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ヤマザキマリの人気コミックの映画化。 この作品、マンガ大賞2010ほかいろいろな賞をとったことを知って、読みました。とてもおもしろく、結局コミック全巻(といっても4巻までしか出ていませんが)を読んでしまいました。映画は、主な登場人物は同じですが、筋が原作とはかなり異なっています。ローマ人のストーリーは同じですが、主人公ルシウスの現代日本への出方がちょっと違います。それに、サニタリーに興味を持って、いろいろ調べるところはかなり面白いです。■阿部寛は適役 主人公である浴場専門の建築技師ルシウスを演じている阿部寛は適役です。 穏やかな性格と、いろいろなことに興味を持ち、疑問に思うことを積極的に研究する姿勢は原作そのものです。また、この映画では裸のシーンが多いのですが、見事な肉体を披露しています。おそらく、日本人でこの役をできるのは阿部寛しかないのではないでしょうか。山越真美役の上戸彩は地で演技しているような自然さですが、いまだに子供っぽくて、阿部との絡みも全く色気がないのは困ったことです。映画を見る前、上戸彩は原作に出てくる小達さつきの役かと思ったら、映画オリジナルの役でした。小達さつきは、原作ではコミックの4巻目に登場するので、整合が取れなくなるので、新しい役を作ったのだと思います。歴史学者である小達さつきのラテン好きや性格は似ていたと思います。温泉旅館の連中も、個性的な役者をそろえていたと思います。真美の父親修造役の笹野高史はさすがうまいです。古代ローマでの出演者たちはキャスティングがよく、みなさんはまっています。特に、女好きのケイオニス役の北村一輝の妖しさが役にぴったりです。それから、皇帝ハドリアヌスの市村正親も威厳があって良かったです。個人的には胡散臭い演技をする奴くらいにしか思っていなかったのですが、今回は役に恵まれたのかもしれません。アントニヌス役の宍戸開の、正義漢らしい演技も良かったです。■セットのスケールが大きい全体的に邦画とは思えないような、スケールの大きさを感じます。特に、古代ローマの市中の場面はよく描かれていて、CGがいいなと思っていたのですが、これはイタリアのチネチッタと呼ばれる映画都市のセットで撮影したものだそうです。どおりで、と思ったのですが、古代ローマの色調が茶色がかっていて、夢なのか現実なのかわからないようにしているところなどうまいです。話の途中で、場面切り替えの時に、なぜかタキシードを着たテノール歌手が出てきて、ヴェルディやプッチーニのアリアを歌います。何故、ヴェルディやプッチーニなのかはわかりませんが、これが妙にははまっていて、笑わせます。■続編の予感?最後にルシウスが日本に戻ってきますが、前と状況が違っていて、続編がありそうな感じがします。個人的には、女たらしのケイオニスの名誉を回復してほしいと思います。公式サイト
2012年04月30日
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今日盛岡で日テレベレーザとジェフ千葉レディーズの公式試合があったので見に行きました。 妻を誘ったら珍しく同意が得られたので、昼飯を準備してもらってでかけました。休日で県営運動公園がいろいろな行事が行われています。そのためか、駐車場に着くまでに結構時間がかかってしまいました。駅まで徒歩15分なので、こういう場合は電車に限ります。。。一時のブームが下火になりかけているということで、ガラガラを予想していたのですが、メインスタンドは結構人が入っています。バックスタンドもまあ、そこそこでした。全席自由で当日大人1500円ですので、入りやすいことは確かです。後半入場者数のアナウンスがあり7082人だったそうです。今季の入場者数の中でもかなり上位のほうだと思います。タダ券を配ったようですが、何はともあれ、岩清水の顔がたったということで喜ばしいことではあります。私のお目当ては、岩淵真奈と永里亜紗乃だったのですが、永里が2ゴールを挙げました。永里は実物は思ったより上背があり、細いかと思ったら結構太かったです。岩淵はやはり小さいですが、太い。ちょこまかと動き回るのですが、どうも独り相撲を取っているような感じで、周りとの連携がいまいち。永里はそれほど精力的に動いているわけではありませんが、ポジション取りがいいんでしょうか、いいところにいます。岩清水は、さすがにパスの精度が高い。子供の試合によく行っていたのに、あまりサッカーを知らない妻が言うくらいですので、やはり腕がいいんでしょう。試合は力の差がありすぎて、前半3点後半1点をベレーザが入れて終わりました。シュートはベレーザが10本、千葉が5本で、10本で4点とは効率のいい攻撃でした。一方的な試合でしたが、そこそこ楽しめたと思います。男性のプレーには劣るとしても、スピードもそれなりにありました。ところで、千葉の選手で、一人だけどう見ても女子選手には見えない方がいらっしゃったのですが、あとで確認したら間違いなく女性でした。遠目で見たためか、髪がすごく短いので、どう見ても男としか思えなかったです。また、天気が良すぎて、結構、日に焼けました。そのためか、家に帰ったらぐったり。今日、行くつもりだった演奏会もパスしてしまいました。ごめん。。。
2012年04月29日
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恒例のGIAの「WIND WORKS」のシリーズ。今年も2枚リリースされました。37.85$為替手数料込みで3218円、一枚当たり1600円と国内で買うよりはかなり安いです。約一か月前に発注したのですが、届いたのは1か月以上過ぎていました。そろそろ、連絡しようかと思っていたところなので、連絡しなくてよかったです。通常の包装にさらに宛先を書いた紙がくっついていました。おそらく、一度戻って再度送られたのではないかと思います。ただ、宛先を見たら、名前しか書かれていなくて、住所はちゃんと書かれてあるにしても、届いたのはラッキーでした。おそらく、日本郵政のルールだと届けられないことになってしまいそうが、配達員が気を利かせてくれたのかもしれません。しかし、これが間違っていたら、問題になっているところで、すべては発送元の問題ではありますが、リスクをがあったことは確かです。ところで、今回は、最近の中では、かなりいい出来の部類ではないでしょうか。吹奏楽の醍醐味を存分に楽しめる名盤に仕上がったと思います。吹奏楽は弦楽器のような鋭い表現はできませんが、人間の息を使っているために、温かみがあります。今回はその特徴が最大限に発揮されていると思います。ハーモニーがとてもきれいで、ぬくもりのあるサンド、吹奏楽を聴いている喜びが感じられる瞬間です。「CIPHERS」は1970年から2009年まで吹奏楽の古典と最新作の組み合わせです。珍しく古典は1曲のみですが、フサの代表作「この地球を神と崇める」が取り上げられています。曲は有名ですが、録音にはあまり恵まれておらず、イサカ大学ウインド・アンサンブルの演奏でマーク・カスタムから出ているものが有名だったと思います。ただ、価格が高く、ウェブサイトで出会うたびに、ほしいと思いつつ今日に至っています。それが、最高の組み合わせで聞くことができて、こんなうれしいことはありません。この曲は、フサ特有の暗さと野蛮さに満ちていて、聴いていると脇の下から冷や汗が出てきそうな緊迫感があります。昨今の音楽で、こういう感じになる曲はまずありません。90歳を超えるお年ですが、今でも健在なんでしょうか。wikiをみると吹奏楽作品「チーター」を作曲したのが2006年、85歳の時で、今のところこれが最後の作品なのだと思います。この曲や「この地球を神と崇める」が含まれているフサの作品集が、このアルバムと同じ時期にGIAから出ています。私の好きな「ビビッド・カラーズ」や、代表作の「プラハのための音楽1968」なども入っています。このGIAのコンポーザーズ・シリーズは全部が新録音でないため、ダブるのが嫌で今まで買ったことがありません。理由はこのバンドが主力の「GIA WIND WORKS」シリーズや、klavierの「WIND PROJECT」に収録されている曲が多数含まれていて、リリース時期が近接していることが多く、違う録音とはとても思えないからです。「プラハのための音楽1968」もklavierで録音しています。この「この地球を神と崇める」は、人類の自然美に対する残忍な所有と悪用、その結果としての地球の滅亡を描いています。この中では、第2曲の人類の破壊行為を描いた「破壊の悲劇」 の凶暴な暴力描写がすごくインパクトがあります。そのあとの終章の滅びてしまった地球の荒涼たる風景も背筋が凍るような感じがします。終結部の少し前では男女のつぶやきが聞こえてきますが、「this beautiful earth」といって言っているそうです。演奏は、もう少し野蛮さが表に出てきてもいいように思いましたが、まず申し分のない演奏ではないでしょうか。。。ここまで書いた後、例によっていろいろ調べていたら、ブニョール・ラ・アルティスティカ交響吹奏楽団のライブ盤に収録されていることを発見。これならたしか持ってるぞ、と思い、探したら、ありました。なんとも、いい加減な記憶です。だから、おなじCDを何回も買ったりするんですね。。。これは、ライブということもあり、ところどころ乱れが聴こえます。しかし、尋常ならざる迫力です。これに対し、今回のアルバムでの演奏は、最新のセッション録音ということもあり、細部がよく聞こえます。また、アンサンブルも整っています。ただ、きれいすぎるためか、切迫感はブニョール・アルティスティカのほうがあるような気がします。註)楽曲の内容については、「THE WIND SYMPHONY」というサイトを参考にしました。大変詳しく書かれていて、とても参考になります。多分相当に有名なサイトだと思われますが、私は全く知りませんでした。エレビーの「NEW WARLS DANCE」(1998)は、このアルバムでは比較的古いほうで、演奏も何種類か出ています。短い曲ばかりですが、軽快でとても楽しい曲です。なによりも、生き生きとしているところが、この曲の真骨頂です。手元にあるのは「THE KINGS GO FORTH」というポリフォニーから出ている「GREAT BRITISH MUSIC FOR WIND BAND」のシリーズの第6巻、イギリス空軍セントラルバンドの演奏です。聞いてみましたが、このバンドのねっとりとしたサウンドがこの曲にはあまりふさわしくありません。また、反応が鈍いため、この曲の軽快さが出てきていません。後藤洋の「SONG」(2008)はバンド維新2010の委嘱作品で、昨年の「ABAスーザ/オストワルド賞」受賞作品です。このアルバムを何回か聞いていて、この曲がいいなとは思っていたのですが、まさかオストワルド賞を受賞していたとは知りませんでした。日本人の受賞はもちろん初めてですが、まさに快挙ですねって、今頃知って遅れていますね。。。冒頭ゆったりとしたテンポでクラリネットのソロが始まります。オーボエ、フルートが加わり、アルトの美しいメロディーが聞こえてきます。乳白色の朝もやに太陽の光が射して、次第に輝きを増していき、小鳥のさえずりが聞こえ始める、そんな光景が見えるようです。一転して、テンポが速くなり、印象的な旋律が繰り返されます。この旋律は躍動的で、繰り返してもしつこく感じません。また、時々、その流れを止めるような冒頭に提示されたゆっくりしたモチーフが現れ、曲が一本調子になることから救っています。最後は冒頭部分が再現され、中断するように終わってしまいます。それほど力の入った曲ではありませんが、透明感溢れる作品です。アメリカのボルチモア出身のドウェイン・ミルバーン(1963-) の「エメラルド組曲」は「ロンド」、「エアー」、「マーチ」の3曲からなります。これらの作品は北テキサス大の学生歌をもとにしています。スタイルは新しくはありませんが、アメリカの良き伝統と、吹奏楽本来の楽しさが伝わってくる、活気のある作品です。特に最後の行進曲は、聞くほうも演奏者もウキウキするような、躍動感あふれる楽しい作品です。最後はロベルト・シエラ(1953-)の「アレグリア」(1996/2009)。彼はプエルトリコ出身で、カリブ海の多様な伝統民族音楽を取り入れた作品を書いています。この曲は、明るい旋律が速い快活なリズムに乗って、ぐいぐいと進んでいきます。賑やかというよりは、騒がしいという印象が強いです。イーストマン・ウインド・アンサンブルの指揮者マーク・スキャッタデイによる編曲です。他に、マスランカの「トラベラーズ」が収録されています。マスランカはあまり好きでないのですが、この曲も暗く、あまり面白くないです。CIPHERS:NORTH TEXAS WIND SYMPHONY(GIA WINDWORKS CD-871)1.David Maslaanka:Traveler (2003)2.Martin Ellerby:New World Dances Earth Dance Moon Dance Sun Dance5. Karel Husa:Apotheosis of This Earth(1970) Apotheosis Tragedy Postscript8.Yo Goto:Songs (2008)9.Dwayne S.Milburn:Emerald Suite(2006) Rondo Air March12. Roberto Cierra(trans.Mark Acatterday):Alegria (1996/2009)NORTH TEXAS WIND SYMPHONYEUGEN MIGLIARO CORPORON,CONDUCTORRecorded:University of North Texas Winspear Performance Hall,Murchison Performing Arts Center,November 6-7,2010,April 10,2011,June 26 and 30,2011
2012年04月28日
