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空想の交響曲と題されたアルバム。フランスのパリ西方約30kmのポワシーという人口約4万人の都市にあるポワシー劇場のでライブです。ミンコフスキーがラモーの管弦楽曲17曲をピックアップしたもので、交響曲的な萌芽が認められる作品を集めているらしいです。ラモーは最近ぽつぽつ聞き始めたばかりなのですが、優しく優雅な音楽という認識がありました。ところがここで集められている音楽はごつごつした感触の音楽が多いと感じられます。これがシンフォニックに通じるのかなと思うのですが、それでも、優雅な踊りの音楽もあり、どうもよくわかりません。あまり、交響曲という言葉を意識しないで聞くほうがいいかもしれません。ごつごつの代表は11曲目の「コンセール 第6番」ですが、これは他人の作品の編曲ですから、原曲の持ち味なのかもしれません。「めんどり」という副題がついていますが、旋律がコッコッという鶏の鳴き声を思わせる音型なので、そう呼ばれているのだと思います。ただ、おとなしい鶏ではなく、凶暴な感じがします。続く「テルプシコーレのダンス」は以前も聞いたことのある旋律です。第6曲目「レ・ボレアード」からの「ロンドー形式によるコントルダンス」では静かな部分と急速調のパッセージが弦で奏される部分の二つからできています。急速調の部分の分厚い音は凄味があります。9曲目のバレ・ブフォン「プラテ」からの第1幕第6場「嵐」の音楽も同様に凄味のある弦の音が楽しめます。荒々しい曲が多い中で15曲目の「優雅なインドの国々」の「 未開人の踊り:ロンドー」はマイナーな旋律がいい感じですが、力強さもあります。続く、「レ・ボレアード」からの「ポリヒュミニアのアントレ」は穏やかな旋律に癒されますが、どうしてこのアルバムに入っているのは理由がわかりません。最後の「優雅なインドの国々」からの「 シャコンヌ」はいかにもシンフォニックと呼べる音楽で、ここに収録されているのも頷けます。ミンコフスキーとルーヴル宮音楽隊の演奏はラモーの音楽の多様性を余すことなく表現していて、まずは申し分のないものではないでしょうか。つまらない音楽は皆無で、聴いていてとても楽しいです。なお、このCDはCDとSACDのハイブリッド版でSACDの広がりのある音がとても心地よいです。こちらで、「優雅なインドの国々」のロンドが歌と合唱入りで演奏されています。このアルバムを聴いていたら、ラモーのオペラを見たくなりました。だいぶ前に、オーパス・アルテのオペラの11枚組のボックスを購入していたのですが、「優雅なインドの人々」の最初をちょこっと見たきりほったらかしですです。そういえば、メータの「ジークフリート」は少し見たのですが、その後購入した全曲盤のBDは全く見ていません。映像の場合なかなか見る機会が作れないということがありますが、たまる一方です。自分で主体的に見ようという決心をしないと見られないということもあります。映像に関していえば、数日前に以前録画しておいたABTの加治屋百合子さんのドキュメンタリーをやっと見たぐらいです。放送が9月ぐらいですから、半年後に見たということになりますが、ちょっと遅すぎます。その点、音だけだとどこでも聞けるし、なによりも、ながらができるのが一番の利点です。une symphonie imaginaire(ARCHIV00289 477 5578)1. 英雄牧歌劇≪ザイス≫ 序曲〔混沌からの解放と四大元素が分離する時の衝撃を描いた序曲〕2. 音楽悲劇≪カストールとポリュクス≫ 葬儀の場(第2幕第2場)3. オペラ=バレエ≪エベの祭典≫ 優美なエール(第2アントレ:音楽、第5場)4. 音楽悲劇≪ダルダニュス≫ タンブーランI&II(プロローグ)5. オペラ=バレ≪栄光の神殿≫ 女神たちのための優美なエール(第1幕)6. 音楽悲劇≪レ・ボレアード≫ ロンドー形式によるコントルダンス7. アクト・ド・バレ≪オシリスの誕生≫ 優雅なエール8. 音楽悲劇≪レ・ボレアード≫ 時とゼフィールのためのガヴォットI&II(第4幕第4場)9. バレ・ブフォン≪プラテ≫ 嵐(第1幕第6場)10. 音楽悲劇≪レ・ボレアード≫ 前奏曲(第5幕第1場)11. コンセール 第6番 (≪六重奏による6つのコンセール≫から) (≪新クラヴサン曲集≫からの作者不詳の編曲) めんどり12. オペラ=バレエ≪エベの祭典≫ ロンドー形式によるミュゼット(テルプシコーレのダンス)_ロンドー形式によるタンブーラン(第3アントレ:舞踏)13. 音楽悲劇≪イポリトとアリシ≫ リトゥルネル(第3幕)14. 英雄牧歌劇≪ナイス≫ リゴドンI&II(プロローグ)15. オペラ=バレ≪優雅なインドの国々≫ 未開人の踊り:ロンドー(第4アントレ:未開人)16. 音楽悲劇≪レ・ボレアード≫ ポリヒュミニアのアントレ(第4幕第4場)17. オペラ=バレ≪優雅なインドの国々≫ シャコンヌ(第4アントレ:未開人) LES MUSICIANS DU LOUVREMARC MINKOWSKI(cond)Recorded live at the Theatre de Poissy,Saale Moliere,6/2003
2012年03月31日
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年度が替わる時期です。この時期は学生は卒業、入学、社会人は転勤や所属の異動などが行われます。個人的にも久しぶりの異動で、今日机を新しい職場に持っていきました。 今までは入社以来技術関係の部署にいたのですが、今度は全く違う品質保証の部署です。ただ、品質保証は標準が関係してくるので、今までしてきた仕事とかぶっているところがあり、違和感は全くありません。前任者はいなくなったのですが、プライヴェートでも、多少、懇意にさせてもらっていたので、何かわからないことがあった時に教えてもらえるのは、有難いです。実際にその部屋に移ったら、雰囲気がまったく違っていて、少し戸惑いました。前の職場は広いフロアで他の課と同居していたので、常にざわざわしている感じがありました。それに、次々に新製品を手掛けているところなので、落ち着いた雰囲気にはとてもなりません。私は、製品自体にはかかわっていないのでわかりませんが、それでも皆さんの大変さは理解しているつもりでした。ところが、新しい職場は、その人たちだけのところで、人数も少なく、非常に静かです。年寄ばっかりかと思っていたら、若い人も2人ほどいました。女性も数人います。年寄ばかりだと、空気がどよ~んと淀んでいるもんですが、彼らのおかげで、そういう感じはしませんでした。それに、男だけの所帯だとどうしても殺伐とした雰囲気になりがちです。女性がいると、そういう雰囲気がやわらげられるものです。最近の若者はどの方も爽やか系で、印象はいいのですが、誰が誰だかわからないということがあり、もう少し個性を出してもいいのではないかと思います。しかし、少なくとも、雰囲気をよくすることには貢献していると思います。とりあえず、正式には来週になってから新しい仕事になるわけですが、積み残している仕事も少しあり、新しい仕事もまだちゃんと決まっているわけではないので、もう少し時間がたたないと落ち着かないと思います。どちらにせよ、今度のところにいるのは、それほど長いわけではないので、精一杯勤めようと思っています。
2012年03月30日
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ブラッド・メルドーの新作は2008年以来となるトリオ作品。 HMVのコメントによると、題名の「ode」の由来は、実在の人物や映画のキャラクターにode(捧げた)ことから来ています。 全曲メルドーのオリジナルです。トリオとしてはかなり高度なアンサンブルで、ベースとドラムスの動きを聴くとそれがよくわかります。全体的にメルドーの激しいプレイが目立ちます。ラリー・グラナディアのベースはどしりとしていますが、ジェフ・バトラーのドラムスは一生懸命仕事をしているためか、せわしない感じがします。「特にシンバル・レガートが、曲により気になりました」って、以前も書いたような気がしますが、気のせいでしょうか。。。気に入ったのは、タイトルチューンと第8曲目の「Stan the man」、それに第1曲目の「M.B.」(for Michael Brecker)でした。中でも、「Stan the man」を聴いているうちに、パウエルのプレイを思い浮かべてしまいました。パウエルを生で聞いたら、この様な音がしたのではないかと思いを巡らせてしまいました。アップテンポの曲で、指のよく回るソロでぐいぐい迫ります。指がよく回るというのは一般的には褒め言葉ですが、音が軽いという意味が込められていることが多いです。ところが、この演奏は厚みのある音で猛烈な速さで弾かれるので、その迫り方が半端ではありません。なので、パウエルを思い浮かべてしまったというわけです。「ode」はメルドー一流のバラード系の曲。テンポはミディアムですが、その青ざめた妖しげな表情が、メルドーらしい臭さを発散させています。最初は鼻につくのですが、いったん病み付きになると、なかなか癖になる、クサヤみたいな臭さです。思うに、癖になるのは、その不健康ないかがわしさのためではないかと思います。昔だったら、ポールブレイなどが、このようないかがわしさをまき散らしていたものです。現在、このような不健康な音楽は、ジャズの世界ではあまり聴けなくなったように思います。マイケル・ブレッカーに捧げられた「M.B.」は冒頭の印象的なベース・フィギュアから熱を帯びて進んでいきます。メルドーの息もつかせないほどのピアノ・ソロはまさに圧巻です。ブックレットには、メルドーがブレッカーから受けた影響について切々と書かれていて、その熱さにびっくりしてしまいます。フリーフォームの「Eulogy for George Hanson」は映画「イージー・ライダー」(1969)でジャック・ニコルソンが演じた、アル中弁護士ジョージ・ハンソンに捧げられています。多少ゴスペルが入っている曲調で、メルドーとしてはこのような演奏はあまりなかったと思いますが、とても面白かったです。途中のピアノとベースのクロマティックな音階を使った会話も、変わっていて面白いです。ということで、このトリオを想定して作ったという作品の出来がよく、作品に触発された演奏もすばらしかったと思います。BRAD MEHLDAU TRIO:ODE(Nonsuch 7559-79628-4)1.M.B.2.Ode3.264.Dream Sketch5.Bee Blues6.Twiggy7.Kurt Vibe8.Stan the Man9.Wyatt’s Eulogy for George Hanson10.Aquaman11.Days of Dilbert DelaneyBrad Mehldau(p)Larry Grenadier(b)Jeff Ballard(Ds)Recorded 19 April,2011(3,8,10),17 November,2008(except 3.8.10) at Avatar Studios,New York,NY
2012年03月29日
