《櫻井ジャーナル》

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2013.02.09
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 安倍晋三首相の私的諮問機関だという「 安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会

 この懇談会は第1次安倍政権時代の2007年4月に設置されている。「解釈改憲」について討議し、安倍首相が体調不良を理由に辞任した後、08年6月に報告書を福田康夫内閣に出したのだが、「店ざらし」になっていたという。自民党から見ても、それだけ問題が多かったということ。その報告書を懇談会は安倍首相に再提出したわけだ。

 報告書では、(1)公海における米艦の防護、(2)アメリカに向かうかもしれない弾道ミサイルの迎撃、(3)国際的な平和活動における武器使用及び、(4)同じ国連PKO等に参加している他国の活動に対する「後方支援」について議論され、(1)と(2)については「集団的自衛権」の行使は可能だと判断、(3)は武力行使にあたらず、(4)は一律に禁止するべきでないとしている。

 再び懇談会を始めるのは情勢が変化したからだと安倍首相は説明した。つまり「北朝鮮やイランにおける核拡散の動き」、「地球的規模のパワーシフト」、「我が国周辺の東シナ海や南シナ海の情勢変化」などに対応し、「テロ組織」など国家以外からの脅威への対応に関する憲法上の問題点も新たに協議することを決めたと伝えられている。自衛隊にどのような役割を押しつけるつもりだろうか?

 福田内閣に提出したという報告書だが、演習にしろ、軍事作戦にしろ、公海上で自衛隊がアメリカ軍の艦船と一緒にいるという前提がまず問題。「アメリカに向かうかもしれない」ミサイルとはいい加減な話だが、弾道ミサイルを迎撃することなど現実的でない。

 日本が「国際的な平和活動」や「国連PKO等」に参加するという前提だが、これにはNATOや「有志連合」は含まれている可能性がある。ユーゴスラビア、アフガニスタン、イラク、リビア、シリア・・・すべてアメリカ軍は先制攻撃しているわけで、相手が反撃してきたらどうするのか。日本も先制攻撃に加担することになりかねない。

 アメリカの好戦派が行ってきたことを振り返ると、実際は自分たちが先制攻撃しているのだが、相手が先に攻撃してきたように演出をすることが珍しくない。例えば、キューバに軍事侵攻するため、1960年代の前半に「ノースウッズ作戦」が計画されている。(関係文書が拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』に掲載されている)統合参謀本部の議長だったライマン・レムニッツァーなどが中心メンバー。

 この作戦では、まず、プロパガンダから始まり、キューバ軍を装った親米キューバ人をグアンタナモの米軍基地に侵入させ、破壊活動を実行しようとしていたとして拘束、基地のゲートでも暴動を起こす。基地の内部で弾薬を爆発させ、航空機に放火、基地の外から迫撃砲を撃ち込み、海などから近づくチームを逮捕、基地を襲撃する武装集団を逮捕、湾に浮かぶ船に火を放ち、湾の入り口で船を沈め・・・。



 カストロ派を装った戦闘員をカリブ諸国に侵入させ、キューバからの偽メッセージをドミニカの地下組織へ送り、ミグ・タイプの航空機を使って挑発、ハイジャックを試みる・・・

 そして、旅客機のクローン機を作り、そのクローン機にアメリカ側が仕込んだ乗客を乗せてマイアミを飛び立ち、途中で無人飛行の旅客機と入れ替え、キューバ近くでミグ機に攻撃されていると通信した後に自爆・・・・

 こんな作戦が練られていたことがわかっているが、これは当時の大統領、ジョン・F・ケネディに阻止されてしまった。中心人物のひとり、レムニッツァーは1962年に議長の再任が拒否され、西ヨーロッパへ追放されている。アレン・ダレスCIA長官が解任されたのはその前。ケネディが暗殺されたのは1963年だ。

 アメリカがベトナムへ本格的な軍事介入をする口実に使われたトンキン湾事件もアメリカが仕掛けていた。事件が起こったのは1964年8月。リンドン・ジョンソン大統領はアメリカの駆逐艦が北ベトナムの魚雷艇に砲撃されたと宣伝、翌年の2月には「報復」と称して本格的な北爆を始めている。

 実は、1964年1月には統合参謀本部直属のSOGという秘密部隊が編成され、2月には北ベトナムに対する破壊工作をスタートさせている。この年の7月にSOGの隊員2名は南ベトナム兵を率いてハイフォンの近くにあったレーダー施設を襲撃して失敗している。

 北ベトナムはこの襲撃に対する報復として、8月に情報収集活動をしていたアメリカ海軍のマドックスを攻撃したと言われている。マドックスを攻撃した北ベトナムの艦船は米軍機などの攻撃で撃沈された。このマドックス攻撃を北ベトナム軍による先制攻撃だと宣伝、アメリカ議会は「トンキン湾決議」を可決している。

 1993年3月に実行されたユーゴスラビアへの空爆も偽情報を流して実現した先制攻撃。(詳しくは拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』を)アフガニスタンへの先制攻撃は「9/11」が口実に使われたが、この事件には疑問点が多く、アフガニスタン側の協力姿勢を隠していた。

 イラクに対する先制攻撃は1990年代の初頭、ネオコンが描いた作戦に従って実行されたもので、サダム・フセイン政権はアル・カイダを「非人道的方法」で弾圧、その情報をアメリカへ伝えていた。リビアやシリアに対する直接的、あるいは間接的な軍事介入もネオコンの計画に従っている。NATOや湾岸諸国がアル・カイダを手駒として使っていたことも明確になっている。

 アメリカが「偽旗作戦」を使って戦争を始めることは珍しくない。イスラム武装勢力のような傭兵を使って他国を攻め、混乱したところで軍事介入したならば、反撃、つまりアメリカ軍が攻撃されることもありえる。こうした戦争に自衛隊を加担させるのだろうか?





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最終更新日  2013.02.10 01:11:46


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