《櫻井ジャーナル》

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2010.01.26
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 沖縄県名護市長選で当選した稲嶺進は、米軍新基地の建設に反対している。沖縄県宜野湾市にある海兵隊の普天間飛行場を閉鎖し、名護市辺野古に新たな基地を建設することを稲嶺惠一知事は決めているが、この決定を「民意」が否定したことになる。

 ところが、その民意を現政権の平野博文官房長官は記者会見で否定した。新基地建設に反対する市長が選ばれたことを「斟酌してやらなければならない理由はない」と述べたのである。日本列島、特に沖縄にある米軍基地はアメリカの軍事戦略にとって重要な意味を持ち、情報機関の重要な拠点でもある。鳩山由紀夫政権もアメリカには逆らえないようだ。

 過去を振り返ると、例えば、1949年1月に中国では人民解放軍(共産党)が北京に入城し、同年10月には中華人民共和国が成立している。上海を東アジア工作の拠点としてきた極秘の破壊活動組織OPCも日本に移動してきた。ちなみに、下山事件、三鷹事件、そして松川事件という国鉄を舞台とする「怪事件」が起こったのもこの年だ。

 人民解放軍が北京入りする前からアメリカの情報機関は中国での秘密工作を活発化させていた。共産党を倒し、国民党の体制を築こうとしたのだが、この目論見は失敗に終わったわけである。

 そこで、次に中国への軍事侵攻を試みている。拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』でも書いたように、侵攻作戦の主体となったのは国民党軍。1950年3月までに1万5000名の国民党軍部隊がビルマのチェンタン市とタチレクの間を占領、1951年4月には国民党軍の将兵約2000名がCIAの軍事顧問団を伴って中国領内に侵入、一時は片馬を占領したが、人民解放軍の反撃で追い出されている。

 1952年8月にも国民党軍は中国へ軍事侵攻したが、これも失敗した。その間、1950年6月から53年7月まで朝鮮戦争が戦われている。朝鮮戦争は「米中戦争」の一場面にすぎないという見方ができる。

 朝鮮戦争が休戦になって約半年後の1954年1月、ジョン・フォスター・ダレス国務長官は国家安全保障会議でベトナムにおけるゲリラ戦の準備を提案している。このときからアメリカは「ベトナム戦争」をスケジュールに書き込んでいた。そうした流れを断ち切ろうとしたのがジョン・F・ケネディ大統領だ。

 そうした政策を具体化するため、1963年10月にNSAM(国家安全保障行動覚書)263が出されている。その年の6月には「平和の戦略」を打ち出してソ連との平和共存する道を模索し始めていた。そうしたケネディ大統領の意志を粉砕したのが1963年11月の大統領暗殺である。後継大統領の下でアメリカはベトナムへ本格的な軍事介入を始めている。このベトナム戦争も中国の共産体制転覆が最終目的だったのではないだろうか?

 中国への直接的な軍事侵攻にしろ、朝鮮戦争にしろ、ベトナム戦争にしろ、あるいは1965年9月にインドネシアで実行された反スカルノ/反共産党クーデターにしろ、日本の基地が存在しなければ不可能だった。最近ではアフガニスタンやイラクでの戦争も日本にある米軍基地が重要な役割を果たしている。つまり、日米同盟はアメリカの世界支配を実現するために、なくてはならない存在であり、日本も戦争に参加していることを意味している。その日本を支配するため、アメリカは占領時代から支配システムを日本の権力内部に築き上げてきた。



 通信の傍受など電子的な情報収集をSIGINTと呼ぶ。アメリカとイギリスでSIGINTを担当している組織は、それぞれNSAとGCHQ。両機関はUKUSAと呼ばれる連合体を組織し、ECHELONも動かしている。米英両国と同じアングロサクソン系のオーストラリア、カナダ、ニュージーランドの機関がその下で活動している。日本はその外で情報の「おこぼれ」を頂戴する存在だ。

 UKUSAが抱える問題のひとつは、配下の情報機関が自国の政府ではなくNSAとGCHQの命令で動いている点にある。つまり、情報機関が「国家内国家」として機能、米英両国の権力者が各国を支配する手先になっているということである。日本に本格的な情報機関が創設されたなら、日本の議会制民主主義にとって、東京地検特捜部以上の脅威になることは間違いない。





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最終更新日  2010.01.26 23:42:05


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