inti-solのブログ

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2015.01.05
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カテゴリ: 政治
竹中平蔵氏の「正社員をなくせばいい」発言に賛否


竹中氏は正規社員が法律によって過剰に保護されていると指摘。非正規社員が増えているのは、1979年の最高裁の判例で整理解雇の四要件が示されたことが原因で、企業側が労働者を解雇した際の訴訟リスクを恐れて正社員を雇えなくなっているとした。一方で、訴訟リスクが低いと考える中小企業では、正規社員であっても簡単に解雇する現状があると述べた。
さらに竹中氏は、同じ仕事をするのならば、非正規社員であっても正社員と同じ賃金や待遇を得られる「同一労働・同一賃金」の制度が必要だとして、そのためには正規の社員と非正規社員の垣根をなくす必要があり「(同一労働・同一賃金の実現を目指すなら)正社員をなくしましょうって、やっぱりね、言わなきゃいけない」と発言した。

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本来で言えば、非正規雇用は、その不安定な立場がゆえに、正規雇用よりむしろ給料が上でなければならないと私などは思うし、ヨーロッパなどではそうなっている国が多いようにも聞きます。しかし、日本の場合は、人件費を下げるための方便として使われているのが現状です。
で、竹中は

正規社員が法律によって過剰に保護されていると指摘。非正規社員が増えているのは、1979年の最高裁の判例で整理解雇の四要件が示されたことが原因

と言ったそうですが、法的な意味で正規社員が特別に保護されていることって、あるのでしょうか。
整理解雇の四要件というのは、
1 人員整理の必要性
2 解雇回避努力義務の履行
3 被解雇者選定の合理性
4 手続の妥当性

第一に、これが「過剰に保護」などというほどのものでしょうか。雇用という、人の生活におけるもっとも重大な条件を守るための、当然の保護規定だと思いますけど。
第二に、竹中は明らかに勘違いをしている(あるいは、知っていながら頬かむりをして言っているだけか)のですが、整理解雇の四要件というのは、正規雇用だけに適用されているものではありません。アルバイトであろうがパートであろうが、建前上雇用期間の定めがあったとしても、それを何回も更新を繰り返して長期雇用となっている場合は、期間の定めのない雇用契約と同じとして、同じ保護の対象となります。判例もあります。

ただ単に、雇っている側も雇われている側も、「非正規雇用とはそういうものだ」と思っているから、「辞めてくれ」「分かりました」みたいな形になっている例が多い、というだけの話です。
そして、それは正規雇用でも似たようなものです。「辞めてくれ」と言われて、整理解雇の4要件は知っていても、争えば勝てるかも知れないとは思いつつも、拒否して居座るのも針の筵の上に座っているようなものだからと、辞めてしまう正社員だって、実際には少なくないでしょう。

竹中が、整理解雇の四要件は「過剰な保護」だから、そんな条件は剥奪してしまえと考えていることだけは、よく分かりました。でも、それは経営者の胸先三寸で、気に入らない奴は好きにクビにしてしまえ、ということを合法化する、という話でもあります。そういうことが公然とまかり通ることになると、非正規雇用の労働者に何かいいことがあるのか。何もありません。

実際、次の仕事探しの間充分生活できるだけの蓄えがあり、かつ転職先に関してある程度の自信があるとすれば、解雇無効を争うより、サッサと退職したほうが自分自身の精神衛生上も楽な場合もあるでしょう。だけど、たくわえもない、転職先の見通しもない、という状況だったらどうします。争うしかない。その道すら剥奪されたら、あとは福祉事務所に駆け込むくらいしか道がなくなってしまいます。

だいたい、その竹中平蔵自身が、慶応大学の「教授」です。大学において、非正規雇用である非常勤講師と、正規雇用である専任講師以上との待遇差は非常に大きい。竹中の場合は、教授の地位をなげうって政界に打って出た、と思いきや、小泉首相が辞任したら、自身も任期途中で議員を辞職して、大学教授に復帰してしまった。最初から復帰できる約束をしていたとしか思えません。それこそ、百凡の正社員には及びも付かないくらいの手厚い保護です。
「正社員をなくせばいい」のであれば、まずはご自身から実践したらどうですか、と言いたいところです。





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最終更新日  2015.01.06 00:20:06
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