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いつも読んでいるメルマガ『国際派時事コラム「商社マンに技あり!」』。硬派の内容で大変面白いのですが、珍しく砕けた内容でした。それは、「ボストン読本」というボストン在住の井筒周(いづつ・めぐる)さんのメールマガジンからの内容の転載でした。題して「ヒップホップの勘違い』。(以下概要)日本の新聞に「ダンス」が必修になってヒップホップを教える学校があるという記事が載っていてぶったまげた。しかも、「ヒップホップなんかを教えるのはけしからん」ではなく、「学校もかっこよくなってきた」「子供たちも大喜び」みたいな話になっているので、ますます、のけぞった。この驚きを例えると、アメリカの中学校で、どじょうすくい(安来節)を教えている時の、日本人の驚きに近い。ヒップホップはドジョウすくいと同様、非常に特殊で、アメリカで、学校でヒップホップダンスを教えるなんてことはありえない。よしんば、ヘンな先生がヒップホップを教えたとしたら、生徒の両親は怒り出すだろうし、生徒も「ぜったいにイヤだ」と反発するだろう。なぜかというと、ヒップホップは都市部の貧しい黒人たちが作り出した「不良の文化」だからだ。ヒップホップの音楽であるラップは、暴力的や性的な言葉に満ちているので、こういうものは学校で教えるものではないし、反体制・反権力のものだから先生から教わるものでもない。ヒップホップを先生から教わったら、もうそれはヒップホップでなくなってしまう。だからと言って、日本でヒップホップダンスを教えるな、と言いたいのではない。そうではなく、「なるほど、外国の文化というものは、そのものが持つ意味が剥奪されて、形だけが伝播するのだなあ」ということだ。ちょうどヒップホップが「不良」という意味を剥奪されてそのダンスの形式だけが伝わったのと同じように、仏教や民主主義、近代科学など外国から伝わったもののなかにも、意味が剥奪されて伝わったのも多いのではないかと、思わずにはいられなかった。ところで、体育のダンスといえば私の子供のころは「フォークダンス」というものがあった。オクラホマミキサーとか、マイム・マイムとかを覚えている。あれはアメリカからの輸入品、おそらく戦後の連合国軍総司令部(GHQ)経由で入ってきたものだろうが、「フォークダンス」なるものをアメリカ人がやっているのを見たことがない。あれは、いったい何なのだろう。いまにして思うと、フォークダンスという、まあ、あれほどアホらしいものをよくやらされたものだと思う。しかしながら、フォークダンスには、ただ一点、男の子にとってはものすごく嬉しい点がある。それは、「女の子の手を握れる」ということだ。握手やハグの習慣のない日本で、女の子の手を握ったり、肩に腕をかけることができるというのは、なんという革命的なできごとだろうか。とくに、オクラホマミキサーなんかは、次から次に相手を変えて女の子の手を握り放題、肩にも腕をかけられるし、乱交状態だ。ただし、あと二人か三人で好きな××さんと踊れるという時に、音楽が止んでダンスが終わってしまったときほど、人生の不条理を感じるときはないけれど。自分の経験を考えると、35歳でアメリカに来てから、男女かわまず握手をするようになったが、それまでに生まれてからの35年間で私が手を握ったことのある女の数といえば、さぁてまぁ百人はいるだろうかね。百人斬りだな。しかしながら、その内訳を見ると、フォークダンスで小・中学校時代に手を握った女の子がそのうちの90人以上を占めるだろう。そう考えると、フォークダンスは偉い。あるいは私が情けないのか。ヒップホップダンスのほうがカッコいいかもしれないが、ヒップホップなら女の子の手は握れないのではないかな。ふふふふ、いまどきの小・中学生の男子は気の毒だな。(概要終わり)最後は脱線気味でしたが、文化なんて、その素性の良しあしで伝搬されるわけではありません。昔、ロックなんて不良の音楽といわれていたものです。そういうことを考えれば、ヒップホップを学校で教えても別に驚くことではありません。アメリカでダメで、日本でOKなのは受容環境が違うからです。宗教でいえば、排他的なキリスト教と、なんでもありの八百万の神の世界の違いです。個人的には、ヒップホップは学校で教えるようなものではないですが、体を動かすことのない子供たちにとっては、かなりハードな運動なのでいいことだとは思います。ところで、学校でフォークダンスをやらされた身としては、氏の心情には全面的に共感します。おそらく、ほとんどの男子は同じ気持ちだろうと思います。反面、女子はどういう気持ちだったのか興味があります。
2012年04月26日
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アーノンクール=コンツェントゥス・ムジクスの新譜は「ワルツの革命」と題されていますが、ワルツばかり集めているわけではありません。 私はワルツの演奏上の革命をさしているのかと思ったら、ワルツの源流をたどる企画だそうです。聴いていてこのどこが革命なのか??と何度も思っていたのですが、私の早とちりだったようです。アルノンクールの狙いは、原典版を使うことにより、曲の本来の姿を再現しようとしたことにあるようです。全体に流麗さは感じられず、テンポも遅く、むしろ無骨といってもいいくらいです。しかし、温かみのある表現で、馴染みのない曲も次第に身近に感じられてくるのが不思議です。1枚目は、モーツァルトのコントルダンス、ドイツ舞曲集、シュトラウス1世のワルツ、ポルカと続き、2枚目のディスクはヨーゼフ・ランナーのワルツやポルカなどです。コントルダンスは聞いたことがあるかどうかはわかりません。2曲目が、『フィガロの結婚』の『もう飛ぶまいぞ、この蝶々』が囲繞されていて親しみやすいですが、最初車の中で聞いていた時にはつまらない音楽だなと思っていました。ところが、運転中にiPodで聞いていたら、これがなかなかいい感じです。傑作ではないのですが、面白いことに気が付きました。ただ、トルコ風の音楽での打楽器やほかの曲での金管楽器の強奏などがなく、もっと派手にやってくれと思いました。もっとも、普通の演奏に比べれば十分に刺激的なことは確かです。曲が短く、あっという間に終わってしまうので音楽的な充足感はありませんが、暇つぶし?に流しておくのには悪くない音楽です。このアルバムでもっとも有名な曲は「ラデツキー行進曲」ですが、これが原典版を使用しています。従来聞かれている華麗で勇壮な響きではなく、ごつごつした感じがします。テンポも少し遅めで、とくにフレーズを強調するようなこともありません。最後もあっさりと終わります。耳慣れたフレーズと違うところが、何か所かあり、とても興味深い演奏です。アーノンクールは2001年のウイーンフィルの「ニュー・イヤー・コンサート」で、プログラムの最初にこの原典版を演奏していますが、私は聞いた記憶がありません。現在使われている版は、ウイーンフィルの団員が、長年手を加えて現在の形になったものだそうです。出典:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%83%87%E3%83%84%E3%82%AD%E3%83%BC%E8%A1%8C%E9%80%B2%E6%9B%B2また、現代楽器では演奏困難なオリジナルのサウンドを再現するために、10種類のトランペットと5種類のクラリネットを使い分けているそうです。ただ、私には、違いは判りませんでしたというか、全く注意をひきつけられませんでした。シュトラウスで面白いのは「パガニーニ風ワルツ」。有名な「ラ・カンパネラ」の主題を用いたもので、ホルンの強奏が気持ちいいです。ただ、だんだん月並みになっていって面白くなくなります。レハールは1枚目に比べあまり面白くないです。最初の「サヴェリオ・メルカダンテによるパ・ド・ヌフ」は、イタリアの歌劇の作曲家サヴェリオ・メルカダンテの「パ・ド・ヌフ」を演奏会用にアレンジしたもので、世界初録音です。サヴェリオ・メルカダンテはレハールより9歳年長で、レハールより21年長生きしています。ウイーンでは、ロッシーニ、ベルりーニと並んで有名だったそうです。この曲は未出版で、ウイーン楽友協会所蔵のスコアを使っています。20分弱の音楽で、木管が活躍しますが、あまり面白いとは言えません。レハールの曲の中では、「マラプー・ギャロップ」という掛け声?も入っている賑やかな曲が楽しいです。ちなみにマラプー(Malabou)とはフランス領ニューカレドニアのグランドテール島にあるリゾート地の名前です。「コルソ・ドナーティ」からの行進曲は、軍楽隊の響きを連想するような、勇壮な音楽です。チューバ?が聞こえてくるのが、この時代の曲では珍しいです。「狩りのギャロップ」の冒頭の粗野なホルンの響きも楽しいです。最後のワルツ「シェーンブルンの人々」はレハールのワルツの中ではポピュラーな曲で、ストラヴィンスキーの「ペトルーシュカ」第3場のバレリーナの踊りで引用されていることで有名です。中間部で金管を活き活きと鳴らす部分がとてもいい感じです。アーノンクールの指揮は、全体を通して、ことさら一部を強調するようなことはありませんが、十分に刺激的です。ただ、個人的にはもう少し激しくやってもらったほうが面白いと思いました。反面、現代の演奏に比して、それほど洗練されていない鄙びた暖色系のサウンドが、とても心地よいです。特にモーツァルトなどは、聞いていると気持ちがよくて、寝てしまいそうです。曲の出来はあまりよくないのに、耳にすんなり入ってくるのは、アーノンクールの演奏のおかげだろうと思います。ワルツの革命(Sony Music Entertainment 88697914112)ディスク11. 2つのコントルダンス K.603~第1曲 ニ長調2. 5つのコントルダンス K.609~第1曲 ハ長調「もう飛ぶまいぞ、この蝶々」3. 5つのコントルダンス K.609~第4曲 ハ長調4. 6つのドイツ舞曲 K.571 第1曲 ニ長調5. 6つのドイツ舞曲 K.571 第2曲 イ長調6. 6つのドイツ舞曲 K.571 第3曲 ハ長調7. 6つのドイツ舞曲 K.571 第4曲 ト長調8. 6つのドイツ舞曲 K.571 第5曲 変ロ長調9. 6つのドイツ舞曲 K.571 第6曲 ニ長調10. ラデツキー行進曲 作品228 [原典版]11. ケッテンブリュッケ・ワルツ 第1番 作品412. 羊飼いのカドリーユ 作品21713. 「パリの謝肉祭」ギャロップ 作品10014. パガニーニ風ワルツ 作品11 ディスク21. サヴェリオ・メルカダンテによるパ・ド・ヌフ2. 憧れのマズルカ 作品893. ハンス・イェーゲル・ポルカ 作品1944. マラプー・ギャロップ 作品148a5. ワルツ「魔女の踊り」 作品2036. 行進曲 ~バレエ「コルソ・ドナーティ」7. チェリート・ポルカ 作品1898. 狩りのギャロップ 作品829. ワルツ「シェーンブルンの人々」 作品200 ウイーン・コンツェントゥス・ムジクスニコラウス・アーノンクール(指揮)録音:2011年6月 ウイーン楽友教会
2012年04月25日
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映画「アーティスト」。 音楽がとてもよかったので、サントラ盤を購入しました。ちなみに音楽でも作曲賞を受賞しています。担当したのは、フランスの作曲家ルドヴィック・ブールス。ノスタルジックな雰囲気の曲が多く、古いスタンダードを使っているのかと思っていたましたが、既存の曲は23曲のうち4曲でした。ヒナステラのバレエ音楽「エスタンシア」から「小麦の踊り」、あとはポピュラーで、リヴィングストンの「イマジネーション」(1927)、エリントンの「ジュビリー・ストンプ」(1928)、アーサー・ジョンソンの「ペニーズ・フロム・ヘブン」(1936)の4曲です。ヒナステラと聞くと、私などは野蛮な音楽と刷り込みが入っているので、ぎょっとしてしまうのですが、ほかの音楽と全く違和感なく、収まっています。これに目をつけたなんて、鋭い耳の持ち主だと思います。「エスタンシア」以外は当時の録音を使っていて、無声映画にぴったりの音楽です。聴いていると映画のシーンがよみがえってくるようで、大変優れた仕事だと思います。演奏しているのは、ブリュッセル・フィルハーモニー管弦楽団。2002年に設立された、サン・ミッシェル劇場のレジデンス・オーケストラです。フランダース放送管弦楽団(1935年に創立)といえばお分かりの方がいると思います。ブックレットには二つの名前が併記されているので、二つの楽団を使っているのかと思ったら、そういうわけでした。近年、ミシェル・タバシュニクを音楽監督に迎えて、自主レーベルで続々新譜をリリースしています。響きは薄手で、フル・オケではありません。どうせなら、フル・オケのゴージャスな響きを聴きたかったです。ところで、リヴィングストン、エリントンの音楽はprostopleerというサイトで全曲聴くことができます。「Jubilee Stomp」を検索するとエリントンのほかに、エリック・ハイマンのピアノソロも引っかかりますが、これがすごい演奏でぶったまげます。このサイトはほかにもいろいろなミュージシャンの演奏が全曲丸ごといい音で聴けます。ただし、無料は1日15曲までという制限があります。それで、少し、遊んでみました。チック・コリア、ビル・エヴァンスなど普通に引っかかります。モンクとコルトレーンのカーネギー・ホールでの「モンクス・ムード」も聞けます。著作権の切れた演奏を使っているのだと思いましたが、そうでもないようです。何しろ、ロシア発のインターネットラジオのiphoneアプリだそうです。ロシアと聞くとどうもいかがわしいと思うので私だけでしょうか。なお、最後の24曲目の「ペニーとジョージ」のみブリュッセル・ジャズ・オーケストラの演奏ですが、アメリカ盤のブックレットにはこの曲のクレジットがないです。閑話休題ルドヴィック・ブールスの音楽はその当時のスタイルを使ったノスタルジックな音楽と、現代的な抒情的な音楽、急速調のダンス音楽などいろいろな形式を使っていて映画の雰囲気を大いに盛り上げています。個人的には、12曲目の「階段での再会」のふんわりとした感じの抒情が気に入りました。そのほか、3曲目の「ジョージ・ヴァレンティン」のしゃれたウキウキするような音楽、7曲目の「ワルツ・フォー・ペピー」のうす絹の肌触りを思わせるような心地よい響きなど、実に趣味のいい作曲です。そのほかの曲も、昔風の、どのシーンかはっきりわかるような曲ばかりです。ルドヴィック・ブールスは昔の音楽を相当研究したと思われますが、その成果がはっきりと表れています。現在は音楽を聴いてその場面を思い浮かべることが難しい音楽が多いですが、ワンパターンですが、このような音楽も悪くないと思います。それがちょっと古臭いこの映画のスタイルに合っていることは確かです。THE ARTIST SOUNDTRACK(SONY MUSIC 8869 797895-2)1.The Artist Ouverture2.1927 A Russian Affair3.George Valentin4.Pretty Peppy5.At The Kinograph Studios6.Fantaisie D Amour7.Waltz For Peppy8.Estancia OP.89.Imagination10.Silent Rumble11.192912.In The Stairs13.Jubilee Stomp14.Comme Une RosAce De Larmes15.The Sound Of Tears16.Pennies From Heaven17.193118.Jungle Bar19.L'Ombre Des Flammes20.Happy Ending ...21.Charming Blackmail22.Ghosts From The Past23.My suicide 03.29.196724.Peppy And George
