。仲良く歩いていたかと思うと薪の中から黄金を見つけた途端、つかみ合いの喧嘩を始めるという強欲を絵に描いたような人物。この二人の絡みが作品をより面白く仕立て上げている。早川領への国境は警護が固かったから、一度山名領へ入り、敵地を通って早川領へ抜けるより道はない。六郎太は雪姫を唖にしたて、太平・又七とともに砦を後にする。国境の関所で、六郎太は背中の薪を一本引抜き山で拾ったと訴え、黄金を見て騒ぎ出したその際に関所を通過。木賃宿で一夜を明かした六郎太は、姫の願いで、人買いに買われて行く秋月の百姓娘を救った。デビューし、わずか9作で引退した雪姫役・上原美佐は凛とした美しさだその4: 武士の情けが六郎太と雪姫を救う???騎馬武者に発見された六郎太の前に、山名の侍大将・田所兵衛が立ちふさがった。激闘数合、兵衛は六郎太の槍を太腿に受けた。「わしの負けだ。命を取れ!」首をさしのべる兵衛を残し、六郎太は馬にとび乗った。山名の山狩りで捕まった雪姫と六郎太は、山名と早川の国境にある関所の牢の中で最後を待っていた。そこに現われたのが兵衛だ。六郎太に不覚をとったため、主君に弓杖で打たれたという。姫・六郎太・百姓娘の三人は、縛られたまま馬にのせられて曳き出された。兵衛が手の鞭で馬の尻を叩く。と、躍り上がった馬は早川に向かって走り出す。そして兵衛も後を追う。「裏切ったんじゃない、表返ったのだ!!」その5: 黒澤作品から大きな影響を受けている世界の映画人ジョージ・ルーカス監督が本作から「スター・ウォーズ」のヒントを得たという話はあまりにも有名だ。「七人の侍」が「荒野の七人」になり、「用心棒」は・・・ご存知ですよね。1958年 東宝・モノクロ 監督 黒澤明 出演 三船敏郎、上原美佐、千秋実、藤原釜足、藤田進、志村喬、三好栄子ブログランキングに参加中です 応援よろしくお願いします ↓人気blogランキングへ
2007.10.17
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(LD)チキチキバンバン <ワイド>不思議な車、魔法の車、船のように水の上を走ったり、空を飛んだり、ミュージカル仕立ての楽しいお話だ。子供たちが喜びそうな場面がいっぱい!!その1: 導入部のクラシックカーレースは何のため???1900年代初頭のカーレースがクレジットの下絵に使われている。クラシックカーレースの映画と思わせて、実はポンコツ自動車のチキチキ・バンバンが影の主役のお話。いっそ始まりをカーレースにしても面白かったのではないか。その2: 生まれ変わったポンコツ車は”夢の車”に変身夢見る発明家のポッツは炉に投げ込まれる運命だったポンコツ自動車のチキ・チキ・バン・バンを救い出し、見事に走らせることに成功。二人の子供ジェレミーとジェニファーを乗せて海辺へ遊びに出かけた3人は途中、美しい女性トルーリーと出会い楽しい時間を過ごす。ところがポッツの空想癖がもとで海上に浮かぶヨットが、暴君ボンバースト男爵が乗る蒸気船に早替わり……。暴君ボンバーストはチキチキ・バンバンを手に入れたくてたまらない。そこで何としても手に入れるため部下をイギリスに潜入させポッツの父親をポッツと間違えてさらう始末。ポッツは親父を救おうとチキチキ号に子供たちとトルーリーを乗せて暴君の乗った飛行船を追い駆ける。道が尽きると空に舞い上がり飛行機と化す。ブルガリア城へ逃げ込んだ暴君を更に追って・・・。その3: この映画の原作は、あの『007』シリーズのイアン・フレミングさすがにイアン・フレミングの童話が原作というだけあって、飽きさせない工夫は随所に見られるが、007のような切れ味はない。ブルガリア国は法律で子供を生むことを禁じており、子供たちは地下の洞穴で暮らしている有様だ。ポッツは暴君の誕生日に合わせ、祝いの品に化けて城へ潜入、大勢の子供たちと力を併せて暴君を倒す。そしてーー「君との結婚が出来そうだ」ポッツ、トルーリーと熱いキスを交わす。「覚悟してよ」「何を?」「私と結婚しなさい!」笑いあう二人。「夢って叶うのね」「夢ばかり見ていてもだめだ。現実の大地を踏みしめて、一歩一歩確実な人生を進むことだ」いつの間にか、車は空へ舞い上がっていた。いささか冗長だが、子供たちに夢を与える作品といえよう。アカデミー賞にノミネートされた傑作である。1968年 イギリス・カラー 監督 ケン・ヒューズ 出演者 ディック・バン・ダイク、サリー・アン・ホウズ、ゲルト・フレーベブログランキングに参加中です 応援よろしくお願いします ↓人気blogランキングへ
