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源氏物語〔34帖 若菜 152〕「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「源氏物語〔34帖 若菜〕 の研鑽」を公開してます。冷泉院の帝は、思っていたとおり、自由な気分で外出や行幸もできるようになり、どこへ行っても楽しく過ごしていた。今の境遇ほど満ち足りたものはないように見えた。帝は六条院の妹である姫宮に強い関心を抱いており、世間の人々も彼女に対して大きな敬意を寄せていた。しかし六条院の愛情は依然として紫の上に向けられており、姫宮は紫の上以上の地位に立つことはなかった。年月が経つにつれ、姫宮と六条院の間には友情のような静かな情が生まれ、六条院の邸内には理想的で穏やかな雰囲気が広がっていた。だが紫の上は次第に心の中で世を離れる思いを強めていた。もう私は、このように人の出入りが絶えない生活から離れて、静かに信仰の生活を送りたいと思っています。人の世というものも十分に経験してしまいましたし、もう尼にならせてくださいと、折にふれて真剣に源氏へ語ったが、源氏は、私が恨めしく感じてしまうではないか。それは本当は私自身がしたいことなのだと。
2026.02.28
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源氏物語〔34帖 若菜 151〕「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「源氏物語〔34帖 若菜〕 の研鑽」を公開してます。右大将は大納言を兼ね、そのままの昇進順序で左大将に移った。地位も高く、世間から見れば非常に幸福そうに見えた。一方で、六条院(光源氏)は、譲位して帝位を冷泉院に譲ったものの、その冷泉院に後継ぎがないことを心の中で残念に思っていた。冷泉院の次の東宮も、実は六条院の血を引く子だった。冷泉院の治世中は、藤壺との密通が完全に隠し通され、そのために心配もなく穏やかに過ごせていたが、そのかわりに、この血筋は末長く続かないという運命を背負っていた。六条院は胸の奥で寂しく感じながらも、ただ静かに思うだけだった。一方、東宮の母である女御には次々と皇子が生まれ、帝の寵愛はますます深まっていった。さらに王氏の家の女性が后に立てられることになり、三代続けて同じ家から后を出すということで、世間では少し批判めいた声も出ていた。冷泉院の中宮はそうした世論を耳にしたとき、かつて自分が后となれたのは、六条院の強い後ろ盾があったからこそだと過去を思い返し、あらためて院への深い感謝を覚えた。
2026.02.27
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源氏物語〔34帖 若菜 150〕「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「源氏物語〔34帖 若菜〕 の研鑽」を公開してます。世間の人々は、まだ盛りの治世を帝自ら手放されることを惜しみ、大いに嘆いたが、東宮もすでに成人していたため、交代によって特に混乱はなく、揺るぎない新しい御代が始まった。太政大臣はこのとき関白の職を辞して自邸に退いたが、人生は頼みがたいもの。賢明な帝でさえ位を捨てるのだからと。老いた自分が職を離れても惜しむ気持ちはないという心境からであった。左大将は右大臣に昇り、関白の職務も代わって担った。帝の母である女御は新帝の代を待たずに亡くなっていたため、形式的に后の位に立てられても、それはもう陰の出来事のように寂しく見えた。そして六条の女御の子が第一皇子として東宮に立てられた。以前からそうなるのは当然と見られていたことではあったが、いざ実際にその姿が明らかになると、あらためて六条院の家の栄華と幸福さに人々は驚き感嘆しが、兵部卿の宮の私生活の不満と孤独が強調される一方で、帝の譲位によって新しい時代が始まった。
2026.02.26
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源氏物語〔34帖 若菜 149〕「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「源氏物語〔34帖 若菜〕 の研鑽」を公開してます。兵部卿の宮は、最初から多情な性格で、真木柱の姫君との結婚も熱意あるものではなかったため、人々から「親王というものは本来、一人の妻を大切にして、派手な生活の代わりに心を寄せるのが本筋なのに」と陰口を叩かれてしまい、その言葉が耳に入った宮は、自分でも不愉快になった。かつて最愛の妻がいた時代には、他に浮気のような遊びをしていても、ここまでひどく非難されることはなかったのに、と振り返り、ますます亡き夫人を慕わしく思い、気持ちはしだいに沈みがちになって、自邸で孤独に物思いする日が増えていき、年が過ぎる頃に、結局は互いに淡々とした夫婦として過ごすようになった。やがて年月が流れ、帝の即位から十八年が経つ。帝は常々「自分には将来の天子になる子がいないことが寂しい。せめて位を退いて気楽な身分になり、愛する人々と親しく過ごして私人として楽しみたい」と語っていた。その思いが現実となったのは、重い病を患った時で、急に譲位が行われた。
