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以前紹介いたONTOMO MUKKUレコード・アカデミー賞で紹介されていたティボー・ガルシア(1994-)のバリオス作品集を聴く。ガルシアはフランスの天才ギタリストだそうだ。筆者はカウンター・テナーのジャルスキーとのデュオを前にダウンロードしていたことをすっかり忘れていて、お初だったと思ってしまった。殆ど聴いていないので、記憶にないのも当たり前かもしれない。演奏はノイズが少なく、潤いのあるサウンドが心地よい。音楽も無理のない表現と歌心で、バリオスの作品が楽しめる。天才肌のミュージシャンは表現が時としてエキセントリックになりがちだが、この方は落ち着いていて,そのような雰囲気は毛ほども感じさせない。また、ショパン、ベートーヴェン、シューマンのピアノ曲の編曲が含まれている。原曲が矮小化されていることもなく、ルバートや弱音の使い方なども絶妙な表現だ。筆者の好きな「ワルツ第3番」のくすぐるような絶妙なルバートや弱音の使い方など、この曲の魅力が十全に表されている。「蜜蜂」のような速く技巧的な曲でもテクニックの制約を感じさせない音楽の流れだ。「大聖堂」はエラートへの2枚目のアルバム『バッハ・インスピレーションズ』に収録されていたトラック。筆者はこのアルバムは聞いていないので、今回収録されたのは有難い。最後にバリオス自身の演奏で「カアサパ」が収録されている。スクラッチのイズも聞かれ、さすがに古いと感じるが、ガルシアの洗練された演奏とは一味違う、土いきれの感じられる演奏はまた格別だ。ということで、バリオスのギター曲の魅力満載のアルバムで、ブランデーでも飲みながら心静かに楽しみたい。エル・ボエミオ~ギター作品集 ティボー・ガルシア(Erato 5419772617)24bit 96kHzFlacバリオス:1. 森に夢みる2. サンバの調べ3. マズルカ・アパッショナートショパン:4. 24の前奏曲 Op.28~第20番(バリオス編)バリオス:5. 神様のお慈悲に免じてお恵みを6. マシーシ7. パラグアイ舞曲 第1番8. ヴィダリータ(オルランド・ロハスによる詩「エル・ボエミオ」の朗読付き)ベートーヴェン:9. ピアノ・ソナタ第14番嬰ハ短調 Op.27-2『月光』~第1楽章:Adagio sostenuto(バリオス編、イ短調)バリオス:10. 蜜蜂11. フリア・フロリダ12. クリスマスの歌13. ワルツ Op.8-314. ワルツ Op.8-415. 告白(ロマンサ)16. 悲しみのショーロ17. オルランド・ロハスによる詩「信仰告白」(朗読のみ)バリオス:18. 前奏曲 ハ短調シューマン:19. トロイメライ Op.15-7(バリオス編)(ボーナス・トラック)バリオス:20. 大聖堂21. カアサパ(アグスティン・バリオス自身による演奏)ティボー・ガルシア(ギター:1-16,18-20)オルランド・ロハス(朗読:8,17)アグスティン・バリオス(ギター:21)録音: 2023年2月11-13日 フランス、ルーアン、Chapelle Corneille(1-19)/ステレオ(デジタル) 2018年3月23-26日 フランス、アラス、Salle des concerts de Arras(20)/ステレオ(デジタル) 1928年5月10日 ブエノスアイレス、Estudios Odeon(21)/モノラル
2024年03月30日
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久しく聞いていなかったスペインのジャズ・ヴォーカリストのカルメ・カネラをbandcampでチェックしていて見つけたアルバム。録音は2004年だが、配信されたのは昨年6月。配信されなかったら知らないで終わってしまっていただろう。配信で聴くことができるのもネット社会のおかげだ。「マイルスの宇宙」というタイトルが示すように、マイルス・デイヴィスの1960年頃までの愛奏曲を集めたアルバム。こういったアルバムは過去沢山作られてきただろうが、ピアノとヴォーカルというフォーマットを抜きにしても、過去の同系統のアルバムの中でも上位にランクされるアルバムだろう。殆どがスタンダードで、大方のジャズファンが気に入るであろう選曲も的を得ている。「You're Under Arrest」(1985)で取り上げられていたマイケル・ジャクソンの「Human Nature」(1982)のみリズミックで異彩を放っている。作曲されてから3年足らずで録音されていたとは、マイルスのフットワークの良さに驚く。バラードが多いが、じとっと湿った歌でなく、適度にリズミカルなところもいい。「My Funny Valentine」のラテンタッチのアプローチはユニーク。最後の「Blue in Green」はア・カペラで歌い始めるが、滑らかさが足りず、いまいち。バルセロナ生まれのピアニストのルイス・ヴィダルはbioを見るとピアニストとしてだけではなく、作編曲や大規模なフェスティバルなどで指揮など重要な役割を担っているようだ。包容力のあるピアノで、ヴォーカルを優しく包み込んでくれる。Carme Canela & Lluis Vidal:Miles Universe(Fresh Sound FSNT183)16bit44.1kHzFlac1.Old Devil Moon2.My Ship3.Someday My Prince Will Come4.Love for Sale5.I Fall in Love Too Easily6.My Man's Gone Now7.Stella by Starlight8.My Funny Valentine9.Human Nature10.Blue in GreenCarme Canela(vo)Lluis Vidal(p)Recorded in Barcelona, May 31 & June 1, 2004ところで、一昨日パソコンが壊れてしまった。メーカーとチャットでやり取りしたが、修理が必要であることがわかった。今日業者が引き取りに来たが、一応チェックが終わるのが2、3日。修理が必要な場合は2週間程かかるようだ。筆者はノートパソコンとiPadを使っていて、ブログの執筆やファイルのダウンロードはパソコンを使っている。ブログは取り敢えずiPadでもやれないことはない。また、ネットワークプレイヤーの駆動もiPadのアプリで何とか出来る。問題なのは、新たに購入したハイレゾファイルをiPadでダウンロードするのが面倒なこと。一番問題なのは今のところ「ファイル」アプリでNASにアクセス出来ないこと。購入したもののダウンロードできていないアルバムが2個あり、早急になんとかしたいところだ。iCloudに余裕があるので、取り敢えずiPadにファイルアプリでファイルをダウンロードした。ところが、ノートパソコンで使っていたHDDはiPadでは書き込みができないことが分かり、そこで中断してしまった。どうやらWindowsのPCが治らないと先に進まない感じだ。CPUが第8世代で、OSの更新もまだなので、故障が軽症でない限り、ミニPCの導入も考えなければならない。しばらくは悩ましい日々が続きそうだ。
2024年03月28日
