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人間ドックの便検査で血液が混じっていたそうで、採便した時にはそれらしいものは見えなかったのだが、内科医が「念のため内視鏡検査しましょう」と言うので、健康体からカネをむしり取る口実じゃないのかという疑念もあったが、受けることにした。検査前日用のレトルト食事セットみたいのを渡されて、前日は固形物を摂取しないよう言われた。そして、就寝前に下剤の錠剤を服用し、翌朝には腸の中を空っぽにするのである。検査当日の朝、内科に出向くと1800ccの透明な下剤が入った大きなパウチを渡され、これを10〜15分につき200ccずつのペースで飲み、約3時間かけて腹の中を空っぽにする。だいたい1時間くらいで便意を催し固形物が混じった液状の便が一気に下り、その後約30分ごとに便意を催すと、いわゆるシャーシャーの食中毒時みたいな便が出る。最終的にはちょっと黄色っぽいオシッコと同じ水が肛門から出る状態になると、準備OKである。検査室では素っ裸にガウンと、尻の部分に切れ目の入った紙製のトランクス型パンツをはかされる。そして、胃カメラの時と同じようにベッドに体側を下にして膝を曲げた胎児のポーズで横たわり、肛門にローションみたいなのを塗られたかと思うと一気にズボッと内視鏡が突っ込まれる。ずいぶん乱暴な挿入だと思っていると、早くも内視鏡の先端が腹の上の方のコーナーにズンと当たる感じがして、痛いような不快な感覚がある。たぶん内視鏡が大腸のカーブにぶつかって曲がるところなのだろう。大腸自体には触覚や痛覚はないはずなのだが、とにかく異物が内側でボコボコと当たる感覚はあまり気味の良いものではない。内視鏡が終点である盲腸近くまで来ると、今度は背中を下にして仰向けになるよう指示される。頭を少し起こして検査医が見ているモニターを自分も眺めながら、自分の内臓をリアルタイムで観察できることにちょっと感動を覚える。これを見れるだけでも検査費用の元が取れたと思う。検査は、終点の盲腸から始点の肛門に向かって内視鏡を引っ張りながら行う。ところどころ胆液の黄色が残っている箇所があるものの、大腸の内部は総じて赤ちゃんの皮膚のような美しいピンク色で、その汚れなき姿にちょっとした愛着が湧くのであった。それは、とても59歳の内臓と言われても信じ難いキレイさなのであった。途中で医師が「分かりづらいかも知れませんが、これ、ポリープですね。」という。3mm程度の大きさだと言うが、ほかの粘膜と区別が付かない。私がポリープの存在を認めたくなさそうだとでも感じたのか、医師は「ま、これくらいのは、無かったことにしておいてもいいでしょう。」などと意外なことを言う。きっと健康自慢のジジイの中にそんなリアクションをするヤツが一定数いるんだろう。「切除してしまいますね」と言うと、内視鏡の先端からワイヤーの輪っかが出て来て、それをポリープに圧しつけると、輪っかを閉じてプチっと切除した。少し血が滲む程度で、痛みも違和感もない。その後、最後の直腸に近いところで、「ここにあるこれもポリープですね」という。今度のは5mmくらいで、ニキビみたいに盛り上がっているのでそれと判る。これくらいの大きさになると「無かったこと」にはならないだろう、別にそうして欲しいと思っていないが。これも同様にワイヤーの輪っかに入れて根本からプチっと切除したが、今度の出血は結構本格的だった。すると医師は「クリップで傷口を閉じちゃいますね」というと、今度は内視鏡の先端からバクテリオファージみたいな形状のものが出て来て、その脚の部分を切除跡に着地させ、粘膜の両端を引っ張り合わせて閉じるのであった。クリップというよりも、もっと立体的な、超小型の魚釣りのルアーみたいな感じである。どうも1週間もすると自然に便に混じって排泄されるらしいが、そのまま大便とともに下水に流されてしまうのがちょっと惜しい気もする。最後に「そろそろ終わりです」と言って直腸から内視鏡を抜く際、「ちょっと痔の初期段階っぽいですね」と言われた。自覚症状がなかったので意外に思っていたら、直腸の表面をカメラで映し、「ほら、毛細血管が表面に浮き出て見えますよね」と言われた。ま、ここ数日、大量に排便し頻繁にケツを拭いたのでヒリヒリする状態になっていても当然だとも思うが、ま、それとも違うようだ。医師は、「便の検査で血が混じっていたのは、ポリープとは関係ないかもしれないし、痔からの出血だった可能性もある」と言う。いずれにしても、切除したポリープは生体検査をし、悪性のものかどうか確認するそうだ。「これくらいの年齢になるとポリープの1〜2つが見つかるのは普通なので、それほど気にしなくていい」と言いつつも、「2〜3年に一度くらいは内視鏡で診ておくといいですよ」とも言われた。胃カメラみたいに毎年やるのは面倒だが、2〜3年に一度であればやってもいいかな…と思ったが、その後家路につく途中で肛門がズキズキしてきて、内視鏡を突っ込まれたダメージを初めて意識させられた。その肛門まわりの違和感はその後2〜3日続き、まるでお尻に常時何か挟まったいるかのようで気が晴れないのであった。
2025.09.01
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