2012年04月24日
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由紀さおりの全米No.1に輝いたアルバム「1969」を聴く。 少し前から、話題になっていた由紀さおりがピンク・マルティーニのビッグバンドと共演したアルバムで、iTunesのジャズ・チャートで全米No.1になったものです。iTunesでちょっと聞いたのですが、これは歌謡曲だと思い、購入はしませんでした。偶然、図書館にあることを知り、予約しました。6人待ちで、結構人気があるのかなと思いました。私は話題になっているので聞いてみようと思っただけでした。アルバム全体を聴いたところでも、最初にちょい聴きした時と印象は変わりありません。昔、NHKのFMで放送していた、「昼の歌謡曲」という番組のテーマ曲の雰囲気にそっくりです。ピンク・マルティーニというビッグバンドはこの話題が出てくるまでは全く知りませんでした。世界的に有名なビッグ・バンドらしいですが、純粋のジャズのビッグ・バンドではないようです。特にソロがあるわけでもなく、伴奏に徹しています。それにストリングス(the Harvey Rosencrantz Orchestra 10人編成)も入っていて、中途半端な感じがします。どこかのブログでは、カクテル・ラウンジ・グループと書かれていましたが、なるほどうまいことを言います。日本の歌謡番組に出てくるビッグバンド+東京放送管弦楽団みたいなサウンドです。このアルバム、きっかけは、このバンドのリーダー、トーマス・M・ローダーデーが由紀の昔のレコードを見つけて、そのジャケットの写真が気に入ったところから始まっているようです。美人は得だと思いましたが、声にも惹かれたようです。日本でなら絶対に実現しないような企画ですが、アメリカ人には新鮮なんでしょうね。なんせ、ジャズ・チャートにランクされているくらいですから。。。由紀の歌は年とった歌手に見受けられる、崩れた歌い方ではなく、まともです。低音はちょっと怪しいですが、声もそれ相応に出ていて、声だけ聴いていると、まだまだ若々しい感じがします。どちらかというと語りかけるような歌い方なので、声が使い減りしていないということもあると思います。選曲は1969という題名がさすように1969年のヒット曲のカバーと洋楽のスタンダード、「夜明けのスキャット」も入っています。普通だと、当時の音楽に今風のアレンジを施したくなるものですが、歌謡曲では徹頭徹尾当時のサウンド(陳腐さを含めて)にこだわったような、濃いアレンジです。一番気に入ったのが、ボーナス・トラックの「季節の足音」というのも、なんだかなと思ってしまいます。この曲は、このアルバムと同時期にシングルで出た秋元康作詞、羽場仁志作曲の新曲で、爽やかな音楽です。歌謡曲はバタ臭さがどうにも鼻について、だめです。その中ではいずみたくの「いいじゃないの幸せならば」や三木たかしの「夕月」が悪くなかったです。「夕月」ではMasumi Timsonという方の琴まで入っているサービスぶりです。また、筒美京平の「真夜中のボサ・ノバ」とフランシス・レイの「さらば夏の日」でティモシー・西本という方がデュエットしています。スタンダードは、そういうこだわりがない分、気楽に聞けます。特に、ペギー・リーのヒット曲「is that all there is?」がとてもしゃれていて、ぴか一です。一種のキャバレー・ソングだと思いますが、雰囲気満点です。語りも、本家のペギー・リーがそっけないのに比べて、感情がこもっていてうまいです。海外でヒットして日本に逆輸入された音楽はそれほどあるとは思いませんが、話題になって売れることは国内の音楽界にとってはとてもいいことです。国内では絶賛調のレビューが目立ちますが、実際売れているんでしょうか?1969(EMIミュージック・ジャパン CF-27098)1. ブルー・ライト・ヨコハマ2. 真夜中のボサ・ノバ3. さらば夏の日4. パフ5. いいじゃないの幸せならば6. 夕月7. 夜明けのスキャット8. マシュ・ケ・ナダ9. イズ・ザット・オール・ゼア・イズ?10. 私もあなたと泣いていい?11. わすれたいのに12. 季節の足音 (ボーナス・トラック)由紀さおり(vo)ピンク・マルティーニ
2012年04月23日
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昨日初日を迎えた「ももへの手紙」。 確かチラシが置いてあった筈で、てっきり北上でも上映すると思っていました。ところが、どうやら私の早とちりだったようで、今のところ、フォーラムでの上映しかないようです。今日の初回に行きましたが、思ったより人が入っていません。扱いが地味だったためでしょうか。お話は父を亡くして、母の故郷に戻った母娘の物語。思いがけない事故で父親を亡くしたもも(美山加恋)は父とけんかして仲直りできなかったことを後悔している。母親いく子(優香)は、夫を亡くしたことを引きずっている。二人は、フェリーで汐島という瀬戸内海の小島に向かう。そこは、いく子が育ったところで、いく子の叔父と叔母の家に身を寄せる。天から降ってきた3つの雨粒が、彼女らに付きまとう。3つの雨粒は実は妖怪で、ある任務を持っていた。ところが、ももは彼らの姿が見えてしまう。そこから騒動が持ち上がる。。。。■さすがの存在感この映画では、イワ、カワ、マメという3人の妖怪が出てきます。それぞれ、かなり個性が強いです。そのなかでも、体のでかさや特徴的な顔のせいかわかりませんが、イワの存在感がありました。声は西田敏行で、さすがにうまいです。カワの山寺宏一も一癖もふた癖もあるキャラクターをうまく演じていたと思います。いく子役の優香は声優としては3作目だそうですが、落ち着きがあり、なかなか味わい深い演技だったと思います。■後半の緊迫したシーンは見ごたえあり母親の危機を救おうと、ももと妖怪たちが奮闘するシーンは「千と千尋の神隠し」の雰囲気がしました。「千と千尋の神隠し」を手掛けた人たちがスタッフに加わっているということなので、似てもおかしくはありませんが。。しかし、上に載っている妖怪はなんだったんでしょうね。運転手でしょうか?■美しい映像映像は淡い中間色で統一されています。丹念に作りこまれた汐島の海と山の風景がとても美しいです。そして、最後のところで登場するわらで作った船を送るシーンは、とても印象的でした。なお、この映画は文化庁メディア芸術祭の優秀賞、ニューヨーク国際児童映画祭2012長編大賞を受賞したそうで、そのためアメリカはもとより韓国、台湾、香港での公開も決まったとか。誠に喜ばしいことですが、海外で受けるでしょうか。。。この業界は、作品がよければヒットするというわけにはいかないので、配給元が強力でないと苦戦しそうです。■音楽もほのぼの系音楽は窪田ミナ。イギリスで活躍し、2001年から日本に拠点を移して活動している作曲家、ピアニストで、NHKの「ゲゲゲの女房」の音楽を担当していたそうです。「ゲゲゲの女房」の音楽といえば、とてもすがすがしい音楽だったことを覚えています。この映画では、木管を中心とした室内楽的な優しい音楽で、妖怪のコミカルな感じがよく出ていて、映像とすごくマッチしています。原由子の主題歌も同じくほのぼの系で、悪くないです。公式サイト
2012年04月22日
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今日の夕方テレビをつけていて、偶然このビデオを見ました。 NHK復興支援ソングの「花は咲く」という曲です。中村雅俊が出てきて歌い始めました。結構老けたなと思って見ていたのですが、次々と歌い手が変わっていきます。ワンフレーズごとに交代しているのですが、みなさん花を一輪もって歌っています。出演者はこのキャンペーンに賛同した東北3県出身の方々です。歌手はもちろん、俳優、コメディアン、スポーツ選手、アナウンサーなど、いろいろな方が歌っています。意外な人が歌がうまかったりして、驚きました。若い方は総じて歌がうまいです。下手だと思っていたAKB48のメンバーから、岩田華怜と仲谷明香がデュエットしています。これが意外に聞けました。また、ゆったりとした曲調で、こぶしを利かせるところもあり、演歌(千昌夫、新沼謙二)や民謡歌手(原田直行)の歌がツボにはまっています。やはり、このジャンルの歌手の実力はすごいです。おしまいのほうで、野村前楽天監督も歌っています。この曲は岩井俊二作詞、菅野よう子作曲でお二人とも宮城出身だそうです。詞曲ともに抜群の出来で、日本人ならグッとくること請け合いです。なによりも、明日に向かう力強いエネルギーが感じられるところがいいです。Bメロは讃美歌を聴いているような雰囲気がありますし、これだけ多様な歌い方をしても場違いな歌はなく、この曲の持つ包容力が感じられます。また岩井さんはミュージック・ビデオの監督もしています。歌もいいのですが、ビデオの演出が出色で、見ていて涙が出てきました。映像では、ワンフレーズごとに歌い手が切り替わります。みなさん一輪の花を持って歌います。千昌夫だけ、なぜか、花を振り回しているのが笑えます。スケジュールの都合で難しかったのでしょうが、欲を言えば最後はみんな集まって合唱している絵がほしかったです。バックで合唱も入っていますが、合唱にもかなり適した曲だと思います。歌唱者一覧というのがこちらに載っています。【岩手県】沢田知可子、千昌夫、仲谷明香(AKB48)、新沼謙治、村上弘明、山川恵里佳【宮城県】荒川静香、生島ヒロシ、イケメン'ズ、岩田華怜(AKB48)、大友康平、狩野英孝、かの香織、熊谷育美、さとう宗幸、サンドウィッチマン、涼風真世、鈴木京香、中村雅俊、野村克也、畠山美由紀、マギー審司、森公美子、杜けあき、遊佐未森【福島県】秋吉久美子、梅沢富美男、加藤茶、門倉有希、佐藤B作、西田敏行、原田直之、本田武史録画を希望される方は、こちらに放送予定が載っていますのでご利用ください。わたしも、さっそく明日の昼の放送を予約しました。iTunesストアでは4月4日より先行で発売されています。また、CDとDVD付のCDの二つのバージョンで5月23日に発売されます。音だけ聞くのもいいのですが、映像を伴うと感動が一層深まります。歌を聴いていて泣けてきたのは、ほとんど経験がないのですが、これには参りました。著作権料などは、義援金として、すべて被災地に贈られるそうです。なお現時点でニコニコ動画に番組がアップされています。CDの発売が1か月後なので、それまでのつなぎとして、とりあえずiTuneからダウンロードしました。このダウンロード版と、放送されているバージョンはちょっと違っています。放送されているものは、エンディングは合唱になっていますが、ダウンロード版では西田敏行のソロです。普段、偏向的な番組ばっかり放送しているNHKなので、あまりいい感情は持っていませんが、こんな素晴らしい仕事をするとは思いませんでした。こういう企画は民放ではなかなかできる仕事ではありません。これだけの人たちを集めることだけ考えても大変なことです。さすがはNHK、やるときはやる、といったところでしょうか。
2012年04月21日
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以前スイングジャーナルか、JAZZ JAPANで紹介されていた小玉ユキの「坂道のアポロン」。 コミックを知った当時、発売されていたコミックを全部読みましたが、そのあとはフォローしていませんでした。テレビで放映されることをJAZZ JAPANで知り、放送日を心待ちにしていました。フジでは先週から水曜日の「ノイタミナ」の枠で放映が開始されました。めんこいテレビでは、1週間遅れで放映が開始されました。ただ、時間が深夜24時50分からのため、当然リアルタイムで見る根性はなく、今日帰ってきてから録画を見ました。かなり記憶が薄れていましたが、キャラクターデザインは原作と同じだと思います。よく原作と違いデザインの時があり、がっかりすることがあるもんですが、今回はそういうことがなくてよかったです。また、全体の作りも手抜きがなく、かなり作りこまれていて、テレビの漫画というよりは映画を見ているような上質な画像です。音楽も当然ながらかなりのこりようです。担当は菅野よう子で、劇中の演奏では松永貴志のピアノ、佐野康夫のドラムス、鈴木正人のベース、そして類家新平のトランペットというカルテットが本格的なオリジナルを演奏しています。曲の出来も、なかなかいい感じです。また、主役の西見薫のピアノを松永貴志、川渕千太郎のドラムスを18歳の石若駿が担当しています。石若駿は18歳でプロのミュージシャンと共演している、すごい才能の持ち主らしいです。渡辺信一郎監督のこだわりで、下手に弾くように指示され、苦労したと松永が語っていたそうですが、ぎこちないところがあって様になっています。最後のところで、第1回目のテーマである「モーニン」が演奏されます。オープニング・テーマがユキの歌う「坂道のメロディ」、クロージングが秦基博の「アルタイル」で2曲とも菅野よう子の作曲で、どちらもいい感じです。原作の持つスピード感がそのままテレビからも伝わってきて、とても楽しく見ることができました。主役二人のキャラクターも良く描かれています。全部で何回になるのかわかりませんが、次回も楽しみです。劇中で使われるオリジナルとスタンダードどちらも収録されたサウンド・トラックも来週発売されるようで、買おうかどうしようか思案中です。本当は、主題歌も含まれているといいのですが、これらは別々にシングル・カットされるようです。ということで、まだジャズはちょっと出てきただけですが、この後音楽の使い方がどうなるか、ストーリーの展開ともどもすごく楽しみです。石若駿ブログ
2012年04月19日