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出典:ルツェルン新聞この前百田尚樹氏のyoutubeのサムネを観たらピアニストのマウリツィオ・ポリーニ氏(1942–2024)が亡くなられたことが書いてあった。少し見てから、Xを覗くと凄い量の投稿がアップされている。今更ながら20世紀後半を代表する偉大なピアニストであったことを実感する。最近は体調を崩すことが多く、最後の演奏会は昨年10月にチューリッヒで行われた演奏会あったらしい。書き込みによると、譜めくりの人と舞台上で口論し、演奏もボロボロだったらしい。筆者も何回か氏の最近の演奏が不調であることについて書いたことがあるが、体調が悪かったことも原因の一つだったのかもしれない。年のせいにしていたが、体調が悪かったら仕方がないと思う。悪く書いたことに対し、お詫びをしなければならない。こちらの記事によると2022年の夏のザルツブルクからキャンセルが続き、チューリッヒでのリサイタルが回復してから初のリサイタルだったらしい。それがこんなことになって、何ともお気の毒だ。多分、演奏が不出来だったことと、体調が思わしくないことが重なったための出来事だったのかもしれない。ルツェルン新聞月刊音楽祭関連記事に彼の生い立ちから業績までがまとまって書かれていて参考になる。筆者も例にもれず昔から彼の演奏に親しんでいたものだ。もっぱら独奏のアルバムを聞くことが多かった。残念ながら生を観ることはなかった。協奏曲はアバドと共演したいくつかを除き聞いたことがない。よく聴いたのは、ご多分に漏れずショパンの「練習曲集」、シューマンの「交響的練習曲」、シェーンベルクの「ピアノ曲集」など。バルトークの協奏曲もよく聴いたものだ。彼の演奏は、それまでの概念を超えるような革新的な演奏が多かったと思う。個人的にはシェーンベルクのピアノ曲に開眼?したのはポリーニの演奏のおかげだ。それまでもグールドの演奏などがあったが、数がもともと少なく、難解な演奏が多かったのが馴染めなかった理由だろう。ポリーニの音楽は明快な表現で、難解さが薄れ、理解しやすいものになっていた。残念なのは晩年の衰え。あれほど完璧な音楽を演奏していた方だからこそ、無念だっただろう。これで同年代の大物はアルゲリッチ(1941-)くらいしかいなくなってしまった。せめて彼女には長生きして演奏を聴かせてもらいたいものだ。
2024年03月26日
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大分前に入手していたシャクティの新作を聴く。ディストリビューターによると『ジョン・マクラフリンが率いるSHAKTI結成50周年。70年代にたった3枚のアルバムをのこした あの伝説的グループ46年ぶりの新作が完成!!』とのこと。このグループ、マクラフリン繋がりで耳にしたのだが、癖の強いヒンドスタン音楽ためか、最初なかなか馴染めなくて、放置してた。ところがしばらくぶりで聴き返したら、以前よりはだいぶ耳に入ってくる。どうやらメンバーのクレジットを見て、Konokol(コナックル)という楽器が何か調べたことが切っ掛けになったようだ。youtubeで解説を観ているうちにわかってきた。こちらには楽譜も載っていて、このテクニックがいかにすごいかが分かる。簡単にいうとヴォイスパーカッションの一種類なのだろうが、これはインドで古くから使われている演奏方法のようだ。所謂話しながら太鼓をたたくトーキングドラムの一種らしい。ところがこれが猛烈な速さでやる超絶技巧でそれも変拍子。とても普通の人にはできない程の活舌だ。自分でやってみたが短い時間ならできそうだが、長くなったら全然ダメ。恐るべき超絶技巧だ。さすがゼロを見つけた民族だと、何故か関心してしまった。wikiによると、マクラフリンはこの技法を作曲に利用しているとか。最初はコナックルの超絶技巧にばかり目を奪われていたが、ガネーシュ・ラジャゴパランのヴァイオリンも一癖も二癖もある濃厚な演奏。シャンカル・マハデーヴァン(1967-)のヴォーカルの存在感も半端ない。インドのミュージシャンの存在感が圧倒的で、マクラフリンは少し影が薄い。彼らのバランスがいいのは、キャッチーなテーマの「Changay Naino」だろうか。曲毎の違いや特徴がつかめず、ただ「凄い」としか言えないところが何とも情けない。今のところ、民族音楽を聴くようなスタンスで、何回か聴き続けて理解するしかないようだ。音楽に陽気な要素があるところが、救いになるかもしれない。Shakti:This Moment(Abstract Logix ABLX068V)16bit44.1kHz Flac1.John McLaughlin,Shankar Mahadevan,Selvaganesh Vinayakaram,Zakir Hussain:Shrini’s Dream2.Shankar Mahadevan:Bending The Rules3.John McLaughlin:Karuna4.Selvaganesh Vinayakaram:Mohanam5.Shankar Mahadevan,Carnatic Traditional,U. Srinivas:Giriraj Sudha6.John McLaughlin:Las Palmas7.Zakir Hussain:Changay Naino8.John McLaughlin:Sono MamaJohn McLaughlin, Shakti:John McLaughlin (g,g-Synth)Zakir Hussain (Tabla, Konokol)Shankar Mahadevan (Vo,Konokol)Ganesh Rajagopalan (vn, Konokol)Selvaganesh Vinayakram (Kanjira, Mridangam, Ghatam, Konokol)Recorded at Mediastarz Studio, Monaco by Jean-Michel AubletteRecorded at Swara Yogo Studios, Covington, WA, USA and Offbeat Music Ventures, Chennai by Aditya SrinivasanRecorded at Lambodara Studios, Navi Mumbai by Ameya Mategaonkar
2024年03月24日
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先ごろ亡くなったジャズ・ピアニストのチック・コリアが最晩年に作曲したトロンボーン協奏曲の録音が出た。ニューヨーク・フィルのジョセフ・アレッシ(1959-)の委嘱作品で、アレッシとチックの橋渡しをしたのが同じスライド・モンスターズのメンバーである中川英二郎というのはよく知られた話。原曲は多分オーケストラ伴奏のはずだが、今回の録音は吹奏楽の伴奏。もともと高かったのでペンディングにしていたのだが、prostudiomastersが安いのが分かり購入した。この作品のクレジットを見ると、コリア、アレッシのほかにジョン・ディクソンという作曲家の名前が入っている。この方が吹奏楽版の編曲をされたようだが、管弦楽版でもアレンジを手掛けている。全体にスパニッシュ・フレーバーの横溢した楽しい作品で、ラテンの乾いた砂漠を思い出させるような雰囲気も感じられる。全体的にチックの作品らしく屈託のない表情が感じられるような作品だ。一寸シリアス・ムードなのは間奏曲的な第3楽章くらいなものだろうか。ブラスの扱いもブラス・アンサンブルを聴いているようなところもあり、ブラス・ファンとってもなかなか興味深い作品だ。打楽器やピアノ、ハープなども使われていて、色彩的な作品になっている。チューバが結構聞こえるのも珍しい。最終楽章は普通なら力の入った曲になるものだが、変拍子でマラカスが活躍するエキゾチックな楽章になっているところがチックらしい。トロンボーン・ソロは超絶技巧は聞こえないものの、聞かせどころ十分で、アレッシのメロウなハイ・トーンと共に楽しめる。インタビューでは第4楽章のコーダの部分で自分の最高音であるF?が出るところがあると話されていたので注目してほしい。一応クラシック作品なのだが、チックが元気な頃のクラシック系の作品に感じられる気負いがなく、ある意味練れた作品だろう。筆者はモートン・グールドの作品のムードに近いものを感じた。おそらくは今後も演奏されていくに違いない、チック晩年の傑作!。