2007.10.13
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アメリカンコミック・ヒーローの金字塔であるバットマン誕生の秘話を、クリスチャン・ベール、渡辺謙ほか豪華キャストで映画化した見応え抜群の作品。その1: 新たな装いで甦ったバットマンは空飛ぶマシーンか??? 両親を殺され、失意の旅の中で謎の組織にスカウトされた御曹司ブルース。恐怖を乗り越えるために闘う術を手に入れる。「恐怖と向き合え。人は目に見えないものを恐れる」彼は忍者軍団と戦い、そして・・・その2: 悪と闘うために身につける装備は何とも驚かされる代物ばかり 007並の装備品、甲冑、車・・・というよりもこれは装甲車かタイヤのついた戦車。このバットマン装備をつくり出すためには製作費もさぞかし大層な費用がかかったと思う。まるで大きなコウモリのように自在に空を飛ぶバットマンを描くためにはどうしただろうか。特撮陣はさぞかし苦労したであろうと思われる。その3: 汚濁に満ちたゴッサムの街はいまや破壊されねばならない?影の同盟がこの街を破壊しようとしている真犯人と知ったバットマンは彼らと壮絶な激闘を演じる。このアクションは本当に息がつまるシーンの連続である。御曹司ブルースが検事補のレイチェルと出会う場面の対話。「ずいぶん久しぶりね」「どうしてた?」「相変わらず仕事が大変でーー」「君ひとりじゃ世界は変えられない」「でも、やるっきゃないわ」その4: 狂気の溢れた街を敵から救うのは・・・それはやはりバットマンと汚職に染まらない警部補だ。警部補が装甲車を運転し、電車の線路を破壊するのは何とも痛快だ。それにしても水道に気化すれば錯乱する液体を流しこみ、水道に圧力を加えて気化させるとは・・・悪の軍団も手の込んだことを考えるものだと寒心する。街は救ったものの、新たな敵が生まれていた。それはトランプのジョーカーを犯行時に残していく悪魔だ。バットマンの新たなる戦いの狼煙なのか。次回作が待たれる次第。2005年 アメリカ・カラー 監督 クリストファー・ノーラン 出演 クリスチャン・ベール マイケル・ケイン リーアム・ニーソン ゲイリー・オールドマン 渡辺謙 ケイト・ホームズ ブログランキングに参加中です 応援よろしくお願いします ↓人気blogランキングへ
2007.10.10
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1920年代のアメリカの上流階級を舞台に、ある富豪の過去を通して非情な社会の現実を描いた作品。ニューヨーク郊外ロングアイランド湖畔の豪邸でジェイ・ギャツビーは毎夜パーティーを催していた。その1:主人のいない不思議なパーティの秘密はーー毎夜開かれるパーティだが、主人のギャツビーは何故かめったにその姿をみせない。その不思議な行動にパーティの客たちはギャツビーのことをあれこれ噂する。どうせ悪どいことをやって大金を稼いだ成り上がり者だろうと、彼の評判はよろしくない。事実、ギャツビーは成り上がり者であった。貧困に生まれ育ち、軍人になったことが、初めて彼が手に入れたステイタスシンボルなのだ。そして、今、パーティを催している彼の秘密は、かつて愛し、今は富豪の妻となったデイジーと再会を果たすためだった。その2:大輪の花ディジーにギャツビーの心は震えた軍服を着て初めて出席した上流社会のパーティの素晴らしさ。ギャツビーには目がくらむような華やかさだった。その中でも一際目を引いたのが、軍人仲間の憧れの的、ディジーの美しい姿であった。ギャツビーにはまるで崖の上に咲いた大輪の花のように思えた。運命のいたずらか、ギャツビーはその花に手を触れた。「あかりを全部消してローソク1本にしましょう。・・・私を愛してるって言わせてあげるわ」二人は恋に落ち、激しく愛し合う。だが、第1次大戦が起こり、ギャツビーは出動命令を受けてフランスへ。その3:戦争から帰ってきたギャツビーを待っていたのは・・・既に人妻になっていたディジー、それも大富豪トムの妻だ。