《櫻井ジャーナル》

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2011.11.23
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 どうやら中東/北アフリカでは侵略と革命が同時進行しているようだ。アフガニスタンやイラクは明白な侵略戦争だが、「人道」を口実にして軍事介入されて体制が崩壊したリビア、やはり「人道」を理由に圧力をかけられているシリア、そして「核兵器開発疑惑」で締め上げられているイラン、いずれも侵略のターゲットになっている。その一方、エジプトでは「革命第2幕」が始まった可能性がある。

 サウジアラビアなど湾岸の独裁産油国やイスラエルは人権を無視した反民主主義的な国であり、イスラエルは秘密裏に核兵器を開発、保有している。第4次中東戦争でイスラエルは実際に核兵器を使おうとした。そうした危険な国を放置して「核兵器を開発しているかもしれない」国を攻撃するべきだとする主張に説得力はない。衣の下から「侵略」という鎧が見えている。だからこそ、エジプトの市民弾圧を無視しているわけだ。

 リビアへの軍事介入ではフランスとイギリス、特にイギリスが主導的な役割を演じた。シリアに対しても似た構図があり、 イギリスやフランスの政府はここ3カ月、シリアの亡命組織と接触 、イギリスの積極性が目立つ。

 11月18日に イギリスのフランセス・ガイ元レバノン駐在大使はパリでシリアの反政府派と接触 、ウィリアム・ヘイグ英外相は反政府派と先週末からロンドンで会っているのだが、その イギリス政府はシリアの反政府派に対し、反政府軍に結集するように呼びかけている

 こうしたイギリスの動きに同調しているのがトルコ。 アブドラ・ギュル大統領 はイギリスを訪問する直前、ガーディアン紙に対してシリアの現体制転覆は不可避だと言明している。

「SFA(シリア自由軍)」がシリア領内に侵攻、ホムスでは政府軍を激しく攻撃 している。トルコ政府はSFAを保護している形で、トルコが軍事介入しているようにも見える。イギリスはこの武装集団を軸にシリアの現体制を倒そうとしているのだろう。

 現在、シリアで取材しているジャーナリストのウェブスター・タープレーによると、反政府軍の狙撃兵が市民を銃撃、「死の部隊」のように活動している。リビアでは体制を転覆させるためにアル・カイダ系の武装集団が使われたが、シリアではトルコ系の武装集団が似た役割を演じている。ロシアの存在があるため、リビアと違ってイギリスやフランスは自国の軍隊を出せない。そこでNATO仲間のトルコが動いているのだろう。

ウェズリー・クラーク米陸軍大将が明らかにした侵略予定リスト には、イラク、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、そしてイランが載っていた。このリストに従う形で戦闘が起こっている。

 このリストに載っていないエジプトでホスニ・ムバラク体制が崩壊したのは、ムバラクがイラン攻撃に反対したからだとする人もいるが、真偽は不明。高齢になったムバラクを使い捨てにしたのだという見方もある。

 それはともかく、ムバラクが排除された後、軍隊がエジプトを支配してきた。情報機関EGIS(エジプト総合情報局)を統轄し、アメリカやイスラエルと緊密な関係にあったオマール・スレイマンを後継者に据えることはできなかったが、「ムバラクなきムバラク体制」はとりあえず樹立されて現在に至っている。その茶番にエジプト市民が怒りを爆発させたとしても不思議ではない。

 エジプトで大きな影響力を持っているムスリム同胞団は歴史的にイギリスと関係が深いのだが、 WikiLeaksが公開した文書 によると、アメリカ政府は「4月6日運動」と2008年には接触している。こうした組織を超えて市民が動き始める可能性も出てきた。革命の「第2幕」だ。

 イギリスと手を組んだ薩摩藩や長州藩が徳川幕府を倒した後に自由民権運動が起こったことを連想させる。日本のように民主化運動が潰されるのかどうか、エジプトの情勢は中東の民主化が始まるかどうかを判断する試金石になりそうだ。





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最終更新日  2011.11.23 15:54:44


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