後半はJorge Machainの作品。マシャインはメキシコ生まれのトランぺッター、作編曲家で、現在ラスベガスで活躍しているそうだ。作曲はクラシックとジャズ、映画音楽など多岐にわたるようだ。「Five Cities」は、ブラス・クインテットとウインドバンドのための協奏曲で、このアルバムの指揮者トーマス・G・レスリーがボストン・ブラスのために委託した15分ほどの作品。吹奏楽にジャズのスインギーなテイストの加わった、なかなかしゃれた作品。第1曲はファンファーレ的な曲。第2曲は「City Of The Sea」と題された静かな曲。波を思わせるような金管のアルペジオが聞こえる。「City of The Forest」と題されたブラス・アンサンブルのためのカデンツァは、トランペットのハートンで度肝を抜かせる。最後の「City Of Mankind」はカデンツァからのムードを惹き付いてバック共々熱気のある演奏が続く。スインギーでハイ・トーンを駆使したトランペット・ソロが光る。他にホルヘ・マシャインのオリジナル「Her Name is Nessa」と彼が編曲したスタン・ケントンの「Fanfare for the New」が収録されている。録音は悪くないが、くすんだ音色でもう少し透明度が欲しかった。オーケストラ版全曲25分ADDA·SIMFÒNICA ALICANTEJosep Vicentアレッシのインタビュー1分47秒からチックが登場する場面もある。インタビューの対訳UNLV Wind Orchestra Joe's Tango: Concerto for Trombone & Other Works(Navona Records NV6572)24bit 96kHz Flac1.Hugo Montenegro: Fanfare for the New(arr. For Wind Ensemble by Jorge Machain)2.Corea: Concerto for Trombone(arr. for Tronbone & Wind Ensemble by John Dickson)6.Jorge Machain: Her Name is Nessa7.Jorge Machain: Five CitiesJoseph Alessi(tb track 2-5)Boston Brass (track7-9)Hugo Montenegro, Jorge MachainUNLV Wind OrchestraThomas G. Leslie
2024年03月22日
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21歳で夭折したというオースティン・ペラルタ(1990-2012)というアメリカのピアニストの「Endless Planets」というアルバムがCDとLPで再発され、ダウンロードもリリースされた。Deluxe EditionにはBBC Maida Vale Studiosでのライブが収録されている。いつものprestomusicで紹介されていて、spotifyで聞いたらいい感じだったので、bandcampからダウンロード。ホーンはテナーとアルトの二管編成。全体にごつごつとした肌触りで、すんなりと馴染む音楽ではない。最初の「The Lotus Flower」は、宇宙空間を浮遊しているような不思議な感覚を覚える。ホーンはソプラノ・サックスのみで、テナー・サックスも入るとこの感覚にはならないだろう。「Capricornus」は速いテンポの刺激的なフレーズがホーンから出て、続いて力強いピアノ・ソロが続く。かなりフリーっぽいタッチで、荒々しさもある。ホーンのソロもフリー系で、ハードタッチの演奏は2000年代の録音にしては珍しい。Zach Harmonのドラムスが暴れまくる。「The Underwater Mountain Odyssey」は2ホーンによる激しい感情の表出が感じられるイントロ。ダークなムードのピアノ・ソロ、同じカラーのテナーサックスの咆哮、と有無を言わせぬ迫力に圧倒される。「Ode To Love」は甘さを排した硬質なバラード。ソプラノ・サックスのソロが入る。ピアノのパーカッシブでアグレッシブなバッキングが目立つ。「Algiers」はアルジェリアの首都アルジェのこと。その名の通りアラビア風の音楽で、とても白人の作った音楽とは思えない土着風の音楽で、アルバム随一の聞きもの。ベースのオスティナートに乗ってホーンが躍動する。ここでもピアノのバッキングが鋭い音でホーンを挑発する様な動きをする。ペラルタの独特な個性が発揮されたナンバーだ。フェイドアウトすると思うと、シンセのどーんとした音が被さり、ムードが一変する。風を模したような音とレコードをトレースするようなぱちぱちというノイズが混入するという訳の分からないエンディング。「Epilogue: Renaissance Bubbles」は2分に満たない音楽。イギリスのニュージャズ・電子音楽グループであるザ・シネマティック・オーケストラとそのメンバーであるハイジ・ヴォーゲルのヴォーカルが入る。このトラックの存在理由がよく分からない。ホーンはどちらも太い音で荒々しいプレイ。バシバシとブっ叩くドラムス、ぐいぐいと迫ってくるベースともかなり過激なプレイ。ドラムスはライブで見ればかなりの迫力を感じるだろう。BBCでのライブは4曲で、最初は本編でも演奏されていた「Algiers」。本編のような乾いたテイストではなく、ウエットでエネルギッシュな演奏。ベース・ソロはなく4分ほど短い。他の3曲は本編では演奏されていない。どの曲もソプラノ・サックスと男性ヴォーカルのユニゾンが入ったメローなバラードだ。どの曲も浮遊感の感じられる不思議な音楽。「DMT Song」は男性ヴォーカルの入った、1分半ほどのメローなバラード。「Eclipses」はピアノとドラムスの激しいプレイとサックスとヴォーカルのユニゾン「Garden」はエレクトリック・ピアノが使われている。ユニゾンはおなじようなフレーズが延々と繰り返され、そこにシンセによる効果的なエフェクトが挿入される。エレクトリック・ピアノの効果だろうか、夢心地な気分になる。サックスもディレイが使われている。スタジオ録音は押し出しの強い録音だが、広がりがあまりなく、多少歪みっぽい。またホワイトのイズがちょっと気になる。ライブはさらに音が悪く、ベースの音も大きすぎる。ということで、オースティン・ペラルタの特異な個性が発揮されたアルバム。これを聴くと、僅か21歳で早逝されたのが何とも惜しまれ、その独自の才能がいかに貴重であったかが分かる。Austin Peralta:Endless Planets (Deluxe Edition) (Brainfeeder BF014)16bit44.1kHz Flac1. Introduction: The Lotus Flower2. Capricornus3. The Underwater Mountain Odyssey4. Ode To Love5. Interlude6. Algiers7. Epilogue: Renaissance Bubbles8. Algiers (Jondy BBC Maida Vale Session)9. DMT Song (Jondy BBC Maida Vale Session)10. Eclipses (Jondy BBC Maida Vale Session)11. The Garden (Jondy BBC Maida Vale Session)Austin Peralta(p)Zane Musa(as)Ben Wendel(ts)Hamilton Price(b)Zach Harmon(ds)Strangeloop(Electronic Manipulation)Tracks 1-6 recorded live at Drum Channel: Oxnard, CA on August 2nd, 2009; track 7: recorded at W Studios: Brooklyn, NY on October, 18th, 2009