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チック・コリアとゲーリー・バートンのデュオ40周年記念アルバム。 今回はスタジオ録音で、最後のオリジナル「Mozart Goes Dancing」以外は、1940年代から1960年代にわたる彼らの好きなジャズ・クラシックを集めています。ただし、決してスタンダードに焦点を当てているわけではない(バートン)そうです。録音はチックの自宅のスタジオで行われました。終始リラックスした雰囲気で進められ、安心して演奏を楽しむことができます。断続的とはいえ、もう40年もやっているわけですから、いい加減マンネリに陥ってもおかしくないのですが、いつもみずみずしい音楽を奏でてくれます。彼らが、あまり年を感じさせない音楽家であるも確かですが、ここまで長く続いているというのも、音楽的には無論、どちらも穏やかな性格で、相性がいいのだと思います。ところで演奏ですが、これは近来にない高水準の演奏だと思います。つまらない演奏は全くありません。もう40年もやっているわけですから、息が合うのは当然です。火花飛び散るなんとかというわけにはいきませんし、彼らがそれを望んでいるとも思えません。殆んどがスタンダードですが、知らない曲のほうが楽しめました。この中ではブルーベックの「Strange Meadow Lark」が気に入りました。この曲は彼の代表作「Timeout」で取り上げられているのでご存知の方が多いと思いますが私はあいにく聞いたことがなく、この曲のことも知らなかったといいうわけです。アルバムの中で異彩を放っているのはモンクの「Light Blue]です。角の取れた洗練された演奏ですが、モンクの作品であることは隠しようもありません。あまりよく知られていない曲で、私も知りませんでした。ただ、何回か聞いている間にモンクっぽいなとは思っていました。ライナーノーツはバートンが書いていますが、ジャズメンが「My Ship」を取り上げたのはマイルス=ギルの「マイルス・アヘッド」だと書かれています。この演奏は何回か聞いたはずですが覚えていませんでした。今回これを書くにあたって聞いてみましたが、全く記憶がよみがえってきませんでした。何か、古ぼけた写真を見るようで、その当時感じたはずのインパクトが感じられないのです。この曲のメロディーラインが、曲名は忘れましたがゲイル・モランをフィーチャーしたチックの作品のメロディーによく似ていると思って、もしかしたらチックの曲と思ってしまいました。ビートルズの「ノルウェイの森」は意外に良かったです。あまり、ジャズぽく演奏しているわけではありませんが、ハーモニーが新鮮で、面白かったです。ダメロン作曲のタイトル曲は彼ら一流の極度に洗練された演奏で、チックのソロは鳥肌ものです。こういう曲をやらせたら、洗練度において彼らを超える演奏のできるミュージシャンはとても少ないと思います。「Mozart Goes Dancing」はこの前レビューしたピアノ協奏曲「大陸」でも共演していたハーレム弦楽四重奏団がつき合っています。手慣れた演奏で雰囲気がすごくよく、弦を入れたのは正解だったと思います。音も大変よく、これが自宅のスタジオでの録音とは到底信じられないほどです。ところで、これだけ長く演奏していると、くたびれていろいろあらが見えてくるものですが、彼らの演奏にはその兆候すら感じられませんまさしく驚異的です。いくら才能があるとはいえ、それだけではこれだけの年月、この水準をキープしていくことができるはずはありません。蔭では、絶え間のない精進が行われていると思うと、まったく頭が下がります。こちらで昨年3月に行われた「Mozart Goes Dancing」のドイツのブルクハウゼンでのライブを見ることができます。CHICK COREA & GARY BURTON:HOT HOUSE(Concord jazz 0888072333635)1.Can't We Be Friends2.Eleanor Rigby3.Chega de Saudade4.Time Remembered5.Hot House6.Strange Meadow Lark7.Light Blue8.Once I Loved9.My Ship10.Mozart Goes DancingChick Corea(p)Gary Burton(vib)Harlem String Quartet
2012年03月28日
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クリント・イーストウッド監督、レオナルド・ディカプリオ主演のノンフィクション作品。 48年もの長きにわたってFBIの長官として君臨し、大統領に恐れられていたエドガー・フーバーの生涯を描いたものです。1960年代にエドガーの口述された伝記の中の出来事に沿って、ストーリーが展開します。この展開はなかなかしゃれています。個人的には、エドガー・フーバーについてはあまりいい印象がありません。自分の上司である大統領を盗聴して、弱みを握り間接的に影響をあたえるという陰湿なことを行ってきた人でもあります。若いころ、パーマー司法長官自宅の爆破事件の捜査に警察が来るが、指紋や証拠のビラなどに警察は見向きもしない。そんな時代に、指紋の重要性に気づきます。国会図書館ではカードによる検索システムを構築し、それまで検索に要していた時間の数十分の一の検索を実現しました。こういうことは知らなかったので、その時からこういう科学的なことに関してすぐれた手腕を発揮することがわかりました。面白かったのは、私生活を描いた部分です。かなりのマザコンで、友達はいません。人の性格をすぐ見抜くことができます。そのために、司法省の新人秘書ヘレン・ギャンディ(ナオミ・ワッツ)に求婚しますが、仕事のほうに興味があると断られてしまいます。結局その女性は秘書としてエドガーがなくなるまで仕えます。フーバーの業績は目覚ましく描かれていますが、それは他人の功績も全部自分のものとするなど、自己中心的な人物像が描かれています。それから、訓練によって表では出てこなくなっていた吃音、それにもまして、ホモであったことが赤裸々に書かれています。相手であるクライド・トルソンはフーバーが面接で採用した人間で、FBIを弁護士になるためのキャリアづくりと考えていたが、その考えを改めさえ、ついには彼の右腕となる副長官にまで引き揚げます。後半二人の痴話げんかなどが描かれていて、少しキモいです。それに、フーバーが亡くなった母親の服を着るシーンもあります。最後は、キング牧師がノーベル賞受賞を断るために、内部告発を装って、キング牧師に偽の手紙を送ります。しかし、キング牧師は受賞を断りませんでした。そして、彼が使えた最後の大統領ニクソンはもっとも手ごわい相手で、執拗にニクソンの盗聴記録をよこせと言いますが、フーバーは頑としてこれをはねつけます。フーバーが亡くなった時、かねてからの遺言通り、歴代大統領のスキャンダルを含む秘密のファイルは抹消されました。映画では、フーバーの生い立ちから、なぜあのような人物になったかが丹念に描かれていたと思います。キャストは豪華です。ディカプリオは猜疑心の塊のようなフーバーの心像風景を的確に描いていたと思います。彼の演技に注目が集まっていますが、個人的にはこの映画で一番良かったと思うのはクライド・トルソン役のアーミー・ハマーでした。若いころは実年齢とほぼ同じで、シャープな顔立ちで、スマートな役作りです。1960年代の場面では、すっかり老けてしまっていて、最初出てきたときは、どこの老人だと思ってしまいました。とても、クライド・トルソンとは思えませんでした。それは、メークアップがとても巧みなためですが、ディカプリオの老け顔を見ると、皮膚のたるみだけでなく、顔の肉付きまで変えていて、それが全く不自然でないことに驚きました。それに、亡くなった時の太鼓腹もすごいです。あれは多分本人が役作りのために太ったのだと思いますが、半端ではありません。アカデミー・メイクアップ賞で「鉄の女」が受賞したことを以前書きましたが、あの時は皮膚のたるみまで再現できていましたが、顔の大きさや厚みまでは手を入れていなかったと思います。そういう意味では、メイクアップに関しては、この映画は「鉄の女」を上回っていると思います。ちょっと脱線してしまいましたが、アーミー・ハマーは老人になってからの演技がすごいです。パーキンソン病と思われる、細かな震えの表現もいいのですが、何よりもその老人っぽい声がいいです。普通、老け役をやる時はメイクアップや動作には気を使いますが、声まで気を使っている役者はあまり見たことがありません。そういう意味で、まだ若いのですが、この俳優は大変優れていると思います。この点で、ディカプリオはそこまで神経が回っていないように思います。それから、エドガーの母親役のジュディー・デンチのさすがの演技、ナオミ・ワッツの抑制のきいた演技も素晴らしかったです。ナオミ・ワッツは老けた時のメイクアップも素晴らしかったと思います。映画は全体的にダークな色調で重厚さを演出しています。また、時折、実写フィルムも織り交ぜて、臨場感を醸し出していたと思います。監督の手になる音楽も相変わらず渋いですし、クラブでジャズが演奏されているのはお約束とはいえニヤリとしてしまいます。イーストウッド監督がエドガーの何に魅力を感じたのかはわかりません。それに、なぜ題名を「フーバー」ではなく「J・エドガー」にした理由も聞いてみたいところです。また、エドガーがエレノア・ルーズベルトの不倫現場の盗聴記録を再生しているときに、ケネディ大統領が暗殺されたというのは事実なんでしょうか。どうも出来すぎのような気がするのですが。。。欲を言えば、次第にエスカレートしていく彼の行動の理由が、ただの信念ではかたずけられない何かを、描いてほしかったと思います。ということで、どこまでが本当であるか半信半疑で見ていたので、映画に完全に没入できなかったのが残念です。しかし、亡くなってからそれほど経っていない人物の、暗部にまで立ち入って描くということが普通に行われている、アメリカ映画というかアメリカの社会の懐の深さというか、真実を知りたいという社会の欲求はどこから来ているんでしょうか。原発事故の議事録さえ残せない日本とのあまりの違いには驚かされます。単なる気質の違いではかたずけられない、何かがあるように思います。歴史上の「イフ」ですが、「もし、秘密ファイルが破棄されていなかったら」と思うと、かえすがえすも残念です。公式サイト
2012年03月27日
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この前偶然にネットで見て効果がありあそうなので購入しました。何種類かあるようですが私が購入したのはSP-025Lという型のもの。パッドを足指に装着することで副交感神経を刺激しカラダのバランスを整えることによりいろいろな効果が出るそうです。また、パッドを装着することにより、歩行時に足の指先でしっかりと踏ん張ることを補い、体のばバランスが安定し、歩行時の正しい姿勢が維持されることにより、膝、腰への負担が軽減されます。また足指の刺激のため足底筋の働きを改善するとあります。何かナマコに似たような形状をしていますが、突起が3つあり、それを中指から薬指までの隙間に挟むというものです。そのままだと外れるので、必ず靴下は履かなければなりません。これをつけると、足の横のアーチが維持できたり、足の先からかかとまで3点接地ができるそうです。これをつけ始めて、1週間ほどたちますが、特に変わったところはありません。効果が5つ説明書に書かれていますが、どれも感じられません。すごい効果があるとはもともと思っていないので、裏切られたなんて、ちっとも思っていません。骨盤矯正ダイエットにも効果があるといわれているようですが、椅子用の骨盤矯正用具を使っていますので私には効かないのかもしれません。今のところ、効かないという書き込みはネットには見受けられません。販売元ではこの商品に関する取材は一切断っているそうですが、なにやら怪しげです。もしかしたら、つけて走った時に、効果が感じられるかもしれません。ところが、つけ始めてから現在まで、体育館がイベントのため使えなくなっているので、効果を体験できていません。今度の木曜日から体育館が使えるので、その時に試してみたいと思います。
2012年03月26日
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ずいぶんと長ったらしいタイトルの本で、タイトル通り何回かにわたった小沢征爾と村上春樹の対談をまとめたものです。 対談といっても、しゃちほこばった様なものではなく、日常会話みたいなリラックスした雰囲気で行われています。場所が、村上さんの自宅で当たり、小沢が毎年スイスで行っている音楽塾のスランスでの演奏会のためにスイスから移動中の列車の中だったりします。もちろん、彼らが友達であることもありますが、普通の対談の様な浅いものではなかったです。それは村上さんが音楽について博識であり、音楽もかなり深く聞きこんでいることから小沢さんが触発されたこともかなりあるように思います。これが音楽家同士だったり、音楽家と評論家だったりすると具合の悪いところも出てくると思うのですが、片方が音楽愛好家であることも良い結果が出た要因の一つのように思います。期間は2010年11月から翌年の7月までで、計6回行われました。一緒に村上さん所蔵のレコードを聴きながら、いろいろなコメントや思い出話を小沢さんが語るという形式が多いです。内容はかなりマニアックです。最初はベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番。ルドルフ・ゼルキンと小沢さんの演奏から始まり、グールド=カラヤンのブートレグやらバーンスタインとグールドの演奏など普通であれば絶対話題にならないレコードが出てきます。小沢さんとトロントにいた関係でグールドとも親しくしていたのは、初めて知りました。続いては、ブラームスの交響曲第1番第4楽章のホルン・ソロでの2番ホルンの音の補強が話題になっています。これは、1番ホルンの息が足りなくなるので、2番ホルンがそれを補うように同じ音を伸ばすところのことを言っています。オケでこの曲を演奏した経験のあるホルン吹きならだれでも知っているところですが、一般の音楽ファンにはさっぱりわからないところだと思います。ブラームスが何故そういうことをしたか、から始まって、1番と2番の音色があっていないと駄目だとか、ボストン交響楽団のチャールズ・カバロフスキーという名手(ヤギひげがトレードマーク?)がそれを嫌って、一人で吹いたが、息継ぎがわかってしまって問題になったことなど、めったに聞けないエピソードまで出てきます。ちなみにカバロフスキーは核物理で博士の学位を取って研究者になり、ホルンは趣味だったそうです。ところがホルンの可能性も試してみたくなって、1年間サバティカルをとってオーディションを受けてプロになったというんですから、半端ではありません。最初はデンバーで、次の年にはボストンですから半端ではありません。