2026.02.25
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源氏物語〔34帖 若菜 148〕「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「源氏物語〔34帖 若菜〕 の研鑽」を公開してます。宮が今は継娘の婿になったのだから、自分のことをどのように聞いているだろうかと考えると、不思議と誇らしいような気持ちにもなり、玉鬘夫人は新しい姫君の婚礼にも積極的に関わり、衣裳などの支度を手伝った。前夫人がそれをどう思っているか気にせず、長男や次男を介して親切に接した。前夫人のほうもそうした玉鬘夫人の態度にある程度友情のような気持ちを抱くことさえあったが、しかし、この式部卿の宮家には一人、性格のひねくれた大夫人がいて、常に誰に対しても悪意を持ち、罵り言葉をやめない人物がいた。その存在が、家の中に不和や不快な影を落としていた。このくだりでは、左大将の懸念が的中したこと、玉鬘夫人の複雑な心理、継娘をめぐる女性たちの関係、そして宮家の内部の不穏な人間模様が浮き彫りにされている。兵部卿の宮の結婚生活の冷え込みと、その後の帝位の譲渡に至る大きな時代の移り変わりを描いている。
2026.02.24
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源氏物語〔34帖 若菜 147〕「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「源氏物語〔34帖 若菜〕 の研鑽」を公開してます。高貴な家の格式や祖父の意志で決まった婚姻の内実が、女性にとっては望ましいものではなかった、平安貴族社会の典型的な婚姻の不条理がここに浮き彫りになり、兵部卿の宮はもともと多情で気まぐれな人物だから、最初から婿としては賛成できなかったが、結局その予想が的中してしまった。玉鬘夫人もこのことを耳にして、兵部卿の宮が新しい妻に冷淡であるのを、継娘である姫君の不幸として受けとめた。もしも自分が昔この宮と結婚していたなら、同じような目に遭い、六条院の人々にも実父の家族にも不名誉になったと考え、左大将の妻としての自分の運命を嘆く気はもうなくなった。そして逆に、継娘に心から同情を寄せるようになった。自分が処女であったころ、兵部卿の宮を夫にしようと思ったことは一度もなかったが、ただあれほど情熱を注いできてくれた相手が、自分は結局左大将と平凡な夫婦になったのを軽蔑しているのではないか、と長く恥じてきた。
2026.02.23
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源氏物語〔34帖 若菜 146〕「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「源氏物語〔34帖 若菜〕 の研鑽」を公開してます。式部卿の宮は最愛の孫娘のために、新しい婿である兵部卿の宮を大切に扱い、これまで自分も多くの娘や孫の宮仕えや結婚で苦労してきたにもかかわらず、またもや力を注いで世話を焼く。新夫婦の住まいの飾りつけに自ら手を入れるほどで、孫娘が不幸にならぬようにとの思いが強く表れている。姫君の母は病がちで、父である左大将は娘に冷淡で、従順でないと見て軽んじているため、祖父としてはなおさら気の毒でならぬと感じていた。しかし当の兵部卿の宮は、亡くなった先妻に執着し続け、その人に似た女性を求めていたため、真木柱の姫君を見ても悪くはないが似ていないと感じ、熱心さを失ってしまう。通うことも億劫にしている様子に、祖父の式部卿の宮は深く失望し、母である前夫人も、病がちな心の晴れた折には娘の望まぬ結婚を嘆き、ますます世の中を嫌なものと決めつけるようになる。こうして、形式としては整った結婚でありながら、実際には愛情に欠け、姫君も母も心安らぐことのない縁となってしまう。
2026.02.22
