ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は9月25日に国連総会で演説したが、その際、ロシアがウクライナの原子力発電所へのより深刻な攻撃を計画していると主張した。同国で9月5日から外務大臣を務めているアンドリー・シビハは9月21日に同じことを語っている。
しかし、原子力発電所を攻撃してきたのはウクライナだ。8月6日に同国軍はスーミからロシアのクルスクへ軍事侵攻したが、その目的はクルスク原発に対する攻撃だったと見られている。この原発だけでなく、ウクライナ軍は8月11日にザポリージャ原発の冷却塔をドローンで攻撃、火災が発生した。
そのザポリージャ原発をウクライナ軍は2022年8月、イギリスで開発された空対地ミサイルの「ブリムストーン」、あるいは「M777榴弾砲」で攻撃している。この原発には6つの原子炉があり、それらが破壊された場合、その被害はヨーロッパやロシアだけではすまなかった。
ザポリージャ原発は2022年3月中旬からロシア軍の管理下にあり、ロシア軍の兵士がいる。 その兵士を攻撃するとウォロディミル・ゼレンスキー大統領は公言していた。つまりザポリージャ原発と発言していた。 その予告通りの攻撃があったわけだ。
ゼレンスキー政権は同年2月下旬からロシアのウラジミル・プーチン政権と停戦交渉をイスラエルやトルコを仲介役として行い、ほぼ合意に達した直後のことだ。その交渉をアメリカ政府やイギリス政府が潰したことは明確になっている。
2023年6月6日にウクライナ軍はノヴァ・カホウカ・ダムを爆破、ヘルソンのロシアが支配している地域は洪水で水浸しになっている。ウクライナ軍の侵攻を防ぐために作られた地雷原は今回の洪水で押し流されたが、破壊されたダムはクリミアの水源であると同時に電力の供給源。ザポリージャ原子力発電所もダムの水力発電所から電力の供給を受けている。原子力発電所にとって電源喪失がいかに危険なことかは東電福島第一原発の事故を見てもわかる。
ウクライナ軍がダムの破壊を計画していることは昨年の段階で指摘されていた。 ワシントン・ポスト紙は2022年12月に同軍のアンドリー・コバルチュク少将をインタビュー、ドニエプル川を氾濫させるという構想を聞いている。 その構想に基づき、HIMARSでノヴァ・カホウカ・ダムを攻撃し、3カ所に穴を開けたとコバルチュク語った。
ウクライナの原発を攻撃してきたのはウクライアン軍だが、ポーランドのアンドレイ・ドゥダ大統領はザポリージャ原発やチェルノブイリ原発を攻撃したと主張、ロシアがリブネとフメリニツキーにある原発を攻撃した場合、ポーランドは「直ちに介入し、専門家を派遣する必要がある」と宣言している。
ウクライナの敗北は決定的で、降伏も時間の問題だと見られているのだが、そうしたことをポーランド政府も受け入れられない。イギリス政府はウクライナにロシアとの戦争を続けるように要求してきた。アメリカのジョー・バイデン政権も同じだが、ここにきて国防総省がロシアとの核戦争勃発を懸念してか、ブレーキをかけ、安全保障部門や国務省と対立ているようだ。
西側でも戦争継続を嫌う勢力が増える中、ウクライナを利用してロシアを疲弊させ、あわよくば壊滅させようとしている勢力はウクライナの原子力発電所で偽旗挑発を目論んでいる可能性があると懸念する人もいる。
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【 Sakurai’s Substack 】