ギャツビーは絶望に落ち込んだ。だが、彼は立ち上がった。ディジーをもう一度手に入れる。何があろうと手に入れて見せる。そのためには何でもやった。悪どいことにも手を染めた。金持ちになり、大邸宅を手に入れ、連日パーティを開き、ひたすらディジーとの再会を待った。その時が来て、恋が再燃した。ディジーは言う。「今はもう、あなたのものよ。愛してるって言わせてあげる」ディジーは愛されることは知っても、愛することは知らない女だ。こういう女を命を賭けて追い続けるのが男なのかもしれない。それにしてもミア・ファーローの美しいことよ。ロバートならずとも追い駆けて見たくなるだろう。1974年 アメリカ・カラー 監督 ジャック・クレイトン 出演 ロバート・レッドフォード ミア・ファロー カレン・ブラック スコット・ウィルソン ブログランキングに参加中です 応援よろしくお願いします ↓人気blogランキングへ
2007.10.09
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林芙美子原作の映画化。不実で自堕落な男に対して燃えるような情念を抱きながら、淡々と男に従いその愛に殉じる女、これが前年『二十四の瞳』で健気な大石先生を演じた、あの高峰秀子なのかと公開当時、大きな話題になったものである。その1: この映画の公開後に結婚を控え 引退を考えていた高峰だったが・・・昭和30年3月に松山善三との結婚を控えていた高峰は、撮影中は今作限りの引退を考えていたというが、その決意を撤回させたほど、映画は大好評だった。そんなトップ女優に全ての力を発揮させた相手が、ベテラン俳優の森雅之と成瀬巳喜男監督であった。その2: 一見 女にもてそうにも見えない富岡が何故次々に女をモノにするこんな男が何故と思うのだが、富岡(森雅之)には目に見えない魔力でも備わっているのだろうか。そうでも考えないととても理解出来ない。44歳の森は、妻がありながら高峰演じるゆき子との縁が切れず、更に人妻のおせい(岡田茉莉子)にも手を出す。己の愚かさを知りながら、どうにも出来ない破滅型の男、富岡。こんな醜悪そのものの男に”いのち”まで吸い取られてしまうゆき子が何とも哀れである。「私、屋久島に住めなかったら、ここで料理屋の女中をしたっていいわ。女って、それだけのものよ。捨てられたら、又それはそれとして・・・生きて行くんだわ・・・」屋久島へ渡る連絡船を待つ旅館でゆき子はこういうのだ。ここには少々のことには動じない女のしたたかさを感じるのだが・・・「いや、本当の話が、別れ時と勘定時が大切なんだ、人生ってものはね」これは富岡がゆき子に訥々と話すセリフだ。その3: 成瀬巳喜男の真骨頂とは・・・その作風から”ヤルセナキオ”とも呼ばれていた成瀬にとって『浮雲』は1951年製作の『めし』以来、映画化してきた林芙美子の小説の5作目に当たる。平凡で醜悪でさえある男と女を描きつくすこと、それこそが否定できない人間の真の姿であり、成瀬流の人間讃歌だといえよう。ポッカリ浮かんだ雲のような人間の心、落ち着きどころを探して風のまにまに漂うのが人間という生き物の姿なのかも知れない。ともあれ「浮雲」は戦後文芸映画の白眉の一作だ。昭和30年キネマ旬報ベストテントップ作品である。1955年 東宝・モノクロ 監督 成瀬巳喜男 出演者 高峰秀子 森雅之 中北千枝子 岡田茉莉子ブログランキングに参加中です 応援よろしくお願いします ↓人気blogランキングへ 成瀬巳喜男の傑作集
2007.10.07
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南北戦争末期を背景に、激動の戦禍に巻き込まれた運命的な愛を壮大なスケールで描き上げた感動のドラマ! ジュード・ロウ&ニコール・キッドマン主演。その1: この映画の背景となった南北戦争とは・・・南北戦争(なんぼくせんそう、 American Civil War, 1861年-1865年)は、アメリカ合衆国に起こった内戦である。奴隷制存続を主張するアメリカ南部諸州のうち11州が合衆国を脱退、アメリカ連合国を結成し、合衆国にとどまった北部(23州)との間で戦争となった。