ロシアのアンドレイ・ベロウソフ国防相が11月29日に朝鮮を訪問した。6月19日にロシアのウラジミル・プーチン大統領と朝鮮の金正恩総書記が会談、安全保障、経済、国際問題などについて協議し、戦略的パートナーシップ条約に調印。ロシアのセルゲイ・リャブコフ外務次官はアメリカの好戦的な政策への対抗策としてアジア太平洋地域に中距離および短距離ミサイルを配備する可能性を否定していない。ベロウソフ国防相の朝鮮訪問は両国の関係をさらに強化することが目的だろう。
アメリカは東アジアで軍事的な緊張を高めてきた。日本は2016年には与那国島でミサイル発射施設が建設され、2019年には奄美大島と宮古島、そして23年には石垣島でも自衛隊の軍事施設が完成、ミサイルが配備されている。そうした動きへの対抗策を講じる必要性をロシアや朝鮮は感じ始めたのだろう。ミサイル配備の目的をアメリカ国防総省のシンクタンクRANDコーポレーションは、GBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲するためだとしている。
そうしたミサイルを配備できそうな国は日本だけだが、日本には「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約があるため、アメリカはASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備で日本に協力することにしていた。
ところが、 2022年10月に「日本政府が、米国製の巡航ミサイル「トマホーク」の購入を米政府に打診している」とする報道があった 。亜音速で飛行する巡航ミサイルを日本政府は購入する意向で、アメリカ政府も応じる姿勢を示しているというのだ。攻撃的な色彩が濃くなっている。
南西諸島にミサイルを並べつつあった2017年にアメリカ、オーストラリア、インド、日本はQuad(日米豪印戦略対話)を復活させたが、このうちインドは現在、アメリカと一線を画している。
NATO(北大西洋条約機構)の事務総長を務めていたイェンス・ストルテンベルグは2020年6月、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、日本をメンバーにするプロジェクト「NATO2030」を開始すると宣言。その後、アメリカはオーストラリア、インド、日本と「クワド」なる連合体を組織、またオーストラリアやイギリスと「AUKUS(A:オーストラリア、UK:イギリス、US:アメリカ)」という軍事同盟を作り上げた。
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