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源氏物語〔34帖 若菜 145〕「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「源氏物語〔34帖 若菜〕 の研鑽」を公開してます。祖父・式部卿の宮は、格を重んじる理想主義者で、兵部卿の宮は、 愛に冷めた孤独な皇族。姫君は、 受け身で、運命に流される女性で、母は娘の行く末を憂う陰の存在だったが、この静かな縁談劇の中に、平安貴族社会の婚姻制度の虚しさと、個人の感情のすれ違いが巧みに描かれている。姫君の祖父である式部卿の宮は、かねてから娘や孫を普通の官職の者に嫁がせるのは卑しいことだと考えており、むしろ宮仕えを経て皇族との結婚に結びつけるのが本筋だと信じていた。そこで兵部卿の宮からの縁談を、長い逡巡もなく承諾してしまう。兵部卿の宮からすれば、あまりにも無造作に決まってしまったことが拍子抜けで物足りなく思えるが、相手は軽んじられぬ高貴な家柄であり、ぞんざいに断って立ち消えにすることもできず、結局は通うことになる。
2026.02.21
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源氏物語〔34帖 若菜 144〕「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「源氏物語〔34帖 若菜〕 の研鑽」を公開してます。母(左大将の前夫人)の悲観は、夫と別居して心弱っている母は、あの人(兵部卿の宮)は冷たい。娘が不幸になるのではと案じ、喜べない。病的な孤独と、娘への愛情が混ざり、物語全体に陰りを与える。恋愛より家柄重視の婚姻で、婚姻が「家の体面」と「官職の釣り合い」で決まる様子が典型的。姫君自身の感情はほとんど描かれず、祖父の判断と世間の評価で決まっていく。兵部卿の宮の人間的な弱さは、理想主義者で、過去の愛(亡き妻)を引きずり、新しい愛情に踏み出せない内面の葛藤が、平安貴族の感傷性を表す。式部卿の宮の愛情と滑稽さは、孫娘を思う気持ちは深いが、現実を見ず、縁談を性急に進めたことで、結果的に不幸を招く。家の威信を守るための行動が、かえって人間味のない冷たい結果を生む。「若菜上」におけるこの縁談は、家のために決まる結婚と人の心の温度差を描く場面である。
2026.02.20
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源氏物語〔34帖 若菜 143〕「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「源氏物語〔34帖 若菜〕 の研鑽」を公開してます。縁談の経緯と心理的なやりとり 兵部卿の宮の求婚で、兵部卿の宮は長らく独身で、周囲から「気難しい」「理想が高すぎる」と思われていた。世間体もあって、今度こそ結婚しようと考え、若く品のよい真木柱の姫君に目を向ける。式部卿の宮の判断は、兵部卿の宮からの申し入れを「格の高い縁」として喜び承諾する。孫娘は宮仕えをして皇族と結ばれるのが一番よいと考え、本人の意向はほとんど問わない。当時の貴族社会では、女性本人よりも家同士の格と体面が重視された。兵部卿の宮の内心は、縁談があまりにあっさり決まったことで、もっと苦労して得る相手であってほしかったと感じ、拍子抜けする。さらに、真木柱の姫君が亡き妻に似ていないため、恋心が盛り上がらず、通うのも気が進まなくなる。結婚しても情熱的な関係にはならず、形式的な通い婚にとどまる。式部卿の宮の尽力は、孫のために婿の部屋を飾り、贈り物を整え、心を砕くが、その努力も、婿である兵部卿の宮の冷淡さを前に報われなかった。
2026.02.19
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源氏物語〔34帖 若菜 142〕「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「源氏物語〔34帖 若菜〕 の研鑽」を公開してます。若い娘のために明るい家庭を作ろうとすることもなく、姫君は寂しさを抱え、継母の玉鬘の暮らしぶりを人づてに聞いて憧れを持ち、姫君は明るい性質の娘だった。左大将(頭中将)源氏の異母弟。真木柱の姫君の父。六条御息所の姪を母に持つ。政務や出世には熱心だが、家庭的な幸福には恵まれなく、妻とは別居気味。真木柱の姫君は左大将の長女で、式部卿の宮の孫娘。 気立てがよく、静かな性格。祖父に育てられ、やや世間知らずな箱入り娘。式部卿の宮 真木柱の姫君の母方の祖父。 学識豊かで、格式を重んじる人物。孫娘を可愛がるあまり、縁談を自ら進める。兵部卿の宮 独身の男性皇族。源氏の一族とも関わりあり。 若い頃は華やかだったが、歳を重ね、亡き妻への未練を残している。真木柱の姫君に関心を持つ。左大将の前夫人、真木柱の姫君の母。式部卿の宮の娘。病弱で、夫(左大将)と疎遠。娘の結婚を喜べず、悲観的だった。
