対ロシア戦争の一環としてウクライナを乗っ取る工作を指揮してきたネオコンのひとり、 ビクトリア・ヌーランドがNED(全国民主主義基金)の理事会メンバーに就任すると発表された 。彼女は国務次官に任命する前の2018年から21年にかけてもNEDの理事を務めている。
NEDはCIAが工作資金を流す仕組みのひとつで、1983年11月に創設されている。第2次世界大戦後、世界では大戦後の混乱を利用して植民地が次々と独立、欧米の巨大企業が利権を失い始めた。その利権を守るためにCIAはファシストや犯罪組織などと手を組み、利権を維持拡大するために配下の軍人を使ったクーデターを実行していく。
しかし、1970年代になると、そうしたクーデターに対する批判がアメリカ議会でも強まり、やり方を変える必要性が生じた。そこでロナルド・レーガン政権のCIA長官、ウィリアム・ケーシーは1983年に民主化や人権を看板に掲げて民間を装った組織の創設を考える。(F. William Engdahl, “Manifest Destiny,” mine.Books, 2018)
CIAは1970年代後半から情報をコントロールするためにメディアや映画界の支配を強化。その一環としてメディアの資本規制が緩和されて所有者の寡占が進んだ。
また、ロナルド・レーガン大統領は1983年1月、NSDD11に署名して「プロジェクト・デモクラシー」や「プロジェクト・トゥルース」が始まった。そして設立されたのがNEDにほかならない。こうしたタグは効果的だった。
NEDへはアメリカ国務省のUSAIDを含む政府の資金が流れ込んでいるが、その実態はCIAの工作資金。NEDからNDI(国家民主国際問題研究所)、IRI(国際共和研究所)、CIPE(国際私企業センター)、国際労働連帯アメリカン・センターなどを経由して工作対象へ流れていく。NEDをはじめ、こうした団体の名前が出てきたらCIAの影響下にあると考えて間違いない。
ヌランドと同じネオコンのエリオット・エイブラムズが理事長を務めるイスラエルのティクバ基金はベンヤミン・ネタニヤフ政権を樹立させるために資金を提供していると言われている。現在、イスラエルはガザやレバノンで住民を大量虐殺しているが、その黒幕はネオコン。アメリカのジョー・バイデン政権もネオコンに支えられているわけで、イスラエルによる虐殺はアメリカ政府も共犯関係。現在、国務副長官を務めているカート・キャンベルもネオコンで、東アジアにおける工作を仕切っている。
ウクライナ、パレスチナ、東アジアはネオコンが仕掛けているひとつの作戦だと言えるだろう。
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