2024年03月20日
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ドロシー・ハウエル(1898 - 1982)というイギリスの女流作曲家の管弦楽曲集。presto musiで紹介されていて、spotifyで聞いたところ、なかなかいいので、prostudiomastersから¥1600で入手。wikiによるとドロシー・ハウエルはバーミンガムで生まれ、殆どの作品が未出版。交響詩「ラミア」やバレエ音楽「クン・シー」が知られているそうだ。アルバムは7枚ほどで、すべて2000年代に入ってからのレコーディング。ディストリビューターによると『批評家のジョゼフ・ホルブルックが1921年に出版した現代英国作曲家ガイドに、エセル・スマイスとレベッカ・クラークと並んで、彼が重要だと考えた、たった3人の女性作曲家の1人として紹介された』とのこと。上記の二人も筆者が最近知った作曲家で、スマイスはシャンドスの交響曲集、クラークは「ライオネル・ターティスに捧ぐ」というティモシー・リダウトのアルバムで聞いたばかりだ。ハウエルは「ラミア」で成功を収めたものの、1940年以降はその曲が軽視され、2010年のプロムスシーズンで復活するまで待たねばならなかった。実際このアルバムの5曲のうち「ラミア」以外は初録音だ。ハウエルは、生前、「イングリッシュ・シュトラウス」と呼ばれていたそうだ。一瞬して聴き手の心をつかむような力はないが、映画音楽を聴いているような分かりやすく生気に富んだ音楽だ。物語を思わせるような明快な作風で、色彩豊かなオーケストラもよく鳴っているが、シュトラウス流の金管が豪壮に鳴るとうことはない。メロディー・ラインがディーリアス風で、田舎の雰囲気を思い起させる。涼やかな弦のサウンドが印象的だ。「ユーモレスク」はオリエンタル風味満点のファゴットのソロから始まるイギリス人らしいウイットに富んだ音楽だろう。洗練されたサウンドでスカッとする。序曲「ザ・ロック」は速いテンポの明るく快活な曲で、ここでも豊かなサウンドが聞かれる。テンポを落とした中間部では東洋風なモチーフやディーリアスを思い出させる旋律が出てくる。「3つのディヴェルティスマン(1940年)」はハウエルの最後の大規模な管弦楽作品だが、初演は戦争のため1950年まで待たなければならなかった。コミカルでカスタネットが印象的な第1楽章、ゆったりとした時が流れる第2楽章、管楽器の活躍する第3楽章からなる。第3楽章のへんてこなテーマが異彩を放っている。イギリスのロマン派を代表する詩人ジョン・キーツ(1795‐1821)の詩による交響詩「ラミア」は14分ほどの作品。女性に変身したラミアという蛇が、美青年リュキウスに恋をし、結婚するが、詭弁学者のアポローニアスはレイミアが蛇の怪である事を見抜き、これを祓う。ラミアは消え去り、リュキウスは死ぬという物語。イギリス人らしからぬ濃厚な表現とストーリーテラーぶりで、イギリスのシュトラウスと形容された理由にも納得できる。「クーン・シー」はハウエル唯一のバレエのための音楽で演奏時間は21分。17世紀の中国を舞台に、裕福な官僚の娘クーン・シーと官僚の簿記係であるチャンの悲恋の物語。彼らが愛し合うことを知った官僚がちゃんを殺し、それを知ったクーン・シーが家を焼き払うが、神々が二人を憐れんで彼らを永遠に一緒に過ごすために鳩にするという物語。原色的で異国情緒満点の音楽が楽しめる。指揮者のレベッカ・ミラーはアメリカ、カリフォルニア出身の女流指揮者。劇的な表現に長けており、ハウエルのアニメ的な魅力を余すところなく表現していた。BBCコンサート・オーケストラは悪くないが、所々限界が感じられる。録音はあまり抜けがよくない。こういう知られていない曲を聴くときに、ブックレットが付いていないのは痛い。他社では付いているので、付いていない理由を知りたいところだ。ドロシー・ハウエル: 管弦楽作品集 (Signum SIGCD763)24bit96kHz Flac1.ユーモレスク(1919)2.序曲「ザ・ロック」(1928)3.3つのディヴェルティスマン(1950)6.交響詩「ラミア」(1919)7.Koong Shee(1921)レベッカ・ミラー(指揮)BBCコンサート・オーケストラ録音:2022年6月、セント・ジュード教会(ロンドン)追伸念のためリリース元に問い合わせたら、もともとブックレットはなくて、いろいろなところを探しまくって送ってくれた。何か悪いことをしてしまったようで申し訳なかった。
2024年03月18日
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偶然見つけた1枚。名盤の誉れ高い宮間利之とニューハードの「4つのジャズ・コンポジション」がハイレゾ化されていることを知った。presto musicでは昨年6月のリリースで早速ダウンロード。1970年の録音だが、サウンドがリアルで、とても50年以上前の録音とは思えない。レンタルCDをリッピングして楽しんでいたのだが、比較する前にファイルを削除してしまったのが痛い。このCDは2016年のリイシューで、今回ハイレゾ化した音源は昨年Lighthouse Musicからリリースされた音源によるもののようだ。とにかくノイズが聞こえない。ヴォリュームを上げても聞こえてこない。そこから立ち上がりの鋭い音がバシバシ聞こえてくる。CDの音の印象がだいぶ薄れてしまったが、これほどのインパクトは感じなかったはず。衝撃度はCDの比ではない。内容についてはこちらでレビューしているので、繰り返さないが、良くも悪くも昔の日本のビッグバンドのサウンドが懐かしく感じられる。今聴くと、前田憲男の「生霊」はミンガスからの影響がかなり強いことが分かる。筆者はA国のサイトからのダウンロードだが、日本からのアクセスでも国内価格より1,000円ほどお買い得だ。Toshiyuki Miyama & New Hard Orchestra:Four Jazz Compositions -Based On Japanese Classical Themes(DECCA 5551588)192kHz Flac1.佐藤允彦:無明頌2.高見弘:白拍子3.前田憲男:生霊4.山木幸三郎:千秋楽宮間利之とニューハード
2024年03月16日
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約20万枚のベスト・セラーになったというルノー・カピュソンのアルバム「シネマに捧ぐ」の続編で、フランス人作曲家の作品集。原題は「Les choses de la vie」。前作はちょい聞きで、それほどでもないと思い、保留にしていた。今回は気に入ったナンバーがいくつかあり、レ・シエクルが共演していることも理由でダウンロード。いつものpresto musicからのダウンロードで、ワーナーがk国よりも安いM国が見つかったので、そこからのダウンロード。ブックレットにこのアルバムについてのカピュソンの言葉が載っている。『このアルバムの狙いは、ジョルジュ・ドルリュー、フィリップ・サルド、ミシェル・ルグラン、モーリス・ジャール、ジョゼフ・コスマ、フランソワ・ド・ルバイユ、ジャン=クロード・プティ、ウラジミール・コスマ、フランシス・ライ、ガブリエル・ヤレド、フィリップ・ロンビ、アレクサンドル・デプラといったフランス映画の最も優れた作曲家たちの作品によるアルバムを制作すること。彼らの音楽を通して、映画に出演していたロミー・シュナイダー、ミシェル・ピコリ、イヴ・モンタン、フィリップ・ノワレ、ルイ・ド・フュネスなどの魔法の瞬間を蘇らせることができれば幸いだ。』とのこと。