2026.02.18
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源氏物語〔34帖 若菜 141〕「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「源氏物語〔34帖 若菜〕 の研鑽」を公開してます。前の妻とは完全に別れて、玉鬘だけが正妻となった。この夫人から生まれたのは男の子ばかりで、左大将はそれを物足りなく思い、真木柱の姫君を引き取って手元に置きたがった。しかし祖父である式部卿宮が承知しなかった。宮は「せめてこの姫君には、世間からとやかく言われない結婚をさせたい」と言い張った。帝もこの伯父宮を深く大事に思い、宮の願いを退けることはできなかった。宮はもともと華やかな暮らしぶりで、六条院や太政大臣家に並ぶほどの権勢があり、世間からも信望を集めていた。左大将も将来有望な人物と見られていて、その長女である姫君は、式部卿宮の孫なので、人々から重く扱われていた。求婚者は次々と現れてすでに多く集まっていたが、宮はまだ婿を選ぼうとはしていなかった。衛門督に心があるならと思って宮は内心で期待していたが、柏木は猫のことで心を奪われていて、姫君のことにはまったく無関心で、左大将の前の妻は今も病的で陰気な生活を続けていてた。
2026.02.17
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源氏物語〔34帖 若菜 140〕「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「源氏物語〔34帖 若菜〕 の研鑽」を公開してます。柏木は猫を抱きながら「恋い焦がれて苦しむ人の形見と思って手になじませているのに、おまえはどうしてこんな声で鳴くのだろう。これも前世からの約束なのだろうか」と言った。顔を見ながらそうつぶやくと、猫はいっそう愛らしく鳴き、柏木は猫を懐に入れて物思いをした。女房たちは「不思議なことですね。急に猫をかわいがられるなんて。あんなものには関心がなかった方なのに」とささやき合って不審に思った。東宮から猫を返すように言葉があったが、柏木は返さず、自分の手元に置いて友のようにしていた。一方、左大将の妻となった玉鬘の尚侍は、実の兄弟以上に右大将に親しみを持っていた。彼女は才気があり華やかな性格で、源大将(夕霧)が訪れると睦まじく応対し、昔のように親しく話してくれたので、夕霧も淑景舎の方(雲居雁)が恥じらってなかなか打ち解けようとしないのに比べ、この人には特別な兄弟のような満足感を覚え、左大将は次第に玉鬘を重んじるようになる。
2026.02.16
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源氏物語〔34帖 若菜 139〕「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「源氏物語〔34帖 若菜〕 の研鑽」を公開してます。宮は、たしかに見目のよい猫だね。でも私にはなつかない。人見知りする猫だね。けれど、これまで私が飼っている猫もたいして劣ってはいないよと言った。衛門督は「猫は人を好き嫌いなどあまりしないものですが、賢い猫にはそんな知恵もあるのかもしれません」などと言っていた。さらに「これ以上に立派なのがおそばに何匹もいるのでしたら、この猫をしばらく私に預けてください」と頼んだ。心の中では、なんと愚かな行為をしているのだろうと思った。結局、衛門督は望みどおりに女三の宮の猫を手に入れ、夜もそばに寝かせるようになった。夜が明けると猫を愛撫するのに時を費やした。人なつきの悪い猫も衛門督にはよくなれて、時には着物の裾にまとわりつき、身体を寄せて眠りに来るようになり、衛門督はこの猫を心からかわいがるようになった。物思いに沈みながら顔を見つめている横で、猫がかわいい声で鳴くのをなでながら、「愛に甘える小さなものだな」とほほえんだ。
2026.02.16