もちろん専門の音楽教育は受けていないのでしょうから天才肌の人だったのでしょうけれど世の中にはこんな人もいるんですね。。。(1997年に、61歳でBSOを引退)出典:物理も音楽もできる、すごい人の話カラヤンとバーンスタインの違いについての話も大変興味深いです。カラヤンは自分の目指す方向(小沢さんはディレクションと表現していた)がはっきりしていて、楽団員から何を言われても耳を貸すことはなかったそうです。バーンスタインは天才的なので、前もってそういうことは考えていなかったらしいです。また、バーンスタインは教育番組や大学での講演などではすぐれた才能を発揮したが、それがオーケストラでは発揮されなかった理由も話されています。それはバーンスタインが楽団員を仲間と思っていて、彼らの意見を素直に?聞いていたためだということでした。そのため、意見が出すぎて収拾がつかなくなったこともあったようです。それから、マーラーの交響曲についてとか、シカゴ交響楽団、ボストン交響楽団、ウイーン・フィル、ベルリン・フィルの話題もたくさん出てきます。ボストンは音がマイルドだという発言をされていて、それがとても興味深かったです。指揮者仲間の話もいろいろ話されていました。カルロス・クライバーとも仲が良く、カラヤンやカルロス・クライバーをサイトウ・キネンに呼ぼうとしたことなど、大変興味深かったです。クライバーは小沢さんがウイーンのシュターツオーパーの音楽監督になったとき真っ先にお祝いの電報(それもかなり長い)を送ってくれたそうです。また、ある本に載っていたムーティの回想録ではクライバーは指揮したこともないのに「指環」の音楽を完璧に知っていたというんですから、やはり並の人ではありません。最後のスイスの音楽塾での話で、びっくりしたのは、マスター・クラスを受け持った元ジュリーアド弦楽四重奏団のロバート・マンの言葉でした。「ピアノは弱く弾けということではない。フォルテの半分だという意味だ。」それから、「聞こえない」という言葉をよく話しているそうです。小沢さんによると、「聞こえなくなったら意味がないし、聞こえるようにするために、その前の音を心持ち強く弾け」ということだそうです。また、「speak!」という言葉もよく言っていたそうです。これも小沢さんの言葉によると、歌い始めと歌い終わりをはっきりさせなさいという意味のようです。音楽を演奏するときに、「歌え」というのは普通に言われる言葉ですが、「speak」はもっと範囲が広く含蓄のある言葉だと思います。ということで、近来こんなに面白い音楽関係の読み物は読んだことがありません。演奏者には参考になるし、、音楽を愛好している方にも大変興味深い話だと思います。是非読んでほしいです。この本は小沢さんが病気で空いた時間を偶然使えたことによる産物です。これから1年間療養に励むそうですので、この対談を続けて、また素敵な本を作ってほしいと思います。小沢征爾×村上春樹 「小沢征爾さんと、音楽について話をする」新潮社 2011年11月20日発行
2012年03月25日
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Prestoのセールで購入したアバドのモーツァルトの交響曲集2枚組を聞く。 購入当時の価格が送料を含まないで1075円とこれまた激安。ところで、アバドのモーツァルトですが、殆ど聞いたことありません。以前のものだと端正な表情が目立っていたという印象でした。今回はアバドの創設したモーツァルト管弦楽団という古楽奏法の団体。普通の古楽の団体よりはごつごつしていませんが、古楽には変わりありません。響きは充実していて、古楽臭くありません。まあ、これは私の耳が慣れたため、あまりおかしいと思わなくなったことも関係しているかもしれません。ただ、金管の強奏やティンパニの強打が聞こえてこないのは、古楽としては物足りません。このアルバムは後期の5曲の交響曲が収められています。必ずしも番号順と言うことはありません。1枚目が35,29,33の順。2枚目が38番、41番です。テンポは中庸で、基本的にインテンポで、アゴーギクも目立ちません。見通しがよくすっきりしていますが、際立った特徴があるようにも思えませんでした。気になったのはフレーズの途中で弱くしてクレッシェンドしていくというところが、数か所あり、あざといとまではいいませんが、違和感がありました。いったん気になりだすと、もうだめです。それに音符が短く切られていることがあり、なぜそうなっているのか理由を聞いてみたいところです。これは41番の第1楽章が顕著で、さっぱりしすぎて、物足りなさを感じます。楽譜は何を採用しているのか分かりませんが、楽譜を見たくなりました。参考になるかならないかわかりませんが、ノリントンの旧録音を聴いてみると、クレッシェンドしているところが見受けられます。もしかしたら、通常の演奏では、楽譜にそう書いてあるのを慣習的にやっていない可能性も考えられます。そういうことで、フィルハーモニア版のスコアをみたところ、それらの指示は全くありません。ノリントンの演奏を聴いていると、好き勝手にやっている様に聞こえます。う~ん。ここで行き詰ってしまいました。。。アバドの場合は、クレッシェンドと音を短くするだけなので、ノリントンに比べると違和感はさほどではありませんが、この二つとも根拠が何によっているのか結局わからずじまいです。ノリントンと比べるとサウンドの透明度が高いことにも気づきました。管のソロもうまいです。ただ、曲によってフルートが腰が据わっていない感じがして気になりました。Abbado:Mozart Symphonies(Archiv 477 7598)CD11. Symphony No. 35 in D major ("Haffner"), K. 385 2. Symphony No. 29 in A major, K. 201 (K. 186a) CD21. Symphony No. 33 in B flat major, K. 3192. Symphony No. 38 in D major ("Prague"), K. 504 Claudio Abbado(cond)Recorded live Auditorium Haydn,Bolzano 2005-2006
2012年03月24日
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ロバート・ダウニーJR主演の「シャーロック・ホームズ」シリーズ2作目を見る。 まだ公開からあまり日がたっていないはずですが、ガラガラでした。最後部の座席に座っていると、子供を連れた若い夫婦が話しながら近くにやってきました。悪い予感がしたのですが、それが当たってしまいました。予告の時から子供が座席を替わったり、話をしたりと落ち着きません。本編が始まってからもしゃべっていて、両親は注意をするそぶりも見せません。声が気になって映画に集中できないので、我慢の限界に達した30分くらいたった後に席を移動しました。そういうわけで、話の発端がわからないままに映画を見る羽目に陥りました。公式サイトをみて初めて理解できましたが、全く頭にきます。映画は爆破事件の首謀者が最初からわかっていて、それをホームズが次第に追い詰めていくというストーリーです。謎解きというのは推理小説の最大の醍醐味ですが、それが最初から犯人がわかっていて、主人公が同犯人を追いつめていくかが興味の対象になります。今回はそこのところがちっともわくわくしないので、探偵を主人公にしたアクションものに堕してしまった感じがします。それぐらい、アクション・シーンというか戦闘シーンが多いです。弾丸が発射されて当たるまで、スローになるところがありますが、どこかで見たことのある演出で、新鮮味がありません。■キャストは充実 主役の二人は手慣れた演技ですっかり板についています。ただ、ロバート・ダウニーJRの女装は髭剃り跡が生々しく、キモいです。 今回新たに登場するキャストの中では、ロマ族の占い師シムを演じるノオミ・ラパスが個性的な顔立ちと演技でかなり目立っています。「ミレニアム」3部作で主役のサランデルを演じているそうですが、見ていないので、今後チェックしようと思います。アイリーン・アドラー役のレイチェル・マクアダムスは印象的な顔立ちで、以前どこかで見たことのある女優だと思ったら、「ホームズ」の前作や「消えたヘッドライン」にも出演していたことがわかり納得。一番の傑作は、ホームズの兄マイクロソフト(ふざけた名前ですが原作通り)約のスティーヴン・フライ。素っ裸で、ワトソンの妻メアリー・モースタン・ワトスン(ケリー・ライリー)に応対するところは笑ってしまいます。丸々と太った体形も笑いを誘います。それから、ケリー・ライリーもピンチでも冷静なワトソンの妻を演じていて好感度が高かったです。最後は続編を予想させる筋立てで、引っ張っています。公式サイト
2012年03月22日
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いつぞやウインナ・ホルンの修理のことを書きましたが、なかなか思い通りにならず、結局今日引き取ってきました。 以前のクレームは、ピストンの戻りが悪いというクレームでした。今日、詳しく説明を受けたのですが、原因はバルブ内の密閉度が高いからというお答えでした。なるほど、密閉度が高いと、空気圧に抗してピストンが戻りにくいことは考えられます。そして、第2ピストンが戻りにくいのは、バルブと抜き差し間の体積がほかの2つの管よりも小さいためで、第3ピストンが第2ピストンについで戻りにくいのもそのせいだという話でした。実際第2バルブの抜き差し管を外すと、しゃきしゃきとピストンが戻り納得。その時はわかった気になったのですが、ブログを書いているうちによくわからなくなってしまいました。それで、ちょこっと調べてみたら、ボイルシャルルの法則で、温度が一定なら気体の体積が小さいと圧力は増すということですので、理屈に合っていることがわかりました。ちなみにトランペットの場合はどうかと聞いたら、トランペットではそういうことは起きないという回答でした。むろん、ばねが入っていることもありますが。。そうすると、これはウインナホルン特有の現象のように思います。それを改良することは行われていないんでしょうか。また、ばねを入れることも考えられていないんでしょうか。とまれ、不具合は構造的な欠陥だということがわかりましたが、買ったときはこうではなかったので、なにか腑に落ちない部分があります。ところで、今回の修理に関しては、楽器屋さんがいろいろ手を尽くして修理してくれてとても有難かったです。そもそも、自分のところでは手に負えないので、専門の修理工房に修理を依頼したという経過があります。そこでも、通常の修理のほかにピストンを入れ替えて、できるだけスムーズな動きにしようとしたということを伺いました。私のクレームについても快く応じていただきました。結局、修理代は工房の当初の見積もり通りで、自分のところでは修理できなかったので無料だといわれました。いまどき、大して儲からないようなことを一生懸命していただいて、かえって恐縮しました。何か、職人の心意気みたいなものを感じ、何かあったらお願いしようという気になります。こういうのを商売の鏡というんでしょうね。久々にすがすがしい気分になりました。
2012年03月21日
