inti-solのブログ

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2015.01.20
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テーマ: ニュース(95873)
仏スーパー:射殺容疑者育ちの街 偏見と貧困、渦巻く憎悪


モスクの建設募金をしていたオマールさんの取りなしで、その場を何とか切り抜けた。しかし、若者らは記者が地区外に向かうバスに乗り込むまでの数十分間、遠巻きに見張り続けた。
パリ中心部から南へ鉄道とバスを乗り継いで約1時間半。5階建てのアパートが無造作に並ぶ。レストランや商店は見当たらず、白人にも出会わない。パリ中心部から30キロも離れていないのに、まるで別世界だ。バスの運転手は「財布を手にした瞬間に強盗に襲われる。気をつけろ」と強くくぎをさしてきた。
ピザ配達さえ入ることができない地区−−。仏フィガロ紙がこう表現した現状を、オマールさんは話してくれた。「行政から見捨てられている。急患対応の医者や郵便配達も、治安が悪いからと来てくれない。火事が起きた時だけ消防がやってくる」。若者の未来も「がんばって大学を卒業し、就職先を探しても、出身地を書いた履歴書はゴミ箱に行く。不公平だ」と嘆く。
~街を歩いて、日常生活での孤立感や「テロの温床」との偏見を食い止めない限り、「第二、第三のクリバリ」は止められない気がした。(以下略)

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フランスで、アルジェリア系移民などへの差別が存在することはもちろん知っていましたが、これほどまでの状況とは、絶句するしかありません。私は、南米でスラム街的な地域に足を踏み入れたことはありますが、もちろんそういうところには悪いやつ(スリ、かっぱらい)はいるにしても、割合ではあくまで少数派で、「珍しいやつが来た」という視線はあっても、憎悪の視線を多数受けた経験はありません。
日本でも、スラムと言っても間違いではないところに足を踏み入れたことは多々ありますが、こういう意味での危険を感じたことはありません。人格面に問題を抱えた特定の個人に、危険を感じたことならありますけど。

「行政から見捨てられている。急患対応の医者や郵便配達も、治安が悪いからと来てくれない。火事が起きた時だけ消防がやってくる」

火事のときだけ消防車が来るというのは、日本語では「村八分」と言いますね。それを行政自らが行ってしまうのは、発展途上国ならいざ知らず、先進国の一員としてはどうなのか、ということになります。もっとも、現実問題として、行政サービスに従事する職員や、宅配ピザの配達員の安全を保障できないでしょうから、こういう対応にならざるを得ないのでしょう。まさしく負の連鎖です。

※そう考えると、日本では、清川・日本堤だろうが百人町だろうが、寿町だろうが、釜ヶ崎だろうが、警察も救急も郵便も、税務署も保健所の保健師も介護のケアマネも、生活保護のケースワーカーも、おそらく宅急便もピザの宅配もすし屋の出前も、何の問題なく、一人でやってきます。日本ってすごいかも、と思わないでもありません。

それにしても、この状況下で、貧困と差別に対して憎悪をたぎらせる若者に「報道の自由」「言論の自由」と言っても、さすがにむなしい。そんなものより生きる自由の方が先だ、ということにならざるを得ないでしょう。そして、テロ対策も何も、このような差別と貧困の温床を放置したままでは、お酒を飲みながらアルコール依存の治療をするようなもので、効果が望めるとは思えません。
フランスという、世界有数の先進国の一角に、同じフランス人でありながらおよそ先進国の生活レベルとは隔絶した人たちが放置されている、多分こういう状況はフランスに限った話ではないですけど、国家を分断して治安を悪化させる、もっとも根源的で深刻な要因はそこにありそうです。





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最終更新日  2018.06.09 08:21:05
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