イスラエルの好戦派はイランに対する「報復」を主張していたが、本当にイランを攻撃したなら、次はイスラエルの主要施設が破壊される。
イスラエル軍が 4月1日にダマスカスのイラン領事館を空爆し、 IRGC(イスラム革命防衛隊)の特殊部隊と言われているコッズのモハマド・レザー・ザヘディ上級司令官と副官のモハマド・ハディ・ハジ・ラヒミ准将を含む将校7名を殺害、国連が何もできなかったことからイラン自身が報復したのだが、イランの攻撃能力を示すことを意図したもので、破壊は限定的だった。
4月1日に領事館を攻撃したF-35戦闘機が発進したネバティム基地は2本の滑走路にミサイルがヒット。これは衛星写真で確認されている。ラモン基地にミサイルが命中する様子とみられる映像も公開された。極超音速ミサイルは勿論、大半の弾道ミサイルは目標に命中したと報告されている。
ネゲブ砂漠のハルケレン山頂には「サイト512」と呼ばれる基地があり、イスラエルを攻撃するイランからのミサイルを監視するAN/TPY-2 Xバンドレーダー施設がある。そのレーダーはイランの攻撃に対して有効でなかったのだが、同じものが日本の青森県車力と京都府京丹後にも設置されている。
イスラエル軍が国際法を無視してイランの領事館を攻撃してIRGCの幹部を殺害したのは、イランに報復させ、アメリカ軍をイランとの戦争に引き込むことにあったと見られているが、イランは大きな破壊を伴わずに攻撃力をアピールした。
今回のイランによる攻撃でイスラエルの防空システムが無力だということが判明、イランとイスラエルが戦争を始めた場合、イスラエル単独で勝てないことは明確になった。イラクやシリアにアメリカ軍が建設した軍事基地も破壊されることは避けられず、ジョー・バイデン政権としてはイスラエルにイランを攻撃させたくないだろう。
中東のメディアによると、アメリカ政府はイランを攻撃しなければ、ガザ南部のラファを攻撃することを承認すると提案したという のだが、アメリカのNSC(国家安全保障会議)の報道官はこの話を否定した。
ラファにもハマスの戦闘員がいるとされているが、そこには100万人とも150万人とも言われるパレスチナ市民が避難している。すでに3万5000人以上のパレスチナ住民が殺されているが、ラファが実際に攻撃された場合、これまで以上の大量殺戮は避けられないだろう。
ガザでの虐殺はイスラエル軍が実行しているわけだが、アメリカ、イギリス、ドイツなどの支援がなければ不可能だった。こうした西側諸国は共犯者だということである。