《櫻井ジャーナル》

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2016.06.02
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 トルコでは5月31日に元ミス・トルコのメルベ・ビュユクサラチに対し、レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領を侮辱したとして禁固14カ月、執行猶予5年の判決が言い渡されたと伝えられている。大統領の強権ぶりや疑惑を揶揄する詩をインスタグラムで共有、一種の「ヘイト・スピーチ」を行ったということなのだろう。

 この裁判が始まったのは昨年5月だが、その時、トルコのジュムフリイェト紙は同国の情報機関MITがシリアへ侵略しているダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)へ武器/兵器を秘密裏に運び込んでいると報道している。

 2014年1月に起こった出来事が報道の元。ダーイッシュやアル・カイダ系武装集団を支援するための兵站線がトルコからシリアへ延びているのだが、その輸送をしていたトラックの車列をトルコ軍の憲兵隊が摘発したのだ。

 昨年11月26日にジュムフリイェト紙のジャン・ドゥンダル編集長とアンカラ支局長のエルデム・ギュルは「国家機密」を漏らしたという理由で逮捕され、今年5月には 懲役5年以上の判決 が言い渡された。その日、 裁判所の前でドゥンダルは銃撃 されたものの、銃弾は当たらなかった。編集者が逮捕された2日後には、武器/兵器の密輸を摘発したウブラフム・アイドゥン憲兵少将、ハムザ・ジェレポグル憲兵中将、ブルハネトゥン・ジュハングログル憲兵大佐が逮捕されている。

 何度も書いてきたが、2011年3月にシリア侵略が始まった当時からトルコは侵略勢力の拠点で、兵站線がトルコからシリアへ延びていることも知られていた。これは西側のメディアでさえ報道している。例えば、ドイツの DW は2014年11月、トルコからシリアへ戦闘員が送り込まれ、武器、食糧、衣類などの物資がトラックで供給されている事実を報じている。その大半の行き先がアル・カイダ系武装集団やダーイッシュだということも公然の秘密だった。

 イランのテレビ局プレスTVの記者だったセレナ・シムもこうした人や物資の動きを調べていたひとりで、トルコからシリアへダーイッシュの戦闘員を運び込むためにWFP(世界食糧計画)やNGO(非政府組織)のトラックが利用されている事実をつかみ、それを裏付ける映像を入手したと言われている。そのシムは2014年10月19日に「交通事故」で死亡したが、その前日、MITから彼女はスパイ扱いされ、脅されていたという。

公正発展党の事件への関与を指摘する報告書 を公表し、アダナの検察当局はサリンがトルコからシリアへ運び込まれたとする情報を調べ始めたとしている。エルデムらによると、捜査記録には化学兵器の材料になる物質がトルコからシリアへ運び込まれ、そこでダーイッシュが調合して使ったとしているという。この事実を公表した後、 エルデム議員らは起訴の脅しをかけられた

 エルデム議員は治安当局の盗聴テープも入手したとしている。それによると、昨年9月22日から10月17日の間だけで戦闘員やその家族約1400名がトルコからシリアへ入ったと見られ、またダーイッシュの戦闘員は負傷するとトルコへ運び込まれ、治療されているという。

 調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュによると、リビアのムアンマル・アル・カダフィ体制が崩壊した後、リビア軍の倉庫から武器/兵器が持ち出されてトルコへ運ばれているが、その中には化学兵器も含まれていた。

 輸送の拠点になったのはベンガジにあるCIAの施設で、そうした事実をアメリカ国務省は黙認、輸送には マークを消したNATOの輸送機 が使われたとも伝えられている。2012年9月11日に襲撃されたベンガジのアメリカ領事館も拠点のひとつ。そこで、 殺されたクリストファー・スティーブンス大使はその前日、武器輸送の責任者だったCIAの人間と会談、襲撃の当日には武器を輸送する海運会社の人間と会っている

 ダーイッシュはシリアやイラクで石油を盗掘して資金作りに利用しているが、その盗掘石油が運び込まれる先はトルコ。エルドアンの息子、ビラル・エルドアンが大株主のひとりであるBMZによってジェイハンへ運ばれ、そこからタンカーでイスラエルへ輸送し、そこで偽造書類を受け取ってEUで売りさばくという仕組みだとも言われている。

 BMZの背後に存在しているジェネル・エネルギー社はジャージー島に登記されている会社で、ジェネル・エネルジ・インターナショナルが所有している。この投資会社はバラレスという投資会社に買収された。バラレスはアンソニー・ヘイワード(元BP重役)、金融資本の世界に君臨しているナサニエル・ロスチャイルド、その従兄弟にあたるトーマス・ダニエル、そして投資銀行家のジュリアン・メセレルによって創設された会社だ。


 エルドアンは言論を弾圧しているだけでなく、憲兵隊や検察も強権で黙らせている。その手先が情報機関であり、その背後にはアメリカの好戦派、サウジアラビア、イスラエルなどが存在している。そうした事実をトルコ国民は知り始め、反発は強まっている。軍の内部でも反発は強く、クーデターの噂もある。元ミス・トルコの摘発はこうした背景のなかで起こった。言論を弾圧しなければならない切迫した事情がエルドアンにはあるということだ。





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最終更新日  2016.06.02 17:24:20


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