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今やジャズ界随一のトランぺッターにのし上がった感のあるファブリツィオ・ボッソがロンドン交響楽団と共演したアルバム。 昨年が生誕100周年だったニーノ・ロータの映画音楽集です。 共演は映画の劇伴でしばしば起用されるロンドン交響楽団という組み合わせ。聴く前はさぞかし豪華なサウンドが聞けると思っていたのですが、オーケストレーションが薄くて、ゴージャスな気分に離れませんでした。オケは写真を見る限りはヴァイオリンは第1ヴァイオリンは3プルトぐらいで、木管も2管ではありません。なので、サウンドの厚みはあまりないのも当然です。また、選ばれている曲があまりよくなく、編曲もいまいちです。ロータだったらもっといい曲があるはずなんですが、なんでこんな選曲になっちゃったんでしょうね。殆んどがオケがバックにいますが、そのなかでもカルテットの演奏だけの部分になると何故かほっとします。その演奏がまたとてもよくて、これだったら、カルテットで全曲通したほうがよかったんじゃないかと思ってしまいました。3曲目の「アマルコルド」は曲はあまりよくないですが、カルテットを中心とした前半の部分の演奏がとてもいいです。中間部はトランペットとオケ、後半はトリオが加わり、ベースソロがあります。この編曲はなかなか良かったと思います。このアルバムで唯一ロータ以外の曲がタイトル曲「enchantment」(魅惑)。これは、このアルバムで編曲、指揮を担当している、ステファノ・フォンジーの作曲です。この方はイタリアの映画音楽、テレビなどの音楽を多数手がけ、「エンリオ・モリコーネの真の後継者」といわれているそうです。心の琴線に触れるようなとても美しい旋律を持つ作品です。カルテットで演奏される前半部分での、ボッソのビロードのような音色に、うっとりさせられます。この曲で大きくフィーチャーされているチェロのソロも、効果的な使い方がされています。続く、「山猫」からの「別れのワルツ」は最初はカルテットの演奏で躍動的で生き生きしています。「ゴッドファーザー」の愛のテーマは、後半かなりデフォルメされてタンゴ調になっていて、トランペットも悪乗り気味で、あまりいい趣味とは思えません。なお、このアルバム海外版と国内盤ではジャケットが全く別物です。個人的には、ボッソを正面から撮った写真を使った国内盤のほうが、映画を感じさせて、いい趣味だと思います。FABRIZIO BOSSO PLAYS ENCHANTMENT(SchemaRecords RW 145 CD)1. Otto E Mezzo - La Passerella2. Romeo E Giulietta3. Amarcord4. Enchantment5. Il Gattopardo - Il Valzer Del Commiato6. La Strada - Il Violino Del "Matto"7. Il Padrino - Parla Piu Piano8. Il Ragazzo Di Borgata9. La Dolce Vita Fabrizio Bosso (tp)Claudio Filippini(p)Rosario Bonaccorso(b)Lorenzo Tucci(ds)Stefano Fonzi (arr,cond)London Symphony OrchestraRecorded 2011.06
2012年04月18日
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音楽では、ジャンルを問わず名盤というものがあります。 ジャズの場合には、同じ曲を同じアレンジでということはほとんどないので、技術や音楽性(いやな言葉ですが)以外には、個性が優劣を決めるファクターとしては上位に来ると思います。昔ながらのジャズの名盤に必ず入ってくるレッド・ガーランドの「グルーヴィー」。昔から知っていましたが、演奏を聴いたこともなく、知識だけで知っていた名盤でした。少し前に、偶然が重なって、このアルバムを入手しました。予想はついていたとはいえ、特に変わったことをやっているわけではないので、驚きはありません。しかし、当時の好調さを示すノリのいい演奏が記録された、そんな印象です。B級ならではの味わいでしょうか。このアルバムが録音されたのは1957年で、マイルス・デイヴィスのバンドに在籍中のことです。ベースはマイルス・バンドで一緒に演奏していたポール・チェンバース、ドラムスはアート・テイラーというトリオです。このアルバムではガーランド特有の音をころころところがすようなフレーズが随所に見受けられ、ガーランドファンには堪えられないところでしょう。個人的には、彼のファンでもなんでもないですが、ガーランドの気の利いた愛らしいフレーズに独特のセンスの良さを感じてしまいます。題名が「グルーヴィー」ですが、大方の方はグルーヴィーに聞こえるらしいですが、当方はちっともグルーヴィーには聞こえません。トレード・マークのブロック・コードでのプレイも随所に聞かれますが、個人的にはあまりにも頻繁に出てくるとまたかと思ってしまいます。しかし、このアルバム、ジャケットが秀逸でとても印象的なので大分得をしていると思います。演奏だけだと、ガーランドの粘着気質がでていて、同じフレーズをしつこく繰り返すのが、鼻につきます。バラード「GONE AGAIN」のしっとりとした抒情、「WILL YOU STILL BE MINE」の怒涛のスピード感とノリ、悪くないです。この曲でのテイラーのブラッシュ・ワークも軽快感と重みを感じさせるプレイで素晴らしいです。「WILLOW WEEP FOR ME」の後半のピアノの大胆なアドリブ・ソロは聴きどころです。冒頭の「Cジャムブルース」ではポール・チェンバースのウォーキング・ベースが目立ちます。というか、音量デカすぎです。このトリオはピアノが優勢ではなく、音量だけでいうと、ほぼ対等な関係にあると思います。もちろん、エヴァンス・トリオみたいなインター・プレイ、というレベルには達していませんが、かなり進歩的なトリオであることは間違いないです。ベースとドラムスが結構表に出てきていている割には、ピアノは通常のバランスよりは少し控え間かもしれません。チェンバースはソロが多いです。アルコの時の、ノコギリみたいなエッジのたった細身のサウンドが、機敏な動きを感じさせます。ピチカートでも、きびきびしたフレーズが繰り出され、とても心地よいです。音はすごくいいです。モノでなければ、いまどきの録音といっても差し支えないほどです。ただ、いまどきの録音でこれほどガッツのあるサウンドもあまり聞けなくなりました。こういう演奏は、スピーカーに対峙して聞くというよりも、お酒でもちびちびやりながら聞く、というのが正しい鑑賞方法なのかもしれません。RED GARLAND TRIO:GROOVY(Prestige PRCD-30652)1. C-Jam Blues2. Gone Again3. Will You Still Be Mine4. Willow Weep For Me5. What Can I Say After I Say I'm Sorry6. Hey NowRed Garland(p)Paul Chambers(b)Artur Taylor(Ds)Recorded RUDY VAN GELDER at Von Gelder Studio,Hackensack,NJ;May 24 and August 9,1957
2012年04月17日
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ユニヴァーサル映画100周年記念映画「バトルシップ」を見る。 公開2日目なことからか、入りは上々です。始まる前に後ろの若者たちがすこし騒いでいたので、上映が始まっても、これではかなわんなあと思っていましたが、そうならなくてよかったです。ちなみにこの映画の題名の「バトルシップ」とは「戦艦」の意味であることを初めて知りました。何となく、わかったつもりでいたのですが、実際意味を聞かれても答えられないので、少し賢くなったと思います。ついでにいくと、駆逐艦は「destroyer」という恐ろしげな名前です。日本語の名前だと何となく穏やかそうな名前ですが、英語のほうがはっきりと実態がわかります。■あらすじ地球と同じような環境の惑星を発見し、その惑星に存在するエイリアンに向けて強力な信号を送ったために、エイリアンが地球に乗り込んできます。そのエイリアンは、地球よりはるかに文明が発達していて、強力な武器を持っています。飛行船は4つが編隊を組んで地球に向かいますが、1隻は途中で衛星にぶつかり、地球に墜落。残る3隻がハワイ沖の海に突っ込みます。時あたかも、十数か国が参加したリムパックの演習の最中。アメリカ軍や日本軍が謎の物体の捜索に向かいます。ところが、それは予想に反してとんでもないものでした。。。■浅野忠信の演技がいい最近アメリカ映画のヒーローはイケメンではなく、どこかワイルドな感じの俳優がなることが多いです。今回も、主人公のアレックス・ホッパー役はテイラー・キッチュで、あまり頭がよさそうに見えません。役柄もそういう感じですが、思わぬアクシデントからエイリアンに立ち向かいます。次第に違和感が薄れ、最後は何となく感情移入してしまいました。ホッパーとともに戦い、すぐれた戦術によりホッパーから艦長を任せられる、護衛艦「みょうこう」の艦長ナガタ役の浅野忠信の演技がとてもいいです。英語はぎこちないですが、冷静で聡明な役を見事に演じていたと思います。日本人役を中国人あたりがキャスティングされることの多いハリウッドですが、こういう味は日本人でなければ出せません。アレックスの兄で駆逐艦「USSサンプソン」とともに運命を共にするストーン役のアレクサンダー・スカルスガルトの軍人らしい襟を正した演技も良かったです。また、退役軍人で両足義足のためリハビリをしていて事件に巻き込まれるミック・キャナルズ役のグレゴリー・D・ガトソンが、軍人らしい佇まいを感じさせて、存在感抜群でした。この映画は、戦争映画にしては珍しく女性が活躍します。アレックスの恋人でシェーン提督の娘サマンサ(サム)役のブルックリン・デッカー、アレックスと同じ「USSジョン・ポール・ジョーンズ」の乗員コーラ・レイクス役のリアーナともに精彩がありました。特にリアーナはもともと歌手だそうですが、切れのいい演技で目立っていました。今後も活躍が期待できるのではないでしょうか。それから、シェーン提督役のリーアム・ニーソンのいぶし銀のような演技も見ものです。■日本へのエール公式サイトでは、監督のピーター・バーグの言葉が載っています。舞台を真珠湾にしたのは、昔戦った日米が、今度は一致団結して戦う姿を描きたかったというのです。そのせいか、リムパックで行われたサッカーの友好試合も日米の試合が描かれていましたが、これも監督の意図だったことがわかりました。ただ、個人的には、海上自衛隊の描き方が、昔の日本軍のような感じ(服装などちょっと貧相です)に描かれていたのは少し残念です。この映画では、船が実名で登場しますが、わざわざ許可を取らければならないようなことになったのは、逆に売り込みがあったからでしょうか。軍としては名前を知られることはいいでしょうし、映画で実名で登場すればそれだけでリアリティが増すので、両者の利害が一致したというところだったのでは、と思っています。■CGは全く素晴らしいエイリアンの巨大な船のスケール感、回転しながら空を飛んだり、船に侵入して攻撃するロボットみたいな兵器の不気味さなど、CGであることを忘れさせるようなリアリティがあります。ただ、エイリアンは想像力不足でしょうか。そこら辺にいるつるっ禿の爺さんがパワードスーツをつけているみたいな感じです。■物語としてよくできているほとんどが戦闘場面ですので、話は単純です。最後の結末が、アメリカ映画らしく?結構お気楽な展開で、笑えます。見終わった後、すかっとして、悪くないです。ミズーリとエイリアンとの一騎打ちのシーンを見ていたら、これは日本海海戦で東郷平八郎が行った「敵前大回頭」ではないかと思いました。後で調べてみると、実際の「敵前大回頭」とは少し違っていましたが、錨をおろして船を固定するなどして、かなりの緊迫感がありました。ということで、理屈抜きで楽しめる映画で、アメリカ映画らしいなと思った次第です。こういうのが100周年記念映画となるところは、いかにもアメリカらしいと思います。公式サイト
2012年04月15日
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PORTRAITO IN SEVEN SHADES 見逃していたリンカーン・センター・ジャズ・オーケストラのアルバムを偶然、バンドのサイトで見つけ、さっそく購入しました。 メンバーのテッド・ナッシュが7つの絵画にインスパイアされて作った組曲です。モネ、ダリ、マチス、ピカソ、ゴッホ、シャガール、ポロックという順で曲に名前がつけられています。それまでは予備知識のない状態で聞いていて、ウイントンもエリントンのサウンドにかなり似てきたな、ぐらいにしか思いませんでした。ブックレットを読んでから聞くと、また違って聞こえるのも不思議です。ブックレットに具体的にインスパイアされた絵の写真がのっています。わたしも実物を見たことがあるはずですが、はっきりしているのは時計がぐんにゃり曲がっているのが印象的なダリの「記憶の固執」、ゴッホの「星月夜」ぐらいで、あと見たことがあるかどうかはっきりしません。わたしの場合、絵を見たことがあるかどうか、はっきり覚えていることが少ないです。なぜか。多分、絵を見ている時間が数十秒と短いせいなのだと思います。もともと私の記憶力が足りないことは確かです。最後のポロックは生誕100年記念で日本で初めての展覧会が愛知県美術館、ついで、現在、東京国立近代美術館で行われています。評価額200億円の「インディアンレッドの地の壁画」がアジアで初めて展示されるそうです。200億円、すごいですね。そういえば、この前ムンクの「叫び」の4枚あるうちの1枚が競売にかけられるというニュースがありました。サザビーズによると落札予想価格8千万ドル(約64億円)以上というのですが、その3倍以上ですからすごいです。サイトを見ると何でこれが200億もするのか私にはわかりませんが、わかる人にはわかるんでしょうね。。。閑話休題ところで、曲と絵画のイメージが当てはまっていると思われるのは殆んどありません。イメージを描写した音楽ではないので、私の感性と違うのは少しも不思議ではありません。ただ、こういう風に断定されると、聞き手は絵が音楽にどのように投影されたかを知らず知らずのうちに探すものです。それが想像の範囲を超えてしまうと全く分からず、徒労に終わってしまいます。今回の場合などは、かえって具体的に書かなかったほうが聞き手にとっては、純粋に音楽として楽しめたかもしれません。作品としては、かなり真面目なもので、車で数回聞いてもあまり面白くないと思っていたのですが、このブログを書くためにじっくり聴くと、悪くはないです。一番おもしろかったのは、「ピカソ」。ピカソの絵は「アビニヨンの娘たち」。「キュビスム革命」の先駆けとなった作品といわれています。