イスラエル軍は9月30日の声明で、南レバノンへ地上部隊を侵攻させたと述べたが、ヒズボラはイスラエル軍との戦闘は起こっていないと発表した。レバノン領内にヒズボラは 強力な防衛線を築き、大量の ミサイルを保管している。ハッサン・ナスララを含む幹部がイスラエル軍の空爆で殺害され、住民の死者は1700名を超えたが、すでに次の指導部はすでに動き始め、反撃が始まっている。ヒズボラはそうした事態を想定して対応策が講じられていた。
イスラエル軍は 2006年7月から9月にかけてレバノンへ軍事侵攻したが、その際にイスラエル軍は敗北、「メルカバ4」戦車も破壊されている。イスラエル軍が地上戦を始めた場合、その時以上に厳しい状況に陥る可能性がある。そこでイスラエル軍の地上部隊は南レバノンへ侵攻しないのではないかと言われていた。
しかし、イギリスはイスラエル軍の訓練を実施してきた。それについて質問されたイギリスの国防省は情報の公開を拒否している。この方針は保守党政権も労働党政権も同じだ。ちなみに、現労働党政権を率いるキール・スターマー首相はイスラエルとの関係が深い。
軍事訓練だけでなく、物資の支援もイギリスはアメリカと同様に行ってきた。両国は 自分たちの軍事拠点があるキプロスから物資をイスラエルへ運び込んでいると伝えられていたが、キプロスにはイギリス空軍のアクロティリ基地があり、イギリス空軍だけでなくアメリカ空軍の偵察航空団も駐留しているのだ。
イスラエルのハーレツ紙によると、昨年10月7日からイスラエルへアメリカ軍の大型輸送機が20機、そしてイスラエルと各国がリースした民間輸送機が約50機、物資を輸送している 。その後、6機以上のイスラエル軍機がイギリスへ飛来しているとする情報が伝えられた。 イギリスのグラスゴー、バーミンガム、サフォークとオックスフォードシャーの空軍基地に来ている という。イギリスの基地を飛び立ったイスラエルの輸送機はネゲブ砂漠にあるベールシェバに到着しているというが、そこあるネバティム空軍基地は兵站の拠点だ。
その一方、ヒズボラはテルアビブ郊外のグリロット軍事基地、そして情報機関モサドの本部をファディ4で攻撃したとしている。グリロット基地はイスラエル軍情報部アマンの拠点で、電子情報機関の8200部隊も入っている。イスラエルのメディアによると、ヒズボラからイスラエルに対して発射されたロケット弾の集中砲火は戦争開始以来最大規模だという。
ヒズボラは9月25日にハイファ南部の海軍基地にドローン攻撃を仕掛け、モサド本部に向かってカデル 1弾道ミサイルを発射、8月25日にはグリロット基地をミサイルとドローンで報復攻撃したが、その際、数百のミサイルを発射してアイアン・ドームと迎撃ミサイルを消耗させた上で無数のドローンを目標に向かわせたという。それ以降、イスラエル政府は厳しい報道管制を敷いているが、それでも被害状況は漏れている。
ガザでの虐殺に続いてレバノンを攻撃したイスラエルに対するイスラム世界の怒りは高まっている。イエメンのアンサール・アッラー(フーシ派)はイスラエルに向かってミサイルを発射、イランの最高指導者は ヒズボラを支援するよう呼びかけている。この呼びかけにイラク、シリア、イエメン、パレスチナの戦闘員が応じると見られている。
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