《櫻井ジャーナル》

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2022.10.26
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カテゴリ: カテゴリ未分類

 ​ アメリカで実施された最新の世論調査によると、11月に予定されている中間選挙で民主党は大敗しそうだ ​。最大の理由は経済政策に対する不審、不満で、外交政策も支持されていない。バラク・オバマ政権の政策を引き継ぎ、ジョー・バイデン政権はロシアに対する経済戦争を仕掛け、軍事的な緊張を高めてきたが、ロシアと戦略的な同盟関係にある中国との関係も悪化、EUや日本だけでなくアメリカも窮地に陥っている。

 2016年の大統領選挙でオバマと同じ民主党に所属するヒラリー・クリントンが共和党のドナルド・トランプに負けた。ロシアとの関係を悪化させる政策を進めていたオバマはロシアとの関係修復を訴えて当選したトランプへの置き土産として12月に外交官35名を含むロシア人96名を追放、CIA、FBI、司法省、有力メディアなどはトランプとロシアが不適切な関係にあるとする話を作り上げ、攻撃した。オバマ政権で副大統領を務めたバイデンは自らが大統領になるとオバマと同じようにロシアとの関係を悪化させ、核戦争の可能性を高めている。

 オバマ政権は2013年11月から14年2月にかけてウクライナでネオ・ナチを使ったクーデターを実行、ビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒した。ヤヌコビッチの支持基盤だった東部や南部の住民はクーデターに反発、クリミアはいち早くロシアと一体化してネオ・ナチからの攻撃に備え、ドンバス(ドネツクやルガンスク)ではロシアが救いの手を差し伸べなかったことから内戦になった。その内戦でドンバスの住民はキエフ政権の軍や親衛隊に1万数千人が殺されたと言われている。

 そして今年2月中旬からウクライナ軍によるドンバスへの攻撃が激しくなり始め、その直後、2月24日にロシア軍がウクライナで軍事作戦を開始した。ウクライナ軍の軍事基地やアメリカ国防総省が建設した生物化学兵器の研究開発施設がミサイルで攻撃され、ロシア軍はそこから機密文書を回収している。

 この攻撃についてアメリカ軍の情報機関​ DIAもロシア軍が長距離ミサイルが攻撃している目標は軍事施設だと説明、住民が狙われているとする話を否定 ​していた。ロシアのウラジミル・プーチン政権は住民に犠牲者が出ないように配慮したのだが、そのために軍事作戦は長引くことになる。

 それに対し、ウクライナの軍や内務省の親衛隊、特に親衛隊は住宅地に攻撃拠点を作り、住民を人質にして対抗した。こうした状況はドンバスへ入った独立系ジャーナリストが伝えていたが、8月4日には人権擁護団体の​ アムネスティ ​も市民を危険に晒す戦術をウクライナ軍が採用していると批判する報告を発表した。学校や病院を含む住宅地にキエフ政権側の武装勢力が軍事基地を建設し、そうした場所から攻撃することで住民を危険な状態になったとしている。後に外部から強い圧力があったようだが、報告書の内容は基本的に正しい。

 ヤヌコビッチ政権を倒したクーデターを現場で指揮していた人物がネオコンのビクトリア・ヌランド国務次官補。2014年2月上旬、彼女が電話でジェオフリー・パイアット米国大使に「次期政権」の閣僚人事について指示している音声がインターネットに流れた。

 彼女は暴力的にヤヌコビッチを排除しようと考えていたようで、話し合いでの解決を目指していたEUを不愉快に感じていた。話し合いではヤヌコビッチを排除できない。そこでヌランドは「EUなんかクソくらえ」と口にしたのだ。「品が悪い」といった次元の話ではない。

 オバマ政権下の2016年8月にウクライナ駐在大使はパイアットから​ マリー・ヨバノビッチ ​へ交代になり、19年5月まで務めた。そのヨバノビッチは今年4月にインタービューの中で、ドナルド・トランプが大統領だったならバイデンのように立ち上がることはなかったと考えていると語っている。ホストからドナルド・トランプが大統領だったならウラジミル・プーチンは戦争を始めなかったかもしれないと言われているが、と言われての回答だ。トランプはNATOに批判的だともヨバノビッチは語っている。

 ヨバノビッチがインタビューを受けた当時、ウォロディミル・ゼレンスキー政権がドンバスへ送り込んだ軍や親衛隊の部隊は壊滅壊滅必至の状態だった。そこで4​ 月9日にイギリスのボリス・ジョンソン首相がキエフに乗り込んで停戦交渉を止め ​、4月21日にはウクライナ南部の​ ミコライフ州のビタリー・キム知事が「ウクライナ24テレビ」の番組で「全ての裏切り者を処刑する」と国民を脅し ​、4月30日になるとナンシー・ペロシ米下院議長が下院議員団を率いてウクライナを訪問、ゼレンスキー大統領に対してウクライナへの「支援継続」を誓い、戦争の継続を求めた。ジョンソン英首相は8月24日にもキエフを訪問、ロシアとの和平交渉を進める時間的な余裕はないと釘を刺している。

 9月の中旬になるとトランプが嫌っていたというNATOが表面に出てきた。たとえば9月13日にアンドリー・イェルマーク・ウクライナ大統領府長官とアナス・ラスムセンNATO前事務総長が「キエフ安全保障協定」の草案を発表、アメリカの統合参謀本部は「ウクライナ司令部」を創設するとしている。

 アメリカ海兵隊の元情報将校でUNSCOM(国連大量破壊兵器廃棄特別委員会)の主任査察官を務めたスコット・リッターによると、相当数の兵士をNATOは訓練、最新兵器を扱えるようにしていた。その部隊をここにきて投入しているという。その一方で兵器や情報を提供、さらに作戦もNATO軍が立てる態勢になったとも言われている。

 それに対し、プーチン大統領は9月21日に部分的な動員を実施すると発表。義勇軍と動員で約30万人が新たに増え、近日中に戦力は倍増される。指揮体制も大きく変化、西部軍管区司令官の司令官がロマン・ビアルニコフ中将へ、またドンバス、ヘルソン、ザポリージャでの指揮官としてセルゲイ・スロビキン大将へ交代、またチェチェン軍を率いているラムザン・カディロフは上級大将の称号を与えられた。いずれも実戦経験が豊富で、11月から本格的な攻撃をロシア軍は始める可能性がある。そのためにロシア軍は​ T-90M戦車 ​や防空システムの​ S-400 ​もドンバスへ輸送している。

 2月24日に始めたロシア軍の攻撃は本格的な軍事作戦ではなく、ドンバスの住民をキエフ側の攻撃から守ることにあった。プーチンが「何もしていない」と言ったのはそういうことだが、それでもヨバノビッチは驚いたようだ。彼女も「脅せば屈する」と思っていたのだろう。そしてさらに脅そうとしたのだが、それに対してロシアは11月からは軍事作戦を始める可能性が高い。敗北も話し合いも拒否するネオコンやゼレンスキー大統領に残された手段は限られている。統合参謀本部を強引に動かすような演出をする可能性がある。






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最終更新日  2022.10.26 13:17:42


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