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2012.06.24
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カテゴリ: 戦争と平和
例によってネットウヨクの機関紙、産経新聞の社説より

原子力基本法 「安全保障」明記は当然だ

20日に成立した原子力規制委員会設置法の「付則」に記された、原子力基本法の一部改正が問題になっている。

原子力利用の基本原則に「安全保障」の観点を明示するのは当然だ。だが、韓国メディアは日本の核武装を警戒する記事を掲載して反応した。国内のメディアでも「軍事利用への懸念」や、「核兵器開発の意図を疑われかねない表現」を論拠に、付則の削除を求める声が上がりつつある。
原子力基本法第2条は、日本の原子力の研究開発の大原則である「民主・自主・公開」について定めた条文だ。そこに、軍事用語としても使われる「安全保障」という言葉が並ぶことに違和感を覚える向きがあるかもしれない。
だが、第2条の第1項を再度、確認してもらいたい。「原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限り、安全の確保を旨として」と、しっかり規定されているではないか。
この第1項を受けて続く第2項の「安全保障」が核兵器開発などに直結しないことは明々白々だ。エネルギー安全保障や核不拡散を強化する意味での用法と理解するのが順当な解釈である。
単語を文脈から切り離し、負の意味を重ねて問題視する姿勢こそ問題だ。それでも、この件を単なる誤解や曲解として事態を軽視する対応は禁物だ。政府は国内外に対し、速やかに誤解を解くための手を打たねばならない。
説明を怠れば、日本のエネルギー政策の基本が痛手を受けかねない。資源に乏しい日本は、使用済みの原子力燃料を再処理して取り出したプルトニウムとウランを混合し、新たな燃料として有効利用するリサイクル計画に国の将来を託しているからである。
日本は非核保有国として唯一、再処理が認められている。基本法の改定が核兵器製造に直結しないことを、世界に向けて改めて強調しておく必要がある。
同時に、抑止力などの観点も含めて原子力技術を堅持することは日本の安全保障にとって不可欠である。非核三原則の見直しなどの論議も封殺してはなるまい。こうしたことも心に刻んでおく必要があるのは言うまでもない。

---

どうでもいいけど、

「安全保障」が核兵器開発などに直結しないことは明々白々だ

と書いた同じ文章で

抑止力などの観点も含めて原子力技術を堅持するべき
非核三原則の見直しなどの論議も封殺してはなるまい


って、思い切り矛盾しています。要するに産経新聞は日本が核兵器を持つべきだ思っているんだろ、という話。
文中にあるとおり、日本は非核保有国で唯一核燃料の再処理を行っています。ため込まれたプルトニウムは莫大な量であり、日本は潜在的には「核武装する能力がある」国になっています。核兵器は、材料である高濃縮ウランやプルトニウムの入手が最大の難関であり、材料さえあれば設計や製造は、現在の技術水準ではさほど困難なものではありません。
そのような日本が、「原子力の憲法」である原子力基本法に「安全保障」なんて言葉を入れるのは、李下に冠を正す行為に他なりません。



と産経新聞は主張していますが、こんなのは詭弁です。およそ世界の核兵器保有国で、「戦争をするために核兵器を保有します」などと公言している国はないからです。いずれも核保有の目的は「平和を守るため」だと主張しているはずです。米軍は、その名もずばり「ピースキーパー」という名の大陸間弾道弾(なんという皮肉な名称か)を保有していました、すでに全弾退役しているけど。
日本の自衛隊だって、その存在目的は「平和と独立を守るため」と書いてあり、「戦争をするため」とは書いていません。

エネルギー安全保障や核不拡散を強化する意味での用法と理解するのが順当な解釈である



原子力の代わりは石油や天然ガスでできるけど、石油や天然ガスの代わりは原子力にはできないのです。原子力では自動車や飛行機や船は動かないし、合成樹脂(プラスチックとかビニールとかナイロンとか)や肥料の原料にもならないし、ガス暖房や灯油暖房の燃料にもならないですから。
同様に食料の生産や輸入が停止すれば、日本人はみんな餓死することになりますから、ある意味では石油以上に重要です。

しかし、たとえば石油の備蓄の確保等に関する法律の条文には「安全保障」なんて言葉は入っていませんし、食料・農業・農村基本法の条文も同様です。第2条に「食料は、人間の生命の維持に欠くことができないものであり、かつ、健康で充実した生活の基礎として重要なものである」「国民生活の安定及び国民経済の円滑な運営に著しい支障を生じないよう」という文面はありますけどね。
それなのに、何故原子力基本法にだけ「安全保障」なんて言葉を入れるのか、核保有を念頭に置いていると疑われても仕方がないでしょう。

それから、

資源に乏しい日本は、使用済みの原子力燃料を再処理して取り出したプルトニウムとウランを混合し、新たな燃料として有効利用するリサイクル計画に国の将来を託しているからである。


ともありますが、そんなもの(プルサーマル)に日本の将来を託すべきではないし、託せるような代物でもありません。
核燃料サイクルが欺瞞であることは 以前の記事に書いた ことがあります。経済的に見れば、使用済み核燃料の再処理なんて完全に破綻しているのです。本命である高速増殖炉に実用化の見通しがないから、使う当てのないプルトニウムがどんどん増えてしまい、仕方なく在庫減らしのためにプルサーマルをやっているだけです。





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最終更新日  2012.06.24 20:15:59
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