作曲者のコメントによると、この作品は二つの部分に別れていて、最初はピカソのロマンティックで表情豊かな面を表し、2つ目の部分は闘牛を描いているそうです。そうはいっても、最初のピアノソロの不思議な響きから始まるゆったりした部分は長くは続かず、後半の闘牛の場面が大半を占めています。最初はフガートを用いて、そのあと、闘技士が登場します。闘技士はトランペット(マルサリス)とトロンボーン(ヴィンセント・ガードナー)が受け持ちます。全体的にシンフォニックな作りで、物語を感じさせますが、絵とは全く無関係です。一番ジャズらしいというか、ビッグバンドらしい作品は、第5曲の「ゴッホ」。「星月夜」からインスパイアされたので、ゆったりとした曲で親しみやすいです。個人的には、最後に出てくるヴィンセント・ガードナーのヴォーカルは下手ではないですが、なくても良かった様に思います。次の「シャガール」はヨーロッパのサーカスの風景を描いたような音楽です。シャガールの絵は有名な「私と村」。作曲者はクレツマー風にして、通りを歩く動物たちを描いたそうです。ビル・シンメルのアコーディオンとナタリー・ボーニンのヴァイオリンが、加わっていて、映画の一場面を見るようなイメージがわいてきます。とても、興味深い音楽。「ポロック」は絵は「One:Number 31」で、現代音楽風のアグレッシブな音楽。シャーマン・アービーのワイルドで勢いのいいアルト・サックスが楽しめます。いつものことですが、やはり再生する装置と聞き手の気分で聞こえ方が違ってくる音楽はあるもんだと、今回も思い知らされました。サウンドはカラフルで、かつよくブレンドされていて、通常のビッグバンドのような単調なサウンドとは一線を画しています。ただ、アンサンブルが多少乱れることがあり、鉄壁のアンサンブルを誇るバンドにしては意外でした。PORTRAIT IN SEVEN SHADES (Jazz at LIncoln Center)1.monet2.dali3.matisse4.picasso5.van gogh6.chagall7.pollockcomposed by Ted NashJazz at Lincoln Center OrchestraRecorded 6 September,2007 at Frederick P.Rose Hall
2012年04月14日
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最近、架蔵していたCDを2枚ばかりまた買ってしまいました。どちらもコルトレーンです。きっかけは、以前レビューしたコルトレーンのムックを読んだためでした。よく確かめもせず、買ってしまいました。今まで何回か同じことをしでかしていますが、いまだに失敗を繰り返しています。本当は、リストを作ってチェックをすればいいのですが、それは、個人的には、優先順位は低いです。最優先なのは、聴きたいものがどこにあるのかを探すのに時間がかかることです。探し当てればまだいいほうです、見つからなくて途中であきらめてしまうことも結構頻度が多いです。以前、触れたかもしれないですが、RFIDでLEDが光って場所を知らせてくれるというシステムが結構前から実用化されています。病院のカルテを探すのに使われているようです。こういうシステムを家庭に入れればいいのですが、私の知る限り家庭用はないようです。今の職場の同僚に話をしたら、ダブって買わないために、リストを作れといいます。スキャナーとソフトを貸すからやってみたらといわれたのですが、やる気になれません。やはり、「聴きたいものをすぐ」が優先なのです。件の家庭用システムができるのを待っていてもしょうがないので、整理をしようかと思い始めています。職場では、5Sを担当しているのですが、推進役の張本人が、家では整理ができていないのは、情けない話です。ところで、棚の整理ですが、今は、クラシックはレーベル別、ジャズはミュージシャン別みたいなわけ方をしています。ジャズはいいとして、クラシックはやはり曲ごとに分けたほうがいいような気がします。結局、CDショップの並べ方と同じ並べ方にするのが一番なんでしょうね。。。しかし、いざそうしようと思っても、なかなか大変です。まずカルタ取りをするところから始めなければなりません。やる前に、どうすればいいか考えてからやったほうが傷が少ないように思います。どっち道、結構時間がかかりそうなので、連休中にでもやろうかと思います。一回やるのはいいのですが、そのあとどうやって続けるのか。それも結構難しい問題です。 どのような分け方がいいか考えることも大切ですが
2012年04月12日
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シューリヒトのEMIのブルックナーの交響曲SACD化したものを2枚組み合わせたものですが、激安です。 EMI SIGNATURE SERIESというシリーズで、ほかにもEMIの往年の名盤がラインナップされています。 CDでは所有していましたが、こんなに激しい演奏だったかと思いました。CDは、普通の広がりのある空間を感じさせる演奏で、確かに往時のウイーン・フィルのサウンドは出ていますが、これほど生々しくはありません。いわば常識的な範囲内のサウンド。もともと、それほど何回も聞いていたわけではありません。8番は印象としては、深い音楽性が感じられたと思っていましたが、今回聴いてみて全く違ってました。CDに比べて、広がりがあまりありません。もともとの音の抜けが悪いからかもしれません。ただ、生々しさはすごく出ています。なにかいきなりオン・マイクになったような、ウイーン・フィルの生々しい、そして荒々しい演奏がライブを聴いているような臨場感で迫ってきます。昔のウイーン・フィルの魅力が全開といったところでしょうか。現代の演奏は洗練されていますが、そのために失ったものがあることに気付かされたように思います。一時ウイーンフィルの演奏は全盛期に比べておとなしくなったと思っていましたが、最近若い奏者がたくさん入ってきて、昔のウイーンフィルの持っているワイルドなところが出てきたと、ひそかに喜んでいたところでした。ここでは、現代の演奏を増幅したような、昔のウイーンフィルの荒々しさがでていて、とてもうれしかったです。しかし、ここまで来ると、指揮もへったくれもありません。楽員たちが好き勝手に(よく言えば自発的に?)演奏している感じがします。そういっても、音楽がばらばらになっているわけではありません。しかし、フレーズの処理が乱暴というか粗暴というか野放しというか、形容に困りますが、それが魅力的に聞こえるのがシューリヒトの真骨頂なのだと思います。第1楽章の最後のところのしつこい演奏もあまり聞いたことのないものです。この人も、とんでもない音楽をする人だったことを改めて思い出しました。しかし、この音楽、どこまでがウイーンフィルなのかシューリヒトなのかその境目がはっきりしません。相乗効果ということもあると思いますが、なんとも食えない男たちです。しかし、現代ではこんな吹っ飛んだ演奏をする団体はなくなりました。昔はよかったみたいな話はしたくないのですが、ここの演奏はそういう言葉を思い起こさせるものがあったと思います。同じ音源でも、メディアや方式が異なると全く印象が違ったものになる。ここに、音楽を聴く楽しみがあるのだと思います。一粒で何度でも楽しめる(古!)、いい商売です。なお、9番もサウンドの傾向は同じようなものですが、曲が地味なので暴れまくるということはなく、ウイーン・フィルも8番に比べると、おとなしいものです。ただ、弦の痛切な響きには心が打たれます。そして金管の咆哮。この方たちは限度というものを知らないと思えるほど目いっぱい出しています。それが音楽を崩壊させないというのは何ともすごいことです。この演奏も、最近では聞けなくなった類の音楽だと思います。いわば常識人とは反対側にいる人間の作る音楽、粗削りだが、現代のちまちました音楽とはまるで違う音楽です。ということで、音楽を聴いて、こんなに興奮したのも久しぶりのような気がします。これが1960年代の演奏ですから、当時実演を聴いた方々はさぞやぶったまげたと思います。CDをお持ちの方も買い替えるだけの価値は十分ありますし、価格も激安(なんと国内盤2枚の4分の一以下!)です。それに上質な紙製のCDスリーブ兼用のブックレットで、マスターテープの写真なども入っていて、豪華な作りです。シューリヒトに興味をお持ちの方は是が非でも買ってほしいと思います。一緒にギーゼキングのドビュッシーも購入したので、そちらも楽しみです。今回が第1回目のリリースなので、今後のリリースも期待できます。個人的にはクリュイタンスのラベルが出ればいいのですが、ひとまとめにすれば4枚が3枚にはなると思うので、是非よろしくお願いしたいです。ここにビゼーも加わればまさに最強です。しかしこんなことをされると、日本のEMIはたまったものではありません。営業妨害そのものです。彼らは、さぞや、やる気を失っていることだと思います。Brukner Symphonie Nr.8 &Nr.9(EMI 50999 9 55984 2 0)DISC1:Bruckner:Symphony No.8 in C minor(1890,ed. Nowak)DISC2:Bruckner:Symphony No.9 in D minor(ed. Nowak)Wiener PhilharmonikerCarl SchurichtRecorded 20-22,Nov.,1961(No.8),9-12 Dec.,1963(No.9),Groser Saal der Musikverein,Vienna
2012年04月11日
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この前レビューした 関連で調べていた時に見つけたレビューで興味を持ったジャンギロフの最新作を聴く。 ジャンギロフは1987年キルギス共和国出身で、現在ニューヨーク在住の25歳のピアニストです。日本にも来日しているそうですが、全く知りませんでした。バカテクということでしたが、その通りでした。厚みのある音で、しかも、音の粒にむらがなく、音楽の流れが自然で、一瞬たりとも弛緩したフレーズはありません。最初の「I Should Care」を聴いたとき、アート・テイタムを思い出してしまいました。アート・テイタムを思い出したくらいですので、ストライド風のピアノで、昔のヴィルトゥオーゾを思い起させるスタイルです。テクニックも歌心も素晴らしいですし、豊かな音でばりばり弾くさまは迫力満点。ところが、あまりジャズを感じません。ノリがジャズらしくないのです。ただ、テクニックがすごく、それに圧倒されてしまいます。特に「ドナ・リー」は有無を言わせぬ圧倒的なテクニックに唖然とします。ジャズを感じないのは、取り上げられている曲がクラシックが多いのと、ソロ・ピアノということもあります。ソロ・ピアノになれば、どうしてもコンサート・スタイルの演奏になるので、ジャズ度はどうしても低くなりがちです。テクニックや音色に関して言えば、クラシックを演奏しても、かなりのレベルと思います。ジャズ・ミュージシャンが演奏するクラシックとは一線を画すというか、クラシック演奏家としても相当なレベルだと思います。最後の「ドナ・リー」は凄まじいテクニックで有無を言わせない説得力があります。こうなると、ジャズだクラシックだといっているのが馬鹿らしくなるほどです。全体的に、なにか、カプースチンの音楽を聴いているような気がします。フレーズなどかなり似ています。スタンダードの「Darn That Dream」は印象派風のハーモニーで、研ぎ澄まされた鋭い感覚が感じられます。原曲の、恋人を思う、悲しいやるせない感じは全くありません。おそらくこのような演奏は他にはないと思います。ユニークといえば言えますが、原曲の持つ芳醇な香りは全く失われて、別な曲のように響きます。チック・コリアの「Windows」も「Darn That Dream」と似たような、クリスタルな響きです。静謐な雰囲気や構成はいいのですが、曲のメロディーが断片的にしか出てこないので、欲求不満になります。クラシックはアドリブはあまり目立ちませんが、アレンジに問題があります。どうせなら、原曲通りやってくれればいいのですが、アレンジが退屈で、改悪と言ったら言い過ぎでしょうか。特に、スクリャービンの練習曲は濃厚な表情なのは悪くないのですが、アレンジが悪く、せっかくの名曲が台無しです。自作は3曲取り上げられていますが、「ロシアの子守歌」の愁いを帯びた旋律が、しみじみとした滋味あふれる味わいで、悪くないです。youtubeにもかなりの数の映像がアップされていますが、やはりジャズはあまり感じません。というか、クラシック演奏家がジャズをやっているように感じます。こうしてみると、なにか、昔、ゴンサロ・ルバルカバが出てきたときの様子と似ているような気がしますがどうでしょうか。個人的には、今回が初お目見えなので、もう少し演奏を聴かないとわからないというのが正直なところです。ただ、技術的には申し分ないので、あとは内面の問題のようにも思います。ELDAR DJANGIROV:THREESTORIES(SONY MASTERWORKS JAZZ 88697 54862 2)1.I Should Care2.Prelude In C# Major3.Darn That Dream4.Windows5.Etude Op.2 No.16.In Walked Bud7.Three Stories8.So Damn Lucky9.Embraceable You10.Russian Lullaby11.Air on a G String12.Impromptu13.Rhapsody in Blue14.Donna LeeELDARDJANGIROV(p)Recorded at The Grand Ballroom.Manhattan Center Studios,New York City,May 12-13,2009
2012年04月10日
