inti-solのブログ

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2017.03.02
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テーマ: ニュース(95880)
カテゴリ: 医療・衛生
白骨化遺体に結核蔓延…西成あいりん地区ホームレスの絶望(上)

白骨化遺体に結核蔓延…西成あいりん地区ホームレスの絶望(下)

長いので引用は避けますが、釜ヶ崎(大阪市西成区)の現状についてのルポです。聞きしにまさる、とはこのことでしょう。度々生活保護関係の情報を教えてくれる、福祉事務所関係者の知人も、東京の住人なので、さすがにここまでの状況は経験がないようです。
ドヤ街と言えば、東の山谷、寿町、西の釜ヶ崎と言われますが、保護率(人口に占める受給者の割合)は、山谷のある東京都台東区が4%台(東京の中では最も保護率は高い)、寿町のある横浜市中区が6%台に対して、大阪市は全体で5%台。大阪市全体で東京の台東区より保護率が高いのだから驚きですが、西成区に限ると、25%にも達します。

ところが、記事を読むと、人口の25%にも達する保護受給者※ですら、実は西成の中では比較的恵まれた立場であるようです。

※統計上は人口の25%なのですが住民の25%が保護を受けているという表現は不正確でしょう。全国から要保護状態の人たちが集まった結果そのような数字になったので、分母である人口は住民の数なのに対して、分子である受給者の相当部分は住民ではない住所不定者ですから。

路上生活者の多くは、病気や怪我になったら医者にかかるという発想がない、犯罪にあったら警察に届けるという発想がない、そして、生活の困ったから生活保護を受けるという発想もない、というわけです。
もっとも、以前知人から聞いた話を総合すると、この話は全面的に真に受けてよいのかどうかは分かりません。知人によると、いわゆる住所不定者の大半は、たいていの場合、それまでの人生で、一度は生活保護を受けた経験がある(と思われる)のだそうです。ただ、それを簡単には認めない人も多いようですが。
彼らはたいていは無償低額宿泊所とか、厚生施設などに入所することになります。しかし、そのような施設は集団生活であり、起床、就寝、食事時間など時間の決まりがあり、当然飲酒は禁じられています。その暮らしに耐えられないと感じる人は、すぐ出て行ってしまうようなのです。それで生活保護は打ち切りになり、「もう生活保護なんてこりごり」となっている人が、相当の割合を占めるようです。もちろん、程度は様々で、1度保護を受けてもう二度と、という人もいれば、普段は路上にいて、金がなくなったり健康を害したときだけ福祉事務所へ、という人もいれば、自称「路上生活」でも、実際はA市で失踪して保護打ち切りになると翌日にはB区の福祉事務所へ、なんて人も少なくないそうですが。
おそらく、ですが、路上生活者、住所不定者の中には、知的障害か精神疾患、あるいはその両方を持っている人が相当の割合を占めるのだろうと思います。

リンク先の記事には、路上生活者に高卒以上はほとんどいない、とあります。これは、知人の感触ともかなり一致するらしいです。路上生活者の学歴については聞いたことがありませんが、生活保護受給者全般に、中卒率がやたらと高い、4割か、下手すると5割超えるかも、という話を聞いたことがあります。路上生活者に限れば、その割合が更に上昇するであろうことは想像に難くありません。


それを「けしからぬ」といっても、がんになった人を「けしからぬ」というのと同じくらい、言ってもどうしようもないことです。

しかし、こういう状況になってしまった人を救うのは、非常に困難です。病院に行く発想がない、体調が悪ければ酒で治す、という人を、まともな社会生活が送れる状態に戻すことは不可能です。ごく若いうちならともかく、そのような生活で40代50代に至ってしまった人は、残念ながら社会生活能力が「ご臨終」になっています。末期がんがどうにも治せないのと同じように、こういう状況に至ってしまった人の社会生活能力を生き返らせることは、不可能です。前述のように、そのような状態に至った人が生活保護を受けたところで、施設の規則を守ることができないから、すぐに失踪したり指示違反で、保護は打ち切りになるか、死亡廃止になるか、いずれにせよ、こういう状態の人が安定的に、長期間生活保護を受け続けることは困難なようです。紹介記事にも、西成区の死亡率の突出した高さが示されていますが、多分それは、生活保護を受けている人に限っても同じでしょう。

なお、程度の差はあっても、山谷や寿町も、状況はそう大きくは変わらないでしょう。私は、寿町は行ったことがないけれど、山谷は数回行ったことがあります。南千住の駅前や大通りは、再開発でとても綺麗になっていますが、住んでいる人の中身は同じですから、朝っぱらから路上でたむろして酒盛りをしている集団がいたりして、やはり異様な光景と思います。

まことに残念ながら、このような状況を、すぐに改善する、というのは不可能なことのように思います。対症療法で何とかなることではない、大元から、つまり、路上生活者が路上生活者になる前、もっと言えば、子どもの頃からの支援体制を何とかしないと、社会生活能力がご臨終になった後では、何をどう変えることもできないのが現実でしょう。

それにしても、西成での結核の蔓延ぶりも恐ろしいものを感じます。以前に比べると少し下がったのだそうですが、それでも383.7(元記事には単位がありませんが、人口10万人当たりの数字です)。2010年にはそれが600を越えていたとのことです。世界最悪の結核蔓延国ジンバブエとほぼ同水準、現在の数字でも、アフリカの、結核罹患率の非常に高い国々と互角の状態です。しかも、生地の様子から察するに、表面化しない潜在的な結核患者がそれ以外にも相当にいるのではないかと思われます。(もっとも、それはアジアアフリカの発展途上国も同様かもしれないですが)

話は変わりますが、昔、「じゃりんこチエ」という漫画がありました。私は原作漫画は読んだことがなくて高畑勲監督の劇場アニメを見たことがあるだけですが。当時は何も知らずに面白いと思って見てましたけど、少し前にYouTubeに上がっているのを見て(もう削除されています)、ドキッとしてしまいました。これって、まさしく西成が舞台です。いやー、もう単純に笑えない。現実には、チエのような環境に育って、チエのようにまともで強く育つ子ばかりではない、というより、そうならない子の方が多いはずですが、チエはグレて不登校になり、家でを繰り返して万引きして児童相談所から児童養護施設に入所しました、では漫画にならない(別ジャンルの話にはなりそうですが)ですからね。





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最終更新日  2017.03.02 22:13:47
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