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本年度アカデミー賞主演女優賞を受賞した「マーガレット・サッチャー 鉄の女」を見る。もともとは題材に興味があったので観に行ったのですが、、メリル・ストリープが受賞したことによって、彼女の演技にも興味を持ちました。個人的にはこの女優はあまり好きではありません。何故かと言われると困るのですが、強いて言えばあまり合わない感じがするからです。今回の演技はどの方も絶賛されています。私もその意見に賛同するのはやぶさかではあませんが、圧倒的な感銘を受けたかとなると話は別です。少なくとも、発音がさまになっているのと、会話のアクセントがサッチャーの特徴がよくとらえていると思います。議会の様子も実物にかなり近いです。なんとなく知っていましたが、今回はイギリス議会の様子がよくわかりました。違いは、ソファの色が実物のほうが薄い緑色なことぐらいです。長椅子であるのも良いと思います。これでは居眠りできません。机がないのも人の話を良く聞くためでしょうか。その場で話せるのも、人数が少なく、コンパクトにまとまっている利点だと思います。これだと、マイクなしでその場で発言が出来ることで、意見交換がスムーズにいきます。なによりも、余計な時間をとられることがなく、効率的です。こういう風景を見ると、日本も議員定数の問題ばかりではなく、議論をする場として国会の本会議場の作りは問題がある様に思います。今まで議論があったかどうかわかりせんが、そういう観点での国会改革も必要ではないかと思いました。最初から、ずれてしまいましたが、サッチャーの私生活を中心に彼女の半世紀を辿った物語はなかなか面白かったと思います。一部批判のある「シャル・ウィー・ダンス」の場面も個人的には肯定的です。ただ、ミュージカルでもないのに、何でここだけそうなるんだという疑問がなくはないです。この映画は認知症が進んだ現在のサッチャーと彼女の回想から構成されています。現在と回想の場面の切り替えはとても自然でうまくいっていたと思います。亡くなった夫のデニスを現在にも登場させるのは彼女の感覚としてわかります。それにしても、ぞっとするほどの老け方で、これがメリル・ストリープとは思えないほどです。反面、首相在任中の若々しさもそれらしいです。ストリープは62歳で、86歳の老け役も34歳で下院議員に当選した若い頃の役もどちらも難しい年齢ですが、素晴らしいメイクアップのおかげで、どちらも違和感がありません。メイクアップ賞を受賞しただけのことはありますが、どういう手を使ったのでしょうか。現代はいろいろな方法があるようですので、まさか、本来のメイクアップだけで済んでいるとは思えません。それに加えて老人特有の手の震えなどがよくあらわされていて、フィリダ・ロイド監督の女性らしいきめ細かさが、いい方向に発揮されていたと思います。キャストは充実していたと思います。亡くなった夫のデニスを演じたジム・ブロードベントの演技もいいです。一部に不評の若き時代を演じたアレキサンドラ・ローチとハリー・ロイドもいいです。特に、ハリー・ロイドは明るくさっぱりした演技でよかったです。首相在任中のIRAのテロやフォークランド紛争などの腑抜けな男性どもをしり目に決然と立ち向かう姿は立派です。その信念を曲げない姿勢は、現在の日本の議員たちに見習ってもらいたいほどです。その意味で、日本にとってはタイムリーな映画といえます。日本で女性が党首になるとしたら稲田朋美議員だと思います。彼女が首相になったら、サッチャー時代のイギリス政府みたいなことが起こりそうで、個人的には大いに期待しています。今度の党首選に出てくれるとうれしいんですが。。。もし党首になったら、映画で描かれたようにヴォイストレーニングを行わなければなりませんね。しかし、この場面ユーモアがあってとても好きな場面です。イギリスといいフランスといいユーモアの表現がうまいです。アメリカみたいにドタバタにならず、控えめな表現が味を出している秘訣だと思いますが、民族的な気質にもよるのかもしれません。ところで、この映画ではクラシック音楽が何曲か使われています。特に「ノルマ」の「清らかな女神よ」(多分カラス)が何回か出てきますが、効果的な使い方だったと思います。しかし、なぜ「清らかな女神よ」なのかはわかりません。またエンディングのバッハの平均律の第1巻第1番もよかったです。ただ、「シャル・ウィー・ダンス」だけがよくわかりません。サッチャー版「王様と私」だというレビューもありますが、この映画まともに見たことがないので、今のところ、私にはわかりません。しかし、意図があるとは思いますが、サッチャーの家族が、こんなあからさまな場面のある映画を、よくOKしたもんだと思います。それとも、スキャンダルを暴くのが好きな国民的な気質でしょうか。サッチャー元首相の議会での演説公式サイト
2012年03月19日
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甦れ美しい日本第1148号に中国のヨーロッパへの浸食について、元東京大学史料編纂所教授で「チベット問題と日本」を主に研究している酒井信彦氏が寄稿しています。以下要約最近の産経新聞と朝日新聞に、ヨーロッパに対するシナ人の経済侵略の実態が報じられている。極めて重要な事実であるが、あまりというより殆ど注目されていないようなので、まとめて紹介しておきたい。ヨーロッパ諸国のインフラを、中共が買収している実態報告で、イギリスとポルトガル、ギリシャの場合である。イギリスでは1月に、中国投資有限責任公司が、ロンドンとその近郊に上下水道のサービスを提供する、英水道会社テムズ・ウォーターの株式の8.68パーセントを買収した。産経には「投資額は発表されなかったが、5億ポンド(約604億円)は下らないとみられている」と言及されている。ポルトガルでは、昨年の末に、中共の国有企業である中国長江三峡集団が、政府から電力会社EDPの株式の21パーセントを、26億9千万ユーロで買った。また今年の2月2日、ポルトガル政府は、国営送電会社RENの株式25パーセントを、中共の国有送電網会社「国家電網」に3億8700万ユーロ(約390億)円で売ると発表した。ギリシャでは、ピレウス港の35年間に及ぶ運営権を、「中国遠洋運輸」が49億ユーロ(約4900億円)で獲得した。このピレウス港は紀元前から欧州の玄関として栄え、近代以降は海運大国ギリシャの発展を支えた」とその重要性窺える。同港最大のコンテナ埠頭運営権が売られたのは2009年。 イタリアのフィレンツェの近くにプラートというと都市がある。約2020年前に浙江省温州から来た中国人が工員として衣服工場で働き始め、10年ほど前から自分で工場を起こす者が出てきた。そして近年、一攫千金を夢みる同胞が温州などから殺到した。その挙句、人口19万人のうち中国人は不法移民を含め4万人以上とされ、人口比では欧州最大のチャイナタウンとなった。因みに、プラートにある中国人経営の衣服工場は約3千。では何故こんな急成長ができたのか。成功の秘密は安い原料と労働力。生地は本国から格安で輸入する。移民を長時間働かせて急な注文にも応じる。労働環境は劣悪を極める。なんと16時間続けて働き、睡眠は4時間。食事も寝るのも工場で、3カ月休まないこともある、という悲惨な状態である。警察は不法移民を雇う闇工場への摘発を強化したが、旅券もビザもない移民を中国大使館は中国人と認めず、強制送還のための二国間協定もない。工場をたたんで別の工場を立ち上げて逃れる業者の多い、という有様であるという。こんな状況であるから、1990年代後半に約200社あったイタリア人経営の衣服メーカーは約400社に激減した。つまり世界でイタリアの洋服と称して売られているものは、その多くが実はシナ製と同じことなのである。こんな状況であるにも関わらず、これに対するヨーロッパ諸国の政治家達は警戒心がない。欧州には米国のような対中警戒心が薄く、逆に中国マネーや中国企業を歓迎する声が強い。(以下略)ヨーロッパは、日本よりもっとひどい状況にあります。しかし、いったんこうなったらどうしようもないのです。中国人の節操のなさ、繁殖力は動物並みです。日本でも、新潟で中国領事館が約15000平方メートルという広大な土地を取得しています。玄葉外相が中国側に問い合わせているそうですが、法律を改正しなければ今後もこういうことが起きます。近くは名古屋市が売却を却下しています。ヨーロッパの例を待つまでもなく、中国に土地などを売ったらこうなりますという例がごろごろあります。欲の皮の突っ張った連中の言うことを聞いていたら、日本も同じ目に会います。中国の政府関係には土地を売らないということを決めるということは、相互主義からいっても当然のことです。早急に法律が作られることを願ってやみません。
2012年03月18日
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この前図書館に行った時に新着アルバムの中にJUJUの新作があるのを知り早速予約しました。 このヴォーカリストを知ったのは、以前の「JAZZ JAPAN」で取り上げられていたからです。世間ではよく知られた歌手だそうですが、個人的にはまったく知りませんでした。偶然が重なったのですが、縁があったというべきでしょうか。もともとポップシンガーですが、このアルバムではジャズに挑戦といった趣です。聞いてみると普通のジャズ・ヴォーカルというよりもポップスがかったジャズみたいなもので、人によっては、本格的なジャズ・ヴォーカルを期待すると裏切られるかもしれません。個人的には特に期待してたわけではなかったのですが、悪くないと思います。最近のジャズ・ヴォーカルはあまりアドリブをしなくなって、ポピュラー歌手の歌唱とあまり違いはなくなっていると思います。そういうことを考えると、ここでの歌唱は巷のジャズ・ヴォーカルと殆ど同じと思います。11曲のジャズ・スタンダードに2曲のオリジナルという構成で、オリジナルも違和感がありません。一番気に入ったのが、このアルバムのプロデューサー松尾潔の作詞、川口大輔作曲の「みずいろの影」だったと言ったら、JUJUは喜ぶか悲しむかどちらなんでしょうか。柔らかい日に包まれて、気持ちよくうたた寝をしている時ような気分にさせてくれます。なにか中島美嘉のバラードを聴いているときの気分を思い出しました。豪華ミュージシャンも参加しているとHMVのコピーには書いてありましたが、どの曲に参加しているのか、細かい字を見て見つけるのは年寄にはなかなかつらいです。やっと見つけたのは菊地成孔が「Ev'ry Time We Say Goodby」、渡辺香津美が「Cry me a river」、類家新平は「You'd be So Nice To Come Home To」で各々ソロをとっています。「You'd be So Nice To Come Home To」のアレンジはヘレン・メリルの有名な演奏の雰囲気を彷彿とさせます。そういえば「Lullaby Of Birdland」も同じエマーシーのサラ・ヴォーンのアレンジに似ています。どちらも、クリフォード・ブラウンがらみですが。。。「Moody's Mood For Love]のご機嫌なアルト・ソロが誰かと思って確認したら、土岐英史でした。スタンダードで異色なのは「キサス・キサス・キサス」。ラテンの香りが漂ってくるようです。バックの編成はコンボあり、ビッグバンドあり、ストリングスありと大変豪華で、ジャパニーズだなと感じられる編曲も悪くないです。出てくるソロも高水準で、ジャズかそうでないかなどを気にしなくても、とても楽しめるアルバムです。ブックレットにステージ・ネームはウエインショーターの「JUJU」からの引用であったり、がJUJUが人生のテーマだと言ってはばからない「Lush Life」や、どうしても入れたかったという「Girl Talk」など彼女のこだわりが感じられる選曲です。「Girl Talk」は歌としてあまり取り上げられない曲ですが、JUJUのルーツを感じさせるようです。スローテンポでまったり感のあるアレンジも面白いです。「Lush Life」はバースから歌っていて、正統的なジャズ・ヴォーカルです。ピアノとのデュオで、彼女の歌唱力の確かさが分かります。JUJUはジャズ・シンガーと呼ばれるようになることを目指しているそうですが、このアルバムでは結構いい線いっていると思います。「Night & Day」ではスキャットを披露していますが、違和感ありません。ホーム・グラウンドでの歌唱もyoutubeで色々出ているので聴きましたが悪くなかったです。 同じくyoutubeでは、ブルーノートでのライブでビッグバンドをバックに歌う「みずいろの影」が聞けます。DELICIOUS:JUJU(SONY MUSIC associate AICL 2327-8) 1. A Woman Needs Jazz2. You’d Be So Nice To Come Home To3. Night And Day4. Candy5. Cry Me A River6. Girl Talk7. Lullaby Of Birdland8. Moody’s Mood For Love9. Quizas,Quizas,Quizas10. Calling You11. Ev’ry Time We Say Goodbye12. Lush Life13. みずいろの影JUJU(VO)
2012年03月17日