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本年度のアカデミー作品賞受賞のフランス映画を見る。大入りの予感があったので、いつもより20分ほど早く着くようにいきました。映画館に行ったらいっぱい人が並んでいます。子供たちが多いので、よく考えたらドラえもんを見に来たことに気がつきました。そういえば、先週も同じでした。考えてみれば、「アーティスト」を子供が見に行くわけはありません。この映画は、モノクロのサイレント映画ということが随分話題になっていました。個人的には映画館でサイレント映画を見たのは初めてです。最初、サイレント映画特有のテンポの速さに慣れませんでした。通常の映画ならある「間」が全くなく、それどころか、動作自体がせかせかして早い感じがするのです。これは個人的な刷り込みのためかもしれません。wikipediaには「サイレント映画の映像美、とりわけ1920年代に製作された作品のクォリティは極めて高度である。しかしながら、一般には、原始的なものであり現代人の鑑賞に堪える代物ではないとの誤解が広く存在する。誤った速度で映写されるなどの技術的エラーや、オリジナルプリントの消失による質の低いデューププリントやフィルム断片しか現存していないなどの保存状態の悪さに由来する誤解である。」、と書かれているので、正式な上演を見たことがないことが原因かもしれません。それから、音楽がずっと鳴りっぱなしで、長い間見ていると、次第にうっとうしくなってきます。静かな場面があるといいのですが、セリフが聞こえないので、音楽なしには進めることができないのかもしれません。それにセリフが入るにしても一呼吸おいてからなので、間が抜けている感じがします。そこがサイレントの良さだという方もいるかもしれませんが、個人的には紙芝居の延長みたいに思ってしまいます。この映画はサイレント映画の世界を完璧に再現している、という批評も目にしました。サイレント映画を知っている人にとってはそうかもしれませんが、その世界を知らない人間にとっては、ちょっと息苦しくなる展開でした。終盤に、無音になる場面があります。この映画で唯一の沈黙でした。そこで、なぜかほっと一息つけたましたが、これがすごく効果的で、ミシェル・アザナヴィシウス監督の術中にはまってしまいました。最後になかなかしゃれた趣向があり、監督の得意満面の顔が見えるようです。物語は落ちぶれたサイレント映画のスターが、トーキーでのし上がった女優に助けられ、再起を図るという、ありきたりのストーリーですので、それほど感動的とも思えませんでした。サイレント映画はしぐさや表情だけで表現しなければならないためか、かえって役の内面的な掘り下げが浅い様に思えてしまいます。現代はセリフを言うことが俳優にとっては最優先で、そのように訓練してきた俳優たちにとっては、それを否定することから始まる映画ですから、大変なことだったと思います。しかし、その当時サイレントからトーキーに移って成功するのは並大抵のことではなかったようです。まず、声がよくないと切られたようです。バスター・キートンもその口だったみたいです。こうしてみると、常に環境に適応できなければ、生き延びていけないのは、企業も俳優も同じですね。■演技はいい アカデミー賞の主演男優賞を受賞したジョージ役のジャン・デュジャルダンの演技はいいとは思いますが、セリフまで含めた演技としての評価にならないので、他の映画は不利になります。ただ、セリフなしで演技してそれで見るものに感激させるのも並大抵なことではありません。なので、こういう賞の場合、同じ土俵での評価でないので、個人的には、今回の受賞は、ちょっと違和感を覚えます。個人的にはむしろペピー役のベレニス・ベジョの溌剌とした演技に心惹かれました。それから、ジョージの執事クリフトン役のジェームズ・クロムウエルがとても誠実で有能そうな、執事の昔のイメージそのままの演技は素晴らしかったです。キノフォトグラフの社長?アルマ・ジー役のジョン・グッドマンもはまり役です。それから、なんといってもジャック・ラッセル・テリアのアギーの演技が光ります。プロの動物トレーナーに仕込まれたそうですが、すごい演技力で、そこいら辺の俳優より達者だと思います。■音楽は素晴らしい サイレント映画ですので、音楽の比重はトーキーに比べてはるかに大きいです。今回の音楽はそれに応えてか、コミカルな音楽から重厚なものまで、多彩な音楽が並び、音だけでも十分にその素晴らしさがわかるような気がします。1920年代から1930年代当時のヒット曲も収録されていて、サイレントとはいえ、音楽がこれほど映像を引き立てている映画も少なくなったように思います。担当したのは、フランスのルドヴィック・ブールスで、いろいろな賞を受賞したそうです。ということで、これを見て、昔のサイレント映画に少し興味を覚えました。最近は、昔の映画はDVDは安く出ているので、探してみることにします。公式サイト
2012年04月09日
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NAXOSのウインド・バンド・クラシックスのシリーズの最新作。 コーポロンが音楽監督を務めているローンスター・ウインド・オーケストラの演奏を集めたものです。 この組み合わせでは「アメリカン・タペストリー」というアメリカの古い吹奏楽が集められたアルバムがありました。最高とは言えないかもしれませんが、そのくすんだようなサウンドは味わい深いものがありました。録音は2010年と2011年のともに6月に行われました。個人的にはニクソンの「太平洋の祭り」に注目しました。そつなく演奏しているのですが、いまいち熱気が感じられません。個人的に大好きな作品なので、自分が思い描いているような演奏と違っていて(バランスと技量において)、少し、不満が残りました。なによりも、熱気が足りないように思ったのですがこんなもんでしょうか。こんなはずではと思い、ダラス・ウインドの演奏を聴きました。この演奏は気に入っていたはずなのですが、これもそれほど熱気が感じられません。こんなもんだったかなと思いつつ、聴いていました。まあ、人間の記憶なんて、あてにならないもんです。高昌師の「コリアン・ダンス」全曲が取り上げられていますが、コーポロンの守備範囲の広さを物語っているようです。高昌師は、自分の出自にこだわっていらしゃるのか、作品にもその影響が色濃く投影している作品が多いです。多分、朝鮮民族の血のなせる技なんでしょうが、個人的にはそこまでやらなくてもと辟易することもあります。この作品は、結構演奏される機会が多いですし、全曲録音もライブながら2つほどあります。今回は、初めての日本人以外の演奏で、セッション録音ということで、誠に喜ばしいことです。演奏も素晴らしく、アルバム随一のききものではないでしょうか。日本人が演奏すると、少し暗い感じになってしまうのですが、アメリカ人であるためか、ドロドロ感が一掃されていて、気持ちよく聞くことができます。とくに第3曲は、作品が充実していることもあり、聴きごたえ十分でした。ちなみに、手元に神奈川大学の第7回の饗宴でのライブ録音があったので、比較のため聴いてみました。ライブとセッションという違いはありますが、プロとアマの違いが大きく、神奈川大の演奏と、今回の演奏は比べ物になりません。ウエスト・サイドストーリーのシンフォニック・ダンスは破たんはありませんが、安全運転に徹した感じです。まずテンポがゆるくて緊張感が全くありません。それにリズムや音にキレがなく、物語が全然聞こえてきません。ソロも主張が弱く、周りに埋没気味です。技術的限界なのかもしれませんが、もうちょっとメリハリをつけてもらいたかったです。口直し?に、バーンスタインの演奏を聴いてしまいました。強引なところがありますが、勢いがまるで違います。こういうのを血湧き肉躍るというんでしょうね。。。こういってはなんですが、この曲は活力に満ちた、若い指揮者がやるべき音楽だと痛感しました。ホアキン・トゥリーナは名前は知っていますが、多分まともに曲を聞いたことがないはずです。今回取り上げられているのは「ロシオの行列」(1912)で、リードの編曲です。「Trana en Fete」(トリアナの祭り)、続いて「「La Procession」(行列)の2つの楽章からなります。ちなみに「トリアナ」はスペインのセヴィリアにある町の名前です。スペイン情緒が原色で描かれていて、親しみやすく、楽しめました。ほかに、エレキ・ギターをフィーチャーした、ジェイムズ(ジム)・ボニー(1974)の「カオス理論」(2000)というネバダ州立大学ラスベガス校のウインド・オーケストラによる委嘱作品です。ちょっと変わっていて、悪く言えば真面目くさっている感じがして、それほど面白い曲とは思えません。そもそも、プログレ系のエレキ・ギターと吹奏楽を合わせることに無理があるように思えるからです。ただ、youtubeではいくつかアップされています。アメリカ人好みなんでしょうか。少なくとも、ギター奏者にとっては吹奏楽と共演するなんてほとんどないことですので、異種格闘技ということで、やりたくなる曲なのかもしれません。なお、こちらで曲の成り立ちが作曲者自身により語られていて、スコアを見ることができます。ということで、全面的に賛成とはいきませんでしたが、珍しい作品があり、録音が新しく、演奏の水準も高く、何よりも安いので、存在価値は十分にあると思います。Converging Cultures(NAXOS 8.572837)1.Joaquin Turina/arr. A. Reed La procesion del Rocio, Op. 92.Leonard Bernstein/arr. P. Lavender West Side Story: Symphonic Dances3.James Bonney:Chaos Theory I. II. III.6.Rodger Nixon:Fiesta del Pacifico7.Chang Su Koh:Korean Dances I. Preludio II. Passacaglia III. Rondo: FinaleFred Hamilton(electric guiter 3 only)Lone Star Wind OrchestraEugen Migriaro CorporonRecorded at the Murchinson Performing Arts Center,Winspere Hall,Denton,Texas,USA,on 26th June,2010,and 25th June,2011
2012年04月08日
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今日は母親をグループ・ホームに連れていきました。 昨日は、とりあえず最後の晩餐?ということで、妻の作ったマグロずくしと寿司の夕食をとりました。 グループ・ホームは車で10分かからない近場なので、何か忘れた時もすぐ対応できるのが利点です。母親は、自分の意見が通らないので、少し苛立っていましたが、そのほかは落ち着いたものです。グループ・ホームについてからも、特に騒ぐこともなく、一応一安心です。おそらくは様子見をしているのでしょうが、慣れてからどうなるか。。。これから、いつまで居ることになるかわかりません。当面、子供の症状が軽減されるまで、と思っているのですが、どうなるか。。。お互いにとってこれが最善とは言えないかもしれませんが、ベターなことは確かです。ただ、理屈では分かっているのですが、送り出す側としては何とも割り切れない、後ろめたい気持ちが残ります。まあ、これで妻も少しは気晴らしができるのでは、と期待しています。とりあえず、しばらく様子を見ることにして、その間は努めて近寄らないようにしようと思います。これで、夜も起こされることがなくなり、少しは安眠できるんではないかと思っています。
2012年04月07日
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最近、クリスチャン・マクブライドのCDレビューを2回おこないました。 私にしては珍しいことです。昔から知っているミュージシャンで、デビュー当時リーダーアルバムを何作か購入していたのですが、その後はだいぶご無沙汰していました。最近になってから、2回ほどレビューを書きましたが、彼の音楽の守備範囲の広いことに驚いていたところでした。今回はそのつながりで、昨年出たデュオを集めたアルバムについてレビューします。デュオの相手がバラエティに富んでいます。普通だと楽器とのデュオなんですが、ヴォーカルとのデュオがかなり多く含まれています。その歌は皆さん個性的で同じような歌は一つもありません。私が知っているのはスティングと・ブリッジウォーターだけですが、ほかの方たちの歌のほうが面白かったです。特に冒頭のアンジェリク・キジョはかなり強烈でした。西アフリカのベナン出身でアフリカを代表する歌手だそうです。曲名の「Afrika」通り、アフリカの原始的で強烈な音楽が繰り広げられたと思います。ケースの裏の曲名が「Afirika」となっていますが「Afrika」の間違いのようです。それから、最後の女優ジーナ・ガーションとのデュオ「Chitlins and Gefiltefish」が面白かったです。ジーナ・ガーションという女優は見たことありませんが「P.S. アイラヴユー」に出演していたらしいです。この映画DVDで見たのですが、この女優は全く印象がありません。彼女は歌は殆んど歌っていません。なんという楽器かわかりませんが、口にくわえて指ではじく楽器みたいです。口琴(Jew's Harp)というものでしょうか。この楽器をはじきながら、時折マクブライドと会話をするような異色のトラックです。ディーディ・ブリッジウォーターとの「Spiritual」はその名の通りソウルフルで、マクブライドの奏でるフレーズもかなりアーシーです。スティングとの「Consider Me Gone」はさすがに「Sting」の独壇場で、ベースはおとなしく従っているような感じがします。ところで、昨日、このアルバムを筋トレをしながら聞いていたのですが、べースとのデュオ場合、弦楽器が一番合っていて、次に歌、ホーンはあまり合わないという感想を持ちました。ピアノも弦を使っているので、相性がいいのだと思います。ヴォーカルとのデュオが多彩なメンバーで個性的な演奏が続くのですが、緊張感があり、ピアノとのデュオが出てくるとホッとしてしまいます。ヴォーカルの場合には歌手にはストレスのある組み合わせなので、緊張感が現れるのも無理はないと思います。ピアノはエディー・パルミエリ、ビリー・テイラー、ハンク・ジョーンズ、ジョージ・デューク、チックコリアとベテランぞろいですが、その中ではエディー・パルミエリとのラテンナンバー「Guajeo y Tumbao」の哀愁と、ジョージ・デュークとの溌剌とした「McDukey Blues」が体が動いてくるような陽気でリズミックな演奏がよかったです。Russell Maloneのギターとのデュオ「Sister Rossa」もいい出来です。ハンク・ジョーンズの「アローン・トゥゲザー」と並んで、もっともジャズらしい音楽ですが、こちらのほうが夜のムードが漂っていていい感じです。レジーナ・カーターとのバッハの「Fat Bach and Greens」はテーマはまともに弾いていますし、その後もあくまでもバロック様式を保ちながらアドリブ・ソロを繰り広げるという興味深い演奏です。