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源氏物語〔34帖 若菜 138〕「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「源氏物語〔34帖 若菜〕 の研鑽」を公開してます。東宮は猫がとても好きなので、くわしく尋ねてきた。唐の猫で、こちらの産のものとは違っているが、同じに思えば同じようなもので、性質の優しい、人になつく猫というのはやはりよいものと衛門督は東宮が心を動かしそうに思えるようにばかり話をした。あとで東宮は淑景舎の人の手から望みを伝えたので、女三の宮から唐猫が献上された。噂通り美しい猫だといって、東宮の殿の人々はかわいがっていた。衛門督は、東宮は確かに興味を持って取り寄せるつもりだろうと見ていたので、猫のことを知りたいと思い、何日か後にまた参上した。衛門督はまだ子どもの頃から朱雀院に特別に愛され、そば近くに仕えていたし、朱雀院が山の寺に入ってからは、東宮のもとにもよく伺っていた。衛門督は琴を教えながら、「猫がまたたくさん来ていますね。どれでしょう、私の知っているのは」と言ってその猫を見つけた。あまりに愛らしく思えて手でなでていた。
2026.02.15
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源氏物語〔34帖 若菜 137〕「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「源氏物語〔34帖 若菜〕 の研鑽」を公開してます。小侍従を通じて宮に届けられた手紙には、自身の病気や物思い、そして蹴鞠の際の御簾の端の出来事を思い出して赤らめる宮の様子が重ねられる。宮は院から「将に見られないようにと言われたことを思い出しつつも、手紙の内容に心を動かされる。このやりとりによって、衛門督の恋心の切なさ、宮の幼いながらも繊細な心遣い、そして院の配慮ある指導が、細部まで描かれ、全体として、庭の猫の小さな騒ぎや御簾の乱れといった些細な出来事を通して、登場人物たちの心の揺れや宮廷内の微妙な力関係、恋愛感情の緊張と羞恥が鮮やかに描かれ、読者に情景と心理の両方を同時に伝える構造になっている。帝の飼っている猫のうちの幾匹かはあちこちに分け与えられていて、その一つが東宮の猫にもなっていた。その猫がかわいらしく歩いているのを見ても、衛門督には六条院の女三の宮の猫が思い出された。六条院の姫宮の御殿にいるのはよい猫で、珍しい顔で感じもよく、私は少し拝見することができたと話した。
2026.02.14
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源氏物語〔34帖 若菜 136〕「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「源氏物語〔34帖 若菜〕 の研鑽」を公開してます。大将も簾が上がったことで中が見えたことを不快に思いながらも、直しに行くことは軽率に感じ、咳払いで注意を促すと、女性は静かに奥へ入った。その後、御簾が下りたのを確認して大将は密かに息をつき、衛門督は胸に何かが吹き払われたような感覚を抱きつつ、見た人の身元を確かめたくなる気持ちを強くする。院は遊戯を楽しみつつ、衛門督に蹴鞠の技術を褒め、父祖の技芸の伝承に触れた冗談を交わす。衛門督は院の若々しく美しい様子を目にして、自分が宮のお心を向けさせることなど到底できないと感じ、六条院を去る際には寂しさを覚える。大将も同道し、車中でこの日の出来事を話し合っていた。衛門督は女三の宮のことばかり気にかける。院は対の夫人を第一の立場として扱い、宮を安心させつつも、その慎ましさや無邪気さから生じる欠点が世間で院の愛情が薄いと誤解される理由だと大将は理解する。衛門督は自らの恋心の不可能さを痛感し、深窓に隠された宮への思いを手紙に託す。
2026.02.13
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源氏物語〔34帖 若菜 135〕「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「源氏物語〔34帖 若菜〕 の研鑽」を公開してます。六条院の庭での些細な出来事をきっかけに、登場人物たちの心の動きや人間関係、恋愛感情の機微が繊細に描かれている場面だ。三月ごろの明るい夕方、庭で小さな支那産の猫が少し大きな猫に追われ、御簾の下から逃げ出そうとする。その際、女房たちが猫に驚いて横に寄ったり後ろに退こうとする衣ずれの音が外にも響き、几帳や御簾が乱れる。普段は落ち着いている女房たちもあわてるだけで、誰もすぐには直そうとせず、慌ただしい混乱が庭からも見て取れる。そんな中、階段の正面から少し西側の間に、袿姿で立つ小柄な女性があらわになる。紅梅襲の濃淡を重ねた重衣に、裾まで長く伸びた黒髪が糸をよるようになびき、美しく整えられた横顔が夕明かりに上品に映える。彼女の姿は、遊戯に夢中な若公達や女房たちの注意の及ばない中でひときわ華やかで、衛門督はその美しさを見逃さず、誰であるかを確かめたい衝動に駆られる。
2026.02.12