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いつも使っているPresto Classicalで今月いっぱい開催されている半額セールから数枚購入しました。 その中の1枚がこれです。アイム指揮のル・コンセール・ダストレイとにデセイ他の豪華歌手陣たちで収録されましたこの作品はヘンデルがイタリア滞在中に作られた作品です。当時のローマではインノケンティウス11世の発布したオペラ禁止例のため劇場でオペラ上演はできませんでした。そのため、舞台演技を控えて題材を宗教的な内容にしただけで形式的にはオペラと大差ない作品を、豪華な歌手たちをそろえ頻繁に上演していました。この作品もそのような作品の一つです。初めて聞いた曲ですが、とても清々しくヘンデルの力強さが感じられました。速いテンポの曲の生き生きとした表情がスピードにのって繰り広げられ、とても快適です。また、ヘンデルのメロディー・メーカーとしての才能のほとばしりも強く印象付けらたナンバーもいくつかありました。とにかく、スカが一つもなく、作品のできとしてはかなりの水準に達していると思います。これがヘンデル20歳代のの作品とは到底思われない水準の高さです。これが送料を含まないで900円(当時、3/17現在935円)なんて激安のもいいところです。その中でも印象的なナンバーがいくつかありました。最初に気に入ったのはパーヴォル・ブレスリク(時)が歌うアリア「Urne voi,che rachiudete Tempo」。心を揺さぶる感動的な旋律ですっかりまいってしまいました。劇的な歌唱も曲にふさわしく、完璧です。弦だけのシンプルなバック、そして心に染み入るソロ・ヴァイオリン、なんともしびれる展開です。しかし、現代でも通じるような旋律が300年以上前に作られているとは驚きました。結局、昔も今も人間の本質は変わっていないことの証だと思います。次に気に入ったのが、快楽を歌うアン・ハレンベルグの歌。デセイの輝かしさに隠れがちですが、味わいのある歌声は悪くないです。どこかで聴いたことのあるアリアだと思ったら、「リナルド」第2幕の有名なアリア私を泣かせてください (Lascia ch'io pianga )が聞こえて来るではないですか。実は快楽の歌う「Lascina la spina」が原曲だそうです。アン・ハレンベルグの歌もケレンがなく曲の美しさに浸ることができます。不満は、最後がちっとも終わりらしい盛り上がりがないことですが、それは些細なことです。デセイはもちろん素晴らしく、華麗な技巧も披露して文句なしです。ただ、個性が強すぎて、役を感じるより、デセイを感じてしまうと思うのは欲張りな望みでしょうか。こちらにこの曲の詳しい解説が載っていて、とても参考になります。妥当なテンポ、生き生きとした表情、アイムの指揮は素晴らしいです。しかし、最近ハマっているとはいえ、バロックがこんなにいい音楽だなんて全く知りませんでした。食わず嫌いはよくないですね。。。Handel: Il Trionfo del Tempo e del Disinganno, HWV46a(Virgine Classical 0946 3 63428 2 5)Natalie Dessay (Bellezza)Ann Hallenberg (Piacere)Sonia Prina (Disinganno)Pavol Breslik (Tempo)Le Concert d’Astr?e, Emmanuelle Ha?m Recorded 9-14 March,2004 and 12-19 January 2006
2012年03月16日
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経営戦略考というメールマガジンの3月14日号に「音楽の楽しみ方の進化」という題で、音楽の楽しみ方が変わってきていることが書かれています。 「自宅で気兼ねなく楽器の演奏を楽しみたい人向けに『防音』や『遮音』をテーマとした商品やサービスが拡大している」(日経産業新聞の1月25日号)理由は「自宅でしっかり音を出して動画サイトに投稿する人が増えている」ため。「一人カラオケ」という一人専用のカラオケルームが11月東京都内に誕生しました。(3/12日経MJ)これを受けて、「『カラオケ館』を全国展開するビーアンドブィは、1人専用のカラオケルームの開設に乗り出した」(03.12日経MJ)記事で紹介されている1人カラオケ用の部屋は、広さが1坪ほど。かなり狭苦しい印象があるが、先行して開店したケースでは、「開店当初の3日間は1時間待ちの状況が続いた」ほどの人気を集めた。部屋が狭いため、マイクがハウリングを起こさないようにヘッドホンを使う。しかも高性能なコンデンサーマイク。さらに、CDに録音することもできる。プロのミュージシャンのレコーディングに近い音源が作れるということで、デモテープを作る時に手軽にできるのは大きな魅力。14日付けの日本経済新聞には一人専用カラオケ店「ワンカラ神田駅前店」が紹介されており、「『iPhone』で再生した曲を聴きながら歌える」。iPhoneには既存の楽曲に手を加え、カラオケ用にアレンジできるアプリがあり、それを応用したらしい。また、『iPhone』からの映像をモニターにも流せる機能があり、ライブの様子や海外アーティストの曲など、機器にない映像を見ながら歌を楽しめる。 しかし、色々な楽しみ方があるもんですね。youtubeをみると素人さんが歌を歌ったり、楽器を弾いたりしている映像が沢山あります。音楽は自分で聴くことから始まって、次に楽器を演奏することに発展します。ある程度上達すると、皆に聞いてもらいたいと思います。一人カラオケでCD録音ができるのはそういう潜在的な欲求を実現したもので、映像をとるのは、さらに広く見てもらいたいからだというは分かります。ここまでは想像の範囲以内ですが、iPhoneでアレンジした曲を歌ったり、iPhoneの映像を流してそこで歌うというのは想像できませんでした。曲をアレンジしてそれを歌うというのは、他人との違いを味わって優越感に浸りたいという人間の欲求をしっかり捉えた優れた仕事です。iphoneで曲をアレンジするまでは、普通に考えられますし、そういうソフトがかなり出回っているので驚きません。しかし、その音を使ってカラオケをするというのは素晴らしいアイディアです。個人的には本格スタジオ並みのレコーディングが出来るというところが気に入りました。ビーアンドブィの店舗では二人くらいは入れるようなので、デュオを録音したりできそうです。勿論ソロも録音できるので、楽器奏者にとっても使いでのあるスペースだと思います。それにしても、私が世間に疎いせいもありますが、こんなところで思わぬ進化を見つけるとは思いませんでした。「一人カラオケ」は多分ほかの国ではないと思いますが、そのうち広まっていくことは間違いないと思います。コシダカがオープンしたワンカラ
2012年03月15日
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言わずと知れたルーストの名盤。 以前、クリスチャン・マクブライトのビッグバンドで「アイ・シュッド・ケア」が取り上げらていました。それを聞いたら、無性にパウエルのルースト盤を聴きたくなったのです。あいにく、アナログしかないので、東芝から出ている999円のシリーズの一枚を早速購入しました。ついでに、「ジャズ・ジャイアント」にボーナス・トラックがてんこ盛りの、Essentialというマイナー・レーベルのアルバムも購入しました。こちらについては、いずれレビューするかもしれません。。。この演奏はもともとあまり録音がよくないのですが、何しろ演奏がいので、パウエルのアルバムの中でも、1、2位を争う名盤として知られます。といっても、いいのは1947年録音の方で、1953年は病気療養が終わった後で、感銘度はかなり落ちるというのが定説です。ここでは冒頭の「4月の思い出」から始まる、圧倒的なアドリブに衆目が一致すると思います。ただ、個人的には1947録音では2曲のバラードが良いと思っています。特に、「アイ・シュッド・ケア」はこの曲の代表的な演奏の一つだと思っています。この演奏と出会ったのは、かつてFM東京で放送されていた『アスペクト・イン・ジャズ」での「バラード特集」でした。その時は予備校に通っていた時期で、夏に帰省した時、弟がジャズを聴いていて、それに感化されてジャズを聴き始めた頃です。ラジオで聴いていたのですが、ついでにエアチェックして、何度も聞いたことを覚えています。しかし、何勉強していたんだか。。。。この曲はもともとドラマチックな要素があり、大概の演奏はその名残を感じさせるものです。バド・パウエルの演奏はそういう演奏とは全く違った、香り高いバラード演奏で、その絶妙なハーモニーが何ともいえず心地よいものでした。スイングの名残を感じさせる部分を含め、今なお名演として燦然と輝く存在だと思っています。この曲では他にはモンクのソロ・ピアノや最近聞いたジューン・クリスティの「サムシング・クール」での演奏なども印象に残りました。モンクの演奏はこの曲の演奏として極北に位置する演奏だと思います。極限まで削られた演奏の美しさを感じます。この曲に関して最近の代表的な演奏は何方のものなんでしょうか。というか、この曲、最近あまり耳にしなくなりました。もともと1944年の映画「スリル・オブ・ア・ロマンス」の挿入歌ですから、演奏されなくなったも不思議ではないのですが。。。このアルバムで印象に残ったのは、1953年の録音の音質がアナログに比べて随分と改善されたことです。アナログ盤ではテープヒスがうるさく、音も痩せていましたというか青ざめていました。そのため、演奏も病的な表情が感じられたのですが、今回テープヒスもなく、音も1947録音と遜色ありません。ただ、そのためか、昔の美しさが感じられなくなったと思うのはないものねだりかもしれません。この演奏を聴いていたら、昔のようなインパクトを感じなくなりました。私の感性が鈍化したことを抜きにしても、演奏としては少しずつ色あせたものになりつつあるような気がします。勿論、歴史的な価値というものは保っていくとは思いますが、少し寂しいようにも思います。こういうことを考えると、パーカーのすごさが改めて確認されます。バド・パウエルの芸術(ROOST TOCJ-5004)BUD POWELL(p)MAX ROACH(Ds)CURLY RUSSELL(b)Recorded January 10,1947BUD POWELL(p)GEORGE DUVIVIER(b)ART TAYLOR(Ds)Recorded September,1953
2012年03月13日
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スピルバーグの新作は戦争にまつわるお話。 それも主人公は馬でした。原作はイギリスの作家マイケル・モーパーゴの1982年に発表した同名の小説の映画化です。アカデミー賞では6部門にノミネートされましたが、無冠に終わりました。スピルバーグはアカデミー賞にはあまり縁がないですね。。。舞台は第1次世界大戦前夜のイギリス。貧しい農夫テッド(ピーター・ミュラン)が農耕馬を買いにセリに行ったものの、サラブレッドの子馬を気に入り、金もないのに購入してしまったところから始まります。農耕馬にするのは子供のアルバート(ジェレミー・アーヴァイン)。周りの好奇な目に晒されながら、無理だと思われていた丘の斜面を農地にしてしまう。しかし、せっかく育った蕪は嵐のため全部やられてしまう。この蕪で借金を払うという目論見は外れ、ジョーイと名づけられた馬はテッドに売り飛ばされてしまう。売り飛ばされた先は軍馬を大切にするニコルス大尉(トム・ヒドルストン)。アルバートは買い戻そうとするが、ニコルスは戦争が終わったら必ず返すから、という言葉を残して去っていく。ジョーイは優れた能力を発揮するが、ニコル大尉と共に配属されたフランスで、ドイツ軍に敗れ、ニコル大尉は戦死。ジョーイはドイツ軍の手に渡り、それから苦難の日々が待っていた。。。。■最高の演技は馬 主人公は馬なのですが、とてもよく訓練されていたと思います。 実際はとても大変なことだと思うのですが、それを感じさせません。特にジョーイとライバルのトップソーンの仲睦まじいしぐさは演技とは思えませんでした。人間の中では、アルバート役のジェレミー・アーヴァインが映画初出演ながら自然な演技が良かったです。風車小屋の娘エミリー(セリーヌ・ビュケンス)の爽やかな演技もよかったです。それから、アルバートの母親ローズ・ナラカット(エミリー・ワトソン)が印象的な演技でした。彼女の出演映画は何本か見ているのですが、顔だけを覚えていて名前は分かりません。映画の場合、顔は覚えても名前を覚えないというのは何故なんでしょうか。多分、映画を観る前に名前と姿を結び付けてインプット出来ないからだと思います。音楽の場合だと、事前にも、その最中にも確認できるのですが、映画の場合はできないからだと思います。もっとも、確認してもすぐ忘れてしまうというのは個人的な問題かもしれませんが。。。この映画では老人が活躍します。エミリーの祖父(ニエル・アレストリュプ)やアルバートの父テッドなどがいい演技だったと思います。人間では、地主のライオンズ(デヴィッド・シューリス)とその息子デヴィッド(ロバート・エムス)の性格の悪さがよく出た演技が冴えていました。■後半は感動の連続トップソーンの最後の場面も泣けました。そして、アルバートとの奇跡的な再開。ここら辺からは感動の連続で、ウルウルしっぱなしでした。ラストで、アルバートとジョーイが故郷にたどり着き、両親と再会する場面は、美しい夕焼けをバックにした逆光の人物と馬の姿はため息が出るほど美しい風景でした。■ジョン・ウイリアムズの音楽がいい「ハリー・ポッター」の音楽でも、テーマくらいしか関与していませんでしたので、もう引退していたと思っていたジョン・ウイリアムズが音楽を担当しています。最近では、「タンタンの冒険旅行」以来の担当です。久しぶりに聞く彼の音楽は、やはりいいです。相変わらず瑞々しい音楽で、とても今年80歳の作曲家の作品とは思えませんでした。今年公開されるスピルバーグ監督の「リンカーン」でも音楽を担当しているようですので、まだまだ彼の音楽を楽しめるのは嬉しいことです。公式サイト
2012年03月12日