地味な曲が多いが、全体にフランス音楽らしい麗しい、しゃれた雰囲気がして、悪くない。ただ、あまり突っ込んだ表現はされていないので、曲によっては物足りないこともある。するりと交わされたような気になる曲もある。カピュソンのヴァイオリンは艶やかな音色の華やかで詩的な雰囲気満点の演奏。気に入ったのは「枯葉」。実に詩的で、しみじみとした余韻の残る演奏。ヴァースから始めていて、イブ・モンタンの歌を思い出してしまった。spotifyでモンタンの歌を聞いたら、今回と同じような雰囲気がしている。フランシス・レイの「ある愛の詩」が入っているのも嬉しい。この曲、最近はめっきり聞くことがなくなってしまったが、改めて聞くといい曲であることを再認識。2分ほどの少し速めのテンポで、もう少しじっくりと演奏してほしかった。筆者は聞いたことがなかったが、フランスの最高の映画音楽作曲家といわれているジョルジュ・ドルリュー(1925-1992)の曲が7曲も入っているのが目立つ。ミシェル・ルグランでもなく、フランシス・レイでもないところがみそだ。wikiによるとフランソワ・トリュフォーの主要な映画作品で音楽を担当したとのこと。このアルバムもトリュフォーの映画は『終電車』他数曲が演奏されている。ここに収録されている曲を聴く限り、ウエットで悲しげな表情が特徴のようだ。その中では優雅な「ベスト・フレンズ」や「終電車」、「わたしたちの宣戦布告のRadioscopie」など格調高いクラシカルな作品が良かった。「サン・スーシの女」の情感漂う演奏も心に沁みわたる。総じてあまり明るい曲がなく、同じ調子の曲が続くので後半はちょっと尻すぼみ気味。その中では映画『追想』~クララ1939のスインギーで夢見るような表情がいい。「アラビアのロレンス」が入っているのもアルバム全体のカラーから行くとちょっと異質な気がする。最後は作曲者自身のアレンジによる『ニューヨーク←→パリ大冒険』のお祭り騒ぎで、なんとか帳尻を合わせている感じだ。編曲は主にシリル・レーンという方が行っているが、ばらつきが多い。カピュソンの演奏はもっと濃い表情をつけてほしいところもあるが、こんなものかもしれない。この団体は古楽器とはモダン楽器を使い分けているらしいので、今回はモダン楽器を使っているのかもしれない。レ・シエクルはサウンドに厚みと気品があり、フランスの香気が漂ってくるようなサウンドで、この楽団の起用は成功したと思う。筆者としては古楽器のサウンドで映画音楽がどのように響くのか是非聞きたかったところだ。直近のサン=サーンスの「動物の謝肉祭」のアルバムを聴くと、古臭さが目立ち、昔の無声映画のような感じになっていたので、却って逆効果になってしまっていたかもしれない。録音は悪くないがテュッティで混濁気味になるところが惜しい。ルノー・カピュソン:すぎ去りし日の...(Erato 5419779905)96kHz Flac1.ジョルジュ・ドルリュー:映画『ベスト・フレンズ』(1981)2.ミシェル・ルグラン:映画『華麗なる賭け』~風のささやき(1968)3.ジョルジュ・ドルリュー:映画『愛と戦火の大地』~別れのコンチェルト(1992)4.ジョゼフ・コズマ:映画『夜の門』~枯葉(1946)5.ジャン=クロ-ド・プティ:映画『愛と宿命の泉』(1986)6.ジョルジュ・ドルリュー:映画『終電車』(1980)7.フィリップ・サルド:映画『すぎ去りし日の…』~エレ-ヌの歌(1971)8.フランソワ・ド・ルーベ:映画『追想』~クララ1939(1975)9.ジョルジュ・ドルリュー:映画『わたしたちの宣戦布告』~Radioscopie(2012)10.ジョルジュ・ドルリュー:映画『メモリーズ・オブ・ミー』(1988)11.カブリエル・ヤレド:映画『イングリッシュ・ペイシェント』~アズ・ファー・アズ・フローレンス(1996)12.ジョルジュ・ドルリュー:映画『サン・スーシの女』(1982)13.フィリップ・サルド:映画『フォート・サガン』(1984)14.フランシス・レイ:映画『ある愛の詩』(1970)15.フィリップ・ロンビ:映画『戦場のアリア』~無のテーマ(ロンビ編)(2005)16.ジョルジュ・ドルリュー:映画『親愛なるルイーズ』(1972)17.アレクサンドル・デスプラ:映画『シェイプ・オブ・ウォーター』(2017)18.モーリス・ジャール:映画『アラビアのロレンス』(1962)19.ウラジミール・コスマ:映画『ニューヨーク←→パリ大冒険』(コスマ編)(1973)Cyrille Lehn arrangements (1, 2, 4–14, 16–18)ルノー・カピュソン(vn)レ・シエクルダンカン・ウォード2023年3月27-29日、アルフォールビル、ONDIF Studio
2024年03月14日
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クロマチック・ハーモニカのヘンドリック・ミュールケンス(1957-)の「ジャズ・ミュールケンジャー」というアルバムを聞く。例によってbandcampからの情報で知ったアルバムだったが、これがめっぽうよくダウンロードしてしまった。カナダのセーラー・ドアからのリリースでC$10なので、約1100円+手数料で入手できる。ロス・レスなので例によってアップ・コンバートしての試聴。ノイズ感が皆無で、前に張り出してくるサウンドが心地よい。ハイレゾと遜色のない録音だ。特に、シンバルの目の覚めるような鮮烈なサウンドが、リアルに迫ってくる。筆者はジャズのハーモニカと言えばトゥーツ・シールマンス(1922-2016)しか知らない。ミュールケンスはドイツの方で、ジャズやブラジル音楽方面で活躍しているそうだ。ピアノ・トリオ+ハーモニカで、ギターやテナー・サックスが加わるという編成。サックスとのユニゾンでも、全く遜色ないサウンドだ。プログラムはスタンダード2曲とエリントンとホレス・シルバーの曲以外はミュールケンスのオリジナル。どの曲も高水準の仕上がりで、オリジナルもスタンダードに見劣りしない。オリジナルは親しみやすく明るい作風の曲が多く、メロディアスでヴァラエティに富んだナンバーが楽しめる。ミュールケンスのハーモニカは澄んだ音色と豊かなハーモニーで、ビブラートは僅か。テクニカルなパッセージなどは出てこないが、それだけで十分魅力的だ。多分肺活量がかなり多く、大きな音が出るのでプレイに余裕が感じられる。ただ、ハーモニカは技術的なハードルが高く、やはりスローテンポの曲のほうがしっくりくる。ピアノ・トリオのバッキングが強力で気持ちのいいプレイを聴くことができる。ドラムスのプッシュが心地よい。エド・チェリーのスインギーなギター、ニック・ハンプトンの骨太で豪放なテナーもベスト・マッチ。ハーモニカが全く見劣りしないのも素晴らしい。「Belgian Beer At Dawn」(夜明けのベルギービール)というしゃれたタイトルのだが、アップテンポで推進力があり、なおかつ爽快さも感じられるナンバー。「 A Lullaby For Benny」はミディアム・テンポの爽やかなバラード。ホレス・シルバーの「Silver's Serenade」は原曲に比べ、はるかに洗練された音楽だ。スインギーな味わいも十分。マンシーニの「Dreamsville」の文字通り夢見るような演奏。ピアノやギターも、いい味出している。快速テンポの「If I Were A Bell」はプレスティッジのマイルス・デイヴィスのマラソン・セッションでのエロールガーナーのイントロを使ったピアノから始まる。ミュールケンスのソロはスインギーでご機嫌。スローバラードの「A Tear For Toots」は、トゥーツ・シールマンスの生誕100年あたる2022年に作られた曲。彼のトゥーツに対する切々たる思いが感じられる。16歳でバイブをはじめ、19歳でトゥーツの演奏を聴き、ハーモニカを始めたそうなので、人生の師のような存在だったのだろう。ハーモニカ、ピアノ、ギターの絡みが何とも言えずいい。