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源氏物語〔34帖 若菜 134〕「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「源氏物語〔34帖 若菜〕 の研鑽」を公開してます。桜の木陰で熱心に競技に励む若者たちを、院や兵部卿の宮は欄干にもたれて観覧していた。高官たちも普段のたしなみを忘れ、冠を少し押し上げたりするなど、いつもとは違う軽やかな様子を見せている。大将は直衣や指貫を柔らかく着こなし、落花の中で動く姿も軽々しい形ではなく美しく、桜の枝を手に取り休息する姿も風情があった。衛門督も桜が散りすぎないように気を配りつつ歩き、遊戯の間にも自然と姫宮のお座敷や若い女房たちの動きに目をやるが、そこには落ち着きのない女房たちの派手な褄袖口だけが目立ち、几帳も横に引かれて、遊戯や人々の気配が庭の外からもよく伝わるようになっていた。全体として、春の夕暮れの光と風、散りかかる桜の花、遊びに興じる若者たちの活気、そして美しい身のこなしや立ち居振る舞いまでを細かく描くことで、宮廷生活の華やかさと自由な雰囲気、登場人物たちの内面の動きが同時に伝わる場面になっている。
2026.02.11
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源氏物語〔34帖 若菜 133〕「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「源氏物語〔34帖 若菜〕 の研鑽」を公開してます。院や公達たちの自然な楽しみや若者たちの活気、宮廷内の秩序と遊びの場面が細かく描かれている。遊びを通して、院や大将、若い公達たちの交流や宮廷での生活の様子が立体的に見えてくる。六条院の庭での春の夕方の遊戯の情景を、登場人物たちの心理や立ち居振る舞いまで織り込みながら描写している。院は庭で行われている蹴鞠の様子を楽しんでおり、文官としての誇りや高官の身分にとらわれず、若い衛府の人々も自由に振る舞えることを面白がっている。院自身、若い頃にはこうした仲間に入れなかったことを少し残念に思いながらも、今は観覧者として遊戯を楽しむ立場にある。庭は桜の木が多く、若葉の梢はまだ少ないが、花の下で若い公達たちは鞠の上げ方や蹴り方を競い合い、互いに劣らぬように熱中していた。本気でなく遊んでいる衛門督の蹴り方も、大将の巧みさには及ばず、彼の顔立ちや風采の美しさが自然に遊びに現れていた。
2026.02.10
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源氏物語〔34帖 若菜 132〕「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「源氏物語〔34帖 若菜〕 の研鑽」を公開してます。空は明るくうららかで、六条院は退屈を感じていた。院は気を紛らすために何をして過ごそうかと思っていたところ、今朝大将が庭で小弓や蹴鞠をしていたことを思い出し、近侍に尋ねた。庭では若い公達たちが蹴鞠に興じており、院はそれを楽しそうに眺め、乱暴な遊びのようだが、見た目に爽快でおもしろいと感じた。大将をこちらへ呼ぶよう命じた。すると、庭で遊んでいた者たちも集まり、蹴鞠や小弓を含めた遊びが始まった。その間、寝殿の東側には桐壺の方が若宮を伴って東宮へ行った後で静かになっており、遊びに参加する者たちは庭に出て、風や場所の条件を確かめながら競技を楽しんだ。太政大臣家の成年者や少年上がりの公達も加わり、皆風采がよく、庭での遊びに花を添えた。日が暮れるまで、風もなく日差しの良い日であったため、遊戯は盛んに続き、頭弁もその熱気に押されて競技に加わるという宮廷での春の一日の遊興を生き生きと描写している。
2026.02.09
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源氏物語〔34帖 若菜 131〕「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「源氏物語〔34帖 若菜〕 の研鑽」を公開してます。姫宮は自分の感情を理性的に制御し、華やかな待遇や世間の噂に左右されない内面の強さを持っていた。一方、右衛門督は姫宮に好意を抱き、彼女が六条院へ入嫁したことに心を痛め、今でも恋心を捨てきれずにいた。右衛門督は宮の様子を女房を通じて聞き、かすかな慰めにしていた。世間の噂で「対の夫人には競争できない」と耳に入ると、もし自分の妻であればこんな物思いをさせなかったのにと、嫉妬混じりに心を動かされる。しかし、自分の力量では六条院のような立派な男性には及ばないと自覚し、無常の世を思いながらも、出家の志の深い院がもし遁世してしまえば、自分は女三の宮を得たいと願い続ける思いがあった。全体として、この場面は姫宮の理知的な感情と、右衛門督の未練と欲望、宮廷内の立場や権威、恋愛感情の葛藤を描いている。姫宮の控えめで理性的な態度と、右衛門督の執着が対比され、宮廷内の複雑な人間関係や心理的駆け引きがよくわかる場面である。