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つい最近したNABEO(全日本アマチュア・ブラス・アンサンブル組織)の全国大会を聞く。会場は前沢のふれあいセンター。もともとは、上野の森ブラスとアンサンブル・エプシロンのコンサートを聴きに行こうとしたのですが、それがNABEOのフェスティバルの一環だったとは知りませんでした。フェスティバルは2日間に分けて行われました。最初は2日とも行こうとしていたのですが、結局は初日だけしか行きませんでした。最初は、ふれあいセンターのロビーでの京都ファインアーツ・ブラスの演奏。総勢10名ほどで演奏はまずまず。その後ステージでフェスティバルの第1部が、NABEO会長の手慣れた司会により進行しました。最初の2つはアマチュアの団体。ファイヤーワークス・ブラスアンサンブルは東京の団体で建部知弘の「晴れた日は恋人と市場へ!」とグレッグソンの「3つのダンスエピソード」これもまあまあの出来。つぎはこのフェスティバルの幹事団体聖バレンタイン・ブラス・アンサンブル。これも東京の団体です。1979年創立ですから、今年で34年目という老舗団体で、NABEOの会長もこの団体から出ています。この団体は、大学オケの有志で結成されたそうです。今回の参加団体で、大学オケつながりの団体が多いのが目につきました。年齢から言って、もう60近いお年で、そろそろ孫の結婚披露宴での演奏依頼があるんではないかといわれているそうです。定番のでテレプシコーレ舞曲集でしたが、年にもかかわらずというか、年の功というか、慣れたものです。特に、ソプラノトランペットと、加藤茶に似たフリューゲルを吹いている方が大変うまいです。ホルンの方もうまかったです。アマチュアとしてはかなりのレベルにある団体と聞きました。続いては、水沢高校の金管5重奏で「ズ―ラシアン序曲」。午前中・アンサンブル・エプシロンの指導を受け、その成果の発表で、なかなか良かったと思います。休憩の後は、上野の森ブラスとアンサンブル・エプシロンのコンサート。クラッシックでは珍しいダブルビルでした。最初は、上野の森ブラス。以前聞いたことがあります。それから結構時間がたっていると思います。皆さん、孫のいるお年になっていますが、元気いっぱいです。テューバの杉山淳氏の軽妙なMCを交えて進みました。古典から、ポピュラー、映画音楽までと幅広い選曲でした。個人的には、バンキエルリの「森の音楽会」が楽しめました。その名の通り森の動物たちの泣き声を模した演奏が楽しかったです。因みに、出てきたのは、カッコー、カエル、カラス、馬、牛などで、皆さんうまいもんです。特に、テューバの牛は本物そっくりで笑えました。続いては、アンサンブル・エプシロンの演奏。パリのコンセルバトワールの卒業生たちで1986年に結成された団体で、NABEOとの縁も深い団体で、2000年、2006年には来日しています。フランス人はあまり大きくないという固定概念があり安したが、皆さんかなり多がらです。そのうちの二人は横幅も凄くて、トランペットのフランク・プルチニなんて、完全にビヤ樽体形です。上野の森ブラスの後で聴いたので余計感じたかもしれませんが、音が大きく、とても美しい音色です。トランペット、ホルン、トロンボーン、テューバという珍しい編成です。通常の金管アンサンブルと言えば5重奏がポピュラーですが、今団体は人数が少ないというハンディは全く感じられません。4人とも大変うまいですが、そのなかでも、プルチニは柔らかい音でぬきんでています。ホルンのセヌデーズもいい音です。フランスのアンサンブルと言うと柔らかい音、だが力強さはあまりないように思っていました。この団体はそんなことはありませんが、フランスのエスプリも特に感じられません。最近オケがインターナショナル化したことと通じる傾向なのかもしれませんが、少しさびしい気がします。この団体の音楽監督はどうやらテューバのティボーのようで、彼のオリジナルやアレンジがほとんどを占めています。アレンジはドビュッシーの子供の領分からの3曲とピアソラの3つの作品でした。オリジナルは、4曲でしたが、親しみやすい作風で、センスもよく、とても楽しめました。一番感銘を受けたのは、ヘルフェルスト(Steven Verhelst)の「Song For Japan」。勿論、昨年の大震災を悼んで作られた曲で、世界中のトロンボーン奏者たちが行っているチャリティの一環として作られた曲です。多分現役の人たちは知っていると思いますが、隠遁生活をおくっている小生にとっては、こんな活動が行われていることも知りませんでした悲しみと明日への希望を表した素晴らしい曲です。聞いていて、ウルウル来てしまいました。演奏が終わった後、トロンボーンのフラウーが目を真っ赤にしていたのがとても印象的でした。大震災の犠牲者はもちろんのこと、彼らの師のようなモーリス・アンドレが最近亡くなったことも胸を去来したのかもしれません。合同演奏は、「春の小川」など日本の春の歌を集めた、「春の歌メドレー」とティボーの「大いなる航海」の2曲が演奏されました。こうしてみると、日本の歌のというのはそのほかの国の歌に比べて、随分と爽やかなことを実感しました。アンコールが演奏されましたが、何の曲だったか忘れてしまいました。ということで、大満足の一日でしたが、これが何と1200円(当日)です。おまけに2日間有効でしたが、今日は行きませんでした。どうも、年のせいか気力がわかないことが多くなってきました。私も久しくアンサンブルをしていないのですが、アンサンブルの楽しさを満喫でき、またぞろやる気がむくむくと湧きあがるわきあがるのを抑えることができませんでした。ところで、水沢高校のメンバーファアンサンブル・エプシロンのメンバーからサイン入りのCD(なんとグラミー賞ノミネート!)をプレゼントされていました。私も彼らの演奏を聴いて、CDがほしいと思ったのですが、手持ちがなく、会場では入手できませんでした。帰った後で調べてみましたが、HMVやamazonには殆どありません。彼らのホームページをなんとか探し出しましたが、マイナーレーベルからの出版のようです。なんとか手に入れたいと思います。ところで、家に帰って新着のミンコフスキーのラモー集をのブックレットを見ていて、ティボーとミンコフスキーがそっくりなことを発見しました。他人の空似とはいえかなり似ています。アンサンブル・エプシロン 公式サイトA SONG FOR JAPAN世界中のトロンボーン奏者たちがこの曲を演奏している画像がアップされていて、とても感動的です。また、色々な編成の楽譜が無料でダウンロードできます。超有名演奏家たちのアレンジがごろごろあって、まさにお宝です。第25回NABEOブラスアンサンブルフェスティバル 第1部1.ファイヤーワークス・ブラス・アンサンブル 建部知弘:晴れた日は恋人と市場へ! グレッグソン:3つのダンスエピソード2.聖バレンタイン・ブラス・アンサンブル プレトリウス:テレプシコール舞曲集より3.水沢高校吹奏楽部 高橋宏樹:ズーラシアン序曲4.上野の森ブラス ヨーロッパのマドリガルとキャロル ハンガリー舞曲第5番ブラームス シューベルト:アベマリア 久石譲:ハトと少年 久石譲:真紅の翼 久石譲:となりのトトロ~さんぽ マーカートニー:イェスタデイ 中村八大:上を向いて歩こう5.アンサンブル・エプシロン ティボー:ジェネリック ドビュッシー:ゴリウォーグのケークウォーク ドビュッシー:小さな羊飼い :ドビュッシー;小さい黒人 ピアソラ:アディオス・ノニーノ ピアソラ:ノビタンゴ ピアソラ:リベルタンゴ ヘルフェルスト(ティボー編):日本に捧ぐ歌 ティボー:アリャ・クバーナ ティボー:バップ6.合同演奏 春の歌メドレー ティボー:大いなる航海2012年3月10日 前沢ふれあいセンター チェリーホール
2012年03月11日
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一昨年の5月に北上のさくらホールで行われた渡辺香津美の ジャズ回帰プロジェクトのメンバーにゲストの本田雅人が加わった演奏。 基本的には、「Jazz Impression」と最新作「Tricoroll」からの選曲です。コルトレーン作品が3曲に愛想曲の「アフロ・ブルー」とコルトレーンがらみが4曲と多かったです。一昨年の演奏曲目とかなりだぶっていますが、不満は全くありませんでした。記憶が薄れていますが、今回の方がトリオとしてのまとまりがあって、いつも気になるPAのヴォリュームもほどほどで、個人的には大満足でした。前半5曲、後半6曲にアンコールと盛りだくさんで、終演は9時20分頃でした。相変わらずサービス精神旺盛で、アンコールでは客席をぐるっと一周して、聴衆を沸かせていました。東北大震災で海に沈んだ魂の鎮魂曲「Sea Dream」がなんとも心に染み入る音楽で、海の底の魂たちも癒されるのではないかと思います。聞いているうちにウルウルしてきました。作曲者の谷川公子さんは以前から渡辺香津美に曲を提供していたようですが、素晴らしい曲だと思います。最新作「Tricoroll」ではギターソロですが、今回はベースとのデュオ。ベースが海底の暗闇を表しているように、もごもごと動いていて、この曲に合っていたと思います。続く、「ジョージア・オン・マイ・マインド」は完全なR&Bで、とてもよかったです。前の曲の余韻が残っていたせいか、この曲がこんなにいい曲であることを初めて教えてくれた演奏でした。今回は本田雅人プレーに注目が集まったと思います。確かこの組み合わせは南郷ジャズで聴いたような記憶があります。調べてみたら一昨年見ていたことが分かりました。ただし、ドラマーは奥平信吾でした。殆ど記憶にありませんが、本田のプレイも良かったと書いています。今回もアドリブはいのですが、音色があまり気に入りません。丸味を帯びた音色と言ったらわけわからないですが、ダークでべたっとしているので、ちっとも美しく感じられないのです。使っていたのはソプラノとアルトでしょうか。アルトらしからぬ音で、テナーかと思ったのですが、テナーほど大きくはないです。井上陽介のベースは、物凄いです。分厚いサウンドで、どっしりと大地に根を下ろしたような安定感がたまりません。こうかくと優しいような感じになりますが、要塞みたいながっしり感があります。このベースの上でプレイするのはたまらなく気持ちがいいんだろうなと思ってしまいました。則竹裕之のドラムスは以前聞いた時よりも重量感が増して、他のメンバーのサウンドにすぽりとはまっていると思いました。今回はソロの出番が多く活躍していました。欲を言うと、他のメンバーをぐいぐい引っ張っていくパワーがほしいと思います。控えめなのは美徳かもしれませんが、時には俺が俺がと出しゃばることも必要だと思います。渡辺香津美は相変わらずのバイタリティーです。特にアフロ・ブルーでのダイナミズムには驚きました。来年60歳を迎えますが、年を感じさせないスタミナとパワーを感じました。総じて前回より出来がよかったと思います。やはり、ユニットとしての成熟が進んだのでしょうか。いずれにしても、メンバーは違いますが、Sea Dremがよかったので、アルバム購入を検討したいともいます。渡辺香津美JAZZ回帰トリオ+本田雅人第1部1.ジャイアント・ステップス2,Four Of Six3.エルドラド4.曲目不詳5.アフロ・ブルー第2部1.Sea Dream2.Geogea On My Mind3.Spain4.Moment Notice5.遠州燕返し6.Impressions渡辺香津美(g)井上陽介(b)則竹裕之(Ds)本田雅人(ss,as)3月8日 北上市交流センターさくらホール中ホール 6列27番で視聴
2012年03月10日
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渡辺香津美のコンサートが終わって帰宅後、マッコイ・タイナーがギタリストと共演したCDを聞こうとしました。 プレーヤーに入れたら、いつまでたっても再生しません。おかしいと思いつつ現象をよく観察してみたら、なにやらきゅっきゅっと音がして、オフになってしまいます。CDを出したら、なんと中心から外周に向かって一直線で割れているではありませんか。それを見たとき一瞬何が起こっているのか理解できませんでした。以前、2,3回は聞いたはずなので、なんでそうなるのか全く理解できません。とくに荷重をかけた覚えもないんですが。。。。このアルバムは、DVDもついてくるので、楽しむ時はとりあえず、DVDを見ればいのですが、なんかだまされたような気がします。多分、もともと歪が入っていて、回転した拍子に壊れたのかと思います。しかし、すっかりだまされました。もともとそんなに気に入っていたわけではないので、あまり気にもなりませんが、少し面白くないことは確かです。まあ、形あるものは壊れるので、その時期が少し早まったと考えるしかありません。買い替えるかと聞かれれば、おそらくは買わないと思います。しかし、CDの身になってみれば、使用者があまり気に入っていなくて、怒って壊れたのかもしれません。物は大事に扱わないと、いつ反乱をおこされるかもしれないので、丁寧に扱わなければありませんね。。。
2012年03月09日