トロピカル・ムードのエリントンの「Smada」は知られていない曲のためか、いまいち精彩に欠ける。サイドではスティーブ・アッシュの趣味の良いピアノとエド・チェリーの暖かいギターが光っていた。気になるのはテナー・ソロでにエコーがかかっていて、夜のムードを感じさせることぐらいか。ということで、思いがけずハーモニカによるジャズに酔いしれてしまった。ミュールケンスはリーダーアルバムが多数あるので、今後少しづつ耳を傾けたい。ところで、このアルバムではブックレットが付いていて、ミュールケンスがハーモニカーを始めたいきさつや、曲の詳しい解説がアメリカの音楽評論家スコット・ヤナウにより書かれていて、とても参考になる。特にクロマティック・ハーモニカでのアドリブの困難さが書かれていて、なるほどと思った次第。単なるスケールを演奏するのでも吹くのと吸うのがあり、高速で演奏するのはかなり困難であると推測される。いままで、なぜ高速のアドリブが出来ないのかと思っていたが、そういう理由があるとは知らなかった。何しろバップ・メロディーを吹けるのはトゥーツとミュールケンスくらいしかいないというのだから。。。Hendrik Meurkens:The Jazz Meurkengers(Cellar Live Records CMR080824)16bit44.1kHz Flac1. A Slow One2. Belgian Beer At Dawn3. A Lullaby For Benny4. Horace Silver:Silver's Serenade5. Meurk's Mood6. Mancini/Livingston/Evans:Dreamsville7. Frank Loesser:If I Were A Bell8. A Tear For Toots9. Ellington/Strayhorn:SmadaComposed by Hendrik Meurkens:(except track 4,6,7,9)Hendrik Meurkens(chromatic harmonica)Ed Cherry(g track 1,4,6,8)Nick Hempton(ts track 2,5,7,9)Steve Ash(p)Chris Berger(b)Andy Watson(ds)Recorded June 22nd & 23rd, 2023 at Acoustic Recording, Brooklyn, NY
2024年03月12日
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最近注目しているイギリスの中堅ピアニストのクレア・ハモンドの新譜を聴く。エドマンド・フィニス(1984-)という作曲家の「Youth」という17分ほどの作品を弾いたEP。フィニスはイギリスの作曲家でクラシックと電子音楽の作曲家だそうだ。discogsを見るとCDが2枚、EPが一枚リリースされていて、今回の「若者」が新たに加わったことになる。この「若者」と題された作品は10曲の短い曲からなる組曲で、殆どが1分長くても3分程の小品集で、ハモンドにより委嘱された。彼らはロンドのギルドホール音楽演劇学校で一緒だったらしく、当時一緒に作業することを約束し、10年後にこの曲が実現したという。全体に暗く、それほど分かりやすくはないが、硬質な叙情とでも呼ぶべき作品集で、ハモンドの芸風にぴったりだ。印象派風の作風で、透明なハーモニーが特徴だろう。この組曲は柔らかなタッチではあるが、旋律はそれほど柔和ではない。人名や地名を含むいろいろなタイトルがつけられているが、あくまでもイメージだろう。テンポの遅い曲が多く、聴き手によりイメージが膨らんでいくような気がする。第2曲のように唐突に終わってしまう曲もあり、ちょっとびっくりする。第3曲はヘレン・フランケンサーラーというアメリカの女流画家の名前。激しい曲は第6曲「コエンティーズ・スリップ」。これはニューヨーク市マンハッタン区のロウアー・マンハッタンにある歴史的な地区のことで、かつては入江だったようだ。第7曲の「ハンマースホイの窓」はデンマークの画家ヴィルヘルム・ハンマースホイ(Vilhelm Hammershøi)によって描かれた窓の風景を指す。室内の高い窓と鑑賞者に背を向けた人物が描かれているのが特徴だ。フランス語で「隣人」や「境界」を意味する「ビューレン」はアルペジオが連続する。広大な荒野や低木の生えた地域を意味する「ヒース」はゆったりとしたテンポで同じフレーズが繰り返される。優しいアルペジオが流れる「ヘルシンキのパターン」で締めくくられている。最後に「エメリンのための子守歌」というこれも1分ほどの小品が組み合わされている。娘の誕生を祝ってハモンド夫妻がフィニスに依頼した曲で優しいメロディーが流れる。エッジの効いた、透明感溢れるピアノの音が作品に相応しい。EPのためかブックレットは付いていない。こういうアルバムこそブックレットが欲しいところだ。Clare Hammond Edmund Finnis:Youth(Pentatone PTC5187197)24bit 96kHz FlacEdmund Finnis:1.Youth I. 花開き II. 回転 III. フランケンサーラー IV. 日々の流れ V. 密集した尾根 VI. コエンティーズ・スリップ VII. ハンマースホイの窓 VIII. ビューレン IX. ヒース X. ヘルシンキのパターン11.エメリンの子守歌クレア・ハモンド (p)
2024年03月10日
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以前から気になっていたデンマークのベーシストであるマッズ・ヴィンディング(1948-)のトリオによる「Quiet Yesterday」を聴く。いつものbandcampからの入手で、ハイレゾながら50DKK以上、Paypalで手数料がかかるにしても1100円ほど。他のサイトでは概ね¥2500程なので半額以下で買えるのが嬉しい。ディストリビューターによると、当地のモンマルトルでハウスベーシストとしてデビューし、800以上の録音と1000以上のラジオ/テレビ番組で演奏しているそうだ。受賞歴も多数で、リーダー・アルバムも10枚以上リリースしているとのこと。今回のアルバムは、Composing(2017)以来ストーリーヴィルでの4作目にあたる。ようだピアノはイタリア生まれのダド・モローニ(1962-)、ドラムスはデンマークで活躍するニクラス・カンパニョル(1973-)。プログラムはスタンダードとジャズメンのオリジナルを中心に、モローニの1曲を加えたもの。緊密なアンサンブルをもつトリオで、メンバーの力量も高い。目立つのはモローニのピアノ。ビル・エヴァンス系のピアニストだろうが、骨太のサウンドのパーカッシブな打鍵で、ぐいぐいと迫ってくる。反面、歌心も十分で、フリー系のフレーズも出てくるという懐の広いピアニスト。冒頭の「All Of You」から絶好調でぐいぐい飛ばす。自身のオリジナル「Quiet Yesterday」はアメリカ南部のダウン・トゥー・アースな気分が感じられるが、黒くはなく、爽やかだ。「朝日のごとくさわやか」のアブストラクトで破壊的なイントロにびっくり。続く高速のアドリブはダイナミックで、息をのむような演奏だ。その後の、手数の多いドラム・ソロも多彩だ。エンディングのピアノの無機的なソロも、ありきたりなものに終わらない異色の展開。ビル・エヴァンスの名曲「Blue In Green」も通常の抒情的な演奏とは一味違う、骨太な表現がユニーク。ベース、ドラムスも積極的にかかわり、この曲の演奏としては、実にオリジナリティに溢れる演奏だ。「不思議な国のアリス」も速めのミディアム・テンポで、最初にリズミックなベース・ソロ、続いてここでも強力なピアノ・ソロ、最後に4バースが入る。4バースでの切れの良いドラミングが爽快。