アメリカ軍が6機の戦略爆撃機B-52をディエゴ・ガルシアへ送り込みつつある
ディエゴ・ガルシアはインド洋の真ん中にある島で、イギリスが不法占拠、それをアメリカが使っている。ICJ(国際司法裁判所)は同島を含むチャゴス諸島をモーリシャスへ返還するようにと勧告しているが、米英は無視してきた。この島にもアメリカの秘密刑務所が存在していると言われ、マレーシア航空370便が消息を絶った際、この基地に降りたのではないかと噂された。
中東ではアメリカに従属していた国が自立の動きを見せている。トルコの離反は本ブログでも繰り返し書いてきたが、サウジアラビアもアメリカから離れつつある。言うまでもなく、サウジアラビアは重要な産油国であり、石油取引を利用して発行されたドルをアメリカへ還流させるペトロダラーの仕組みを支えてきた。サウジアラビアの自立はアメリカの支配システムを揺るがすことになる。
サウジアラビアのロシアへの接近が注目されたのは2017年10月のことだった。サルマン国王がロシアを訪問し、防空システムS-400の購入で合意したと報じられたのだ。その半年前、アメリカ海軍の駆逐艦2隻、ポーターとロスが巡航ミサイルのトマホーク59機をシリアのシャイラット空軍基地に向けて発射したものの、6割が無力化されるという出来事があった。それがサウジアラビアの動きに影響した可能性もある。
なお、2018年4月にアメリカ軍はイギリス軍とフランス軍を巻き込み、100機以上のトマホークをシリアへ向けて発射したが、7割が無力化されている。2017年には配備されていなかった短距離用の防空システムのパーンツィリ-S1が効果的だったと言われている。
そして2019年9月14日にサウジアラビアを震撼させる出来事があった。イエメンでサウジアラビア軍と戦っているフーシ派が18機のUAV(無人機。ドローンとも呼ばれる)と7機の巡航ミサイルでサウジアラビアのアブカイクとハリスにあるアラムコの石油処理施設に大きなダメージを与えたのだ。
アメリカのマイク・ポンペオ国務長官はイランによる攻撃だと主張、モハメド・ビン・サルマン皇太子のほかイギリス、フランス、ドイツも同意しているものの、情況証拠はフーシ派の発表が正しいことを示している。そして9月29日にフーシ派はナジュランでサウジアラビアの3旅団を壊滅させたと発表、その際に映像も公開した。
9月14日の攻撃はアメリカ製の防空システムが無能だということを明らかにした。破壊された石油施設の周辺には88基のMIM-104 ペトリオット・システムが配備されていて、そのうち52基は日本も導入を進めているという新型のPAC-3。しかもペルシャ湾にはアメリカ海軍に所属する3隻の駆逐艦(イージス艦)がいたのだが、攻撃を防げなかったのだ。
ところで、アメリカ軍によるガーセム・ソレイマーニーの暗殺を受け、イランのゴムにあるジャマカラン・モスクには報復を象徴する赤い旗が掲げられた。これはイランの歴史で初めてのことだという。イランの報復があれば、アメリカはイランの52カ所を攻撃するかもしれないと脅しているが、その一方でイランとの戦争を望んでいないともしている。イランとの戦争を始めた場合、サウジアラビアとの関係が決定的に悪くなる可能性があることも影響しているだろう。