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ポール・マッカートニーがスタンダードを歌ったアルバム。 JAZZ JAPANのレビューに載っていて興味を持ちました。この種の異種格闘技?は結果はどうあれ、無責任な聴衆としては歓迎すべき試みです。出来がよければ称賛されるし、よしんば失敗しても非難されないので、ミュージシャンにとっても悪くはない選択です。もっとも、そこまでたどり着くのは大変だとは思います。ここで歌われている曲はアメリカの古いスタンダードと自作曲が3曲(デラックス版に1曲含まれます)です。スタンダードと言ってもあまり演奏されない曲が多いのですが、それがしっとりと美しく響いているのは、トミー・リピューマのプロデューサーとしての腕の冴えでしょうか。歌手としてポールの立ち位置は分かりませんので、私が感じたことを書きます。基本的にはジャズ・ヴォーカルの範疇に入ると思います。それを考えた時、なかなかいい線いっていると思います。雰囲気も出ていますし、高音も悪くないです。ただ、声が荒れぎみで、フレーズによっては弱々しく聞こえてしまうのでは、年齢のせいで仕方がないかもしれません。スローテンポの曲がかなり多く、歌手としてはなかなか厳しい選曲です。一番気に入ったのは、やはりというか、自作曲だったのは、メロディーメーカーとして面目躍如といったところだと思います。作曲者の年齢を感じさせない瑞々しい叙情が実に素晴らしいです。特に、エリック・クラプトンが参加した「MY VALENTINE」が少し暗いムードのバラードで、そのメロディーにしびれます。また、レギュラー版では最後の曲「ONLY OUR HEARTS」が内に秘めた熱いものを感じさせる様な感動的な曲です。特に、この曲に参加しているスティービー・ワンダーのハーモニカにはすっかり参りました。おそらくこの2曲は、今後スタンダードとして歌い継がれていくに違いないと思います。デラックス版収録の「BABY'S REQUEST」はコミカルなテイストでこれも悪くないです。これを聞くと、その若々しさに驚きます。スタンダードでは、アーヴィング・バーリンの「Always」がよかったです。この曲で活躍する、ピザレリのギターも味わい深かったです。ヴァイオリンやギターの入った軽快な「It's Only A Paper Moon」は楽しいです。「Bye Bye Blackbird」のヴァースの美しさにも惹かれました。意外と言ったら失礼になりますが、デラックス版に収録されている、「MY ONE AND ONLY LOVE」もよかったです。ポールの誠実な歌唱にうたれたのでしょうか。。。バックはダイアナ・クラールにジョン・ピザレリのギターが加わったカルテットを中心として、時折ホーンやヴァイオリン、ロンドン交響楽団のストリングスが加わりバラエティに富んでいます。全体的にゴージャズな雰囲気が感じられて、非常に好ましいです。なお、イギリスのデラックス版には2月14日にハリウッドのキャピトル・スタジオで行われたスタジオ・ライブから4曲をmp3でダウンロードすることができます。セッションの映像はこちらです。その中にはポール自身がiTunes Liveとしてアップしている映像が多数あります。My Valentineただ、時間がわずか30秒では物足りません。PAUL McCARTNEY:KISSESON THE BOTTOM(MPL Comunications Inc. HRM-33596-02)1.I'm Gonna Sit Right Down And Write Myself A Letter2.Home (When Shadows Fall)3.It's Only A Paper Moon4.More I Cannot Wish You5.The Glory Of Love6.We Three (My Echo, My Shadow And Me)7.Ac-Cent-Tchu-Ate The Positive8.My Valentine9.Always10.My Very Good Friend The Milkman11.Bye Bye Blackbird12.Get Yourself Another Fool13.The Inch Worm14.Only Our HeartsPaul MacCartney(vo)Diana Kral(p)Karriem Riggins(Ds)Robert Hurst(b)John Pizzarelli(g)Stievie Wonder(harmonica)Eric Clapton(g)London Symphony Orchestra
2012年03月08日
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野口嘉則氏の新作。 氏のメルマガに告知があったので、早速予約しました。いざ発売日になったら、発行部数が少なくて、数日後にやっと届きました。そのまま積んどく状態になってしまったのですが、昨日読みました。100ページにも満たない書籍で、しかもかなり隙間のある本です。30分もあれば読み終わってしまいます。でも、物足りなさは感じませんでした。内容は老人による独白で、それは最後まで読まないと分かりません。この本で言いたいことは、物や権力に執着することは間違いだということです。自分が最後に死ぬ時は、それらをすべて失ってしまう。人間は、人生と共に物や権力を得ていくが、それによって自分が偉くなったと思うのは勘違いである。そして、誰でもが、人生の後半には失うものが多くなる。最後には、全てを失ってしまう、というものです。これらは外的な条件で変化していくものです。だから、自分の内的な体験をよりどころにしなさいといいます。自分が生きてこられた理由となる全てのものに感謝しなさい、そうすると、例えどんなことが起きても幸せな人生を送れるというものです。最近というか昔から物に執着することの愚を述べた書物は多いです。この本もその一種なのかもしれませんが、自分の内的な体験に価値をおき、それをよりどころにしていく生き方を提示したものはなかったように思います。口で言うのは優しいですが、それを実践するのは難しいです。個人的なことでいえば、大量のCDや本を捨てることを決心できるかというのは、今の時点では難しいです。なので、本書の老人のような心境になるにはほど遠い状態で、修行が足りないと思う今日この頃です。
2012年03月07日
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昨日帰宅したら、妻が、以前見学に行ったグループホームに入所できることになったと言いました。 勿論私のことではなく母親のことです。昨年末に3軒を見学した話はこのブログでも書きました。そのとき一番いいと思った所からの連絡でラッキーと思ったのです。それは新築のところだからでした。古いと、なんとなく生活臭が染み付いていて、そこがいいという方もいるかもしれませんが、個人的にはあまりいい感じはしませんでした。なので、今度のことはとても喜ばしいことです。話によると、そこの人たちがいろいろ検討した結果だそうです。宝くじほどではないですが、当たって嬉しいです。問題は当人にどう切り出すかでした。18日に説明会があるので、その時どう切り出すかアドバイスをもらおうと考えていました。何しろ母親はデイサービスも拒否するくらいなので、反逆にあったらどうしようかと思ったからです。離れている妹にも連絡しましたが、まあ当然と言った反応でした。ただ、伝える時は「なんとか頼む」という感じで言ってほしいと言われました。そして、今日、帰宅した時に、母親がご飯を食べています。そしたら、前のことを忘れて話をしてしまいました。母親の反応は「何もできない」ということばかりで、行きたくないという話はしません。母は早速自分の妹に連絡していました。大勢兄弟がいる中で、女は二人だけで、一番仲が良いので、連絡したかったのだと思います。意外な反応だったので驚いたのですが、あとで妻に「早く死ねばよかった」みたいなことをぐちぐちと言っていたそうです。妻はそう言われることが嫌で、「なんで早く言ってしまったのだ」となじられてしまいました。私はそういうことに鈍感なので、そこまで考えが及ばなかったことを詫びたのですが、後の祭りです。世の中ではグループホームや老人ホームに入ってから自殺しする人が結構いるようです。入所してから鬱になり、それが自殺につながるようです。とりあえず、短い間だけだと言いましたが、うちの母親もそうならなければいいと思っています。ただ、どういうケアをしていけばいいか分かりません。あまり頻繁に行くと、里心がつきそうですし、そのさじ加減が難しいと思います。。。まだ悩みが解決したわけではないので、とりあえず入所までは目が離せません。こうしてみると、妻のいったことは正しかったのだと思います。私は急に伝えるよりも、ある程度納得する時間があった方が、本人にはいいと思ったのですが、考え方が間違っていたかもしれません。
2012年03月06日
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アカデミー賞に多数ノミネートされた「ヒューゴの不思議な発明」を見ました。残念ながら、主要な賞の受賞には至りませんでしたが、堂々5部門、それも技術系の部門での受賞はご同慶の至りです。本当は、「メランコリア」と「ヒューゴの不思議な発明」2D版を見るつもりだったのですが、いざ行ってみたら、2本見る気が無くなって、急遽「ヒューゴの不思議な発明」の3Dを見ることにしました。入る前に3D眼鏡を購入。眼鏡に引っ掛けるタイプのもので300円なりでした。ワーナーマイカルでも使えるか聞いてみたのですが、「中劇では使える」というそっけない回答でした。まあ、お客さんのことは考えていないことがよくわかる発言でしたが、バイトでしょうから仕方ありません。いつも持参している巾着にワーナーマイカルの3D用眼鏡も入れておいたので、年のため確かめてみました。ちゃんと3Dとして見えましたが、気のせいか少し暗い感じがしました。この映画館は、前はアクティヴ型だったのですが、最近パッシヴ型に変えたための変更だと思います。肝心の映画ですが、なかなかおもしろかったです。雰囲気が初期の「ハリー・ポッター」シリーズに似ていて、その肌触りが心地よかったです。あらすじは、時計職人だった父が、もうひとつの仕事である博物館の警備?中に火災が発生して亡くなってしまいます。博物館に捨てられているのを父が拾った、絵を描くロボットをヒューゴが完成し、孤児であるヒューゴがひょんなことから知り合いになったおもちゃ屋さんがもともとの持ち主だったことが分かります。そして、彼は歴史上の人物であることが明かされる、といった映画です。実在の人物ジョルジュ・メリエス(1862-1938)が登場人物の一人です。おもちゃ屋になっていたのは本当かどうかわかりませんが、そのほかは事実に基づいたストーリーで、代表作『月世界旅行』(1902)も出てきます。■主人公のヒューゴヒューゴはイギリス出身のエイサ・バターフィールド。1997年生まれで、本当の年より少し若い役柄でしたが、ぴったりだったと思います。彼と一緒に冒険するのが「キック・アス」「モールス」のクロエ・グレース・モレッツ。少し癖のある顔立ちが、個人的にはあまり好みではありませんが、役にはあっていたと思います。この映画で最もはまっていたのはジョルジュ・メリエスを演じたベン・キングズレー。意地の悪いおもちゃ屋の店主もいいのですが、映画で活躍をしていたころのシーンでは生き生きとした演技が素晴らしかったと思います。もう一人鉄道公安官役のサシャ・バロン・コーエンの演技もユーモアがそこはかと漂う演技がよかったです。もともとコメディアンですから、こういう役はお手の物でしょう。彼の仕事が孤児をひっ捕えることでしたが、そういえば舞台となった1930年代にはそういうこともあったんだということを思い出し、なにか昔の映画を見ているような気になりました。舞台はフランスで、フランスらしいしゃれっ気も感じられます。アメリカ映画らしからぬ、温かみのある色彩とあまりシャープでない映像が、ストーリにマッチしていたと思います。しかし、複雑な時計台のシステムや、絵を描く人形のからくりなどとても楽しかったです。時々無声映画の一場面が出てきますが、それも楽しかったです。その中で、バスター・キートンがビルを上る場面が出て来て、そのドタバタぶりは笑えました。公式サイト
2012年03月05日