2026.02.08
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源氏物語〔34帖 若菜 130〕「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「源氏物語〔34帖 若菜〕 の研鑽」を公開してます。特に院は女性たちの教育や趣味の幅を見守りつつ干渉せず、夫人となった女にのみ教えを授ける。姫君の成長や知性、落ち着いた態度は外聞にも伝わり、源大将は彼女の静かで深みのある性格を評価し、過去の恋人との比較からも、彼女の優れた人格を心に留めていた。また、六条院の生活の華やかさと女性たちの多様さを目の当たりにしても、源大将は自分の妻を軽視することなく、他を軽蔑せず、自らの自尊心を保ちながら、姫君の優れた人物像を理性的に理解している。そのため、姫君の存在は宮廷内の人々に安心感と敬意をもたらす。父の出家や過去の人間関係の記憶による感傷も絡み、複雑な心理状況が丁寧に描かれている。姫宮は身分の面でも、若くて思い上がった源大将のような人には興味を持つこともあったが、六条院の院の表面的で飾りだけの待遇をよく理解していて、無理に心を傾けることはなく、ただ顔を見かけられる機会があればそれでよいと控えめに思っていた。
2026.02.07
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源氏物語〔34帖 若菜 129〕「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「源氏物語〔34帖 若菜〕 の研鑽」を公開してます。実母の権利を尊重することで、両者の間の関係を円滑に保つことができていた。院はその姿勢を認め、周囲に問題が起こることなく、安心して姫君を任せられることを述べて場を締める。明石は姫君に対して、自分は高貴な女王様に比べれば些細な存在だと自覚していた。姫君を守り世話できる立場にあることで自信を持っていた。しかし心の底では、深い山へ入って出家した父・入道のことだけが悲しみの対象であり、姫君は父からの最後の手紙の言葉を頼りに未来を思いながら物思いにふけっていた。次に源大将の視点では、女三の宮を得る可能性があった立場にありながら、六条院の豪華な生活に接しても無関心ではいられなかった。彼は宮殿にいる若々しい女性たちの派手な態度や幼稚な遊びを見て、それに流されない内気で落ち着いた人々に注意を向ける。
2026.02.06
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源氏物語〔34帖 若菜 128〕「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「源氏物語〔34帖 若菜〕 の研鑽」を公開してます。院はまず姫君に、自分が生まれた事情を理解できたことを踏まえつつ、母親や周囲の人々の好意を軽んじてはいけないと話す。血のつながりのない親子関係でも、他者が少しでも愛情や親切を示すことはありがたいことであり、その信頼を大切にしなければならないと説く。特に実母が姫君のそばに来たあとも、最初と変わらずに愛を注いでくれることの意義を強調し、継母や周囲の人々の善意を理解して信頼する心を持つよう教える。院はさらに、女性として優れ、信頼に足る人を見つけるのは容易ではなく、真に心の癖のない女性は実母以外にいないと断言する。この考えを姫君に聞かせることで、彼女が明石夫人との関係を正しく理解し、円満な付き合いをすることを促している。明石は院の意図を受け止め、姫君の世話に協力する姿勢を示す。明石自身も姫君や院の好意を理解して感謝し、自己の立場を謙遜して保つことで、姫君を母として愛する心や実母の権利を尊重した。
2026.02.05