お互いにあらゆる国力を投入していたことから世界で最初の総力戦(Total War)だった、とする説もある。4年間の内戦の末期だから、北軍が押していたときであろうか。その2: 脱走兵狩りは真実だった!!!???まるで悪魔のような脱走兵の取り締まり。彼らは脱走兵を見つけると容赦なく射殺するか、縛り首にした。脱走兵を匿ったり、助けたりした者も同罪である。戦争に怯える女・子供の様子がよく描かれている。そこまで残忍な描写をする必要があるのか、と思えるシーンもあるのだが・・・。そうした中、南軍兵士インマン(ジュード・ロウ)は、遠い故郷にいる恋人エイダ(ニコール・キッドマン)のために傷ついた体で軍からの脱走をはかる。まるで狩から逃れる兎のように。これはその道中記でもあるのだ。その3: キスしただけの二人の愛が再会で燃え上がる何度となく死の危機にさらされるアイマン。ピンチを脱出出来たのは、エイダを想う愛の心であった。エイダの方もそうだ。103通出した手紙の返事は一度も戻らない。アイマンが受け取ったのは僅か3通。だが生きて必ず帰ってくることを確信して彼女は待ったのである。これは4年間離れていた二人の”愛情物語”とも云えよう。西部劇は舞台に過ぎないのであろうか。再会後、アイマンがエイダと語り合う場面。「君が心の中にいたから絶望の淵に沈まずにすんだ」「私にそんな力があるの? 私たちほんの何分か一緒にいただけなのよ」「永遠にも優る時間だ。一瞬、一瞬がダイヤのように煌めいていた。現実がどうだろうが関係ない・・・」その4: 南北戦争を背景にした映画ほどのくらいあるのだろう國民の創生 (1915年、監督:D・W・グリフィス) 若草物語 キートンの大列車追跡(1926年、監督:バスター・キートン、クライド・ブラックマン) 風と共に去りぬ(1939年、監督:ヴィクター・フレミング) 七人の脱走兵(1954年、監督:ヒューゴ・フレゴネス) ふくろうの河(1962年、監督:ロベール・アンリコ) ダンディー少佐(1964年、監督:サム・ペキンパー) 続・夕陽のガンマン(1966年、監督:セルジオ・レオーネ) ロング・ライダーズ(1979年、監督:ウォルター・ヒル) グローリー(1989年、監督:エドワード・ズウィック) 潜水艦CSSハンレー(1999年、監督:ジョン・グレイ) コールド マウンテン(2003年、監督:アンソニー・ミンゲラ) あなたは何本ご覧になっていますか?その5: 「コールドマウンテン」は平凡な山の名 一体何を象徴したのか主人公二人がいのちを賭けた山だったのだろうか。それとも二人の未来を象徴させたのだろうか。2003年 イギリス/イタリア/ルーマニア・カラー 監督 アンソニー・ミンゲラ 出演 ジュード・ロウ ニコール・キッドマン レニー・ゼルウィガー ドナルド・サザーランド ブログランキングに参加中です 応援よろしくお願いします ↓人気blogランキングへ
2007.10.05
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サーカスの一座を舞台に母と娘の深い絆を描いた熱い人間ドラマ。ジョン・ウェインが西部劇とはまた違う味を出している。その1:西部の男ジョン・ウェインの珍しいサーカスものとは・・・サーカスものではベティ・ハットンの「地上最大のショー」、バート・ランカスターの「空中ブランコ」が有名だが、ウエィンのサーカスものには驚いた。ウエィンが演じるのはサーカス団の持ち主マット。19世紀サーカス全盛時代のアメリカ1のサーカス団である。彼はサーカスに西部劇ショーを組み込んで”西部男”をこなしてみせる。場内を疾駆する駅馬車の上から次々に標的に命中させていく。駅馬車を強盗団が襲ったり、インディアンが襲ったりするのはさすがに見応えがある。その2:一座の花形が空中ブランコから墜死したのは自殺、それとも・・・14年前、仲間のアルフレッドが墜死したが、それは空中曲芸をやる妻のリリー(リタ・ヘイワース)が”ある男”との仲を悩んで心が動揺したためだったという噂があった。リリーは娘のトニ(クラウディア・カルディナーレ)をマットに託し姿を消した。ある男とはマットだった。リリーは何故姿を消したのか、謎をはらんでドラマは進行する。トニも今では一人前のレディ、一座のスティーヴ(ジョン・スミス)と恋を語るほどだった。