ホーンはハーグローブのトランペットと、ロン・ブレイクのテナーとのデュオが収録されていますが、ロン・ブレイクとの「Shake 'n Blake」がリズミックで精彩があります。マクブライドのソロもいいです。それから、ビリー・テイラー。亡くなったのが2010年の12月ですから、この録音は彼の最後の録音だったかもしれません。ゴスペルの敬虔な祈りが伝わってきます。ハーグローブとハンク・ジョーンズの演奏は悪く言えばありきたり、よく言えば手慣れた演奏ですから驚きはありません。出来は水準以上なのですが、このアルバムではほかの演奏がすごいので、ちょっと具合が悪いです。スタジオライブみたいなノリで、ミュージシャンの演奏以外に発する音(叫び声みたいなもの聞こえます)が聞こえてきて、映像があれば見たくなるような録音です。ということで、異色のデュオアルバムですが、これだけヴァラエティに富んだミュージシャンと共演できるのは彼の交友の広さだと思います。また何よりも演奏が高水準なことが、このアルバムの価値を高めているのだろうと思います。Christian McBride:Conversations Featuring christian(MCKAVENUE MAC1050)1.Afrika Featuring Angelique Kidjo2.Fat Bach and Greens Featuring Regina Carter 3.Consider Me Gone Featuring Sting4.Guajeo Y Tumbao Featuring Eddie Palmieri5.Baubles, Bangles and Beads Roy Hargrove6.Spritual Featuring Dr.Billy Taylor7.It's Your Thing Featuring Dee Dee Bridgewater8.Alone Together Featuring Hank Jones / 9.McDukey Blues Featuring George Duke10.Tango Improvisation #1 Featuring Chick Corea11.Sister Rosa Featuring Russell Malone12.Shake'n Blake Featuring Ron Blake13.Chitlins and Gefiltefish Featuring Gina GershonChristian McBride(b)
2012年04月06日
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ジャズ批評の3号では恒例の「ジャズ・オーディオ・ディスク大賞」の発表がありました。ほとんど知らないミュージシャンのアルバムばかりでした。昨年度もほとんど知らないアルバムばかりでしたが、インストゥルメンタル部門(本当はインストゥルメント部門とするべきでしょうが)の金賞であるRosset Meyer Geigerの「What Happened」をだいぶ経ってから購入し、聴いていました。最初は何度聞いても良さがわからなかったのですが、あるとき良さがぱっと理解できました。それまでかなり期間がかかったので、レビューもしそびれてしまいました。この賞は選者の中にジャズ評論家がほとんどいないせいか、従来から、かなりマニアックなアルバムが受賞しています。受賞を機会に売れ始めることが多く、プロモーション的にはいい企画だと思います。私も、知らないミュージシャンのすぐれた演奏を聴くことができるので、参考にはなります。ただ、あまりにもマイナーなアルバムが多く、入手困難で音も確かめられないとなると、なかなか手を出しにくいことは確かです。そうすると、頼りになるのは編成とアルバム・デザインしかありません。以前、この基準でCassandra Mckinlyの「TIL TOMORROW」を買いましたが、これが大当たりでした。今回もジャケ買いしようと思って、雑誌を眺めていたら、一つのアルバムが目に留まりました。水着かタンクトップを着ている女性を、横から撮った写真が使われているアルバムです。説明文を見ると、ダイアナ・パントンというカナダ人の歌手のアルバムでした。題名が「To Brazil With Love」ボサノヴァをフランス語で歌っているアルバムで、彼女の4作目のアルバムだそうです。サンプル音源を聴いて、可憐な声が気に入りました。ただ、国内盤なので、購入を少しためらっていました。海外盤がないかと思ったのですが、見つけられません。国内盤を買おうとした矢先、ジャズ批評を読み返していたら、デビュー盤がジャズ・オーディオ・ディスク大賞ヴォーカル部門の銀賞を受賞しているではないですか。件のボサノヴァ集は7位にランクされています。さっそく、このアルバムも音源を聴きました。これも大変いいので、さてどちらを先に買うか、なかなか難しい問題でしたが、歌われている曲の関係から、とりあえず今回はデビュー盤を購入することにしました。2日ほど前に届いて、何回か聞いています。ブロッサム・ディアリーやビヴァリー・ケリーに似ていると書かれたレビューを読みましたが、かなり微妙です。似ているといえば似ている、似ていないといえば似ていない、結局よくわかりませんでした。ブックレットに経歴が書かれています。それによると、パントンはカナダでフランス語の教師をしていて、19歳の時に同じカナダ人のピアニストであるドン・トンプソンに見いだされ、パンフ芸術センターのワークショップへ参加したしたそうです。その後、地元ハミルトンでジャズ・バンドと活動し、フランス語で修士号を取得後、フランスに留学。パリ大学で教鞭をとり、帰国後は大学でフランス語を教えながら演奏活動をしていました。そして、29歳の2004年にドン・トンプソンとの共演で、このアルバムを録音したわけです。声は透明で細いですが、貧弱ではありません。また、ヴィヴラートをほとんど使わない、シンプルな歌い方です。速い曲が含まれていないので、テクニックがあるかどうかはわかりませんが、このアルバムに収録されている曲では問題ありません。フレージングがナチュラルで、情感がこもっているので、物足りなさは感じません。ただ、伸ばすところでのヴィヴラートが縮緬なのが気になりました。すべてスタンダードですが、普段聞かれないようなバースが聴ける曲があり、それも貴重です。ギターとピアノ(ピアノはベース持ち替えかオーバーダブ)のシンプルなバックが、彼女の飾らない清純な歌声にぴったりです。取り上げられている曲は殆んどが地味な曲ですが、彼女の歌でインティメイトな心温まる雰囲気が醸し出されていて、とても癒される気分になります。気に入ったのはラストの「in the wee small hours 」本当はこの後にof the Morningと続くはずですが、言わずと知れたシナトラの十八番です。ねっとり系の歌唱とは対極にありますが、しみじみとした情感あふれる歌唱が格別です。そして、ボサノヴァ風の「時さえ忘れて」この曲といえば、「枯葉」の圧倒的なスキャットが有名な、サラ・ヴォーンのアルバムを思い出します。個人的には、このアルバムでは最も好きなナンバーでした。パントンの演奏は、サラ・ヴォーンとは対極にある表現ながら、彼女の可憐な歌声が曲にぴったりです。ボサノヴァの「ジンジ」もヴァースから歌われています。通常よりぐっとテンポを落とした演奏で、この曲の普段見えない風景が見えるようです。通常どっぷりと沈み込んでいく演奏の多い「I'm fool to want you」ですが、シンプルでナチュラルな歌唱が、この曲の別の魅力を表現していると思います。フランス語で歌われる「枯葉」は、フランス語の美しさこそ感じられませんが、独自の世界をつくっていて、しびれます。こうしてみると、一見個性的ではないように見えて、実はとても個性的な歌唱なのかもしれません。日本で人気上昇中というのもわかる気がします。傷ついた心には、こういう暖かい、優しいヴォーカルが何よりの薬ですから。。。ということで、クラシックのアルバムでは、よく「珠玉の・・・」という形容詞がつくことがありますが、このアルバムなどはまさしくその形容がふさわしいと思います。 Diana Panton:Yesterday Perhaps (MUZAK/fab. MZCF-1241)1. That Old Feeling2. Dindi3. Plus je t'embrasse4. I'm a Fool to Want You5. Isn't This a Lovely Day?6. Summer Me, Winter Me7. I Didn't Know What Time It was8. Les Feuilles Mortes (枯葉)9. This is Always10. You Hit the Spot11. I Get Along Without You12. For All We Know13. Stars Fell on Alabama14. You'd Better Go Know15. In the Wee Small HoursDiana Panton(vo)Don Thompson(p,b)Reg Schwager(g)Recorded at InceptionSound Studios,Tronto,September 2004
2012年04月04日
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一昨年にリリースされたフォン・オッターがウイリアム・クリスティーと共演したフレンチ・バロック・アリア集を聴く。 取り上げられているのは、シャルパンティエ、ランベール、そしてラモーのバロック期に活躍した同時代の作曲家3人です。 結論から行くと、あまり気に入りませんでした。その理由は、オッターの歌に変な媚が感じられたからです。この人はコミカルな歌を歌うときに、変なフレージングや声色を使って観客を喜ばせようとします。その気持ちはわからないわけではないのですが、あざとさを感じてしまうのです。今回の例でいえば、ミシェル・ランベール(1610-1696)の「僕の愛する羊飼い娘は 貞淑で優しい」が明るい歌で、それをさらに明るくしようとしているのか、コミカルな表情をつけて歌っています。しかし、聴いているほうは、「なんか調子こいてるんでないか?」と思ってしまいます。この歌は素直に歌っても曲の良さは十分に伝わってくると思うので、余計な表現は厚化粧にしか見えません。ちなみに、ランベール(1610-1696)は、フランスの歌手、テオルボ奏者、作曲家です。テオルボとはリュート族の撥弦楽器で低音を出すために、長い弦を使っている楽器です。エール・ド・クール(フランスで16世紀から17世紀にかけて流行した短い有節歌曲のジャンル)の作曲家として知られ、彼の娘はジャン=バティスト・リュリの妻になったそうです。同じ作曲家のタイトル曲「恋しいひとの影よ」は、静かな曲でこちらは成功しています。オッターの歌はバロックを専門としている歌手に比べて、過剰な表現が目立ちます。この歌も、youtubeで聞いたCeline Scheenの素直な歌唱のほうがずっといいと思いました。ランベールのこの2作品はなぜかシャルパンティエの歌劇「メデ」(1693)の抜粋の中に入っています。普通こういう構成にはしないと思いますが、何か意図があるんでしょうか。「メデ」からは13曲取り上げられています。この歌劇は「プロローグと五幕ものの悲劇」という副題がついています。古代ギリシアのエウリピデス作のギリシア悲劇「メディア」に基づく物語です。夫と、夫を横取りしたレオン父子を毒で殺害、さらには苦悩と逡巡の果てに、自分の二人の息子まで殺してしまうという悲劇です。暗いストーリで音楽も暗いので、オッターの歌唱力と劇的な表現が十分に発揮されています。シャルパンティエの「4声のヴィオルのためのコンセール」(H.545)から「前奏曲」はバッハに通じるような、少し悲しみの感じられる曲で、しみじみとした味わいが感じられます。また「メデ」に戻って、第3幕第3場から第7場まで10曲が続けて演奏されます。第3幕のエール「私の愛のなんという代償」は「前奏曲」と同じようなムードを持っています。オッターの歌はランベールとは段違いで、切々と訴えかけるような歌唱は説得力があります。この曲では一部過剰な表現のナンバーもありますが、ランベールに比べると違和感は少ないです。一部混声合唱が入っていますが、嬌声気味の声であまり気に入りません。シャルパンティエの前奏曲とシャンソネット「暖炉の傍でも愛し合える」(H.446)は、陽気な楽しさがダイレクトに伝わってきて、これは成功しています。続くシャルパンティエの「4声のヴィオルのためのコンセール」の第4曲「イギリス風ジーグ」は木管の響きをうまく使った作品で、短いながらもウキウキする作品です。後半はラモーの歌劇『イポリートとアリシー』と歌劇『エベの祭り、または抒情詩の才人』からのナンバーが演奏されています。「エベの祭り、または抒情詩の才人」は7曲取り上げられていますが、オッターの歌は第3幕第1場の前奏曲とエール「愛の母なる残酷な神よ」のみ。テンポの速い華麗なテクニックを聴かせる曲です。オッターの歌唱は、少し重いですが、悪くないです。他の器楽曲は、明るく生き生きとして楽しいです。「イポリートとアリシ」は2曲で、どちらも歌入りです。第3幕第1場の前奏曲とエール「愛の母なる残酷な神よ」はこのアルバムでもっとも長い曲、といっても5分足らずですが、ゆったりとして曲調と相まってオッターの歌唱が堪能できます。第4幕第4場のエール「いかなる嘆きが 私をこの場所に呼ぶの?」も4分ほどの比較的長い合唱入りの曲で、曲の劇的な作りとオッターのシリアスな表情があいまって説得力のある仕上がりです。やはり、オッターの場合はシリアス系のほうが向いている様です。最後はランベールに戻って、エール「あなたの軽蔑が日ごとに」がリュート一本の伴奏で歌われ、最後を静かに締めくくります。ということで、オッターの歌唱にはかなり不満がありましたが、知らない曲を知ることができて有益だったと思います。ただ、どの曲も短くて、物足りなかったです。それに、オケの演奏が29曲のうち11曲もあるのは、タイトルに偽りありではないでしょうか。 