熱狂的な盛り上がりの後の、テンポを落としてのエンディングもなかなかしゃれている。「ネイチャー・ボーイ」はベースとパーカッションのトレモロから始まる、暗くものものしい雰囲気。途中キーという音が聞こえるが、シンバルか何かを弓で弾いているのだろうか。ベース・ソロのバックでピアノとドラムスが蠢いているさまは、結構異様だ。それでも、他の曲にくらべるとおとなしく、少し物足りない。リーダーのベースは引き締まったサウンドで、ソロもメロディアスだ。ライブとはいえ、エネルギー感のある、前面に張り出してくるサウンドは迫力十分で、彼らの演奏を堪能できる。ということで、これはユニークで文句なしに素晴らしいピアノ・トリオのアルバムだった。ピアノのモローニが気に入ったので、彼の50枚ほどあるアルバムを少し深堀してみたい。Mads Vinding Trio:Quiet Yesterday(Storyville Records 1014356)24bit 48kHz Flac1 All Of You2 Quiet Yesterday3 Softly, As In A Morning Sunrise4 Blue In Green5 Alice in Wonderland6 Nature BoyMads Vinding (b)Dado Moroni (p)Niclas Campagnol (ds)Recorded 20th September,Jazzhus Montmartre,Copenhagen, Denmark
2024年03月08日
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この前触れた「ONTOMO MOOKレコード・アカデミー賞」の管弦楽部門でリストアップされていたハーディングの「惑星」をspotifyで聞いて、その凄まじさにびっくり。レーベルはBRクラシックなのでprostudiomastersが安いことを思い出してチェックしたところ、リストに載っていた。うまい具合に25%オフのセール中だったので早速ダウンロードした。上記のムックでは土星の異常な遅さについて触れられていたが、土星は勿論、そのほかの曲も相対的に遅めで、何よりもその重量感が凄い。少なくとも筆者の聴いてきた惑星の中では断トツの重量感でスケールもこれが「惑星」かと思えるほどだった。ハーディングというと重量級というイメージとはまるで違った軽く明晰な音楽をやるというイメージだったが、見事に裏切られた。「惑星」のイメージからして重量級という感じではなかったのだが、テンポを極端に遅くすることによりこの曲の別な側面が露になったような気がする。昔、誰の演奏だったか忘れたが、たしかホルスト自身が指揮した演奏で、簡単だったと思われていたこの曲が、テンポを速くすることによって、難しい曲になってしまったということが言われていたことを思い出した。テンポを極端に遅くするといえば、チェリビダッケがその代表格だったのだが、彼がこの曲を演奏した録音はないようだ。全く惜しいことをしたと思う。筆者と同じことを考えていた方がいらっしゃるようで、全く同感だ。チェリビダッケの「惑星」(妄想)それにしても、曲によってはテンポを極端に変えることによって、印象がまるで違うものになるのは、音楽を聴く醍醐味でもあるだろう。オーケストラは申し分のないものだが、バイエルン放響のような馬力のあるオーケストラでなければ、これほどの演奏にはならなかっただろう。匹敵するとすればベルリン・フィルやシカゴくらいなものだろうか。アメリカのオーケストラと言えばスタインバーグがボストンを指揮した「水星」の豪快な演奏もいまだに忘れがたい。因みに、バイエルン放響がこの曲を演奏するのは、ほぼ30年ぶりだったとのこと。今回の演奏、いつもなら木星以降の曲はあまり面白いと思ったことがないが、最後まで飽きさせない演奏だった。評判になった「土星」の極端に遅く、後半の爆発するような巨大な演奏は、かつて聞いたことがないような戦慄を覚える。勿論、他の曲も力感に溢れ、スケールの巨大な演奏が多い。「水星」のように速い曲でも、機動性に優れている。録音はライブながら素晴らしいもので、透明感、迫力とも申し分のないものだった。特にバス・ドラムのずっしりとした重量感のあるサウンドは、曲の凄味を一層引き立てていた。海王星の女性コーラスもステージの後方に位置することが分かる、奥行きの感じられるサウンドで、くっきりと聞こえてくる。最後の弱音もノイズに埋もれることがない。というか、ホール・ノイズがほとんど聞こえないというのもライブでは珍しい。ということで、この曲の面目を一新させた画期的な演奏と言って差し支えない名盤だろう。出来るだけ大音量で聞かれることを、お勧めする。Holst: The Planets(BR-Klassik 900208)24bit 48kHz FlacGustav Holst:1.Mars, the Bringer of War2.Venus, the Bringer of Peace3.Mercury, the Winged Messenger4.Jupiter, the Bringer of Jollity5.Saturn, the Bringer of Old Age6.Uranus, the MagicianSymphonieorchester des Bayerischen RundfunksChor des Bayerischen Rundfunks Daniel HardingRecorded 24th-25th,2022,Herkulessaal,Münchner Residenz
2024年03月06日
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カナダのベーシスト、ニール・スワインソン(1955-)の「Fire In The West」というアルバムを聞く。例によってbandcampからのダウンロード。残念ながらロスレスでアップ・コンバートしての試聴だが、クリアーな録音でバランスも悪くない。曲は全てスワイソンのオリジナル。2管編成の典型的なハード・バップで、いずれもキャッチーなメロディーを持ち、爽やかな風が吹いているような作風で、作曲能力はかなり高いと思われる。なので、驚きこそないものの、慣れ親しんだ音楽を安心して聞くことが出来る。メンバーはドラムスのルイス・ナッシュ(1958-)以外はカナダ出身のミュージシャンで固められている。メンバーの平均年齢が60代に近いので落ち着いた音楽だが、風通しがよく、マンネリ感はない。曲の構成はテーマ→ソロ→テーマというオーソドックスなもので、特に目新しい展開はない。タイトル曲「Fire in the West」は、スワイソンが2021年夏にバンクーバーに向かう途中、高度2000フィートでオカナガン渓谷の広範な火災による煙や炎を目にしたことから着想を得たという。日野皓正のオリジナルと言ってもおかしくないようなメロディーと勢いのあるリズムが心地よい。「Fool's Gold」は晩秋を思わせるような黄昏れた雰囲気のバラード。スワイソンの短いソロとケリー・ジェファーソン(1950-)のシャープなテナーソロ、対照的に丸みを帯びた柔らかなサウンドのブラッド・ターナー(1967-)のトランペット・ソロが続く。アップテンポの「Cascades」。荒々しいテナー・ソロが曲にフィットしている。「悪党の仲間に落ちた」?という物騒なタイトルの「Fell Among Thieves」はテナーをフィーチャーしたバラード。バラードにしては結構激しい演奏で、おまけに太く、ダークなサウンドがバラードにはしては少しきつすぎる。ただ、ハードボイルド映画の中の甘いバラードみたいな曲と思えば納得できる。「Kyushu」は「九州」のことだろうか。ミディアム・テンポのキャッチーなメロディーが心地よい。「Late Afternoon」もミディアム・テンポで愁いを帯びた優しいメロディーが流れる。