マットはヨーロッパ巡業に旅立つ。その密かな目的はリリーの消息を知ることにあった。リリーがトニに会いに来るに違いないと彼は考えていたのだ。それに何より彼はリリーをまだ愛していた。その3:パニックが次々に巻き起こるのは何故???ヨーロッパ着いたある港で大事故が起こり、船は転覆、マット一座はほとんどを失った。マットはヨーロッパでの再起を決意、3流サーサスでウェスタン・ショウをやることに。パリでの興行は大成功、マットは各地を巡業する。そして遂にリリーを発見、トニには母親とは知らせずリリーは復帰する。しかし、何者かが仕組んだ秘密の暴露がトニの部屋に。トニは半狂乱になり、サーカス団を出ようとするが、ドレスリハーサルの朝、何者かの細工で、どうしたわけか天幕が燃えだした。火は忽ち燃え広がった。延焼を防ごうと立ち向かうマット、リリー、トニもいつの間にか戻って手伝っている。その4: ライオンと虎使い 猛獣使いのシーンはハラハラドキドキ!!!動物たちの珍しい場面も数多く見られる。立って歩く馬たち、馬たちを押して歩く象。迫力のあるのは猛獣使いのシーンだ。4,5頭のライオンを見事に操るのにはオドロキ。あまつさえ自分の身体の上にライオンを寝そべらせるとは・・・。これには唖然。その5:サーカスは楽しいものだ だが一つ間違えると・・・私も子供の頃、2度ほどサーカスに行ったことがある。木下大サーカスだ。とても楽しかった思い出だ。それにしてもリタ・ヘイワースの演技は光っていたと思う。1964年 アメリカ・カラー 監督 ヘンリー・ハサウェイ 出演 ジョン・ウェイン クラウディア・カルディナーレ リタ・ヘイワース ロイド・ノーラン リチャード・コンテ ブログランキングに参加中です 応援よろしくお願いします ↓人気blogランキングへ
2007.10.04
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成瀬巳喜男が作り上げた庶民映画の名作!! 夫婦の危機は今も昔も変わらない? 夫婦の生き様を考えさせてくれる映画だ。林芙美子の新聞小説を原作にした人間ドラマ。倦怠期を迎え、ささいなことでケンカを繰り返す中年夫婦と、そこに飛び込んできた奔放な姪、夫婦二人の危機はどうなるのか・・・その1:原節子は今どうしているのだろう?1962年の『忠臣蔵』を最後に「衰えた容姿を見せたくない」という言葉を残し、隠遁生活に入った。1963年、小津安二郎監督の葬儀に姿を見せたのが、公の場に姿を見せた最後。現在は神奈川県鎌倉市に親戚と2人でひっそり暮らしている。今や老境にある原節子ファンは今尚彼女の名前を聞くと無関心ではいられまい。あの一寸陰のある笑顔、品のある美しさ、まさに『永遠の美女』の名にふさわしい伝説の女優さんだ。その2:女の幸せは一体どこにあるのだろうか1年365日、味噌汁の鍋を朝食の食卓で新聞を読む能無し亭主ところへ運ぶ結婚5年目の女房。「ごはんの時くらい読むのを止めてくださらない」と言われてもどこ吹く風の亭主。新聞がテレビになり、パソコンに変わっても変わらない風景かもしれない。恋愛結婚をした岡本初之輔(上原謙)と三千代(原節子)の夫婦も、大阪天神の森のささやかな横町につつましいサラリーマン生活に明け暮れしている。今や新婚の夢もあせ果て、わずかなことでいさかいを繰りかえすような毎日だ。そこへ姪の里子(島崎雪子)が家出して東京からやって来る。そして、その華やいだ奔放な態度で家庭の空気を一そうかきみだす。その3:昭和26年の作品はもはや時代劇?なのだろうかこの作品、大学生の頃見た記憶があるが、それから既に半世紀が経つ。画面の風物たるや今はもうない懐かしい景色ばかりが見えてくる。この戦後間もない風景は”歴史を知らない人”には楽しい勉強になるだろう。「ハア~梅がちょいと出りゃ船場町~ 二人揃って中ノ島~ ハア仲の良い良い中ノ島~」初之輔が里子と観光バスに乗って大阪観光をするシーンなどは、かっての大阪を見せてくれて楽しい。周囲に何もない大阪城の遠景、これは二度と見れない場面である。その4:「風呂 めし 寝る」の単語しか使えない亭主は時代の遺物かこういうワンマン亭主は今や少数派? すぐに手を上げる亭主も将来は暗い。