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ここのところ、次第に古楽にハマりつつあります。 少し前に、スカラ座のライブがムーティ指揮で放送されて、録画したのですが、編集をしている時に、うっかり消してしまいました。それで、オルフェオの音楽を知りたいと思い、アイムのアルバムを購入しました。今回のアイムの「オルフェオ」は、以前レビューした「フィデリオ」と同じシリーズのものです。筋とか全く分からなかったのですが、その音楽には魅力があります。モンテヴェルディに関して言えば個人的には「聖母マリアの夕べの祈り」(ヴェスプロ)以外知りません。そして、ヴェスプロの輝かしい音楽には惹かれていました。それが、このオペラを聴く動機になっていることは確かです。筋とか知らないままに聞いていたのですが、第4幕の終結部の祝典的な気分は、映画の歓喜の場面を彷彿させて、いい感じでした。全体的にホンワカとした雰囲気が満ちています。神話の物語ですから当たりまえですが。。。ちょっと気になるのは合唱くらいで、歌手は端役まで粒ぞろいです。主役のボストリッジは申し分ありません。音楽の精のデセイ、スペランツァのソニア・プリナも立派です。地獄の王の妻プロセルピナ役のヴェロニク・ジャンスの清純な声もうっとりします。 三途の川の渡し守カロンテ役のマリオ・ルペリの威厳のある声も役にふさわしいです。エウリディーチェがいいなと思ってブックレットを見たら、私のお気に入りのパトリツィア・チョーフィではないですか。艶っぽくてとてもいい声なんですが、オルフェオとの別れの場面ではそれがちょっと場面にそぐわないいような気がしました。また、第5幕で合登場するオルフェオの父アポロの声が若々しすぎて、声だけ聞いていると、父と子の会話には聞こえません。ただ、音楽的には天上に向かう場面での2重奏は素晴らしかったです。気になったのは第2幕の終わり付近で太鼓が何回もどろどろとなり響くところです。黄泉の国の描写でしょうか。味をしめたので残りの有名な作品「ウリッセの帰還」「ポッペアの戴冠」を聞きたいと思います。2002年のリセウ大歌劇場での上演の全曲の映像をこちらで見ることが出来ます。引用元のブログで良い時代になったと書かれていましたが、全く同感です。MONTEVERDI:L'RFEO(Virgein CLASSICS 9 48253 2)IAN BOSTRIDGE(tn)NATALIE DESSAY(s)PATRIZIA CIOFI(S)European Voices・Les SacqueboutiersLe Concert d'AstreeEmmanuelle Haim(cond)Recorded 15-22,January,2003,Eglise Notre Dame du Liban,Paris
2012年03月04日
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少し前に、楽器(ウインナ・ホルン)を再開したが、不具合があるので修理に出したという話を書きました。 その後、修理をお願いした地元の店では手に負えなくて、静岡の工房に修理を依頼することになりました。そこまでは良かったのですが、見積もり段階で、何故かベルの胴の部分がへこんでいるという話をされました。凹んでいる覚えはなかったのですが、よくわからないまま修理をお願いしてしまいました。返ってきた時に、緩衝材が入っていたので、どうも私が持ち込んだ状態で緩衝材を入れて送ったと推測できました。肝心のピストンの不具合が治っているか、早速動かして見て良いなと思い、少し吹いてみました。悪くないなと思ったのですが、ピストンの動きを見たら、やはり第2ピストンがちゃんと戻っていません。仕方がないので、返品しました。その時に、凹んだのは輸送した時と考えられうので。もう一回送るときにはちゃんと包装して送ってほしいというメモを添えました。本当は、凹みを直した代金は払いたくないのですが、仕方ありません。なにしろ、こちらで証明することが出来ないでの。。。稿いう場合、ユーザーは、自分に瑕疵がないように送る前には写真をとるなりなんなりして、証拠を残しておかなければ、相手のいなりになるしかありません。よくあるアパートの入退去のときと同じことをやらなければならないとは思いませんでした。本当はお店で送る前に確認してくれればと思いますが、そこまでは考えられなかったともいます。もともと、私のケースは旅行鞄を改造したもので、トラック輸送には適していません。多分、なにか大きな力が加わったものと思いますが、今考えれば、送るという話をされて時、一言っておけばと思いましたが、後の祭りです。自己防衛しなければならないのは仕方ないのですが、もう少し神経を使ってほしかったなと思ってしまいました。凹みに関してはそういうことですが、肝心のピストンの修理、しっかり治してほしいと思います。もうかなり時間がたっているし、今度復帰を考えているので、あまり遅くならないことを祈るばかりです。
2012年03月03日
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本屋さんで見かけて、立ち読みしたらおもしろそうだったので購入した、コルトレーンのムック本。これがめっぽう面白かったです。 通常の名盤を並べて、解説をしたようなものではありません。そのような部分もあるのですが、殆どはエッセイ、著名ジャズマンへのインタビュー、座談会などでした。そのなかで新しい発見が三つありました。まず、「今、絶対聞くべき」という枕のついた「コルトレーン・アルバム・ベスト5」がユニークな選曲で面白かったです。村上寛(ノー・トランクス)、茂串邦明(イントロ)、後藤雅洋(いーぐる)という夢いジャズ喫茶の店主の選出でした。話題になっていたのは、殆どがコルトレーン後期の演奏についてでした。そのなかでトップになったのが、なんと「メディテーションズ」。通常のセレクションではリストにも載らないようなアルバムです。座談会では、コルトレーンの精神性というか、ストイックなところについて議論がされていて、そういうものが「メディテーション」によく表れているとう話になりました。コルトレーンのストイックなところをほめる二人に対し、茂串氏が猛然と突っかかっていくところが、とても面白かったです。茂串氏にしてもストイックとは思わないでも、精神性は感じると言います。それって矛盾していないのか、と思いながら読んでいました。それに精神性を感じるためには大音量で聴かないとわからない(村上氏)というのもなかなか意味深長です。茂串氏がコルトレーンに入れ込む理由として挙げているのが音色。コルトレーンの音はすごく深くて他の誰にも出来ないレベルにあるという指摘です。宗教でも、教祖がいい声だと人を説得できるのと同じだという珍説を披露しています。個人的には、後期の太くて凄味のある音色には畏敬の念を持っていました。初めてそれに気付いたのは、「エクスプレッション」を聞いた時で、中期までの音色とまるで違っていたことが、大変印象に残ったことを覚えています。今これを書いているときに、多分、10年以上は聞いていなかったLPの「インターステラー・スペース」を聞いてみました。やはりすごいというか、凄まじいとしか言いようのない演奏です。この本を読んだ後、コルトレーンの演奏を聴きたいと思って、インパルスの4重奏団の演奏を集めた「コンプリート・インパルス・レコーディングス」を眺めていたら、カルテットで演奏した「メディテーション」が収録されていたことを知りました。すっかり忘れてしまっていたのですが、それを大音量で聴いてみました。個人的には、大音量で見えてくるものがあるかどうか分かりませんでした。まあ、家庭での大音量ですから限界はあるわけで、ジャズ喫茶で大音量で聞いたらまた別だとは思いますが。。。おそらくは、2ヶ月後に録音されたファラオ・サンダースやラシッド・アリを加えた録音は全く別物だと思います。そういうことは別としても、後期の演奏にはおごそかな儀式みたいな雰囲気を感じることは確かです。しかし、このようなアルバムが選ばれるとは、世の中も変わったのかと思いました。個人的には、「難渋で過激な音楽」の片鱗を感じたくらいです。この録音から今までの間に、これよりも過激な演奏はいくらでもあったわけで、それを経験した耳には、それほど過激に感じるはずもありません。 また、「コルトレーンの現在と未来」という座談会での中山康樹氏の話も、とても興味深かったです。それは従来評価の低かった「コズミック・ミュージック」「インフィニティ」などのアリス・コルトレーンがオーバー・ダビングしたアルバムについてで、「アリスはそう間違ったことはしていなかったのではないか」という意見でした。アリスがその後やろうとした宇宙というかサウンドは、コルトレーンと共鳴するものが一番感じられるのだそうです。「インター・ステラー・スペース」というネーミングにしても、「宇宙とつながっている」(村井康司氏)のだそうです。なるほど、こういう話を聞くと、今まで全く評価していなかったアリスの音楽も聞いてみなければと思います。それから80年代後半のリスナー代表として大谷能生氏の話も面白いです。コルトレーンのフリージャズは笑える。それは、今のジャズファンにとっての「過激」な音楽のハードルが下がってしまって、今聞くと普通に聞こえると言います。逆に、「至上の愛」はおかしく聞こえる。おかしいのは「何?このシリアスさは、・・・」という逆説的なもので、現代はその方が前衛に聞こえるという価値観の逆転が起こっている。世の中そんな風になっているとは思いませんでしたが、まあ、それだけコルトレーンの音楽はまだ命脈を保っているということかもしれません。もうひとつ、世の中では常識なのだと思いますが、「ブルー・トレイン」のジャケット写真。サックスを提げて、左手を頭の後ろに回し、右手を口のところに持っていて、何か深刻に考え込んでいる一人の男がいます。ところが、この右手を口のところに持っていっているのは、キャンディーをなめているからだという記述がどこかに書いていてビクリしてしまいました。よくよく見ると、確かにそうとしか思えません。しかし、よく見ている人もいるもんだと、変に感心してしまいました。ところで、最初のベスト5ですがあとは「至上の愛」「コルトレーン・アット・ニューポート」「ライブ・アット・バードランド」「ライブ・アット・カーネギーホール」と月並みになってしまいました。「メディテーション」のほかにヴィレッジ・ヴァンガードのライブ盤を聴きました。皆さんが指摘されているように、このようなまじめな音楽はそれほどあるとは思えないというのが実感でした。それに、一瞬一瞬を完全燃焼した生き方も、現在では少なくなってしまったということを実感しました。コルトレーンに関して新たな興味の視点を提供されたので、そちらの方面を少しチェックしようかと考えて、ニューポートの演奏を集めた、「コルトレーン・アット・ニューポート」を先月に注文しました。今日、コルトレーンのCDをチェックしていたら、件のCDがあるではないですか。「また、やってしまった」とつぶやく、馬鹿な男が一人出来上がりました。。。。KAWADE夢ムック 文藝別冊 「ジョン・コルトレーン」 河出書房新社 2012年2月28日初版発行
2012年03月02日
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昨年末に出た寺神戸亮の「シャコンヌへの道」を聞く。 最初に発売されたときからほしかったのですが、何しろ国内盤で高かったので、買わずじまいでした。それが昨年末クレスト1000で再発され、1月に購入しました。それ以来何回か聞いていますが、とてもいいです。このCDはバッハのシャコンヌにつながる無伴奏のヴァイオリン曲の系譜を辿ったものす。寺神戸氏が長年温めていたもので、見事に統一された選曲と相まって、ドイツの無伴奏ヴァイオリン音楽を耳で辿れる優れたアルバムです。文字だけ読んでもわからないものが、音を聞くことにより体験できることを実感されます。バッハ、テレマン、ビーバー以外は知らない作曲家たちですが、佇まいが驚くほど似通っています。どの曲も気品が高く、張り詰めた雰囲気が大変魅力的です。こういう曲を集めたアルバムでは、曲によりばらつきが出るものですが、あるとしても、それが全く気にならないほどです。また、音色を含めて古楽器ではモダン楽器に比べて制約があると思いますが、それを全く感じさせない演奏です。しかし、今まで聞いたことのない音楽が高貴に美しく響くさまは何と形容していいか分かりません。普通なら、大曲と考えられるバッハの「シャコンヌ」も他の曲と並ぶと、あまり変わらないように聞こえます。最後に収められているバッハの「ガヴォット」が陳腐に聞こえると言ったら言い過ぎでしょうか。それだけ他の曲の水準も高いという証明だと思います。シャコンヌへの道 ~無伴奏ヴァイオリン・リサイタル(DENON COCO-73262)1.バルツァー:プレリュード ト長調2.バルツァー:「ジョン,来て,キスして」によるディヴィジョン ト長調3.ヴェストホフ:無伴奏ヴァイオリンのための組曲第1番イ短調4.ビーバー:「ロザリオのソナタ」~パッサカリア ト短調5.テレマン:無伴奏ヴァイオリンのための幻想曲第1番変ロ長調()6.テレマン:無伴奏ヴァイオリンのための幻想曲第7番変ホ長調(テレマン)7.ピゼンデル:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ イ短調()8.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番ニ短調BWV1004~シャコンヌ ニ短調9.バッハ:無伴奏チェロ組曲第6番ニ長調BWV1012~ガヴォット寺神戸亮(vn)録音:2003年12月29日~31日 ドイツ、フィアゼン、フェストハレ
2012年03月01日
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