Ombre De Mon Amant- French Baroque Arias(Archiv 477 8610)1.Medee - Ouverture Orchestre Les Arts florissants2.Medee/Acte II/Scene 2 - Princesse C'est Sur Vous3.Ma Bergere Est Tendre Et Fidelle4.Ombre De Mon Amant5.Concert [Suite] Pour Quatre Parties De Violes, H.545 - 1.Prelude6.Medee/Acte III/Scene 3 - Quel Prix De Mon Amour7.Medee/Acte III/Scene 4 - Croiras-Tu Mon Malheur - Dieux Temoins De La Foy Que L'ingrat M'a Donnee8.Medee/Acte III/Scene 4 - Prelude - C'en Est Fait, On M'y Force9.Medee/Acte III/Scene 4 - Avant Que D'eclater - Malgre Ta Noire Trahison10.Medee/Acte III/Scene 5 - Prelude - Noires Filles Du Styx11.Medee/Acte III/Scene 6 - Venez Meler A Mes Poison12.Medee/Acte III/Scene 7 - Prelude - Je Voy Le Don Fatal13.Medee/Acte III/Scene 7 - Premier Air Pour Les Demons14.Medee/Acte III/Scene 7 - Dieu Du Cocyte Et Des Royaumes Sombres15.Medee/Acte III/Scene 7 - Entree Des Demons16.Prelude Instrumental Et Chansonette Aupres Du Feu L'on Fait L'amour (H.446)17.Concert [Suite] Pour Quatre Parties De Violes, H.545 - 4.Gigue Angloise18.Chanson A Danser Celle Qui Fait Mon Tourment (H.450)19.Concert [Suite] Pour Quatre Parties De Violes, H.545 - 5.Gigue Francoise20.Hippolyte Et Aricie/Act 3 - Prelude..''Cruelle Mere Des Amours''21.Les Fetes D'Hebe/Act 1/Scene 5 - Gigue Air Gracieux Pour Zephyre Et Les Graces, Prologue22.Les Fetes D'Hebe/Act 1/Scene 4 - Ariette De L'Amour Vole, Zephyre!23.Les Fetes D'Hebe/Act 1/Scene 8 - Tambourins I Et II, Premiere Entree La Poesie24.Les Fetes D'Hebe/Act 2/Scene 5 - Air Tendre William Christie25.Les Fetes D'Hebe/Act 2/Scene 5 - Pour Le Genie De Mars26.Les Fetes D'Hebe/Act 2/Scene 5 - La Victoire27.Les Fetes D'Hebe/Act 2/Scene 5 - Chaconne28.Hippolyte Et Aricie/Act 4 - ''Quelle Plainte En Ces Lieux M'appelle?''29.Vos Mepris Chaque Jour Anne Sofie von OtterLes Arts FlorissantsWilliam Christie
2012年04月03日
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発売当時から興味があったのですが、聞いてからと思っていたこともあり未入手でした。それが、偶然レンタル店で見かけて早速レンタルしました。ボスニアのリュート奏者エディン・カラマーゾフとの共演です。最初は激しい感情移入がとても違和感がありました。しかし、次第に肯定する側に傾きつつあります。結局、ダウランドとはこういう音楽なんだと勝手に思い込んでいたのが原因だったようです。もちろん、私がダウランドの音楽をほとんど知らないということもあります。ダウランドの音楽では、激しい音楽表現はしてはいけないなどということは全くなく、今までそういう表現をした演奏家がいないだけ、なのかもしれません。スティングは、そういう先入観なしに、ダウランドと向き合った結果こういう歌唱に辿りついたのだと思います。ダウランドの作品は世俗歌曲ですから、こういう表現もOKだと思います。個人的には中世の音楽って、あまり感情を表に表わさないのかと思っていましたが、どうやらそれは間違いだったようです。この音楽を聴いていると、映画「カラバッジョ」を思い起こしてしまいました。カラバッジョは1971年生まれで、ダウランドは1563年で場所はイギリスとイタリアで離れていますが、同時代ですので、同じ空気を吸っていたことになります。ダウランドをまともに聞いたのは初めてでしたが、スティングのエスプレシーヴォな歌唱のせいなのかわかりませんが、ダウランドの音楽がとても人間臭いものであったことがよくわかりました。これを契機に少しダウランドの音楽を聴いてみようかと思っています。このアルバムは歌と語り(ロバート・セシルへの手紙の抜粋)が入っていて、歌だけだと濃すぎてすぐ満腹になりそうですが、この手紙の朗読があるおかげで、アルバムとしての落ち着きが出ていると思います。気に入ったのは淡々と歌われる「Flow My Tears」(流れよ、わが涙(ラクリメ) )。エンディングの前のリフが心に響きます。「The Lowest Trees Have Tops」(一番低い木にも梢はある )の親しみやすい旋律と後半の切迫した表情がいいです。「Fine Knacks For Ladies」のア・カペラが印象的で、それに続く部分もすぐ歌えそうな親しみやす旋律が爽やかです。「Come Again 」の勢いと爽やかさもとても魅力的です。この曲はダウランドの歌曲の中でもかなり有名な曲だそうです。冴えない男がある高嶺の花の女性へ求愛し、傷つくという歌。畳み掛けるような最後のフレーズがとても魅力的です。こんなに迫られたらコロッといってしまいそうなものですが、この女性は全くその気がなく、彼にはなびきません。このアルバムで唯一ダウランドの作品でない「Have You Seen The Bright Lily Grow」{あなたは見たのか、輝く百合を)もいいです。作曲者はロバート・ジョンソン作でダウランドと同時代に生きた作曲家だそうですが知りませんでした。録音は声がちょっとクリップ気味ですが、野性味を出すためにこのような処理をしたのでしょうか。これはyoutubeに2009年セルビアで開催された第10回国際ギターフェスティバルのライブ映像がアップされています。バックコーラスがついていて、ダウランドが豪華な衣装をまとって、これだと現代の音楽といってもちっともおかしくないのには驚きます。このアルバムよりさらに自由な歌唱です。スティングはクラシックの演奏家ではないので、ここまで踏み込んだ解釈ができたのだと思います。しかし、従来のダウランドの歌曲からはこういう強烈な表現は全く想像できません。多少偏見が入っていますが、ダウランドの歌曲はブラートの少ない透明な声で、淡々と歌われる(歌われなければならない?)ような認識がありました。さすがはスティングだと思います。STING/SONGS FROM THE LABYRINTH(DGG ) 1. ウォルシンガム (リュート曲) 2. あのひとは言い訳できるのか 3. ロバート・セシルへの手紙―抜粋1 「公正なる閣下・・・・・・」 4. 流れよ、わが涙(ラクリメ) 5. あなたは見たのか、輝く百合を (ロバート・ジョンソン作曲) 6. ロバート・セシルへの手紙―抜粋2 「かつてジョンソン氏が亡くなられた折・・・・・・」 7. いと高貴で偉大なるデンマーク王クリスチャン4世のガリアード(リュート曲) 8. 一番低い木にも梢はある 9. ロバート・セシルへの手紙―抜粋3 「私が望んだように・・・・・・」10. ご婦人用の見事な細工物11. ロバート・セシルへの手紙―抜粋4 「そこから私はヘッセン方伯のところへまいりました・・・・・・」12. ファンタジア (リュート曲)13. 来たれ、重い眠り14. 失われた希望のファンシー (リュート曲)15. ロバート・セシルへの手紙―抜粋5 「またそこから私はイタリアをぜひ見たいと思い・・・・・・」16. さあ、もう一度 17. つれないあなたは私の心から18. ロバート・セシルへの手紙―抜粋6 「出発したあとで私は・・・・・・」19. もう泣かないで、悲しみの泉よ 20. ウィロビー卿ご帰館 (リュート曲)21. 晴れていても曇っていても22. ロバート・セシルへの手紙―抜粋7 「スペインの王が来年の夏に・・・・・・」23. 暗闇に私を住まわせて Sting(vo)Edin Karamasov(lute)
2012年04月02日
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「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」で印象的な演技をしていたヴィオラ・デイヴィスが、アカデミー賞の主演女優賞にノミネートされていたので「ヘルプ ~心がつなぐストーリー~ 」を見に行きました。 最近帰りが遅くなるがのが嫌で、午後から映画館に行くのはおっくうになっていました。この映画も今日見るつもりでしたが、時間が有効に使えないので、急遽予定を変更して、昨日の3回目を見ました。初日とあって結構人が入っています。そのためか、前のほうしか空いていなくて、仕方なく3列目に座りました。最初画面が大きく見にくい思ったのですが、そのうちあまり気にならなくなりました。アメリカ映画のいい時代を彷彿とさせるような、暖色系の色彩で、昔の映画かと思うときもあります。特に、この映画のシンボル・カラーである黄色はかなり目立ちます。時代が、この前見た「エドガー」と同じで、ケネディー大統領が暗殺された時のニュースがこの映画でも映されていました。■個性的な配役ヴィオラ・デイヴィスはメイドのアイビリーン・クラークを演じています。好演だとは思いますが、アカデミー賞にノミネートされるほどの役とは思えませんでした。物語がスキーターを中心に進むので、主役と思わなかったとしても不思議はありません。てっきり主役だと思っていたスキーター役を演ずるのはエマ・ストーン。そばかすだらけであまり美しくはないですが、意志が強くて、行動力のある、はっきりと物言う女性です。一般的に、そういう人間は敬遠されるもので、映画でも周りからは快く思われませんが、勇気といちずな姿勢が周りを巻き込んでいくところは、なかなか感動的です。個人的にも、その姿に惹かれました。母親シャーロッテを演じたアリソン・ジャニーは美しく、包容力があり良かったです。これを書くためにwikiを見ていたら、スキーターの子守コンスタンティンがシシリー・タイソンというジャズ・ファンにとっては懐かしい名前の女優です。マイルスの「ソーサラー」のジャケットを飾っているのはシシリーでした。かつてのマイルスの妻で、別れた後も交渉があり、最後も彼女が看取ったはずです。当時はたいそう美しかったと思いますが、いまではこの役のように年をとってしまったようです。役が役だけにあうかもしれませんが、かつての美しさの面影がないのは少しがっかりしました。もっとも、1933年生れですから80歳近くです。それを考えれば、まだ若く見えます。スキーターの友人で、鼻持ちならないセリア・フットを演じたはブライス・ダラス・ハワード。なかなか役にはまっていますが、他の同級生に比べると、あまり若くなくてちょっと違和感がありました。スキーターの学生時代の友達で一人仲間外れのシーリアを演じたジェシカ・チャステインは、少しおつむか弱く胸のでかい女性を演じてなかなか良かったと思います。他の女性たちとは明らかに違う役作りでしたが、ちょっとけばい。。この映画で重要な役であるミニー・ジャクソンを演じたオクタヴィア・スペンサーは目のくりっとした個性的なキャラクターで、存在感がありました。この映画は女性の映画で男性は影が薄いです。スキーターのボーイ・フレンドであるスチュワート・ウィットワース役のクリス・ローウェルがちょっと変わった男を演じていて様になっていました。それから、ローカル新聞『ジャクソン・ジャーナル』の編集者役のレスリー・ジョーダンがコミカルな演技でよかったです。また、シシー・スペイセクがヒリーの母親役で出ているとは思いませんでした。1949年生れですから、年相応の役かもしれませんが、なかなかウイットに富んだ印象的な役作りだったと思います。■当時の黒人メイドの様子がよく描かれているこの時代は1960年で、大変重い内容ですが、コミカルで温かい演出がその重さを軽減しているように思います。差別ではないですが、男性の監督ならこういう雰囲気はなかなか出せないと思います。人種差別の激しい南部のジャクソンでメイド用の衛生法案を成立させようとする話がきっかけで、真実を言おうという機運がメイドたちに盛り上がります。トイレを別にするのは病気がうつるからだと言っていますが、いまの原発事故と根っこは同じ様に思います。それから、食器も完全に別にしないとだめだとか、なにか無駄なことをしていると思うのですが、理屈ではなく感情の問題なのだと思います。私も大きな黒人が大勢いて周りを囲むという状況になったらパニックに陥りそうです。映画では終わりになるにしたがって、じわじわと感動が増幅していきます。最後はうるうるしてきました。大団円を迎えるかと思ったら、最後に白人のしっぺが描かれています。昔はメイドに難癖をつけて罪をかぶせることなんか、普通に行われていたと思います。テイト・テイラー監は、それが現実だと言っているように思います。ということで、ヴィトリア・デイヴィス目当てで作品そのものはあまり期待していなかったのですが、大満足でした。このような内容の映画がアメリカで大ヒットしたのはそれだけアメリカ社会が成熟したからなんでしょうか。その当時の黒人と白人の割合がどのくらいだったのかはっきりすると、その実態がもう少しわかるような気がします。公式サイト
2012年04月01日
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