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2013.05.01
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富士山:世界遺産へ ユネスコ諮問機関、登録を勧告


富士山は当初は自然遺産としての世界遺産登録を目指したが、山麓(さんろく)開発がもたらしたごみなどの環境問題がネックとなり、03年の国内選考で落選。その後、文化遺産として再挑戦した経緯がある。イコモスは昨年12月、日本政府に対し、構成資産を広く一体的に管理することや、富士山域から離れた位置にある国指定名勝「三保松原」(静岡市)を資産から除外することなどを要請。日本政府は今年2月、16年をめどに管理計画を見直す意向を示す一方、三保松原については芸術や信仰の面で欠かせないことから除外を認めない回答をしていた。

ーーー

土曜日に富士山に登ってきたばかりですけれど、個人的には富士山より鎌倉の方が世界遺産にふさわしいように思います。富士山が当初は自然遺産としての登録を目指したけれど断念した、というのはもっともな話です。環境問題もそうですが、日本アルプスや、既に登録されている知床、白神山地のほうが、自然遺産としてはるかにふさわしい。
なぜかというと、富士山は5合目より上の高山植物がとても貧弱な山だからです。
富士山に登る人は、たいてい富士吉田口か富士宮口の5合目から登り始めます。しかし、富士山は、5合目から下(亜高山帯針葉樹林まで)は植生の豊かな山ですが、それより上、森林限界をを超えてからは、植生が非常に貧弱な山なのです。
私が昨年登った須走口登山道は、登り始めが標高2000mと低いため、富士山の登山道の中では唯一6合目あたりまで樹林帯が続きますが、その分山頂まで時間がかかるため、このルートを登る人はあまり多くありません。

では、何故富士山の森林限界より上の植生が貧弱なのかと言うと、富士山がごく近年まで活発に噴火活動を行ってきたからです。
日本の高山植物は、氷河時代に寒さとともにシベリアから南下してきて、氷河時代の終わりとともに高山に取り残されたものが、大部分を占めます。
最後の氷期(ウルム氷期)が終わったのが、1万数千年前とされています。その当時、富士山の高さは今よりだいぶ低かったといわれています。(標高3000mあるかないか程度。その当時の日本最高峰は、南アルプスの間ノ岳だったのではないかといわれる)
もちろん、3000mだって高山植物が分布するのに充分な高さなのですが、それ以降莫大な溶岩と火山灰が噴出したことで、ほとんどの高山植物は死滅してしまったと思われます。


ただし、積雪期はまた別です。積雪期の富士山は夏の富士山とは、事実上別の山と思ったほうがいい。先週登って、そう感じました。遠目に見たって、冬場の白い富士山と夏の茶色い富士山と、どちらのほうがきれいかと言えば、たいていの人は白い富士山のほうがきれいだというでしょう。近くから見れば、なおさらなのです。
だから、今後も雪の富士山には多分登るでしょうが、雪のない時期の富士山には、(親しい人に「一緒に登ろう」とでも誘われでもしないない限りは)もう登らないだろうなと思います。

それに対して、南北アルプスや北海道の大雪山などは、世界的に見ても有数の、濃密な高山植物の群落がみられます。「アルプス」の本家であるヨーロッパアルプスは、標高は日本アルプスよりずっと高く、日本にはない山岳氷河が多数あって、美しい景観の山(私は行ったことがないですが)ですが、こと高山植物に関する限りは、日本アルプスのほうがずっと豊富だといわれます。理由はいくつかあります。ひとつは、もともとヨーロッパより日本のほうが植生の多様性がはるかに大きいことです。( 以前の記事を参照
もうひとつは、歴史的にヨーロッパでは高山に家畜が放牧されることが多く、それによって高山の植生がかなり破壊されたのに対して、日本ではそういうことが行われなかったことです。
エーデルワイスなんて花は、ヨーロッパアルプスでは絶滅寸前の「幻の花」だそうですが、日本では北海道から日本アルプスまで、いくらでも生えています。(しかし、富士山にはない)

もちろん、富士山は現在日本一高い山ですけど、世界で見ればもっと高い山はいくらでもありますから、「日本遺産」ならともかく「世界遺産」としては、「日本一高い山だから」というのは無理がある。
それに、富士山がいつまで日本一高い山であり続けるかは分かりません。前述のとおり、前述のとおり、1万年前には日本一高い山は(おそらく)間ノ岳だった。将来は、1万年後どころか1000年後だって、富士山が日本一高いかどうかは分かりません。噴火で山頂部が吹っ飛ぶ可能性もありますし、逆に、もっと高くなっている可能性もあります。
一番ありそうなのは、山頂の高さが変わらずとも、山容が大きく変わることです。2000年前以降、富士山の噴火は山頂火口ではなく、中腹からになっています。宝永噴火も山腹(宝永火口)からです。それらの山腹の火口が大きな火山に発達して二つ峰の山になるかもしれません。

で、結局自然遺産をあきらめて、文化遺産に転じたそうです。
でも、文化遺産としては、富士山より鎌倉のほうが価値があるんじゃない?って思ってしまうんですよね。確かに富士山は信仰の山ではある。でも、私が登った範囲では、富士山より木曽御嶽山のほうが、はるかに霊山という雰囲気を感じます(あれはあれで、山頂の神社があまりに立派過ぎて、多少の違和感はありますが)。

それに、ただでさえ登山者が猛烈に多いのに、さらに増えるとなると、さすがに環境への負荷が深刻化せざるを得ないでしょう。最近、富士山で入山料を取る話がよく取り上げられていますが、これ以上登山者が増えるなら、それも止むを得ないだろうなと思います。

ともかく世界遺産に選ばれることはほぼ確実のようです。今後も富士山の自然は大事にしていきたいものです。何のかんのと書きましたが、雪をまとった富士山の姿は確かに美しい、それは紛れもない事実です。

↓奥多摩・雲取山から
富士山

↓奥多摩・三頭山から
富士山

↓南アルプス・北岳から(7月の雪のない富士山です)
富士山





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最終更新日  2013.05.01 19:15:57
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