inti-solのブログ

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2016.08.21
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テーマ: ニュース(95873)
「雷鳥はサンダーバードではない!」 衝撃の動物園「掲示」に「JR西のせいだ」


実はこの「サンダーバード」という愛称、JR西日本は「漢字の直訳」と説明していたが、発表時点で「誤った英語が広まるのを懸念する声もある」という指摘が出ていた。この懸念は現実となり、動物園の掲示につながった。
話題になっているツイートは2016年8月18日夜、「この帰省、最大の衝撃」という文章とともに写真つきで投稿された。写真には、いしかわ動物園(石川県能美市)で撮影された掲示物が写っており、そこには赤字で

「※ライチョウはサンダーバードではありません」

とある。その下には黒字で
「ライチョウは英語ではPtarmigan(ターミガン)またはGrouse(グロース)といいます」

と注意書きがついている。
掲示を見た来園者からは、「知らなかった」と感心する声も時々寄せられるという。JR西の特急の名称の影響について、同園では「あると思いますねー」と話していた。
JR西日本も、必ずしも「ライチョウ=サンダーバード」と意図して命名したわけではないようだが、95年12月24日の朝日新聞は、
「愛称は『雷』『鳥』をそのまま英訳した形でもあるが、ライチョウの英名は『ターミガン(ptarmigan)』。誤った英語が広まるのを懸念する声もある」
と報じていた。この懸念が20年以上経って現実となっていたことを、今回のツイッターの反応は証明したともいえる。(要旨)

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なかなか笑える話ではあります。確かに、JRの特急「雷鳥」が「サンダーバード」に衣替えしたとき、「こじつけにもほどがあるな」と思った記憶があります。電話の「もしもし」を英訳すると「if if」だ、とでも言うような。
でも、私はまさか本当に「雷鳥は英語でサンダーバード」と思っている人がそんなに多いとは思ってもいなかったのですが、実は結構大勢いたのですね。

動物園の表示では、「ライチョウは英語ではPtarmigan(ターミガン)またはGrouse(グロース)といいます」とあるのだそうです。ライチョウの仲間(ライチョウ科、またはキジ科ライチョウ亜科)には17種が含まれますが、日本には本州中部に分布するライチョウと、北海道のエゾライチョウの2種類しかいません。
手元にあるヨーロッパと米国の鳥図鑑によると、日本のライチョウ(学名Lagopus muta)と同一種は、イギリスではptarmigan、米国ではRock ptarmiganと呼ばれているようです。Grouseという単語は、日本のライチョウ(同一種は北米にもヨーロッパにも分布する)およびそれと近縁なライチョウ属を除く、ライチョウ科の鳥一般に使われているようです。つまり、北海道のエゾライチョウはGrouseになるわけです。エゾライチョウの英名はHazel grouseですが、ただしエゾライチョウは英語圏には分布しません。

ところで、話は違いますが、日本ではライチョウは南北アルプスと御嶽山(北アルプスの一部とされることもありますが)と妙高連峰だけに分布します。日本にやってきたライチョウは、氷期(氷河時代)にシベリア方面から南下してきたものが、氷期の終わりとともに取り残されて、気温の低い高山に逃げ込んだものです。つまり、大方の高山植物と同じような起源を持つ、氷河期の遺存種のひとつであるわけです。
ところが、日本では最も広い高山帯植生の広がる北海道には、何故かライチョウはいません。ライチョウがどうやって日本に分布を広げてきたか、詳細には分かりませんが、常識的に考えるとシベリアからサハリン、北海道、東北を経由してきたものと思われます。それなのになぜ今は北海道にいないのか、よく分かりません。北海道にはエゾライチョウがいますが、エゾライチョウは樹林帯に住む鳥で、ライチョウのように森林限界を超える高山には分布しません。北海道のすぐ近くには、カラフトライチョウという、ライチョウとごく近縁の鳥がサハリンと北方領土に分布していますが(これは、ライチョウと生息環境が非常に近い)、これも北海道にはいない。

私は、山に登り始めて、最初の何年間かは、どうしてもライチョウを見ることができませんでした。初めてライチョウを山で見たのは、確か1997年の南アルプス、塩見岳ではなかったか、と思います。南アルプスでは、その後も悪沢岳など何箇所かでライチョウを見ています。ただ、南アルプスのライチョウは北アルプスより数が少なく、かなり危険な状態のようです。確かに、北アルプスのほうがライチョウに会う機会が多いのは確かです。特に、立山と白馬岳など北アルプス北部に多いようです。涸沢など南部でも見たことはありますけど。
その一方で、元々ライチョウという鳥が文献に登場する最古の例は、後白河法皇が白山のライチョウを歌った短歌だそうですが、その白山のライチョウは1930年代に絶滅、中央アルプスも1960年代に絶滅、八ヶ岳も、かつてはライチョウがいたものと推定されていますが、現在はいないなど、ライチョウの住む山が次第に減ってきています。ライチョウの姿が日本の山から消えることがないよう祈るばかりです。


ライチョウ
メス

ライチョウ
オス






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最終更新日  2016.08.22 01:00:31
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