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源氏物語〔34帖 若菜 127〕「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「源氏物語〔34帖 若菜〕 の研鑽」を公開してます。尼君の深い心情を案じる。夫婦であった尼君の心が痛むだろうことを考え、涙ぐむ院の姿も描かれる。明石夫人は入道の手紙を取り出し、変わった梵字のような読みにくい字で書かれているが、参考になる内容も含まれていると院に見せる。院はその字の美しさや人柄を称賛し、処世術には失敗した。しかし、信仰が子孫の繁栄につながったことを感じる。手紙の夢の話に特に注意を惹かれ、以前は入道の行動や望みを非常識に感じ、批判や不信を抱いていた自分も、姫君の誕生を通して前世からの因縁であったことを理解する。しかし、入道がどのような未来を望んでいたのかまでは知らない。が、君王の母がその家から出ることが最初から定められていたことは理解する。冤罪で漂泊した自分の運命も、この姫君が明石で生まれるためであったのだと院は心で拝みながら箱を手に取る。院が姫君と明石に対して、人間関係や信頼の在り方について長く説いている場面を描いている。
2026.02.04
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源氏物語〔34帖 若菜 126〕「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「源氏物語〔34帖 若菜〕 の研鑽」を公開してます。姫君や明石夫人の微妙な感情、院の温かくも少しいたずらめいた態度、そして父の手紙に込められた深い意味が一層際立つ場面となっている。入道の手紙や願文をめぐる院や明石夫人のやり取り、そしてその内容が姫君や院に与える感情が描かれている。入道が明石の岩窟で書き残した経巻や未だお酬いのできない願文の一部が姫君に見せられるが、今は時期ではないとして触れないようにしている。その話を聞き、娘と母に悲しい表情が浮かぶのも自然だと院は思う。院は入道の人柄を思い浮かべ、他の高僧と比べても俗世の色がないと思う。入道は心がこの世界以上のものと交渉しているように見える人物であったと評する。今では世俗的な縛りもなくなり、静かに山中で修行していると想像し、手軽に逢いたい気持ちも抱く。しかし、入道はすでに人里離れた山に入っており、院はその時の残された手紙や願文を思い浮かべていた。
2026.02.03
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源氏物語〔34帖 若菜 125〕「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「源氏物語〔34帖 若菜〕 の研鑽」を公開してます。院が女三の宮の座敷から突然現れる。明石夫人は急なことに、姫君の前に置かれた文書や手紙の箱を隠す余裕がなく、几帳を少し前に引いて自分の姿を隠す。院は若宮の様子を心配して声をかけるが、姫君は黙っている。明石は、姫君をお連れになったのですと説明する。院は少し冗談めかして若宮を自分のもののように抱えている姫君のことをたしなめるが、明石は内親王様でも女王に養育されるのがふさわしく、男宮様は尊貴なのであちこち連れて行く必要はないときっぱり抗弁する。院は笑いながら、ではもうあなたたちに任せきりにすると言う。几帳を横に引くと、明石は清らかな顔で中の柱に品よく寄りかかっている。先ほどの手紙の箱も、そのまま隠さずに置かれている。院はその箱を見て、恋する男が長い歌を詠んで封じて来たもののようだと冗談めかすが、明石は微笑みつつ、いやな想像ですと応じ、悲しそうな表情も見せる。
2026.02.02
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源氏物語〔34帖 若菜 124〕「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「源氏物語〔34帖 若菜〕 の研鑽」を公開してます。人の命は無常であり、臨終に間に合わない場合もあるので、健在なうちに知らせておくべきだと説明する。箱の中の願文は、姫君が後に神仏への奉仕として用いるよう指示され、他人には話さないように言われる。さらに明石は、姫君の養母である女王の愛情と人格を称賛し、あの方に任せれば安心だと語る。姫君は涙ぐみ、実母に対しても打ち解けることができず、普段はおとなしく多くを語らないため、聞き入るしかない。この場面では、姫君の幸福と成長を願う大人たちの深い思いや、父である入道の不在がもたらす寂しさ、そして姫君がまだ幼く感情を抑えながらも、愛情や助言を受け入れている様子が丁寧に描かれている。姫君はその内容に心が震え、涙で額の髪が濡れるほど身に染みて読む。手紙には父である入道の思いが込められており、姫君の若い心には無気味で、少し怖い気持ちも伴うが、それでも深く感動している様子が艶やかに描かれている。
2026.02.01
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