定年を期に三行半を妻に突きつけられる姿は増えることはあっても減ることはあるまい。ワーキング・マシーンとしてしか生きられない亭主族は現代にあっても多い筈だ。ああ、哀れな古き亭主族よ・・・。今の若い亭主族はその点違う。女房、子供連れでスーパーへ買い物に行く。料理は作る、洗い物は片付ける。何でも二人で話し合う。一昔前には考えられなかったことをなし遂げている。亭主の権威、威厳は残っているのだろうか???その5:女を描くことにかけては天下一 成瀬作品の見どころは・・・この作品では、三千代の心の変化を見事に描いている。家を出た三千代が主人に手紙を書き、ポストに入れかけてやめる場面、そしてラストの列車内から手紙を破いて捨てるシーン、こうした場面によく現れている。それと同窓会に三千代が出る場面の対話。「私、あなたみたいに1日でもいいから主人と二人だけで暮らしてみたいわ。毎日どんなお話してらっしゃるの?」「猫、飼ってるの」「返事にならないわ・・・幸せそうな顔」「アラ、そう。私幸せそう?」「そうよ」「ウフッ(意味深な笑い)古き世代のあなたは懐かしさを、新世代のあなたは昔をしるために、この映画を見てください。1951年 東宝・モノクロ 監督 成瀬巳喜男 出演 上原謙 原節子 島崎雪子 進藤英太郎映画史に残る成瀬作品!!ブログランキングに参加中です 応援よろしくお願いします ↓人気blogランキングへ
2007.10.03
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モンローの初主演作だが、その記念すべき作品が精神に異常をきたすお話とは・・・。彼女の未来を象徴するかのようだ。パイロットの婚約者を飛行機事故で亡くしたショックから精神に異常をきたした若い娘。狂気の行動が次第に激しくなり・・・。スリリングな展開の本格的なサスペンス。その1:病気はもう治った筈なのに・・・マンハッタンのあるホテルのエレヴェータア・ボーイ、エディ(エライシャ・クックJr.)の処へ、姪のネル(マリリン・モンロウ)がやって来た。彼女はパイロットの婚約者を飛行機事故で失ってから精神に異常を来した娘だ。エディは7歳の女の子バニイの子守にネルを世話をする。ネルはジョーンズ夫妻が出かけたあとバニイを寐かしつけ、夫人のドレスと宝石を身につけてひとりで踊りはじめる。ホテルに泊っている若いパイロット、ジェッド(リチャード・ウィドマーク)は同じホテルの酒場の歌手リン(アン・バンクロフト)と恋仲だったが、別れ話が持ちあがっていた。ジェッドは窓越しにネルを見かけ、部屋へ電話をかける。「部屋まで行ってもいいか?」ネルはジェッドがパイロットと聞くや、頭の調子が狂いだし、婚約者と間違え濃厚なキスで迎える始末。その2:思考が狂いだすと何とも不気味だ一度狂いだした思考はもう止まらない。様子を見にきたエディの後頭部を殴りつけ彼を昏倒させる。高い部屋の開いた窓からサイレンの音が聞こえてくる。すると寝ていた筈のバニイが起きてきて、二人にいう。「この人、だ~れ? (ネルに)どうしてお母さんの服を着てるの?」と、窓際のネルのところへくる。「何みてるの?」と窓枠によじのぼる。ネルが一突きすれば彼女は転落死する。これはもう不気味そのものだ。途端・・・その3:恋人リンのところへ行こうとするジェッドを必死で止めるネル邪魔なバニイは寝室で猿轡をはめられ、手足を縛られて寝かされている。ネルの姿がいじらしく思えてくるのは妙だ。恋人が死んだことを認めたくないからであろうか。ようやく部屋を抜け出すジェッドだが、エディも放っておけないし、バニイも心配だ。事の顛末をリンに話し、部屋に戻ろうとするが、それを剃刀を手にしたネルが見つける。果たしてどうなるのか・・・。モンローのサスペンス物は他にも「ナイアガラ」がある。オツムがぬけて愛らしいマリリンだが、怖さも充分伝わってくる映画だ。1952年 アメリカ・モノクロ 監督 ロイ・ベイカー 出演者 リチャード・ウィドマーク マリリン・モンロー アン・バンクロフト マリリンファンのあなたに!!!ブログランキングに参加中です 応援よろしくお願いします ↓人気blogランキングへ
2007.10.01
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