スワイソンの硬質なサウンドの、メロディックなソロが聴かれる。「Near North」はシャッフル・リズムを用いたナンバー。フィーチャーされたトランペットの健闘が目立つ。中間部のベース・ソロも落ち着いたもの。「Gone Away」はスロー・バラード。シンプルな中にも一抹の寂しさを感じさせる佳曲だ。リリカルなピアノ・ソロが美しい。最後はアップ・テンポでハードな「Silver Mine」。ここでは、テナーの豪快なプレイが本領を発揮している。最後に4バースが展開し、歯切れのいいドラム・ソロが聴かれる。全体にリニー・ロスネス(1961-)のピアノのバッキングが光る。分厚いハーモニーが前面に出てくる録音もいい。Neil Swaison:Fire In The West(Cellar Live CM111821)16bit 44.1kHz FlacNeil Swaison:1.Fire in the West2.Fool's Gold3.Cascades4.Standing Back5.Fell Among Thieves6.Kyushu7.Late Afternoon8.Near North9.Gone Away10.Silver MineNeil Swainson(b)Renee Rosnes(p)Lewis Nash(ds)Brad Turner(tp)Kelly Jefferson(ts)Recorded at Pineapple Sound in Langley, BC on November 18th and 19th
2024年03月04日
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この前、本屋に行ったら『レコード芸術2023年総集編』なるムック本が目に留まった。休刊になるまでと、それ以降の補遺みたいな作りの本だった。中身は「ONTOMO MOOK レコード・アカデミー賞」と称して『レコード芸術』2023年1~7月号の月評特選盤から、録音部門に関しては優秀録音の中から、各月評担当執筆者が1~3位のディスクをコメント付きで選定しているというものがメイン。そのほか、2023年後半のお勧めディスクとして二人の評論家の鼎談によるお勧めディスクの紹介などもあり、とても参考になるこの本を見るまでは、mostly classicやstereoの新譜紹介を見ていたが、添え物程度の扱いで、物足りなかった。このムックを見たら、レコード芸術を見ているような感じで、慣れ親しんだ自分の家に帰ったような、居心地の良さを感じた。早速その中で上がっているものからギターのガルシアによるバリオス集とアラールのバッハのオルゲルピュヒラインをダウンロードして、聞き始めたところだ。また、本文を読んでいたらクラウドファンドでWEB版のレコード芸術を始めるようなことが書かれている。レコード芸術 ON LINEまあ、当初の予想通りだったが、本当に実現できたら、微力ながら協力するつもりだ。レコード会社にとっても朗報だろう。レコード芸術亡き後?はコンサートが開かれる時に広告を打つとか、タイアップするしかなく、営業的にもジリ貧だったと思う。いずれにしても、クラシック・ファンにとっても朗報であり、ぜひ実現してもらいたいものだ。
2024年03月02日
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だいぶ遅くなったが、ジョーイ・エレキサンダー(2003-)の最新作「Continuance」について。bandampからの入手なので、ロスレスをアップコンバートしての試聴。彼の7枚目のアルバムだが、昨年の3月の録音で、当時まだ若干19歳だったとは驚いた。デビューが2014年なので、もう中堅どころに差し掛かってもいいような気がしていたのだ。彼は早熟の天才で、デビュー当時から大人びた音楽をやっていたが、本アルバムを聴くと、ベテラン・ミュージシャンを聴いているような落ち着きぶりが感じられる。ディストリビューターのコメントによると、過去 4 年間に何百回ものギグを共にしてきたクリス・ファン(ベース)とジョン・デイヴィス(ドラムス)のレギュラー・トリオでの初レコーディングとのこと。ベースが超強力でバウンス感が半端ない。「Warna」(Verve)では2曲フルートが入っていたので、ホーンが入ったアルバムとしては二枚目になる。シオ・クローカーの渋いトランペットが、トリオにフィットして、なかなかいい味を出している。1曲目の「Blue」はボルチモアの朝を描いたオリジナル。ヒップ・ホップ色の強いドラミングが、なかなか斬新だ。ピアノ・ソロが結構いろいろなことをやっているのだが、不思議とうるさくなく、爽やかなサウンド。「Why Don't We(Move To Baltimore)」はボルチモアつながりの曲。優しいメロディーが流れる。短いリフを繰り返しながら盛り上がるエンディングは、なかなかの聴きもの。ピアノとフェンダーローズを使った「Hear Me Now」はリズミックで速めのテンポの曲。左手のリズムが、聴き手をせかすように聞こえ、居心地が悪い。フェンダーローズは効果音として使われているようだが、あまり効果的とは思えない。個人的には、ないほうが落ち着く。ベース・ソロから始まる「Zealousy」はChatGPTに聞くと「Zeal」(熱意、熱心さ)と「Jealousy」(嫉妬)を組み合わせた造語のようで、無理に訳すと「熱意を持った嫉妬」といった意味になるようだ。ダークなムードを醸し出す印象的なリズム・フィギュアに乗って、トランペットとフェンダーローズのソロが展開される。フェンダーローズがいい感じだ。ボニー・レイットの1991年のヒット曲「 I Can’t Make You Love Me」(邦題「夕映えの恋人たち」)は原曲の持ち味を生かしたストレートなアレンジで、悪くない。6曲目の讃美歌「父の神の真実(主の真実はくしきかな)」が、清らかというよりゴスペル風の黒っぽい演奏で実に感動的だ。ドラムスがバシバシと叩いているのだが、聴き手の心にじわじわと染みこんでくるのだ。最後の「Aliceanna」(アリスアンナ)は彼が毎朝散歩するボルチモアの通りの名前だそうだ。フルートのようなサウンドが聞こえる。メロトロンのフルートのサウンドで、散歩するときの空気感を表現したという。このメロトロンはテープに録音した音をキーボードを通して出すものらしい。このフルートの音がスカスカで歪みっぽく、筆者としてはあまり好ましい音ではなかった。ただ、実際その場で人間が吹いているようなリアル感があることも確か。このトラックでは、ピアノのアクションの音が結構聞こえるのが気になる。いつも感じるのだが、このレーベルはロス・レスでも音がよく、ハイレゾに遜色のない音が楽しめる。とうことで、結構地味な出来だが、音楽の構造が堅牢で中身が濃く、なかなか楽しめるアルバムだった。Joey Alexander:Continuance(Mack Avenue MAC1208)16bit 44.1kHz FlacJoey Alexander:1. Blue2. Why Don't We3. Hear Me Now4. Mike Reid and Allen Shamblin:I Can't Make You Love Me5. Zealousy6. Thomas Chisholm:Great Is Thy Faithfulness7. AliceannaJoey Alexander (p)Kris Funn (b)John Davis (ds)Theo Croker (tp track 1-3,5)Recorded The Bunker, Brooklyn, New York 30-31 March 2023
2024年03月01日
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