モスクワを訪問していた中国中央軍事委員会の張又俠副主席がアンドレイ・ベロウソフ国防相と会談、ミサイル防衛と戦略的安定について協議し、両分野における協力強化で合意したという。 アメリカはヨーロッパだけでなく日本列島にも大陸を攻撃できるミサイルの発射施設を建設しているが、そうした動きを意識したものだろう。
自衛隊は2016年に与那国島でミサイル発射施設を建設、19年には奄美大島と宮古島、そして23年には石垣島でも施設を完成させた。 アメリカの国防総省系シンクタンク「RANDコーポレーション」が2022年4月に発表した報告書は、GBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲する計画について説明している。 アメリカの計画に基づいて自衛隊は軍事施設を建設したと言える。核弾頭を搭載できるトマホークを配備するともされているが、トマホークが発射されたなら、相手は核弾頭が搭載されているという前提で反応する。つまり核兵器で反撃される可能性がある。

ロシアの周辺部にもアメリカはミサイルを配備、NATOを東へ拡大させた。これはナチ時代のドイツによるソ連への軍事侵攻、バルバロッサ作戦を彷彿とさせる動きであり、ロシアが反発しただけではない。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、リチャード・ニクソン元米大統領は1994年3月21日にビル・クリントン大統領へ手紙を出し、その中でウクライナの内部状況が非常に危険だと警告。 ウクライナで戦闘が勃発すれば、ボスニア・ヘルツェゴビナでの戦争は「ガーデンパーティー」のように感じられるとしている。
こうした政策は必然的にロシアから悪い反応を引き出すことになる見通し、NATOがロシア国境までの拡大すれば新たな冷戦を引き起こすことになるとしていた。ポーランド、ハンガリー、チェコで拡大が止まれば、そこで新たな分断線が引かれるともケナンは予測していたが、実際はそこで止まらず、ウクライナを制圧しようとする。「新バルバロッサ作戦」だ。
ヘンリー・キッシンジャーは2014年3月5日付けワシントン・ポスト紙でウクライナとロシアの関係について論じている。
ロシアの歴史はキエフ・ルーシで始まり、宗教もそこから広がり、ウクライナは何世紀にもわたってロシアの一部であり、その前から両国の歴史は複雑に絡み合っていたと指摘している 。ロシアにとってウクライナが単なる外国ではないということだ。特に東部と南部はロシアとの繋がりが強い。
こうした「旧保守」の警告をネオコン(新保守)は無視、対ロシア戦争を始めてしまった。簡単にロシアを屈服させられると考えていたのだろうが、逆襲で敗北必至のNATO諸国はパニックに陥っている。NATO諸国を率いている人びとは今でもロシアの戦力、工業力を過小評価し、自分たちの戦力と工業力を過大評価しているようだ。
ウクライナで敗れたアメリカやイギリスは東アジアの軍事的な緊張を高め、自分たちの存在感を高めようとしているが、中国とロシアの同盟は強化されている。バラク・オバマ政権がウクライナでクーデターを仕掛けた当時、日本でも中国とロシアが手を組むことはありえないと主張する「知識人」が少なくなかったが、それは妄想にすぎなかった。
東アジアの均衡を保つための前提、「ひとつの中国」を高市早苗首相は否定、核を保有しない、製造しない、持ち込まないという非核3原則に否定的な姿勢を示した。台湾と中国が別の国だということは台湾にアメリカが軍事基地を建設して「航空母艦」にできるということであり、日本列島に並べられたミサイルの核弾頭を搭載することもできるということを意味する。高市は首相に就任して早々、中国を軍事侵略するかもしれないと脅したわけだ。
ネオコンは中国やロシアを脅して屈服させようとして失敗したが、高市首相も同じことをしている。EUは自分たちの経済を支えていたロシアのエネルギー資源を断ち切ることで破滅へ向かっている。菅直人政権の前原誠司と同じように、高市首相は日本にとって最大の貿易相手国である中国との関係を悪化させた。日本を破壊しようとしている。
高市首相が民族派?
まさか!
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