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2013.06.22
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カテゴリ: 戦争と平和
この夏、宮崎駿監督のアニメ「風立ちぬ」が公開されるそうです。なんと、零式艦上戦闘機の設計主任だった堀越二郎が主役だそうです。(私が知る限り、宮崎アニメで実在の人物を題材に取り上げたのは初めてではないかと思うのですが)

で、せっかくの機会なので、この零式艦上戦闘機(ゼロ戦/零戦)という飛行機について考えてみたいと思います。

ゼロ戦は、おそらく現在の日本で(いや、日本以外でも)、もっとも有名な「日本の国産飛行機」でしょう。日本国内に限れば、もっとも人気のある国産機とも言えるかもしれません。
改めて説明するまでもないでしょうが、零式艦上戦闘機は、「艦上」つまり空母搭載機として開発された、海軍の戦闘機です。まったく同じ時期、ほぼ同じような性能の陸軍の戦闘機に、一式戦闘機「隼」がありました。(エンジンは、ゼロ戦も隼も共通)この「隼」も、日本の飛行機の中ではかなり有名な部類ですが、それでもゼロ戦と比べてどちらがと言えば、おそらくゼロ戦のほうが人気も知名度も高いはずです。
ただし、それは戦後の話です。ゼロ戦や隼が現役だった太平洋戦争当時はまったく別で、当時は「隼」のほうが知名度も人気もはるかに高かったのです。
そもそも、海軍はゼロ戦の存在を1944年11月まで一般国民に対して秘匿していたので、人気も知名度も皆無でした。そして、その存在が公開されたときには、ゼロ戦は既に、米軍から「七面鳥撃ち」の獲物とまで揶揄されるくらい劣勢に立たされていました。
それに対して陸軍の「隼」は、1942年3月の時点でその存在が公表され、「加藤隼戦闘隊」なんて歌や映画までできていますから、多くの人にその名が知られていました。戦後になって両者の知名度が逆転したのは、多分ゼロ戦のエースパイロット坂井三郎の「大空のサムライ」などの著作のおかげと、「海軍善玉論」の影響も多少はあるのかもしれません。

実際のところどちらのほうが性能が上だったかというと、これは何ともいえませんが「ほぼ互角」というところでしょう。性能表の上ではゼロ戦のほうが速度が多少速く、航続距離はずっと長く、武装はずっと強力ということになりますが、現実には性能表には現れない部分も多々あり、必ずしもゼロ戦のほうが優れていたわけではありません。

細かいところを書き始めれば、いくらでも書けるのですが、私がこの場で両者の性能の細かい部分を書いても仕方がないので、性能表に現れないもっとも大きな違いをいくつか書きましょう。

そしてもうひとつ。ゼロ戦は、これを捕獲して調査した米軍の関係者が「直線がない」と驚嘆したという話が(事実かどうかは知りませんが)あります。実際には主翼の前縁は直線のように見えますけど、とにかく曲線部分が多く、その分だけ見た目は優美に感じます。一方の隼は、直線ばっかりで構成されており、私の美的センスではゼロ戦ほど優美には感じません。
でも、大量生産する側の立場ではどうでしょうか。多分隼のほうが量産しやすかっただろうと思います。
隼の生産機数は5700機、ゼロ戦は1万機以上なのでゼロ戦のほうが大量に生産されたように感じますが、隼はその後に二式戦「鍾馗」、三式戦「飛燕」、四式戦「疾風」と、次々に新鋭機が開発されたのに対して、海軍は最後までゼロ戦しかなかったので、それが生産数の差に現れた面が大きいでしょう。

でも、一番思うのは、ゼロ戦と隼、多少の違いはあるけれど、ほぼ似通った戦闘機を陸軍と海軍で別々に設計・生産するとは、何とも無駄なことをしたものだな、ということです。機種を統一すれば、ちょっとは生産効率も上がっただろうに。
これは、必ずしもゼロ戦と隼だけの話ではありません。陸海軍がほぼ同時期に同じような性格、同じような性能の飛行機を別々に開発した例が非常に多いのです。主力機として知られる有名な機体の大半がそうです。

米軍でも空軍(第二次大戦当時は陸軍航空隊)と海軍で別々に飛行機を設計・製造していますけど、「持てる国」米国と「持たざる国」日本で同じことをやっていれば、勝てるわけがないのです。





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最終更新日  2013.06.22 20:17:42
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